BLUE GENDER

ページ名:BLUE GENDER

登録日:2020/09/05 Sat 20:58:00
更新日:2024/05/23 Thu 10:18:57NEW!
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さあ解き放て すべて 時の彼方に


魂を縛るものを For my heart beat




▲概要

「BLUE GENDER(ブルージェンダー)」とは1999年に放送されたテレビアニメである。TOSHIBA EMI、AIC製作。全26話。
未知の怪物の出現により荒廃した世界で繰り広げられるロボットアニメで、最大の特徴は何といっても地上波ではとてもじゃないが放送できないグロ要素だろう。
とにかくほぼ毎回誰かが死ぬ。主人公とヒロイン以外は容赦なく死んでいく。死なない人が少ない。そしていずれもロクな死に方をしていない(具体的にはつぶされ、斬られ、食われ、固められるなどなど)
そしてグロい要素に隠れることなく存在する女性キャラの生々しいエロシーンもまた特徴である。そんな作品でも再放送したキッズステーション……
月刊コミックドラゴンにおいて加崎善彦氏による漫画も掲載されていたほか、本編を再編集・リメイクした「BLUE GENDER THE WARRIOR」も放送されている。


AICが製作しただけあってか、エログロが過剰な内容は80・90年代のOVAを感じさせるものがある。
それだけに見る人を選ぶ内容ではあるが、主人公が波乱に巻き込まれながらも成長してゆく姿、ボーイミーツガールの王道、絶望的な状況におけるストーリー展開の激しさなどは現在主流の作品に十分通じるものがあり、現在においても触れてみる価値がある作品といえる。



▲あらすじ

現代の医学では治療不可能な謎の病に侵された青年、海堂祐司。未来の医療技術に希望を託して人口冬眠に入った彼が目覚めたのは、異形の怪物「BLUE」がうごめく荒廃した未来の世界だった。
絶体絶命の危機に陥った祐司だったが、スリーパー回収部隊所属のマリーンに助けられ辛くも脱出に成功。彼らの本拠地である宇宙ステーション「セカンドアース」を目指すこととなるが、道中またしてもBLUEの強襲を受けて部隊は壊滅。さらなる危険な旅に出ることとなってしまった。
絶望的な状況下の中、祐司達は生きるために戦う。闇の中一筋の光を求め、彷徨うかのように。



▲登場人物


☆メインキャラ

本作の異能生存体枠。流石に本家ほどのチートぶりはないものの、この世界でまともに生きていられるのはこの2人くらいである。


  • 海堂祐司(CV:野島健児)

主人公。元々はどこにでもいるごく普通の心優しい青年だった。ある日未知の病に侵されてしまい、治療のために他の多くの患者達と共に冷凍睡眠することとなる。しかしその結果荒廃した世紀末な世界に家族も親しい友人も全て失った状態で目覚めることになってしまった*1
当初は状況の変化による混乱とBLUEへの恐怖により戦いを躊躇していたものの、やがて多くの人達との出会いと別れを通じて自身の意思で戦うようになる。そしてセカンドアースにて自身がスリーパーという特別な力を持った存在(後述)であることを知らされて以降は戦いにより積極的に参加するようになるが……

B細胞の活性化と同じ部隊のトニーへの対抗意識により、徐々に好戦的で凶暴な性格へと変貌。やがてかつては積極的に助けようとした地上の人間すら無視して(マリーンが対照的に守るようになったのに対して)BLUEを殲滅しようとするようになってしまう。
しかしマリーンの決死の説得により正気を取り戻すことに成功。宇宙に帰還後は暴走したトニー達との戦いに悲しき決着をつける。
その後は地球への帰還を諦めたセノと決別して地上に移り、最後のBLUEとの戦いの後”地球の意思”に触れることとなった。
戦いの終わりを知った祐司はマリーン、そして彼女が身籠もった自身の子供の元へと帰還。共に地球で生きていく決意を固めるのであった。


ヒロイン。スリーパー回収部隊チーム・グランザイルに所属するアーマーシュライクのパイロット。銃火器の扱いや操縦技術にも長けている。冷静沈着で男勝り。BLUEの襲撃により家族を失っており、以降はセカンドアースにおいて兵士として教育を受けた。
地上で生き残った人間のことはおろか仲間の死にもさほど動揺せず、性行為ですら性衝動処理の行動と割りきっている*2。祐司のこともあくまでも「保護対象」としか見ておらず、「死にたいなら止めはしないが、スリーパーをセカンドアースに収容する任務が終わるまでは生きていてもらう」と言い放つなど冷徹に対応していたが、彼と苦楽を共にするうちに心境に変化が現れ、他の異性との性行為を露骨に避けるようになる。しかしマリーン自身がその感情が何なのかをはっきり自覚するまでは長い時間がかかった



