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メビウス・ゼロ[1]は、テレビアニメ『機動戦士ガンダムSEED』に登場する架空の兵器。
特殊な素養を持つパイロットのみに供給された地球連合軍の宇宙戦用MA(モビルアーマー)。作中では主要人物の1人であるムウ・ラ・フラガの搭乗機として活躍する。
型式番号のTS-MAは「Theater Suppression Mobile Armor = 前線鎮圧用機動兵器」の略。
メカニックデザインは山根公利が担当。当記事では、簡略型の「メビウス」、発展型の「エグザス」の解説も記述する。
テンプレート:ネタバレ
テンプレート:機動兵器
地球連合軍が開発した宇宙戦用MA。G兵器開発以前の地球連合軍において、ザフトのMS(モビルスーツ)と対等に渡り合うことができる数少ない兵器の1つであり、「ガンバレル」と呼ばれる4基の有線誘導式無人機を全方位に展開・制御することで、MAの弱点である旋回性能の低さをカバーしている。
技術的にはメビウスより一世代前の機体であり、方向転換は補助バーニアの噴射によって行われるため、メインスラスターの可動により方向転換を行えるメビウスとは異なる。機首部分は切り離しができる構造であり、突入艇として単独での大気圏降下が可能となっている。
ガンバレルを扱うには突出した空間認識能力が不可欠であり、軍内ではその素質を有するパイロットの存在は希有だった。よって人的資源の確保の困難さからこの機体は少数生産に留まり、以後は一般兵士向けの量産機であるメビウスの生産に切り替えられた。また、オールレンジ攻撃の有用性を認めた地球連合軍は、直系の後継機であるエグザスを開発した。『ガンダムSEED MSV』では、ガンバレルをMSに搭載するため、メビウス・ゼロをベースにした小型MA兼ストライカーパックであるガンバレルストライカーが開発され、搭載したガンバレルダガーは大戦末期に戦果を挙げている。また、ザフト軍においてもアクタイオン・インダストリー社の協力によりドラグーンシステムを開発する。
G兵器開発計画発動までの間、MSを持たなかった地球連合軍にとって、メビウス・ゼロはザフト軍のMSに対抗し得る唯一の戦力だった。3個小隊15機がグリマルディ戦線に投入されたが、エンデュミオンクレーターの防衛戦において、ムウ・ラ・フラガの搭乗機を除いて全滅した(彼自身はこの戦闘において活躍し、「エンデュミオンの鷹」という異名をつけられている)。これにより、ただでも希少な適性を有するパイロットを多数喪失したため、作中ではムウ機のみが登場する。
G兵器のパイロットとなる新兵達を乗せた輸送艦の護衛として出撃し、ジンを撃墜する。母艦の撃沈後、ラウ・ル・クルーゼの搭乗するシグーと交戦しながらヘリオポリスへ進入し、アークエンジェルと合流する。ヘリオポリス脱出後、追撃してきたクルーゼ隊との戦闘では、アークエンジェルとストライクを囮にし、ザフト軍に奪取された4機のG兵器を出し抜いて単機で敵母艦を強襲し、更に戻ってストライクの窮地を救う。以降、ムウの卓抜した技量によって、敵G兵器と対等に渡り合い、アークエンジェルの大気圏突入まで貴重な戦力として運用された。その後、ムウはスカイグラスパー、ストライクに搭乗したため、アークエンジェルが再び宇宙に上がってからも登場することはなかった。アークエンジェル内にて保存されているとも、いつの間にか行方不明になったとも伝えられている。
『機動戦士ガンダムSEED』のコミックボンボン版では、最終決戦時、ムウはプロヴィデンスとの交戦の末、小破したストライクからメビウス・ゼロに乗り換え、有線式ガンバレルの特性を生かし機体ごとプロヴィデンスを拘束、ムウはキラ・ヤマトに自身ごとプロヴィデンスを撃たせ、共に消滅した。
テンプレート:機動兵器
C.E.71年のヤキン・ドゥーエ戦役の初期[2]、地球連合宇宙軍の主力として活躍した量産型MA。先行生産されたメビウス・ゼロのガンバレルは特別な空間認識能力を持たなければ扱えない兵器であり、本機はガンバレルを持たない簡易量産機として設計された。様々な武器を装備する事で戦局に対応する。
