五式中戦車 チリ

ページ名:五式中戦車 チリ

登録日:2023/01/03 Tue 22:28:46
更新日:2024/06/28 Fri 13:37:02NEW!
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五式中戦車 チリとは 大日本帝国が開発・試作した最後にして最強(当社比)の戦車である。


ただし量産の目途が立たないままに試作段階で終戦を迎えたため、厳密に言うと「試製五式中戦車」と呼ぶのが正しいかもしれず、書籍やwebサイト等でもそっちの表記が使われている場合もある。



【どんな戦車?】


冒頭でも触れたが、第二次世界大戦において日本陸軍が開発した最後の中戦車であり、戦争を通じて陸軍の主力だったチハたん即ち九七式中戦車、その末弟にあたる戦車こそがこのおチリちゃんである。
チトこと四式中戦車は、ほぼ同時期に開発されていた、いわば兄弟機にあたる。


チハたんとは分類こそ同じ「中戦車」だが、主砲口径約1.5倍車体重量約2倍正面装甲厚に至っては3倍となっているなど、性能インフレが非常に激しい。


これは世界の中戦車界(?)のインフレに合わせたためで、列強の戦車に比べて圧倒的に立ち遅れていた日本戦車の性能を一気に引き上げるべく、大幅な技術的ステップアップを目指して開発された、まさしく期待の新星だった。


なのでそれまでの日本戦車には見られなかった新技術やノウハウがふんだんに使用されており、様々な部分で他の日本戦車とは一線を画する革新的ポインツが多々みられる。




【性能】


「走」

五式チリちゃんの革新的ポインツその1


それまでの日本戦車は、伝統的にディーゼルエンジンを採用してきた。
ディーゼルはガソリンエンジンに比べて重いデカい!その割に出力が低い取り扱いが難しいと難点も多いのだが、燃費の良さトルクの大きさ被弾時の引火しにくさなどの長所もあり、そちらが買われたためだった。


しかしフル装備でも16tに満たなかったチハたんに対し、五式は本体重量だけで35tを越えるヘビィ級。シャーマンやT-34とほぼ一緒なのにヘビィ級?とか言わないように
その重量を軽快に動かせるレベルの高出力ディーゼルはいまだ完成してなかったため、五式では日本中戦車としては初めてガソリンエンジン、具体的には川崎重工製の液冷V型12気筒エンジン「ハ9-II乙」の改修型を搭載することになった。


これは川崎が主に陸軍航空機向けにライセンス生産&改良してきたドイツBMW製の液冷/水冷エンジン、いわゆる「ベ式発動機」シリーズの(ほぼ)最終モデルを戦車用に改修*1したもので、既に航空機用としては旧式化していたが、その出力は貫録の550馬力に達する。
改修の際になぜか*2重量が爆増(0.6t→1.9t)しているのが気になるが、それでもチリちゃんのグラマラスボディを動かすのに十分な出力を持ち、エンジンパワーに対する車重、即ち出力重量比は1tあたり15馬力超。日本中戦車の中では最強を誇る。


さらに日本戦車のもう一つの伝統だったムカデめいた懸架装置、いわゆるシーソー式ダブルボギーサスも大胆に廃止。世界的流行となっていたトーションバーサスペンションの採用に踏み切った
……のだが、開発中にトーションバー機構の研究者だった博士が事故死するというまさかの事態が発生し目論見が破綻。結局従来型のサスペンションで我慢することになってしまう。
しかしチハたんなどから得た運用データを反映した改良はきっちり施され、左右それぞれが全ての車輪を一つのサスで連動させていたそれまでの方式を改め、それぞれをさらに前後に分割して独立させた
これによりシーソー式の欠点だった「登攀性の低さ」「耐ダメージ性の低さ」などがある程度改善されている


またトランスミッションも非常に野心的な設計で、世界的にもかなり最先端、日本戦車としては無論初めてのオートマチック・トルクコンバータ機構を搭載……する予定だったのだが、これまた技術不足で開発に失敗
結局は旧来の操作系の発展強化型となったのだが、それでもシンクロメッシュギア(現代のMT車のトランスミッションにも使われている高度なギア)の変速機や、操縦系の油圧補助装置など、世界水準に近づけるためかなりがんばった事が読み取れる。



