登録日:2010/04/17 Sat 21:31:10
更新日:2023/11/02 Thu 12:52:57NEW!
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ギリシャ神話をモチーフにしたRPG。
和製RPGでお約束とも言える主人公の不死性を物語の核にいれている。
シナリオを担当したのは野島一成。
彼がシナリオを手掛けた主な代表作品はファイナルファンタジーⅦ、Ⅷ、Ⅹ等がある。
【あらすじ】
古代ギリシア──
まだ神々の住む天上界と人間界とがそれ程遠く隔たれていない時代。
ある時、目覚めた主人公はそれまでの記憶がなかった。
その代わり、不思議な能力が備わっていた。どんな高い所から落下しても死なない不死身だったのだ。
自分は一体何者なのか。唯一の手がかりは繰り返し見る不思議な夢だけ。
夢の場所を探して主人公は旅に出る。
同じ頃、世界の各地では未曾有の天変地異に見舞われていた。
突如陥没する大地。 冥界につながる穴から沸いてくる怪物たち…。
異変の規模が日増しに拡大してゆく中、世界全体に何かが起ころうとしていた。
記憶を失った不死身の仲間たち。
彼らの過去こそが天変地異の謎を解くカギとなっていく──。
【主な登場人物】
・主人公
記憶を失いクレタ島に流れ着いた青年。妖精たちに保護されていた。
とある事故が原因で不死身の体を持つことが判明する。
このまま妖精たちに保護されていても自分のためにならないと思い、旅立つこととなる。
唯一の手掛かりである夢の光景の場所を探している。
主人公専用アイテムに「むすめのおもいで」という男の娘に変身できるアイテムがある。
なんならエンディングまで女装したままで過ごすこともできる。
SFCのキャラデザはアメコミ風ヒーローチック。%%こいつが%%%%女装して%%%%騙せる%%%%のか……?%%
アプリ版のキャラデザはディフォルメされた勇敢な戦士といった風貌。髪が長くなり鎧も軽装。
だが同時にアプリ版の女装時のデザインは完全に女体である。%%どう%%%%いう%%%%こと%%%%なの%%%%……。%%*1
他のRPGと違い手癖が悪いと仲間から信用をなくすので注意しよう。
戦闘時は攻守共にバランス良く、回復から攻撃魔法までできる万能キャラ。
ただ本作は回復役が少ないため、そちらを重視する立ち回りになりがち。
ちなみに主人公が行動不能だと仲間が強制オート戦闘になってしまう。
・レイオン
飛び降りショーをしていた屈強な体格の青年。
彼もまた記憶喪失で不死身の体を持ち、同じ夢の光景を見続けている。
無鉄砲な性格の熱血漢だが、日記をこまめに執筆する一面もある。*2
ステイアとはよく衝突するが、同時に淡い思いをよせている。
彼女への思いは通常戦闘、ボス戦で現れる。主人公が重傷でも優先順位は…。
見た目通りのアタッカーだが、主人公以外の仲間内で唯一回復魔法を使える。
さらに補助魔法も使え、見た目や普段の性格からは意外だが搦め手も得意とする。
SFC版でのキャラデザは金髪ゴリラ。でもゲーム中のドットは青髪。
アプリ版ではゲーム中のドット絵を踏襲したデザインに統一された。
・ヘラクレス
アテネの町で偶然主人公たちと出会った、半神半人半裸の英雄。
人間界で起きている異変を調べる為に天界からやってきたナイスガイ。
主人公たちの不死性や夢が関係していると考え、行動を共にすることを決める。
だが今回は神々の意志に反して地上に降りたため、人間の戦士程度の力しか持たない。
そのせいでレイオンからも弱いと言われてしまいがち。魔法も一切使えない脳筋。
だが神々の力を失っていても心強い味方に変わりはない。
オート戦闘時に限り天に祈って魔法のような攻撃をしたり、大地に祈って全体回復をしてくれる。
ちょくちょくパーティーから離脱するが、再加入するたびにレベルが上がっていく。
アプリ版では獅子の如く顎髭を蓄えた巨漢の容貌。
・ステイア
彫刻家テミシオスに拾われた記憶喪失の少女。従者として身の回りの世話をしている。
クセのあるメンバーの中で唯一の常識人。SFC版のキャラデザは洋ゲーの女性キャラだった。
アプリ版のキャラデザは愛らしい赤毛のポニーテールロリ巨乳にリニューアル。
性格は慎重派でパーティーでは主に攻撃魔法と補助魔法を担当する。
レイオン曰く「大人しすぎる」との事だが、むしろ突っかかっていくほど勝気。
アプリ版のパッケージデザインは着替える前の姿で、弓を持った村娘風。
だが、着替え後は髪をおろしニーハイブーツに絶対領域が眩しいミニスカ姿になる。
・テミシオス
ドリスコスとトロイとをつなぐ山道に居を構える彫刻家。
何日も飲まず食わずでも壁面を彫り続ける彼の仕事ぶりから、不死身ではないかと噂が立っている。
記憶喪失ではないが彼も主人公たちと同じ夢を見ており、その光景を彫刻として彫っていたが…?
