ワールドエンブリオ(漫画)

ページ名:ワールドエンブリオ_漫画_

登録日:2011/02/18(金) 10:05:42
更新日:2023/11/20 Mon 11:49:59NEW!
所要時間:約 8 分で読めます



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漫画 森山大輔 ヤングキングアワーズ キレる10代 少年画報社 嘘が分かりやすい漫画 「」 感染るよ。 メインヒロインが2歳児 ようは子育て ウソがバレた ワールドエンブリオ



ワールドエンブリオ/


ヒーローが仲間と一緒に敵と戦う話だよ
登場人物は誰も裏表がなくてさ、敵もホントはいいヤツばかりなんだ



え? 誰も死んだりなんかしないよ
本当だって







……そうさ、誰も――



/World Embryo







月刊漫画誌ヤングキングアワーズにて2005年から2014年まで連載されていた漫画。全13巻。
作者はクロノクルセイドを描いた森山大輔。



バトル物でありながら多くの謎と伏線が入り混じり、主人公の天海陸はとんでもない嘘つきというひねくれたストーリー。
そこに巧みな演出や表情描写が合わさり、ひどく心に迫り、揺さぶってくるような作風に仕上がっている。


時に自分がついた嘘の代償を支払いつつも、ただ一人想う人のために仲間を欺き、そのことに軋む心を誤魔化しながら戦う少年の姿を描く。




【あらすじ】


高校に通う天海陸はある日、2年前に失踪した想い人、笹森天音から1件のメールを受けとる。
本文は一言『ワタシヲミツケテ』とだけ。


添付写真が示す病院跡に向かった陸は、そこで幼馴染の洋平と再会し、また彼に同行していた少女レナと知り合う。
直後、3人の携帯電話が一斉に鳴り出した。
驚いて携帯を手に取る陸に、洋平は
『死にたくなければ出るな! ここはもう圏内だ』
と真剣な顔で告げる。
そして現れた、棺守と呼ばれる化け物。


洋平は『刃旗』という武装を纏って棺守を倒すが、衝撃に巻き込まれた陸は離れた場所に吹き飛ばされてしまう。
1人になったところを他の棺守に襲われ、逃げ惑う先で1つのマユを発見する陸。
陸が殺される直前、マユが突然放った光により棺守は崩れ去っていった。



翌日、自宅のベッドで目覚めた陸は昨日の記憶がはっきりしないことに気づく。
洋平たちに会って話をしたことは覚えているが、それ以外にあったはずの何かを思い出せない。



そして、何故か自宅に持ち帰っていたマユ。
やがてそこから生まれたのは、幼い頃の天音にそっくりな子供だった。




【登場人物】


○天海陸(あまみ りく)
本作の主人公。眼鏡。
天音の失踪にまつわる2年前の出来事がきっかけで周囲に嘘つき呼ばわりされ、以降は人と表面的な付き合いをするようになった少年。
言動や表情も昔に比べて当たり障りの無いものになっているが、天音を一途に想う気持ちだけは強く抱き続けている。
やや後ろ向きで嘘つきという、ぶっちゃけ正統派ヒーローからは程遠い人物像として描かれるが、終盤では自分の嘘と向き合うことで前向きな気質を身につけていく。
後に宿すことになる刃旗は、トリガーで駆動させるチェーンソー内蔵型大剣。
嘘をつく時に唇をなめる癖がある。
なお、本作では登場人物が嘘をつくセリフに「」がつく。



○武部洋平(たけべようへい)
陸の2つ上の幼馴染で、いい兄貴分。刃旗という謎の力を宿し、本編冒頭にて数年越しに陸と再会する。
扱う刃旗はナイフ型刃旗『空断(Karadachi)』。武器それ自体は小ぶりだが、威力は刃旗使いでも随一とのこと。
設定上のコンセプトは『前作の主人公』。
周囲から信頼され、また陸を強く励まし続けた人物だったが……。



○有栖川レナ(ありすがわ -)
本作のヒロイン(?)にして、ある意味もう一人の主人公。
委員長的な雰囲気を持ち、厳しい口調で陸につっかかる。
洋平とペアで行動し、彼を信頼している。
同じく刃旗使いで、トリガー付き回転手裏剣の『新月(Shingetu)』の二刀流で戦う。


