登録日:2021/07/11 (日) 19:30:00
更新日:2024/05/30 Thu 11:41:55NEW!
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rpg rpgツクール ゲーム フリーゲーム 名作 帽子世界 えぬ rpg探検隊
管理人の数だけ存在する様々な世界。
管理人とは世界の創造主であり
帽子は管理人の意思によって生まれます。
帽子の力が 管理人の意思が 世界を作ります。
意思は石のように硬く やがて光輝く宝石となります。
意思が力となります。
そして世界を作る意思が 最も強い力として君臨します。
帽子世界
A Little World
帽子世界とは、えぬ氏製作のフリーゲーム。RPGツクールVX製。
【概要の世界 -Outline-】
攻略の順序が明確になっておらずプレイヤーの手に委ねられる、いわゆるフリーシナリオ型のRPG。
システム・操作面ではプレイヤーへの省ストレスを徹底しており、ワンボタンでオート戦闘やリピート行動を実行できたり、全滅しても基本ノーリスクで撤退できたりする。
諸モロに色々サガフロってるが、そもそも本作の前提にあるコンセプトの一つは「裏解体新書のアレの実現」なので、これはある種必然である。
旧版の「帽子世界」と最新版の「新約・帽子世界」の二種類が存在するが、基本的には新約を基準に解説する。
[ 帽子世界 ]
2013年公開。現行の新約版に対して、主に「無印」「旧約」などと呼ばれる。
アーツ発光システム等、デザインの多くは同作者の前作『王女様と薔薇の騎士』から引き継がれている。
比較してこっちはレベル制から熟練度・パラメータ成長制へと移行するなど、さらにサガ臭がマシマシになった。
そしてシナリオもゆるく百合をひたすら堪能できた前作から見て、百合っぽい雰囲気はあってもゲーム進行につれ重くエグい設定が開示されていくなど作風の変動も著しい。
作者のHN由来が星新一のアレだったり、他作も黒い話が多かったりするあたりからこの辺は察するべきかもしれない。宿屋とか特に
そのフリーゲームらしからぬクオリティに多くの好評を博す一方で、課題となる難点も多くプレイヤーからは寄せられており、
- なんかめっちゃエラー落ちする
- 一見種類が多そうに見えるアーツだが、実は武器種毎で比較しても大きな差異がそんなにない
- 物理偏重の戦闘バランスであり、頑張って鍛えても威力の低い攻撃魔法全般
- 6人存在する主人公の誰を選んでも、大きな変化のないメインシナリオ
- クリア者間でも物議を大きく醸す2周目追加エンディング*1
- ガ ー ド ブ レ イ ク*2
作者自身もひとまずの公開を優先し、多岐に渡る妥協をした結果の仕上がりに終わったことを認め、
「新約・帽子世界」への着手を宣言。以後、長きに渡って製作を続けていくことになる。
そして……
[ 新約・帽子世界 ]
2019年公開。
いわば「完全版」相当になった帽子世界なのだが、単純なリメイクとはかなり趣が異なり、詳しく前作からの差異を挙げていくと
- キャラのグラフィック等のほぼ完全刷新
- 新たな仲間キャラやシステム「大魔法」追加など、全体的なバランス調整
- 主人公全員、一人ひとりに個別のシナリオが用意されている*3
- 一定条件下でグランドルート相当のラストシナリオが解放される
……などなど、追加された内容が多すぎてもはや「リメイク」では片付かない分量である。
例えるなら旧約を「キングダムハーツ2(無印)」だとすれば、新約は「キングダムハーツ2ファイナルミックス+(海外版+追加要素多数+別ゲー同梱)」ぐらいの差はある。シナリオの総量比較で言えば旧約の6倍どころの差じゃ到底収まらないけど
そんなわけで公式はこれをリメイクや完全版とは言及せず、「続編」「新作」などと主に述べている。*4
2021年に入っても更新は続き、新規パーティメンバー追加や便利システム追加、UI改善等の大規模アップデートが行われた。
完全新規シナリオ「帽子戦争編」の追加も仄めかされていたが、作者の都合により2021年7月に白紙化が宣言された。
[ 帽子世界TRPG ]
ゲームの帽子世界をベースにTRPG化したもの。細部の設定などがゲームとは若干異なる。*5あの背景設定でありながら「できる限りお手軽シンプルにTRPG」をコンセプトとしており、デザインの傾向としては「フォーチュンクエストRPG」あたりが近い。
公式にリプレイがあるのでとりあえずそれを読むだけでも割と面白い。
【物語の世界 -Prologue-】
とある高校のソフトボール部に在籍するごく普通の日本女子高生・ヨウコ。
部活合宿のバスに乗っていたはずの彼女は、ふと目が覚めると「帽子世界」と呼ばれる謎の異世界へと飛ばされていた。今日び最早珍しくもない導入となってしまったが
混乱する彼女に出会った管理人から告げられるのは「元の世界へ帰る方法を探す代わりに、他の管理人たちの帽子を集めるため力を貸して欲しい」というもの。
他に縋るアテもないヨウコは選択の余地なくその提案に乗り、管理人たちの帽子集めに巻き込まれていく。
だがこれは帽子世界へ迫る危機の、ほんの先触れに過ぎなかった……。
果たしてヨウコは元の世界へ帰りつくことができるのか。
管理人たちは何故、どのような理由と信念のもとに帽子を集めようとするのか。そして、帽子世界とはそもそも一体何なのか。
無数に絡み合った物語の先に待つのは一体どのような結末か。
【難易度の世界 -Overcome Difficulty-】
ストレスフリーに極振りしたプレイ面での快適さとは打って変わって、SFC時代のサガシリーズくらいのムラっ気が大きいゲーム難易度を持つ。
具体的にはシステムの理解如何で大きく難易度が変わって来るのだが、初期状態からでも「できること」が非常に多いために一通り慣れるまでが大変である。
ユノーのチュートリアルでだいたいは把握できるが、アーツ・魔法・ジェムなどは実際に習得して使ってみないと詳細な具合がわからないことも多い。
そのため全体で見ると流れを掴むための1周目(一人目)の序盤~中盤が一番きつくなるという構造をしている。
故にプレイした人によって評価はかなりばらつきがあり、
「多彩な技をガンガン閃いて敵をフルボッコする爽快RPG」と評する者もいれば
「多種多様鬼畜な行動ルーチンを有する凶悪ボスたちにフルボッコされる高難度RPG」と評する者まで様々。
作者が評して曰く「フリーゲームだから許される難易度」。総括するにだいたいサガい難度ということである
【システムの世界 -Unreasonable Reason-】
- 帽子特権
各主人公が持っている帽子の有する固有の能力。「強力なジェムが解禁される」「敵の行動順やステータスが常時確認可能になる」など、手に入るだけでそこからの攻略が一気に楽になるものばかり。
管理人の世界を攻略することで帽子を奪うと、その主人公の帽子特権も得られるので攻略順をどうするかで難易度もある程度上下する。
- 価値観
その世界のルールの強度・純度を数値化したもの。最大値は99%。
各世界の管理人はこの価値観の値が高い程凶悪な戦闘力を発揮するようになるため、しっかりその世界での雑魚戦をこなし下げておくのが鉄板。
もちろん「ボスが強いほど燃える」というマゾプレイヤーさんこんにちはな人は、逆に価値観を上げて戦うことも可能。別の世界で雑魚戦をすると価値観は上昇していく。
ただし価値観99%の管理人は、概ね各シナリオのラスボス前後の実力を持つので覚悟はして挑むように。
価値観が高い状態で他主人公を撃破できると以後の周回で永続的にパラメータ上限が上がるというおまけもあるが、正直攻略必須というほどのものではない。
- ステータス成長
戦闘中の行動によって基礎能力と技能毎のマスタリー(熟練)Lvが上昇していく。戦闘終了時ではなく各行動毎に判定があるのがミソ。
敵が強くこちらが弱い程ステータスの伸びが良いので、基本的にはデコイランクを常時最大まで上げて闘うのが望ましい。
ちなみにパーティ外の控えキャラも成長するが、その度合いは装備と技能ジェムと各キャラの成長適性に依存する。