・謎の男
冥界の穴に落ちてきた男性。心ある魔物の巣で眠っている。
彼も主人公たち同様に記憶喪失で不死身の体を持ち、同じ夢の光景を見ていた。
誰にも呼ばれてこなかったので名前もなく、主人公(プレイヤー)が名付けることとなる。
3人しかいない不死者の真相を聞いた後、4人目という事で特にレイオンには怪しまれて嫌われていた。
SFC版では赤い鎧を身に着けており、レイオンには「赤い派手な服なんか着やがって!」とか言われていた。
アプリ版ではキャラデザが変更されてなかなか顔立ちの整った少年、ないしは青年のような姿となっている*3。
パーティーでは攻撃も魔法もそれなりにこなせる万能型ではあるが、決め手に欠けるタイプ。補助アイテムを使いこなす。
特徴という特徴も少なめであまり感情が高ぶることがなく、常に落ち着いた厳格な口調で話す物静かな性格。
ただし主人公が倒れると何故か一変し、怒りで体を震わせ激昂するという謎に満ちた一面を持つ。
・バオール
かつてトランティア国を発展させた人物。
ベスビオの町の南の島にいた怪物テュポーンを倒した英雄でもある。
ストーリーを進めていく中で、彼の神をも恐れぬ所業、あるいは偉業を各地で耳にすることになる。
神々の天罰が下ったことで現在ではすでに亡くなっているとの事。
目的の為には手段を選ばない極悪人ではあったが、故郷に残してきた妻子の事は常に気に掛けていたらしい。
トランティアで暮らしていた時にもよく故郷の息子の身を案じていたとされる。
SFCでは髪は生えているが、アプリ版ではスキンヘッドになっている。
・アルビオン
トランティア国を治める若き王。
ウラノス神の天啓を受けたことから、地上の異変の解決に向けて独自に行動を起こしている。
半ば妄信的にウラノスを崇拝し選ばれた自分を英雄視しており、目的のためには手段を選ばない非情な性格。
●その他の人達
- キュレネー:記憶喪失の主人公を介抱してくれた女性。人間の姿をしているが正体は妖精。
- 妖精:冒頭の主人公についてきてくれる、母なる大地に仕える妖精達。人里に辿り着くまでサポートしてくれる。
- 女奴隷:たった100D*4でクノッソスに連れてこられた奴隷の女性達。「まくろきもの」への生贄として奴隷商人に売られた。アプリ版デザインが神。
- 老人:クノッソス一の富豪。町の地下に宝石を取りに来たが、護衛の奴隷が全滅し途方に暮れていた。ケチで下衆*5。
- まくろきもの:「真黒きもの」。ギリシャの海に巣食い、人々をおびやかす巨大な怪物。しかしその正体は…?
