ジーンスティーラー・カルト(ウォーハンマー40K)

ページ名:ジーンスティーラー_カルト_ウォーハンマー40K_

登録日:2021/06/11 (金) 23:03:35
更新日:2024/05/27 Mon 13:30:45NEW!
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“征服の日は近し”



画像出典:コデックス「ジーンスティーラー・カルト7版」(codex:Genestealer Cults)P7 イラストより






ジーンスティーラー・カルトとは、ウォーハンマー40Kに登場する異種族混成種で構成されたカルト教団の勢力のことである。異種族ティラニッドを成す個体種の一つ「ジーンスティーラー」を崇める秘密のカルト教団であり、〈人類の帝国〉の様々な惑星で狂信者を密かに増やし続けている。
教団を構成する狂信者らはただの人類ではない。それはジーンスティーラーの汚染遺伝子を組み込まれた人類とジーンスティーラーの混成種で構成される。 複数の腕や大型の爪などを持つ怪物じみた見た目の混成種もいれば、普通の人類となんら変わらない見た目の混成種も存在し、その役割も様々だ。
ジーンスティーラー・カルトの教団は来たるべき神、すなわちティラニッドの巣窟艦隊を惑星に迎えるために裏で着々と反乱の準備を整え、そして巣窟艦隊の襲来と共に惑星で狂信者による大規模な武装蜂起を敢行するのだ。ジーンスティーラー・カルトは、惑星を貪り喰らうティラニッドの影なる尖兵に他ならない。


画像出典:コデックス「ジーンスティーラー・カルト8版」(codex:Genestealer Cults)P4,P5 イラストより



概要

人類はあらゆる方面から異種族の襲撃者や、悪夢のような渾沌の軍勢による攻撃を受けており、〈帝国〉はこれらから防衛するため“戦争という祭壇”に日々人命という供物を捧げている。だが、人類を脅かす最も狡猾な脅威は、既に〈帝国〉のあらゆる所に浸透している。
それは一見すれば忠実な臣民にしか見えず、その臣民らはあらゆる惑星のインフラに埋め込まれ、「ジーンスティーラー・カルト」は彼らが気を熟すのを待ち構えており、血塗られた反逆を起こすための準備が着々と進められている。その間、ジーンスティーラー・カルトは反逆の準備を進めつつ、様々な惑星に汚染の触手を伸ばしている。
一度反乱という名の津波が解き放たれれば、彼らは押しよせる大波となって蜂起し、〈帝国〉の武器庫から奪取した兵器で武装し、古びた産業機械を教団の兵器として作り変えるだろう。


