登録日:2011/06/01 Wed 04:00:42
更新日:2023/08/07 Mon 18:34:25NEW!
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怪獣ゴジラ対新登場の暴竜アンギラス
日本全土狭しと暴れ回る驚天動地の巨編!
ゴジラの逆襲
「ゴジラの逆襲」は1955年に公開されたゴジラシリーズ第2作。
公開日1955年4月24日
観客動員数834万人
前作「ゴジラ」
次作「キングコング対ゴジラ」
【概要】
前年公開した「ゴジラ」の大ヒットにより早々に製作が決まった直接の続編。
新怪獣アンギラスの登場とゴジラとの対決が目玉である初の怪獣対決映画である。舞台は映画館主達の要望もあり大阪に決まった。
前作の評価があまりにも高いことや、前作の公開から半年も経たずに急遽作られた作品であることから評価はさほど高くはないが、
怪獣同士の対決のテンプレが出来る前だからこそのゴジラやアンギラスの野性味あふれる激しい動き等、この映画ならではの見所は多数ある。
なにより、本作が「一作目のすぐ」に作られたことが「ゴジラはシリーズもの」という印象を、
二作目にしていきなり「ゴジラとスタイルの異なる新怪獣」を出したことが「バリエーション豊かな怪獣もの」という印象を与え、
その後の「ゴジラシリーズ」の先駆けとなったことは評価されるべきであろう。
なにせ本作の次回作が発表されるのは七年も後、それも他作品からのゲスト怪獣であり、
「ゴジラの逆襲」がなければ、ゴジラシリーズは一作のみで終わっていたかもしれないし、ゴジラだけが登場するリメイク作しか作られなかったかもしれないのだ。
また本作は、「ゴジラ」で原作を担当した香山滋氏が引き続き原作を描いた。
特筆すべきは「香山滋は本作を最後にゴジラ原作を絶対に書かなかった」ということ。しかも完成度の低さに満足しなかったからではなく、むしろ執筆はスムーズに進んだらしい。ゴジラを書かないと決めた経緯は、香山氏のエッセイ「ゴジラさんげ」に於いて、自ら描き出したゴジラという存在が独り歩きした事への途惑い、ゴジラへの愛着と作中では存在を否定されなければならない事への葛藤がつづられており、「もし再びゴジラを世に出すとなれば、反原水爆の象徴ではなく別の意味としてのゴジラとなる」旨を記している。「ゴジラFINAL WARS」にて田中、本多、円谷氏に並んで香山氏の名が無かった事、「シン・ゴジラ」に於いても原案もしくは原作者として香山氏の名が出なかった事についても上記の影響が無かったとは言い切れない。
今作と前作「ゴジラ」は表裏な関係となっており、前作「ゴジラ」は全体として陰鬱な作風であった(焼ける東京を前に「ちくしょう」と繰り返す山根新吉など)が、
対する「ゴジラの逆襲」は破壊による被害よりも「目の前の破滅にもへこたれず、復興のために頑張る強く明るい日本人」が印象深い。
最後のゴジラへの勝利も、片や「己が生み出した新兵器に絶望して、心中を選ぶ博士」に対して「知恵と勇気を振り絞り、人間の力で克服するパイロットたち」と全く対照的。
ゴジラの最期も「無残な悲鳴を挙げて骨を晒し、それすらも融けてなくなる」初代に対して「氷に埋もれるが生きている」二代目と、そこに希望の光も見出せる。
初代「ゴジラ」は徹底的に「悲劇」だったが、「ゴジラの逆襲」はむしろ人間やゴジラに強い希望を与えた作品であると言える。
そしてその「ゴジラの逆襲」を以って「完結作」とした脚本家の意志を見るのも面白い。
本作が以降のゴジラシリーズと比して異質さを強烈に印象付けているのはラストの月岡の台詞であろう。
「小林・・・とうとうゴジラをやっつけたぞ」
人間が「ゴジラをやっつけた」とゴジラとの戦いの勝利を明言するのは、前作の「若い世紀の科学者芹沢博士はついに勝ったのであります」の他は今作にしかない。
監督は東宝屈指の職人監督だった小田基義氏。円谷特撮とは前年の「透明人間」でも組んでいた。
本作は円谷英二氏が初めて「監督」としてクレジットされた作品である。
【あらすじ】
海洋漁業K.K(株式会社)に所属する飛行機パイロットの月岡は、不時着した同僚の小林を助けるために岩戸島に向かう。
そこで月岡と小林はゴジラと初めて見る怪獣が戦い海へと落下したのを目撃する。
2人の目撃から対策会議では新怪獣をアンギラスと断定。大阪への上陸を阻止すべく照明弾で外海へ誘導するものの、
脱獄囚の交通事故で発生したコンビナート火災の明かりに誘われゴジラとそれを追ってアンギラスが大阪へ上陸し、市街地を破壊しながら戦いを開始する。
【登場怪獣】
◆ゴジラ
前作よりも細身な別個体のゴジラ。
今回は開始数分で唐突に登場し、アンギラスと戦いながら大阪の街を壊しまくる。最後は北の海の神子島で防衛ン軍が人工的に起こした雪崩に閉じ込められる。
今回は初の対決ということで、前作よりも軽量化や着ぐるみの稼働範囲を上げる工夫がされている。
以後、2代目ゴジラとして『メカゴジラの逆襲』まで21年に渡り(ストーリーに矛盾はあるが)活躍した。
