登録日:2018/02/02 Fri 22:34:05
更新日:2024/02/16 Fri 14:28:35NEW!
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氷山空母とは、第二次世界大戦中にイギリスが計画した変態兵器である。英国面の象徴のような存在(ただし、開発自体はイギリス、アメリカ、カナダの共同開発)。
概要
ナチスの航路破壊に悩まされていたイギリスが考案したトンデモ兵器。
ハボクック(ハバクックとも)計画と呼ばれる計画だけが残されている。
なお名称の「ハボクック」とは旧約聖書の「ハバクク書」の一節にちなんだもである。
第二次大戦序盤、甘く見ていたドイツのUボートは恐るべき復活を遂げていた。
わずか数十隻でスタートした狼の群れは、数々の政治的制約を受けつつも凄まじい戦果を挙げ始め、イギリスの通商路を締め上げにかかった。
それに対して十分な護衛を貼り付けられないイギリスは、大西洋の真ん中にぽっかりと護衛の空白域を作ってしまったのだ。
ここに飛行場を設けられないものか・・・?
折しもジェフリー・パイクという英国紳士が、氷に木材パルプを一定量混ぜたパイクリートという特殊材料を考案した。
熱伝導性が低くて溶けにくく、パルプ繊維によって強度が増したこの材料を使えば巨大な氷山空母が作れると考えたのだ。*1
こいつがどれだけ頑丈なのかって?あの、硬い硬いと有名なあずきバーを想像してもらえば分かるだろう。
アイスクリームの中に小豆あんという「パルプ」が入ったあずきバー、あれがちょうどパイクリートと似たようなブツとなっているのだ。
その強度たるや、傷の付けづらさに至っては瞬間的にだがサファイアをも超えたという結果すら出している。
そのサイズは全長約600m、全幅100m、排水量200万トン。外付けされた26基のモーターで動く超弩級の巨大空母であり、完成の暁には150機もの航空機を搭載することになっていた。
このサイズになるともう空母というよりは移動可能な洋上基地と呼んだ方が妥当かも知れない。
特性
- ''基本的には際限なく巨大化が図れる''
- 鉄骨の骨組みをベースに、氷塊を接続していくだけなので、その気になればいくらでも巨大化できる。
- 運用する飛行機に制限がない
- 空母と言うより飛行場なので、通常の陸上機が運用できる。
- 周囲の水を材料にいくらでも修復可能
- 多少の損害なら、現地であっという間に直してしまえるこの利便性は他の戦艦・空母と比べた場合非常に大きい。
- パイクリートは溶けにくく、強い材料なので、断熱さえきちんと処理すれば艦内では快適な居住空間を確保できる。さすがに甲板上は氷点下だが。
しかし・・・
- 高コスト
- 当初は自然の氷を使う予定だったのが、特殊な氷を使うことになったため、コストが大幅に悪化。
なにより
- 甲板が低い
- コップの中の氷を観察すればわかるが、実は水面上に出ているのはほんのごく一部。ほぼ海面すれすれの高さだったのだ。
- 試験的に作ってみたミニチュアモデルでこの一大欠点が発覚。あまりにも飛行場として使いにくいことが判明したのである。
決定的だったのは護衛戦力の充実。
アメリカの参戦により大量の護衛空母が提供されたイギリスは、大西洋の空白域を埋めることができたのだ。
こうなると使いにくくて高コストの氷山空母なんてまったく意味がなくなり、計画は(文字通り)凍結されたのである。
とはいえ、そのあまりにもロマンあふれる設計も相まって、現在でもフィクションでは度々登場する兵器である。
関連項目
氷山空母がモデルのポケモン。驚異の耐久力と回復技「じこさいせい」で氷山空母らしさを再現している。
追記・修正は空母が溶けないうちにお願いします。
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▷ コメント欄
- クレベース、しっかりなみのりまで覚えるし空母に例えられてるし本当にハボクックがモチーフなのがわかりやすい -- 名無しさん (2018-02-02 22:47:21)
- ゴルゴ13では水不足を解消するために氷山を運ぶって話があったが、推進装置と冷却装置が一体化した構造で成功しそうに見えたけどゴルゴの狙撃で破壊されたな -- 名無しさん (2018-02-03 00:10:46)
- マスターキートンで出てたやつか -- 名無しさん (2018-02-03 02:17:59)
- 藤子不二雄の無人星漂着の作品で「穴の開いた宇宙船を氷山に埋めて地球に帰ろう!反重力エンジンだから重くても飛べるし宇宙で氷は溶けないから大丈夫!」ってオチがあったの思い出した -- 名無しさん (2018-02-03 08:29:35)
- ↑本当に、その方法で、他星系への脱出を成し遂げたアーレ・ハイネセンすげぇ!! -- 名無しさん (2018-02-03 15:58:20)
- クレベースもだけど、もしバラックシップやアイアンロックスみたいなAI搭載の無人軍艦だったら「海の水を凍らせて無限に再生」っていうボス級の強さになりそうな気がする…そういう氷山空母が登場する作品ってないかな -- 名無しさん (2018-02-03 18:32:23)
- いくらパルプを充填した氷といえども、常温の海水に浸され続ければ溶けてしまうのでは? -- 名無しさん (2018-02-04 08:29:08)
- ↑↑鋼鉄の咆哮の超巨大氷山空母ハボクック -- 名無しさん (2018-02-04 10:20:05)
- ↑2 そのくらいは冷却装置でなんとでもなる。ハボクックが配備される海域はそれほど水温が高いエリアじゃないってのもある。 -- 名無しさん (2018-02-04 11:38:28)
- 冷却装置を動かすためにボイラーで重油をボンボカ燃やさなければいけないというシュールさよ -- 名無しさん (2018-04-15 21:25:02)
- ↑冷却装置の排熱を館内暖房に回せないもんだろうか -- 名無しさん (2018-06-15 14:00:20)
- パイクリートを建築材につかったり戦車の増加装甲に使うネタなら見たことある -- 名無しさん (2018-10-01 10:38:00)
- あまりに突飛すぎて「氷山空母を撃沈せよ」以外には架空戦記でさえ出せないシロモノ -- 名無しさん (2018-10-01 14:05:48)
- 銀河英雄伝説で似た様なことがあるけどあれのモトネタかな? -- 名無しさん (2019-03-17 06:10:03)
- ↑2 確かもう一つ、割と活躍させた仮想戦記があった。タイトル失念。 -- 名無しさん (2023-09-03 21:20:55)
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