【ジーンスティーラーの侵入】
「ジーンスティーラー」はティラニッド巣窟艦隊の進路に恐怖と不和を生み出すために事前に進路上の惑星へと潜り込ませた先遣個体として知られている。「イムガールの月」にて初めて〈帝国〉とジーンスティーラーとの接触した際、〈帝国〉はそれらを独自の生物であると考えていた。
強靭さと装甲を引き裂く鉤爪を持つジーンスティーラーは、戦闘時においては巣窟艦隊の突撃部隊としての役割を持っている。しかし、〈帝国〉領をはじめとする様々な惑星に侵入する際には、ジーンスティーラーは持ち前の狡猾さと隠密能力を活かして惑星に根付いた文明の汚染を開始する。
密かに這い寄り、静かに追跡や殺害を行いながら、ジーンスティーラーは単体で宇宙船に密航し、宇宙航路に沿って疫病の如く広がっていく。理論上では、一体のジーンスティーラーが貨物船の中に忍び込むことができ、人類の定住惑星に侵入成功しただけで、星系全体に破滅がもたらされるという。
〈帝国〉には、これらの生命体を数万単位で満載した巨大な「特異航宙体」(スペースハルク)についての伝説が伝わっている。そのような物がもし姿を現すようなことがあれば〈人類の帝国〉に対して広範囲に渡る破滅がもたらされるであろう。
ジーンスティーラーが適した惑星に到達すると、その残忍な行動を即座に開始することがあれば、数年間で何百もの市民がこの怪物に拉致されてティラニッドの遺伝子に感染させられることもある。やがてこの感染は異種族と人間の穢れた混成種が生み出される。
それらの遺伝子を受け継いだ最初の犠牲者の姿は、まぎれもなく異種族そのものであり、大きなドーム状の頭部と鋭い爪を持っており、もはや能力も人間離れしている。この汚染が拡大し続けるにつれ、後の世代はより人類に近い形状で生まれ、より広範囲に惑星住民やそして「高等裁定局」、そして「帝国兵務局」や「帝国防衛軍」などの政府組織にさえ浸透してしまうのだ。
【ジーンスティーラーの教団】
ジーンスティーラーの感染が広がると、ジーンスティーラーそのものを崇める教団が秘密裏に創生される。教団の信徒が増加するにつれて、いまやジーンスティーラーは「総主教」(パトリアーク)として崇められるようになると、総主教に奉仕するための専門的な混成種が生み出されていく。
「メイガス」は総主教の意思によって汚染されたサイキック能力に恵まれた狂信者であり、彼らは惑星の行政や軍事の指導者層の中から教団への転向者を増やすための任務を遂行する。教団が有する混成体の軍勢は、最終的な武装蜂起を行う際の指揮官としての責任を全うする統率者でもあり、奇襲の専門化でもある「プリムス」によって組織され、率いられる。
「ネクソス」は彼らのプリムスの戦略的計画に対して戦術的な支援を行い、彼らの指令の精密さと予測の能力に比類するものはいない。「サンクトゥス」は暗殺者として、「ローカス」は護衛兵として教団に奉仕し、「クラマヴァス」は教団の教義を伝導し、敵の連絡を絶つ。
「アタラン・ジャッカル」はバイクを駆って戦闘に駆け付け、「ピュアストレイン・ジーンスティーラー」や、遺伝子錬金術師として知られる「バイオファーガス」によって強化された「アペラント」の怪物たちが突撃部隊として進軍する。わずか数か月のみ、あるいは長年を要するかはさておき、教団は最終的には戦争の道を進むことになるだろう。
その日は「昇天の日」と呼ばれ、ティラニッドの巣窟艦隊が接近すると集合意識体は、ジーンスティーラーの教団に武装蜂起を行うよう促す。総主教はその時初めて武装蜂起のためにシナプスを通じて命令を下し、惑星を血の海へと沈める。
この個体種の手先が反乱を起こすためのサイキックパワーを通じた命令を受信した時、混成種たちは奪取した兵器や採掘用の機械で武装し、大きな反逆の津波となって教団の隠れ家から押し寄せる。戦争指導者の狡猾な意志によって導かれた彼らは最初に、通信施設や宇宙港、帝国兵務局施設といった惑星の主要な戦術的施設を攻撃する。
惑星における防衛と救援要請能力を破壊し、その惑星をティラニッド巣窟艦隊が襲撃するのに適した状態にするのだ。
【武装を固めし反乱者】
残酷な暴力の狂乱が続く中、蜂起せしジーンスティーラーの信徒たちは教団の目的に対する最大の脅威となるであろう敵へと襲撃する。敵の骨は「サイズミック・キャノン」の耳のつんざく爆発によって粉砕され、武器に改造された採掘ドリルで敵の肉体に穴を開け、そして採掘用爆薬は間に合わせの手榴弾として転用される。
教団の旗印や印章がついにその姿を現し、獰猛な情熱の新たな高まりを同族群に示す存在であるアコライトの象徴保持者によって、軍旗と龍の形状をした聖印が高く掲げられる。長年にわたるこの瞬間のために費やした準備期間中、一連な残虐な武装蜂起を支援するため、教団は数多くの車両を隠蔽し、盗み出している。
〈帝国〉内の鉱山や工場において広く見かける無骨な「ゴライアス・トラック」や「ロックグラインダー」は、その恐るべき目的のために作り変えられる。一連の重火器で武装されたゴライアス・トラックはアコライトの群を前線へと素早く運び出し、最も起伏に富んだ地形を通行する時にも道を切り開き、敵歩兵を切り裂くためのやむなき霧霞の如き銃弾を発射する。
ロックグラインダーは単純に敵の陣営の中心へと突撃させ、ノコギリ刃状のドリルドーザーブレードが悲鳴を上げる人々を血だまりの肉塊へとすり潰していく。敵の装甲車両が出現すると、教団は数十年もの間に人類の軍隊に潜入していた「ネオファイト」の「ハイブリッド」によって操作される、鹵獲された「レマン=ラス戦車」や「センチネル歩行機械」といった軍事兵器を展開することによって対応する。
総主教に対する完全な忠誠は、信徒に自らの銃をかつての同胞たちへと躊躇なく向けさせる。この突然の裏切りによる心理的な衝撃そのものが信徒の武器なのだ。
【神、来る】
ティラニッド巣窟艦隊が信者らのいる惑星に接近しその姿を現すと、ジーンスティーラー・カルトの狂信者は来るべき神の来訪に狂喜乱舞し、長年の悲願が達成されたことを仲間たちと祝い合う。彼らは、宇宙からの来訪者であるティラニッドを救世主や神とみなしているのだ。
巣窟艦隊が戦闘個体の大群を惑星の大気圏内に投下したとき、狂信者らは彼らの救世主に向けて熱狂的な祈りを謳いあげる。惑星上の全ての有機体をティラニッドが喰らい尽くした時でさえ、狂信者たちは、彼らの堕落した胸の奥に秘めている信仰心を保持する。
すなわち、この貪欲な宇宙怪獣は信徒らの信仰心を高みへと押し上げ、致命的な肉体の脆弱さを超越させるであろうと信じて疑わないのである。狂信者たちは熱狂的に、彼らが約束された姿と目的への同一化の祝福に属するのを待っている。
当面の間ティラニッドと総主教率いる教団の信徒らは共に戦い、「集合意識体」(ハイヴマインド)の指令は教団が捕食を免れるのを確かなものとする。メイガスは彼らの敵に〈歪み〉の幻影を見せつけ、互いが嗜虐的な享楽に耽るようにその精神を引き裂いてゆく。
総主教に仕える指揮官たちが卓越した能力によって軍勢を率いて、幾千もの戦士たちの命を捧げることによってティラニッドの強襲を行うための道を拓く。最後に、総主教自身が戦争に参加する高貴なる時が到来すると、この予言者が無価値なる者らを鋭利な双爪と牙で引き裂く時、彼の信徒たちは熱狂的な狂乱に身をゆだねるのだ。
最後の惑星防衛者がキチン質と刈り取る双爪の津波に蹂躙されるやいなや、集合意識体は自身の高位意識へと総主教を包摂する。今や総主教の個体はティラニッドの大群の中にあって単に異なった生命体に過ぎず、それまで教団を一体化させていた個体群意識体は瞬時に寸断されてしまう。
その恐るべき瞬間を経て、はじめてジーンスティーラーの信徒らはその残酷な真実を目の当たりにして理解する。かつて彼らが神として崇拝し、星々を超越した同一の生物は破壊の化身であったことを。
ティラニッドにとって、狂信者を含むあらゆる生命体はただの有機物であって餌でしかないのだ。


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ゲーム上の特徴


ジーンスティーラー・カルトの設定は古くから存在しており、7版で正式にアーミー化され、コデックスが発売された。白兵戦が強めで、隠蔽能力を持つ。ティラニッドの性質を引き継いでおり、ティラニッドと同盟を組める。
ティラニッドと異なり、ビークルや兵器を使用することが可能。更に驚くべきことに別勢力のインペリアルガード(裏切りという扱い)とも同盟が組める。
奇抜なルール故に上級者向け。


