サイエンスコナン 七変化する水の不思議

ページ名:サイエンスコナン 七変化する水の不思議

登録日:2022/9/11(日)
更新日:2024/06/27 Thu 10:27:16NEW!
所要時間:約 17 分で読めます



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名探偵コナン 学習漫画 スピンオフ お嬢様 ハートフル 熱中症 サイエンスコナン ガリレオ工房 小学館 漫画



『サイエンスコナン 七変化する水の不思議』とは、名探偵コナンを題材とした学習漫画。


何かとぶっ飛んだ作品の多い学習漫画シリーズではあるが、本作は『遺言状公開のためにお金持ちの一家が曰く付きの館に集まり、そこで事件が起こる』という、原作でもありそうな非常に正統派のミステリー作品となっている。



あらすじ

夏休みのある日、毛利探偵事務所に依頼人である弁護士の津山が現れた。
津山は冷泉財閥の顧問弁護士であり、その依頼内容は鈴木財閥にも引けを取らない冷泉財閥の跡取り娘・冷泉愛理の20歳の誕生日会が近く開かれる予定で、その場で1年前に事故死した父親・冷泉貴雄の遺言状が公開されることになっているが、最近彼女の身の回りで不審な事故が頻発している為、誕生日会の間彼女の身辺警護を依頼したいとのことだった。


愛理に余計な心配をかけない為、愛理の友人である園子の紹介で毛利一家が招かれたという形を取り、コナンたちは冷泉家の別邸『水の館』を訪れる。
だが、遺言状公開前夜に冷泉家使用人の氷室が何者かに切りつけられる事件が起き、さらに愛理の伯父の沼田がナイフで刺され重傷を負った状態で発見されるなど、事態は混迷を深めていき…。



登場人物

レギュラーキャラクター

ご存知主人公。
いつも通り凄まじい推理力を見せつけている。
警察からも一目置かれているようで、小五郎のヘッポコ推理に同調した時は『君まで何を言ってるんだ』と目暮に驚かれていた。
冒頭で元太が熱中症で倒れた時は、慌てず適切な応急処置を行い赤ひげ先生からも褒められていた。


ご存知蘭姉ちゃん。
普段から泥酔した小五郎の介抱をしている経験から、酔い潰れた沼田が自力で動くはずはないと小五郎に助言する。
今回の依頼が身辺警護だったということもあり、チェーンソーを持った氷室と出くわした時は不審者だと判断して臨戦態勢を取っていた(笑)。


ご存知迷探偵。
子供たちと一緒になってホラー番組にビビっていたり、『犯人は氷像では』とトンチンカンなことを言ったりと、娘に似て怖がりな一面が強調されている。
娘とあまり歳の変わらない愛理に見惚れている様には蘭も呆れていた。


ご存知蘭の親友。
財界の名家同士ということをあって愛理とは親交があるらしく、表向きは園子からの招待という形で毛利一家は水の館を訪れることになる。
イケメンに弱いのは相変わらずで今回は氷室に見惚れるが、彼が愛理といい関係だと悟ると悔しがりながら身を引いた。


ご存知警部殿。
通報を受けて水の館に駆けつけるが、例によって小五郎がいたことに呆れていた。
誰がどう見ても怪しい金尾を犯人だと睨む。


ご存知探偵団団長。
冒頭でコナン、光彦と共にサッカーの練習をしていたが、猛暑の中張り切りすぎて熱中症で倒れてしまう。
幸いコナンの応急処置と赤ひげ先生の治療のおかげで大事には至らなかった。


ご存知天才小学生。
冒頭で元太が熱中症で倒れてしまい焦るが、コナンの冷静な指示に従って何とか助けることができた。


ご存知純真小学生と哀ちゃん。今回は出番なし。
歩美は家族旅行中で不在、灰原は夏バテ気味で引きこもっているらしい。
灰原未登場はアニメ版でもたまにあるが、探偵団で歩美のみ未登場は全体でもかなりレアである。