「攻」


日本陸軍の誇る最新型75mm砲「五式7センチ半戦車砲I型」を主砲として搭載。
日本戦車のそれまでの戦車砲と違って対戦車戦重点なだけあって、1000mの距離約110mmの装甲を貫徹できる強力な貫通力を持つ。


これはチハたんや一式中戦車のような従来の日本戦車はもちろん、米帝擁するかのM4シャーマン(75mm砲搭載型)すら上回り、対ドイツ戦車仕様の76mm砲搭載型シャーマンとほぼ互角レベルに達する。


またこの砲の最大の特徴は何と言っても、チリちゃんの革新的ポインツその2こと「自動装填装置」の搭載にある。
高速かつ省力で砲弾を装填できる戦車用自動装填装置は、大戦中各国で研究・試作されてはいたのだが、量産型への搭載を実現させた例は依然無く、この点においてはまさしく世界に先んじた一大快挙であったと言える。


……はずだったのだが、当初予定されていたベルト給弾式のハイテク自動装填装置は、やはりというべきか技術的ハードルが高すぎて早々に頓挫
それでも一応「自動装填装置」自体は搭載されたのだが、これはかなり機能が限定的な……というか、


 ~砲弾装填の流れ~


① 即応弾の弾薬庫/弾薬架から砲弾を取り出す
② 砲尾(砲のお尻)に持っていく
③ 尾栓(砲弾の装填部分)を開く
④ 砲弾を入れる
⑤ 尾栓を閉める
<< 発射! >>
⑥ 尾栓を開いて砲弾の薬莢を排出する


この内の③~⑥を自動化しただけの装置で、しかも大抵の戦車砲で③⑤⑥はもともと自動化されているため、厳密に言えば④だけを自動化したのが五式の「自動装填装置」であると言える。
なので①~⑥まで全てを自動で行う、現代的な意味での「自動装填装置」とはかなり意味が異なる*3



五式の自動装填装置は、おそらく製造元が同じ海軍の高射砲(八九式12センチ7高射砲とか、あるいはそれを基に開発された陸軍の三式12センチ高射砲とか)の自動装填装置を基にしたものと考えられている。


これは普通の大砲の砲尾に砲弾を乗せるお皿、通称装填トレーを搭載し、弾を発射するとその反動の一部を使って機械を動作させ排夾(薬莢の排出)を行い、同時にトレーの上に載っている次弾を自動装填してくれる……という、一般的に「半自動式装填装置」あるいは「装填補助装置」などと呼ばれるタイプである。
原理的にはものすごくシンプルなオートマチック拳銃みたいなものだと思えばまあよろしい。


この技術自体は大戦時には各国で確立されていたのだが、
・これ単体では連射速度の向上にあまりつながらないし、装填手を省略もできない
・その割に搭載スペースはがっつり取る
・搭載場所の都合上、砲塔が巨大化する砲の可動範囲が狭くなるかの2択になる
・構造が複雑化し、信頼性にも悪影響が出る
・装填中の砲弾の交換(徹甲弾→榴弾とかの弾種交換)が難しくなりがち
などなどメリットのわりにデメリットが大きく、量産型戦車への搭載例はほぼなかった(砲弾が重すぎて人力装填しにくい自走砲では結構ある)。


そして砲の連射速度に関わってくるのは圧倒的に①②の部分なので、そこが人力のままの五式では、実は装填速度という点では完全手動と大差なかったりする
しかし「砲の中の発射可能な1発、トレイに乗せた1発、装填手が抱えた1発」の最初の3発に限ってはかなり高速で連射することが可能(普通の戦車砲はトレーがないので1発少ないし、装填も人力な分遅い)なので、いわば3点バーストが可能な戦車である……と言うとなんかすごくかっこいい気がする。


またもう一つの特徴が、中戦車としては非常に珍しい「副砲」を搭載していること。
中戦車の副武装といえば、一般には歩兵などに対応するための機関銃が圧倒的多数派なのだが、五式の場合はなぜか車体正面に「一式37mm戦車砲」を装備しているのだ(機銃もちゃんとあるよ!)。


しかしこの副砲は時期的には明らかに中途半端な代物で、対戦車用としては全く貫通力が足りないし、榴弾威力もせいぜい手榴弾の1.5倍ぐらいでしかない。
よって戦車や火力陣地相手なら主砲の出番だし、軽装甲車両や航空機を目標とするなら大口径機関銃や機関砲のほうが効果的なはず。
というかこの副砲、実は開発段階になっていきなり要求仕様書に乗せられていて、その前の検討会などでは議論された形跡がほぼないため、いまいち搭載意図がはっきりしていなかったりする


というか関係者ですらイマイチその意図をわかっていなかったらしく、開発中に「まあ主砲を撃つのがもったいない目標に対して撃てるし経済的じゃね?」とか「いや不格好だしそもそも固定砲だし使いづらいって絶対……」等と活発な議論が交わされていたほどである。
そういう議論って搭載する前にするもんじゃないの?


