登録日:2020/05/17 Sun 17:52:31
更新日:2024/05/17 Fri 13:13:18NEW!
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SCP Foundation SCP-1046-JP SCP-JP SCP財団 箱
本オブジェクト情報の閲覧に際し、職員コードの提示が必要です。
SCP-1046-JP
登録日:2020/05/17 Sun 17:52:31
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SafeSCP Foundation SCP-1046-JP SCP-JP SCP財団 箱
SCP-1046-JPはシェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクトである。
オブジェクトクラスはSafe。
概要
SCP-1046-JPは、███県███山間部に存在する、一辺500mの正方形の領域である。
この領域の中にモノを入れると、一辺5cmの透明な立方体、あるいはそれが集合してできたものだと認識されてしまう。
これは領域外から観測しても同様。
領域内のモノが運動しても、「立方体の位置が変わっている」とのみ認識され、物体の運動として知覚することはできない。
この認識異常は相当強固なものであり、五感だけでなくあらゆる観測機器を通しても解除されない。
物体を領域内へ入れた瞬間から連続的に認識異常が進行していき、15分後には完全に立方体としか認識できなくなるが、領域内から出せばすぐに解除される。
この特異性のためにSCP-1046-JP内はすべてが立方体で構成されているように見えるが、実際には普通の森林が存在しているため、内部の「立方体」を外に持ち出すと「草木や石」として正しく認識されるようになる。
特別収容プロトコル
- SCP-1046-JPの周囲2kmに隔壁を設置し、カメラと機動部隊-5(墓守)により一般人が入らないように監視する。
- 特異性に曝露することを防ぐため、塀内部への侵入にはクリアランスレベル2以上の職員の許可が必要。
- SCP-1046-JPに一般人が接近したらカバーストーリー『絶滅危惧種の保護区』によって退去させる。内部に侵入されてしまったら、確保した後Aクラス記憶処理を行って解放。
収容経緯
SCP-1046-JPは19██/██/██、別のオブジェクトの探索を行っていた機動部隊により「あらゆるものが立方体で構成された森」として発見された。この特異性の範囲が判明するとともに、発足した機動部隊-5(“墓守”)が中心と予測される位置に探索に向かった結果[データ削除済]。
実験記録
実験記録1046-JP-1
対象: ボールペン1本
目的: SCP-1046-JPの特異性の解明
実施方法: ボールペンをSCP-1046-JP内に侵入させる。
結果: ボールペンはSCP-1046-JP内に入った瞬間から立方体としても認識される様になり、約15分後にはボールペンとして認識する事が不可能になった。
この時、ボールペンを観測していたカメラ全てと研究員全員が同じ認識異常の影響を受けていたことから、「観測する側」ではなく物品そのものを対象とした異常性であることが示唆された。
実験記録1046-JP-2
対象: ヘルメット1つ
目的: SCP-1046-JPの特異性の解明
実施方法: ヘルメットをSCP-1046-JP内部に侵入させて経過を観察する。
結果: ヘルメットはおよそ30個の立方体の集合体として認識されるようになった。
対象が大きい場合は前述の「立方体」の集合として認識される。
実験記録1046-JP-3
対象: SCP-1046-JP内に初期収容時から存在する物品
目的: SCP-1046-JPの特異性の解明
実施方法: SCP-1046-JP内の対象をサンプリングし、範囲外にて調査する。
結果: SCP-1046-JP外へ搬出するとともに、対象は周辺地域に自生する種の植物として認識されるようになった。成分分析やDNAの調査では対象に異常性は確認できなかった。対象をSCP-1046-JP内に戻すと、約15分をかけて立方体と認識されるようになった。
一度異常性に曝露した後に持ち出し、再び領域内に入れても特に認識異常の効果に変化はない模様。
ちなみにサンプリングの時には「草を引き抜く」という感覚は無く、「立方体を持ち上げる」としか感じられなかった。このことから、視覚だけでなくその他諸々全ての認識が書き換えられていることが分かる。
実験記録1046-JP-4
対象: ネコ(Felis catus)
目的: SCP-1046-JPの特異性の解明
実施方法: ネコをケージに入れた状態でSCP-1046-JP内に侵入させて経過を観察する。
結果: 暴露後ネコは多数の立方体が集合した実体として認識された。立方体はおおよそネコをかたどっており、ネコに準じた様々な姿勢を取っていたが動作として認識する事はできず、鳴き声や臭気なども観測できなかった。
ネコをかたどってはいるが、動作や鳴き声、臭いなどの「ネコらしい」モノはすべて認識されなくなってしまう。
実験記録1046-JP-5
対象: ネコ、D-1046-JP-1
目的: SCP-1046-JPの特異性の解明
実施方法: SCP-███-JPの特異性によりネコを認識できないDクラス職員に、SCP-1046-JP内の猫を観察させる。
結果: D-1046-JP-1はSCP-1046-JP内のネコを立方体の集合体として認識していた。ネコをSCP-1046-JP外へ搬出すると共にD-1046-JP-1は猫に対する認知を失った。
なんと他のオブジェクトの異常性を上書きできる。相当強力な認識災害のようだが……。
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SCP-1046-JP - 鍵をかけた柩
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http://scp-jp.wikidot.com/scp-1046-jp