ステータス・マスタリー共に20を越えると目に見えて上がりにくくなるので、そこからは半ばやり込みの領域になる。
- ジェム
「アーツ」「魔法」「トリガー」「サポート」の4カテゴリに分かれた特殊効果を付与するキャラ毎固有の宝石。
システムの性質としてはFF5のアビリティに近い。ただしこちらは固定枠がなく、フリーの4枠に任意のジェム4種を装備してキャラのカスタムを行う。
ジェム取得にはキャラごとにクリスタル(≒お金)を消費する。消費量が馬鹿にならないので基本的には一点特化で伸ばすことが推奨される。
- 発光
いわゆるロマサガ以降のサガシリーズにおける「閃き」のこと。一定確率で新たなアーツ(技)を編み出し、発動する。
サガフロとは異なり、発光しても後述のコンボ発生を阻害しない仕様になっている。
「見切り」のトリガージェムをセットしていると確率で敵の攻撃を見切って以後完全回避することもできる。発光率はいずれもジェムで補強可能。
- アーツ
物理攻撃技。アーツ系のジェムを装備することで使用可能になる。基本的には複数系統のアーツを一度に扱うことはできない。*6
戦闘中において上記で述べたように「発光」を起こして編み出すことで習得していく。一部キャラ専用のアーツもあるが、基本的には全員覚える内容は共通。
▷系統別詳細
種類 | 解説 |
---|---|
剣 | 各主人公がシナリオ開始時に初期装備している。良く言えばクセがなく扱いやすく、悪く言えばいささか器用貧乏感を伴う。 ジャニスの帽子特権で「二刀アーツ」へ移行することでこのあたりの欠点は解消される。 |
槍 | 行動後防御効果やカウンター、食い縛りなど防御に秀でたアーツが多い。槍自体「行動前防御」効果を持つものがほとんどなので囮役に持たせるには最適。 威力が累積で上がっていく「ストライクバック」など、実は火力も低くはない。 |
斧 | ほとんどの斧にOS上昇強化のオプションがつき、アーツ自体も全体的に威力の伸びやすい性質を持つ。 コスト軽減なしだと燃費の悪さも目立つが「通天砲」でメリットに変換することも可能なロマン枠。 |
杖 | 攻撃というよりは魔法役が特殊効果目当てにサブウェポンで扱うことが多い系統。 レアドロップ率を上げる「打ち出の小槌」、姿を消す「振り逃げ」など変わった効果のものが多い。 |
弓 | 「クリティカル率」と「クリティカル倍率」の概念がある特殊な系統。技によってはクリティカルしやすいが倍率が低かったり、その逆もある。 クリティカル次第ではあるが斧同様にダメージを伸ばしやすい。また、カウンタージェムを無効化する特性もある。 |
銃 | 新約から追加された武器種。「残弾」の概念があり、不足すると威力低下などのデメリットが発生するクセのある系統。 運用上、リロード効果のある技を挟む必要があるので扱いには慣れが必要。「全弾発射」「レールガン」の性能はバランスブレイカー1歩手前。 |
格闘 | 素手と一部格闘武器のみ該当する。最大の利点は一度アーツを発光し終えさえすれば運用にジェム装備が不要なこと。 ただし発光そのものにジェム装備が当然必要なのと、素手の攻撃力の伸びが悪く使い物になるまでが長い難点はある。 |
- コンボ
いわゆるサガシリーズにおける「連携」のこと。デフォルトだと連携名はランダムなので大抵ものすごくカオスなことになる。
繋がりの成否は各技ごとに矢印表記がされてわかりやすくなっている。
一見敵と行動順が入り乱れるせいで連携が狙いにくく見えるが、実際は自動で連携が繋がるように調整される戦術があるので過度に意識しなくてもよかったりする。
もちろんコンボ数が多くなるごとにダメージも増大。ただしオーバーソウルしにくくなる欠点があるので、闇雲にこればかり狙っていてもいいわけではない。
そして当然というべきか敵側もコンボを発動してくるため、うかつに戦術や魔法で敵の行動順を固めると目も当てられない惨状に陥ることがしばしば。
- オーバーソウル
OSゲージを100%消費してライフ全回復、さらに次の1手だけ攻撃力激増という劣勢からも逆襲が可能なシステム。
魔法が強い本作だが、このシステムにより魔法なしでも攻略に大きな支障がないという中々に異質な構造になっている。魔法も使った方が楽だけどね!
- 戦術
パーティー全体に様々な特殊効果をもたらす号令・陣形的なもの。各世界やサブイベントのボスを倒す度に決められたものを取得していく。
最大5種類までセットでき、戦闘中任意にどの戦術を適用するか切り替えられる。ただしリーダーが行動不可だと変更不能、戦闘不能ともなると効果が解除されてしまう。
基本的にメリット効果とデメリット効果が共存するものばかりなので、状況に応じて切り替えるのが望ましい。
- 魔法
属性魔法ジェムを装備することで使用可能になる。複数属性を扱える「マスター魔法」というジェムもあるが燃費が悪くなる穴があり一長一短。
最大の特徴は使用の際各キャラのソウル(MP)ではなく、敵味方で全体共有する「マナ」を消費して発動すること。
ソウル回復手段がかなり限定される本作においてそれを気にしなくていいというのは見逃せない利点。
ただし発動の可否がマナ基盤に依存するため、攻略するステージと使う魔法のマナ消費量によって使い勝手が変わって来る難点がある。
▷系統別詳細
種類 | 解説 |
---|---|
火 | 攻撃特化属性。単に攻撃するばかりでもなく、攻撃魔法(物理)だったり、全体攻撃なのにマナコストが軽かったり差別化はされている。 運用はシンプルだが自動蘇生を付与したりと攻撃一辺倒でもない。オーバーキル級のアーツを乱発する裏ボス級との戦闘では重要な属性。 |
水 | 回復に秀でた属性。全体的にマナ消費が控えめ。色々便利なので一度使うと手放せない。 最重要事項なのが全体完全回復魔法「マスタヒール」を習得すること。マナ消費は重いが、これがあるとないでは難易度が大きく変わる。 |
風 | 反射や攻撃能力強化付与の魔法など、全体的に攻撃的な補助魔法が多い。特に味方全員を強制OSさせる「アドバンシア」は強力。 それ以外にも全体睡眠の「ナイトメア」はレア敵狩りや一部ボスにぶっ刺さるので選択肢としてあると結構違う。 |
土 | 絡め手に長けた属性。ボス相手にデバフは基本通りにくいが、「ポイズパウダ」の毒は割合ダメージのため、一回通せればえげつない威力になる。 敵のバフ効果を消す「キャンセラ」も有するのて補助魔法を多用する敵相手には猛威を振るう。 |
光 | 攻撃・回復・補助全てを兼ね備えた小器用な属性。単発最高威力の攻撃魔法「サテライトレインボー」を有する。 Lv5で習得の「ワンダワールド」は現在マナ量に依存したパルプンテみたいな効果。ランダム性は強いが劣勢を一変させる可能性を秘める。 |
闇 | クセのある魔法が多い属性。単体で使うより他の属性と組み合わせて真価を発揮する系統。マナ消費をライフで代替する「サクリファイス」などは戦略上重要。 マナ消費を考慮する必要はあるが魔法を連続発動させる「デュアルスペル」がストレートに強い。 |
時 | ターン進行や行動回数に干渉できてしまう、ある種反則的な魔法を操る属性。 基本ユーザー有利の要素は修正せず残す方針の本作で、事実上のナーフを喰らったあたりからそのヤバさは察して頂きたい。 「リンゴドライブ」「ラストレディ」の使い方を理解できるかで大きく認識が変わる。ただしこの系統自体にはほぼ攻撃力がない弱点がある。 |
愛 | 特定シナリオの終盤などでのみ解禁される。最大ライフを一時的に消費するが異常な回復・補助性能を持つ。よくボスが使ってくる「ジェネシーズ」などはこの系統。 コストが重いだけはあり「行動権無消費で全員を完全回復」「毎ターン単体HP全快」「行動回数×2」など、字面だけでものすごい効果の魔法が多数。 |
絶望 | 原則的には味方が使う機会がなく、半ボス専用の魔法。愛魔法とは逆にこちらは最大ソウルを一時消費する。 マナ基盤を永続的に根絶する「グラウンドゼロ」、OSゲージを強制的に0化する「チャイルドプレイ」などの極悪な魔法が並ぶ。 |
- 属性値
いわゆる「地相」的なパラメータ。セラブルを知ってる人ならFEみたいなものと言えばだいたいあってる。
高いほどその属性による魔法の威力が増大し、消費コストが軽減される。
