登録日:2011/08/11 Thu 07:57:35
更新日:2023/08/17 Thu 14:44:37NEW!
所要時間:約 8 分で読めます
▽タグ一覧
軍事 歴史 戦争 百年戦争 フランス イングランド 内戦 ジャンヌ・ダルク ジル・ド・レェ 無計画 外道 黒死病 世界史 ヴァロア プランタジネット 英霊の宝庫 計画通り… 戦争楽しーなー 戦好きの集まる 甘いな やっぱり平和が一番←ジャンヌを犠牲にして得た平和 ランカスター ヨーク 薔薇戦争 戦いは飽きたのさ ヨーロッパ史
Hundred Years' War
百年戦争(1339~1453)とはフランスとイングランドの間で行われた戦争。
1339年頃って想像つかねーよって人はベルセルクの世界を想像してほしい。
ちなみに日本ではこの1年前に足利尊氏が征夷大将軍となって室町幕府が成立、南北朝時代を迎えていた頃である。
- フランス
- ブルゴーニュ公フィリップ【善良公】
- シャルル【邪悪王】
- ジャン【無畏公】
- モンモランシー公
- ブルターニュ公
- ブルゴーニュ公
- シャルル7世
- イングランド
- エドワード黒太子
- ランカスター公
- ヨーク公
- ウォリック伯
- エクセター公
- クラレンス公
- クリフォード男
- ジュルーズベリー伯
- バカン伯
- ハンティントン伯
- ベッドフォード公
- リヴァーズ伯
総称の『百年戦争』をはじめ、
『黒太子』エドワード
『黒死病』
『聖女』ジャンヌ
etc
等々、中二病にはたまらないワードがいろいろでてくる戦争である。
なお、百年戦争というのは後付けの名前。まあ百年で終わると当時の人が断言できるはずもないし。
また一つの戦争ではなく、いくつかの戦期の総称である。
当時の経済力から、百年間たえず戦争していたわけではなく数年農閑期にチマチマ戦ってはまたにらみ合いを続けたりした。
◎戦争前の話
百年戦争を語るにはまず複雑な背景を語らなくてはいけない。
遡ること1066年。
この頃のイングランドはかっぺのアングロ・サクソン人が支配していた。
そこへ跡継ぎ争いに難癖つけたノルマンディー公ウィリアムがイングランドに乗り込み、アングロ・サクソン人の王ハロルド2世を滅ぼし、
イングランド王ウィリアム1世として即位する。(ノルマン=コンクエスト)
さて、わざわざ公・王を色付けしたのには訳がある。
中世において公という称号は王(時には皇帝)に爵位・土地(元は王の土地という扱い)をいただき、初めて公を名乗れるのである。
ここでの現状を見てみよう。
ノルマンディー公ウィリアムはフランス王に臣従している。
が、ノルマンディー公ウィリアムは同時にイングランド王ウィリアム1世なのであり、
イングランド王ウィリアム1世の下には当然公の爵位を持つ臣下がいるわけである。
これはフランス王>イングランド王を意味している。
だが、ここではさして問題にならなかった。
なぜなら同じキリスト教徒をぶっ殺す前にエルサレムを占領した神敵イスラム教徒を抹殺する必要があったから。
かくして1096年より悪名高き十字軍が開始。
民間人のイスラム教徒を皆殺しにする割にはイスラム軍隊には芳しい成績を残せなかった十字軍は1270年に終了。
結果教皇の権威は失墜。
変わりに王の権威が上がったのは皆さんご存知の通り。
だが、そう、王の権威が上がったのである。
その頃には……、
Ⅰ フランスにあるイングランド領はワインでボロ儲け。
Ⅱ 十字軍時代の最中にいざこざを起こしてフランスがフランスにあるイングランド領を奪う。
Ⅲ 時の最後のカペー家のフランス王であるシャルル4世が嗣子(跡継ぎ)を残さず死亡。
Ⅳ 時のイングランド王エドワード3世の母がシャルル4世の姉。
Ⅴ フランスにあるブルターニュ公の相続争いで親英vs親仏で内戦勃発
と関係が最悪になったのは言うまでもない。
なんというか、素晴らしい偶然の産物である。
ともあれ、この機を逃さずエドワード3世は中世の常套手段、王位要求を発動!
