イケイケ↑えんま堂!(ちゃおホラー)

ページ名:イケイケ_えんま堂__ちゃおホラー_

登録日:2023/03/12 Sun 00:06:45
更新日:2024/07/05 Fri 10:55:58NEW!
所要時間:約 11分で読めます



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ちゃおホラー コメディ はまじあき 地獄 メイド 漫画 小学館 割とゲスいりんねちゃん はやみ知晶 イケイケ↑えんま堂! 魔女っ子ポリス☆めめたん



『イケイケ↑えんま堂!』はちゃおデラックスホラー2014年3月号に収録されたホラー短編(一応)。
作者ははやみ知晶。推理ゲームを買って全部攻略サイトを見てクリアしたことがあるらしい。
今となっては有名な話だが、実は作者はあの人の別名義。


地獄で働くりんねを主人公としたコメディ。
人間を地獄におとすバイトをしているがノルマを一度も達成したことのないりんねちゃん。
そんな時出会った人間のカップルを地獄におとすため、ひと悶着起こすことになる。
ちゃおデラックスホラーはホラーだけでなく、箸休めとして「オカルト要素はあるがホラー要素はない作品」を掲載することがある。
これもそんなタイプの話のひとつ。本当に「コメディに見せかけて最後ホラーオチ」とかも無いので安心して読もう。


なお本作は現状単行本化していない。そもそもちゃおホラーのコメディものは単行本収録率が異様に低い。
ついでに収録されたちゃおデラックスホラーが現状電子化もしていないため地味に読むのが困難。
古本屋とかで見つけたらありがたく読もう。


【ストーリー】


よしもう一度振り返るぞ


はい!


お前の名前年齢職業は?


名前はりんね 年齢は1465歳くらい 職業はえんま大王の手下っす!!


お前の仕事の内容は?


人間界で罪人を見つけて地獄におとすことっす!


で おまえがおとした人数は?



0人っす!



死ね!




りんねちゃんは地獄でバイトをしている女の子。しかし絶望的なまでの落ちこぼれっぷりから、仕事を始めてから半年も経つのに誰も地獄におとせていなかった
今まではコスプレ姿に免じてえんま大王様に許してもらっていた(ちなみにこのシーンではミニスカナース服を着ている)。
だが流石にもう見飽きたということで、3日以内に地獄に罪人を落とせなければ8大地獄巡りツアーをすることに!



これは地獄でのお仕置きであり、8つの地獄を巡らせ痛めつけるというもの。終わった時には人としての原形を保っていないらしい……。
まありんねはその辺りは別に良かった。問題なのはツアーが終わるまで5000年はかかりその間自由がないということ。
少年漫画好きで週刊少年マンデーを愛読しているりんねには由々しき問題。
ということで、りんねは何が何でも罪人を地獄におとさねばならなくなった。



こうして人間界に降り立ったりんね。ちなみに衣装はえんま大王に着させられたメイド服である。
彼女は誰にも相談できないお悩みありませんか~ えんま堂が解決いたしますっすよーと怪しげなティッシュ配りしていた。
こんな怪しいものに頼る人間は100%うしろめたい理由を持った悪いやつっす!という単純な作戦であった。
だがあまりに単純すぎるためか、そもそも誰もティッシュを受け取ってくれない……。
そんな中ようやく、暗い顔をした女子高生・七宮ななせがティッシュを奪うように受け取るのだった。



さてその数時間後。りんねのもとに、本当にななせが訪れていた。
彼女の願いは罰ゲームで一ヶ月付き合うことになった伊予部という少年を何とかすること
伊予部のことは嫌いなので付き合いたくない。だが友だちから仲間外れにされることは怖いので罰ゲームを拒否できない。
ななせは中学のときにイヤなことをイヤと言ったら仲間外れにされた過去がトラウマ。それから何があっても耐えるように生きてきた。だがそれでも伊予部とつき合うのは嫌だった。



