登録日:2017/01/30 (月曜日) 13:20:00
更新日:2024/02/02 Fri 11:14:19NEW!
所要時間:約 10 分で読めます
▽タグ一覧
ボードゲーム マット・リーコック パンデミック z-man ホビージャパン シーズン1 レガシーシステム ロブ・ダヴィオー
君たちが救う/滅ぶのは、君たちだけの世界だ!
概要
パンデミック:レガシー シーズン1は2015年に発売された協力型ゲーム。日本語訳はホビージャパンから発売されている。「赤箱」「青箱」と呼ばれる二種類のデザインのパッケージがあるが、内容物は同じ。
デザイナーはマット・リーコックとロブ・ダヴィオー。
発売されるや否や大いに話題を呼び、その後も「レガシー型」とも呼ぶべきタイプのゲームが出てくるなど、ボードゲーム界に一石を投じた傑作である。
どんなゲームか、の前に
パンデミック:レガシーの元となったゲームは2つある。
一つはパンデミックであり、病原体に対する人類の戦いを描いたこのゲームは発売から10年近く経つ今もなお協力型ゲームのスタンダードとも言うべき人気作である。
そしてもう一つ、ロブ・ダヴィオーが世に送り出していた作品がリスク:レガシーである。
1950年代に作られた最早古典ゲームと呼んで差し支えないウォーゲーム、「リスク」。ルールやコンポーネントの改訂を重ねながら出版されていたそのゲームに対し、劇的な変化をもたらすセットとして一部で衝撃を呼んだのがこの「リスク・レガシー」であった。
その最大の特徴は「ゲームに不可逆な変化がもたらされること」。例えば、ある場所に防衛基地を建てたとする。普通のゲームなら駒を置いてそれを表す。そうすれば駒を取り除けばその状態をリセットできるからだ。だが、リスク:レガシーではそれをシールを貼ることによって表現することにした。もちろんわざわざこうすることには意味がある。リスク:レガシーにおいては次のゲームは前のゲームの次の時代の話である。次の時代になっても、「建てられた防衛基地」はそのままなのだ。
「変化した状況を引き継いで次のゲームを始める」というキャンペーン形式をゲームのコンポーネントに対して直接シールを貼る、などの大胆な手法で実現し、それ以外にも「X回目のゲームで初めて開封され、ゲームに使用されるカード」など、全15回のプレイ(そしてリスク:レガシーとして遊べるのはその15回だけである)に対し常に新鮮さと驚きを提供する仕組みが備わったゲームであった。
つまりはパンデミック:レガシーって
「パンデミック」と「リスク:レガシー」のハイブリッド。それが「パンデミック:レガシー」である。
プレイヤーたちは「人類史上最悪の一年」を経験することになる。都合12~24回のプレイを通じ、常に変化していく盤面、初回ゲーム時は隠されたコンポーネントから指示によって現れる新たな状況……従来のボードゲームにはなかった、「新たな体験」を提供してくれるゲーム、それがこのゲームなのだ。
1~7の数字もしくはsmallなどで指定してください。
ここから先は「パンデミック:レガシー」に関する、初回プレイ前までに分かる範囲でのネタバレが含まれている。
ネタバレに同意した上で、レガシーカードをめくって裏面を読み上げること。
レガシーカードをめくる
箱を開けると、真っ先に目に飛び込んでくる「最高機密」と書かれた赤いファイル。否応なく期待を高めることになるだろう。
さて、「パンデミック:レガシー」はなんだかんだ言って基本は「パンデミック」なので基本的なルールは変わらない……のだが、それにしてはコンポーネントに色々おかしなものがあるし、またゲームの性質の都合上微妙に改変されている部分もある。そうした要点を押さえながら「パンデミック:レガシー」のルールを説明していきたい。
コンポーネント
- ゲームボード
- 病原体コマ(4色×24個)
- 感染率マーカー
- アウトブレイクマーカー
- 治療薬コマ(4個)
- 調査基地コマ(6個)
- 感染カード(48枚)
- 都市カード(48枚)
- スペシャルイベントカード(8枚)
- エピデミックカード(5枚)