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SCP-1046-JP
登録日:2020/05/17 Sun 17:52:31
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EuclidSCP Foundation SCP-JP SCP財団 箱
SCP-1046-JPはシェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクトである。
オブジェクトクラスはEuclid。
概要
SCP-1046-JP-A
SCP-1046-JP-Aは、███県███山間部に存在する、一辺500mの正方形の領域である。
この領域の中にモノを入れると、一辺5cmの透明な立方体、あるいはそれが集合してできたものだと認識されてしまう。
これは領域外から観測しても同様。
領域内のモノが運動しても、「立方体の位置が変わっている」とのみ認識され、物体の運動として知覚することはできない。
この認識異常は相当強固なものであり、五感だけでなくあらゆる観測機器を通しても解除されない。
物体を領域内へ入れた瞬間から連続的に認識異常が進行していき、15分後には完全に立方体としか認識できなくなるが、領域内から出せばすぐに解除される。
この特異性のためにSCP-1046-JP-A内はすべてが立方体で構成されているように見えるが、実際には普通の森林が存在しているため、内部の「立方体」を外に持ち出すと「草木や石」として正しく認識されるようになる。
SCP-1046-JP-B
SCP-1046-JP-BはSCP-1046-JP-Aの中央に入れ子状に存在する、一辺100mの正方形の領域である。
この領域にはミーム汚染効果があり、領域内の物品全てを「箱」であると思い込ませるようなミームの改変がなされる。
物体を領域内へ入れた瞬間から連続的にミーム汚染が進行していき、15分後には完全に「箱」としか認識できなくなるが、SCP-1046-JP-Aとは異なり領域内にいなければミームの改変は起こらない。
当初、この異常ミームは領域内でのみ伝播するもので、領域外では異常性は持続しないと思われていた。
しかし、20██/██/██、SCP-1046-JP-Bの監視任務に就いていた機動部隊員が、ミーム汚染に曝露していることが判明した。隊員たちはSCP-1046-JP-B内の設備について話したことがあり、その時にミームが伝播してしまったようである。
このことから、SCP-1046-JP-Bのミーム汚染は領域内にとどまらず、ヒトを介して外の物品も対象にすることが分かった。
この事案以降、これ以上の異常ミームの拡散を防ぐためにSCP-1046-JP-B内の監視は中止された。
さらに、20██/██/██、本オブジェクトの主任研究員である御匣博士を始めとする█名がSCP-1046-JP-Bに曝露していることが発覚した。彼らはSCP-1046-JP-Bそのものを「箱」と認識しており、クラスA記憶処理により回復した。
この事案により、SCP-1046-JP-B自体のミームも異常性の影響を受けており、このオブジェクトについての情報を介して外部に異常性を拡散することが発覚した。
つまり、領域内にあるものを認識しなければ大丈夫と思われていたものが、実はSCP-1046-JP-Bについての情報を”知っているだけ“でもミーム汚染を拡散させてしまうことが分かったのだ。
下手すると世界中のモノが「箱」になってしまう危険があり、収容違反の起きやすさからオブジェクトクラスをEuclidに変更。
異常ミームの伝播を防ぐため、この版の報告書へのアクセスをクリアランスレベル3以上の職員に限定することとなった。
特別収容プロトコル
- SCP-1046-JP-Aの周囲2kmに隔壁を設置し、カメラと機動部隊-5(墓守)により一般人が入らないように監視する。
- SCP-1046-JP-Bの領域を完全に覆うように、廃屋に偽装したサイト-81██を建設し、外部から領域内が観測されるのを防ぐ。
- SCP-1046-JP-Aの特異性に曝露することを防ぐため、塀内部への侵入にはクリアランスレベル2以上の職員の許可が必要。また、サイト-81██への侵入にはクリアランスレベル4以上の職員の許可が必要。
- SCP-1046-JP-Aに一般人が接近したらカバーストーリー『絶滅危惧種の保護区』によって退去させる。内部に侵入されてしまったら、確保した後Aクラス記憶処理を行って解放。
収容経緯
SCP-1046-JP-Aは19██/██/██、別のオブジェクトの探索を行っていた機動部隊により「あらゆるものが立方体で構成された森」として発見された。この特異性の範囲が判明するとともに、発足した機動部隊-5(“墓守”)が中心と予測される位置に探索に向かった結果、隊員が銃器の取り扱いを誤り3名の負傷者を出すという事件が発生した。
隊員はSCP-1046-JP-Aによる認識災害のことを知っており、装備が「立方体」と認識されてしまった場合の対処法も決められていたにも関わらず、である。
調査した結果、隊員たちの銃器に対する認識が「殺傷能力を持つ武装」から「箱」へと上書きされていたことにより銃器の取り扱い方法を間違えていたことが判明した。
これによりSCP-1046-JP-Aの内側に、ミーム汚染を発生させる別の異常性を持った領域が存在することが分かり、SCP-1046-JP-Bに指定された。
実験記録
実験記録1046-JP-B-1
対象: ボールペン1本、D-1046-JP-2
目的: SCP-1046-JP-Bの特異性の解明
実施方法: ボールペンをSCP-1046-JP-B内に侵入させ、D-1046-JP-2に経過を観察させる。なお、以降の実験を含め実験担当員は領域外からカメラとマイクを用いて指示している。
結果: 15分を待ってD-1046-JP-2に確認したところ、D-1046-JP-2はボールペンを「箱」の一種であると認識するようになっていた。この認識はボールペンがSCP-1046-JP-B外に持ち出されたタイミングで解消された。
Dクラスはミーム汚染によりボールペンを「箱」と認識してしまった。わざわざ「箱」なのは何か意味があるのだろうか?