事件関係者

  • 冷泉愛理(れいぜい あいり)

冷泉財閥の跡取り娘。園子とは友人同士。
礼儀正しく心優しい才色兼備の女性で、周囲からも跡取りに相応しい人格者だと見られている。本人も経営には意欲的で、近く留学して経営学を学ぶつもりらしい。
若くして両親を亡くしており、本人は気丈に振る舞っているが心中では寂しい思いをしているはずと津山から心配されている。
最近身の回りで植木鉢が降ってくる、階段の手すりが壊れる、不審者が目撃されるなど不可解な事件が連続しているが、本人はただの偶然だろうとそれほど気にしていない。
使用人の氷室と密かに想い合っているらしいが、周囲にはバレバレ。


  • 津山守(つやま まもる)

冷泉財閥の顧問弁護士。今回の依頼人。
長年冷泉家に仕えてきたため愛理の家庭の事情には詳しい。若くして両親を亡くした愛理の心中を思い涙ぐむなど懐の深い人物。


  • 氷室忠義(ひむろ ただよし)

冷泉家の使用人。
園子が見惚れるほどのイケメンで、硬水・軟水など飲料水に関する知識も豊富。主の愛理と密かに想い合っており、周囲からも『愛理のお気に入り』と認識されている。
氷細工の達人でもあり、館には彼がチェーンソーを使って彫った力作が飾られている。作業中はゴーグル・マスク・チェーンソーとホラー映画の殺人鬼のような格好になるため、コナンも蘭も本気で警戒した。
1年前の貴雄の転落事故の数日前に貴雄が沼田と言い争っているのを目撃しており、事件後警察に『沼田が突き落としたのかもしれない』と告げ口した。そのせいで沼田との関係は険悪であり、彼も未だに沼田のことを疑っている。
小五郎が愛理の身辺警護に来たことに勘付いており、小五郎に愛理から目を離さないよう頼み込むが、不審者を警戒して一人で庭を見回っていた時何者かに刃物で切り付けられ負傷する。幸い傷は浅かったためすぐ止血でき大事には至らなかった。


  • 沼田大輔(ぬまた だいすけ)

愛理の伯父。杯戸町で病院を経営している。
1年前に貴雄が事故死して以来、愛理の後見人として冷泉財閥の実権を握り、会長代行を兼任している。
麗子曰く『根は小心者』なのだが、酒が入ると気が大きくなり、会長代行の地位を傘に着て横暴に振る舞う悪癖がある。また一度手にした権力を失うことを極度に恐れており、遺言状で愛理が次期会長に指名されれば自分はお役御免になってしまうと内心気が気ではないらしい。
1年前の貴雄の転落事故の数日前に貴雄と何やら言い争っていたらしく、それを氷室が密告したために一時は容疑者として警察に疑われていた。幸いすぐに疑惑は晴れたがそれ以来氷室との関係は最悪で、面と向かって『愛理のお気に入りでなかったらクビにしていた』と罵倒するほど。
遺言状公開前夜にはしこたま酔っ払って、愛理のことを『世話してやった恩を忘れて自分を追い出そうとしている』と陰口を叩いたことで周囲の顰蹙を買い、麗子によってその場から連れ出された。
その後は酔い潰れてベッドで眠っていたが、氷室の事件があった後、胸をナイフで突き刺され屋内プールで倒れているところをコナンに発見された。幸いまだ息はあり病院に搬送された。


  • 沼田麗子(ぬまた れいこ)

愛理の伯母。沼田の妻で真理の妹。
自分達夫妻に子供がいないこともあってか、姪の愛理のことは自分の娘のように可愛がっている。冷泉家からも信用されているようで、沼田が愛理の後見人になれたのも彼女の影響が大きいと思われる。


  • 水鳥愛美(みずどり まなみ)