そして、この値が最大まで溜まっていると後述する必殺の「大魔法」が発動可能となる。
- 大魔法
新約から追加されたシステム。習得にはLv6の魔法ジェムが必要になる。
「場の属性値100%」と、「残30以上あるマナ全て」を消費して超強力な魔法を発動する。
習得するとゲームバランスが一変する程のすさまじい性能だが、これを発動してくる敵も当然いる。
敵と味方同士で大魔法の同時発動が起きると「大魔法相殺」が起こり、原則的にはそのまま対消滅を起こす。
この際「運」の値が高いと相殺を無理矢理突破して、一方的に発動を強行できる場合も。
【用語の世界 -Glossary-】
- 帽子世界
基本的には本作の舞台全体を指す単語。意思によって「創造の力」を振るうアバター(住人)たちが暮らすヘンテコな世界。
女性率の高さによるタワーの発光率とメルヘンなビジュアルとは裏腹に様々な致命的問題を抱えており、各主人公のシナリオではそれぞれ発露した問題へと立ち向かっていくことになる。
なお女性率が異様に高い理由には作者の趣味と設定面でのそこそこ大きな理由があり、ネタバレを抑えて結論だけ言えば「女性しか帽子世界の正規住人になることができない」ためである。
- 帽子 / 管理人
強固な「価値観」を持ったアバターが得る強い力を秘めた頭部用の装飾品。共通して大きな目玉模様がある。
「帽子」とは呼ばれるが、シキのかんざしという例からわかるように必ずしも形状が被り物とは限定されない。
これを持つ者は「管理人」と呼ばれ、通常のアバターが持たないような特殊能力や世界間の自由な移動権を得る。
ただしアフターリスクとして「過帽子症候群」という不治の病に囚われてしまう代償を伴うなど、必ずしもメリットばかりではない。
- 過帽子症候群
全ての管理人が辿る宿命であり不治の病。己の帽子が「自分喰い」と呼ばれる異形の怪物に変貌し、管理人自身を喰らって対消滅してしまう現象。
過去様々な管理人がこの解決に挑んだが、その全てが失敗に終わっている。
唯一の成功例と言えなくもないのが「帽子取り」と呼ばれる儀式だが、術者の消滅という致命的リスクを伴ったため禁術として封印された。
- 帽子取り
ラヴィとナタリーが共同開発した禁術。管理人から帽子を完全に切り離すことで「自分喰い」を免れるという現状、唯一の回避策。
代償としてこれを実行した管理人は、切り離した帽子と即時対消滅を起こして帽子世界内から消滅してしまう。
過去にこれが行われた際は、「帽子取りの実行者」と「対象者」の二派に分かれて帽子世界全体で争う「帽子戦争」という争乱にまで発展した経緯がある。
- プロバイダー
帽子世界の創始者「ビッグママ」の指揮の下に帽子世界の秩序維持を担当している集団。作中ではジャニスやユノーが該当する。
何か問題が起きた際にはその解決に当たるのだが、帽子世界内の問題は「自分喰い」を筆頭に解決しようのないものが多く、後手に回ることも少なくない。
- トップテン
プロバイダーに認定された強い「創造の力」を発揮する上位10名の管理人の俗称。
選定基準は明確ではないが、力の総合的な強さが主に加味されるものと帽子世界内では見られている。
該当する10名の内約は「ドーラ」「シキ」「ナタリー」「ジャニス」「ラヴィ」「メル」「ケリー」「サラワティ」「プリムローズ」「ヴァイオレット」となっている。
- 帽子世界七大迷惑
それ単独で埒外の迷惑者扱いされる、帽子世界中でも群を抜いて特級の危険存在たち。
大半が「管理人は己より強い存在を生めない」前提ルールを破壊するような怪物ばかりである。
該当するのは「紅茶ばか」「時計少女」「魔トリョーシカ」「球体人間」「自己無限増殖装置」「自分喰い」「ビッグママの話をされた時のメル」の七つ。
- デコイ
いわゆる魔物・モンスターのこと。帽子世界内における「人間以外の生物」をだいたいはこう呼称する。
人型のデコイも普通に存在するので、一見しただけでは人間の住人と区別がつかない。
原則として生み出した管理人を上回る程の強さはないがごく一部例外あり。「創造の力」が集まって生まれた存在であり、倒すとクリスタルと化して消滅する。
基本的に各世界の価値観を落とすにはこいつらを間引く必要がある。
【登場人物の世界 -Heldinnen-】
メインメンバー
- ドーラ
<帽子特権:装備カスタム解禁>
「玩具の世界」の管理人。マッドサイエンティスト気質のボクっ娘。新約も着崩しが大概際どいけど旧約はもっとすごいぞ!
趣味は人形作りだが「作った人形で何をして遊ぶのか」と聞かれても「そんなことしてたら人形を作って遊ぶ時間が取れない」と返してくる完全趣味特化型の変人。
一見自身の趣味以外には無頓着にも見えるが、実際は帽子世界の問題を彼女なりに慮って行動しているようだ。
価値観は「世界は全て作りもの」であり、その実態は命を持たない知性機械に支配された世界。
「客のいないテーマパーク」だの、「無給で24時間働かされる玩具デパート」だのディストピア感あふれる施設が満載。
しかし玩具の占める比率に人形の割合が多いあたり、かつて「人形の世界」の管理人だった姉セーラの影響が大変色濃い。
シナリオは帽子世界内の人口減少解決のため、人造人間製作のデータ取りに帽子を集めていくというもの。
理論上は100%成功するはずの人造人間製作がメシュレイア以降の成功例が一件もないため、その謎の解明へと挑んでいく。
しかし帽子の解析を進めれば進めるほど、不可解で異常なデータばかりが検出されていき……?
帽子特権の装備改造は本作のゲームバランスを大きく変動させるもので、ラスボスや裏ボス級の敵と戦う際にはあるなしで大きく難易度が変わる重要特権。
ただし改造に必要な装備の鍛錬度と各オーパーツが溜まりにくく、集めにくいためにその強さを実感できるのは中盤からになる。
強力な特権だがラスボスが6人中最強クラスなので、総合的な難易度は普通くらい。
▷ ネタバレ
ロシア出身。人形劇を見に行くべくボリショイ劇場に姉と妹を誘ったところ、三人とも事故に巻き込まれ帽子世界へ接続される。
基本的に帽子世界の住人は現世での記憶を消されてシステムに組み込まれるが、ドーラ達三人はまとめて事故に陥ったために「姉妹だった」記憶だけ消されていない。
人造人間理論の実態は「管理人不在の帽子を人間化する」ものであったため、作中では夏の管理人エリスの消滅まで成功の可能性が一切なかった。
しかしメシュレイアの成功に伴いそのベースが人間であることを理解したため、己の暗黒面を材料に人造人間の創造を決行。
結果、生まれたのは七大迷惑の一角に数えられる最悪の失敗作「魔トリョーシカ」。魂の欠落を補おうと他者の魂(脳)を喰らおうとする怪物であった。
プリムの封印措置で一応は事なきを得るが、己の暗黒面そのものを封印したことで当時の記憶がドーラからは欠落。
そして肝心の封印が「魔トリョーシカ」のみを封じるものであったがために、分かたれた闇のドーラが抜け出て活動する隙を作ってしまい、
なんと本物のドーラ本人は監禁されて、闇ドーラが好き放題活動している状態で当のドーラ編が開始している。
- シキ
< 帽子特権:魔法ジェム「時魔法」解禁 / 戦闘中の行動順序可視化 >
「時の世界」の管理人。自堕落でひたすらやる気のない言動が目立つ一方、時折鋭い思慮をのぞかせることもあるニャン。
最初からこうだったわけではなく、むしろ古参管理人の評では「生真面目」「堅物」など現在とはまるで真逆な形容をされている。
同じトップテンのサラワティ曰く「一番悲しみが深い」とも言われるなど、その内面には謎が多い。
価値観は「時間は過去へは戻らない」。単に「時の世界」独自のルールではなく、価値観の高低が帽子世界全域にも影響を及ぼすかなり特殊な世界である。
価値観が示す通り、自分のホームである時間列車ユグドラシルはひたすら未来へと運行する列車である。ホームや戦闘中に切り替わる背景演出は必見。
シナリオは「時詠み」の予知によって自分の帽子を奪われる未来を観測したため、先手を打って帽子集めを行うというもの。
だが対峙する管理人たちからは「それは本心ではないはず」と口々に疑問を呈される。口実の方便に使っているだけで、別に目的があるようだが……?