実験記録1046-JP-B-2
対象: ボールペン1本、ヘルメット1つ、D-1046-JP-2
目的: SCP-1046-JP-Bの特異性の解明
実施方法: SCP-1046-JP-Bに曝露しているボールペンとヘルメットをD-1046-JP-2に視認させる実験を行う。実験前後でD-1046-JP-2に、一般的なボールペンとヘルメットが持つ共通点が何であるかという質問を行う。
結果: D-1046-JP-2は視認前には「わからない」、視認後には「どっちも箱だろ?」と回答した。
観測者の認識を書き換えているわけではなく、あくまで物品のもつミームを改変しているらしい。
実験記録1046-JP-B-3
対象: ボールペン1本、ヘルメット1つ、D-1046-JP-2
目的: SCP-1046-JP-Bの特異性の解明
実施方法: SCP-1046-JP-Bに曝露しているボールペンとヘルメットを、D-1046-JP-2に映像を通して観察させた後、一般的なボールペンとヘルメットが持つ共通点が何であるかという質問を行う。
結果: D-1046-JP-2は「箱だって事でしょ」と回答した。
直接見るか観測機器を通してみるかは関係なく、領域内にいることがミーム汚染の条件であることが分かる。
実験記録1046-JP-B-4
対象: D-1046-JP-2
目的: SCP-1046-JP-Bの特異性の解明
実施方法: SCP-1046-JP-B内で、最も一般的な「箱」の特徴をD-1046-JP-2に列挙させる。
結果: D-1046-JP-2は「透明である」、「掌大」、「立方体」などの特徴を持つ箱であると述べた。
SCP-1046-JP-Aの認識災害により認識される「立方体」と共通した特徴を見せる。他のDクラスでも実験したが、結果は変わらなかった。
実験記録1046-JP-B-5
対象: リンゴ、D-1046-JP-7
目的: SCP-1046-JP-Bの特異性の解明
実施方法: SCP-███-JPの特異性により、リンゴを[データ削除済]と認識するミーム汚染を受けたDクラス職員に、SCP-1046-JP-B内でリンゴが何に属する物品であるか答えさせる。
結果: D-1046-JP-7は「リンゴは箱であってそれ以外の何物でもない」と回答した。領域内においてはSCP-███-JPの特異性は発生していなかった。
SCP-1046-JP-Aと同じく他のオブジェクトによるミーム汚染を上書きできる。
Aによる認識災害といい、何か理由があるのだろうか?
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SCP-1046-JP - 鍵をかけた柩
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SCP-1046-JP
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Keter SCP Foundation SCP-1046-JP SCP-JP SCP財団 箱
SCP-1046-JPはシェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクトである。
オブジェクトクラスはKeter。
概要
SCP-1046-JP-A
SCP-1046-JP-Aについて
SCP-1046-JP-Aは、███県███山間部に存在する、一辺500mの正方形の領域である。
この領域の中にモノを入れると、一辺5cmの透明な立方体、あるいはそれが集合してできたものだと認識されてしまう。
これは領域外から観測しても同様。
領域内のモノが運動しても、「立方体の位置が変わっている」とのみ認識され、物体の運動として知覚することはできない。
この認識異常は相当強固なものであり、五感だけでなくあらゆる観測機器を通しても解除されない。
物体を領域内へ入れた瞬間から連続的に認識異常が進行していき、15分後には完全に立方体としか認識できなくなるが、領域内から出せばすぐに解除される。
この特異性のためにSCP-1046-JP-A内はすべてが立方体で構成されているように見えるが、実際には普通の森林が存在しているため、内部の「立方体」を外に持ち出すと「草木や石」として正しく認識されるようになる。
SCP-1046-JP-B
SCP-1046-JP-Bについて
SCP-1046-JP-BはSCP-1046-JP-Aの中央に入れ子状に存在する、一辺100mの正方形の領域である。
この領域にはミーム汚染効果があり、領域内の物品全てを「箱」であると思い込ませるようなミームの改変がなされる。
物体を領域内へ入れた瞬間から連続的にミーム汚染が進行していき、15分後には完全に「箱」としか認識できなくなるが、SCP-1046-JP-Aとは異なり領域内にいなければミームの改変は起こらない。
当初、この異常ミームは領域内でのみ伝播するもので、領域外では異常性は持続しないと思われていた。
しかし、20██/██/██、SCP-1046-JP-Bの監視任務に就いていた機動部隊員が、ミーム汚染に曝露していることが判明した。隊員たちはSCP-1046-JP-B内の設備について話したことがあり、その時にミームが伝播してしまったようである。
このことから、SCP-1046-JP-Bのミーム汚染は領域内にとどまらず、ヒトを介して外の物品も対象にすることが分かった。
この事案以降、これ以上の異常ミームの拡散を防ぐためにSCP-1046-JP-B内の監視は中止された。
さらに、20██/██/██、本オブジェクトの主任研究員である御匣博士を始めとする█名がSCP-1046-JP-Bに曝露していることが発覚した。彼らはSCP-1046-JP-Bそのものを「箱」と認識しており、クラスA記憶処理により回復した。
この事案により、SCP-1046-JP-B自体のミームも異常性の影響を受けており、このオブジェクトについての情報を介して外部に異常性を拡散することが発覚した。
つまり、領域内にあるものを認識しなければ大丈夫と思われていたものが、実はSCP-1046-JP-Bについての情報を”知っているだけ“でもミーム汚染を拡散させてしまうことが分かったのだ。
下手すると世界中のモノが「箱」になってしまう危険があるわけである。
異常ミームの伝播を防ぐため、この版の報告書へのアクセスをクリアランスレベル3以上の職員に限定することとなった。
SCP-1046-JP-C
SCP-1046-JP-CはSCP-1046-JP-Bの中央部にさらに入れ子状になって存在する空間異常である。
この空間異常は我々の世界である3次元を超えた超次元にわたって空間が歪んでおり、内部に物品を入れると鏡像反転・内外反転・座標反転が生じる……つまり、物体の向きや内外や部分ごとの位置が滅茶苦茶になってどんなに強固なものでもあっさり破壊される。
