登録日:2021/06/20 Sun 23:22:07
更新日:2024/05/27 Mon 13:49:27NEW!
所要時間:約 6 分で読めます
「九龍ジェネリックロマンス」とは、「週刊ヤングジャンプ」にて連載されているラブロマンス漫画。
作者は『恋は雨上がりのように』を手掛けた眉月じゅん。
舞台は香港にかつて実在した超巨大建造物「九龍城砦」。
「なつかしさに惹かれて集まってきた」人が集まって暮らすその巨大マンションで、恋心を抱く主人公の「鯨井令子」と、気さくに接しつつも令子とはなぜか一定の距離を取る令子の片思い相手「工藤発」との繊細な恋の駆け引きが主軸。
一応主人公である令子と工藤は二人とも30代のいい年した大人なのでギャグ成分は薄目である。
舞台である九龍城砦が本作最大の特徴で、令子と工藤がラブロマンスを繰り広げる裏で九龍城塞にまつわる謎が広がっていく。
史実における九龍城砦は1997年に解体されているため、二人が生きているのは順当に考えれば20世紀末になるはず。だが、登場人物達がスマホを持っている、空に八面体が浮かんでいるなど、そう仮定するにしては奇妙な描写が多い。
ちなみに作者はゲーム「クーロンズゲート」をプレイして衝撃を受け、それをきっかけに本作の構想を立てていたそうな。
◆あらすじ◇
「ジェネリック・テラ」と呼ばれる八面体が上空に浮かぶ世界。
その下に座する超巨大建築物・九龍城砦は、なんらかの「なつかしさ」を抱えた住人たちの住まいにして心の拠り所となっていた。
九龍城砦の中に居を構える不動産屋「旺来地產公司」に勤める女性・鯨井令子は、同じ会社の先輩・工藤発と共に働く営業マン。
しかしこの工藤、ことあるごとにデリカシーのない言動をして令子を振り回す大変がさつな男であり、大人しい令子とはお世辞にも仲が良いとは言い難い関係だった。
令子も当初は工藤のことを毛嫌いしていたものの、同僚として共に過ごすうちに、令子は徐々に彼に惹かれるようになっていく。
しかし工藤は過去にいた恋人のことを引きずっているようであり……?
◆用語◇
九龍城砦
本作の舞台。
迷宮のように入り組んだ巨大建造物で、内部にはマンション、オフィス、屋台、商店街、喫茶店、服飾店といったあらゆる種類の施設がひしめき合っている。
やはりというか設備もところどころ老朽化しており、エリアによっては屋内でありながら傘を差さないと歩けない場所もある。
かつて香港に実在した建造物であり、中にマンション等がひしめき合う迷路だったところも含めて史実通り。
史実では既に取り壊されて更地になっているはずだが、このマンガでは何らかの事情で現存しているようである。
ジェネリック・テラ
「もう一つの地球」として建造されている謎の八面体。上空に浮かんでおり、作中の時系列ではまだ未完成。
国家プロジェクトであるようで、ジェネリック・テラを題材にしたグッズが九龍城砦のそこかしこで販売されている。
◆登場人物◇
◆鯨井令子
主人公。32歳。
九龍城砦にある不動産店「旺来地產公司」に勤めている女性。営業職。大人しく口数も少ない人物で、人付き合いも少ない。
本人は中盤まで意識していないが、工藤に惹かれている。
スイカを食べた後にタバコを吸うのが趣味。
担当地区の住人から寄せられた騒音被害の犯人を捜している。
◆工藤発
不動産店「旺来地產公司」に勤めている男性。営業職。34歳。
大雑把でかつ俗物的な人物で、勤務態度はやや不真面目。
だが、その不真面目さも含めて世渡り上手であり、九龍城砦内ではそれなりに名が知れている等営業マンとしては優秀。
九龍城砦での身の振り方を十二分に心得ており、令子に「九龍城での生き方」を教えてくれるよき上司。
令子の好意には気づいた上で無視するような態度を取る一方、過去に付き合っていた恋人のことを引きずっているようで……
◆李
不動産店「旺来地產公司」の支店長。令子と工藤の上司。
デフォルメチックな見た目の小男で、基本的に温厚。
「早朝出勤をしても絶対に残業はしない」など、行動に独特のこだわりがある。
◆小黒
令子の友人。「~ネ!」という怪しげな語尾が特徴の女性。
見た目は縦ロールのロリだが実年齢は不明。
ロリータ服集めが趣味らしく、その金を稼ぐためにあちこちでバイトの掛け持ちをしている。
そのため、令子や工藤の行く先々でスタッフとして登場する。
◆タオ・グエン
工藤の行きつけの喫茶店「金魚茶館」のボーイ。
工藤とは仲が良かったようだが、なぜか初入店したはずの令子の好みがスイカであることも把握していた。
グエン「その写真……その日は楽しかったですね」
令子「こ、この日のことご存じなんですか!?」
グエン「知ってるも何も僕がこの店で撮ったんじゃないですか、
アナタと工藤さんの婚約祝いに。」
九龍ジェネリックロマンス
登録日:2021/06/20 (日) 23:22:07
更新日:2024/05/27 Mon 13:49:27NEW!
