秘伝防具(MHF‐G)

ページ名:秘伝防具_MHF_G_

登録日:2015/07/10(金) 03:45:11
更新日:2024/01/16 Tue 10:56:56NEW!
所要時間:約 20 分で読めます



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秘伝防具とは、現在はサービス終了したオンラインゲーム『モンスターハンターフロンティアZZ』(MHF-Z)に登場する独自の防具である。
MH4Gで登場した、似たような名前の秘伝スキルとは無関係。


以下はサービス当時の内容が中心なので注意。



概要

HR5(旧HR300)で広場のギルドマスターから秘伝書を取得した後に解禁される、特別な防具。
各武器種に「純白の秘伝防具」「真紅の秘伝防具」の2種類が存在しており、それぞれ現実の宝石の名を冠している。
各武器種ごとにデザインも異なる。


実装当初は公式でG級までの道のりにおける「武器種特化」防具に位置付けられていたが、紆余曲折を経て最終的に「秘伝スキル」という各武器種限定で発動するスキルを、G級の防具精錬システムで抜き出すための実質アイテムという立ち位置になった。
更に言うと、実はこの秘伝防具自体はただの防具に過ぎない。秘伝スキルの存在自体が唯一にして最大の特徴なのだ。


純白、真紅のどちらも無印→F→FXの順に強化が行われる。
ただし、スロットが3つ全て開放されるのはFXの限界強化であるLv7のみ。
完全に性能を発揮するのはFXLv7への強化が大前提となるので注意。
G級ではFX→G→GF→GXと強化することが可能で、FXから強化の際に純白からは「白虎」「玄武」、
真紅からは「朱雀」「青龍」の2種類に派生していく。
GXへの強化、及び精錬した装飾品の受け取り・交換にはGR500以上が条件という厳しい制限が設けられる。


色や派生先に応じて秘伝スキル以外に付属しているスキル群も違う。
共通しているのは、後述の仕様上「斬れ味レベル+1」を発動できる匠のポイントが一切無いことである。



追々解説するが実際のところ、サービス前半における運営のバランス調整の迷走、ユーザー間の分断を象徴した、かなり曰くつきの防具でもある。



秘伝スキル

共通で「(武器種名)技【○○】」と呼称されている。
【】の中身はスキル段階に応じて変わり、下から【達人】【皆伝】【○○(武器種ごとの固有の名称)】になる。
しかし、秘伝スキルとして完成されているのは全部位FXに強化して発動する(=スキルポイントが増えて到達する)最上位スキルだけであり、【達人】で回避距離UPがつくヘビィボウガンを除き【皆伝】以下で運用するメリットはほぼ無いといってもいい。



全武器種共通の効果として、【達人】では剣士は弾かれ無効、ガンナーはヘビィのように武器種に応じた個別効果が発動する。
【皆伝】では攻撃力に直接1.2倍(片手剣、ライト、ヘビィ、弓は1.3倍)の補正がかかるようになる。
これだけでも強力だが、最上位スキルは更に超高級耳栓の効果が付与されて後述の武器種固有の効果も発動するため、最上位こそが実用的となる。
そして、純白&真紅を全部位FXかつLv7まで強化すると「秘伝二重装備」が解禁され、秘伝書メニューの項目から「ON」に設定すると最上位スキルの名称が【大○○】(通称「大秘伝」)に変化。
剣士は斬れ味レベル+1の効果が、ガンナーは攻撃力1.2倍から1.4倍への強烈な上昇補正を得ることができる。



そしてGX秘伝をLv7まで強化することにより、防具自体を装飾品に精錬して秘伝スキルのポイントを抜き出すことが可能。
この装飾品は通称「秘伝珠」とも呼ばれる。以前はプレイヤー間の造語だったが広く浸透したこともあり、後に公式でも用いられた。
他の防具にも秘伝スキルを搭載することが可能になるが、大秘伝効果だけは再現されない。


更に、前述の4色派生それぞれで精錬した秘伝珠を素材に、G級スキルのポイントをサブに備えた「真秘伝珠」も生産可能。
途方もない労力がかかる割に見返りはそれほど無く、徹底したスキル構成を追い求めるやり込みハンター向けと言える。



