登録日:2023/10/11 Tue 00:29:05
更新日:2024/04/11 Thu 23:56:18NEW!
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相棒 ネタバレ項目 救うべき加害者 相棒エピソード項目 斉藤暁 鬼畜な被害者 傑作 衝撃のラスト 岩下悠子 偽証 悲しい真相 相棒5 2006年 season5 高橋長英 犯人はスズキ 裁くべき被害者 鬼畜すぎる被害者 気の毒な被害者とそうでもない被害者 森本浩史
真実はもうそこまで見えています。 しかし、その真実というのは極めて残酷なものかもしれません
「犯人はスズキ」とは、2006年10月25日に放送された相棒season5の3話である。ある殺人事件から始まり、異様に高い防犯意識を持つ町や、事件に繋がる過去の事件を描いた名作。脚本は岩下悠子。監督は森本浩史。
【あらすじ】
柳瀬町の神社で白坂という男の他殺体が発見された。偶然事件を聞きつけたたまきから連絡を受けた右京は薫とともに捜査に乗り出す。聞き込みから白坂は殺される直前、同じ町内会のスズキと言い争っていたことが判明。右京らはスズキを探すが、引っ越してきたばかりで町内会長の池之端らも居所を知らないという。スズキと思われる男がコンビニに残した指紋から、空き巣の現行犯で逮捕された江島であることがわかった。江島が逮捕されたのは3カ月前。ちょうどそのころここ柳瀬町でも空き巣が捕まっている。まさか江島が柳瀬町で…!?
江島の遺体が自宅で発見された。どうやら首を吊って自殺したらしい。やはり江島は3カ月前、柳瀬町で白坂の家に空き巣に入ったところを町内会の住民によって捕まっていた。江島を捕まえた住民とは、スズキの釣り仲間・堂本だった。が、堂本はスズキが江島と同一人物だったとは気づかなかったと苦しい言い訳を繰り返す。堂本はかつて警察官として柳瀬町の交番に勤務していた。それだけ柳瀬町には愛着もあるはずだ。その堂本がなぜ町を荒らした空き巣犯を庇おうとするのか?右京らの追及に堂本は怒り出して…。
【登場人物】
- 堂本達也
演 斉藤暁
町内の住民パトロールをしている見回り隊の隊員。
元警察官で、かつて柳瀬町の交番に勤務していた。
3カ月前、柳瀬町で白坂の家に空き巣に入った江島を捕まえた。
スズキの釣り仲間だったが、スズキが江島と同一人物だったとは気づかなかったと苦しい言い訳を繰り返す。
堂本はかつて警察官として柳瀬町の交番に勤務していた。それだけ柳瀬町には愛着もあるはずだ。その堂本がなぜ町を荒らした空き巣犯を庇おうとするのかとの右京らの追及に怒り出して…。
演者は「踊る大捜査線」の副署長。
- 池之端庄一
演 高橋長英
柳瀬町町内会長。
穏やかな性格で、「スズキがそんなことをするわけがない」と語っていた。
- 伊伏勝・伊伏節子
演 丸岡奨詞・前沢保美
豆腐屋の主人夫婦。
右京らに「豆腐が好きな人に悪い人はいない」と語り、スズキの無実を主張する。
中盤、電話越しにスズキらしき男に「あんた、警察に疑われてるから、聞かれたことには答えるんだよ」と言っていた。
- 田宮剛志・田宮志津江
演 田口主将・山本道子
お茶屋「茶処 たみや」の主人夫婦。
- 白坂英治
演 白石タダシ
事件の被害者。区役所の職員*1。非常に真面目な性格で、区役所に30年間勤めている。
柳瀬町の神社で、頭部を複数回殴られた撲殺体で発見された。偶然事件を聞きつけたたまきから連絡を受けた右京は薫とともに捜査に乗り出す。
聞き込みから白坂は殺される直前、同じ町内会のスズキと言い争っていたことが判明するが…。
演者の白石タダシ氏は17年後、興和「三次元マスク」のCMに出演し、新型コロナウイルス感染症対策分科会会長の尾身茂に似ていると話題になった。
- 江島郁夫
演 加島祥全
スズキと疑われた男。工員。47歳。別サイトで「郁雄」と間違って書かれやすい。
スズキが手に取った指紋から過去の前科者リストと照合した結果、江島が浮かび上がった。
井伏のところに「私が白坂を殺しました。これから死にます。死んで罪を償います。」という電話がかかってきて、その直後自宅で首つり死体となって発見された。
3カ月前、柳瀬町で白坂の家に空き巣に入ったところを町内会の住民によって捕まっていた。