- スパルタ兵:ラコニア近くに開いた大穴の調査に来ていたが、隊長が魔物に殺され飲んだくれていた兵士達*6。
- トロイ王:異変の全ての原因が「まくろきもの」と考え、不死身の主人公たちに討伐を頼む。頭を下げるのは初めてらしい。
- アテネ王:お忍びで奴隷の見学をしていたところ、格好のせいで王と信じてもらえず帰れなくなってしまったマヌケな賢王*7。
- クリン:「まくろきもの」に飲みこまれていた幼いケンタウロスの子供。ペルシア王に捕われるが主人公に助け出される。
- ケイローン:ケンタウロスの隠れ里の長老。主人公たちがクリンを売ったと誤解して、ケンタウロスの姿に変えてしまう。
- ペルシア王:不老不死になりたい傲慢な王。ケンタウロスの肉の噂を聞き捕えている。
- ダイダロス:放浪の発明家。アレフの羽根を使ったカイト、岩を砕く船などを造り主人公に助力してくれる。
- アトラス:天界を支えたまま石となり深い眠りについている巨神。彼の子孫が住む村がある。
【システム】
基本的にはドラクエなどと同じオーソドックスなRPG。
ただしデコゲーらしく、ところどころでかなり癖の強いシステムを取り入れている。
昼夜や気候の概念まであり、かなり細かな演出が用意されている。
・信頼度
後のシリーズでも受け継がれるようになったヘラクレスの栄光独特のシステム。
簡単に言えば町中のツボや箱などの家財からアイテムを入手すると、窃盗と見做されて仲間からの信頼度が下がる。
信頼度が低くなると仲間が指示通りに動いてくれなくなる。ちなみに何故か宝箱はOKらしい。
ダメかどうかは取ろうとした際に仲間が止めようとしてくるかで判断可能。
主人公のレベルアップによって信頼度も上昇していくので、取り返しがつかない訳ではないが…。
・魔法の修得
本作の魔法の習得は、レベルの条件のほかに各地の神殿の泉に浸かる必要がある。
しかも対応した魔法が覚えられる神殿はそれぞれ違う為、どこの泉でもいいわけではない。
そのため新しい仲間が加入したら、これまでの神殿を再度巡ってこなければならない為、結構手間ヒマがかかる。
一応ルーラ的な移動魔法の「ノアルーン」もあるのだが、行けるのは村か町に限り神殿は移動先に選べない。
おまけにダンジョンを経由しないと行けない神殿まであるので更に面倒臭い。
…そしてそこまでして連れて行っても、素質が無い場合は無駄足になる。これが結構イラっとくる。
・作戦
主人公専用の戦闘コマンド。「たのむ!」で仲間もコマンド入力、「まかせる」で仲間はオート戦闘になる。
ドラクエにもあったオートバトルだが、本作はかなり優秀な部類に入る。
まずキャラクターごとに性格と好みが設定されており、例えばレイオンなら好意を抱いているステイアの回復を最優先にする。
冷静で慎重派のステイアは敵が強いとバフやデバフを優先的に使ってくれるなど、単純に全力で攻撃したりするわけではない。
ヘラクレスに至ってはオート専用コマンドがあり、回復や全体攻撃をしてくれるなど利点が大きい。
ただしオート戦闘は消耗品も構わず使用してしまうので、頼りすぎると痛い目にあう。
尚、戦闘中に主人公が行動不能になると仲間は強制的にオート戦闘になる。
・レベルに応じ敵が強化
敵はこちらのレベルに応じて強くなり、経験値なども変化する。
このためレベル上げをすれば楽に進めるわけではなく、むしろキツくなってくるという仕様。
かと言ってレベル上げをせず逃げまくればいいかと言えば、そうすると今度はボスで詰む。
しかもエンカウント率はかなり高く、ダンジョンの謎解きなども加味すると勝手にレベルが上がってしまう。
それでいてほとんどのザコがマドハンド並に仲間を呼ぶ為、ザコ戦が楽に進むことは一切ない。