帽子特権はクリアした全プレイヤー満場一致でチート認定される「時魔法」ジェムの解禁と、戦闘中行動順の可視化。
行動順はアーツ・魔法・戦術で大抵調整が効くので慣れたプレイヤーだとあまり影響は大きくないが、
敵の行動数で大技の前兆を察知できることは多く、初心者から上級者まで恩恵は大きい特権。
時魔法がひたすら強いのと、特権で戦いやすさが格段に増すのと、ラスボスにクセが少ないので難易度は6人の中では低め。
▷ ネタバレ
本名「観澤詩紀」。通り魔に駅のホームで突き落とされたツバメを助けようとして自分も事故に巻き込まれた。
自堕落な性格は外界の情報を認識できるツバメ経由で帽子世界の実態を理解した結果、帽子世界内での在り方に一切価値を見いだせなくなってしまったというのが真相。
作中での不可解な言動は帽子世界からの脱出を試みるが故のものだが、時計少女の監視がきつくそれを表にできずにいるせいで結果ああいう訳知りムーブになってしまう。
外乱因子であるヨウコが自分の世界に落ちてこないと時計少女の時詠みを突破できないため、それだけでシナリオ上詰むという大変難儀な立場。
そんなわけで自分以外の主人公のシナリオでは露骨にやる気が失せており、帽子を取られることより計画の秘匿を優先さえする始末である。
- ジャニス
< 帽子特権:アーツジェム「二刀流」解禁 / フィールドで二段ジャンプ・急降下キック解禁 >
「戦の世界」の管理人。プロバイダー所属。管理人が発症した「過帽子症候群」の対処を行う「死神」という役職にある。
実直で寡黙な性格だが、ヨウコのソフトボール部という出自を聞いて「ソフトボー・ルブ」という武術を習熟していると勘違いするなど天然な面もある。後で一応言い訳してたけど、審判の偽ヨウコ見る限りこれ絶対素で勘違いしてたよね
価値観は「敗者は何も得られない」という弱肉強食の理。通常の世界ではデコイを戦闘で間引くと価値観が減少するが、
戦の世界の場合はこの価値観により「戦闘で勝敗を決定づける」ことで世界の法を肯定してしまうため、逆に価値観が上昇する特性がある。
威圧で戦闘を中断させたり、ボスの「全力で戦おうぜ!」というラブコールを無視して一切攻撃しなかったりで「争いを否定」すると価値観が落ちる。
シナリオは「過帽子症候群」の発症段階に達した5人の治療(物理)を行うべく帽子を収奪していくというもの。
実際は色々事情があって5人側にいまいちやる気がないため、「帽子を奪う」名目で喝を入れて回る(物理)という方がより正確である。
しかしトップテンのケリーが殴り込みをかけてくるなど、単に5人の帽子を集めるだけでは収まらない方向の話へと規模が拡大していき……?
帽子特権は二刀流ジェムと二段ジャンプ・急降下キックの解禁。
二刀流はアクセサリー枠に武器を持って通常攻撃・アーツの手数を倍化させる強力なジェム。
アクセサリーが使えないので対状態異常などの守りは脆くなるが、本作において火力は大正義なのであまり問題にならないことが多い。
二段ジャンプは一見敵を避けやすくなるだけにも見えるが、実はこれがないと到達できない隠しフロアが多く非常に重要。
急降下キックは同格・格上の敵なら先制攻撃、格下ならエンカウント発生さえ許さずに撃破することができる。敵が強いラストダンジョンなどでは有益。
二刀流を始めとしてジャニスが雑に強いのでシナリオ進行そのもの難易度はあまり高くないが、
ラストバトルが本作どころかRPG全体でも類を見ないくらい特殊で初見殺し。この一点で全主人公中最高の難易度と形容されることが多い。
▷ ネタバレ
フルネームは「ジャニス・ファーカー」。帽子世界というシステムの最初の被験者であり、ジャコウの姉。
元ライフセーバーであり、価値観の「敗者は何も得られない」という思想の由来は「命を助けられなければ何の意味もない」という当時の悔恨に由来する。
最古参の一人でありシステム基盤のビッグママとの繋がりが極度に強いため、相互に依存し合う悪循環に囚われてしまっている。
5人の帽子を集める自分自身も過帽子症候群の発症が遠くないことを既に悟っており、
限界まで価値観を高めた戦の世界を使い、6体の自分喰いと心中するつもりで任務に当たっていた。
ジャニス編の性質上、一人以上管理人を生存させればエンディングには行けるが、その勝敗如何で大きく結末の悲喜度合いが変わって来る。
- ナタリー
< 帽子特権:敵のパラメータ閲覧 / 敵の現在OSゲージ量可視化 >
「法の世界」の管理人。生真面目な性格だがそれ故に融通がきかない傾向にあり、メガテン的に例えるとLight-Lawみたいな性格。あとラヴィが大好き。
一度火が付くと止まらなくなる苛烈さはあるが、何だかんだ世話を焼きたがる性分で悪人ではない。
価値観は「決まりと調和」。法を絶対のものとするナタリーの世界では、65535冊ある六法全書を全冊暗記させられるような極端極まるレベルで法の順守を求められる。その割にデコイボスのエンジェリアンとかすごく法に反したけしからん格好だと思うんですけど
シナリオは謎の少女マウリツィアが仕掛けた「後見人審査」を妨害すべく他の管理人の帽子を集めていくというもの。
「後見人」は管理人を越えた存在であり、あらゆる帽子の力を自在に扱え「過帽子症候群」のリスクもないとされる話だけ聞けば完全上位互換。
この帽子世界にそんなうまい話がある訳がないと知るナタリーは、後見人の選定を確定させないためにラヴィと組んで動き始める。
しかしトップテン内からも次々に帽子を奪われる者が相次ぎ、状況はひたすらに混迷を極めていく……。
特権は敵のライフ・ソウル・OSゲージ量・基礎パラメータ・弱点・耐性・行動傾向・ジェム構成を全て閲覧できるというもの。
これがあるのとないので大きく敵攻略の難易度が落ちるため、他主人公でも早期攻略の優先度が高い特権である。
ただし各シナリオの性質上、各編のラスボスにだけは通用しないという穴があるので過信は禁物。
敵のデータとOSゲージを逐次確認できるために戦略がとても立てやすく、初心者向け。
もっと言えばラヴィが半分パートナーキャラみたいなもんなので、実質最初から特権二つで戦えるのも非常に大きい。
ただしラスボスの性質と演出が色々とトラウマ級。
▷ ネタバレ
元看護師。交通事故に巻き込まれて帽子世界へ接続されたらしい。
「交通ルールを守っていたのに事故に遭ってしまった」過去から、その価値観の本質は「“己の定めた”法に従う」というむしろアウトロー寄りのものであったりする。
真実を見通す法の帽子の能力で「帽子が元管理人であり、管理人が創造の力を行使する度に帽子が耐え難い苦痛を受けている」事実を理解してしまった。
この関係から過帽子症候群の治療にはひどく消極的であり、全ての管理人は自分喰いに食われて当然だと、悪い意味で現実を受け入れている。
だがマウリツィアの仕掛けた「後見人審査」の進行に伴って、その認識さえも正確ではなかったことを悟り、帽子世界を根底から揺るがす程の大きな決断を下す。
- ラヴィ
< 帽子特権:戦闘終了時に全員の体力全回復 / OS発動時に全異常解除・完全異常耐性付与 >
「生命の世界」の管理人。大変心優しい性格をしており、帽子の奪い合い中にあっても戦闘なしで帽子を渡そうとしてくるなど、争い向きではない性分。
ナースのような服装に違わず帽子世界内でも医者に近い立ち位置であり、何かしらの発病者が出れば対応を行う。治療法は身の丈程もある注射器をブッ刺すというエクストリームなものだが)