まあ現実的な理由があるとすれば、おそらく当時の日本陸軍が脅威として認識していたアメリカの「M6重戦車*4が同じく37mmの副砲を搭載していた(ただし砲塔に主砲同軸としてだが)ため、そこから「重戦車と言えば副砲が常識なんでしょ?」と思い込んでいたから‥‥‥とかだろうか?



「守」

 日本戦車の装甲を盛るな高校校歌


作詞作曲 : 大日本帝国陸軍省
演奏 : 陸軍戸山学校軍楽隊


旭日が昇る丘の上


日本戦車の装甲を厚くするな


若き(※:戦車兵の)生命を炎と燃やし


正面装甲など75mmで充分だ 露助の重戦車KV-1(※:1939年完成)と互角だぞ おゝ大和魂


弾薬庫in砲塔バスル(※:側面装甲35mm)で高速装填だ 被弾誘爆は気にするな おゝ心頭滅却


図体デカいけど大丈夫だ ティーガーII(※:正面装甲230mm)よりゃギリ小さい おゝ八紘一宇


靖国へと今旅立とう


この防御力でIS-3やM26センチュリオンと殴りあえってマジか


おゝ 日本戦車の装甲を盛るな高校


いざ進め 日本戦車の装甲を盛るな高校


(※:コーラス)




【開発経緯】


記事冒頭で述べたように、チリちゃんこと五式中戦車は戦中日本中戦車の最終到達点であり、チハたんツリーの到達点である。


しかしそもそもはチハたんの後継機として作られたわけではなく、厳密にはチハたんの直系ライン(一式中戦車→三式中戦車)とは別の出発点から生まれた戦車だったりする。


具体的に言うと、ミッドウェーで海軍が大敗して戦局が折り返しつつあった1942年の9月頃、陸軍で「長砲身57mm砲を搭載した固定戦闘室*5駆逐戦車として新たに構想された「新中戦車 乙」プランこそが、五式の最も古いオリジンである。
ちなみにこの時、通常の砲塔に長砲身47mm砲を搭載した「新中戦車 甲」案も同時に誕生しており、こちらが後の四式中戦車 チトになる。


しかし1942年の9月と言えば、列強各国では既に

  • T-34(正面装甲80mm、主砲口径76.2mm、貫通力70mm*6
  • IV号戦車G型(正面装甲80mm、主砲口径75mm、貫通力80mm
  • M4A1シャーマン(正面装甲85mm、主砲口径75mm、貫通力70mm

といった強力な中戦車の量産・配備が始まっていた頃。


それらに対して貫通力60mmの57mm砲を搭載した砲塔無し戦車程度では対抗できるわけもなく、そうした新型戦車の情報が入るにつれ、この新戦車乙型プランはどんどん拡大・強化されていく


そして最終的には翌1943年の中ごろ、


・基本重量は35t程度
・主砲に1000mで80mmの装甲を貫通できる長砲身75mm砲、あと小口径の副砲を1門搭載。
・バスケット*7付きの砲塔を車体中央に装備し、さらに主砲用の完全自動ベルト給弾式装填装置を内蔵。
・装甲厚は車体正面75mm(傾斜部は50mm)、側面35mmで、避弾経始を重視する。
・エンジンは600馬力級ガソリンエンジンで、履帯幅は600mm。速度は40km/hが出せる。
・操縦系には油圧サーボの操縦補助機構を搭載。
・整備性の向上のため各所に工夫。


