登録日:2010/12/14(火) 02:24:13
更新日:2023/12/07 Thu 14:02:37NEW!
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サイレントヒル 異世界 異次元 深層心理 メタファー 鉄 錆 血 ヴァルティエル 穴 闇 三角頭 異次元←では無い 悪夢の具現化 ハードの限界を逆手に取ったアイディア 膿 巨大なファン 狂気の世界 副読項目 裏世界
- 裏世界(サイレントヒル)
「裏世界(Another World)」或いは「もう一つの世界」は『サイレントヒル』に登場する架空の概念。
また、ゲームや物語の舞台として設定された架空の世界の名称である。
尚、この呼び方は作中における便宜上の呼び名ではあるが、本項目においてはそれに従い解説をする。
なお逆の存在として「表世界」という言葉もあり、こちらはごく普通の見た目の世界の名称である。
しかし、陥没によって外界と隔たれた街、闊歩する奇怪な怪物など、どこか奇妙な歪みを持っている。
…即ち「表世界」=現実世界と言えるか否か、という問題も出て来るのだが、実際の解釈…どこから世界が狂っていたのかの判断は、プレイヤーがするべきであろう。
※これより以下に、作品毎の解説を記す。
場合によっては物語の核心に触れる部分もある為、閲覧には注意をしていただきたいが、物語の内容を理解する為の一つの指針としていただければ幸いである。
各タイトル毎の裏世界の発現、特徴を記す。
『サイレントヒル』
「まるで、誰かの妄想した悪夢が現実となった様な…」
─ハリー・メイソン
- 裏世界の発現=「悪夢」
ある者の見ている悪夢…それが『サイレントヒル』における裏世界である。
…プレイヤーは、その世界に呑み込まれる事になるのだ。
本作での「裏世界」の特徴は一言で言えば変貌である。
『サイレントヒル』はゲームの舞台として一つの町がモデルとして再現されている。
…その、ある意味では見慣れたコンクリートや土、木々で構築された世界が、突然、どす黒い血と膿に塗れた錆びた鉄で形作られた無機質で異様な世界に変貌する…
これが『サイレントヒル』における異世界である。
ハリーは最初、夢というかたちでこの世界に入り込む事になる。
…袋小路、突然の暗闇に灯りを点けた後で変貌していた世界。
入口は消え、周囲は錆びた金網で覆われた赤い不浄の空間へと変わっていた。
小さなライターの火を頼りに奥へと進んだハリーがそこで見る物は…
尚、この後ハリー(プレイヤー)は為す術も無く一度殺される事になる。
…そして、否が応にも「夢」と「現実」が繋がっている事を認識させられるのだ。
以下に、この世界を象徴する構成要素を挙げる。
- 鉄
鉄骨や骨組みでは無い。
錆びて血と膿に塗れた鉄塊がこの世界を形成しているのである。
- 穴
本作では道路や部屋の一部が欠落する形で顕れている。
表の世界で通って来たルートが、裏では丸々と消失している事も少なくない。
部屋によっては、細い通路が外側に残るだけで、他の部分が消え失せている場合もある。
ゲームの仕様上、落ちる事は無いが…
- 金網
或いは鉄柵が壁を構成する。
死体の様な物が吊り下げられている事も。
- 闇
闇に閉ざされた裏世界では、極端に視界が悪くなるのが特徴。
暗闇はゲームという疑似体験でありながらプレイヤーの方向感覚や判断力を麻痺させるだろう。
- 巨大なファン
轟音を立てて、回るファン(換気扇)。
馬鹿げた大きさを誇る、何の為の設備なのかは不明だが、底の見えない穴と同様にそれは容易く死を連想させる。
※最初、夢として顕れた裏世界はやがて現実を浸食し、ある時を境に劇的に表の世界を呑み込む事になる。
『サイレントヒル2』
「ここに穴があった、今はもう無い」
─バーのメッセージ
- 裏世界の発現=「潜在意識の具現化」
今作での表世界と裏世界の境界は曖昧で、容易くその様相を変える。
ドアを開ける、或いは今作の象徴である「穴」に落ちる事によって、そのシフトを変えるのだ。
また、鉄が異世界の構成要素となっているのは変わらないが、前作程には顕著でなく、無機質な印象を受けるのが特徴である。
以下に、この世界の構成要素を挙げる。
- 穴
本作の象徴。
彼は幾度と無く穴に落ち込み、その度に世界は変容する。
- 床の扉
穴の一つではあるが、床の下へ垂直に続く廊下という、その異常な存在を受け入れ、そこへと至る扉を開けるという行為。
それを行う時点で、彼は常軌を逸しているのである。