画像出典:コデックス「ジーンスティーラー・カルト8版」(codex:Genestealer Cults)P3 写真より


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ジーンスティーラーの遺伝子汚染

「我らは生物学的に完全な存在だ。我らは人類の独創性と狡猾さに加え、〈星の御子ら〉の祝福を受けている。我らはいかなる敵よりも強く、早く、そして賢い。我らは地上の者どもから奪われたものを取り返し、これを真なる主のため人作り変える。これこそ我らの運命なのだ。」

“銀河の真実を告げる者” モンスロス・アマパーラ



画像出典:コデックス「ジーンスティーラー・カルト8版」(codex:Genestealer Cults)P10,P11 イラストより


【概要】
ピュアストレイン・ジーンスティーラーは恐るべき異星人の生殖力を経て繁殖し、襲撃に最適な時に至るまで〈帝国〉の犠牲者たちを数世代にわたって汚染し続けていく。新たに子孫が出産されるたびに彼らは直前の世代よりもさらに人類に近くなり、ジーンスティーラーの遺伝子は薄れていっているように見えるが、その内なる怪物の本性は変わることなく潜み続けている。
この呪いのサイクルの蓄積によって、ジーンスティーラーの悪夢は再生産されるのである。虚無より生み出されし全てのティラニッド個体と同様に、ジーンスティーラーはほとんど食物がない状態でも生存でき、行動を行うまで必要とあらば数十年間も待機可能な人外の忍耐力を持っている。
ジーンスティーラーが感染に適した惑星に到達したとき、影響力を拡大させるための準備として即座に身を潜め、人目の届かぬ忘れ去られた場所に閉じこもり、そこを潜伏場所として活動を行う。潜伏中に犠牲者を得るのが可能であると確信した際、ジーンスティーラーは犠牲者を探し求め社会の周縁に潜入し、夜の帳の中においてのみ不注意な人類を鋼鉄の如く固い屈強なる四肢で拉致を行うのである。
ジーンスティーラーの静かなる奇襲の犠牲者となる者は、他のティラニッド個体種によるほとんどの犠牲者と異なり、引き裂かれて捕食されるわけではない。代わりにその犠牲者は、ジーンスティーラーが有する催眠性の凝視によるサイキックパワーによってその従僕となってしまう。
彼ら選ばれし犠牲者は、ティラニッドが持つ生物固有の遺伝子パターンの一部分を体内に注入され、皮下に「産卵管」と呼ばれる肋骨状の管を埋め込まれる。この過程は教団内では“ジーンスティーラーの口づけ”として知られている。
異種族個体の力強さと寿命の長さを授与することを通じて、この移植は背中に突き立てられた刃同様に、冷酷かつ残忍なものとなっている。


  • 第一世代

この寄生は、ティラニッドの遺伝子パターンによる汚染が体の隅々にまで行き渡るにつれ、犠牲者の肉体と精神を変容させる。犠牲者は次第にジーンスティーラーを狂信的に新たな侵攻の象徴となる救世主の姿として崇拝するようになる。
ジーンスティーラーが犠牲者に自らの遺伝子を注入したら最後、その血脈は永遠に支配される運命となる。犠牲者の遺伝子はティラニッドの遺伝子によって汚染され、人腹を利用した怪物の出産、増殖サイクルがここから開始される。
犠牲者から出産される「ハイブリッド」は、注視するにもおぞましき様々な姿をした、奇形的でグロテスクな生物だ。いくつかの特徴はジーンスティーラーと共通した部分が見受けられ、例えば球状の頭部に唸るような声、針のように鋭い歯が並ぶ口、先端に鋭い双爪が生えた二対の腕、不完全が針状の尻尾、そして斑点のついた紫色の肌などの特徴を持っている。
これ最初の混成種は第一世代として知られている。


  • 第二世代

ジーンスティーラーと混成種第一世代は新たな犠牲者を洗脳し、それらを教団に加入させ後に子を授ける。それにより混成種第二世代を育てるのだ。この新しい生物は背が丸く曲がっているが、しかし彼らは老人や虚弱体質ではなく、むしろバネのように突発的な行動を行うことができるのだ。
これらのハイブリッドは5本、場合によっては6本の手足を有しており、しかし目や口は彼ら人間の両親と変わらない形状をしており、彼らは帝国で用いられる共通語を話すことができる。彼らの精神は未だに理解しがたい異種族そのものであるが、第二世代ハイブリッドは寄生社会を理解するのに十分な知能を有している。
彼らの幾人かは彼らに近しい下部の産業組織で労働を行う。彼らの並外れた力と強靭であり、重厚な採掘機械や爆発物を、人類よりも遥か容易に用いることができる。


  • 第三世代

それぞれのサイクルが経過し新たな種が教団にもたらされた時、ハイブリッドの子孫たちはほとんど変異を表さなくなる。第三世代は人類と同様に直立姿勢を取るようになることで特徴付けられる。
彼らは遠くから見れば人類と同じに見えるが、近付いてよく見てみると伸びあがった大きな頭部や薄紫色の肌、そして衣服の下に隠すことのできる退化した腕部を持っている。


  • 第四世代

第四世代になると教団の子孫たちはほぼ人類と相違ない外見となり、さらなる計画のために自らの本性を偽って権力の座に就いていく。並外れた影響力を持つ指導者が惑星権力層の中に姿を現す一方で、サイキック要員やカリスマ的な先導者が様々な言辞を駆使して下部組織を熱狂させていくのである。
第四世代の教団員は真の意味での繁殖を行う。彼らは純粋な人類を産み落とすのではなく、祖先となるジーンスティーラー、すなわち「ピュアストレイン・ジーンスティーラー」を産み落とすのである。
これら第五世代の生物の両親たちは自らの産んだ生物を、実際にはそうであるにもかかわらず、おぞましきものや耳障りな音を立てる取替え子であるとは見なさず、むしろ柔らかな肌をした無垢でかわいい赤子であると認識する。
両親たちは生まれた怪物の赤子を守るためならばどんなことでも行い、必要とあらば自らの命をなげうつことも辞さない。この時になると、ジーンスティーラーによる遺伝子汚染の影響力は完全なものとなり、種のサイクルが新たに開始されるのである。