・武器と特技
- 剣:もっともオーソドックスな武器。種類も特殊能力も豊富。
- 槍:少し離れた敵にも攻撃可能。道具として効果が豊富。
- 斧:安くて威力はあるが種類は少ない。上位が全て呪い。
- 鞭:安く少し離れた敵にも攻撃可能。種類は少ない。
- 弓:後列からでも全ての敵に攻撃可能。効果も豊富。
- 素手:爪、拳、杖などの殴打武器全般。特殊効果が豊富。
…素手とは。
本作は誰でもすべての武具が装備できる。
そのかわり武器は自身が習得している「特技」に該当するものでないと、命中率が下がったり会心の一撃が出なかったりする。
特技と言うと必殺技のようなものを想像するかもしれないが、本作の特技とは単なる『得意な武器』を指す。
特技は各キャラ初期で1つを習得しているほか、得意な武器を3つまで指定することができる。
ただしそれには各地にいる指南所の達人のもとを訪ね、その武器の扱い方を教えてもらう必要がある。
上限は1人3つまでだが上書き習得は可能なので、必要に応じてジョブチェンジのように変更していける。
・常人と不死者
主人公と正式な仲間は不死身*8だが、当然それ以外の人間は普通に死ぬ。そして生き返る事もできない。
普通の人を連れたままでは高所から飛び降りる事もできないし、取り返しがつかないので注意が必要。
当然冥界への大穴に飛び込んだりできず、それどころか水の中に入ったりもできない。
最初に仲間になる9人の妖精たちも普通に死ぬ。HPの総量を人数分で割った数が1人のHPになっている。
複数人組の普通の人たちのHPは宿では回復しない*9が新たに補充は出来る。
一方で、単独で仲間になるサブキャラは絶対に死なないように設定されている。
・アイテム
アイテムは全部で48個しか持てない。いっぱいになってしまったら売るか、穴を掘って埋めておく。
埋めた場所は覚えておかないといけない。のちに預かり所が出てくるが、引き取りにお金がかかる。
更に売れないアイテム(重要アイテム)は捨てるのはもちろん、預ける事も埋める事もできない。
にも拘らず重要アイテムも数多く、あとになってくるほど持ち物管理に困ってしまう。
埋めた場所を忘れた場合はどうしようもない…わけではなく、アテネ西側の探し屋に頼めば回収してきてくれる。
・その他
セーブは街中などに建っているヘルメス像に話しかけることで、3つまでセーブできる。
レベルアップ時のステータス上昇はランダムだが、前列だとHP、後列だとMPが伸びやすい傾向にある。
【評価の遍歴】
販売当初は宗教臭いタイトル、ガチムキパッケージ、ゲームバランスの悪さで評価が低かった。
しかし、しばらくして完成度の高いシナリオが認知され、評価は改善される。
このゲームの魅力は綿密に計算されたシナリオである。
ゲーム終盤ですべての謎が明かされた時は、誰もが鳥肌が立つほど度肝を抜かれるだろう。
今では様々な書籍や雑誌でも取り上げられ再評価されており、隠れた名作と言って差し支えない。
評価点と問題点の落差こそ激しいものの、それでもなお「シリーズ最高傑作である」と推すプレイヤーが多い。
シナリオとそれを取り巻く要素の素晴らしさは、同シリーズどころかゲーム史上においてもほとんど見当たらないハイレベルなものである。
【アプリ版について】
2020年10月にSwitch移植版が配信されている。
Switch移植に際してわざわざフィーチャーフォン風のフレームが用意されているが、外して画面サイズを広げることも可能。
アプリ版はいろいろな面で縮小版ではあるが遊びやすい造りでもあり、またシナリオの肝となる部分は押さえられている。なにより安い