本作を代表する特殊クリーチャー。
…彼はそれを畏れる。
この存在もまた、本作を構成する重要な要素の一つである。
『サイレントヒル3』
「全ての苦しみから解放され、楽園へと至る為に…」
─クローディア・ウルフ
- 裏世界の発現=「ある者の願い(妄想)」
正式な続編である為か、発現方法や構成要素が『1』に似ているのが特徴。
…ただし、明確な線引きがされている訳では無く、また物語の途中で主観が入れ替わっているとも取れる描写もある。
狂っているのは世界では無く、自分かもしれないのだ。
以下に世界の構成要素を挙げる。
- 穴
本作での穴は楕円形で顕される。
…女性器の意匠を象徴する。
- ハンドル
ヴァルティエルが狭間で回すそれは輪廻を象徴する。
- ヴァルティエル
彼女≠狭間の世界より見守る存在。
三角頭の意匠や教団の司祭の服装は偉大なるヴァルティエルへの信仰から生まれた。
- 妄執
記憶と言い変えるべきなのだろうか。
時にそれは異世界に蠢く影として顕れることもある。
※他、『1』での構成要素が直接、または間接的に取り入れられている。
『サイレントヒル4 ザ・ルーム』
「ここから出るな」
─ウォルター・サリバン
- 異世界の発現=「ある者の願い(妄執)と、それによる犠牲者の苦痛」
シリーズ中でも特に異色作として知られる同作では、物語の舞台設定、構成要素も大きく違っている。
ヘンリー(プレイヤー)が存在し、訪れる世界…その全てが異世界であるともいえるからである。
前作まででも何者からの意思や悪夢が異世界を形成するという設定はあったものの、本作のそれは、より「閉じた世界」として描かれていることに注意…それ故に、異質なのだ。
以下に世界の構成要素を挙げる。
- 穴
本作での穴は出入口の役割を果たす。
- 犠牲者(ヴィクティム)
最大の構成要素。
彼らこそが本作の世界を創っているとも言える。
- 部屋
物語を進める為の拠点となる、主人公ヘンリー(プレイヤー)の部屋。
しかし、物語が進むと…
【余談】
元々、『サイレントヒル』における霧に閉ざされた世界、闇に閉ざされた世界はハードの性能の限界から考え出されたアイディアだった。
※当該項目を参照。
しかし、それにより演出される恐怖が予想以上に効果的であった為に、ハード性能が上がった次作以降にも同様の設定や演出が採用され、現実とも悪夢ともつかぬ世界を彷徨う…という『サイレントヒル』シリーズ独自の世界観が定着することになったのである。
尚、上記の様に明確な形で世界の変容を描いていたのは第1作のみで、以降は表現能力やシナリオの方向性もあってか、隠喩や心理的な象徴を用いた演出が採用されている。
…怪物(クリーチャー)についても、同様の事が言え、『1』では、まだオーソドックスなタイプのデザインだったが、『2』以降は、グロテスクさとも違う、奇怪な姿のもの(多いのは生物と物体の融合)が殆どになった。
…それら怪物の存在理由も、上記の裏世界同様にタイトル毎に異なる。
やや設定は異なるものの、映画作品では裏世界と表世界の関係を上手く表現していた。
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▷ コメント欄
- 2の綺麗なホテルが裏でボロボロの方が表っていうのはビビった -- 名無しさん (2014-05-31 02:47:30)
- シャッタードメモリーズやダウンプアは「核心への追求と、それへの拒絶」とかあたりだろうか? -- 名無しさん (2014-11-12 14:17:33)
- 「人の数だけ無尽蔵に姿を変える街」て便利過ぎる設定だよな。何かしらの事情を抱えた人が行けばそれで物語の一つが作れそう。 -- 名無しさん (2015-10-11 22:19:28)
- ↑その『物語』の結果がサイヒルなのでは? -- 名無しさん (2015-12-23 18:13:07)
- なんか文字化けしてるような記号があるけどわざとなのか? サイレントヒルの他の記事でもあるけど。の -- 名無しさん (2017-03-15 16:41:13)
- 2が人によって町の様相を変えて視覚化されるっていうのが顕著だね。同じ空間にいても化け物を全く認識していなかったりそもそも化け物として見えてなかったりとか。 -- 名無しさん (2022-02-28 15:17:54)
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