所要時間:約 6 分で読めます
▽タグ一覧
ミステリー 漫画 眉月じゅん 九龍城砦 九龍城 ヤングジャンプ ラブコメ ラブロマンス クローン sf ローファンタジー
「九龍ジェネリックロマンス」とは、「週刊ヤングジャンプ」にて連載されているミステリー漫画。
作者は『恋は雨上がりのように』を手掛けた眉月じゅん。単行本は既刊6巻。
令子と工藤との上記のラブロマンスはこの物語の半分、残り半分は令子が記憶のない「過去の令子」の足跡を追うミステリーが占めている。
一見日本ならざる超巨大スラム街「九龍城砦」を舞台にした日常もののようだが、その九龍城砦自体が解体後に何者かの手によって創造された複製であることが示唆される謎の多い世界観となっている。
また、九龍城のみならず令子や工藤らをはじめとする九龍城の住人の大部分も同様の複製人間であることが匂わされている。
そうした後発的な存在はアイデンティティを確立できるか、というのが「九龍ジェネリックロマンス」のもう一つのテーマである。
◇本当のあらすじ◆
主人公・鯨井令子は、同じ会社の先輩である工藤発に想いを寄せていた。
工藤は令子に親身に接するが、その関心は自分ではなく過去の恋人に向いているようであり、令子はその「過去の恋人」へ興味を膨らませていく。
そして好奇心から、令子は工藤の机に仕舞われていた写真を盗み見る。
写真に写っていた「過去の恋人」は、令子だった。
さらに「金魚茶館」のボーイ・グエンは、令子が工藤と付き合っていたばかりか婚約までしており、その記念撮影を自分がしたと証言する。
もちろん、令子にはそんな記憶はない。
令子は「過去の恋人」である自分を「鯨井B」とし、彼女の辿った足取りの調査に乗り出す。
◇用語◆
"ジェネリックな存在"
物語の舞台である九龍城にいる存在。蛇沼やグエンはそのあらましを知っている様子。
端的に言えば「何者かが本物に精巧に似せて作った模造人間、あるいは模造物」であり、令子や現在の九龍城はこの「ジェネリックな存在」である(らしい)ことが語られている。
ネタバレ
ジルコニアン
物語の舞台である第二九龍城内にのみ存在する、オリジナルそっくりに作られた模造物。
見た目は本物とまったく見分けがつかない。
そして、第二九龍城の中でのみ存在できるという特性、同じジルコニアンを除く生身の人間には認識できないという特性があり、オリジナルと遭遇するか、あるいは九龍城の外に出るかすると跡形もなく消滅してしまうという。ただし、人によっては認識できる者もいたりとまちまち。
第二九龍城自体がこのジルコニアンであり、外部の人間からは「廃墟があるだけ」としか認識されていない。
また、第二九龍城の中で生きる人間の大多数もこのジルコニアンであり、令子を含むジルコニアン達は必然的に第二九龍城の外では生きられない運命にある。
◇登場人物◆
CVは単行本第6巻刊行に併せて発表されたPVのもの。
◇鯨井令子
CV:山口由里子
主人公。
過去の記憶が一切なく、自分のこれまでのルーツの一切が分からない状態のまま生きていることが判明する。
令子本人にとっては「鯨井B」は工藤をめぐる恋敵にあたるはずだが、鯨井Bに対しても秘密を抱えた工藤に対しても肯定的。
作中描写からして、令子が複製品、鯨井Bがオリジナルである可能性が濃厚だが……?