☆セカンドアースの人間

BLUEの脅威を逃れるために衛星軌道上に建設された巨大な人工衛星に住む人々。BLUEを殲滅して地上を取り戻すことを目標としている。しかし地上で生き残った人間達を「既に死んだもの」として扱う、任務遂行のためなら仲間すら見捨てる、そこかしこで人目を憚らず性行為に及ぶなど、人間味も倫理感も何もない連中が多い。


  • ビクター(CV:佐藤正治)

セカンドアース最高議会総裁。「最高議会の決断は間違いであってはならない」との考えを持っている。他の議員共々スリーパー部隊の能力を過信しており、それが後に自身の命運を分けることに……


  • アーミック・ヘンダル(CV:米本千珠)

セカンドアース・教育ステーションの指揮官。女性ながら気性が荒く冷徹な指導を行う。

セノのクーデターの後は幽閉されていたものの、隙を見て脱出。「自分はBLUEと戦うために生きて来た」と称し、
輸送船を奪って単身地上へと去って行った。その後の消息は不明。
ただこの直後にBLUEが一斉に死滅したことを考えると戦うことなく生存している可能性も。


  • ルー・リー・チャン(CV:萩森じゅん子)

最高議会構成員の1人。化学班の出身でもあり、スリーパー部隊の危険性にいち早く気付いた。


  • セノ・ミヤギ(CV:堀勝之祐)

医療科学班チーフ。スリーパーの危険性から彼らを利用した降下作戦を計画する最高議会に不信感を抱いており、密かにクーデターを企てる。
祐司やマリーンのことも気にかけるなどセカンドアースの人間の中では良識的だと思われていたが……

医療ステーションの一件が片付いて以降、BLUEに支配された地上に戻ることを諦めてセカンドアースに永住する考えを固める。
しかし祐司達はこの話に賛同することができず、決別することとなる。
その後もセカンドアースに居住スペースを増設し続けるが、結局BLUEとの戦闘だけを目標に生きて来た乗組員達には自身の考えを受け入れられることはなく、
彼らが起こした暴動で無残に殺されることとなった他、ステーションを爆破され多くの人々も犠牲にしてしまうこととなった。
あくまでも科学者であり指導者ではなかった彼には地球を取り戻すために戦い、それ以外のことを知らない兵士達を導くことなどできはしなかったのである。


☆スリーパー部隊

祐司と同じく未知の病に侵され冷凍睡眠に入った者達を主力に結成された部隊。セカンドアースで目覚めたため地上の惨状を知らない者が多い。BLUE殲滅の切り札とされていたが……


  • トニー・フロスト(CV:佐藤浩之)

部隊のエース。冷静沈着で冷淡で、セカンドアースの人間を全く信用していない。
模擬戦で祐司とマリーンを下し、単身でネスト*3を殲滅するなど、スリーパーとしての能力は非常に高い。彼をライバル視した結果祐司に少しずつ異常が現れ始めることに……

第二次降下作戦の際に「BLUEは増えすぎた人類を地球上から排除するために地球が生んだ存在であり、BLUEと同じB細胞を持ったスリーパーもその一端を担う存在である」との確信を抱くに至り、
セカンドアースの医療ステーションにBLUEを持ち込んで占拠し、軍事ステーションに激突させることを企てる。
乗り込んできた祐司達の説得に耳を貸すことも無く、重傷を負っても尚しぶとく自身の役目を果たそうとするが……
尚、祐司からライバル視されてはいたものの、トニー自身は祐司のことを嫌っておらず、むしろ友好的に思っていた模様。


  • アリシア・ウィッスル(CV:安田美和)

祐司と同じ部隊に配属されたスリーパー。祐司に対して好意を抱いており、マリーンをライバル視している。セカンドアースで目覚めたため地上の惨状を全く知らない。
スリーパーとしての能力は低く、緊張感がなく子供っぽい性格も相まって部隊の足を引っ張ることもあった。