この空間異常は一定した形ではなく、常に形を変動させている。
これが拡大して地球を包み込んだ日にはXKクラス-世界終焉シナリオ一直線であるため、オブジェクトクラスはKeterに変更。拡大を防ぐ手段が模索された。
SCP-1046-JP-Cの空間歪曲は空間ポテンシャル流能動破波堤*1によって逆方向の歪曲を作り、ある程度相殺できる。
しかし、この空間異常はどういう基準で拡大・縮小しているのか当初は不明だった。
その後、SCP-100-JPの一部が崩壊し、宇宙に文字通り激震が走った時、SCP-1046-JP-Cが縮小していることが確認された。
さらに細かく調査を行った結果、空間異常は「宇宙の安定度」に応じてその大きさを変えていることが確かめられた。
宇宙が安定であるほど拡大し、宇宙が不安定になると縮小するのである。
つまり、SCP-1046-JP-Cの拡大を防ぐためには宇宙を不安定に保たなくてはならないのだ。…なんだこのへそ曲がりは。
この調査結果から、SCP-1046-JP-Cの大幅な拡大が予測される場合は、宇宙に衝撃を与えるようなアノマリーを人為的に収容違反させて宇宙を不安定化するというプロトコル「アンタゴニスト*2」が制定された。
もちろん宇宙を不安定にするようなSCiPといえばそれ単体でもKクラスシナリオにつながりかねないようなヤバい奴ばかりであり、このプロトコル「アンタゴニスト」は諸刃の剣にも程がある大変危険なものである。
複数のオブジェクトの機密を扱う必要があることから、報告書のこの版へのアクセスはクリアランスレベル4以上の職員に限定されている。
特別収容プロトコル
- SCP-1046-JP-Aの周囲2kmに隔壁を設置し、カメラと機動部隊-5(墓守)により一般人が入らないように監視する。
- SCP-1046-JP-Bの領域を完全に覆うように、廃屋に偽装したサイト-81██を建設し、外部から領域内が観測されるのを防ぐ。
- SCP-1046-JP-Aの特異性に曝露することを防ぐため、塀内部への侵入にはクリアランスレベル2以上の職員の許可が必要。また、サイト-81██への侵入にはクリアランスレベル4以上の職員の許可が必要。
- SCP-1046-JP-Aに一般人が接近したらカバーストーリー『絶滅危惧種の保護区』によって退去させる。内部に侵入されてしまったら、確保した後Aクラス記憶処理を行って解放。
- SCP-1046-JP-Cは、空間歪曲の中心と思われる点から10m離れた位置に12台の空間ポテンシャル能動波堤を設置し、最低8台を常に稼働させる。20m離れた位置に予備の空間ポテンシャル能動波堤を24台用意し、8時間ごとに稼働中のものと交代する。
- SCP-1046-JP-C領域の変動は常に記録され、異常な拡大が予測される場合はプロトコル「アンタゴニスト」が実行される。
収容経緯
SCP-1046-JP-Aは19██/██/██、高次元空間解析技術の試作実験時に発見された、宇宙を横断する空間歪曲の3次元断面の探索を行っていた機動部隊により「あらゆるものが立方体で構成された森」として発見された。この特異性の範囲が判明するとともに、発足した機動部隊-5(“墓守”)が中心と予測される位置に探索に向かった結果、隊員が銃器の取り扱いを誤り3名の負傷者を出すという事件が発生した。
隊員はSCP-1046-JP-Aによる認識災害のことを知っており、装備が「立方体」と認識されてしまった場合の対処法も決められていたにも関わらず、である。
調査した結果、隊員たちの銃器に対する認識が「殺傷能力を持つ武装」から「箱」へと上書きされていたことにより銃器の取り扱い方法を間違えていたことが判明した。
これによりSCP-1046-JP-Aの内側に、ミーム汚染を発生させる別の異常性を持った領域が存在することが分かり、SCP-1046-JP-Bに指定された。
SCP-1046-JP-A、-Bの発生起源を突き止めるため、領域中心へのさらなる探索が行われた結果、光を屈折させる異常空間が発見された。
これこそが前述の空間歪曲と同じものであることが確認され、SCP-1046-JP-Cに指定された。
実験記録
実験記録1046-JP-C-1
対象: 鉄製の棒
目的: SCP-1046-JP-Cの特異性の解明
実施方法: SCP-1046-JP-C内にマニピュレーターを用いて鉄製の棒を侵入させる。
結果: SCP-1046-JP-C内に侵入した部分が引き伸ばされ、見かけ上SCP-1046-JP-Cの予測中心点を基準として対称移動した位置に鉄製の棒の前端が移動した。直後にSCP-1046-JP-C範囲が大きく変動しマニピュレーターがSCP-1046-JP-Cの影響を受けて破損したため実験中止した。回収された機材をSCP-1046-JP-A外で検査した所、鉄製の棒は中央で破断し、マニピュレーターは一部が左右反転し、継接ぎされた様に変形していた。
もし巻き込まれたらヤヴァイ(確信)。
実験記録1046-JP-C-2
対象: 中空のケース
目的: SCP-1046-JP-Cの特異性の解明
実施方法: SCP-1046-JP-C内にマニピュレーターを用いてケースを侵入させる。
結果: ケースは見かけ上引き伸ばされるように変形。領域外へ搬出し検査すると、ケースはその内側と外側が逆転した状態になっている事が判明した。
研究主任の御匣博士によると、高次元空間を経由しての反転で引き起こされているのではないかとのこと。
このことから、空間ポテンシャル能動波堤を用いてSCP-1046-JP-Cの縮小ができるのではないかという予測がなされた。
実験記録1046-JP-C-3
対象: SCP-1046-JP-C
目的: SCP-1046-JP-Cの収容確立ないしは無力化に対する初期実験
実施方法: 空間ポテンシャル流能動波堤を用いて空間歪曲を相殺し、SCP-1046-JP-Cの範囲の縮小を試みる。
結果: 中止。詳細はインタビュー記録を参照。
最後の実験のみ、いきなり中止されている。なんでも、主任だった御匣博士が突如として独断で装置を停止させてしまったとのこと。
実験の勝手な中止をした博士はエージェントからの尋問を受けたのだが……。
インタビュー記録
対象: 御匣博士
インタビュアー: エージェント・██████
付記: 御匣博士は自らSCP-1046-JP-C内部の観測を行っていたが、突然他研究員の了承を得ずに空間ポテンシャル流能動波堤を緊急停止させた事から、エージェント・██████によって尋問を受けた。
<録音開始>
[データ削除済]
<録音終了>
…御覧の通り、全て[データ削除済]になっている。博士は何を語ったというのだろう?