【個体群意識体】
総主教として知られている教団の中核を成すジーンスティーラーは、その世代に問わず、彼の手先を一人残らず全て支配する能力を先天的に有している。総主教はわずかな調整によってそれら手先の精神を統合している。それはすなわち、「個体群意識体」(ブロッドマインド)として知られる潜在意識の結合である。
この共感覚は、教団を非常に緊密で忠実な組織にさせ、戦闘においては信者らに並外れた力と俊敏性を与え、人類の精神的な神聖さを蝕もうとする。そのような教団は〈帝国〉のに対して公然と反旗を翻した時は、惑星の防衛能力を瞬く間に転覆させることができるのである。


【広がる汚染】
これら大反乱を起こす狂信者らは、最終的な征服の日のための準備に彼らの生活の全てを費やす。彼らは何世代にもわたって秘密裏で繁殖を行い、幾度ものサイクルを経ておぞましき果実を実らせていく。
ジーンスティーラーの感染は他の人々や彼らの子供に呪いを広げ、そして彼らもまた更なる感染を広めていく。生きたウイルスの如く彼らは急速に繁殖し、地下世界の主が惑星全体を奪い取るのに足るようになるまで、その数を増やし続けるのだ。
各サイクルの中で後の世代は一般的な人類の外見を有するのにもかかわらず、彼らの内面は徹底して異種族そのものとなっている。彼らの忠誠は惑星にジーンスティーラーの呪いをもたらした組織と彼らの隠れた同族である混成種に対してのみ向けられている。
異星生まれ人ならざる総主教はその影響網の中心に座し、汚染が惑星全体を覆い尽くすまで拡大し続けるように仕向ける。教団の魂はこのおぞましき怪物に従属し、彼を守るためならば喜んで信者は命を差し出すであろう。
完全に成長した教団は、さらに他の惑星に対しても魔の手を伸ばし始める。教団の指導者はおぞましき過程を再び繰り返すために、選ばれしピュアストレインを新たな餌場に至る長征の途へと注意深く送り出すのだ。


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ジーンスティーラー教団の組織構造

我らは大義を推し進めるための武器を除いて、世俗の財産を捨て去らねばならない。司祭様の大計のために生きるということはすなわち、不滅なる教団と一体となり、そして究極的には生まれ変わるということを意味する。今日行った誓いを深く心に刻んでおくのだ。同志よ。我らは素晴らしき変容の瀬戸際に居るのだから。

アコライト・ヴァンガード ガラム・ウトナピシュティム



画像出典:コデックス「ジーンスティーラー・カルト7版」(codex:Genestealer Cults)P14,P15 イラストより


【概要】
これまで異端審問庁の手で暴かれた数多くのジーンスティーラー教団はいずれも、異種族感染のサイクルによって分けられし共通の階層構造を有している。その成立過程は様々だが、しかしいずれの教団においても総主教は君主の如き位階に立ち、「メイガス」を彼の大臣として、「プリムス」を彼の征戦の指揮官として付き添わせる。
より大規模な教団は補助的な組織が存在するが、その場合もその背後には中枢が隠されているのだ。成長したジーンスティーラー・カルトは巨大な組織として活動を行う。
その数は数百万、あるいは数十億となり、時には複数の惑星をも覆い尽くすという。例を挙げると、〈物乞い王子〉教団は惑星「チャンサーズ・ヴェイル」を起源とするが、その熱狂的な教義は周囲に15の惑星を有する「ヴィジルス」の前哨惑星に持ち込まれた。
創生感染として知られる最初の事例は最も大規模であるものの、それは分派教団として認識される。そこから派生した感染もまた、キチン質と肌の色調において「親教団」との共通性を有している。
恐らく印章や気質に小さな差異が存在しているかもしれないが、しかし彼らは瓜二つの特徴を持っていた。彼らはより広範な忠誠を示すために根本的に同じ紋章の旗を掲げた。
必然性はしばしば、これらの旗をその土地の特徴や社会的規範に適合させることを要求した他、他者の視線から隠れながらも腕章や刺青が統合の象徴として時折用いられた。


【遺伝宗派と爪団】
特定の惑星に住む狂信者は感染の蔓延として認識されており、人口過密地区は幾つもの完全な種のサイクルによって繁殖させることができる。特定の居住区に住むすべての狂信者は「遺伝宗派」(ジーン・セクト)として認識される。
いくつかの住民集団は辛うじて一つの遺伝宗派を支援することが出来るが、しかしそれら惑星上は生命に溢れており、その中のいくつかは共存し得る。各々の遺伝宗派は印章や旗の巧妙化によって自らを更に分化させるにもかかわらず、究極的には彼らは全て単一のパトリアーク個体から生れ出ており、しばしば共に一体となって活動する。
個々の遺伝宗派は、メイガスやプリムス、ネクソスを含む自らの専門家組織や戦争指導者たちを有している。彼らは思考においても行動においても多くの共通点を持っており、同じ場所と時間に複数の遺伝宗派が共闘することも珍しくはない。
少なくとも数百人の構成員を数えるこれらの遺伝宗派は、「爪団」へとさらに分割されていく。爪団は一般的に15から100人の戦闘員を数える規模を持つ。
彼らは固有の義務のために組織され、教団の要求に従って召集・解散される。爪団は少なくとも一人の指導者を有しており、彼が任務の間に組織を導き、メイガスとプリムスは人間とみなされる「ネオファイト」のグループから疑いようもなく異種族である怪物的な種の「アベラント」に至るまでの多岐に渡る複数の爪団を意のままに操る。


