テーベ(ボードゲーム)

ページ名:テーベ_ボードゲーム_

登録日:2016/10/14 (金曜日) 10:29:00
更新日:2024/01/29 Mon 11:03:39NEW!
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テーベ テーベの東 ボードゲーム 考古学 ペーター・プリンツ queen games アークライト ドイツゲーム



考古学とは事実の探求であり真理ではない――インディ・ジョーンズ


テーベ(Jenseits von Thenen)は20世紀初頭における考古学シーンを背景としたボードゲーム。
デザイナーはペーター・プリンツ。日本でも一度「テーベの東」というタイトルで日本語化されたものが発売されており、近年アークライトから完全日本語版として「テーベ」というタイトルで再販された。ちなみに原題は「テーベの彼方」くらいの意味。


プレイヤーは20世紀初頭の考古学者となり、自身の名声(=勝利点)を確立することを目指す。……そう、「名声を確立」。なんとなく設定から素晴らしい発掘品を見つけることがゲームの勝利条件のように思えるが(そしてそれは必ずしも間違ってはいないが)、このゲームにおいて勝利する方法はそれだけではないのである。


プレイ期間はゲーム中の2~3年(プレイ人数によって変動)で、1週間を最低単位として行動する。ボードはヨーロッパから中近東までの地図となっており、ここを移動しながら各種アクションをこなしていく。
このゲームの特徴として「プレイヤーが何らかのアクションを起こすと、そのプレイヤーだけ時間が経過する」「経過時間が最も短いものが次のプレイヤーとなる」というものがある。その為、必要時間の多いアクションを取ると、延々他のプレイヤーが行動を終えるのを待たねばならず、結果として変化した状況についていけなかったり、なんてことも。
基本的なスタンスとしては「ヨーロッパで各種文明への知識を深め、発掘の為の準備を整えながら最終的に現地で発掘を行う」ことになる。発掘対象となる文明はギリシャ、クレタ、エジプト、パレスチナ、メソポタミアの5つ。
発掘作業においては専用のチャート(円盤型)を用い、「自分のその文明に対する知識」と「実際に発掘にかける時間」で、どれだけ発掘作業が進むかが決まる。当然知識が多いほど同じ発掘期間で多くを発掘できるが、先にも書いたようにプレイ期間は決まっているため、掛けられる時間には自ずと限界がある。だが、遺跡の有る地域を管理している政府は1年に1回しか発掘を許可してくれない。どれだけ時間を掛けるかは悩みどころ。
また、発掘作業は当然の如く運が絡む。具体的にいうと、「文明毎に用意された袋から、チャートで決定した個数だけチップを引く)という形で行われる。もちろん中には発掘品や、他文明についての知識(例えばエジプトで発掘するとパレスチナの知識が手に入ったりする)も有るのだが、当然の如く「ハズレ」も含まれている。そして厄介なことに、この「ハズレ」は発掘作業が終わったら袋に戻すのである。結果、後から発掘するプレイヤー程「ハズレ」の割合が上がっていくことになる。十分な準備を整えてから発掘に臨むか、それとも準備が不十分でも他者に先んじるか。ここにもまた駆け引きが生じる。


さて、素晴らしい発掘品(ツタンカーメンのマスクやら死海写本やら)を見つければそれだけで名声が高まるのだが、名声を得る方法はそれだけではない。それほど価値の無い発掘品でも、集めて「展覧会」を開けばやはり名声は得られる。また、ある分野の第一人者(=特定の文明について一番知識が多い)であったり、また講演会を多く開くだけでも名声は得られるのである。どの方法で名声を稼ぐか、これもまた見極めが必要となる。


◆ルール◆
各プレイヤーは発掘チャートと文明毎に1枚ずつの発掘許可証を持ち、自分のコマをスタート地点であるワルシャワにおいてゲームを始める。別途時間を表すコマのうち黒いものを1901年の位置に(4人プレイなら1902年)、各プレイヤーの色のコマを1の隣の何も書いていない位置に(3人プレイなら27の位置に)置く。学者カードはシャッフルした後三つ山札を作り展示会系カードを後から使う2山、3山目に仕込み展示会系カードの入ってない最初の山札から学者カードを4枚ボート上に公開する。また、各文明の発掘現場に1点の発掘品を1個ずつ置く。
スタート時はプレイヤー間での取り決めた順番でコマを動かすが以降は時間コマの位置を見て、最も後ろに有る(=時間が経過していない)プレイヤーからプレイする。一番後ろで複数のコマが積み重なっている場合は、一番上のコマのプレイヤーがプレイする。
各プレイヤーは手番毎に以下のいずれかを行える。


1:都市で学者カードを獲得する
2:ワルシャワで1週を費やし、場にある学者カードを入れ替える
3:発掘現場で発掘を行う
4:都市で展示を行う(展示カードを獲得する)


移動と現場で費やした時間の合計だけ自分の時間コマを進め、次のプレイヤーの番となる。なお、もし手番を行ったプレイヤーの時間コマが相変わらず最後尾である場合は、当然そのプレイヤーが連続してプレイできる。