激しくツンデレ。そして貧乳を越えた無乳。
基本的に無愛想だが、ネーネに甘えられることについては戸惑いつつも喜んでいる。



○笹森静流(ささもり しずる)
陸の父、大地と20近い年齢差を越えて再婚する予定だった女性。獣医。
天音の失踪により挙式が流れ、現在は大地が海外へ赴任しているので陸と2人暮らし。
朗らかでねぼすけで天然な性格だが、考えそのものは非常にしっかりしている。
マユから生まれたネーネを陸と共に世話していく。



○ネーネ
陸が病院跡から持ち帰ったマユから生まれた、天真爛漫な性格の女の子。
容姿が幼い頃の天音にそっくりだが、普通の人間と違い、耳の上あたりに髪に隠れた謎の器官を備えている。
なにやら棺守と関わりのある不思議な力を持つようだが……?
生まれて早々に陸やレナにいたく懐き、それぞれ『パーパ』『マーマ』と呼び慕う。
静流は『バーバ』。



○笹森天音(ささもり あまね)
静流の妹で、静流の結婚によってリクの義姉になるはずだった少女。
2年前から失踪しているが、本編冒頭になって『現在の彼女と思しき姿』を映した写メがリクのもとに届いた。
結局、病院跡では出会えずじまいだったのだが……。



○タカオ
数年前のある学校の卒業式において、カメラの前で多くの人を切り殺した少年。
その出来事が話題を呼び、ネット上では一種のダークヒーロー的扱いを受けている。
通常の武器では破れないはずの意識圏を刀で易々と切り裂くことができ、理由は不明だが刃旗使いを殺して回り、刃旗核を回収し続けている。




【用語】


◆棺守(カンシュ)
日暮れと共に現れて生物を襲い、日中は姿を消す化け物。
意識圏(ケイジ)という特殊領域を常時展開しており、刃旗の攻撃以外はいっさい受け付けない(まあATフィールドみたいなもの)。


棺守の意識圏内に入った携帯電話には、持ち主の知り合いの名前で着信が入る。
電話に出て受話器から流れるノイズを聴いた人間はその時点で人としての人格を失い、新たな棺守となってしまう。
つまり棺守は元人間であり、一体が生きているだけで次々と増殖する危険があるということ。
ちなみに感染直後は人の形を保つが、時間が経つに連れ脱皮するように異形の化け物へと変貌を遂げ、また強力になっていく。
ある場面では、涙を流しながら恋人を襲う『なったばかり』の棺守を前にしてリクの葛藤が描かれる。



なお、棺守は意識圏以外にもう1つ、人間から棺守に関わる記憶を奪う『搾識』という力を持つ。
リクが序盤で記憶があやふやだったり、世間で棺守の存在が取り沙汰されないのはこのため。
例外として刃旗使いと、刃旗使いが顕醒する瞬間に剥き出しとなる『刃旗核』を見た人間はこの忘却作用に免疫を持つようになる。



◆刃旗使い
左右どちらかの手に『刃旗核』と呼ばれる球体を宿し、それを元に『刃旗』という強力な武器を形成できる人間。
洋平やレナは『F・L・A・G』という刃旗使いの集団に所属し、棺守を狩り、棺守の発生の大元と考えられる『感染源』を倒すべく活動している。


刃旗の展開を『顕醒』といい、顕醒中は驚異的な身体能力と再生能力を発揮する。棺守と同じく意識圏を持つが、こちらに感染の危険は無い。
限界時間を迎えると強制的に顕醒は解除され、再びの使用には休息を要する。


核を体内に宿している内はそれが免疫となるが、刃旗使いは全員が棺守の感染者。
彼らが常にペアで行動するのは、核を失った相方が棺守として被害を振りまく前に相方が仕留めるためである。