水の館の管理人。
白髪が特徴的な老婦人。館に住み込みで働いている。館に勤め始めてまだ1年ほど。
そそっかしくよく怪我をするため、自室には大量の消毒液の買い置きがある。


  • 金尾高郎(かねお たかろう)

館の地下室に潜んでいた怪しい男。駆けつけた警察に見つかり取り押さえられた。
本人によれば、沼田に手紙で呼び出されたが突然何者かに薬で眠らされ地下室に閉じ込められていたらしい。だが地下室を調べた警官によると、地下室の扉に鍵はかかっていなかったとのこと。
その後、沼田を刺したナイフから彼の指紋が出たことで目暮は彼を犯人と断定するが…。


その他の人物

  • 冷泉貴雄(れいぜい たかお)

愛理の父で冷泉財閥先代会長。故人。
早くに母を亡くした愛理を男手一つで育ててきたが、1年前に階段からの転落事故で死去。生前は不正を嫌う高潔な人物だったらしい。
財界の重鎮の突然の死に当時はニュースでも騒がれたらしく、コナンもその名を聞いたことがあった。警察の捜査では事件性なしと判断され、事故として処理された。
彼の遺言状は愛理が20歳になったときに公開するよう記されており、おそらく愛理を次期会長に指名する内容だと考えられている。


  • 冷泉真理(れいぜい まり)

愛理の母。故人。
生前は誰もが振り向くほどの美人だったらしいが、病弱だったため子供は諦めるよう医者から言われていた。そのため愛理を授かったときはとても喜んでいたという。
愛理が幼い頃に病気で逝去した。


  • 赤ひげ先生

冒頭で登場した小児科の開業医。顔は強面だが優しいおじさんで、渾名がついているあたり子供にも慕われているらしい。
今日は休診日で昼間から酒を飲んでいたのだが、光彦に頼まれてすぐに駆けつけ、熱中症で倒れた元太の治療をしてくれた。
元々が丈夫な上にコナンの応急処置が適切だったため元太はすぐ元気になり、大したことはしていないからと治療費をアイス一個にまけてくれた。


  • 先代管理人

水鳥の前に水の館に勤めていた管理人。オバケの類が大の苦手で、貴雄が亡くなり事故物件となった館で働くのを嫌がって逃げるように退職していったらしく、その後釜として水鳥が雇われた。
小五郎が冒頭で見ていたホラードラマの舞台が水の館そっくりなのは、この人発の噂のせいだろうと蘭は推測している。


用語

  • 水の館

冷泉家の別邸。見るからに立派な屋敷で、広大な敷地内には豪華な噴水や果樹園が存在する。入口は水のカーテン状になっており、車が通るときはこれが開く。
噴水の水を無駄遣いせずに果樹園への散水に使い回したり、打ち水の要領で館の外壁を濡らすことで夏場でもエアコン代を節約したりと、財力に驕らず細かな生活の知恵を活かした造りになっている。
前述した通り冒頭で小五郎が見ていたホラードラマの舞台のモデルとなっており、ドラマ内で描かれた怪奇現象と似たことが実際に起きている…のだが、


主の怨念によって揺らめく館
→打ち水によって蒸発した水蒸気で夏場は館が揺らめいて見える


館から聞こえてくる不気味な叫び声
→氷室が氷像を作るのに使っているチェーンソーの音


といった風に科学的に説明がつくものばかり。実際はそんなに曰くや伝説があるわけではない。


  • 屋内プール

水の館にあるプール。水上には人一人がやっと渡れるほどの幅の橋がかかっており、この橋を渡らなければ向こう岸に渡ることはできない。
向こう岸には貝殻を模した銅像と、氷室の作った守護天使の氷像が置かれており、沼田は氷像の足下、貝殻の上に倒れていた。
沼田を水に濡らすことなくこの位置に運ぶには肥満体の彼を抱えて橋を渡るしかなく、犯人は相当の怪力だろうと小五郎は推測している。
また貝殻の上には、銅線の輪をストローに通した妙な物体が落ちていた。