江島を捕まえた住民とは、スズキの釣り仲間・堂本だった。が、堂本はスズキが江島と同一人物だったとは気づかなかったと苦しい言い訳を繰り返すが…。
■レギュラー
3ヶ月前にも町内で空き巣が多発していた事、柳瀬町の子供たちの高すぎる防犯意識、それに反して町内会集会所の鍵をかけていないというチグハグな矛盾や、「スズキ」という人物を示唆した人物が全員50代以上の古参であったことが引っかかり、過去の事件を調べる。
それがきっかけで、一連の事件には、1982年に起きた少女の暴行殺人事件が関係していることに気づく。
右京とともに白坂の家で、30年近く前の人気アニメ「マジカル・リリィ」のキャラクターグッズを見つける。
ご存じ捜査一課の皆さん。
三浦が「神社で殺しとは…神も仏もねぇな」とつぶやく。
今回は特に見せ場はなし。
- 亀山美和子
かつて美和子も「マジカル・リリィ」を観ていた。
変身の呪文とポーズまで再現可能で、ファンだったことがうかがえる。
今回の事件の功労者。
- 宮部たまき
「花の里」の女将。
作中で「伊伏豆腐店」で豆腐を買うシーンがある。どうやらお店の人とも顔なじみのようで、いつも伊伏豆腐店で豆腐を買っているようだ。
【以下…事件の真相】
白坂を殺したのは私です・・・私がこの手であいつを・・・
- 池之端庄一
白坂を殺害した真犯人。
実は初めからスズキなどという人物は存在せず、全員で作り上げた架空の存在。
すべては、24年前に町内会長の娘・桃代が殺害されたことから始まった。 みんなが可愛がっていた小さな女の子が殺され、事件は迷宮入りになった。
ところが、江島の空き巣行為*2によって、白坂が桃代の持ち物を所持していたことが明るみに出た。
彼と堂本が白坂を問いつめるうち、町内会長は怒りにまかせて落ちていた石で彼を殺害してしまう…。
池之端は自首しようと考え、町内会の面々を集めるが、 白坂への怒りと町内会長への同情から、全員が共謀しての “犯人スズキ”が作られた。
あんたが殺したんじゃないよ…!白坂を殺したのは、別の人間です。
警察にそう信じさせるんです。例えば…そう、スズキです。犯人はスズキだ!会長さんじゃない…
- 堂本達也
スズキという架空の人物を犯人に仕立てようと提案した立案者。元警察の人間だったため、捜査についての知識があったのだろう。 江島殺害の犯人である。ちなみに江島殺害は堂本の単独犯で、池之端をはじめとした他の町内会の人間は関わっていない。
3か月前、白坂の家に空き巣に入った江島をパトロール中に発見し、取り押さえた。
しかし、江島の持ち物に、「ももよ」と書かれた筆箱があるのを気付き、江島を問い詰める。江島によればこの筆箱は白坂家から持ち出したものだった…。
当初は偶然だと考えていたが、当時の捜査資料を調べ直すほど、白坂が怪しく見え、迷った末に池之端に確かめた。
間近に桃代を殺した犯人がいたことに気付かなかったことや、あろうことか当時の犯人捜しの輪の中に真犯人がいたことに気づかなかったことを悔やみ、池之端を守ろうとしていた。
江島に金を渡し、花の里で酒を飲むように指示し、スズキという男を演じさせた。
しかし、防犯ビデオから江島に辿り着かれてしまい、第2の殺人を犯してしまう。
右京が出た電話は彼がかけたもの。電話をかけ終わった後にすぐに江島のアパートに向かい、江島を自殺に見せかけて殺害した。
- 伊伏勝
- 伊伏節子
- 田宮剛史
- 田宮志津江
彼らも堂本の発案で「スズキ」に罪を着せようとした。
間近に桃代を殺した犯人がいたことに気付かなかったことや、あろうことか当時の犯人捜しの輪の中に真犯人がいたことに気づかなかったことを悔やみ、池之端を守ろうとしていた。
- 白坂英治
冒頭の時点ですでに遺体で発見されていたことや、生前のシーンが少ないため印象が薄かったが、実は24年前に百代を殺害した真犯人であった。
勝によると当時、桃代は白坂に懐いており*3、このことから桃代を簡単に誘い出せたものと思われる。
彼によれば桃代を殺す気はなかったそうだが、何食わぬ顔で地域住民たちと共に犯人捜しに加担していたことや、池之端・堂本に問い詰められた際の言動などから、現在では事件のことを何とも思っていないと思われる。
堂本らの問い詰めに対し「あの娘がかわいすぎるのが悪いんだ…殺す気はなかったのに…あんなに騒ぐから…」などと言い放ち、激怒した池之端に殺害された。