価値観は「生と死は等価値」。自然溢れる世界だが「死」の側面を有し、弱肉強食に近い理のために中々に実情は殺伐としている。威圧で敵を逃がすと価値観が上げるのも特徴。
シナリオは元トップテンのダリアと共同で「過帽子症候群」の治療手段開発を進めていくもの。
ナタリーを初めとして周囲からは「ダリアの言うことを信じるな」と散々に制止を受けるが、ナタリーを含めた全員を救いたい一心で迷いながらもラヴィは突き進んでいく。
そして久方ぶりに帽子世界へ姿を現したハインリヒとの問答を経て、ラヴィの決意はこれまで帽子世界に欠如していた「ある概念」を生み出すほどの、大きな変革をもたらすことになる。
特権の自動回復は、マナ消費でメニューから行うライフ回復があるので正直地味さが否めない。とは言え一度この特権に慣れると手放せなくなる便利さはある。
オーバーソウル強化の方も地味だがかなり重要で、危険な状態異常攻撃でも察知できていれば対応できるのであるとないでは大きく変わる。
ラスボスがジャニス編と並ぶくらい特殊で、敵の性質を充分に読み切らないと打開の仕様がない。幸い直前で救済措置が2つ程用意されるので、実難易度的には普通くらい。
▷ ネタバレ
家庭内環境の不和が原因で「自分が死ねば全部解決する」と思い詰めて自殺。帽子世界に接続される。
この前提を理解した上で容姿を見ると、腕にびっしりと巻きつけられた包帯が全く別の意味を持つものにしか見えなくなってくる。
過帽子症候群の発症が近いナタリーを救うためであれば自分の帽子さえ躊躇なく擲つ覚悟であったが、ダリアの永久機関理論が実行者のダリア自身を犠牲にするものだったため、
「ダリアを犠牲にしてナタリーたちを救う」か「ダリアの暴走を止めてナタリーが自分喰いに消されるのを容認するか」という、およそ選びようがない二択を迫られることになる。
命の管理人としてラヴィが下す決断は……。
- メル
< 帽子特権:OS時にコンボ制限無視 / 制限無視4コンボ時にフィニッシュ追加発動 >
「夢の世界」の管理人。帽子世界の開闢から生きているという古株脱法ロリ。
その外見に似合わず粗暴で辛辣な言動が多い反面、何だかんだと面倒見がいい姉御肌の存在。ただしビッグママの話をするとマジギレし始める。
価値観は「感覚こそが世界の全て」。寝てばかりいる住人が目立つ世界だが、本作の設定を深く読み解いていくとなんとも含むところがある価値観である。
シナリオは禁術「帽子取り」の実行のために他5名の帽子を収奪していくというもの。
これは新約になる前の旧約「帽子世界」のストーリーでもある*7。
本作の舞台である「帽子世界」とはそもそも何なのか?に大きく踏み込む、ある種核心的なストーリーが展開される。
特権は各キャラのコンボ判定をOS時に限り、前後の相性無視で繋げるというワイルドカード的なもの。4コンボ達成時に高威力の追撃が発生するおまけつき。
相性「×」のアーツ・魔法ですら強引にコンボへ組み込めるのがポイント。「全弾発射」など本来繋がらないものをコンボするとそれは酷いダメージになる。
ラスボスが自重してなかった旧約からある程度難易度調整されており、シナリオの総合難易度は普通ぐらい。
▷ ネタバレ
本名は「メル・オーケン」。子供の頃に水難事故(メル編OPの下り)で植物状態に陥り、帽子世界へと接続された。
ビッグママとは実の親子関係にあるが、記憶が消えたのと帽子世界そのものの元凶である関係から間柄は険悪の一語に尽きる。
作中で暴君のようにメルが振る舞うのも、自身が帽子世界内で責任を問われるべき立場であることの裏返しを意味する。
現在の帽子世界の状況を正確に把握しており、抜本的なアプローチでないと一元的な解決が不可能だと理解している。
実際「外」の状況にまで波及するレベルの大きな解決がなされるのはメル編だけである。
だが、そのための代償はあまりに重く……。
- ヨウコ
本名「白坂洋子」。ソフトボール部の合宿帰りに、気付いたら帽子世界にいた普通の女子高生。多分普通の少年とか普通の高校生ぐらいには普通
心優しく芯の強さを有するが、マイペースな管理人勢の個性に何かと翻弄されるツッコミ担当。元の世界へ戻るため、管理人の帽子集めへと協力を余儀なくされていく。
一見シナリオを進める上での関与が希薄に見えるが、本作で管理人たちが行動を始めるきっかけになるのが「帽子世界へのヨウコの来訪」であり、各シナリオの基点となる存在。
旧約だとややキツめの性格をしていたが、新約になって若干角が取れた。兄が超重度のシスコンな反動でやや男性不信・百合の気があるのはどちらでも変わってない。
▷ 核心的なネタバレ
< 帽子特権:なし(全滅時即ゲームオーバー) / ???? >
各主人公のシナリオは、そのほとんどが無数に存在する帽子世界の問題を一つ解決するだけに留まるため、
将来的には処理できなかった残りの問題が一斉に起爆してどうしようもなくなるというマルチバッドエンディング同然の状態となっている。
例外はメル編ぐらいだが、そのメル編でも帽子世界の基盤維持のために結局犠牲者が一人発生するビターエンドに留まる。
六人のシナリオ全てを突破して解放される七番目のシナリオ「ヨウコ編」は、そうした全ての問題への解決を試みるグランドルートである。人呼んで帽子世界救済RTA
メインシナリオ6周分の蓄積とデータ引継ぎを前提とするため難易度は非常に高く、真ifで例えるなら他6人が「ユミ・レイコ・チャーリー編」なのにヨウコだけ「アキラ編」みたいな難易度での攻略を強いられる。
こうした性質から本作は「ヨウコ編開始までが真のチュートリアルないしプロローグである」と形容するプレイヤーも少なくない。これを引継ぎなしでRTA4時間未満で完走するような狂人もいますけど
ヨウコ編はチャプター形式での進行となる特殊なもので、各世界を通常のシナリオとはかなり逸脱した順序で攻略していく仕様となっている。
1つ目のチャプターからヨウコ単騎でデコイランク24のボス討伐(他のシナリオは最高でも21)、2つ目のチャプターからいきなりプリムの世界攻略というイレギュラーぶりである。
さらにヨウコが管理人ではないためにダンジョンからの脱出や全滅時のホーム撤退が最終チャプター到達まで一切できないという鬼畜仕様。
開始時に「過酷な運命に心を折られるな」と警告されるのは比喩や誇張ではない。
ヨウコ編は全ての結末を見届けた上で、それを認めずに覆すプレイヤー自身の覚悟が問われる最後にして最難のシナリオなのである。
パーティメンバー
- ユノー
プロバイダーの所属メンバー。このゲームのチュートリアル担当。ヨウコ曰く「帽子世界で一番服装がまともな人」。
各シナリオで主人公たちがやってる帽子集めはどう考えても秩序に反する行いだが、思う処があって協力したり見逃したりしている。
どの主人公でも初期加入してサポートを行ってくれる親切なお姉さん。
▷ ネタバレ
ユノーに限った話ではないが、基本プロバイダーの人間は全て帽子世界の「外」から介入している存在である。
NPG機関の研究員ではあるが、メルの具現化クーデター計画を立案するなどその立ち位置はいまひとつ何を考えているのか掴み難い。
メルの見立てでは「悪い奴ではない」「信用できる」とのことだが、プリムなどはその一貫しないコウモリムーブに嫌疑を露わにしている。
そして、グランドルートのヨウコ編においてはついに……
- ショコラ
ドーラの妹。誰に対してもわけ隔てなく友好的に接する。メル編ではパートナーも務める。
例外が姉のドーラで、色々あってかなり辛辣な対応を見せる。でも「監視」という名目でドーラ編でもパーティ加入はしてくれるぞ!