以下は最上位スキル発動時の効果。



大剣技【剣王】

  • 攻撃をガードした時、今までは斬れ味を消耗していたのが逆にその値の半分回復する
  • 溜め時間短縮
  • 嵐ノ型において、溜め4から溜めすぎて溜め2に落ちてしまうまでの時間が遅くなる
  • ジャストタイミングで攻撃をガードするとスタミナを減少せず、回避でガードキャンセル可能に


太刀技【刀神】

  • 錬気ゲージの消費量半減
  • 錬気ゲージMAXの間だけ業物+2が発動する
  • 気刃状態(ゲージ点滅時)では攻撃力が更に1.1倍上昇する


片手剣技【剣聖】

  • 属性剣晶+3、状態異常剣晶・爆撃剣晶+2が常時発動
  • 抜刀時の移動速度上昇(納刀時のダッシュと同じぐらい)


双剣技【双龍】

  • 鬼人化、真鬼人開放中にモンスターへ攻撃を当てるとスタミナが3回複する


槌技【鈍器獣】

  • 溜め攻撃を溜まった瞬間(一番強く光ったとき)に繰り出した際、その攻撃及びコンボの攻撃力が更に1.3倍される


狩猟笛技【奏帝】

  • 演奏の効果が決まるまでの時間が早くなる


槍技【天槍】

  • ステップ最大回数+1
  • ガード時に全ての削りダメージ無効化
  • 連続突きにおいて最後の一発のダメージが増加


銃槍技【砲皇】

  • 竜撃砲、爆竜轟砲、ヒートブレード使用後の冷却時間が半分になる
  • ヒートブレードが展開するまでの時間が3秒に短縮
  • 装填数UP


穿龍棍【穿凰】

  • コンボゲージの段階が+1される(=攻撃力補正が1.3倍に引き上げ)


軽銃技【銃傑】

  • 片手剣のように武器を出したままアイテム使用が可能に
  • ジャストショット*1の強化版、パーフェクトショットが使用可能に


重銃技【銃仙】

  • 排熱、属性弾ダメージ1.2倍
  • ボウガンで直接殴った時にスタン値が付与される
  • 徹甲榴弾のスタン値増加
  • 圧縮リロード*2の強化版、パーフェクト圧縮リロードが使用可能に


弓技【弓鬼】

  • 強撃ビンの威力上昇
  • 溜め2の時点で曲射が使用可能に


剣斧技【斬将】

  • 型ごとの特定行動成功で攻撃力が一定時間上昇
  • 地…変形攻撃、天…剣攻撃、嵐…ガード
  • 振り回し時のスタミナ消費半減
  • 斧モードの攻撃ヒットでスラッシュゲージ回復量が増加*3、消費量が減少


磁斬鎚技【磁星】

  • モンスターに当てた磁界弾が時間経過で消滅しなくなる
  • 移動速度アップ
  • 磁力ゲージを使う回避行動に成功すると、一定時間のあいだ攻撃力&磁力ゲージ自然回復速度アップ


作成・強化

生産と強化にはHCクエストの確定報酬か、マイガーデンのグーク鍋でHC素材を煮込んだ時に変化して出る「武器魂」を使用する。
ただし入手効率では前者の方が遥かに良い。鍋は補助程度。
後は一部位につきHC素材を1個用いる。


武器魂にはHCクエストのランクに応じ、序(下位)・中(上位)・極(凄腕)・天(剛種)の4種類がある。
基本的に1クエ1個だが、「ギルド優先依頼」システムでその日の優先依頼対象に選ばれたモンスターは3個に増える。



そして、生産からFXへの強化に至るまで呆れるほど膨大な数の武器魂を要求されるのが秘伝防具最大の特徴である。
序~天をひっくるめた合計量は一式で3200個
更に前述の大秘伝を発動させる場合、単純に倍増しするので6400個
誰の目から見ても完全にトチ狂った数である。
G級秘伝防具では変わって「武器緩」、最高位のGX秘伝防具はGR500以降で入手可能な「武器勲」が必要となる。
いずれも序・中・極の3種類で、クエストの難易度(★の数)に応じて入手できるものが異なる。
前者は従来通りHCのG級クエストで手に入り、後者は逆に非HCのG級クエストで手に入るがG級版ギルド優先依頼の対象になっていない。
G秘伝からGX秘伝までにかかる緩・勲の合計量は2950個と幾分かマシに見えるが、実際は事あるごとにモンスターの稀少な素材をふんだんに使いまくるため
非G級以上に強化難易度がぶっちぎりで高くなっている。