2連装の噴射口を持つ2基のメインスラスターユニットは開発時既に登場していたMSの構造を参考にされているため、フレキシブルな稼動が可能で、このMAとして高い運動性を持つ。この点から、技術的にはメビウス・ゼロより1世代進んだ機体である。標準装備として機体前面に1対のバルカン砲があるが、任務ごとに装備を換装し対応する。換装バリエーションは、機体中央のモジュールに1門のリニアガンと機体下部に4発の対艦用有線式誘導ミサイルを持つ「ノーマルタイプ」と、機体下部に核ミサイルを装備した「ボンバータイプ」の二種が主に登場するが、他にも試作も含め幾つかのバリエーションがあり、ジャンク屋によって改造されたタイプも存在する。
ボンバータイプは血のバレンタインを起こしたの機体でもあり、戦争末期にはニュートロンジャマーキャンセラーの搭載によりボアズ攻略戦、第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦に大量導入された。
「戦車や戦艦並みの重装甲、戦闘機並みの機動性と空戦能力、接近戦での戦闘能力を持った理想の機動兵器」というMAのコンセプトに近い性能を持つが、ザフトのジンとの戦力比は3:1(放映当初設定では5:1で劇中ではそれ以上と一方的であったが後に現在の設定に改められる)と言われている。
C.E.73年時点においても二線級ながらも実戦投入が確認されているが、次世代機であるユークリッドへと機種換装が進み随時退役していると見られる。ヤキン戦役後期に入ると、対MS用兵器としての任務はMS「ストライクダガー」に譲られたが、宇宙戦闘機の発展兵器としての後継機は「コスモグラスパー」であるとされている[3]。
劇中では、ジンにバックを取られ後方から撃たれたり、馬乗りにされ零距離から撃たれ撃墜されるシーンが頻繁に見られ、G兵器に対してはビームライフルによっていとも容易く撃破されていた。さらに『機動戦士ガンダムSEED』第12話では(4機のG兵器を含むとはいえ)ザフト軍の20機程度のMS部隊によって、100機近くのメビウスで構成される地球連合軍第八機動艦隊(放映当初の設定では、これでやっと戦力が拮抗するかどうかという状況)が壊滅させられた。
しかし、大戦末期のボアズ攻防戦では連合軍もMSを実用化したことで得意とする一撃離脱戦法に徹することが可能となり、ボアズを核攻撃によって壊滅させるなど活躍した。
『機動戦士ガンダムSEED ASTRAY』、『機動戦士ガンダムSEED X ASTRAY』では、叢雲劾やカナード・パルスが搭乗している他、ミラージュコロイドを装備した機体も登場する。劾が搭乗した際はロウのガンダムアストレイの奇襲をかわし、反撃でダメージを与えるなど搭乗者の腕次第ではMSとも渡り合える性能を持つことがわかる。
また、オーブ軍が保有するヘリオポリス防衛用の機体も若干数存在した。
テンプレート:機動兵器『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』以降に登場。メビウス・ゼロの後継機として開発されたガンバレル搭載型MA。ゼロ同様、ガンバレルの操作には高い空間認識能力を必要とし、事実上ネオ・ロアノークを初めとした極少数のエースパイロットの専用機となっている。メビウス・ゼロの武装が実弾だったのに対し、本機の武装の多くはビーム兵器となっており、攻撃力は大きく上昇。PS装甲装備のモビルスーツにとっても脅威の相手となっている。ガンバレルは1基につき1対のビームカッターを持ち、従来のメビウス・ゼロには無い高度な格闘戦能力を有している。
第81独立機動群ファントムペインによるアーモリーワン襲撃作戦において、ネオ・ロアノーク搭乗の機体が、ザフト軍MSを多数撃破し、インパルスとの戦闘では圧倒する活躍を見せた。その後、デブリベルトでの戦闘において、ザクファントムと交戦し、ガンバレル2基を消失した。その後、ファントムペインの活動が地球に移り、二度と宇宙へと上がる事無く壊滅したためこれ以降は登場していない。また、母艦のガーティ・ルーは月面ダイダロス基地を脱出する際、レジェンドの攻撃を受けて撃沈したため、その後のネオ機の消息は不明である。
『機動戦士ガンダムSEED DESTINY ASTRAY』では、モーガン・シュバリエ搭乗の機体が、イルド・ジョラール搭乗のプロトセイバーと交戦している。
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