まあいつも通りのパンデミックのセットである。ゲームボードが普通よりも大きく、病原体のマークのところに謎のでかいスペースがあったり他にも色々妙なことが書いてあることは今は目を瞑る。
- プレイヤーコマ(4個)
- アクションカード(4枚)
プレイヤーのコマだが、従来は「職業に対応した色のポーンが職業ごとにある」のに対し、こっちはプレイヤー分しかない。
アクションカードというのはいわゆるルールサマリーのカードなのだがこれにも色がついており、どのプレイヤーのコマかはプレイヤーの手元にあるアクションカードで見分けるようになっている。
- キャラクターシート(5枚:科学者、研究員、通信司令員、衛生兵、ゼネラリスト)
- 民間人カード(4枚)
職業はカードではなくカードの倍の大きさのシートになっている。従来の能力に加え、「人間関係」「アップグレード」「傷跡」という意味深な欄がある。
民間人カードはポーンやアクションカードと同じ色がある、何の能力も持たない職業カード。なぜこいつが必要かは後で。
- リマインダートークン
紫色をしており「!」と書かれた、ゲーム中に特定のことに意識を向けさせるために使われるトークン。これ自体は特別なものではないが、こんなものが必要という辺りに期待と不安がよぎる。
- 説明書
え、当たり前じゃないかって? まあそうなのだが、パンデミック:レガシーの説明書はただの説明書ではない。明らかに抜けている部分があるのだ。つまり、ゲーム進行によってルールが追加されていくことを示している。
- シールシート
さあ、怪しくなってきた。
箱とほぼ同じ大きさのシールシートが1枚入っている。(全体の大きさが箱と同じと言うだけで、個別のシールは全然小さいが)
先述のように、これらのシールはゲームの進行に伴い、ボードやキャラクターシートに貼られていくことになる。
- レガシーデッキ
パンデミック:レガシーのキーその1。
カードの束ではあるが、実態としてはシナリオブックである。ゲームを進めて行きながら、指示されたタイミングでカードをめくり、裏面の指示に従っていくことになる。これによってゲームに変化と驚きがもたらされるのだ。
- 機密文書
パンデミック:レガシーのキーその2。
箱を開けて真っ先に目に入るアレである。基本レガシーデッキの指示によって開けられる。
- シークレットボックス(8個)
パンデミック:レガシーのキーその3。
ゲームボードをどけた下にある、①~⑧までの番号が振られた黒い小箱。
これまたゲームの進行に応じて指示された時に開けることになる。
セットアップからゲーム開始まで
パンデミック:レガシーは12回から24回のプレイで完結する。
最初のプレイは「1月上旬」「資金レベル:4」で始めることになる。
その回のゲームで勝利できた場合、次の月に移る。敗北した場合は下旬に移り、下旬の場合は勝敗に関わらず次の月に移ることになる。
まず、月の初めにはレガシーデッキをめくる。(大体、一番上にあるレガシーカードにそういう指示が書いてあるはずである)
そして書いてある文章を読み上げ、指示に従って変更を加える。
その後、目的カードをボード上の目的欄に並べる。この時、破棄していない目的カードは全て並べる。
この並べられた目的カードのうち、「必須」とあるものを含む指定された数の目的を達成すれば勝利となる。(数の指定はボード上に示されている)
敗北条件は通常のゲームと同じ。
次に、初期の建造物を建てられる場所全てに置き、通常のセットアップと同様に感染カードをめくって病原体コマを配置する。
その後、資金レベルと同じ枚数まで(最初は4枚)のスペシャルカードを選んで都市カードと混ぜ、プレイヤーに所定の枚数を配る。ランダムではなく、プレイヤーの意思で入れるカードを選べること、入れる枚数は資金レベル次第であることに注意。
プレイヤーは配られたカードを公開する。パンデミック:レガシーでは手札は原則公開してプレイする。
残りのカードを5つの山に分け、それぞれにエピデミックカードを1枚ずつ入れてシャッフルし、積み重ねる。まあこれも普段通りの手順。
プレイヤーはそれぞれキャラクターシートを1枚選ぶ。このタイミングで自分で選べることに注意。