今から本作のシナリオを体験しようというのならばお勧めの一品である。
本項のネタバレを見てシナリオを知ってもなお、その追体験は感動を生み出すだろう。
以下、ネタバレ
【未プレイ者は閲覧非推奨】
各種レビューサイトやamazonの評価を見ても、多くの問題点が指摘されていながらも
「シナリオの良さ」ただ一点で名作扱いされている稀有な作品。
シナリオ重視のプレイヤーは是非とも実際にプレイして、これらの内容を自分の目で確かめてほしい。
自分で体験しないと、もったいなすぎるから。
実に30年以上、RPG史上最高のシナリオと言われ続けたのは伊達ではない。
繰り返すが、この体験を純粋に100%楽しめるチャンスは、知らないままプレイする者にしかない。
Switch版なら5~6時間もあればクリアできる*10ようになっているので、是非そうして欲しい。
以下ネタバレ
神々の一柱である、大地の女神「ガイア」。
ある時その母なる大地は、人間の欲望のために大きく傷ついてしまう。
その結果、二つの世界の境界を維持することが困難になりつつあった。
地上にはいくつもの穴があき、それはいつの間にか「死の世界」にまで届いてしまっていた。
そして、そこから這い出した魔物が人々を襲い始めたのだった。
更に物語を進めていくと実は彼らが不死身なのは、人類存亡を賭けた神の試練であった事が判明する。
ゼウスは母なる大地ガイアを欲望のままに傷つけた人間に絶望し、洪水を起こし滅ぼそうとした。
それに反対したプロメテウスが何も知らない「本当の人間」がなす事を見て判断してくれと提案。
人類の未来を賭けて不死の祈りを封じ込めた球を地上へ放ち、それが3人の人間に不死を与えたのだった。
ただしゼウスは人間が不死になる事を良しとせず、プロメテウスを幽閉してしまう。
更に「記憶など無い方が、人間の本当の姿が判るはず」と考え不死者達の記憶も奪ったのである。
ゼウスにより天界に封印された天空の支配者・ウラノスもまた、独自に一人の人間に天啓と力を与えていた。
彼らの行いにより、人類の滅亡が決まるのである。
神々の真意を知ったその頃、トランティアの王・アルビオンが軍隊と共にギリシャの地に乗り込んでくる。
実は彼こそがウラノスが選んだという人間であり、世界を救うために全ての国が協力して、魔物が出てくる「穴」を塞ごうというのだ。
もっとも協力とは名ばかりでどちらにせよ自らが主導権を握るつもりであり、賛同するならそれでよし、断った国は攻め込んで全員奴隷にして従わせるつもりだったようだが。
それでも何とか穏便な形でギリシャとトランティアの協力体制が敷かれた矢先、それを見届けていた主人公たちの足元に冥界への穴が開く……
生きながら冥界に落ちた彼らは、冥界の住人から自分達と同じ境遇の男の話を聞く。
話を聞いて赴いた場所には4人目の不死身の人間がおり、神々の話と辻褄が合わなくなってしまった。
謎の男を仲間に加えた主人公達は、新たな疑問を抱えたまま地上へ帰還し、アルビオンとの謁見を果たす。
アルビオンは変わらず大穴を塞ぐことに心血を注いでいるようだが、彼は更にウラノスから直々に世界を救う手段を教わっていた。
話によると、石化しているアトラスを目覚めさせてウラノスの封印を解けば、ウラノスが大穴を塞ぐために力を貸してくれるのだという。
そこでアトラスを目覚めさせるべく、石化を解く「ゴルゴーン三姉妹の血」を集める。
だが血を携えてアトラス山を登る彼らの前に、謎の巨人バオールが立ちはだかる。
ウラノスは地獄の王ハデスの尖兵だと言うが、名前がトランティアで幾度も聞いたあの男と同じなのは果たして偶然なのか?
主人公達は怪物バオールを倒し、ようやくアトラスのもとに辿り着くが…?