などといった目標諸元がまとめられ、「チ」ュウセンシャ・「リ」型、即ち「チリ車」の開発が具体的にスタートしたのだった。


……がしかし、この1年の間に列強各国の戦車はさらなる進化を遂げており、特にその2大トップであった独ソ両国では

  • パンター(正面装甲140mm、主砲口径75mm、貫通力150mm
  • T-44(正面装甲180mm、主砲口径85mm、貫通力105mm

などの激烈な性能を持つ中戦車が既に完成していたのだった。


そして米英でもこれらの新型中戦車(あるいはちょっと前のティーガーIとか)を知ってあわてて対抗できる新型戦車の開発に乗り出しており、そこに五式中戦車をぶつけたところで、もはや全く勝ち目がないのは明らかだった。


つまり身もふたもないことを言うなら、日本中戦車にて最強……である五式中戦車は、性能的には生まれる前から死んだも同然だったのだ。


しかしだからといって諦めてしまえばそれこそ列強との格差は開くばかりであり、開発担当の陸軍第4技術研究所三菱重工では必死の努力で開発が続けられた。


だが車体正面装甲50mm、主砲口径47mm、貫通力50mmの一式中戦車ですらやっとの思いで完成させたばかりの陸軍技術陣にとって、大幅なスケールアップに加え、新技術も多用された五式中戦車はあまりにも技術的ハードルの高い代物だった。


このため


・ベルト式自動装填装置をあきらめ簡易的な半自動装填装置
・避弾経始の徹底をあきらめ主要装甲部は垂直構成
スタビライザー(砲を安定させて命中精度をあげる装置)の搭載を断念
・トーションバーサスペンションをあきらめ、従来型のシーソー式ダブルボギー
・トルクコンバータ式オートマをあきらめ、従来の乾クラッチ式マニュアル


などと妥協できる部分はことごとく妥協していったのだが、それでも開発は長引き、ようやく試作車の走行試験が可能になるレベルまで到達したのは1945年の3月だった(本来はこの辺が完成予定時期だった)。


さらには肝心の主砲、というかその半自動装填装置が(妥協したにもかかわらず)いまだ不具合だらけであり、したがって砲塔構造の詳細も詰められないまま……と、戦車自体の完成には依然として程遠い状態だったのである。


だが戦局は既に絶望的で、日本全土が戦略爆撃によって製造施設も流通インフラもズタボロにされつつある状態だったため、このあたりで五式の開発は実質的に「間に合うわけがない」と完全凍結されたらしく、ここからほぼなんの進捗もないまま終戦を迎えることとなった。


終戦後は他の試作兵器と同様にアメリカ軍に接収され、メリーランド州のアバディーン試験場で「45t試作戦車*8として各種調査を受けた後、最終的にスクラップとして廃棄されたらしい。合掌。




【活躍】





と、1行で済ませるのも寂しいのでちょっとIFを考察してみると……


まず試作中の時期(1945年3月)に量産が開始されていたり、同じく試作中だったりした同期の列強戦車と比べてみると

  • M26パーシング(車体装甲140mm、主砲口径90mm、貫通力140mm
  • センチュリオン(車体装甲130mm、主砲口径76.2mm、貫通力150mm
  • T-54(車体装甲240mm、主砲口径100mm、貫通力160mm

とあまりにも絶望的な性能差があるので、正直同期たちと戦っても全く活躍はできなかっただろう(しかしチハVSシャーマンよりは相対的にマシだったはず)。


だがもし五式が実戦に間に合うレベルで量産体制に移れていたとしたら、実戦での相手はおそらくほとんどが既に配備されていた米英のシャーマン、あるいはソ連のT-34などとなっていたはず。
これらが相手なら、75mm砲搭載のシャーマンやT-34に対しては互角から微有利、76.2mm砲搭載のシャーマンやT-34-85相手でも互角に近い戦いができたはずである。数という最大の問題を考慮しなければだが。


ただしある程度リアリティのあるIFを想定するとなると、おチリちゃんは活躍どころかそもそも量産されていなかった可能性が非常に高い
その理由は、兄弟機である四式中戦車チトの存在である


五式と四式は装甲厚も主砲の貫通力も同じ*9なので、実戦レベルでの戦闘性能・運用性能の差は

  • 主砲の自動装填装置がない
  • 副砲を搭載していない
  • 出力の劣るディーゼルエンジン搭載

というぐらいでしかなく、しかもこれは現実的に考えると

  • 主砲の自動装填装置がないので、信頼性が高く、車体や砲塔が小さくなって露呈面積も下がる
  • 副砲を搭載していないので、防御上の弱点が少ない
  • ディーゼルエンジン搭載なので、燃料の調達が容易*10