どの主人公でもすぐに加入してくれるのでとりあえず入れておけば困らない枠。
▷ ネタバレ
ドーラとの関係が(表面上)悪化したのは姉セーラが「自分喰い」で消滅したにも拘わらず、ドーラも管理人になってしまったためである。
今でもドーラLOVEであること自体は変わっていないが感情的に納得が行っておらず、結果突き放すような付きまとうようなどっちつかずの対応になっている。
しかし結果的にはこの不和がないと状況を打破できない展開になるあたり、何とも話は複雑な方向へと向かっていく……
- メリッサ
かつて「色欲の世界」の管理人だった人物。現在は自由奔放なセクハラ発言が目立つ以外は比較的落ち着いた物腰だが、帽子戦争時代は色々とスレていたらしい。
ソフトな方のタワ-な人が本作に多い中、彼女に限っては真性な重い方の人。ドーラへの協力報酬に「自分好みの人造人間」を要求する程度にはガチ。
ジャニス編では初期加入。それ以外の主人公でもショコラ同様特に加入条件がない。
▷ ネタバレ
管理人時代の能力は「無差別魅了」。耐性貫通の広範囲全体魅了とかいうヤバすぎる能力である。戦神館の残念お嬢様の破段を想像すればだいたいあってる。
ただし「自分に惚れていない者を強制的に惚れさせる」力なので、最初から好意を有する相手には効果がない。効いてなかったエリス? 察しろ
ぶっちゃけ当人はほとんど魅了能力を振るっていなかったが、風聞ばかりが先行し「近くにいる取り巻きは皆魅了されている」「近づくだけで魅了される」などという
実態とかけ離れた噂が拡大していき、ステータス表記が「性格:アウトロー」表記されるほどに荒れ果てた内面になってしまっていた。
帽子戦争当時はついに無差別魅了を解放して無双しまくっていたが、プリムに封印を喰らって無力化。そして帽子取りを実行されて生き永らえた。
……はずだったのだが、シナリオによってはそれが正確な事実とも異なるであろうことが浮かび上がって来る。
- メシュレイア
ドーラが作り出した人造人間。まだ生まれたばかりのためか帽子世界内の事情や常識に疎い。スベスベマンジュウガニが大好き。
ドーラ編のパートナーであり、造物主であるドーラに全幅の信頼を置いている。一方でドーラが問題を抱えていると知れば、命令に反して独自に行動も起こすなど単純な盲信ではない。
特に加入条件はなく、「無人のテーマパーク」に行って勧誘するだけで加入する。
▷ ネタバレ
夏の管理人・エリスの帽子となっていたドーラの姉セーラが、エリスの消滅によって帽子の「枠」から外れたことで人造人間理論の対象となり、生み出された存在。
セーラとしての記憶はない状態だが、ドーラ編では話の進行に伴って記憶を取り戻し始めていく。
一度帽子化したことで帽子世界の真実を理解したため、スタンスとしてはドーラを止める立場を取るようだが……。
因みに全てのサブイベントを終えるとメシュレイアの髪型を縦ロールとストレートで自由に切り替えられるようになる。かわいい。
- ツバメ
シキの従者を務める少女。ズボラで自堕落なシキに代わって食事家事洗濯諸々を全て行っている。
しかしその献身は単純な好意や尊敬を通り越して、いささか自罰的なものが垣間見えるが……
特に加入条件はなく、「時計屋敷」に行って勧誘するだけで加入する。
▷ ネタバレ
本名「鴨池つばめ」。通り魔に駅のホームから突き落とされて列車事故に巻き込まれてしまった。
この事故の際にシキを巻き添えにしてしまった為に二人共々帽子世界に囚われる結果となる。作中でやたらシキに対し低姿勢・献身的なのはこうした背景がある。
外界でプロバイダーたちが行った会話を帽子世界側からでも知ることができる特殊な立場にある。
これにより、帽子世界内にいながら現実の状況を把握しており、シキが現実への脱出を計画する骨子となっている。
- フレデリカ
「情熱の世界」の管理人。ツンデレ。ロマサガ1のミリアムみたいな容姿をしている。旧約時代のモブキャラがプレイアブルにまで昇格したケース。
若干どころではないレベルのストーカー気質があることを除けば基本常識人で、各管理人の世界へも「ロクな世界がない」とツッコミを飛ばしている。
物理で殴れば概ね解決する本作では貴重な魔法特化キャラ。火水風土光闇の6属性全ての魔法に適性があるので気が付けば万能魔法使いに変貌してるできる子。
一つ目の帽子取得から加入依頼が発生する。
▷ ネタバレ
この子がストーカーじゃなかったら詰んでました。
- ケリー
「決闘の世界」の管理人。「正々堂々」の価値観が示す通り、強者と全力を出してのぶつかり合いを望むバトルマニア。
こう書くとただの戦闘狂っぽく見えるが実際は割と常識的。少なくともジャニスが関わらなければ無暗に喧嘩を吹っかけたりもしない。
ジャニスとは帽子世界最強の座をかけて度々「全力同士の勝負」を持ちかけているが、世界設定の関係上それは叶わずにいる。
3つ目の帽子終了+帽子トーナメント優勝と加入が遅く手間取る難点はあるものの、初期状態でサポートジェム全取得済み。そしてアーツ「二丁拳銃」持ちとそのまま即戦力になる強力キャラ。
特に専用の二丁拳銃アーツにして本作屈指のバランスクラッシャー「オーバーエクステンド」は反則スレスレの威力。リンゴドライブで耐性の上からでも相手は死ぬ。
具体的にどうやばいかは歴代最強のシドあたりでも想像してください。というかケリーのキャラコンセプトがまさにそれだと作者から言及されている。
- プリムローズ
「鍵の世界」の管理人。口を開けば「クソ」「ファック」ばかり発言する汚い丁寧ロリ。Ver230から正式なプレイアブルキャラに昇格。
帽子世界史上最高の封印権能「完全秘密能力(パーフェクトコード)」を持ち、プロバイダーからも度々勧誘を受けているが何故かそれを拒否し続けている。
自身が管理する世界の性質が「秘匿」なので多くを語ることなく、行動と封印執行で全てを立証する超アウトドア派。ヴァイオレットと仲が良い。
味方メンバーとしては、ケリーの「オーバーエクステンド」と双璧を成す専用チートアーツ「対人用パーフェクトコード」を使用可能。
これは敵のサイズが「人間大」を越えない限り、それがラスボスだろうがなんだろうが問答無用で2ターン行動を封じるという極悪技である。
代償としてプリムの最大と現在ソウルの8割が消し飛ぶので再使用が原則的に不可能。いつどのタイミングで使うかが重要になる。
ケリーが雑に強いオルランドゥ的な立ち位置なのに対し、プリムはベイオウーフ*8的な使って面白い感じのコンセプトであるとされる。
主人公によってストーリーへの絡み具合が一変する関係上、加入時期がそれぞれ変わる。二段ジャンプとチャージ必須なので1周目ではどうしても最終盤加入になってしまうが。
▷ ネタバレ
元サイバネティックス社の社員。半端ないブラック企業だったために辞職したらしい。社長からは「いつでも戻って来い」と歓迎されるほど有能だったそうな。
その後はNPG機関に就職するが、大事故に巻き込まれ帽子世界への接続を余儀なくされる程の重態に陥る。
結果、現実の状況を理解しながら干渉手段がないという微妙な立ち位置に収まり、プロバイダーの依頼で帽子世界内の機密維持を担当している。
とはいえ当人も全てを知りながら何一つ口外も解決もできないという状況に煮詰まりかけており、ナタリー編では限界を迎え暴走を始めてしまう……。
- ダリア
「機械の世界」の管理人。過去に行った帽子世界を救うための実験失敗によりラジオの体になってしまった。好物はアルカリ電池。
ラヴィ編のパートナーだが、当のラヴィ以外からは「信用ならない」「ナンパ野郎」と軒並み塩対応を喰らう。
「機械」という概念が「玩具」「夢」「法」「時」と多くの強固な価値観を内包していたことで、かつては最強の管理人とも呼ばれていた。
性別は女性らしいがラジオから流れてくる音声は中年男性のものなど、目的も含めてその存在には謎が多い。
▷ ネタバレ
目的は永久機関を用いて大量のエネルギーを確保し、全ての帽子を破壊することで過帽子症候群を根絶するというもの。
ただし機関制御にはダリア自身との同化が余儀なくされるため、完全な自己犠牲を覚悟でこの実験に挑んでいる。
ラジオの体になった件とその際声がハインリヒのものと同一になっていたのは、当時のダリアを救うためにはそれ以外の手がなかったためだと施術したハインリヒ自身が明かしている。
今回永久機関の理論に欠如していた「命」の概念を補うべく、命の管理人であるラヴィと組むことを選択した。
しかし最後の最後で逆にラヴィが「機械」の概念を得たことで、事態は誰の想像をも越えた方向へと向かい始める……。
- ジャコウ
「暴力の世界」の管理人。プロバイダーの最高幹部として帽子世界内の秩序維持を一任されている。愛称はジャコちゃん
メル編とジャニス編で登場するが、それぞれ描かれる彼女の側面が異なるために印象が大きく変わる。総合的には色々と面倒臭い人。
戦闘ではガン=カタによる二回攻撃に加え、専用アーツ「ムーンスクレイパー」をジャニスと同じく操る難敵。
▷ ネタバレ
ジャニスの妹。帽子世界に囚われてしまったジャニスを救うべく、死ぬ気で勉強してNPG機関に就職した。
口では「あいつはもう死んだも同然」などと嘯くが、現在まで関係が続いているあたりお察しである。
「暴力の世界」の管理人としての能力も有するが、これは別の管理人の世界と帽子を間借りしてそう偽装しているだけに過ぎない。
立場が立場なので基本的にはどのシナリオでも敵対を避けられないが、ジャニス編では流石に黙視していられずラストバトルに参戦する。
サブキャラクター
- オードリー
喫茶店「ミルノワール」の店主。割と神出鬼没だが彼女自身は管理人ではないらしい。普段は物静かだが一旦キレるとその場の全員が黙って従う剣幕を見せる。
帽子世界内の様々な情報に通じており、噂や世界情勢などをゴシップ気味の語り口で教えてくれる。
- ミンミン
クリスタルを集めることに固執する守銭奴チャイナ娘。しかしなぜクリスタルを集めていたかは特定ルート以外では当人も忘れている始末。
価格は割高になるが各種合成レシピを売ってくれる。一周終える頃には全部集め尽くして役立たずになってることも多いけど
- ポリィ
「自由の世界」の管理人。エセ関西弁口調で面倒事を持ち込んでくる様はそこはかとなく謎の胡散臭さが漂う。
サブイベント担当その1。探し物などの比較的トンチキではない依頼が多い。各マップの隠し部屋などに関わる情報は有益。
- ジュリエッタ
「本の世界」の管理人。生粋の変人でありバレバレの変装でオーパーツ屋を営んでいたり、ラスボスより強いデコイを作り出したりとその行動は予測不能。
サブイベント担当その2。脱力系のアホな依頼ばかりだが成功報酬の香水は強力なものが揃うので非常に有用。
- ジャスミン
「魔術の世界」の管理人。気怠げな物言いとは裏腹に帽子世界内の事情に通じる底知れない魔女っ娘。マイクを持つと人格が豹変するとかしないとか。
素材を売ってくれる担当。帽子が集まる度に素材のランクは上がっていくが、要求クリスタル量も増えるのでご利用は計画的に。
- モーノ
「友達の世界」の管理人。戦闘力はほとんどないがデコイと仲良くなれるという気質の持ち主。
デコイが世界間移動できないことに心を痛めており、独自に解決のための方法を探しているようだが……
- サラワティ
「涙の世界」の管理人。穏健派のインド美人だが、一度怒りが有頂天に達すると矢継ぎ早に質問責めを始めて手が付けられなくなる。
価値観は「覆水盆に返らず」。その帽子には帽子世界内で起きた「悲しみ」の涙がため込まれており、帽子の目が開くと溢れ出てとんでもないことになるらしい。
- ヴァイオレット
「心の世界」の管理人。あまり人付き合いは芳しくないがプリムローズと非常に仲がよく、プリムが襲われればマジギレする程度にはゾッコン。
制御不能で無差別に周囲の人間の心を読んでしまう能力から、トップテン内でも札付きの問題児「ラストナンバー」の一人と扱われている。
メカクレ系女子で、もう片方の目も能力抑制用の眼帯で隠れているため普段はマジで見えてないらしい。
ドーラ編とナタリー編で登場するが、シナリオ上の役割がそれぞれで大きく異なる。
- エリス
「夏の世界」の管理人。過去起きた「帽子戦争」の元凶であり、その結果メリッサへ禁術「帽子取り」を実行して消滅した。
……はず、なのだが?