それを聞いてりんねが取り出したのは「えんま大王の地獄道具その6シークレット人形」
使い方は簡単。この人形の中に消したい相手の写真と名前をかいた紙を入れて焼くと、その相手は消えてしまうのだ。ちなみにりんねは例としてえんま大王 カス 死ねと書いた紙を入れていた。
りんねは絶対使うよう3日以内に商品を使っていただけなければ3万円もらいますっす!と忠告すると去っていった。
ななせは「普通使ったら金払うものじゃないの?」と思いつつも人形を受け取るのだった。
りんねの狙いはななせが罪人になるよう誘導すること。この人形を使ったら人を消した罪人として即地獄に送るつもりであった。





そして次の日の放課後。名前を書こうと思ったななせだが、そもそも伊予部の下の名前が分からないことに気が付く。
仕方がなく伊予部に話しかけることにしたななせ。
いつも通りダサい伊予部にななせはイラつく。だが名前を聞こうとした直後、伊予部は「バイトがある!」と焦って教室から出て行こうとする。ななせもそれについていく羽目に。



伊予部のバイト先は仕事がきついことで有名なファミリーレストラン。よく見ると看板にデカデカと「ガスト」と書いてある。
伊予部に「俺バイト終わるの9時くらいだから帰った方がいいと思う! 本当にごめん」と言われたものの、名前を聞くまでは帰れない。ななせはレストランで待つことになってしまった。
バイト中の伊予部は、ぼさっとした学校での姿とは対照的にしっかりしていた。
ななせは、伊予部は彼女放っておいていつもすぐ帰るが、それはバイトのためだと気が付くのだった。
また、せっかく待ってくれたななせを気遣ってか、伊予部はデザートをサービスしてくれた。
学校では見せない意外な姿にななせはちょっとときめいてしまう。



ようやくバイトが終わった……が、伊予部はななせを放ってまたどこかに駆け出してしまう。いつも体育でビリとは思えないほど足が速かった。
それを追いかけたどり着いたのは託児所。「まさかロリコンとか言わないよね?」と訝しむななせだが、待っていたのは伊予部の妹だった。
ななせが伊予部の彼女だと知ると妹はとても喜んでくれた。彼女にとって兄は憧れの存在のようだ。ちょっと心が痛いななせ
話の中でなんとなくななせは伊予部がバイトしている理由を聞く。
それは大学の学費を貯めるためだった。大学に行けるほど家に金はない。けれどいい大学に入っていいところに就職して親を楽させたい。そのためにも伊予部はバイトをしていた。
バイトを頑張りすぎて寝不足でその結果が学校でのダサい姿らしい。そのせいで勉強も最近分からなくなっているとか。その言葉にななせは思わず「それじゃ本末転倒じゃん」と苦笑してしまう。
初めて見るななせの笑顔に、伊予部はときめくのだった。



だから今度ななせに勉強を教えてほしいと申し出る伊予部だが、ななせとしては人形のことが後ろめたく素直にOKできなかった。
伊予部はそれを、ななせが自分と勉強したくないと思っていると受け取ってしまう。
気まずくなったななせ。話題を変えるべく彼が告白を受け入れてくれた理由を聞く。ななせにとって伊予部は罰ゲームまで縁のなかった存在。そんな彼がOKしてくれたのは不思議であった。
それに対し伊予部は「ひとめぼれだったんだ」と笑って答える。実はななせのことが高校入学したときから好きだった。だからこそななせが彼女になってくれて本当にうれしかった。
伊予部が本当に自分を想ってくれることを知り、心が痛いななせ
そうして二人はまた明日学校で会うことを約束し、別れるのだった。





会話の中で伊予部の下の名前が「新」であるのは教えてもらった。
だが写真と紙を人形に入れてみるも、もう伊予部を消したいかどうかわからない
とりあえず人形をバッグの中に入れると明日また考えることにするのだった。
窓の外からそんなななせを見ていたりんねは、予想外の事態に冷や汗をかいていた





次の日。ななせ伊予部に本当のことを話す決心を固めていた。当然グループの仲間たちは反対する。
「言うのならこれから卒業までななせを無視する」と言い出す仲間たち。
中学時代友だちに無視されたトラウマがあるななせ。それでも彼女の決意は固かった。