◆搾失反動症候群(ロストリバウンド)
棺守となる、あるいは棺守に殺されるなどの直接的被害に次いで生じる二次災害。
要は棺守の搾識能力が引き起こす記憶障害のこと。


Aの知り合いであるBが、棺守となるか棺守に関わって死亡したとする。
この時にAに訪れる、Bに関する記憶の一切が失われる症状を指して搾失反動症候群と呼ぶ。
症状の度合いは、夫婦、恋人などBが身近で大切な者であるほど深刻となる。
……というのも、Bと過ごした時間の長さに比例してAから奪われる記憶の量も増えるため。最悪のケースだと廃人のようになってしまう。


棺守に感染している以上、刃旗使いは全員が上記のBにあたる。死後は多くの人に忘れられることから『思い出の外側』にいる存在と揶揄される。




以下、2巻終了までのネタバレ注意










陸はその後、ネーネを狙って現れた棺守に襲われ死亡する。
ネーネが『何か』を行い、自我を持った状態で棺守として蘇生するものの、その後現れた刃旗使いの組織、F・L・A・Gが陸を補えてしまう。
F・L・A・Gの目的は、陸の自我が保たれる最長72時間の間に、『感染源』への手がかりを探ること。



陸を救出するべく洋平たちが画策する中、『刃旗狩りの怪物』タカオがF・L・A・G本部を襲撃、場は大混乱となる。
騒動に紛れ陸は拘束から逃れるも、人としての死がもうじき訪れることを知って絶望していた。
救出に現れた洋平に励まされなんとか前を向きかけた直後、陸たちの前にタカオが現れる。


刃旗核を宿せば陸は助かる。
刃旗使いを殺して核を集めているタカオに、洋平は1つだけそれを譲って欲しいと頼む。


しかし、それはタカオの逆鱗に触れてしまうものだった。
洋平はやむなく応戦するも、タカオの攻撃に巻き込まれた陸をかばい、顕醒限界を迎えた状態で致命傷を負ってしまう。




自らが助からないことを悟った洋平は、自分の刃旗核を陸に移植した。
自分を殺すように、また自分を忘れないでいて欲しいと言い遺して洋平は棺守化していく。
泣きながら陸は顕醒し、洋平だったものの首をはねて止めを刺した。



その後刃旗を振るってタカオを撃退した陸は、F・L・A・Gからいったん開放される。


翌日、静流の記憶から洋平の存在が忘れられているという事実を思い知らされ、再び泣き崩れる陸。
そんな陸の前に現れて強引に手を引いたのは、洋平のかつてのペア、有栖川レナだった。


『あの人が何と戦っていたのか、お前には知る義務がある!』



これ以降、陸はF・L・A・Gに所属して棺守と戦っていくこととなる。




余談。カバー下にはおまけ漫画『よりぬきネーネさん』と人物の初期設定などが載っている。
前者はかなりカオスな内容。ネッ!




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  • ラスボス系ヒロイン -- 名無しさん (2013-10-23 21:54:25)
  • 最終巻読んだ。大円団迎えてよかった。しかし、タカオが生き残るのは予想外だった。いや、嫌いじゃないんだが、なんか最後は死にそうな、ね? -- 名無しさん (2014-10-25 15:15:18)
  • アニメ化しそうなのにしなかったなこれ。 -- 名無しさん (2014-10-28 16:08:28)
  • むしろこれからするかもよ -- 名無しさん (2014-10-28 16:14:20)
  • こんだけ完成されたストーリーで、しかも完結した作品というのは素材としてはかなり美味しいはず -- 名無しさん (2014-10-28 16:14:44)
  • 同じアワーズできっちりまとめたさみだれだってアニメ化しなかったんだぜ・・・? -- 名無しさん (2014-11-14 07:53:58)
  • 以前このマンガ見てたんだけど...天音が消えるシーンで「生まれ変わっても、また陸の家族になりたい」とか言っていた事から、天海陸は異性として見られてはいなかったのかもしれない... -- 名無しさん (2016-05-12 08:41:02)
  • ↑でもあの死にかけのシーンでわざわざ言いに行ったんだから相当大事に思われてただろ -- 名無しさん (2016-09-15 23:51:25)
  • アニメ化まだかな? -- 名無しさん (2019-11-10 01:53:39)

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