ギルド優先依頼や、場合によっては課金オプションの秘伝書コース(武器魂が+2個)も活用しなければ精神衛生的にも辛い。
たったの1武器種でこれだけの必要量に達するのだから、全武器種の秘伝防具を作ろうと思ったら冗談抜きで途方もない時間と労力を費やす事になる。
13武器種分の武器魂・緩・勲×4色派生、そこに真秘伝珠の分を倍増し……想像したくもない。




ゲーム内での扱い

既にお察しかと思うが、最終的には作れるようになった時期から作成するメリットも、防具として使うメリットも完全に無い。
何故ならわざわざ作らなくても、ハンターライフコースの加入特典で秘伝珠がすぐ貰えるようになったからというのが大きな理由。
具体的には、30日分につき5枚の調合屋交換券が総合受付で貰うことができ、
G級秘伝防具の解禁されるGR500時点から、調合屋で1枚につき任意の秘伝珠を1個交換できる。
このハンターライフコースはMHFを遊ぶ上での基本料金であり、実質タダで手に入るも同然なのだ。


防具自体も、秘伝スキルの効果はともかく付随するスキル群もサービスが進むにつれて陳腐化しきった上、武器魂の要求総数から来る気の遠くなるような作業工程が全てを台無しにしてしまっている。
3200個ないし6400個もちまちま収集する時間があれば、その時間を他にしたいことに余裕で回せるからだ。
G級では更に肩身が狭くなり、GX段階であってもG級防具中もっとも防御力が低くなる。
これなら素直に他の防具を使った方が楽だし、GR200時点で登場する辿異種の防具は、生産直後の時点から秘伝防具より遥かに実用的であり、秘伝スキルという唯一の強み以外は全てにおいて完敗。
こんな有様なので防具として使う利点がどこにもない。仮に作るにしても、精錬一択と言われる理由の大部分はこれが大きい。



要するに「防具として使う必要なし」という評価に落ち着いたのである。
単に秘伝スキルを発動したいだけなら、G10.1以降に実装された「祈歌武器」が条件限定で秘伝スキルを自動発動スキルとして備えているため、そちらを使うのがよい。
何より多数の新スキル、武具が登場し、簡単に秘伝並かそれ以上の火力を出せるようになったサービス後期~末期になると、秘伝スキル自体も昔ほどの希少性・唯一性は無く、スキル共々単に「発動難度が高いが、高みを目指すうえで選択肢に入る火力スキルの一つ」という認識が浸透していた。



…さて。


ここまで読んでもらって、この特殊性や扱いに疑問を持つかも知れない。
特に、防具なのにどうして防具らしからぬ用途なのか、と。


これは概要でも述べたが、元を辿ると、過去に秘伝防具がMHFにシャレにならない大問題を引き起こしたことに発端があり、
MHFそのものを揺るがしかねない混乱を引き起こした挙句、上記の「防具として使わない防具」の扱いに落ち着いたのである。



秘伝防具の歴史と変化

全体的にかなり長いのでそれぞれ折り畳む。
上から順に読んだ方が分かりやすい。


シーズン9.0~

秘伝防具が世に誕生したのはシーズン9.0*4であり、スタイル変更でモーションが増える「秘伝書システム」の頂点と宣伝されていた。



ところがどっこい、肝心の性能はというと

  • 超高級耳栓効果が無い
  • 攻撃力補正が1.1倍程度

などなど非常にしょっぱいスペックで、殆どのハンター達から総スカンを食らってしまう。
作成で必要なHC素材は1%*5と露骨な延命レベルの入手確率しかなく、入手するために行く必要があるHCクエストも受注にHCチケットを3枚要する*6等の悪条件が重なっていたため、マニア向け以外の何者でもない誰得防具という評価であった。
武器魂のアイコンが紙に見えることから「紙集めオンライン」という蔑称までつけられる始末。
脚防具に至っては、同時期に実装されたベルキュロス防具のベルグリーヴFXがとんでもない高性能であったことから、一式装備前提の秘伝防具はますます敬遠された。