  • 庭の石像

館の庭にぽつんと置かれていた石像。20年前日付が刻まれているため愛理の誕生を祝して作られたものかと思われたが、愛理の誕生日とはズレがあったため蘭と園子も不思議がっていた。








以下ネタバレ














  • 氷室忠義

氷室を襲って切りつけた犯人。つまりこの事件は共犯者が沼田を始末する時間を稼ぐための自作自演だった。愛理から目を離さないよう小五郎に訴えていたのも、自分が警戒されないための方便である。
氷室は刃物など持っていなかったが、氷室は私物の水筒をウォーターカッターに改造し、自分の皮膚に水圧で切り傷をつけることで何者かに襲われたように装っていた。
水筒が凶器だとは警察も思わないだろうと見越してのトリックだったが、偶々手に取った水筒が不自然に重かったこと、水筒を落としただけにしてはやけに広範囲に水が飛び散っていることから、コナンはこれに気付いた。


動機は、沼田が命を狙っている愛理を守るため。
貴雄の死が事故だという警察の見解に納得がいかなかった氷室は、沼田の尻尾を掴むため、盗聴器を使って沼田の身辺をかぎ回っていた。その結果、沼田が金尾に強請られていること、そして沼田が愛理の命を狙っていることを知ってしまう。
これを警察に垂れ込むこともできたが、1年前の事件のこともあって警察に不信感を抱いていた氷室は自分の手でなんとかしようと、沼田を排除しその罪を金尾に被せる計画を立てたのだった。


  • 水鳥愛美

氷室の共犯者で、沼田を襲った実行犯。
一見非力な彼女に沼田を抱えてプールまで運んだり、狭い橋を渡ったりするのは不可能に見えるが、彼女はそれを可能にするトリックを使っていた。
彼女は沼田を食器運び用のカートに入れてプールまで運んだ後、沼田を浮き袋に乗せ、自分はウエットスーツを着ることでプールの中を突っ切っていたのだ。橋があるならそれを渡ったのだろうという先入観を利用したトリックである。


また、沼田はナイフで刺された瞬間悲鳴を挙げており、その時水鳥は他の関係者と一緒にいたため犯行は不可能のように思えるが、これもトリックを使っていた。
ナイフを氷のブロックに埋め込み、ナイフの刃を下向きにして銅線の輪で氷像の腕から吊るす。こうすれば時間経過と共に氷のブロックの重みで銅線は氷像の腕にめり込んでいき、やがて真下で眠っている沼田へ落下、突き刺さるというわけである。
このやり方では氷像の腕が切断されてしまうのでは?と目暮は疑問に思ったが、実際に実験してみると、銅線が通過した部分は再び凍りついて繋がり、切断はされなかった。
ちなみにストローは、銅線が氷のブロックに直接接触しないようにするもの。銅は熱伝導率が高く、氷に接触させると溶けるのを早めるので、ナイフを固定している氷のブロックまで溶けてしまっては逆効果になってしまう。
コナンが沼田を発見した時氷のブロックが影も形もなかったのもこの熱伝導率によるものであり、落下した先にある貝殻は銅でできており、また氷のブロックに細かい線を入れておけば落下の衝撃で砕け散るため、発見される前に氷の破片は全て溶け切ってしまうのである。
総じて、ストローと銅線が現場に落ちているという不自然な点は残るものの、眠らせた金尾の指紋をナイフに付けてしまえば誰も水鳥の犯行とは夢にも思わない。かなり複雑に練られたトリックである。