●更なるネタバレ
三つめの血を使おうとした主人公達の前に突如プロメテウスが現れ、三姉妹の血を使い物にならなくする。
アトラスは天界を支えている巨人の神であり、支え続けるために自分の意思で石になった。
もしアトラスの石化が解かれてしまえば、天界が地上に落下してしまう事になる。
プロメテウス曰くこの「復活の血」の使い道こそが人類に与えられた選択肢であったという。
人間を弄ぶなとアルビオンは激昂し、ウラノスの力を借りて神々に反逆せんとするも、力を奪われてしまう。
「人間を信じた私が馬鹿だった、自分達の行った行為がどういう結果をもたらすか見るがいい!」
この行いが更なるゼウスの怒りを買い、山から落とされた主人公達のもとに、彼らの記憶の影を引き連れたヘラクレスが戻ってくる。
事情を話す間もなくポセイドンが起こした大津波により、記憶を取り戻す前に全員海に飲み込まれて記憶の影も消えてしまう。
地上は大洪水に沈み、生き残ったのは神々の恩赦が与えられていた僅かな人々のみとなり、主人公たちは自分達の行いに茫然としていた…。
ウラノスに会いに行っても利用されていたことを告げられるのみ*11で、天界の神々全員に見放されてしまった。
行く当てもなく、ペガサスに乗り世界の果てを目指すと、ハデスの声に導かれて冥界へと誘われる。
そしてハデスの口からとんでもない真実が明らかになる。
プロメテウスが不死の肉体を与えた3人は、レイオンとステイアの2人+主人公…ではなく、謎の男。
では主人公は何かというと
「久しぶりだなバオールよ わしを忘れたのか? このハデス様のことを!」
ゼウスが人間を見限った発端となった張本人、悪逆無道の限りを尽くしたバオール本人であった事が発覚する。
死後に冥界でハデスに呼ばれたバオールは、人類抹殺の先兵として選ばれる。
そして若い不死身の肉体を与えられると、喜んで魔物を率いて地上に戻った。
全てはバオールが蹂躙したガイアを救うためのハデスの計画…
しかしゼウスの妨害で記憶を失い、事情を知らない妖精達に保護されたのだった。
ハデスがわざわざこんな事をしたのには理由があった。
ゼウス、プロメテウス、ウラノス、ハデスの4神はそれぞれガイアを救う計画を持っていた。
それはガイアを救った者が次の神々の王になるという話があったからなのだ。
ゼウスは兄・ポセイドンと結託し大洪水を起こす事で……
ハデスは冥界の魔物を地上に送り込み人間を滅ぼす事で……
ウラノスは天空から舞い降り自らの手でガイアを救う事で……
そしてプロメテウスは人間に正しく罪を償わせる事で、それぞれガイアを救おうとしていた。
冥府に戻ると計画が頓挫し、ゼウスの洪水で王の座を奪われ激怒したハデスに殺され掛ける。
しかしこれまでの旅で力を付けた主人公は、ハデスを返り討ちにしてしまう*12。
神をも倒す主人公の力を恐れたハデスは、主人公を化け物に変えて無限地獄タルタロスに堕とした。
その化け物の姿こそがアトラスの手前で出会った謎の巨人、物言えぬ魔物バオールなのであった。
そして同じく冥界に幽閉されていた時の神クロノスにより、地獄よりもお似合いとする無限の悪夢に堕とされる。
クロノスの力で時が戻り、洪水で世界が海に沈む直前のアトラス山の麓に怪物のまま送り込まれてしまう。
…そう、アトラス復活に向かう過去の主人公達の目の前、すなわちあの時のバオールという名の魔物はこの主人公なのであった。
永久に自分と仲間に殺される地獄を繰り返す刑罰。
今の自分がいる限り、過去の自分は絶対に存在するため勝つ事は不可能。
あの時、化け物を倒していなければ…今となってはどうしようもない。事情を説明する事さえできない。
しかし大地母神ガイアの導きによって、主人公は無限の牢獄から解き放たれたのだった。
思い通りにならない事に苛立ったウラノスが、自身を盲信するトランティア王を唆し、命令をきかない主人公達を殺そうとする。
だが力及ばず退散し、そこへ主人公達の記憶の影*13を取り戻したヘラクレスが駆けつけた。
主人公はついにバオールとしての記憶を取り戻してしまう。