もしそのキャラクターに名前がついていない(まだゲーム中1度も使ったことがない)場合、名前をつけよう。
その後、どこの調査基地からスタートするか選ぶ。調査基地が複数建っていればどこからスタートしても構わないが、プレイヤーは全員同じ調査基地からスタートすること。
もし調査基地が一つもない場合は、アトランタの廃墟からスタートする。(え、そんなことあるんかって? あり得るんだよ……)
スタートプレイヤーをランダムで選び、ゲームを始める。
プレイ中の追加ルール&通常ルールからの変更点
- 「調査基地の建設」が「建造物の建設」になっている。
基本的なルールは変わらないが、建てられるものが「調査基地」から「その時点で建てられる建造物」になっている。まあ最初は調査基地だけなのだが。
また、調査基地はパニックレベル2以上の都市には建てられない。
- アウトブレイクの影響
アウトブレイクが起きた場合、その都市のパニックレベルが1上昇する。都市のパニックレベルはシールを貼ることによって記録し、下がることはない。
パニックレベルによって以下のような影響がある。
1(不安定):特に影響なし
2・3(暴動):調査基地が破壊される。調査基地を恒久化(後述)していても、それは取り消される。都市の出入りに直行便とチャーター便を使うことはできない。
4(衰退):都市に「自動車や船での移動」で出入りする場合、都市と同色のカードを1枚捨てなければならない。
5(壊滅):5になった時点でその都市にPCがいた場合、そのPCは死亡する。キャラクターシートを破り捨てること。都市に「自動車や船での移動」で出入りする場合、都市と同色のカードを2枚捨てなければならない。
また、アウトブレイクが起きた都市にPCがいた場合、そのPCは「傷跡」を一つ受け取る。手札の上限が減ったり移動に制限がかかったり、色々ろくでもないことが起きる。また、傷跡の欄が埋まっている状態で更に傷跡を受け取ることになった場合、そのPCは死亡する。
- PCの死亡
そのキャラクターシートは破棄する。もうそのゲームで使うことはできない。
プレイヤーは代わりに自分の色の「民間人カード」を受け取り、その回のプレイを継続する。
総じてアウトブレイクの影響がより壊滅的になっていることが目につく。より気を付けて立ち回らなければならない。
ゲーム終了後の処理
- ゲームに勝利した場合
次回のプレイは次の月の上旬になる。
資金レベルを2下げる。
- ゲームに敗北した場合
上旬であれば、次回のプレイは今の月の下旬になる。下旬であれば、次の月の上旬になる。
資金レベルを2上げる。
- アップグレードの獲得
ゲームの勝敗に関わらず、以下の中からアップグレードを2つ受け取れる。これは同じ種類を2回選んでも構わない。
- キャラクターのアップグレード:その回に参加していたキャラクターに、アップグレードを1つつける。上書きしても構わない。
- 資金不要のイベントカードの追加:都市カードにシールを貼り、イベントカードとしても扱えるようにする。このカードはゲーム開始時に選ぶスペシャルイベントカードの上限に含めない。
- 調査基地の恒久化:ゲーム終了時に調査基地がある都市を選び、そのそばにシールを貼ることによって調査基地を恒久化する。次回以降のゲーム開始時、その都市には最初から調査基地があるようになる。
- 病原体の良性変異:根絶した病原体に対し、良性変異を起こすことができる。ボード上の当該病原体の個所にシールを貼って示す。1から順番に選ぶこと。
別に敗北したってアップグレードは貰えることに注意。
これによって味方を強化していき、より困難な状況に対処していくことになる。
1~7の数字もしくはsmallなどで指定してください。
ここから先は自分で「パンデミック:レガシー」をプレイして確かめること。
追記、修正をよろしくお願いします。
[#include(name=テンプレ2)]
この項目が面白かったなら……\ポチッと/
#vote3(time=600,1)
[#include(name=テンプレ3)]
▷ コメント欄
#comment
コメント
最新を表示する
NG表示方式
NGID一覧