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SCP-1046-JP - 鍵をかけた柩
by R-00X
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本ファイルの閲覧における警告
本ファイルへのアクセスはレベル5クリアランス以上またはレベル4/1046-JPクリアランスを付与された職員にのみ許可されています。
適切なセキュリティクリアランスを以っての抗体ミームの摂取無しにファイルを閲覧した場合、ミーム抹殺エージェント・“キュリオシティ・キルズ・パンドーラ”により致死的な脳機能停止を招きます。
生命活動の継続を確認しました。
当該ファイルをご参照下さい。
SCP-1046-JP
登録日:2020/05/17 Sun 17:52:31
更新日:2024/05/17 Fri 13:13:18NEW!
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scp foundation scp-jp scp財団 thaumiel 箱 収容 scp-1046-jp 鍵をかけた柩 柩 r-00x
それが箱そのものならば、それはThaumielです。
SCP-1046-JPはシェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクトである。
オブジェクトクラスはThaumiel。
概要
SCP-1046-JPは、内部に複数の気泡を含んだ一辺5㎝程の透明な立方体である。
この立方体は、少なくとも██次元上に存在する超立方体の3次元断面である。
どういうことなのかというと、3次元の物体である立方体をカットした断面は2次元の正方形になっているように、3次元よりも高次元の空間の物体の断面は3次元になり得るということなのだ。
これは数学において4次元を発見する試みでも用いられる考え方である。
3次元の図形「立体」を分解すると、2次元の図形「面」が得られる。2次元の図形「面」を分解すると、1次元の図形「線」が得られる。
ということは、4次元の図形を分解すれば3次元の物体が得られる。
逆に言えば、3次元の図形の組み合わせで4次元は構成されているのではないか…ということである。
つまり、高次元な空間はそれより低次元なものを内包しており、高次元空間の断面として低次元が現れると考えていただきたい。
SCP-1046-JPの周囲は常に2.0×10-██Hm未満という異常な低ヒュームとなっており、SCP-1046-JPが自身を現実改変し続けている影響か、またはSCP-1046-JPが現実改変を行うために用意された環境だと考えられている。
さらに、このオブジェクトには相対したものに自分の「用途」を伝えるという異常ミームを持っている。
そう、SCP-1046-JPは“道具”なのだ。
そして御匣博士はその用途を実験直前に唐突に理解した。だからこそ事件を独断で中止するという危険な行為に出たのである。
ではSCP-1046-JPの”用途“とは一体何なのか?
前の版の報告書で[削除済]になっていたインタビュー記録にその全てが記されている。
インタビュー記録
対象: 御匣博士
インタビュアー: エージェント・██████
付記: インタビューは御匣博士がSCP-1046-JP-Cの観測実験を中止した理由について尋問する意図で行われた。
<録音開始>
エージェント・██████: それでは尋問を開始する。単刀直入に尋ねるが、なぜ貴方はSCP-1046-JP-C観測実験を他の研究員へことわる事なく中止した?それも能動波堤の緊急停止なんて危険な方法で。
御匣博士: 冷静では居られませんでした、アレを知ってしまっては。
エージェント・██████: アレ?アレとはなんだ?
御匣博士: 「箱」ですよ、貴方もSCP-1046-JP-A、-Bの実験記録はご存知でしょう。
エージェント・██████: それはもしや被験者が認識していたと言う……。
御匣博士: ええ、透明な、5cmぐらいの立方体。やはりそれが一連の特異性の根源でした。
エージェント・██████: まて、何故それがSCP-1046-JP-Aや-Bの源だと分かった?貴方は実験時あくまで肉眼で観察するに留まっていたはずだ。
御匣博士: だからこそなのかもしれませんよ。
エージェント・██████: [溜め息]博士、私は貴方と会話を楽しみたいんじゃないんだ。この会話は記録され、恐らく報告書に情報として記載される。その事を自覚して頂きたい。
御匣博士: 分かっていますよ、簡潔に話せと仰るんでしょう。ええ、ええ。上手く纏められるかは分かりませんが……。
エージェント・██████: それでは改めて尋ねる。何故貴方はその箱とやらが特異性の根源だと分かった?
御匣博士: 一言で言うなら、それもまたSCP-1046-JPの特異性なのでしょう。あれは道具だ、人が使うための。だから取扱説明書が付いている。つまりは、あー、私が「箱」を見たとき、その「箱」が何なのか、どう使う物なのかという情報が、私の頭の中に突然降って湧いたのです。
エージェント・██████: それ以外に根拠は?
御匣博士: ありません。それが正しいのか否か実証するのはこれからの仕事です。
エージェント・██████: では、何故そこから実験の中止を強行するに至った?