彼は約束の地エーウスに生まれた男。
エーウスはかつての英雄やその子孫、神々に仕えていた者が住む特別な集落。
何があっても神々が守る事を保証する代わりとして、野望や野心を持つ事を禁じていた。
そんな野望や野心をよしとしない村で、バオールはただ一人煮えたぎる野心を抱え過ごしてきた。
妻子ももうけ、それでも潰えぬ野望を求めたがため、故郷を追放されてしまう。
だがその際、全てを石に変えるエーウスの宝「メデューサの首」を持ち出していた。
それを使い怪物を倒し英雄になったが、それでも飽きたらず更なる名声を求めた。
人類史に名を遺すべく、大国トランティアの領地を拡大させるも、海峡に阻まれ手詰まりになる。
それでも諦めないバオールは、海の神オケアノスの子を人質にし、オケアノスを石化させ海峡を陸に変えた。
自分の欲望の赴くままに神をも踏み台にし、母なる大地さえも作り替え、際限なく手を広げるバオール。
その後、ゴルゴーン三姉妹の血がオケアノスを復活させる可能性があることを恐れ、血を持つアトラスの子孫を襲撃。
女子供も老人も見境なく石化させ、執拗に追跡を試みたが、ゼウスの天罰によって船に落雷が落ち、命を落とす。
ずっと見てきた夢の光景こそ、その凄惨な罪の記憶だったのだ。
その罪の重さからタルタロスに落とされたバオールに、冥王ハデスが目を付けた…
人類でもっとも罪深く、野心の為ならどんな汚い事でも躊躇わない男に。
記憶を取り戻した自分が成すべきことは何か。全ての運命は主人公の選択に委ねられる。
手元に残された3つの復活の血。彼らの贖罪の旅はいよいよ終わりを迎えようとしていた。
「さあ行こうぜ!復活の時だ でも何を復活させる? アトラスでないことくらい オレにもわかってるぜ!」
主要キャラの正体
●他のキャラの詳細ネタバレ
- レイオン
実はヘラクレスの子孫。
彼の子孫は魔法が使えないと悩みがあり、レイオンは何か一つでも魔法を使えるようにと世界の神殿を巡る旅に出た。
その途中で今回の事件に巻き込まれたとの事……お前メチャクチャ魔法使えとったやんけ。
ヘラクレスの子孫である為か、無意識にヘラクレスに対しては何だかんだ言いながらも好意的になっていた。弱い弱い言ってたけど
戦いの後は一連の事件の真相を人々に伝えるべく、新たな旅に出る。
- ステイア
正体はオケアノスを祭る神殿の巫女。
本名は「ステラ」といい、地震によって祠が倒壊して他の巫女達と一緒に生き埋めになる。
しかしプロメテウスによって選ばれたことで不死身の肉体を得たため、巫女の中で唯一生き残った。
海中に脱出後オケアノスに助けられ、陸に下ろされたが、その直後にゼウスの雷を受け記憶喪失に。
倒れていた所をテミシオスに助けられた事で、彼の助手としてのひと時を過ごすこととなった。
ずっと神殿で育ったらしく、外の世界を知らなかったという。
戦いの後は神殿に帰るつもりだったが、「レイオンの事が放っておけない」と言いつつ彼を追いかけて行った。
- 謎の男
正体は主人公(バオール)の実の息子。
プレイヤーが付けた名前がそのまま本名になるのは、バオール=プレイヤーであるため。
バオールのせいで残された母親とつらい日々を過ごし、母の死をきっかけに復讐を胸に父・バオールを探しに旅に出た。
そしてバオールの足跡を追っている途中でプロメテウスにより不死の身体に、ゼウスの雷で記憶喪失になる。
記憶を取り戻した後は、直感的に主人公が自分の父だと悟る*14。
だが全てを理解した彼は、旅を経て責任を果たした主人公の姿を前にして、どうすれば良いのか分からなくなってしまう。
そんな自らのやり場のない感情を見極めるためか、かつて父だったその男に同行させて欲しいと申し出るが…。
本作はシナリオが神がかっていたがシステム面はかなり不評が多かった。
その部分は次回作である「ヘラクレスの栄光4 神々からの贈り物」で大幅な改善がなされた。
アニヲタが みずからの いしで ついきを しなければ いみがない。
じぶんたちの つごうで こうもくを もてあそびおって。
ふさわしい しゅうせいで! ふさわしい こうもくへ!