エドワード3世「我は先王シャルル4世の甥なるぞ!」
フランス諸侯「ハァ?ふざけんな!」
当然のごとくフランス側は拒否。
フランスの貴族はシャルル4世の従弟バロア伯をフィリップ6世として王位につける。
ここにイングランド側による王位要求を大義名分とした侵攻に百年戦争が幕を開ける。
◎第一期(1337~60)
※黒死病(恐らく腺ペスト)により1348より一時休戦。
◇クレシーの戦い(46)
エドワード黒太子率いる長弓隊がフランスをフルボッコ。
また世界で初めて大砲が実践投入される。
余談だがエドワード黒太子は1330年生まれなのでクレシーの戦いの時16歳。
◇ポワティエの戦い(56)
エドワード黒太子率いるイングランド軍とフランス王ジャン2世率いるフランス軍との間に行われた会戦。
ここでもフランス軍はフルボッコされる。
しかもジャン2世まで捕まるという大失態。
更に哀れなことにこのときフランスは超極貧状態でありジャン2世の解放の条件である賠償金が払えず、結果ジャン2世はイングランドで客死する事になる。
上2つの結果カレーにて講和が成立。
◇ジャックリーの乱(58)
フランスで起きた農民反乱。
黒死病やら百年戦争やらで疲弊しきった農村にポワティエの戦いに敗れた傭兵がヒャッハーなことをしたことが直接の原因。
シャルル【邪悪王】により弾圧。
◇ブルターニュ継承戦争(41~65)
第一期百年戦争のオマケ。
激戦地。
フランスが負けゲラントの和約を締結。
◎第二期(69~80)
有名な戦いはあんまない。
終始フランス優位に進む。
75年和約締結。
◎休戦期(96~)
96年に28年間の休戦協定が結ばれる。
が……。
◎第三期(1413~28)
28年間の休戦なんてどこ吹く風だぜ!
◇アザンクールの戦い(15)
せっかくいい感じだったのにフランス軍は内ゲバを起こしフルボッコされる。
結果イングランド軍が優位に。
その結果結ばれたトロアの和約が、
フランス王位はイングランド王が兼ねる。
フランスの王太子は王になれない。
- etc.
◎第四期
◇オルレアンの戦い
フランスの王太子(後のシャルル7世)の軍がオルレアンにてイングランドの大軍に包囲される。
ここで、フランスは終了か? と思いきや……。
ジャンヌ・ダルクの登場により、フランス王太子軍を救出&ランス大聖堂で戴冠式(=フランス王即位)に成功!
この事件により勝利の見えてきたフランス側は団結、態勢を立て直し……。
◇カスティヨンの戦い(53)
百年戦争最後の戦い。
シャルル7世率いるフランス軍はボルドーを占拠していたイングランド軍を粉砕。
事実上百年戦争は終了した。
◎戦争の結果
フランス
- フランスからイングランド勢力を一掃
- 百年戦争中イングランドに組した諸侯を潰し王家の領地に組み入れ
- ジャンヌ・ダルクの引き渡し
イギリス
- フランスにおける領地の消滅に伴い社会不安に⇒バラ戦争へ
- フランスを憎む余りアングロ・サクソンが使う英語を話すように(宮廷では今まではフランス語を使っていた)
- 引き渡されたジャンヌ・ダルクの処刑
両方
- 疲弊しきった諸侯の没落
- それに伴う王権の拡大(中央集権化)
- 中産階級の台頭
- 絶対王政の下地が完成
- 英仏互いの敵対心が増強される(それにともなった原始的なナショナリズムの形成)
余談
- 黒死病は当時のヨーロッパの人口の1/3以上の命を奪ったとされる。
- フランス側は一枚岩だった訳ではなく、イングランドと本格的な戦闘をしてない時は諸侯が虎視眈々と王位を狙っており、しょっちゅうフランス王は殺された。
- この後数世紀の間イングランドとフランスは犬猿の仲に。
⇒今の良好な英仏関係の成立は1814年のウィーン会議におけるタレーランの工作まで待たねばならない。
◇ジャンヌ・ダルク(仏:Jeanne d'Arc 英:Joan of Arc)について
1412年頃農民の家に生まれる。
別名「オルレアンの聖女」
元から敬虔深い性格だった。
戦争末期頃、神の命を受けたと確信。
皇太子軍に加わり軍を鼓舞。