◆アンギラス
こちらも開始数分でいきなりゴジラと戦いながら登場。大阪でゴジラと戦うも最後は大阪城で喉を噛みつかれて絶命。
この頃はかなり凶暴な怪獣として描かれていた。今の怪獣映画と違い決着は前半で着いてしまうのである意味不遇。後半では忘れ去られる。
【登場人物】
◆月岡(演:小泉博)
本作の主人公で海洋漁業の飛行機パイロット。この頃はセスナで魚群を探して漁船に連絡していたらしい。
偶然2大怪獣を目撃したことから対策会議にも出席、その後は怪獣の戦いを見守った。
物語後半では大学に通っていたことや、かつて大日本帝国軍の飛行機隊に所属していたことを語っており、最後はその飛行機隊と共にゴジラと戦う。
◆小林(演:千秋実)
月岡の同僚で友人。
セスナが故障し不時着した先でゴジラに遭遇、北海道支社に転属等何かと貧乏くじを引かされる。
最後はセスナでゴジラに立ち向かい、ゴジラ攻略のヒントを月岡を与えた漢。
◆秀美(演:若山セツ子)
月岡の恋人で社長令嬢。普段は会社で無線係を勤めている。
◆社長(演:沢村宗之助)
海洋漁業の社長。本社や工場が壊滅しても、すぐ北海道支社で立て直しを計る、戦後復興期の日本人を体現したような人物。
◆山根博士(演:志村喬)
前作からの唯一の続投。今回はゴジラの脅威を伝え、対策のアドバイスをするのみだった。
◆田所博士(演:清水将夫)
東宝特撮名物の科学者ポジのキャラだが、アンギラスの命名以外出番がない。
【余談】
今作ではかなりのプロモーションが行われたらしく、アンギラスの名前は一般公募で決定され、
トラックにゴジラやアンギラスの大型の張りぼてを付けた街宣車を走らせていた。
また多数のコミカライズやノベライズの出版、前作に引き続き公開前にはラジオドラマの放送。
さらには「ゴジラさん」というレコードの販売(B面のタイトルは「うちのアンギラス」)等色々行われている。
ゴジラシリーズで唯一、予告編が現存していないが、特報は現存している。
【幻のゴジラ】
本作はアメリカに輸出された際に配給会社の違いからゴジラの名を使えず、ジャイガンティスという名前が使われた。
この輸出に際し追加シーンを撮るために新たにゴジラのスーツが作られた。タイトルも『火山怪獣』と変更する予定だったようである。
『冷凍凶獣の惨殺』のイブ・メルキオールとエド・ワトソンが書いた脚本によれば、ジャイガンティスとアンギラスは日米の科学者の合同チームによって発見され、
空母でアメリカに運ばれることになる(研究のためか、『キングコング』のような見世物目的かは不明)が、
途中で嵐に見舞われて二大怪獣は脱走し、上陸したサンフランシスコで死闘を展開するというものであったようだ(出展:青土社『怪物の事典』)。
しかし、アメリカ人俳優のシーンのない『空の大怪獣ラドン』が好評だったため追加シーンは作らないことが決定、このスーツはお蔵入りとなる。
このスーツに関しては写真が数枚しか残っていないため、ある意味幻のゴジラスーツとなり、輸出版の名前をとりジャイガンティスゴジラと呼ばれた。
現在では写真を元に酒井ゆうじ造形工房やT'sFactoなどが作ったガレージキットが販売されたりもしている。
セスナでゴジラに挑める人は、追記・修正よろしくお願いします。
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▷ コメント欄
- まさに逆襲。 -- ななし (2013-08-27 19:27:56)
- ゴジラと他の怪獣の初のタイトルマッチという点では、素晴らしい作品なんだが初代と比べると出来がなんとも。人間側のドラマに比重を置きすぎている気もする。 -- 名無しさん (2016-08-12 14:50:44)
- ゴジラの造形がキモ過ぎる 特に顔が -- 名無しさん (2016-08-12 15:08:38)
- キモいというか生物らしいだな -- 名無しさん (2016-08-24 03:19:50)
- 横から見た全身の姿がFW版と重なるのはFW版ゴジラが初代の後に現れたゴジラ?だからなのかなあ -- 名無しさん (2017-02-18 05:07:20)
- まだ怪獣プロレスのノウハウができる前の戦いだから今見ると逆に新鮮だよね。お互いに喉笛食いちぎろうといつまでも組み合ってるのが凄い動物的 -- 名無しさん (2018-01-05 14:46:05)
- 結末のカタルシスは寧ろ第一作より上かもしれない。 -- 昼太郎 (2019-04-03 20:35:50)
- 後の「84ゴジラ」や「vsビオランテ」のように防衛隊がゴジラに勝利する(完全にゴジラが死んだわけではないが)数少ない作品。前半は怪獣バトルがメインだが、後半は防衛隊とゴジラの対決が見どころになっている。 -- ななし (2019-11-05 16:33:57)
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