【悪夢の到来】
教団の恐るべき種の同族の大半は、当局から滅多に目の届くことのない鉱山やトンネルで働くか、あるいは彼らに対して倦む事無く実験が行われる、ジーン・セクトのバイオファーガス種の巣穴に閉じ籠る。しかしながら、ごく少数の同族は教育を受け訓練を行い、優れた暗殺者としての役割を担う。
必要に応じ、メイガスやプリムス、あるいは教団の他の指導者はこれらの生物に標的の匂跡やサイキックの痕跡を付与して殺害任務に投入する。この粗暴なハイブリッドは教団の計画に反抗する愚か者を探し出す際、下水や地下墓所を通るための布袋か麻布、あるいは工業用の荒布を纏い、夜間に送り出される。
淡い月光の下で彼らは惑星地表へ、そして標的の住む区画まで上がる。一度標的の新鮮な痕跡を彼らの鼻孔が捉えたならば正体をあらわにする。
ハンマーとピッケルを手に、この殺人的な獣は彼らの犠牲者への道を叩き割り、突き抜ける。犠牲者の命が遭遇する最後の瞬間は、絶望的な恐怖と混乱の中で過ぎ去るのである。
一度流血の惨事が成されたならば、ハイブリッドは地下世界へと帰還し、彼らが現れた時と同様に素早く姿を消す。このような生物が、自らの抑圧された怒りを今一度噴出させるまでには長い時間が必要となる。
大反乱の日から到来した時、これらのおぞましき巨人たちは初めて無慈悲な虐殺に自らを投じるのである。


【新たなる地への布教】
一度教団が、組織拡大のための資源を提供するのに十分問題ないと感じられる成長度に到達すれば、新たな犠牲者を探すために教団はジーンスティーラーを、時には種全体をも他の惑星へと派遣を行う。それらのいずれかは、あるいは種のサイクルの第五世代に位置するピュアストレイン・ジーンスティーラーは、起源の種から出て最初の呪いとして知られる惑星効果を行うに至る。
これらの感染媒介者は、同じ惑星上で適した居住区を発見し、新たな遺伝宗派を創始するか、あるいはもし分派元の教団を支援し得る惑星に到達した際に、全く新たな感染を開始する。一般的に各惑星は一体のみパトリアーク個体を有するが、メイガスとプリムスはその惑星の異なった場所における副官として複数存在する。
もし現在のパトリアークが死亡したなら、その寄生惑星の住人を感染させる次のジーンスティーラーは適合変化し、時間をかけて新たなパトリアークを育成する。例外も存在し、感染を先導する生命体が小規模の惑星の人口に相当するほどの人口密集地を探し当てた場合、植民のために派遣されたピュアストレイン・ジーンスティーラーはあらたなパトリアークとなる。
これは陸地が密集した場所で非常にまれに起こる事ではあるが、サイキックによる反動による結果、土地が十分に提供されないということも理論的に起こりうる。二つの遺伝宗派が資源を巡って争い、そして抗争にさえ発展する事もあるが、巣窟艦隊が来訪した際にはティラニッド種族の統合意識がそれらすべてを統率する。


【決起の時】
狂信者の中には、ローブや頭陀袋でハイブリッドの身体的特徴を覆い隠し暗闇に包まれたトンネルを徘徊する、まさに怪物のような信者も存在する。また中には単に青白い肌と禿げ頭の特徴を有するのみであるが故に、竜の形の刺青を隠しながらも周囲からは忠実な帝国臣民であるとみなされているものも存在する。
これらの後期世代に属する狂信者は羊の毛皮を被った狼の如く人類の社会に紛れ込み、〈帝国〉の産業における壊れかけた機械の中で脇目もふらず熱心に働く。しかし、彼らの作業着や鉱夫服の下には異種族の痕跡を持っているのだ。
彼らの下部組織が十分に強力になり大反乱のための準備が整ったならば、ジーンスティーラー・カルトはその活動を開始するだろう。武装した教信者の群衆が下水道やトンネル、そして地下から無数に涌き出て、それと同時に尖塔の上の隠れ処からも、さながら巣から虫が群がって出てくるかの如く出現する。
懸命にもそこから逃れた者は、炎上する残骸によって、あるいは襲撃のために待機していたハイブリッド生物の群れによって、都市の街路や幹線道路が封鎖されてしまうのを目の当たりするだろう。残虐なる教団が彼らの敵に下す裁きの鉄槌は真に恐ろしいものである。
教団の武装した大規模な狂信者たちは民兵同然そのものであるが、数の力と狂信的な献身は銃撃戦において彼らの潜在的な獰猛さを発揮させる。高い脅威を持つ対象には、正確な同時多発的な襲撃が敢行され、教団はその成功のために必要なすべてを熱心に準備し続ける。
パトリアークの不可聴の号令により教団の突撃部隊が隘路や通気ダクト、格子窓、そして感染した作業員によって道が作られた隠し通路から現れる。隠し通路は教団の作業員によって作られ、襲撃の日に備えてその存在は秘匿されている。
敵の指揮官を襲撃するために現れる「アコライト・ハイブリッド」は、兵器のように変異した自らの体で襲いかかり、歯を鳴らして金切り声を上げる。プリムスが特別の脅威として指定した敵、例えば「修道聖女会」(アデプタ・ソロリタス)やスペースマリーンは、教団全体の中でも最も凶悪な戦士である、「パトリアーク」自身を守護する第五世代のピュアストレイン・ジーンスティーラーによって攻撃される。
完成された破壊機械の如く、教団の攻撃は一体となっている。その攻撃を撃退できる軍勢はほぼ存在し得ない。