学者カードには以下の様な種類がある。なお、全てのカードの上部には都市名と数字が書かれており、これは「当該の都市で、書かれている数字分の時間を使った場合、このカードを取得できる」ということである。
例えば、ゲーム開始時に「モスクワ:2」と書かれたカードがあった場合、まずワルシャワからモスクワに1週間掛けて移動し(移動は都市を1つ移動する毎に1週経過。ワルシャワ=モスクワは経由する都市がないので1週でOK)さらに2週を費やす事によってそのカードを取ることができる。


専門知識カード
各文明についての専門知識を表す。それぞれの文明の色の本(1-3冊)として示される。各文明の遺跡の発掘の際に力を発揮し、またゲーム終了時に文明毎に一番専門知識を持っている人はボーナスの勝利点を貰える。
一般知識カード
広く汎用的な知識を表す。白紙の開かれた本(1-2冊)として示される。発掘の際にはどの文明であっても専門知識に加算して使用できる。強力なのだがその分取得に時間が掛かる上、「専門知識を越えては加算できない」というルールがある。(例:エジプト4、クレタ3、パレスチナ2、一般知識3を持っているプレイヤーがいる。エジプトの発掘時は専門知識4+一般知識3で7、クレタの発掘時は3+3で6の知識を持っているとして発掘ができる。しかし、パレスチナの場合は専門知識の2を超えて一般知識を加算できないため、2+2=4の知識を持っているとしての発掘となる)また、ゲーム終了時の専門知識によるボーナス判定時も当然加算はできない。
伝承知識カード
それぞれの文明の色の服を着た現地人として描かれる。発掘時に専門知識カードと同等に扱われる(一般知識の加算上限にも影響する)が、一回発掘を行ったら使い捨て。
移動カード
自動車と飛行船がある。自動車は3週間以上の移動を行う場合、所要時間を-1週でき、ずっと有効。飛行船は1度だけ移動時間を0にできるが、使い捨て。飛行機? そんなものありませんよ、ファンタジーやメルヘンじゃあるまいし……。
発掘補助カード
助手とスコップがある。それぞれ「発掘時の知識に+1」「発掘時の発掘数に+1」してくれるが、使い捨て。ただし、同じカードを2つ揃えると使い捨てではなく恒久的に効果を発揮する様になり、3つ揃えると補正が+2になる。中々に強力。
発掘許可証カード
各文明の遺跡は、プレイヤー毎に1年に1回しか発掘できない。しかし、このカードを使えば1か所だけもう一度発掘することができる。正直影が薄い。
講演会カード
獲得するだけで勝利点となるカード。1枚だけなら1点だが、2枚で3点、3枚で6点……とどんどん膨れ上がっていく。一人がほぼ独占状態になると、これだけでゲームの勝敗がひっくり返ることも。
展示カード
他のカードと違い、横向きのカード。先述の通り最初の山札からは出ない様になっている。通常公開される4枚とは別な場所に置かれ、都市に行って時間を費やすだけでなく、カード毎に指定された種類と数の発掘品を持っていなければならない。ただその分勝利点もそれなりに高い。またこのカードのみボードに乗せる分に余剰分が発生したら一番古いカードが完全な捨て札となって取り除かれる(ゲームに復帰しない)。

場のカードが気に入らなければ、ワルシャワでリセットしてもよい。場にある学者カードを全て捨て札(ただし山札が尽きたらシャッフルして戻せる)にし、新たに4枚を公開する。なお、同じプレイヤーが連続でリセットを行う場合、ワルシャワで使う時間が2週、3週……と増えていく。リセットしていいカードが出たのに他のプレイヤーの方が先に動けたから取られた? 知ら管。


また、各文明の地に行き、そこで時間を費やす事で発掘を行える。手元のチャート(円盤)をその文明について持っている知識の数に合わせると、何週時間を掛ければ何個発掘できるかが分かるので、ここでかける時間を宣言し、その数だけ袋から中身を見ないでチップを引く。(もし自分がこのゲームで一番最初にその文明の発掘を行う場合、ボード上に置いてある1点の発掘品を発掘とは別にもらえる)
引いた中に発掘品または知識があればそれは自分の発掘した品として手元に置き所持でき、何も描いていないハズレは袋に戻す。(故に後発は往々にしてハズレばかり掴まされる事に……)
そして、対応する文明の発掘許可証を裏返す(裏側には×が書いてある。1年に1回の発掘許可を使ったことを表す)。これは1年が経過した段階で元に戻す。
ちなみに各文明毎の発掘品の総数はサマリーカードで全員が見る事が出来るので大まかな予測は出来る、その為高得点発掘品が無くなった文明は「枯れた」と判断して別な文明を狙う手も取れる。


こうしてプレイを進めていき、全てのプレイヤーが既定の時間を経過した(1903年の52週目になった)段階でゲームは終了し、勝利点を一番多く獲得しているプレイヤーの勝利となる。



評価の高いドイツゲームは運と実力の兼ね合いが優れているが、このゲームもまたそうである。
自分の居る都市から離れた場所で取れる知識カードばかりでてきたり、発掘で7個も8個も引いて全部ハズレだったり。かと思えば一か八かの発掘でピンポイントで高得点のチップを引いたり。そんな運に翻弄されながら、それでいて現状の盤面での最善手を考える楽しみもある。また、発掘の場面は引いたチップで一喜一憂でき非常に盛り上がる。
「発掘」できる発掘品は全て実在の物なので、このゲームのプレイを期にそれらについても少し調べてみても面白いかもしれない。


追記、編集は重要な考古学的発見をしてからお願いします。


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