これ以上伊予部をだましてたくないんだ


それに伊予部をだましてまであんたたちとつき合うことの価値が全然見つからないから……



そう言うとななせは、毅然として仲間たちから去っていった。
だが彼女たちはそんなななせが気に入らない。何かしてやらなきゃ気が済まない、と考えるのだった……。



そうして伊予部の元へ向かおうとしたななせ。だがいきなり謎の空間に囚われてしまう。
そこに現れたのはりんね(メイド服姿)。ななせがようやく人形を使ってくれたから、その報告にきたらしい。
しかし人形を使った記憶はななせになかった。
実はななせは人形をバッグに入れたままだったのだが、グループの女子たちが憂さ晴らしにバッグを焼却炉に入れたのだった。それにより呪いが発動してしまった……。
そしてりんねが見せたのは地獄におちてしまった伊予部の姿。彼は戸惑う中地獄の鬼たちに捕まり、様々な罰を与えられてしまう







……というのはりんねがつくった合成映像
実は伊予部は地獄におちていなかった。地獄は罪人が行くものだが伊予部は善人。なのでそもそも人形の力は無効になる。
しかしどんな経緯であれななせが人形を使ったのは事実。これでりんねは心置きなくななせを地獄におとせる。りんねは、伊予部を地獄におとした罪悪感を味わったままななせを地獄で過ごさせるため、わざわざこの映像をつくったのだった。ゲスい
なおこの映像は伊予部が輪切りにされるところまで映される中々グロイものだった。本作唯一のホラー要素。
だがそれを見たななせが斜め上の行動を見せる。


私がっ! 代わりに地獄におちるから伊予部を見逃して! お願い!



伊予部は地獄におとされるような人じゃないの!



涙ながらに訴えかけるななせの姿に、りんねは興ざめだった。
繰り返すようだが地獄におとす条件は相手が罪人であること。他人のために自分を犠牲に出来るななせは善人にカウントされてしまう
せっかくあと一歩で地獄におとせそうだったのに……とりんねは泣きながら全てを明かすのだった。
ちなみにななせが善人にカウントされた最大の理由は自己犠牲精神みせたこと。つまりりんねがわざわざCG映像を見せなければ問題無くななせを地獄におとせた。ゲスさが生んだ自業自得
仕方がないのでりんねはななせを解放することにした。


最後にひとつ


もうこれからは一時の感情で人を消そうとか思ったらだめっすからね!


そう忠告すると、りんねは地獄に帰っていった。だがこれでりんねの地獄めぐりツアーが決定したことになり……。





そう思っていたりんねだが、地獄に戻るとえんま大王がツアーを免除していた
りんねにしてはあと一歩まで行ったゆえの措置らしい。
だがえんま大王がそれだけで終わらせるはずもなく……。


その代わり今人間界の幼女に大人気の「魔女っ子ポリス☆めめたん」の痴女同然の衣装で地獄一周してこい!




ギャーーーーーーーッ


何だこのセンス!!



そうしてりんねはほぼ半裸のコスプレ衣装に着替えさせられるのだった。


次こそは 次こそは


必ず罪人を地獄におとしてやるっすー!!



その頃人間界ではななせと伊予部が仲睦まじく笑い合っていた……。



【登場人物】


◆りんね
地獄でバイトしている女の子。
読むと分かるが彼女は割とゲスい。仕事が失敗したのもよくある「良心の呵責に苛まれ……」とかではなく、単にななせが心変わりしたからである。もっと言うと地獄におとす人間のあたりのつけ方が単純だったから。最後はビシッとななせに忠告していたが、彼女の性格を考えると地獄に堕とす気無いなら私に手間かけさせるんじゃねえが近いと思う。
そのゲスさが仇となり、わざわざCG映像を見せたせいで地獄おとしが失敗となった。
ただメンタルは異様に強く図太いので、これからも地獄で気楽にやっていくのだと思われる。