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▷ コメント欄
- 怒涛の伏線回収もさることながら、そこからのテーマへの昇華がすごい。 -- 名無しさん (2015-04-10 21:38:38)
- きちんと「ゲームの中にプレイヤーが居る意味」を織り込んでいる脚本は今の目で見ても全く色あせない。プレイヤーは自分のした事に唸り、そして誰に指示されるでもなく本当に正しい決断を選ぶ。プレイヤーの手から離れた主人公は、本来の自分のやったことを償うために一人地上を去っていく。ほんとうの意味で感動するRPG。 -- 名無しさん (2017-01-15 16:30:14)
- 人に薦めたいが、薦め方に迷う作品。肝心の良シナリオは何を言ってもネタバレになるし、シナリオ以外の部分はダメな所が多いし…。 -- 名無しさん (2019-10-30 10:20:39)
- 改めてSwitch版をやり直してみたけど、内容憶えてても鳥肌立つな…。でもヒントシステムは邪魔だった、というかネタバレになってしまっているのはダメだろ… -- 名無しさん (2023-06-06 20:06:36)
- 記事が充実したのはいいけど、ネタバレは消した方と思う。彼方のアストラのコメ欄見れば分かるけどこういう作品でネタバレは書かない方がいい -- 名無しさん (2023-06-12 20:43:34)
- ↑どうなんかな、もう30年以上前の作品でwikipediaのあらすじで全ネタバレしちゃってるぐらいだし -- 名無しさん (2023-06-13 13:50:16)
- 「そこまで書かなくても……」みたいな気持ちはわかる。 -- 名無しさん (2023-06-15 13:55:01)
#comment
*2 この「レイオンのにっき」というアイテムは今までの冒険を振り返るだけでなく、今後の展開を進めるためのヒントも書かれていたりする。冒険に詰まることがあったら読ませてもらおう。
*3 服装も真っ赤な鎧から黄土色のマフラーに軽装の前掛けとなった。そのためSFCで初登場時にレイオンが放った「赤い派手な服~…」という台詞が「女みたいな顔~…」に変更されている。
*4 本作でのお金の単位である「ドラクマ」の略称。ちなみに「革張りの盾」と同額。
*5 攻撃を受けそうになると女奴隷を盾にする。奴隷が皆死ぬと今度は主人公を盾にする。
*6 後に死んだ隊長の無念を晴らそうと奮起する。主人公が瀕死だと庇ってくれるなど強く勇敢な若者たち。
*7 しかし奴隷の実態を知るやすぐに制度を廃止するなど、国民の事を第一に考え良識と行動力を併せ持つ立派な人物。
*8 主人公達は戦闘でHPが0になっても気絶するだけで、戦闘後にHP0で自動復帰する。
*9 現在の人数分のHPまでなら回復できる
*10 ただしその為にある程度簡略化されたりヒントが出るようになっており、逆にプレイに水を差すという声も少なくないが
*11 アトラスによって天と地が離れているので地上で力を発揮できなかった。だから人間を利用し、アトラスを動かそうとした。しかしその目的は人間を救うことではなく、バオールによって死にかけているガイアを救う為であって、人間の存亡などどうでも良かった。
*12 もっとも神は不死身なので人間が殺す事はできない
*13 復活の血を集めている途中、オケアノスの神殿でステイアと彼女の記憶の影が重なり合い、記憶を取り戻した。これを見たヘラクレスが一時離脱し、世界中を探して残りの3人の影を見つけてきた。
*14 もっとも主人公が倒れると彼が怒り狂うのは、無意識の直感で感じ取っていた可能性が高い
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