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信仰の諸惑星

「あまりにも長きに渡り、私は自らを失い、闇と無為の終わりなき円環のなかにて閉じ込められていた。単調な労働を繰り返すばかりの毎日。
居住ブロックにて目を覚まし、再精製ペーストを食べ、自分のステーションまでとぼとぼ歩き、指から血が出るまで働き続ける。私の唯一の楽しみは、遺跡採掘ステーションに掲げられし、自動蝋燭の揺らめく炎だけだった。
あるものは高く、あるものは低く。私の父はこの灯りの下で死に、そのまた父も同様であった。
そして私がその暗闇の中で迷いしとき、祝福されし夜明けが私に訪れたのだ。迷いし先で私は救世主の口づけを受け、新たな人生が幕を開けたのである。」


ハイドラ教団四級書記官 ゴンサ・ゼレン



【概要】
〈帝国〉は数多くの惑星を領有し、数え切れぬ星々がジーンスティーラー・カルトの呪いの魔の手に堕ちた。人類の居る場所はどこであれ、そこには捕食される生命体が存在することに他ならない。
〈人類の帝国〉に住まう仔羊のような臣民たちは、ティラニッドの寄生生物たるジーンスティーラーにとっては最高の寄生先である。人類は宇宙を航行するに足る文明を有しているが、しかしながら彼らはジーンスティーラーが繁殖する、暗黒で汚染された場所に自らを導いてしまう尊大さと好奇心が合わさった野望を克服することは叶わない。
それを行うことは時に禁忌とされ、たとえその過程で恐怖や危険が明らかになり、あるいは完全に阻まれているにもかかわらず、人類は銀河の隅々まで入植を行おうと試みる。人類の世代間のタイムスパンが相対的に短いことも相まって、この傾向はティラニッドにとって人類が最高の被食生物としてたらしめている。
広範に拡大する人類の入植地と、それ故にほとんど無尽蔵に供給される人類の数は、全てのパトリアークを単一の目的に結合する集合意識体の注意を当然引き付けるのだ。
【教団の異能者】
人類は多くのサイキック能力者である「異能者」(サイカ―)を有しており、彼らはかつてないほどまでその数が増加している。異能者はあらゆる種類のジーンスティーラーの生態にとって、種のサイクルの過程を経て現れるために必要不可欠な存在だ。
〈人類の帝国〉では臣民らのなかに非公認の異能者が存在した場合、惑星の政府に拘束される。その後、銀河逓信局が運営する〈黒き御船〉に強制的に乗船させられ、然るべき役目を追うことになる。
しかし、そうした異能者の中には、“測定・固定化の見込みが全くないと判断された異能者”が存在し、それらの異能者が使用するサイキック能力の多用は、〈大亀裂〉発生以降この数千年間で増加の一途を辿っている。銀河規模の厄災の危機にもかかわらず、創生されたジーンスティーラー・カルトは未訓練の異能者を積極的に教団へと連れ込み、彼らが「メイガス」となるための道を開いていく。
教団の戦争指導者は、寄生惑星において精神に作用するパトリアークの影響力をさらに拡大することで、教団を勝利の道へ続く新たな高みへと導いていく。



画像出典:コデックス「ジーンスティーラー・カルト8版」(codex:Genestealer Cults)P13 イラストより


【〈帝国〉内における事例】

  • 文明化惑星

「過密惑星」(ハイヴワールド)を始めとした文明化惑星では、しばしば大量の輸入需要と安定した輸出を行うのに人口を有しており、ジーンスティーラー・カルトにとっては格好の標的となる。そのような場所の交易寄生と保安は厳重であるにもかかわらず、一隻の致命的な船を入港させるというたった一つのミスでさえ汚染の種がまかれる。
そして一度その種がまかれたならば、無数の方法でそれは育ってくのである。それが端緒となって、これらの星は緩慢に広がる教団を、宇宙のいたる所で見られる加速した種のサイクルに押し込むだろう。


  • 封建惑星

「騎士惑星」(ナイトワールド)などの〈帝国〉内に存在する封建惑星では、国王や女王の言葉は法そのものだ。君主がジーンスティーラーの遺伝子に寄生された場合、奇妙な悦楽や不穏な失踪、そして不自然な変化が常に続く。
大半の中世レベルの文明を持つ惑星は技術的にもほとんどなにも有してはいない。農民や騎士団は、廃棄された迷宮や納骨堂、入り組んだ洞窟、そしてうっそうとした森林からジーンスティーラーが現れて襲われる。
突如現れ、鉤爪を有した怪異から自らを守るために惑星の住人は、迷信深い儀式、剣、そして盾を持つに過ぎないのである。


  • 死地惑星

〈帝国〉の惑星には「死地惑星」(デスワールド)として分類されている非常に危険な惑星が数多く存在している。それらの惑星の環境は生命にとって忌むべき過酷さを有している。
多くの人類の戦士たちの一団が、これらの惑星を極度に過酷な訓練のために用いることがある。多種多様な恐ろしい動植物に彼らが直面する中、ピュアストレイン・ジーンスティーラーが忍び寄ることにかれらは気付くことはできない。
いくつかの訓練グループは感染し、彼らの内に潜む破滅と共に彼らの部隊は元居た場所へと帰還し、彼らが防衛するために送られる次の惑星に感染が持ち込まれるのである。


  • 農業惑星

機械化された設備を有する教団は、特に「農業惑星」(アグリワールド)においては開かれた場所で勢力を拡大する。地区の少なくとも85%が軍用糧秣、水耕栽培、家畜、食用藻、そしてサボテンの森の育成のために割かれているこのような惑星は、際立って人口が多いわけではない。
しかしながら、広がりゆく大都市圏では多岐に渡るジーンスティーラー・カルトの組織にとって「食料貨物」を他の惑星に送るという最高の名分をほどなく有することによって、それらを容易に犠牲者たらしめているのである。


