登録日:2018/10/26 Fri 18:29:30
更新日:2024/03/26 Tue 11:23:18NEW!
所要時間:約 5 分で読めます
▽タグ一覧
インド神話 ヒンドゥー ラーマーヤナ 羅刹 アニヲタ悪魔シリーズ 魔王 ラーヴァナ 羅刹王 ラクシャーサ ブラフマー被害者の会 神には無敵だが人間には負ける
■ラーヴァナ(羅刹王)
『ラーヴァナ(Rāvaṇa)』はインド神話に登場するラクシャーサの王。
十の頭と二十の腕に山の様な巨体を誇り、創造神ブラフマーとシヴァからの祝福により強大な力を得た、インド神話でも特に高名な魔王である。
因みに、十の頭と二十の腕は生まれつきなので気にしないように。
『ラーマーヤナ』に於ける最大の悪役であり、主人公であるラーマ王子と、ハヌマーンと敵対したばかりか、騙し討ちの様な手段も含むはいえ多くの神々を打倒し奴隷とした。
創造神ブラフマーから見ると孫の一人となり、ヴィシュヴェーシュヴァラと呼ばれる父神と、ラクシャーサのマーリンの子であるという。
また、彼の妻は死の神ヤマの娘であるマンドーダリー*1で、両者の間に生まれたのが魔術に長けたメーガナーダ(インドラジット)である。
【神話での活躍】
かつて、傲慢な振る舞いによりインドからランカー島(スリランカ)へと追放されたラクシャーサ達に生まれた強大な王。
弟にクンバルカナ、ヴィビーシャナ、カラが、妹にシュールパナカーが居り、後には良心的なヴィビーシャナ以外の弟と妹も兄の軍勢に加わり神々と戦った。
中でも末妹である羅刹女のシュールパナカーは今回の物語については一方的に非があったとは言えないまでも邪悪な性分で、ラーマ王子に妻帯者であることを理由にフラれ、次いでラーマ王子より異母弟で従者のラクシュマナと結婚しろと言われてラクシュマナの下へ。
しかし、ラクシュマナはシュールパナカーが醜い容貌であったこともありからかい、家来の自分と結婚するやりはやっぱりラーマと結婚すべきだと言うと、シュールパナカーはこれを本気にし、ラーマ王子を一人身にする為にシーター妃を殺そうとするが、王子に取り押さえられるとそもそもの原因のラクシュマナに鼻と耳を切り落とされ恨みでシーター妃をラーヴァナに奪わせ、争いの発端とラーヴァナの破滅の原因となった悪女である。
夜叉王クベーラとは異母兄弟に当たるが仲は最悪で、特にラーヴァナ側から異母弟を嫌っており、
戦争を仕掛けた末に勝利し、元はクベーラの領地であったランカー島とヴィマーナ(飛行要塞)のプシュパカ・ラタを父神の仲裁の下で正式に略奪している。
これにより、元は共にクベーラの配下であったヤクシャとラクシャーサの内、ラクシャーサはラーヴァナの支配下に置かれるようになった。
こうした戦いを始める以前、ラクシャーサ族の再興を誓ったラーヴァナは自分の頭を一つずつ切り落としては火に焼べるという凄まじい苦行を行っており、最後の一つになった所でブラフマーが顕れた。
この時にブラフマーより神々に負けないという、とんでもない祝福というかチートコードというか……を授けられることになり、その力を使って神々への挑戦を開始した。
※或いは、不死の肉体を得ようとしたとか、食人の性から断られた為に自ら霊薬アムリタを奪って不死身になったとも言われる。
この苦行にはクンバルカナとヴィビーシャナも付き合っていたが、正義を誓ったヴィビーシャナに対し、クンバルカナは持って生まれた大食と暴虐の性分故に九ヶ月に一日しか目覚めない呪いを神々よりかけられている。
また、ラーヴァナが振るうチャンドラ・ハース(月の刃、或いは月の笑み)は、ラーヴァナがシヴァの棲むカイラース(ヒマラヤ)を揺らして罰せられた後に、苦行を経て許されて頂戴した剣(三日月刀)であるという。
……このように、ラーヴァナの力の拡大の根幹には敵対している側の神々からの援助が(望まぬ形であっても)あり、
中でも創造主であるブラフマーの祝福は厄介で、ラーヴァナが黄泉の国に渡り死の神ヤマと対峙した時にさえ、ラーヴァナの身を死に委ねさせることさえさせなかった。
不死を得て以来、強大な力を手にしたラーヴァナは、自分を越える千の腕を持つ人間(特にクシャトリヤ階級)の王であるカールタヴィーリヤ・アルジュナ*2には破れたものの*3、それ以外は基本的に無敗で、インドラの庶子である邪悪な猿王バリ(ヴァーリン)と同盟を結び、
現世のありとあらゆる悦楽を貪り、共有することを誓うと、羅刹と猿の軍団はラーマ王子の居るアヨーディヤーを荒廃させた。
こうして、前述の通りに妹にそそのかされて王子の愛するシーター妃を拐ったことが戦いの始まりとなるが、
同時にこれが、神々を脅かし三界の栄華を極めていた羅刹王の破滅の始まりともなった。