御匣博士: 一歩間違えれば、世界を無駄死にさせていたかもしれなかった。その情報が嘘か真かは分かりませんでしたが、万が一本当だとしたら、そう思うと動かずにはいられなかった。
エージェント・██████: 世界を無駄死にさせる?どういう事だ。
御匣博士: SCP-1046-JPは「箱」です、モノをしまい込むための。そしてSCP-1046-JP-Cはその箱の鍵なんです。あの実験で、我々は無闇にその鍵をこじ開けようとしていた。
エージェント・██████: 箱の中には何かしらマズいものが、あーつまり、例えばKクラスシナリオなんかを引き起こし得るようなものが封印されてて、実験を続けてればそれを解放する事態になっていたと?
御匣博士: それもあるでしょうが、重要なのはその後です。あの「箱」は一度開けば、直ぐにでも周りのものを引きずり込んで再び己を固く閉ざす。全てのものを中に閉じ込めるんです。
エージェント・██████: その全てというのは……。
御匣博士: 世界全てのようですよ。あるいは宇宙と言った方が適切でしょうか。
エージェント・██████: 箱は、せいぜい5cm程度なんだろう?
御匣博士: 私達が認識できる範囲ではそうです。しかし実態は違う。3次元上に存在する我々にとっては「箱」の断面たる透明な立方体しか認識できませんが、実際には██次元上に存在し、その一端を我々の世界に伸ばしている、そういうモノだそうです。
エージェント・██████: すまんがもう少し噛み砕いて説明してくれないか。
御匣博士: そうですね……例えば我々は、2次元上に存在し、3次元を認識できないなんていうオブジェクトを幾らか収容していますが、そういうものが紙の上にいたとして、そこに箱を置くと彼らにはどう見えるでしょうか。
エージェント・██████: どう見える?
御匣博士: 彼らはその2次元上にあるものしか見る事ができません。彼らにとってはその箱の断面図である四角形しか見る事は叶わないし、少なくとも彼らにとってはその四角形こそが実体なのです。あの「箱」もそういうものなんだと思います。
エージェント・██████: あー、つまり……見かけで判断はできないんだな?
御匣博士: ええ。
エージェント・██████: じゃあSCP-1046-JP-Aや-Bも箱の機能に関わりがあるのか?
御匣博士: はい。SCP-1046-JP-A、-Bはそれぞれ概念的あるいはミーム的なオブジェクトに対する箱として機能するようです。それらだけでない。空間的、時間的、物理的、霊的、異常な法則や過去改変、現実改変に対しても箱は用意されています。ただ、それらは「箱」の中に収まっていますから、我々には観測する事は出来ないでしょう、恐らく。
エージェント・██████: 何故そこまで……。
御匣博士: 確かに不要かもしれませんね。しかし必要でもあるかもしれない。この「箱」が仕舞っておけないモノがあってはならないのですよ。押し込めて、閉ざして、遠ざける為の「箱」なんです。
エージェント・██████: その口ぶり……博士はさっきもSCP-1046-JPを道具だと言ったな?そうなるとやはり、SCP-1046-JPは誰かが作ったものなのか。
御匣博士: そうです。恐らく、必要に迫られた誰かがコレを作り、そして真っ先にそれを自身の世界で使い、滅ぼした。いえ、滅んだから使った、の方が正しいでしょうか。
エージェント・██████: そんな危険なもの作って挙句自分達を滅ぼした?一体全体なんの為に。
御匣博士: 分かるはずですよ。彼らと私たちは志を同じくする者の筈ですから。異常物は、それが異常性を振りまかぬよう収容されねばなりません。そして、異常性は時として世界の垣根すら越えて正常を蝕む事を、我々は知っている筈です。
エージェント・██████: だから、終焉した世界を収容する、せめて"それ以上"の被害を防ぐ為に?
御匣博士: それも、「鍵」、つまりSCP-1046-JP-Cの性質を考えれば分かるでしょうが、SCP-1046-JPの機能はアノマリーが"空間を破る"事をきっかけにして自動的に発動されるものです。先の実験で能動波堤でSCP-1046-JP-Cへ干渉可能である事が判明したとはいえ、現状では常にSCP-1046-JPの起動と、それに伴うK-クラス世界終焉シナリオの危険性と隣り合わせであると言わざるを得ないでしょう。
エージェント・██████: [溜息]これは……俺達だけで結論を出していい問題じゃない。直ぐにでもこの記録を上へ提出して、SCP-1046-JPとの付き合い方を決める必要がある。
御匣博士: ええ。ですが一方で、私が語ったのはあくまで私が突然手に入れた情報です。まずはその正確性を確かめる必要があるでしょう。
エージェント・██████: 心配せずともそうなるさ。ありがとう、インタビューを終了する。
<録音終了>
そう、SCP-1046-JPは「箱」なのだ。
しかし、それは単なるモノをしまう「箱」ではない。
滅亡に瀕した世界…いや、その宇宙の全てを閉じ込めるための「箱」。
世界の垣根をも超えて他の世界にも異常性を及ぼしかねない脅威を1つの世界だけに閉じ込め、遠ざけるための「箱」だったのだ。
この装置は恐らく、どこかの世界の財団に相当する組織が、自分たちの世界が滅亡に瀕した時にせめて他の世界だけでも救うためにと作り出したものだったのだ。
そしてそれは高次元空間から様々な世界に「立方体」という形で断面をのぞかせている。
その世界が滅んだ時に「全て」を封じ込め、他の世界に被害を拡大させないために。
さらにSCP-1046-JP-Aは認識災害を、SCP-1046-JP-Bはミーム汚染を封じ込めるための「箱」だった。これらが他のオブジェクトの異常性を上書きできるのは、この役割を果たすためだったのである。
他にも、空間的、時間的、物理的、霊的、異常な法則や過去改変、現実改変に対してもそれぞれを閉じ込める「箱」が用意されているという。いかなる脅威が存在したとしてもいずれかの「箱」がそれを封印できるように。
SCP-1046-JPが世界を封じ込める仕組み
最初に、この図を見ていただきたい。
画像出典:http://scp-jp.wikidot.com/forum/t-5531193/scp-1046-jp ,by R-00X