  • 帝国防衛軍

〈帝国〉の惑星のほとんどは何らかの方法によって軍事化されているが、いくらかの惑星は帝国防衛軍の連隊と資材の生産を完全に委ねられている。ジーンスティーラー・カルトはこれらの惑星を他のどこよりも優先的に感染させようと試みる。
この戦術は、初動が成功したとしても多くの場合高いリスクが伴うにもかかわらず、武装した兵士と資源を自らの教団に加え各々新たな兵舎や基地を汚染することで、彼らは未来の反乱を成功させる可能性を劇的に高めている。


  • 後進惑星

蛮族の教団は帝国の非文明惑星に存在する。行進惑星は火薬発見以前、あるいは鉄器時代以前や石器時代の技術レベルに後退した惑星においては、ジーンスティーラー・カルトの設立、成長は実にシンプルである。
すなわち、強力な武器や進んだ技術、あるいはそれらを複合する道具を持ちこむことで、ジーンスティーラーは惑星の住民から神の如く崇拝される。一方で、そのような惑星に対する創生感染はほとんど起こることがない。
なぜなら惑星降下を行ったピュアストレイン・ジーンスティーラーは幾度となく自らが狩人であるだけでなく、仮の獲物になってしまうこともありうるからだ。


  • 礼拝惑星

「帝国聖教会」(エレクシアーキー)による信仰の力にもかかわらず、「帝国宗務局」の惑星もジーンスティーラーの呪いから免れることはできない。聖職者のローブは多くの変異を覆い隠すことが出来、さらに低層地区を埋め尽くす迷宮のように入り組んだ納骨堂や地下墓地はジーンスティーラーのように適応力に秀でた生物種にとって徘徊するのに理想的な場所である。
ジーンスティーラーの口付けを受けた人類は依然として他の修道士らの中で彼らと同じように動き皇帝への崇拝を叫び続けるだろう。しかし実際には彼らの行動は遥かに邪悪な目的を促進させるものである。


  • 自由開拓者

自由開拓者が自らの旗を立てる場所はどこであれ、彼らが言うには、即座に下層民の群れがそれに続いて押しよせてくる。帝国の境界線上では年々、皇帝陛下の御名の下に新たな惑星の領有が宣言されている。
そこでは、立法者や「高等裁定局」の法務官などは単なるうわさの上の存在に過ぎない。ジーンスティーラー・カルトが開拓惑星において完全にその実を結ぶために長い時間を要するにもかかわらず、その惑星における文明の萌芽の開始によって、全ての社会階層の人々を容易に感染させることができるのである。


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教団の武装蜂起

「虚空そのものの名のもとに剣を取る者は幸いである。彼は真に死ぬことはないからだ。もし約束の日がいまだ来たらずとも、彼の名は後に続く者たちの心と記憶に英雄として刻まれることだろう。そしてひとたび幸いなる夜明けが訪れたならば、彼は神々と共に戦い、真の合一を果たすのである。」

〈物乞い王子〉教団のクラマヴァス “銀の口”テーサス



画像出典:ゲーム「Battlefleet Gothic: Armada II」より


【概要】
最初の混成種が生まれたその時から、教団は星々をまたぐ規模の反乱準備を開始する。しばしばその世代継承が臨界点に達する前に、大規模な軍事介入を引き起こし得る他の要因が存在する。
教団の主の計画から逸脱した者に対しては苦痛が降りかかる。そのための戦士が蛇の如く素早く襲撃し、彼らの復讐は恐るべきものとなる。
ジーンスティーラー・カルトは自らの繁殖を最も重要なものとして位置付け、通常彼らは思いのままに武装行動を行うような事をしない。無論、例外は存在する。
〈帝国〉の崩壊寸前である組織の中において、たとえ水も漏らさぬ計画であっても実際に長期に続くことはない。各々の紛争や敗北、そして災害はその組織の中で処理される。
時には無謀な権力奪取や逸脱行為によって、帝国当局による調査に教団が暴かれてしまうこともあるのだ。


【暴かれし教団】
もし高等裁定局からの査問、あるいはより悪いことに異端審問官による調査がメイガスや彼の手下の来訪によって解決しなかった場合、教団は即座に「特務機動部連隊」(ミリタルム・テンペストゥス)から「デスウォッチ戦団」の攻撃部隊に至るまであらゆる攻撃を受けることになる。この攻撃の熾烈さは、ジーンスティーラー・カルトを一片に至るまで駆逐し、惑星地下の教団中枢をも揺るがし得るほどの規模であるが、一体の教団員やジーンスティーラーを逃すだけで教団を再建することが可能だ。
しかし、このような粛清が起こることは滅多になく、教団の感染拡大は影に包まれており、〈帝国〉の無秩序な拡大の混乱の中で無数に存在する場所から、その一つを発見することは困難を極める。教団の構成員によって集められた寄生惑星の住民に対して彼らは、多数の優位を有しているのだ。
社会の下層から集められた住民は潜伏に最も適した場所を既に熟知しており、一方で上層階級出身者は彼らの痕跡を容易に隠蔽だけの影響力を持っている。時間と共に、教団の拡大はその教義を一つの社会層から他の階層へと伝播させていく。
複数の種のサイクルを有する主だった教団は、下水労働者、雑用夫、弁護士、そして高等法務官やハイヴシティー尖塔の主に至るまでを支配下においている。武装蜂起の当日には、惑星上の全ての感染した構成員が団結して行動を行い、争乱と破壊活動の発端となる教団の突撃隊として結束する。
侵入することは不可能であるとされていた軍事標的を排除するこの広範囲な攻撃は、数百もの惑星を徹底的に破壊する事を証明してきている。すなわち、適切な場所で極めれ念入りに準備された叛徒らのために惑星のインフラ転覆させられ、わずか数日のうちに全てが破壊し尽くされるのだ。