- セルヴィアータ
「架空の世界」の管理人。衣装と立ち絵が最高に痴女い
ふらりと現れては「この世界は存在しない」とかいう物騒なことを、一方的に言うだけ言って立ち去るキバヤシムーブが特徴的な人。
彼女の世界はデコイを倒しても価値観が99%から下がらないなど性質が異常を極めており、謎が多い。
- マウリツィア
通称マリー。管理人を越える「後見人」の選定を目論む扇動者。「パピィ」というツギハギだらけのぬいぐるみをいつも抱えている。
気まぐれな言動の端々からは何か底知れないものを覗かせる一方、明らかに合理的とは言えない動きも見せその行動には一貫性がない。
- ハインリヒ
常に喪服を身に纏った陰鬱な男。己を「無能な医者」と嘯き、帽子世界の多くを見透かしたような言動を見せる。
プロバイダー所属ではないが何故か繋がりを持ち、帽子持ちでもないのにその力を行使できるなど素性と能力には不可解な点が極めて多い。
ラヴィ編(と、もう一人)におけるキーパーソンであり、20年前から姿を消していた彼の再来が大きく事態を捻じ曲げていくことになる。
▷ ネタバレ
メルの父親。本名は「ハインリヒ・フォン・オフターディンゲン」。五老会「オフターディンゲン総合記念病院」のトップであり、帽子世界システムの発案者。
妻と娘が体を失い、自分の父が死んだことで永久機関の実現に取りつかれ、クリスが苦言を呈するほどに人格が変わり果ててしまったらしい。
ラヴィ編では永久機関の開発を進める一方、「同業者」であるラヴィの同行をも注視して立ち回るが……
- クリスティアナ
「白黒の世界」の管理人。通称クリス。外見と言葉遣いからは判断しにくいが女性らしい。
普段は頼りなく軽薄な言動ばかりで帽子世界内でもあまり注視されない、端的に述べて「存在感のない」人物。
しかし、サブイベントの進行次第ではまた別の一面を見せることもあり……?
▷ ネタバレ
五老会「学園都市フィラデルフィア」の元学園長。普段使っているアバターは偽装である。
動きがほぼ表出しないが裏ではかなり大きく動いており、例えばヨウコが帽子世界に接続されたのはこの人の尽力によるものが少なくない。
- ヨウスケ
ヨウコの兄。重度という言葉でも足りない真性のシスコンであり、作者が伏字規制をかけるレベルのやらかしをして家族会議になり、強制海外留学させられた。
残念でさえなく当然ヨウコからも「まだ殺人犯になりたくない」と全力で敬遠されているが、これで完全に嫌っているわけでもないあたり関係が複雑骨折している。
シスコンであること以外は能力面で欠点がなく、警備員を複数名素手で殴り倒したりする高いリアルデュエル能力を有する。
▷ ネタバレと言っていいのかわからないレベルのすごく微妙な話
留学先の学園都市フィラデルフィアでは毎日のように妹ヨウコの素晴らしさを説いて回っていたらしく、
結果学園中に(あんな兄を持ってしまったかわいそうな妹さんとして)ヨウコの名前が広まっている。やめたげてよお!
しかしこれがないと困ったことになるとか、世の中何が幸いするかわかったものではないのであった。
- コハル
「命の世界」の墓場に佇む謎の婆さん。終末医療の専門家らしい。
言動は過激だが、その意図としては「あえて死を意識させて生の方向へ意思を向けさせる」意図があるとかないとか。
- パリー
「法の世界」の遺跡を徘徊している神父さん。
やたら自罰的でネガい発言ばかりであり、フォローしてやらないと延々と話がループする。
- エドワード
とある発電所で勤務している一般会社員。「ジュリア」という名前の姉がいるらしいが……
- ローゼンストック
「サイバネティック社」の社長。アメリカのシアトルに本社を持つらしい。旧約のアレでちょっとだけ顔出ししてた例の人。
金に飽かして対抗勢力から情報を盗み回り、貪欲に永久機関の開発を進めている急進派。その目的は「神」を作ることだとされるが……。
- ネレウス四世
「マリスレーゼ教団」の教皇。永久機関を完成させることで神話の再演(≒人類滅亡)を画策するやべー連中のトップ。
サイバネティック社とは対照的に信者の数の暴力で開発をゴリ押ししているらしい。彼個人は権力闘争の道具としてしか永久機関を見ていないようだが……。
- イソラ
「マリスレーゼ教団」の最高幹部「十三使徒」の一人。
とばっちりもいい所の理由で洗脳→半裸→全裸という今後お嫁に行けないレベルのトリプル羞恥を受けるかわいそうな人。
帽子世界七大迷惑
- 紅茶ばか
妖精のようななにか。一応デコイらしいが自分自身を複製して他の世界に送ることで、疑似的な世界移動を可能にしている。
出会う度に名前が変わり、紅茶をひたすらにせびるというただひたすらに鬱陶しい存在。ヨウコとショコラ以外からはほぼ好意的な反応を返されないレベル。
一方でモーノにデコイの世界間移動の知恵を吹き込むなど、頭が悪いのではなく昼行燈を演じているだけの可能性も示唆されるなど、正体は未知数。
システム的にはオードリーから無料で貰える紅茶と引き換えに全回復してくれるキャラ。
「ボス攻略前に回復したいが、マナや属性値がリセットされるのでまだダンジョンを離脱したくない」時に意味が出てくる存在。
▷ ネタバレ
サイバネティックス社がNPG機関へ送り込んだスパイウェア「紅茶ウィルス」であり、ヨウコ編のパートナー。ヨウコからは「チャティ」と命名される。
元々は普通にスパイを続けるだけの存在だったが、どこまでも詰んでいる帽子世界の凄惨な状態のあまり自我が芽生え、住人たちの救済を試みていった。
ヨウコ編までの6人のシナリオはこのために行われた仮想シミュレーションである。
この介入シミュレーションを何百と繰り返しても悲劇から逃れることが一度もできず、ラストチャンスとしてヨウコと共に帽子世界救済へと赴く。
ヨウコと組んで「誰一人見捨てずに全員を救う」を合言葉に帽子世界の問題を次々に解決していくが、彼女にしかできない一つの決断を迫られることになる……。
- 魔トリョーシカ
かつてドーラが生み出してしまった失敗作の人造人間。ドーラ自身でさえ制御不能な強さに加え、他者の脳を喰らう性質を持ち封印を余儀なくされた。
現在は玩具の世界のとある場所にプリムの能力で封印を維持された状態にあるが……。
旧約では隠しボスを務めるが、明確な自我を持たないなど設定がやや異なる。
▷ ネタバレ
本名「フィユティーヌ」。ドーラの暗黒面を材料に生み出された人造人間。ドーラ編のラスボス。
作中で5つ目の帽子終了までプレイヤーが操作する「ドーラ」の正体はこいつである。簡単に述べてしまえば、いわゆる「汝は我」的なアレ。
なので作中行動の本質も、結局はドーラに自分を認めて欲しいだけというエクストリーム困ったちゃん。
世界の真実を知り「絶望」という価値観を得てなお、「ドーラに自分の名前を呼んでもらう」希望だけは捨てられなかったというから筋金入りである。
おそらくメインシナリオ6つのラスボス中最強を誇る敵で、倒されると一回りサイズダウンして復活するという悪夢のような特性を持つ。
普通にやっていれば蘇生回数は有限だが、一定条件下ではなんと無限に復活することすらあるというのだから恐ろしい。まさに終わりなき悪夢。
倒される度にライフ上限は減っていくがむしろライフ以外の能力はどんどん強化されていき、最終的には大きさが数ドットしかないのにこちらを半壊させる火力で大技を乱発するとかいう笑えない事態にまでなる。
- 時計少女
顔のない着物姿の少女(身長3m超)。人間でもデコイでもないという正体不明のなにか。当人(?)は自らを「世界の理」であると語る。
シキの帽子特権である「時魔法」の開祖であり、帽子世界の全ての流れを掌握しているという。
何かと口うるさくシキの私生活にダメ出しをするが、肝心のシキからは馬耳東風同然でほとんど相手にされていない。不憫。
旧約では裏ボスを務めるが、新約と厳密には詳細な設定が異なる。
▷ ネタバレ
シキ編のラスボス。NPG機関のスーパーコンピューター「エイプス」の自我。
「過去に戻る」ことを極度に恐れているのは帽子世界の住人を慮っているのが半分、自分がエイプスであったことを思い出したくないのがもう半分。
演算能力によって帽子世界内で起きる事象のほとんどを把握しているが、唯一「外」から来たヨウコに関係した未来だけは読むことができない。
そのため秩序を乱す存在としてヨウコを消しにかかるが……
戦闘では時魔法の開祖として過去・現在・未来への多彩な時間干渉攻撃を行う。
特に鬼畜なのが戦術を強制シャッフルする「カコノファンタジア」であり、対策に気づけないと戦術ガチャの引き次第ではもれなく運ゲーが開幕する。
- 自己無限増殖装置
ダリアがかつて永久機関の実験で生み出してしまった最悪の失敗作。プレイヤーからの愛称はムゲンちゃん。
どうヤバいのかを端的に例えるなら「高い攻撃能力を持った無限分裂する某栗まんじゅうのメカ版」である。
当時トップテン最強の純戦闘力を誇っていたダリアでさえその物量に圧殺されたのだから到底始末に負えない。
機械の世界ごと封印されることで一応は自体の解決を見た、はずだが……?