また水鳥は氷室が盗聴器を仕掛けた件にも協力していた。館の管理人である彼女なら容易にできることである。


  • 沼田大輔

愛理の命を狙っていた張本人。
会長代行の座に居座り続ける為、正当後継者である愛理が邪魔だった。


全ての始まりは1年前、沼田の経営する病院で医療ミスにより一人の女性が死亡する事故が起きたこと。小心者の沼田は医療ミスが公になれば病院が潰れるかもしれないと恐れ、隠蔽を図ろうとしていた。そこに漬け込んだ女性の夫・金尾に口止め料として5000万円を要求される。
自分の資産から出せる金額ではなく、冷泉家から金を借りようとするが、邪な目的の金だと貴雄に見抜かれ追い返されてしまう。これが氷室の目撃していた言い争いである。
貴雄が事故死した時も別の知人に金の無心をしていて、疑いがすぐ晴れたのはこの時のアリバイがあったため。つまり貴雄の事故とは本当に無関係だった。


結局どこからも借金はできず困っていたが、ひょんなことから姪の後見人として冷泉財閥の会長代行となる話が来たためそれを受け入れ、財閥の金を不正流用して金尾に渡した。
だが、正当後継者である愛理が会長に就任すれば、聡明な彼女はいずれ自分の不正に気づいてしまう。それを恐れ、この1年は損失を少しずつ補填して誤魔化していたらしい。


しかし遺言状公開が目前に迫った頃、再び金尾が現れて『貰った金を使い切ってしまったから更に5000万円寄越せ』と要求してきた。これを支払うには再び財閥の金に手を付けるしかなく、焦った沼田は愛理の会長就任を少しでも遅らせるため、彼女に怪我を負わせるかあるいは殺してしまおうと、あの手この手を使い始めたのである。


だがいずれも愛理は無事で、とうとう遺言状公開が明日にまで迫ってしまった。当然その心中は穏やかではなかったはずであり、いつ暴走してもおかしくなかったといえる*1
しかし愛理の命を狙っていたことは盗聴器によって氷室に筒抜けであり、やられる前にやろうと考えた彼によって重傷を負わされる羽目になった。


事件後、一命を取り留めたことが明かされた。いずれ回復した後逮捕されることだろう。


  • 金尾高郎

一連の事件の元凶。
医療ミスで妻が死亡したことに漬け込んで、病院の経営者である沼田を強請っていた。
一応彼も医療ミスの被害者遺族であり、受け取った5000万円はあくまで『慰謝料』だと主張しているが、実際は『裁判を起こすのは面倒』という理由で口止め料を要求し、病院側の隠蔽工作に加担していた呆れた男。それどころか自分の妻の死を金づるとして認識していた節もあり、まともな愛情があったかどうかも疑わしい。
しかも事件から一年も経ってから『妻の一周忌に花を供える金もない』と更に5000万円を要求しており、搾り取れるだけ搾り取るつもりだった様子だった為、まさに名は体を表す人物である。


結局、沼田の名を騙った氷室に手紙で呼び出され、館の地下室に閉じ込められた挙句事件のスケープゴートに使われてしまった。
この地下室にも細工がしてあり、扉が外側からしか開かないようになっており、しかも近くに水路があり常に大きな水音がしている為、金尾が助けを求める声は誰にも聞こえず、警察が館をしらみつぶしに探すまで見つからない為、あたかも地下室に潜んでいるようにしか見えないよう計算されていた。


最終的に小五郎(コナン)の推理ショーによって潔白が証明されたが、恐喝のことも警察にバレたためしっかり御用となった。


  • 沼田麗子

夫が金尾から強請られていることやその理由は知っており、口止め料を捻出するために冷泉財閥の金に手をつけたことも薄々勘付いていた。
彼女自身は積極的に悪事に関わってはいないが相当後ろめたかったようで、館で金尾と対面したことで観念して全てを話した。
医療ミス隠蔽の件で夫に愛想が尽きたらしく、近く離婚するつもりらしい。


実は生前の姉のことは、美人な上に病弱でいつも親から気にかけられていたためずっと嫌っていた。
沼田と結婚したのも玉の輿に乗った姉への対抗心で、お金持ちと結婚したかったというのが本音だったが、実態は病院の経営は思ったより苦しく、贅沢などちっともできないことに前々からストレスを溜めていたらしい。