◆七宮ななせ
本作の実質的な主人公。
中学生時代のトラウマから伊予部を地獄におとそうとしたが、彼の人柄を知るにつれて迷っていった。
クライマックスでは「伊予部に全てを打ち明けて友達からやり直したい」と言っていた。最後のコマを見るにきっとそれは成し遂げられたのだろう。



◆伊予部新
ぼーっとしている少年。初登場時には机で寝ていたところをななせに起こされ、よだれを垂らす情けない姿を見せていた。
だが実際には家族想いな男。自分が要領悪いことを知っていながらも、親や妹のために身を粉にして働く好青年であった。そんな姿にななせも少しずつ彼に心を寄せていく。



◆えんま大王
なぜか2等身の姿をしている。
りんねには相当恨まれているようだが、半年で成果0の彼女をクビにしない辺りかなり温情である。
ただりんねのコスプレ姿はえんま大王の趣味である模様。



◆新の妹
お兄ちゃんのことが大好きな妹。兄に彼女が出来たと知って心底喜んでいた。



◆ななせのグループの女子
腹いせで人のバッグを焼却炉に投げ捨てる割と危険な奴ら。



【余談】


みんな知っていると思うが、『はやみ知晶』は『ぼっち・ざ・ろっく!』のはまじあきの少女漫画時代の名義。


はまじあきは最初は少女漫画を描いていたがそのうちに萌え系漫画の方が求めるものに近いと感じきららに移った人。
そういう意味で言うと、同じ話で3回もコスプレをするりんねちゃんは作者らしいキャラだったのかもしれない。
というか小学生もメインターゲットのちゃおで「幼女」という言い回しは地味に珍しい(「JS」とかはよく聞くけど)。
今更だが、本作がはやみ先生初のちゃおホラー作品*1


はやみ知晶はその後ちゃおホラーでは「スウィート♰ブラッド」を描いている。
ちゃおデラックスホラー&ミステリー2014年10月号及び2015年7月号に掲載。こちらも現状単行本未収録。というかはやみ先生の作品は実質読み切りだけなので、単行本化する機会がなかった。
話はノリのゆるいミステリーもの。ロリババア吸血鬼のキュルテンが偶然出会った巡査の榊原よりと共に事件を解決していく。
全体的な萌え度はさらに上がっているお兄ちゃんが大好きすぎて構ってほしいゆえに狂言事件起こす妹に、話の都合でページの大半半裸晒すアイドルなどなど。
そもそも主人公が日本人は血が甘いと聞いて来日した1500歳の美少女ロリータ吸血鬼というのがすごい。


こうして見ると作品内容は少女漫画から萌え漫画に徐々に変化している。


ちなみにもともとちゃお本誌で読み切りを掲載していた時も、二次元やオタクがテーマの作品が多かった。ちゃおではまあまあ珍しい作風の方。
余談だが『二次元オタクなごみちゃん』という読み切りには一コマだけぼっちちゃんにしか見えない顔芸が出てくる。






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  • ちゃおホラーは読む年齢層高いといえ、女児に何読ませてんだw -- 名無しさん (2023-03-12 00:13:54)
  • 単行本にもなってないような作品かつ、人気があるような記述がないのになんで項目があるのかと思ったらぼっちざろっくの作者さんの少女漫画家時代の作品とは。 -- 名無しさん (2023-03-12 04:59:23)
  • 検索かけても無関係な寺院のページしかヒットしないくらい情報少ないのによく見つけられたな... -- 名無しさん (2023-03-12 12:55:00)
  • もしかして女子グループの方狙えば良かった!? -- 名無しさん (2023-03-12 13:39:01)
  • ↑あきらかにいじめグループだし、他人の持ち物を燃やすという明確な悪事も働いているし、間違いなく地獄行きだろうな。 -- 名無しさん (2023-03-12 21:45:55)
  • かなり地獄少女じゃないこれ? -- 名無しさん (2023-03-13 18:44:43)

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*1 今まで本誌で読み切りを描いていたが、これで初めてホラーデビューになった。なお本誌読み切り→ホラー読み切り→連載がちゃおの基本的な出世ルート

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