シーター妃の前世は、ヴェダヴァティーという娘であり、ヴィシュヌに嫁ぐことだけを願っていた彼女は、彼女の美しさに目を奪われたラーヴァナが執拗に迫る中で自らを火に投じ、ラーヴァナを呪いながら死んでおり、
今回の人生にてヴィシュヌの化身であるラーマ王子の妃となっていたのである。
そして、ラーマ王子とラクシュマナとして転生したヴィシュヌの目的も神には倒せないラーヴァナを打ち破ることであり、これに神々やその命を受けたヴァナラ(猿)族や、ラーヴァナを見限りラーマ王子の側に付いたヴィビーシャナといった協力者達が現れ、
遂には一対一の決闘の末に、ラーヴァナは解放されたインドラの加護と助言を受けた王子の放った、やブラフマーストラ(ブラフマーの矢)を受けて倒されることになるのであった。
尚、ラーヴァナは呪いによりシーター妃を犯すことは出来なかったとされるが、最終巻では周囲の好奇の噂もあってラーマ王子がシーター妃に貞操の潔白を迫るという展開になっており、ハッピーエンドで終わるものばかりかバッドエンドとなるパターンもあるとのこと。
また、インド側から見るとやりたい放題の魔王であるラーヴァナだが、その実は民には慕われていた王様だったそうで、ラーヴァナの治世では飢える者が居なかった……等とも伝わっている。
【ゲーム等】
昔は『女神転生』シリーズに出る位だったが、後に『GOD EATER』シリーズに名前が採用されたり、『FF14』に出たりと日本でも名前が知られるようになっている。
追記修正は頭を切り落として火に投じて不死身になってからお願いします。
[#include(name=テンプレ2)]
この項目が面白かったなら……\ポチッと/
#vote3(time=600,4)
[#include(name=テンプレ3)]
▷ コメント欄
- なおブラフマー、他にも「あいつめっちゃ修行頑張ったな。よっしゃご褒美に、神にもアスラにも、人にも獣にも、昼でも夜でも、家の中でも外でも、地上でも空中でも、どんな武器でも殺せんようにしたろ!」というチートをなさっている。そして、そんな超耐性もやっぱりヴィシュヌによって破られるのだった。 -- 名無しさん (2018-10-26 19:01:55)
- 耐えてみせよ・・・ -- 名無しさん (2018-10-26 20:41:05)
- ↑2 そう、それと混同してて「あれ、ライオン仮面にKILLされたの誰だったっけ」って検索した。この話より以前のヒラニヤカシプだった。 -- 名無しさん (2018-10-26 21:35:34)
- ブラフマーは修羅も羅刹もディーヴァも関係なく、よく修行する者には加護を与えるって事なのかね? -- 名無しさん (2018-10-26 21:36:40)
- 閻魔様「羅刹王マジ許さんし あらゆる者を殺す死の杖(梵天謹製)でシメるわ」梵天様「ちょおま、 ラーヴァナが死んでも死の杖が敗れても俺嘘ついたことになるからやめろし」 -- 名無しさん (2018-10-27 06:11:23)
- 神には倒せない存在が人間(ヴィシュヌの化身ではあるが)に敗れるのはギリシャ神話にもあったな。 -- 名無しさん (2018-10-27 07:09:19)
- ↑2 ちょっと違う。ブラフマーは元々、叡智の擬人化みたいなもので土着の神々を取り込んで個性的なキャラになったヴィシュヌやシヴァと違ってキャラが薄いんだ。存在するだけで貴いというのは大きなアドバンテージだけど、新しく信者を増やすのに向いていない。だから恩恵を与えることで信者獲得しようとしてるわけよ -- 名無しさん (2018-10-27 16:40:54)
- ブラフマーと書いて不遇とか不人気とか読む。ヒンドゥー教以前の最高神なのでチートできるのは当然だが、大変慎み深いうえに完璧超人、いや神。能面美人より愛嬌ブスみたいなもんで、すごいことはすごいけどキャラとしてつまらないので人気が出ない -- 名無しさん (2018-10-27 20:42:27)
- ゼウス「少しぐらいはっちゃけた方が人気が出るんやで」 -- 名無しさん (2018-10-27 21:57:11)
- シヴァ「おっそうだな」 -- 名無しさん (2018-10-27 22:02:36)
- YHVH「わかるわー(敬虔な信徒を酷い皮膚病にしながら)」 -- 名無しさん (2018-11-05 12:16:33)
#comment
*2 後に登場するアルジュナとは別人であることを特に注意される。また、ヴィシュヌの化身であるパラシュラーマの父のシャマダグニから聖牛サバラを強奪しようとしたことで怒りを買い、都に攻め入れられてクシャトリヤは滅亡に追い込まれた。
*3 改造コードは神仏には有効だが規格が別の人間には通じなかった模様。
コメント
最新を表示する
NG表示方式
NGID一覧