ハンター達に「MHF最高峰の防具」として注目され始めたのは、上方修正(フォワード.1~3)や真紅秘伝防具とそれに伴う大秘伝実装(フォワード.4)が行われたフォワード時代に入ってようやくのことである。
労力と性能がまともに釣り合うようになった事で、初めて明確な作成の利点が生まれた。



当時、秘伝防具はMHFの事実上のエンドコンテンツというポジションにあった為、作成に必要な武器魂集めの労力は並大抵ではない作業量を要求され、一日や二日で完成するような代物ではなかった。
他のしたいことを犠牲にしてまで時間を割く必要があったからだ。
そのため、フルでFX一式所持するハンターは途方もない連戦に打ち勝った猛者として尊敬の眼差しで見られた。
その一方、強化の過程でハメプレイや効率主義が少なからず蔓延する温床にもなったことは否定できないが。


フォワード.3~

フォワード.3ではドスファンゴ特異個体の実装を機に事態が一変する。



特異個体化でパワーアップしたはずのドスファンゴがあまりにも弱く、序~極までの武器魂集めの難易度を大幅に下げてしまったのである。
(天はシーズン9.0からいる剛種パリアプリア特異個体)
同じ中型モンスターのドスランポスが特異個体化でメチャクチャな強さを発揮していたこともあり、ハンター達の武器魂集めの対象は圧倒的に難易度の低いドスファンゴ、パリアプリアへと向けられた。


その結果、モンハン史上類を見ない大量乱獲が発生。数多のドスファンゴが狩り尽される事態に発展した。
一部からは「秘伝防具はパリアプリアとドスファンゴの防具」「パリファンゴFX」等と揶揄されることになった。



特に武器魂の大部分が1種類のモンスターだけで賄え、時間短縮と周回が容易になった影響は凄まじく、労力に見合った高性能を売りとしていた秘伝防具の価値にヒビが入る。
こうして、ハイスペックな防具を作るためにただただ思考停止して猪を狩り続ける作業は「猪狩りオンライン」と揶揄されてしまい、内外でかなりの批判を呼んだ。
フォワード.3~4自体が非常に内容の薄いアップデート*7で、やることの無いハンター達が黙々と秘伝作りに取り組める環境が(悪い意味で)出来上がっていたのも猪狩りオンラインに拍車をかけた。



流石にゲームとしてまずいよね、ということで運営のギウラスこと杉浦一徳P(当時)もこの状況を問題視する。
そこで猪狩りオンラインに終焉をもたらすべく、フォワード.4では様々なモンスターを狩ることで大きく武器魂集めが捗る「ギルド優先依頼」システムを実装。
「単一のモンスターを狩り続ける作業感の強さ」を和らげることに成功し、ドスファンゴを延々狩り続けるよりも劇的に少ない作業量で秘伝防具が作成できるようになった。




だが、皮肉なことにこれがフォワード最悪の時代への布石となってしまった。


フォワード.4 ~秘伝絶対主義時代~

最大のきっかけとなったのが、フォワード.4で文字通り「突然の襲撃」に乗り出した黒レイアことUNKNOWNの討伐クエスト時限付き確定配信であった。
フォワード.1から不確定に出現を繰り返してきた強敵、UNKNOWNと確実に戦えるイベントということでハンター達の注目を集めたのだが、当時は定期イベント「狩人祭」の真っ最中。
しかもUNKNOWN1体につきレートが99魂という最高設定のスコアであり、ハンター達が躍起になって討伐に向かっていったことは言うまでもない。



同時に、UNKNOWN討伐のクエスト募集に秘伝防具を指定する人が大量発生。
限られた時間内に出来るだけ早く、効率的に狩るならこれぐらいして当然だという空気が強くなり、この先のプレイングにおいて秘伝防具は作った方がいいという認識が広まる。
そこへ程無く登場したのが前述のギルド優先依頼で、必要性を感じた多くのハンター達がこれを切欠に秘伝防具作成へと踏み切り、大規模な普及を見せた。



問題だったのがこのギルド優先依頼である。
システム自体には何ら不備も欠点も無かったのだが、作業時間の短縮によって(時間さえかければ)容易に秘伝防具が完成できるようになってしまい、「労力に見合った性能」であるはずの秘伝防具の希少価値が暴落。
喉から手が出るほど欲しい装備が簡単に作れるようになったら、これを機会に是非作ろうと考える人が増えるのは当然の流れ。
最強の装備を誰でも手にすることが出来た結果、秘伝防具を持つこと自体が常識という「秘伝絶対主義」時代を到来させてしまい、MHFのゲーム性をもぶち壊す大騒動に発展したのである。