この画像は『 クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス 』に従います。
この図は、「2次元上の輪をどのように変形させれば内外を反転できるか?」という思考実験の過程を示した図である。最初の状態で内側は緑色、外側は黄色になっている。
図の上半分のように輪を2次元上に置いたままでは、いくら変形させたとしても内と外を反転させることなどできない。
しかし、図の下半分のように輪を一旦3次元空間上に取り出し、めくりあげるようにすれば、内と外は容易に入れ替えられる。
ここで輪をSCP-1046-JP、輪を一旦移動させた3次元空間をSCP-1046-JP-Cに置き換えてみる。
つまり、2次元の図形であった輪を3次元空間によって反転させられたように、3次元の「立方体」であるSCP-1046-JPもより高次元の空間を使うことで反転させることができるのだ。
そしてこの、SCP-1046-JPを反転させている高次元空間こそが、SCP-1046-JP-Cなのである。
次の図を見ていただきたい。
画像出典:http://scp-jp.wikidot.com/forum/t-5531193/scp-1046-jp ,by R-00X
この画像は『 クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス 』に従います。
1.まず、SCP-1046-JPは定常状態ではSCP-1046-JP-Cに包まれ、デフォルトで反転した状態を保っている。
2.何らかの要因により宇宙の不安定さが増大するとSCP-1046-JP-Cは縮小し、ついには消失する。これにより反転状態に保つ術を失ったことでSCP-1046-JPは内と外を反転させる(反転イベント)。
3.反転により、SCP-1046-JPの外側に「内部」が、内側に「外部」が存在する形となる。
4.この直後、SCP-1046-JP-Cが「外部」である内側で復活。これによりSCP-1046-JPは再び反転する(再反転イベント)。この時、SCP-1046-JPの「内部」である外側と接していた宇宙を巻き込んで再反転と同時に内部へと格納する。
5.SCP-1046-JPは元の状態へと戻る。この時、宇宙の外殻だったものが気泡としてSCP-1046-JP内部に残る。つまり、SCP-1046-JPに観察された気泡は、これがいままでに何度も起動したことを示していたのだ。
そう、SCP-1046-JP-Cを縮小させる試みは、SCP-1046-JPの反転を促すことになってしまう。
博士は実験直前にこの仕組みが唐突に頭の中に流れ込んできたことで実験を中止した。
下手すれば世界のすべてが「箱」に閉じ込められるところだったのだ。超ファインプレーである。
さらに詳細な調査を行った結果、御匣博士の頭に流れ込んできた情報は全て事実だったことが判明し、O5評議会はSCP-1046-JPの取り扱い方について協議を行った。
その結果、プロトコル「インヒビター」と「アポトーシス」が制定された。
「インヒビター」とは「抑制するもの」という意味である。
SCP-1046-JPの反転イベントを生じさせない程度にSCP-1046-JP-Cの縮小を抑止するということを表しているのだろう。
「アポトーシス」は生物学用語で、「細胞死」を意味する。一部の細胞が体全体を維持するために自ら死を選ぶ現象のことである。
このプロトコル名が何を意味するのかは……もはや言うまでもないだろう。
最後に
SCP-1046-JPは財団の切り札たるThaumielである。
しかし、機械仕掛けの神のように人類の文明を最初からやり直すこともできなければ、逆因果の円環のように世界の滅亡を先延ばしにすることもできない。
できることは一つだけ……世界が滅び去る前にまるごと「箱」に閉じ込め、他の世界に脅威をもたらすことを食い止めるだけだ。
この世界を救うためではなく、他の世界に希望をつなぐためのThaumiel。
我々が敗北するその日まで、プロトコル「インヒビター」は成されねばならない。
我々が敗北するその日、プロトコル「アポトーシス」は成されねばならない。
確保、収容、保護。- O5-1
SCP-1046-JPにより、今までに多くの世界が救われたのだろう。
だが、閉じ込められた世界は……「箱」の中で滅亡を待つだけだ。
これはもはや「箱」ではなく………
SCP-1046-JP
鍵をかけた柩
余談: SCP-1046-JPの隠された性質
実はSCP-1046-JP、SCP-1154-JPという別著者の作品にて登場する。(以下、SCP-1154-JPのネタバレあり)
SCP-1046-JP、実は動かせる。普通に海外とかにも運べる。
では、なぜその情報が報告書に載っていないのか。それは日本支部だけの秘密だから。アメリカの財団本部には知られてはいけない。そんな些細な性質がなんで秘密!?と思うかもしれないが、このSCP-1046-JPはSCP-1153-JP起動阻止に役立つのだ。
要するに、日本支部は「もしSCP-1153-JP起動したらSCP-1046-JP再反転イベント起こすよ!?いいの???」という感じで脅しをかけているのだ。
ちなみに移動できるという性質は████博士ではなくSCP-1154-JPの異常性により知ることができたもの。これによってSCP-1154-JP運用の軸であった、SCP-1153-JPの起動阻止を目的とする「ダヂカラ計画」は完遂された。
追記・修正は棺の中からお願いします。
▷ CC BY-SA 3.0に基づく表示
The-Interest-Kills-Pandora
by R-00X
http://scp-jp.wdfiles.com/local--files/scp-1046-jp/The-Interest-Kills-Pandora.jpg
SCP-1046-JP - 鍵をかけた柩
by R-00X
http://scp-jp.wikidot.com/scp-1046-jp
SCP-1154-JP - 見られるべき夢
by falsehood
http://scp-jp.wikidot.com/scp-1154-jp