などといったかんじで、むしろチトの長所とすらみなしうる。


というか史実でもこの事実は当然認識されており、1944の4月、四式にチリの主砲とほぼ同一(自動装填装置がないだけ)の「五式7センチ半戦車砲II型」の搭載が決定された時点で、明らかに「本命」は四式一本で絞られていたらしい


その後も技術検証を兼ねてか五式の開発自体は進められていたようだが、ぶっちゃけそれほど期待もされていなかったようで、1945年初めには既に生産・配備の予定すらなくなっていた


やっぱ生まれる前に死んでるじゃねーか!




【余談】


・「88mm砲搭載?」

一部の資料では「実は88mm砲を搭載する予定があったのでは?」とされ、ゲームなどでもよく登場するが、実際にはチリに関する会議などの議事録はかなり残されているにもかかわらず、そういった計画の記録は全くない。つまり事実無根である。
ではなんでこうした説が出回ったのかと言うと、どうも
「75mm砲搭載にしては砲塔デカすぎるだろコレ……」
→「もう一回り大きな砲をのせるはずだったんじゃないの?この88mmとかさ……」
→→「そうか!チリは88mm砲(九九式8センチ高射砲?)搭載戦車だったんだ!」
という、ネットとかにありがちな伝言ゲームの結果らしい。


実際、直径2mを越えるチリのターレットリングは88mmどころか120mmクラスの砲を乗せてもおかしくない大きさだが、これは素材強度の不足自動装填装置の重さのために止むを得なかったためで、高初速88mm砲の反動を受け止められるようには無論できていない。


また砲塔自体がクソでかいのも、前述したとおり自動装填装置がものすごく内部スペースを食うためであり、大型砲の搭載を前提としたためではない。


「オイオイオイ」「影響受けてるわアイツ」

日本戦車ファンにはおなじみの150t級試作重戦車、通称オイ車
開発コストを盛大にドブにすてたと揶揄されがちなオイ車だが、実は五式の開発には、オイ車の開発過程で得られた経験が結構反映されていたりする
最も顕著な点としては、例えばお揃いのエンジン(オイ車はダブルエンジンだが)などが挙げられるが、それ以外にも履帯やサスペンションの基礎構造部分など、各所で明らかにオイ車の影響がみられるのだ。


すごいや!やっぱり岩畔大佐は正しかったんだ!




【バリエーション】


「チリII」

エンジンを500馬力級の新型試作ディーゼルエンジンに換装したタイプ。
副砲は無く、五式七糎半戦車砲の携行弾数も100発から66発に減少したことで、全備重量がI型の36~37トンに対して35トンに収まった。
出力はやや下がったものの、扱い慣れたディーゼルにしたことで整備性や補給性は大きく改善された……と思われる。
推定なのはもちろん完成しなかったからである(試作すらされず、計画のみ)。



「ホリ車(試製五式砲戦車)」

砲塔をやめて固定戦闘室にし、新型の105mm砲を搭載したタイプ。
パンターに対するヤークトパンターのような存在(というか設計コンセプトを含め、明らかにそのパクリである)だが、バリエーションというか同一の車体を使っただけの新型駆逐戦車と言った方が近いかも。
五式の開発が具体化した1943年の時点で、「75mm砲では多分将来的に対戦車線で力不足になるが、旋回砲塔では75mm以上の砲をろくに使えないだろう」と判断されたため、「なら旋回砲塔じゃなければいいじゃん!」という発想の下に開発が始まった。
つまり五式とほぼ平行で開発が進められていたのだが、肝心の五式の開発が遅れていたため、こちらもろくに捗らず、結局はペーパープランで終わっている。



【フィクション作品】

史実に基づく限りでは日本軍最大最強の中戦車なので、第二次大戦を舞台にした戦略SLGなどでは割とよく登場する。
しかし主砲が75mmではどうにも時期的にインパクト不足なせいか、88mm砲搭載型にされてしまってることが少なくない。だから事実無根だって言ってんだろ!?



