登録日:2014/08/27 Wed 18:13:00
更新日:2023/12/21 Thu 10:47:57NEW!
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藤原祐 ライトノベル 電撃文庫 平行世界 ダーク ほのぼの 椋本夏夜 レジンキャストミルク
欠落を胸に
虚無とダンスを
『レジンキャストミルク』とは2005年9月より電撃文庫にて刊行が開始されたライトノベルのシリーズである。2007年9月完結。
本編8巻に加え、短編集の「れじみる」及び「れじみるJunk」の計10巻が刊行されている。
著者はダークな作風が人気の「電撃の黒い太陽」こと藤原祐氏。イラストは「ルナティックムーン」以降同氏と組むことの多い椋本夏夜氏。
概要
本作はイラストを務める椋本氏が原案の段階から関わっている事が特徴の一つであり、その為、近年少なくない作品に見られる「イラストと文章の齟齬」が無い。
至るところで「ほのぼの×ダーク」と紹介されている通り、和やか感じの日常とその中で張られる伏線、そして虚軸関連のダークなシナリオとのギャップもまた本作(というより作者)の魅力である。終わりに近づくほどダークさが増して行き、レギュラーな感じのキャラクターでも容赦なく死んでいく。
ストーリー
全一――城島硝子。
有識分体――柿原里緒。
壊れた万華鏡――舞鶴蜜。
そして城島硝子の固定剤――城島晶。
あらゆる空想と願望の果てに産み出されたこの世ならざる世界「虚軸」。そして「虚軸」と関わり、「欠落」と引き替えに異能を手に入れた少年少女たち。
平穏な学生生活の裏側で、薄れた境界線が現実に爪痕を残し、世界はゆっくりと侵食されていく……
用語
虚軸(キャスト)
作中における異能の源。その正体は誰かの「強い思い」により実軸から分岐した平行世界。
ある虚軸が滅んだ時、その虚軸は実軸へと現れる。この実軸へと現れた虚軸こそが登場人物達の操る異能そのものである。
虚軸はそのままでは自然消滅してしまうため、虚軸を実軸に定着させるための依代が必要となる。これを固定剤(リターダー)という。然し、虚軸は分岐したとは言え世界そのものであり、世界一つを受け入れるには人間の器では到底足りえない。そのため、虚軸を受け入れた固定材は人間として何らかのものが欠落してしまう。
虚軸と固定剤のあり方には二種類のパターンが存在し、それぞれ「共生型」と「寄生型」と呼ばれる。
共生型の虚軸は、固定剤と虚軸がそれぞれ別々の生物として存在している。「城島晶と城島硝子」や「柿原里緒と小町」がこちらのタイプになる。
寄生型の虚軸は文字通り、虚軸が固定剤に寄生しており、虚軸と固定剤が一体化している。舞鶴蜜はこちらのタイプ。
産み出された虚軸は、その全てが「世界系(インスト)」と呼ばれるモノに記録されており、虚軸の名前は世界系によって決定されている。
これを形式名(モデリング)と呼び、実軸へと表れた虚軸とその固定剤はまるで二つ名のように形式名で呼ばれることが多い。
実軸(ランナ)
実世界。虚軸が分岐する前のおおもとの世界。虚軸の対義語。物語の舞台となる世界。
修正力(リペイントマーカー)
実軸の持つ「世界を修正しようとする」力。虚軸と固定剤が死んだ場合に発動し、実軸を「死んだ虚軸がいなかった場合」に歩んだ歴史との矛盾を限りなく無くすべく、虚軸に関わり死亡した人間を蘇生させたり、一般人の記憶を消し去ったりする。
この力により、虚軸と固定剤は死亡したとき最初から居なかったこととなる。
虚界渦(アンダーゲート)
虚軸と実軸を結ぶ出入り口。滅びた虚軸は虚界渦を通って実軸へと現出する。
また虚軸に繋がる門であるため、虚軸の力の流入口でもある。その為、世界系にアクセスし、虚界渦虚軸の世界を実軸に呼び寄せる事が出来る。これを「虚界渦を解放する」といい、実軸にある虚軸にとって虚界渦の解放は正に切り札とも言うべきものであり、その能力はいずれも強力なものである。
ただし、虚界渦の解放には何らかの力を消費するらしく、解放後は「一日の間通常の虚軸としての能力すら使用不可能」や「三日間眠り続ける」当のリスクも存在し、たいていの場合は本当の危機的状況でしか使用されない。
余談だが虚界渦開放時には虚軸によってそれぞれ違った詠唱が存在し、その詠唱がとても厨二くさいかっこいい事でも有名。
登場人物
城島晶
主人公。狭間学園2年3組所属。かつて実軸に近い規模を誇った最大の虚軸である「全一」城島硝子の固定剤となった少年。自身もまた、硝子同様「全一」と呼ばれる。
固定剤となった代償として「痛覚」と「固定剤になる以前の記憶」を欠落させている。
両親が行方不明であり、その原因となった虚軸「無限回廊(エターナル・アイドル)」を探し求めている
- 虚軸「全一(オールインワン)」
「虚軸」城島硝子と「固定剤」城島晶の持つ共生型の虚軸。
虚軸である硝子はその身に「全一型万能他律式武器構築装置(オール・イン・ワン・システム)」と呼ばれる不定量子回路を宿している。その能力はマスターたる晶の指示に従い、「既存の武器を元とし、対象に応じた特殊な機能を持つ武器を半構築(セミ・スクラッチ)する」というもの。
これにより、敵対する相手、及び目的に応じた武器を作り出し、柔軟な戦闘をすることが可能。
城島硝子
ヒロイン。狭間学園1年9組所属。その身に「全一型他律式武器構築装置」を宿す虚軸「全一」の少女。
有機体と機械の二つの体を持つ半機械のような存在であるが、機械側の体は表に出る事がない。