秘伝絶対主義とは読んで字のごとく、「秘伝防具こそが絶対に必要で最強な防具」と主張して憚らない強烈な排他的思考、及びそう考える人が多かったMHFの雰囲気のことを指す。


ギルド優先依頼で「誰でも持っていて当たり前」な時代が訪れたことにより、「秘伝防具以外は例え課金であっても防具としての価値なんぞ無いに等しい、作る必要もない」「数さえこなせば手に入るのにわざわざ持っていないのは地雷同然」などの声が強くなり、他のユーザー達を差別・邪魔者扱いするという空気を醸成してしまっていた。
要するに秘伝防具を作らない・着ないユーザーには人権どころか人間としてすら認めなかったのである。
悔しいことにフォワード.4時点では、性能面で大秘伝に拮抗する装備は何一つ存在しなかったので反論しようがなく、数ヶ月に渡り秘伝防具派の増長を許すことになってしまった。
同時に、このような風潮を生み出した秘伝防具と、非秘伝ユーザーを排除する連中へのアンチ派も現れ、両者がいがみ合う非常にギスギスした環境が出来上がってしまう。
居心地も民度もまったく芳しくない、暗黒の時代が築かれたのであった。



2chにおいて火力至上主義が普通の「ネ実板」ユーザー達にも、秘伝絶対主義が強く浸透していたのは勿論のことであるが、
あろうことか(そのネ実とは無縁の)一般ユーザーですらも秘伝絶対主義に染まりきった人が多く、殆どのクエスト募集が秘伝防具前提、果ては秘伝防具を作るための募集にまで秘伝防具を指定する*8という光景が生み出されていた。


現在の秘伝防具(の立場)を知る人からすれば、とても考えられない異常事態である。
同時にこの頃から「秘伝防具(スキル)はMHFにおいて唯一最大の特別な存在」という絶対的な認識がプレイヤー間に広まるようになり、ここから数年に渡って揺らぐことが無かった。



そして、運営にとって秘伝防具は将来の「G級」実装に伴う、G級防具の普及を著しく妨げる可能性があった。
杉浦氏も単純作業を解決するはずのギルド優先依頼で秘伝絶対主義がもたらされたことを悔やみ、遂には秘伝防具自体を「G級への借金」と表現するまでに至ってしまった。


以後、長きに渡って運営(反秘伝ユーザーも?)VS秘伝絶対主義勢力の骨肉の争いが続くことになる…


フォワード.5

手始めに運営が送り込んだのは、剛種系統防具の派生強化「覇種防具」であった。



覇種防具は剛種防具にあった特殊効果「残り体力○%以上で発動スキルがアップグレード」の条件が大幅に緩和されており、なおかつ防具自体が多彩なスキルを揃えてスロットも3つ空く高性能ぶりを誇っている。
故に従来では不可能だったスキル構成が容易となり、攻撃系スキルと保護系スキルも両立可能な柔軟性は高い評価を受け、作成者を増やすことに成功。
しかも、同時期に実装された覇種モンスターがオディバトラス以外何かしらの状態異常を駆使してきた為、覇種防具の需要は高まり、逆に柔軟性の低さで根性ぐらいしか保護系スキルがつけられなかった一部武器種の秘伝防具は勢いを落とす事になった。


この時点で秘伝防具の位置付けは現在の「武器種特化」へと変更される。
ぶっちゃけると格下げ。
だが、覇種防具をもってしても秘伝絶対主義そのものを崩壊させるまでには至らず、むしろ大秘伝でどうにもならない武器種の補完という形で作成するハンターも見受けられた。




また、秘伝絶対主義側には当然こうしたテコ入れを快く思わない者達がいた。
彼らにとっては秘伝防具こそが至高であり全てであるため、絶対的な優位性を崩されることは
即ちアイデンティティーの崩壊に繋がるからだ(流石にこれは大げさかもしれないが)。


それを抜きにしても、秘伝防具にかけた多大な労力を否定するような動きには人一倍敏感であった。
まず、運営がG級(つまり超大型アップデートであるMHF-G)の情報を公開した時に
G級がさも秘伝防具では生き残れないかのような表現をしたことで大ブーイングが続出、すぐに「秘伝防具も必要」の一文が書き足されるという事態が起きた。