- 江島郁夫
堂本に金を渡され、スズキを演じていた。堂本たちの共犯者というべき存在。
しかし、防犯ビデオに映り、そこから警察に辿り着かれてしまい、彼の口から真相がバレる事を恐れた堂本に自殺に見せかけて殺害された。
彼が行った空き巣は犯罪だが、殺人の濡れ衣を着せられた上に殺されるのは気の毒過ぎる。今回の事件の最大の被害者と言っても過言ではない。
町内会の人々は、必死でスズキさんの存在を警察に信じ込ませようとするうち、本当にスズキさんという 人物が町内会に居るような錯覚を覚えたと語る。
スズキさんは、桃代の無念を晴らしてくれた。そして今でもどこかで、この町の安全を見守ってくれている。子供たちの安全を、そっと見守ってくれている。そんな風に思えてなりません。
どんなに…良いでしょうね…。
それが本当だったら、どんなに良いでしょう…。
■結末
一種の自己暗示だったのかもしれないと語る右京、やるせないと語る亀山。
そんな2人にたまきは伊伏豆腐店の豆腐を提供する。
たまきは豆腐店がしばらくお休みとなることを残念がっていた。
そんなたまきに亀山は「またすぐ食べられますよ」と語った。
そんな中、花の里に一本の電話が…
はい、花の里です~。ご予約ですか?ありがとうございます。
お名前は…はい、鈴木様。
なんと花の里に、「スズキ」という人物が予約を入れたのである。亀山は驚きスプーンを落としてしまう。
この鈴木さんは本当の鈴木さんですかね…?
それ鈴木さんと言っているんですから、鈴木さんでしょう。
■余談
本作に登場した池之端翔一のように殺人被害者の遺族が復讐殺人を行ってしまう*4のはテレビドラマや映画でもよくあるパターンであるが、「犯人・スズキ」が池之端を守ろうとした町内会の面々による作り話であるというのは、アガサ・クリスティー「オリエント急行殺人事件」*5を彷彿とさせる。
また、このエピソードから17年が経過した2023年、同局の「おかしな刑事最終回!大千秋楽スペシャル」で、「団地の住人全員が犯人」という、本エピソードを彷彿とさせる結末となった。
なお、右京が見ていた新聞記事に少女の名前が「池之端桃代」と記載されており、時効を迎えた際の記事では庄一のコメントが実名で掲載されており、この時点で右京は24年前の少女誘拐殺人事件の被害者が池之端庄一の娘であると察したはずである*6。
ちなみにSeason5は本話と合わせて、平田満が演じる嘘の天才である窃盗の常習犯・槇原惣司を描いた「せんみつ」、亀山が優しい嘘をつく「赤いリボンと刑事」と、「嘘」にまつわるエピソードも多い。
追記・修正はスズキさんにお願いします。
*1 ちなみに「花の里」のロケ地は港区赤坂である*2 江島は引き出しごと盗んでおり、犯行時に中身は確認していなかった。
*3 少女が近隣に住む若い男性になつくのはよくある話である。
*4 『相棒』でも、過去の身代金誘拐事件の被害者遺族・容疑者の遺族が共謀し真犯人を罠にはめた「願い」というエピソードがある。
*5 ただし、『オリエント』での復讐殺人は、多数の関係者による計画性の高いものだが、この回の復讐殺人は少女の父親・庄一による突発的なもので、計画性は乏しい。一方、事実を知った町内会の人々が庄一を庇おうとしての偽装工作が計画的なものであった。
*6 ちなみに現実世界において、「池之端」姓は60人前後と非常に少ない。
コメント
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ガリレオの「沈黙のパレード」でこれ思い出したな……
斉藤暁さんは「科捜研」と「踊る大捜査線」以外では犯人役が多いよね。
桃代を殺害して24年間も逃げ続けた白坂だけどまさかたった1人の空き巣のせいで自分の人生が終わるハメになるとは思いもしなかっただろうな
>> 返信元
白坂が「あんなに騒ぐから」とか言ってたし、24年前の新聞に「暴行を受けた形跡」という文字が見えたので、たぶんされただろうね…。白坂は独身だったみたいだから、下手すれば奪ったステッキやペンケースで桃代ちゃんを想像しながらオナニーしていたこともあったかもしれないな。
犯人の娘、白坂にレイプとかされたんかな?
2023年11月29日に関東で再放送
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