オルレアンの解放に成功しフランス側の士気を大いに高めることに成功。
百年戦争での活躍により現在でもフランスの国民的英雄である。
が、1430年イングランド側に通じていた司教らによって異端宣告を受け、
(裏にはダルクの活躍を妬んだフランス貴族もいた)
1431年火刑に処され死亡。
1456年宗教裁判が開かれ異端宣告の取り消しに伴い名誉回復。
1920年教皇庁より列聖。
◇その他、活躍した有名人物
- エドワード黒太子
イングランドの王太子であり、戦争初期のイングランドを支えた戦術家。
病で早逝したが、このことが後の薔薇戦争の遠因になる。
軍人としては優秀だったが政治家としては四弟ランカスター公ジョン・オブ・ゴーントに及ばなかったと言われる。
因みに黒太子の名は彼が全身真っ黒な甲冑に身を包んでいたことに由来。テラ厨二。
フランスの軍人(元帥)・貴族。ジャンヌの護衛を務めたりした。
ジャンヌの処刑後は自分の城に引きこもり、近くのロリ・ショタっ子を攫っては殺していたため処刑された。
ある意味おまいら(俺ら)の祖先。当然だが真似しないように。
蛮行に及んだ理由はジャンヌをフランスに見捨てられたショックで心を病み、子供を生贄に黒魔術でジャンヌを蘇生しようとしたためとされている。
◇関連する作品
◎ゲーム
- ブレイドストーム 百年戦争(コーエー)
百年戦争を題材にした「部隊アクションゲーム」。ハードはPS3とXBOX360。
プレイヤーは傭兵となって部隊を率い、フランス各地を転戦する。
三國無双よろしくイケメン化した武将…ならぬ諸侯が登場。史実と異なる部分(王が常に同じであるなど)がかなりあるのはご愛敬。
追記・修正は百年戦ってからお願いします。
[#include(name=テンプレ2)]
この項目が面白かったなら……\ポチッと/
#vote3(time=600,27)
[#include(name=テンプレ3)]
▷ コメント欄
- リッシュモン(ブルターニュ公アルテュール3世)、シャルル5世、シャルル7世、デュ・ゲクランあたりも有名だよね。 -- 名無しさん (2013-09-11 11:15:38)
- むせ……ない -- 名無しさん (2014-03-12 20:43:27)
- ↑同感 -- 名無しさん (2014-04-16 17:48:35)
- コーエー100年戦争無双出さないかなw -- 名無しさん (2014-05-27 14:04:21)
- ↑ 当面の問題はタイトルか...... -- 名無しさん (2015-12-03 20:57:19)
- 悪徳と野心、頽廃と混沌とをコンクリートミキサーにかけてブチまけたような街が出来そう -- 名無しさん (2016-09-16 14:10:55)
- 歴史SLGで百年戦争なんか作ってくれないものだろうか…… -- 名無しさん (2020-04-01 14:03:43)
- 聞いた話だとイギリスの国王は今でもフランス王を兼任してることになってるらしい -- 名無しさん (2020-04-01 15:49:55)
- ジャンヌ・ダルクってどの媒体でも英雄的な立ち位置で描かれてるけど、逆に悪役的な立ち位置で描かれたことってあったっけ(書籍・映像作品問わず)? -- 名無しさん (2020-04-11 00:35:30)
- ↑俺は読んだことないけど聞いた話だとシェイクスピアは自分の作品でジャンヌダルクをボロクソに貶しているらしい -- 名無しさん (2020-04-14 07:08:09)
- そういえば、バチカンって、最終的にジャンヌに謝罪はしたんだっけ? -- 名無しさん (2020-07-24 09:50:32)
- ↑たしか名誉回復(異端判決の取り消し)はされて、殉教者とされてる。明確な「謝罪」をしたかはわからんが… -- 名無しさん (2022-12-04 20:32:54)
- ↑5 ジャンヌ・ダルクが悪役な作品はそれこそドリフターズが一番有名じゃね -- 名無しさん (2023-07-15 13:57:00)
#comment
コメント
最新を表示する
NG表示方式
NGID一覧