◇鯨井令子(鯨井B)
工藤と交際していた「過去の恋人」。現在は行方不明。
見た目、背格好、名前、癖、ほとんどあらゆる点が令子と同一。だが性格は大きく異なって社交的。ただし「スイカを食べた後にタバコを吸う」趣味は令子、鯨井Bともに共通である。
大きな違いは眼鏡であり、令子は裸眼、鯨井Bは眼鏡を掛けている。視力自体も異なり、令子は裸眼でも生活に支障が出ない程度にはものが見えている。
不動産店「旺来地產公司」に勤務していたことまで令子と同じで、そのうえ工藤の先輩であった。
が、そのことを知りえたはずの工藤や李支店長が令子にその事実を伏せていた理由は謎。
◇工藤発
CV:杉田智和
物語中盤で、鯨井Bと交際していたことが判明する。
さらに彼は鯨井Bの先輩ではなく後輩であり、工藤が令子に対して語った教訓、麻雀の習慣などの大部分は鯨井Bの受け売りであることが明かされた。
令子と鯨井Bの間に何があったかを把握しているはずだが、その秘密を明かそうとはしない。
◆李
不動産店「旺来地產公司」の支店長。令子と工藤の上司。
鯨井Bの存在が発覚した後も彼女に首を突っ込むようなことはしていない。
◇楊明
令子の友人。金髪の美女。
前述の「騒音被害」の犯人であり、騒音の正体は彼女がミシンで大量発注されたぬいぐるみを縫っていたからである。
令子が彼女の部屋を突き止めた際に知り合って以降、令子とは仲良くなった。
見た目はスレンダーな金髪美女。だが、これは本人曰く「つま先から頭のてっぺんまで」整形した姿。
元の姿の面影がまったく残らないレベルで容姿を作り変えており、自ら「過去を捨てた」と語っている。
そのため、「過去のない」令子には思うところがあり、彼女が鯨井Bへの興味を断ち切ることを望んでいる。
◆小黒
令子の友人。「鯨井B」のことについては知らない様子。
自分の生活環境<服 という価値観のようで、家探しをした際には倉庫のような物件を見るなり即決していた。
◇タオ・グエン
CV:三木眞一郎
工藤の行きつけの喫茶店「金魚茶館」のボーイ。
令子は彼が鯨井Bについて知っていると推測し金魚茶館を訪れたが、それと入れ替わるタイミングでボーイを辞め現在は行方不明となっている。
その少し後、蛇沼みゆきの右腕、兼恋人*1として登場し、何らかの調査をしている。
理由は不明だが、九龍城砦の食べ物、飲み物を摂取することを蛇沼から禁じられている。
◆ピアスの青年
「蛇沼製薬」初代社長の命を受け、みゆきやグエンを監視する謎の人物。グエンらに比べれば小柄な体格と八重歯が特徴。
グエンだけでなく、小黒も監視しているようだが……?
ネタバレ
実は彼こそが本物の小黒であり、これまで「小黒」として工藤の前に度々現れていた縦ロールの子はこの青年(の幼少期)を模して作られたジルコニアン。
つまり、可愛らしい女の子に見えていた小黒は実際には女装マニアの男の娘。(もっとも、「小黒」は中国における男性名なので、そういう形で伏線は張られていた。)
どうやら成長してロリータ服を着られなくなった自分の代わりに好みの服を着せるための存在として自身のジルコニアンを誰かに用意してもらったらしく、
ぞの対価として、「蛇沼製薬」初代社長に従っているようだ。
◇蛇沼みゆき
CV:置鮎龍太郎
巨大企業「蛇沼製薬」の二代目社長。
名前は女性のようだがルックスは男性。しかし実際は「半陰陽」なる存在であり、生物学上は男性でも女性でもない。言うなれば両性具有のような存在なのだが、彼は男性機能にも女性機能にも不全を抱えており、遺伝的な意味での子を残すことができない。*2
イケメン社長であると同時に凄腕の美容整形師でもあり、楊明をはじめとする女性キャラのほとんどから持て囃されている。が、言動は非常に胡散臭い。
側近のグエンを連れて九龍城砦の何かを嗅ぎまわっており、令子、および"ジェネリックな存在"について何らかの秘密を知っている模様。
追記・修正は、自分を見失いかけた際にお願いします。
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▷ コメント欄
- 広告でよく見たけどミステリーだったとは -- 名無しさん (2021-06-21 07:59:08)
- 小黒はクーロンズゲートのヒロインからの命名だろうけどゲームの解説だと本来は男の子に付ける名前らしい。 -- 名無しさん (2021-06-21 12:29:58)
- スイカと煙草の食べ合わせ(?)、実際に試した人っている? -- 名無しさん (2021-10-16 08:13:33)
- 小黒の素性について衝撃の事実が… -- 名無しさん (2022-03-18 07:23:31)
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*2 なお、半陰陽自体は実在する
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