第二次降下作戦の際にトニーの手引きでBLUEに親密感を覚えるようになり、共にセカンドアースにBLUEを持ち込んだ。
一度は祐司達に保護されるも脱出し、瀕死のトニーを優しく抱きしめながら爆発する医療ステーションと運命を共にした。


  • リック・キルマー(CV:伊藤栄次)

スリーパー部隊の隊員。調子のいい性格。マリーンに気があるらしく、幾度となくアプローチしている。


  • スー・リー・チャン(CV:萩森じゅん子)

ルーの双子の姉妹。最高議会から密命を受けてスリーパー部隊のサポート要員として潜入している。
ちなみに同性愛者(あるいはバイセクシャル)。



☆その他


  • ユン(CV:小松幸江)

韓国の廃墟にて生き残っていた少女。BLUEに襲われていたところをたまたま通りかかった祐司に助けられたことで彼を慕うようになるが、最後は他の住民同様に悲惨な末路をたどることとなる。
彼女を守れなかったこと、そして彼女の「ユンもお兄ちゃんみたいに眠っていられればいいのに。眠っていればBLUEも怖くないでしょ」という暗い言葉は祐司の心に暗い影を落とした。


  • エリナ(CV:西村ちなみ)

遊牧民の少女。正義感が強く心優しい性格。旅の途中で出会った祐司と惹かれあい一夜を共に過ごしたりもしたが、最終的に彼がマリーンとの旅を続けることを望んだため悲恋に終わった。
死なずに済んだ人その1


オアシスで祐司達が出会ったアーマーシュライクのパイロット。所属していた部隊はBLUEとの戦闘で既に全滅してしまっている。祐司とマリーンの間の微妙な距離感に気を使ってさりげなくアドバイスをするなど、人生の先輩としても2人に影響を与えた。
死なずに済んだ人その2、ただし漫画版では……


  • シャムス・ハン(CV:花田光)

バイコヌール基地で合流した他のスリーパー回収部隊(第12回収部隊)の情報技術担当兵。回収したスリーパーの少女を愛してしまった結果、予期せぬ暴走を巻き起こすこととなる。
アニメ版及び漫画版では狂人として描かれているが、総集編では人格者になっている。



▲用語


  • BLUE

本作における敵勢力。2017年に初めて活動が観測された新生物で、有機物・無機物を問わず捕食して活動エネルギーを得ることが可能。その凶暴性と繁殖力であっという間に人類を絶滅寸前にまで追い込んだ。
人間をただ捕食するだけでなく、球状に固めて食料として保管する習性を持つ。この状態になった人間はBLUEの強酸性の唾液によりやがておぞましい緑色の球体に変化する。廃墟となった街にはそこかしこにこれが存在しており、さながらバイオベースのような気持ち悪さ。
身体は非常に頑強で、生半可な攻撃では傷一つつけることができない。弱点として丸い形状のコアを持っており、ここを破壊されると絶命する。しかし時間が経つに連れて外殻で防御した個体、どこにあるのか不明な個体、さらにはコアが存在しない個体までも出現した。

BLUEが持つB細胞はプランド・スーサイダル*4による自滅が存在していない。
地球そのものを一つの生命体として考えたとき、人類もその細胞の一つであり、増えすぎた人類によって地球全体が壊滅するのを防ぐためにB細胞を持つBLUEが誕生したとされている。
つまりBLUEが人間を襲っていたのは地球の意思による間引きだったのである。
終盤全てのBLUEが南米の巨大ネスト内に集結して死滅。その後祐司が地球の意思に触れたことで、プランド・スーサイダルは終息したことを知った。


  • スリーパー

不治の病のために、未来に希望を託して冷凍睡眠に入った患者達の総称。後にその病の原因がBLUEも持つB細胞にあることが判明し、BLUE殲滅の切り札とするため、セカンドアースから世界各地に向けて回収部隊が送り込まれた。
高い身体能力とBLUEの存在を感知する力からBLUE殲滅の切り札とされていたが、いうなれば彼らは「BLUEの特性を持つ人間」と言える存在であり、B細胞が活発化すると暴走する危険性がある。


  • セカンドアース

衛星軌道上に建設された巨大な人工衛星。軍事・教育・医療の各ステーションごとに独立した建造物となっており、各ステーションには独立した動力機関がある。活動しているのは軍人や医療・科学スタッフのみで、一般人は冷凍睡眠されている。
ちなみに娯楽の類いは特に存在しない模様。