騒ぎはひとまず沈静化したように見えたが、MHF-Gに先駆けたG級先行テストで再び火をつける事件が発生。
ユーザーに配布されたG級防具と(非G級防具の代表に選ばれた)秘伝防具のうち、秘伝防具を着たハンター達がリオレイアの突進に一撃で轢き殺されるという惨劇が起きたのである。
当然、秘伝絶対主義には運営からのむき出しの敵意と見なされ大荒れの様相に。


ただ、どちらかというとこの件は(先行テスト時の)G級クエスト自体の問題であった。
当時は難易度(★の数)に応じた防御減算の他に、クエストの適正GRに合わない防具を着るとGRの差だけ防御力が減らされる仕様が存在していた。
この為、非G級防具の共通規格で最低GRに設定された秘伝防具は散々に防御力を減らされまくり、裸同然の紙装甲に変えられてしまったのである。
G級リオレイアの攻撃に耐えられなかったのは、先行テストの仕様に乗っ取れば至極当然の話なのだ。



が、先行テスト自体運営からの説明不足や(上記を含めた)問題アリアリな仕様で、秘伝以外のユーザーにも混乱を招いてしまう事になるのだが…それはまた別の話。


G級~

こちらの項目を見ていただけると分かるが、迎えたG1では全方位に渡る杜撰なゲームバランスから秘伝防具並の膨大な連戦が要求されていた。
これに伴い復活したハメ・効率プレイのための要員として、一部武器種の秘伝防具ハンターは需要が高まったが、既に覇種武具が広くシェアを確保していたこともあってかそれ以外の武器種は激減するという珍妙な光景が見られた。



その後、G2を境に秘伝防具の地位は滑落が始まっていく。



G級周りのシステム整理による環境の変化に加え、低防御の秘伝防具の要である真根性スキルが当時「根性発動のたびにペナルティで攻撃力低下=クエスト達成までの時間が長引く」という問題点を抱えていた為、生存率の悪さが露呈。
G級秘伝防具も同じことであり、当時「真のG最強」と謳われたディスフィロアのような強敵の前には、とてもじゃないが耐久性に優れているとは言えなかった。


反対にG級防具は作成難易度が緩和され、スキル構成にも幅が広がったことにより、秘伝防具をたやすく越える攻撃力が達成できるように。
かつGXまでの強化派生が追加され、MHF屈指の高防御力を手にしたことで優位性が一気に向上した。
それによる普及率の高さを証明したのが、G3で実装された烈種ゼルレウス
ゼルレウスには大多数のハンターから「攻撃力が低すぎる、ヌルイ」という批判が寄せられたのだが、烈種自体は防御力を高めれば致命傷が頻発することはあまりなく、覇種モンスターと違って防御力がしっかり機能してくれる。
すなわち、これらの批判は高防御力のG級防具が広く浸透したこと、秘伝からG級防具に乗り換えるハンターが大幅に増加したという事実の裏返しでもあった。



G3時点で秘伝防具の重要性は大きく低下しており、秘伝絶対視の空気はかなり薄まっていた。
ところが、続くGGでG級版ギルド優先依頼の実装とGX秘伝の解禁が決定。
秘伝絶対主義の再来を懸念する声や、秘伝防具の復権を喜ぶ絶対主義派の歓喜が入り乱れた。



しかし、蓋を開けてみれば作成難易度は物凄く高く、火力自体も1.2倍に据え置きで一切上昇しなかったのですぐに沈静化。
それ以上に新武器種である穿龍棍目玉も飛び出るバランスブレイカー級性能であり、ハメ・効率プレイに頼らずクエストを素早く終わらせてしまう極悪火力の前にどの武器種も太刀打ちできず、「そもそも秘伝防具もいらないんじゃね?」と有益性が更に霞んでしまう*9
以降、秘伝絶対主義が息を吹き返すことは二度となかった。




そして程無く、秘伝防具と覇種防具のパワーバランスを根底から覆す出来事が起きる。
前述した覇種防具を中心に構成された、ディオレFX&メラギへルムFXのテンプレ装備誕生である。
当時主流のスキルだった「絶対防御態勢」を備えるこのテンプレは性能・汎用性ともに圧倒的であり、SR帯(当時)の秘伝防具は完膚なきまでに叩きのめされ
剣士の秘伝絶対主義が完全に瓦解することとなった。