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▷ コメント欄
- 画像を貼るのは初めてなので、もしかしたら使い方が間違っているかもしれません……。何か問題があればご指摘お願いします。 -- raiser (2020-05-17 18:04:03)
- 内側になった。 -- 名無しさん (2020-05-17 18:46:10)
- あーなるほどそういうことね完全に理解した(わかってない) -- 名無しさん (2020-05-17 20:27:52)
- なるほどね -- 名無しさん (2020-05-17 20:41:50)
- 世界版一人去る時 -- 名無しさん (2020-05-17 20:44:31)
- 切ないthaumielだな。やっぱ「内側」思い出す。ミステリーボックスってこいつの親戚かなと思ったけどあっちは直方体か -- 名無しさん (2020-05-17 21:19:25)
- 作者さんは違うけど、なんとなくマトリョーシカを思い出す。いや全然違うんだけどね -- 名無しさん (2020-05-17 22:21:46)
- 全然違うどころか正反対の存在なのでは -- 名無しさん (2020-05-17 23:43:44)
- 「鍵をかけた箱」の例えで表現されてきた4つのオブジェクトクラスを存分に活用した作品。サブタイトルもだからこそ、だわな -- 名無しさん (2020-05-18 13:09:53)
- ↑あーそっか、これボックステストがモチーフなのか! それぞれの「箱」がクラスに対応してるわけか……なるほどなぁ -- 名無しさん (2020-05-18 14:11:06)
- あらゆるものが箱と認識される世界、でもう脳内がマインクラフトやんけ!一色だった -- 名無しさん (2020-05-18 16:31:36)
- 確かにThaumielだけど完全に道連れ用の自爆スイッチなんだよなぁ… -- 名無しさん (2020-05-18 19:13:26)
- なるほどわからん -- 名無しさん (2020-05-18 21:04:02)
- ↑2 むしろ道連れにしない用では? -- 名無しさん (2020-05-18 21:42:08)
- 平行世界を股にかけて世界をぶっ壊すようなオブジェクトへの最終手段だったものってことだよな?鍵を掛けた柩とは言うけど内側から鍵を掛けた感じだな -- 名無しさん (2020-05-18 23:31:21)
- ↑2 Kクラスシナリオの元凶と道連れ -- 名無しさん (2020-05-19 02:18:13)
- よく -- 名無しさん (2020-06-21 22:19:22)
- ↑ミス -- 名無しさん (2020-06-21 22:22:04)
- よく考えると、この財団世界の1046-cがかなり小さいのってこの宇宙がとんでもなく不安定だってことを意味してないか? -- 名無しさん (2020-06-21 22:26:39)
- それが箱その物ならThaumiel、か… -- 名無しさん (2020-06-27 19:46:16)
- なんか前置きが長すぎる上に全編にわたってややこしいせいでオチにたどりついてもすげー!ってなれない -- 名無しさん (2020-08-19 15:44:57)
- SCP-1000-JPと同じ感じだね、無駄に難解で解説の解説が必要なオブジェクト。 -- 名無しさん (2020-08-19 20:04:57)
- この記事単体よりもtalesの「とじろ」も読む事をお勧めします。アレを読めばコレが大体どんなオブジェクトなのかは分かると思う -- 名無しさん (2020-08-19 21:02:12)
- 流石にtale前提のSCP-1000-JPと比べればよっぽどわかりやすいよ。数学の心得が無いと厳しいだろうけど -- 名無しさん (2020-09-03 12:11:27)
- 異常性の肝は特別な知識一切なくても理解できるように書かれてるし複雑さも難解さも感じないなぁ -- 名無しさん (2020-09-03 20:18:05)
- 言い回しこそゴチャゴチャしてるがモチーフであるボックステストに気付ければSCPとしては難しい方には入らないと個人的には思う。……てかスルーされてるけど実験記録1046-JP-5 の「猫を認識できない異常性」ってつまりねこですかよろしくおねがいします。 メモ -- 名無しさん (2020-09-03 20:57:00)
- 超簡潔に言おうか。世界を殺す死の概念とか、世界ごとラノベに変える本とか、あーいう奴らを世界ごと封印するオブジェクトだ。 -- 名無しさん (2020-09-06 08:50:46)
- 最初読んでたら「マイクラ的設定の空間異常かな?」って思っちゃったけど後半で規模がぶっ飛んだな -- 名無しさん (2021-01-31 07:12:03)
- まるでSCP-654-JPの逆バージョンみたいだ。 -- 名無しさん (2021-11-13 21:40:02)
- 自分の無能を開き直って「無駄に難解」なんて台詞を言えちゃう人、あまりに可哀そう -- 名無しさん (2022-03-24 18:47:24)
- 被害を自分の世界、宇宙、つまり最小限に留めて他の世界を守るためのオブジェクト。死なば諸共の逆をいく所が財団の決意を感じる -- 名無しさん (2022-06-03 04:28:11)
- “ それが箱そのものならば、それはThaumielです。”でそういうことかー!ってなってゾクッときた -- 名無しさん (2022-11-04 12:07:50)
- SCP-1046-JP-CにSCP-225-2が突っ込んだらどうなるのっと -- 名無しさん (2022-11-24 03:49:27)
#comment(striction)
*2 アンタゴニストは生物学においてホルモンなどの伝達物質と拮抗的に作用してその働きを抑え込む物質のことを指す。他の危険なアノマリーの収容違反で異常空間の拡大を防ぐというこのプロトコルの性質を端的に表していると言えよう。
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