なお、姉の子である愛理のことは本心から可愛がっていたらしい。
その為、夫が彼女の命を狙っていることは本当に知らなかったようで、その事を知ったときは怒りを通り越して呆れていた。



こうして事件は解決したかに思えたが、この推理には一つ疑問点が残る。水鳥の動機が弱いことである。
愛理を密かに想っている氷室が彼女の命を何としても守ろうとするのは理解できるが、水鳥は冷泉家に仕え始めてから日が浅く、犯罪に手を染めてまで主を守ろうとしたと考えるのは不自然なのである。
そんな中、時刻は24時を迎えた。愛理の20歳の誕生日になったのだ。
最後の謎を解く鍵は貴雄の遺言状にある、小五郎(コナン)はそう推測しており、予定を前倒しして急遽遺言状を公開することになった。






以下更なるネタバレ











遺言状は津山が読み上げることになったが、そこには彼も思わず絶句するような内容が書かれていた。それは…。


  • 愛理の出生

実は、愛理は冷泉夫妻の実の子供ではなかった。
冷泉夫妻の実子は死産で亡くなっていた。庭にあった石像は愛理の誕生を祝うためのものではなく亡くなった赤ん坊の魂を鎮めるためのもので、誕生日が違っていたのもそのため。


話は真理の出産後、冷泉夫妻が散歩していた時に遡る。橋を渡っていたとき、夫妻は一人の女性が赤ん坊と共に川に身投げしようとしているところに出会った。
慌てて呼び止め事情を聞いてみると、出産直前に夫を事故で亡くし、経済的にも精神的にも子供を育てられるような状態になく、人生に悲観して夫の後を追おうとしたとのこと。
それを聞いた冷泉夫妻は、これも何かの縁だと子供を引き取って育てることにしたのだった。


遺言状には愛理の実の母親の名前も記されていた。その名前は…。


  • 水鳥愛美

彼女こそ、愛理の実の母親。
メイクとカツラで老婦人に変装しており、実年齢は39歳。変装を取った姿は若々しい美人だった。
ちなみにカツラの下は金髪のベリーショート。万が一カツラがずれても目立たないようにしているらしく、自室に大量に置かれていた消毒液も実は脱色用のものだった。


一時の気の迷いとはいえ我が子と心中しようとした自分に親を名乗る資格はないと考え、冷泉家とは距離を置いていたが、1年前に愛理が父親を亡くしたと聞き、ちょうど館の管理人の求人が出ていたこともあって、変装して館で働き始めた。
そんな中、氷室から犯行に手を貸すよう頼まれる。最初は驚いたが、娘を守れるならと彼に協力することを決めた。


最後は娘の前で変装を解くと、結局自分のしたことは娘を苦しめるだけだったと反省し、愛理を犯罪者の子にしてしまったことを謝りながら氷室と共に警察に逮捕された。


  • 冷泉愛理

犯人が自分の母親だったと知って愕然とし、自分の存在が母を追い詰めてしまった、自分など生まれてこなければ良かったと悲観する愛理だったが、津山からそれは違うと返される。


遺言状によれば彼女の愛理という名前は、水鳥愛美の『愛』と冷泉真理の『理』から取られたものであり、愛理には二人の母親がいるのだという。
それを聞いた愛理は立ち直り、恋人と母をいつまでも待ち続けることを誓うのだった。


なお怒涛の展開続きで半ば忘れられてはいたが、次期財閥会長のことについても遺言状にはちゃんと書かれていた。
それは、財閥を継ぐかどうかは愛理の自由意思に任せるというものだった。
愛理は、自分はまだ未熟だからと会長就任は保留とし、当面の会長代行は麗子に任せることを決めた。



追記・修正は自分の名前の意味を知ってからお願いします。


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*1 結果論から言えば、津山が小五郎を雇ったのはベストなタイミングだった。

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