登録日:2022/11/13 Sun 20:02:53
更新日:2024/06/27 Thu 11:22:38NEW!
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こうの史代 漫画 短編 同人誌 コアミックス 蝶々 死生観 ナルカワの日々 ユリイカ 青土社
チワス!
『ナルカワの日々』とは、こうの史代による短編漫画作品。
概要
元は作者が漫画家デビューして3年経った1998年の暮れに同人誌として自費出版された作品。
語り部である「詠さん」と一緒に過ごす「ナルカワ」の他愛ない日常を描きながら、作者自身の死生観をテーマとして盛り込んだ内容が、わずか14頁に纏められている。
同人誌の後書きによれば、当初はもう一作くらい執筆してそれと併せて本にする予定だったが、描くうちにこれ一本で本にしてみたくなったとのこと。
商業媒体としては、青土社『ユリイカ』2016年11月号(『この世界の片隅に』の劇場アニメ版公開直前に刊行されたこうの史代の特集号)に漫画本編が収録されているが、
同人誌の表紙イラストや本編以外のカット、後書きは未収録となっている。
2022年には、著者の過去作品がコアミックスより新装版として再販される折に、帯の応募券を単行本4冊分集めて応募できる全員サービスのノベルティとして
同人誌を出版当時そのままの装丁で復刻した小冊子が配布された。
ちなみに作者が自身のブログで語ったところによれば、本作も当初はコアミックス新装版シリーズの一冊として予定していた短編集への収録が想定されていたそうだが、
いざ短編を寄せ集めてみると2022年の段階では「自分で見てもあまりにも作風がバラバラでまとまりがなさすぎる」と判断、短編集の出版自体を見合わせてもらったとのこと。
登場人物
- 詠さん
本作の語り部である女性。名前はナルカワに一度呼ばれているのみで、そのまま名前なのか愛称なのかは不明。
一緒に暮らすナルカワのグータラぶりに多少呆れつつも、たまに喧嘩を経て仲直りしたりと、何だかんだで彼の事は嫌っていない模様。
古本屋と思しき場所で働いているコマがある。
- ナルカワ
詠さんと同居している男性*1。漢字表記は「成川」。
顔付きはこうの史代のキャラデザを踏まえてもイケメンとも男前とも言い難いカエル顔。
仕事はガードマン(というより作中描写的には警備員)として地下に建設予定の巨大自転車置場に勤務している模様だが、家ではひたすらグータラに過ごしている。
ストーリー解説
詠さんと一緒に過ごしているナルカワは「ガードマン」で、その証拠に「ぴかぴか光る赤い棒」を持っている。
詠さんと初めて出会った時は謙虚な面も見せたナルカワも、時が経ちすっかり平時には寝そべりながらお茶を飲んだりとすっかりグータラに過ごすようになっていた。
とは言え、たまにつかみ合い殴り合いの喧嘩をしながらも、程なくして球根と水を持ち寄って仲直りするくらいには間柄は良好な模様である。
ナルカワは半分に切って水を満たしたペットボトルに球根を浸し、外に連れて「散歩」させてやったりもする。窓の外では近所の川でアヒルが「ぴゃあ」と啼いていた。
近頃は地下に巨大な自転車置場を作る計画が持ち上がっており、そこが今のナルカワの仕事の勤務先であるそうだ。詠さん曰く「我々常人には与かり知らぬ世界」。
家でスヤスヤ昼寝をしながら夢を見ているナルカワの姿を眺めながら、詠さんはある事を想う。
いったい、判からない事 誰も教えてくれない事が多すぎる
ナルカワは何のユメを見るのだろう
われわれはこれからどうなるのだろう
あれも これも それも いけない事だと習った筈 ぜんたいナルカワにはいったいいつお許しが出たのだろう
すーすーいうし へんな手をしているし
成川さん 成川さんよ あんたといるとまったくいやになる
わたしがしんだら一匹の蝶になって
あんたのそばをてふてふついてこう
耳許で「ナルカワ」と呼んでみよう
わたしはもうちょうちょだから ナルカワにおんなのともだちができたら
髪にリボンのようにとまってあげよう
そんな事を想いながら、いつしか詠さんも眠りにつき、彼女にのしかかられたナルカワは「うーんうーん」と苦しそうにしながらも変わらず昼寝するのであった。
余談
本作の同人誌は最終的に6刷まで出版されたが、作者曰く増刷の度に表紙イラストを毎回新規に描き直していたとのこと。
コアミックス全員サービス小冊子の表紙は第6刷のものとなっている。
またね!
追記・修正は、死後に蝶々となって愛する人の元に舞い戻ってからお願いします。
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