ゲーム


『World of Tanks』


最大手の戦車TPSとして知られる当作品では、日本MT(中戦車)ツリーの名物戦車「Type5 Chi-ri」として(いろんな意味で)名高い。
五式最大のユニークポイントと言える自動装填装置は、「3発装填のオートローダー*11という形で反映されており、これによる3連射の高い瞬間火力が持ち味。
一方で最大75mm厚の装甲は、やはりというかtier7MTとしてあるまじきレベルの紙装甲。正面どころか全身余すところなくペラペラなので、(敵の)自走砲からも大人気である。
格下戦車の通常弾ですらほぼ弾けないため、防御手段は回避に頼るしか……と言いたいところだが、なぜか史実の計画よりも砲塔がクソ重いせいで機動性が低く、かつMTとしてあるまじき隠蔽性の低さを誇るため回避にも頼れないのが困りもの。
その長所である瞬間火力を発揮しつつ生き残り続けるには、熟練の技量と、(少なくとも終盤までは)断固として前線には立たぬ!撃つなら俺以外を撃て!と割り切る鋼の心が不可欠。





※「追記:修正するんは文章できてからがキッツイねん*12」「……でも自分は違うやろ?」


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  • 「ども!チリちゃんやで」と言うまでもなく頓挫した水子 -- 名無しさん (2023-01-04 04:08:17)
  • もし実践投入されていたとしたら副砲は現地判断でとっぱずされていたろうな -- 名無しさん (2023-01-04 08:36:11)
  • 惑星WTでは遮蔽物に向けて一発外すと相手がノコノコ出てくるので意外と強いアイツ。チヌⅡの方がもっと強いのは内緒 -- 名無しさん (2023-01-04 08:41:59)
  • 唐突な盛るな高校で吹いた -- 名無しさん (2023-01-04 11:32:22)
  • 追加修正に注釈入ってんなと思ったらポケモンのチリじゃねーか! -- 名無しさん (2023-01-04 23:00:18)
  • 合いの手でも何でもない場所で素が出る校歌で耐えられなかった -- 名無しさん (2023-01-05 15:41:54)
  • 追記修正で草生やした。チリ自体は何の活躍もできなかったけど、そこから61式、74式…と発展したから意味はあったと思う。思いたい。 -- 名無しさん (2023-01-15 13:00:38)
  • 37mm榴弾は一見ショボいように見えて殺傷半径の存在は結構大きくて敵のちょっとした陣地・防盾付き対戦車砲に対する制圧力という点では7.7mm車載重機より圧倒的に高く有効射程も長いんで、車載重機より更に制圧力を求めた代替としての37mm砲は十分にアリ。ルノーFTの37mm短砲身砲搭載型の頃から小口径砲の榴弾による制圧は意外な程期待されてきたし九五式軽戦車の37mm砲もそれだった。長砲身だから対戦車用と誤解されがちだけど多砲塔戦車やM3やM6が37mm/45mm副砲を持ったのも対戦車用より陣地・対戦車砲との対決を考えていて対戦車用にも使えるのは副次的なものだった -- 名無しさん (2023-07-19 01:41:11)

#comment(striction)

*1 戦車の場合、高速で飛ぶ航空機と違って空気の流れで放熱ができないので、出力をデチューンして発熱量を減らしている
*2 急ごしらえの冷却系のせい説が有力
*3 アメリカのM1エイブラムスなどは、これとは逆に④以外全てが自動化されているが、それでも自動装填装置とは呼ばない
*4 日本側での呼称は「M1重戦車」。陣地突破用の重戦車として開発されたが、結局量産はされなかった
*5 回る砲塔を持たず、車体の上に張り出した構造物に砲を固定する構造
*6 装甲は車体の正面上部を傾斜を考慮した実効値に換算。貫通力は1000m先の垂直な圧延装甲に対する数値
*7 砲塔バスケット。砲塔の底に床をつけてそこに座席を固定し、砲塔と一緒に乗員も回る装置。主砲の操作が格段にしやすくなる
*8 アメリカトンなのでグラムトンに直すと41tぐらい
*9 ただしチトの装甲は質の悪い鋳造装甲なので、額面より強度が低い
*10 日本陸軍のキャタピラで動く車両は、工兵隊の装備を除いてほとんどがディーゼル
*11 wotでは普通の戦車が1発装填→1発発射を繰り返すのに対し、マガジン内に複数発を同時装填、連続発射できるタイプの砲をオートローダー、ローダーなどと呼ぶ
*12 プラグインとかリンクとかをいっぱい挿入するのがめんどくさいから

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