一方、ガンナー秘伝防具は剣士と対照的にしぶとく生き残り続けていた。
言うまでもなく、大秘伝における攻撃力1.4倍の効果が依然として強力すぎたからである。
だがこれも武器種上方修正によって珠秘伝との差が縮まり、牙城がまた一つ崩された。



そんなこんなの末、遂に2016年上半期で決定的な出来事が起きた。
G9.1で実施された、非G級ランクにおける秘伝防具以外の作成・強化難度の劇的緩和である。
これにより秘伝防具は魂集めの煩わしい工程だけが残り、トドメにG10からの非G級大幅圧縮が重なったことで
昇格前に秘伝防具を作る意義は完全に失われてしまった
もうやめて!秘伝防具のライフは0よ!


そして、2018年3月末からハンターライフコース(基本料金)購入特典として調合屋交換券というアイテムが5枚貰えるようになった。
このアイテムを調合屋に持っていけば任意の秘伝珠と交換することができる。
つまりどういうことかというと秘伝防具を作らずに秘伝スキルが発動できるようになった。


サービス後期~末期にはスキルの多様化、辿異防具の普及、上記の秘伝珠配布など多くの要因が重なったことで、昔のように秘伝・非秘伝がどうこうとこだわる風潮は殆ど無くなった。
秘伝スキルも「つけられるならつけておきたい」スキルの一つという立ち位置に収まり、昔のような特異性は薄れたと言ってもいい。



このように「過去の栄光」にまで落ちぶれた秘伝防具だが、その後サービス終了が訪れたことによって、
フロンティア最高峰の防具に返り咲く日が来ることは二度と無かった。
秘伝防具は犠牲になったのだ…運営自身の尻拭いと秘伝絶対主義の撲滅…その犠牲にな
『MHF-Z』への超大型アップデート後は完全に辿異防具の台頭に埋もれてしまった感があり、ハンターライフコースで貰える秘伝珠はともかく、
新規プレイヤーで秘伝防具を(公式からのお知らせ以外で)知っている人はかなり少なかった、というのが実情であった。




追記・修正技【大電脳】

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  • 因みに課金版として生産時に必要な魂と強化に必要な一部HC素材が削除された秘伝防具EXなるものがあり、男女ともにとてもカッコ良い。そして女性用脚装備はヤバい -- 名無しさん (2015-07-11 18:59:24)
  • 秘伝絶対主義は崩れたけど他の防具が同じ位置になりそうじゃないかこれ -- 名無しさん (2015-07-29 17:01:22)

#comment

*1 Fのライトボウガンは射撃後にゲージが現れ、白い部分にバーが重なった瞬間に再び撃つとダメージが増加するシステムが存在する。しかも弾切れを起こすまで連続で発動可能なのでただ撃つよりもダメージ効率が良い
*2 Fのヘビィボウガンはリロード済みの弾を1発に圧縮して高ダメージの弾を撃つ事ができる
*3 G10.1以前はこのスキルでのみ斧モードの攻撃でゲージ回復が可能な仕様だった
*4 ちなみにアップデートの名称は現在に至るまで「シーズン○」→「フォワード○」→「G○」(Zではナンバリングがされていない)の順に変化しており、シーズン時代はMHF全体において最も古い黎明期のことである
*5 しかも当時はポイント交換等の救済措置が無いため余計に難易度が高い
*6 後に1枚へ緩和され、数年後のG9.1で完全廃止された。しかし緩和当時は秘伝防具が直接の原因ではなく、マクロを悪用してチケ稼ぎをしていた悪質ユーザーへの対策という形でこうなっただけである。
*7 メインモンスターとして売り込まれたはずのタイクンザムザが武具共にパッとせず、クアルセプスは延命丸出しで面倒臭いだけのトリプル証システムで大不評を買い、しかも慣れると大して強くなかったということで早々にユーザーから見放されてしまった、など……。
*8 これは秘伝二重装備のための2着目作成が目当て
*9 更に穿龍棍の秘伝防具に関しても、まず穿龍棍自体が必要とするスキルがあまりにも多すぎるため秘伝防具では賄いきれず、こちらも重要性を落としていた

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