本編開始の六年前より自身のもと居た虚軸から実軸へと現れ、城島晶を固定剤とする。以降は晶の従兄妹として城島家で暮らす事となる。
クーデレで若干天然ボケな性格。実軸に現れた当初は感情表現もままならず、機械のような性格の少女であったが、六年の間に日常生活に支障が無い程度にまでは成長した。学園における友人もいる。
現在も感情の習得は続けており、その収集元は主に火サスか二時間ドラマ。その為ドラマを元にした若干ずれた言動も多い。
プリンが大好物であり、プリンがあれば他の事はたいていどうでもいい。
- 虚軸「全一」
同上
柿原里緒
「有識分体」と呼ばれる。狭間学園2年3組所属だが、教室で授業は受けず大抵は屋上に居る。でも成績は上の上。
虚軸「有識分体」を受け入れた代償に味覚を失った他に、「有識分体」の世界観(後述]から虚軸を受け入れた人間以外の全ての人間の区別がつかない。
虚軸は共生型であり、その本体は「小町」と呼ばれる猫。
- 虚軸「有識分体(分裂病)」
「虚軸」小町と「固定剤」柿原理央の持つ共生型の虚軸。有識分体と書いて分裂病とルビを振る。
無限に分裂する能力を持ち、小町自身が多数に分裂し、数の暴力で敵を圧倒する戦法を取る。
元となった世界は「個性の存在しない世界」。彼我の差が存在しない世界であり、その世界を受け入れた里緒は上記の通り人間同士の区別がつかなくなっている。
話としては何の関係もないが、上2名のヒロインに前作『ルナティック・ムーン』のとある姉妹を思い出した人もいるのではないだろうか。
そちらではサブキャラだったが、壊れた快活な姉と感情が欠けてしまったまま育った妹だった。
舞鶴蜜
虚軸「壊れた万華鏡」を宿す少女。狭間学園1年9組所属。義姉に「目覚まし(ハラハラ)時計」の虚軸を宿す速水殊子を持つ。
かつて、虚軸に目覚めた際、虚軸を制御しきれず友人を傷つけてしまった過去を持っており、それ以降は殊子の能力により虚軸の使用に制限を受けている。
元はおとなしい性格だったものの、この事件以降は苛烈な性格の変化した。また、身に宿す虚軸の性質上、嘘をつくことが出来ない。
両親の影響から常にゴスロリ服を着用している。
- 虚軸「壊れた万華鏡(ディレイトカレイド)」
舞鶴蜜の宿す寄生型の虚軸。
元となった世界は「文字情報のみで存在する世界」であり、ネットを通じて蜜へと寄生する。
虚軸としての能力は髪を操り平面を飛び越えるモノであるが、上記の制限により「傷ついたとき」「傷ついた時間に応じて」しか発動できない。
森町芹菜
晶の幼なじみ。狭間学園2年3組所属。
かつては晶と相思相愛であったが、晶が虚軸に関わった事で好意を抱いていた頃の記憶を失ってしまったため現在は片思い状態。
完全に一般人であり、虚軸関連の事件に関係したとしても事件が終わった時には全てを忘れてしまうため虚軸に関することは知らない。
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▷ コメント欄
- 硝子って初キスを敵に奪われたけど、今だったらNTRだのなんだのと騒がれたんだろうかね? -- 名無しさん (2014-08-27 18:38:33)
- 作者と交遊のある某鈍器作家がSS書いてたっけな。プリン地獄な感じの -- 名無しさん (2014-08-27 18:40:08)
- ↑2 誰ですかそいつは そんな奴はいないよ、世界系検索してもそんな奴が居たなんて事実はどこにもないよ何を言ってるんだい -- 名無しさん (2014-08-27 19:01:51)
- 虚界渦の詠唱、フツーにかっこいいと思うが、世界の終わりはともかく乖離に至る病とか不発爆弾とかはどう読めば良いのかさっぱり -- 名無しさん (2014-08-27 19:45:39)
- 晶が失ったのは「痛み」と「感情記憶」。傷付けられても痛みを感じない。硝子が来るまでの記憶の一切を記録としてしか記憶していない。芹菜が好きだった自分の感情を言葉だけでしか覚えていない。 -- 名無しさん (2014-08-27 21:32:27)
- とりあえず余韻をぶっ壊す「れじみる」はしばらく間を開けて読んだ方がいいwwww -- 名無しさん (2014-08-27 23:11:05)
- 硝子の本体はそもそも性別のない機械だけど、ニュートラルな状態として男性格っぽいのを感じたから、乙女ってくのがすごく良い感じだった。 -- 名無しさん (2014-08-28 10:29:16)
- そういえば里緒は性別を設定していない、っていう作者の意見があったな。 本来性別が必要ないのに女性であった硝子と、本来必要なはずの性別が必要とされなかった里緒。物語の始まりと終わりでの対極な里緒のセリフといい、非常によく出来た物語だったな -- 名無しさん (2014-08-29 00:12:46)
- 高校生の時、登場人物どいつもこいつも好きになれなかったのとバトルが予定調和過ぎて2巻で挫折したんだよなぁ。でも、もう一度挑戦しようかな -- 名無しさん (2014-08-29 01:41:19)
- まぁふわふわ少女漫画なイラストに反して結構キッツイ厨二だったなぁ リアルに拗らせてる年代じゃないと読むのしんどい部類だろう -- 名無しさん (2014-08-29 12:45:20)
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