▷ ネタバレ
ラヴィ編のラスボス。永久機関実験の再開にともないこいつもデータ収集のため再起動させられた。
特殊なラスボスが多い本作の中でもさらに異質なボスであり、
「干渉されると最大ライフ半減で分裂」「分裂したターンの終了時に分裂体が即行動」「総合計ダメージが一定値を越えると撃破」
という初見殺しの塊でしかない存在。
内部の体力管理に変数配列を使っているボスというのは世を見回してもこいつぐらいのものではないだろうか。
さらにバージョンアップされたことで攻撃回数が分裂数依存の「NO FUTURE」な拡散反射レーザーまで使い始めるようになった。
分裂の加減を間違えると即座に死が見える。
- 球体人間
文字通り「球体の形状をした人間」。というか人間が集まって球体になってるというか、とにかくビジュアルが超グロい。
しかし帽子を持つ管理人には見えないという謎の存在。帽子を持たない者はこいつに接触されることで帽子を得るともされているが……?
▷ ネタバレ
ナタリー編のラスボス。マウリツィア(パピィ)の正体であり、帽子化した96人の集合体。
管理人がこいつらを認識できないのは、本質的に帽子の脳に同調する立場にあるせいだからである。例外は千里眼持ちのナタリーのみ。
ナタリー編における一連の事態の元凶であり、あえて帽子を広めることで帽子世界から「自分喰い」の一斉発症で管理人を駆逐する計画を立てている。
一方で96人の全てがそれに賛同しているわけでもなく、「法の帽子」の個体などはあえて情報をリークして自分たちを止められるよう暗に促している。
ラスボスとしては複数パーツに分かれており、倒されたりライフが減ったりすると「創造放棄」でコマンドを初めとしたシステム機能を一つずつ消滅させていく戦法を取る。
アイテムもアーツも魔法も装備も消滅させられる様はものすごく精神的に堪えるトラウマ級のボス。そこ、鍛えた素手で殴り殺せばいいとか言うんじゃない
- 自分喰い
「過帽子症候群」の変容末期により怪物化した帽子そのもの。
基本的にはその帽子の固有名称で呼ばれる。各個の外見は管理人が帽子解放した際に現れるビジョンと酷似したもの。
過去何度もジャニスを始めとしたプロバイダーによって討伐が試みられているが、その全てが失敗に終わる正直どうしようもない論外級の強さを持つ。
▷ ネタバレ
帽子と接続した者の脳が物理的に侵食・同化され、管理人の人格が消失する現象。
帽子化した脳は創造の力行使に伴って、あまりに耐えがたい苦痛を受けるためにそこからの解放のため管理人を消そうとしてしまう。
実のハード(脳)方面からの干渉であるために、帽子世界内においては「あまりに強大な怪物」という覆しようがない現象としてイメージが出力される。
ジャニス編のラスボスであり、ラストバトルでは1体でも無理ゲー級のこいつらを5体、しかも5正面同時攻略というRPGでも前代未聞の戦いが行われる。
- ビッグママ
帽子世界の創造者。ハインリヒとは所属上敵対関係にあるはずだが、なぜか知己の仲であるという複雑な関係。
最古参の管理人であるメルとは、それこそメルが七大迷惑に数えられる程の激昂を示す切っても切れない因縁がある。
▷ ネタバレ
本名「メイム・オーケン」。メルの母親。
旧約のラスボスでもあり、そのシナリオの大部分を引き継いだメル編でも同じくラスボスを務める。
彼女の所属するNPG機関は「生体脳を使った発電」「仮想空間上の物質の具現化」の研究を行っており、帽子世界はその副産物である。
ぶっちゃけヨウコが糾弾するのも無理はない真っ黒な組織だが、一方で帽子世界の住人やヨウコの命を繋いだのも事実でありこの辺は色々と難しい。
帽子世界の住人を慈しみ、メルを生かすために自分自身の体すら捨て去るなど覚悟は本物。
一方でメルからは「ただの母親ごっこ」と先の見えない現状を維持しているだけの姿勢を酷評されている。
そしてエリスの帽子取りを「当人の意思を尊重」して見過ごしたことで、激昂したメルと決定的に決別することになった。
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▷ コメント欄の世界
- ちょうど今朝方アニヲタwikiに項目無かったっけって検索したけど今見たらあったから何事と思ったらついさっき立ったのか -- 名無しさん (2021-07-11 19:37:55)
- ぶっちゃけその辺の商業RPGなんざ歯牙にもかけない完成度。でもやってみるとこれはフリーゲームだからこそのゲームなんだということがよくわかる。 -- 名無しさん (2021-07-11 21:52:51)
- 新約の光魔法がいかにも器用万能って感じで好き OSギフト?知らない子ですね… -- 名無しさん (2021-07-12 12:02:07)
- 懐かしいな、旧約は全世界価値観最大帽子取りする位にはやり込んでた。リンゴドライブ+ラストレディの組み合わせを自力で発見した時は楽しかったなー -- 名無しさん (2021-07-12 15:21:25)
- 新訳のラストバトルは音楽と戦闘の入りが完璧だったから凄いテンション上がったわ。その後ボスにズタボロにされたが… -- 名無しさん (2021-07-12 15:41:43)
- これ本当にツクールで作ったゲームなのか?と思うほどクオリティがやばかった -- 名無しさん (2021-07-12 19:59:26)
#comment
*2 防御していると貫通して威力3倍になる全体攻撃。タチが悪いことに前兆がほぼなくランダム発動
*3 細かく内容に加筆修正はあるが、メル編のみ旧約のものを引き継ぐ
*4 某シナリオ中盤から判明するが、設定面でもその形容が正確を期している
*5 「男性の管理人」が存在できる、「ターミナル」という施設を経由しないと世界間移動が不可能、など
*6 複数の武器種を兼ねる装備武器や、複数系統のアーツを使用可能にするジェムは一応ある
*7 某ルート終盤で判明するが、厳密には旧約6人の各シナリオともまた異なる設定になっている
*8 同じくFFTのキャラクター。ゲームバランス上目立ちにくいが、CTなしで発動する「魔法剣」が高命中で異常を撒く地味に極悪性能
コメント
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