巡礼物語
- 最初の堰と大蛸の話
- 北の姫君を娶った白銀の錬金術師の悲恋の話
- 禁書に毒を塗って連続殺人を行った老修道士の話
- 七回の航海の度に難破して七種の怪物に出会った航海士の話
- 剣の王子と争って炎の魔剣を造った錬金術師の話
- 東の姫君を愛した金毛の人狼王子の悲恋の話
- 呪いの銀と小鬼の話
最初の堰と大蛸の話
** 北の姫君を娶った白銀の錬金術師の悲恋の話 **
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「恋するお姫様と結婚するために無理難題を叶えようとして、頑張った挙げ句死んでしまった王子の話よ!」
「北の権謀術数に嵌められて、錬金術の精髄を奪われた可哀相な錬金術師の話だ!」
「……あっ、このパターンって」
「御伽になって穏やかに変化したお話と、地元にだけ残っている露骨な史実よりの話だな……」(劇場にて)
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クロエは、彼女の母方の血族に伝わっていたと言う伝説を語り始めた。
三百年前のアウレリアの王子の一人は天才的な錬金術師だった。
彼の恋した相手は、ルーカンラントの王女。
彼はその王女によって氷からの雪銀鉱を生成する技術を奪われ、殺された。
しかし、彼を殺した後で問題が発覚した。
アウレリアの王子は雪銀鉱を超える力を持つ金属の錬成方法を見つけ出していたのだ。
その肝心の錬成方法を、彼は秘匿したまま死んだのである。
一欠片だけ残されていた、その金属は雪銀鉱より重く、硬く、そして氷のように透き通っていたという。
氷銀鉱と名付けられたそれを、王子は王女に捧げるつもりだったのだ。
「そうして、氷銀鉱は錬金術師とともに永遠に失われた、と……伝え聞いています」
** 禁書に毒を塗って連続殺人を行った老修道士の話 **
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商人の日記に、二百年前の修道院で起こった毒殺事件が強欲の戒めとして記述されている。これは巡礼物語の「3. 禁書に毒を塗って連続殺人を行った老修道士の話」のことと思われる。(運河の都10)
** 七回の航海の度に難破して七種の怪物に出会った航海士の話 **
- トゥルム短杖店の奥に飾られた修復された磁器の皿に、この物語を基にした絵が描かれている。ギルベルトが見事な複製品を作り上げた。(秘密の工房4)
** 剣の王子と争って炎の魔剣を造った錬金術師の話 **
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昔々、西の王弟と北の王子がノットリードの利権を巡って争っていた。
あるとき、そこに北の民を憎悪していた東の魔法使いが現れる。
その魔法使いは西の王弟を唆し、両者の力関係を崩そうと考えたのだ。
王弟は東から持ち込まれた精霊を利用し、北の王子を退けるために呪われた炎の魔剣を鍛造する。
幾つもの巨大な魔剣がノットリードの空を覆った。
「我らに従わなければ、天より炎の魔剣を降らせ、この地を焼き尽くす。その災厄は、この地の全てを滅ぼすだろう。魔剣の災いを防ぐ手段を知っているのは、我ら西の錬金術師だけだ」
そう言って、王弟は王子を恫喝した。
しかし、北の王子はその恫喝を受けても、一瞬たりとも迷うことは無かった。
彼はすぐさま錬金術師達の眼前まで踏み込むと、あっと驚く間もなく王弟の首を落としたそうである。
その結果、止める手立てのなくなった呪われた魔剣は一つ残らずノットリードに降り注いだ。
西の王弟の言葉どおり、魔剣の災いは西北の全ての土地を焼き尽くしてしまったのである。
北の民は誇りのために死ぬことを恐れない。誇り高く残酷な戦士達は、恫喝などでは飼い馴らせない。
侮れば肉も髄も食い千切る狼の本性を現すのだ。
という巡礼者の教訓じみた言葉で話は締めくくられる。(秘密の工房3)
** 東の姫君を愛した金毛の人狼王子の悲恋の話 **
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ある王子が、魔法使いの国の末の王女と恋に落ちた。
しかし悪い呪術師が彼らの仲に深く嫉妬して、呪いで王子の顔を狼の顔にとりかえてしまったのだ。
王女は呪いを解いて王子を元の姿に戻そうとするが、あまりにも強力な呪いだったので王女は死んでしまう。
それ以来、王子は愛していた王女を偲んで、彼女を捜してずっと狼の姿で彷徨っているのだという。
10??年 キャスケティア支配下にあったルーカンラントの反乱。(三か月で鎮静)
ルーカンラント王家の粛正が行われる。
神狼直系の金狼と第一王子の首を切り、金狼の頭部を王子の体に繋げて眷属として復活させ使役。
10??年 キャスケティア支配下にあったハーファンの反乱。(半年で鎮静)
ハーファン王家の粛正が行われる。
太陽の神殿を破壊し、第一王女を眷属化して使役。
** 呪いの銀と小鬼の話 **
- 小鬼に関しては呪いの銀=コバルト混じりの銀、小鬼=モンスターとしてのコバルトの小ネタを入れたかったのですが詰め込む隙間とタイミングを逸してしまったのでした。 (感想一覧№89より)
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