暴走したトニーに占拠され医療ステーションは軍事ステーションに衝突しそうになったため、冷凍睡眠状態の民間人を開放された後爆破処理される。
その後軍事ステーションは新たな居住区として改造されようとしたが、セノに反発し暴徒と化した兵士達の手で爆破され宇宙の塵と化した。
多くの同胞を見捨ててでも怪物の脅威から逃れるために作られた人類のための要塞は、皮肉にもその人類自身の手で滅ぼされることになったのである。
最も脱出しようとした者もいたこと、教育ステーションがまだ現存していることから、全滅していない可能性も否定できない。


  • アーマーシュライク

人類側が有する巨大兵力。1人もしくは2人のパイロットが操縦する。動力は電気。銃火器で武装している。コックピットはむき出しで、防御面は重視されていない。
OPでは果敢にBLUEを殲滅するシーンが描かれているが、実際はほぼ完全に真逆。


  • ダブルエッジ

スリーパー部隊に配備されたアーマーシュライク。その名の通り2本の巨大な刃を装備しており、スリーパーの技量も相まって高い戦闘能力を有する。


  • チーム・グランザイル

マリーンが所属するチームで、日本のスリーパーを回収するために派遣された部隊。ロバート・ブラッドレイを隊長とし、祐司と同年代の青年ジョーイ・ヒールド、粗野で好戦的なキース・ビーン、無口で無表情な少女ミニー・ホワイト、筋肉質な女性レッド・ヤンセン、寡黙な巨漢マルコム・リーで構成されている。
祐司を含むスリーパーを回収した後海上基地から宇宙へ上がろうとするが、BLUEの突然の襲撃によりマリーン、ロバート、ジョーイ以外の全員が死亡*5。残ったロバートとジョーイも韓国で戦死し、最終的にマリーンのみが生き残った。
公式ページでしっかり紹介されているにもかかわらず出番はごく僅かである


  • 祐司の鼻歌

祐司が機嫌がいい時に歌う鼻歌で、祐司が冷凍睡眠に入る前に流行していたらしい。



▲主題歌


  • 解き放て!(OPテーマ)

歌:桑島法子 作詞:及川眠子 作曲・編曲:斉藤英夫

  • 愛が教えてくれた(EDテーマ)

歌:桑島法子 作詞:及川眠子 作曲・編曲:荒木真樹彦


いずれも歌っているのはマリーン役の桑島法子氏。力強く勇ましい曲調のOPとそれと対照的に静かで穏やかな曲調のED。
どちらも歌詞がマリーンの心境をよく表している。




追記・修正は冷凍睡眠から目覚めてからお願いします。


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  • この作品に影響されたのが「マヴラヴ」「進撃の巨人」……だと思う。あとBLUEは後に「Steal Chronicle」(現在サービス終了)のエネミー(鋼鉄虫)のモデルにもなった……と思う -- 名無しさん (2020-09-06 04:10:35)
  • シビアすぎる戦闘と主人公の髪型に目が離せないアニメ。 -- 名無しさん (2020-09-09 08:20:09)
  • スパロボ参戦希望 -- 名無しさん (2020-09-09 09:06:31)
  • 論理感じゃなく倫理的では? -- 名無しさん (2020-09-09 09:38:38)
  • 女のキャラデザがいい。マリーンは今見ても違和感なくかわいい。一方で主人公よ... -- 名無しさん (2023-06-20 00:10:42)

#comment

*1 本来なら他の患者達同様宇宙で目覚める予定だったものの、BLUEの襲撃により地上で目覚めてしまった
*2 マリーンだけがこうではなく、セカンドアースの多くの人間に共通した特徴である
*3 BLUEの巣。本来なら1つ潰すだけでも大規模な作戦を必要とする。
*4 細胞の計画的な死。細胞が際限なく増殖するのを防ぐため、一定量以上に増えすぎた細胞が自滅するようにあらかじめ定められているとされている
*5 死因はそれぞれキース:BLUEと交戦して戦死、ミニー:トラックが瓦礫に乗り上げ急発進した際バランスを崩し後頭部を強打、レッド:急発進した際顔面から窓ガラスに突っ込む、マルコム:戦闘中の僚機に潰されると、いずれも悲惨かつ呆気なく死んでいる。

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