【教団の軍師】
全ての計画は、各遺伝子宗派の「ネクソス」によって綿密に統合され、彼のシミュレーションや戦術分析、一元的に指揮された戦闘計画は彼の同胞たちに必要不可欠な優位を与える。情報流布と犠牲者の通信妨害双方に長けた「クラマヴァス」との連携の中で、ネクソスは彼らの常に適応変化する計画をより大勢の群衆へと伝達する。
しばしば計画が失敗したとしても、〈帝国〉の巨大な構造体がしばしば自らを防衛したとしても、ネクソスは異なる媒介体に沿って勝利のために攻撃を行う。スペースマリーンの降下部隊が教団の攻撃を妨害するために派遣されたのを知らせる副官「ジャッカル・アルファス」の声を聴いた時、おそらくは彼らは地中奥深くに資源を再配置するだろう。
彼らはロックグラインダーに命じて道路を封鎖させるか建物を爆破することで、機甲化された「アデプタ・ソロリタス」のバトルシスターの大規模な強襲を妨害するだろう。簡潔な命令と一瞬の決断でもってネクソスは、教団が一体となって撤退させしまうよう命令を下すが、その実、他の場所を襲撃するための即興の計画や適合するような戦略を練り上げる。
彼らは肉体と精神が連結されているため、他のいかなる軍隊よりも優れた組織として機能する。彼らは思いがけない状況で教団が蜂起するために最適な時をより広範な次元で決断を下すのである。


【狂信者たちの軍勢】
戦争指導者となるプリムスは、彼らの同族の繁殖に対してより攻撃的なアプローチを実行する。遺伝宗派の「メイガス」が合図を送った時、彼らは母体となる教団から選抜した軍勢を集め、そして次にパトリアークの名の下に新たな惑星を獲得するための攻撃を開始する。
この攻撃はしばしば産業部門を襲撃すると見せかけて、既存の航宙路や輸入路を用いてジーンスティーラー・カルト信者らの寄生体を新たな惑星へと運び込む。貨物庫の暗闇の中で積み荷の自動搬送が音を立てて開き、そしてプリムスが彼らの同胞らを率いて進軍する。
この侵略が明らかとなった時、教団は素早く、そして圧倒的な力で攻撃を敢行する。もし彼らの強襲が即座に敵を排除することに失敗したなら、彼らは松明の中のアブラムシのように四散し、再集結を行う前に、彼らの新たな領域の暗部で待避所を捜し求めるだろう。


【外部の襲撃】
寄生先の惑星が外部の軍勢に攻撃される時もある。すなわち、「ブラド」の移住や「デュカーリ」の襲撃、「オルク」の〈いくさだァァァア!〉、更には〈歪み〉の裂け目から襲撃してくる「渾沌の軍勢」などが挙げられる。
ほとんどの教団は潜伏し、嵐が過ぎ去るのを待つに甘んじる。だが、もしこの侵攻が彼らの利益を直接脅かすのであれば、彼らは巣を突かれたスズメバチの如く自らを守るために戦う。
破局の瀬戸際にある惑星は、ある異星人の一団から守ってくれたばかりの彼らの救世主が別の、そしてより邪悪な脅威を具現化するものであったに過ぎない、という事に気が付くのである。


【決起の時】
全てをうまく行うために、教団は蜘蛛の如き忍耐でもって彼らの時を待ち、今まで以上の領域に感染を広げることで何世代にも渡り最後の戦いのための準備を行う。全てが用意できたのならば、秘匿された入り組んだ教団の軍勢が姿を表し、惑星は無秩序状態へと陥る。
教団が寄生惑星を征服すべく決起した際、しばしばティラニッドの巣窟艦隊は無数の生体艦で空を埋め尽くす。ジーンスティーラーとその同族は異常な欲求に統合される。
すなわち、殺戮や破壊を引き起こし、動揺させ、そして惑星の片隅に至るまで恐怖を拡大させるという欲求である。全ての信徒が知覚していた教団の創始者による精神の口付けを彼らの血の中で感じ取り、ネオファイトが宗教的情熱の絶頂の中で犠牲者の四肢という四肢を引き裂くことで、抑えきれない殺害の欲求を鼓動で感じ取る。
巣窟艦隊の襲撃という悪夢が降下してくる時、小さな教団でさえ惑星の防衛を粉砕し得るのである。


【教団惑星】
ティラニッドがいまだ数百年後に現れる距離まで離れてるか、あるいは全く影も形もなかったにもかかわらず、パトリアークの系譜によって惑星の支配が主張された結果、はるか以前にジーンスティーラー・カルトに征服された惑星が存在する。それは単純に、支配を拡大させる途中で彼らを監視する敵を退けたか、あるいは彼らを求める巣窟艦隊が失われた事をパトリアークがサイキック能力で感知したため、彼らの蜂起が早期に発生したことにもよるものだろう。
巣窟艦隊から切り離された広範な猛攻撃の一部として、教団は自身の策略を通じてその支配を主張しなければならなかった。これらの教団は幾つかの点において〈帝国〉にとって最も危険な教団と化す。
すなわち、ウイルスが新たな宿主に拡大するかのように、彼らは何としてでも自らの神との再接続する望みの中で、遥かに広範な領域へと精力的に破壊の種をまく。彼らの母星を司令基地として用いることで、彼らの手の届く範囲にある全ての惑星に生物を潜入させ、侵略軍を潜伏させる等のあらゆる方法を用いて成功を繰り返す。
そのような教団によって征服された星系全体は、ティラニッドの巣窟艦隊にとって最終的に来訪し、その全てを吸収するのに十分な強さとなるサイキックの灯台となるのだ。


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異種族(ゼノ)への影響

【概要】
ジーンスティーラー・カルトの汚染は人類だけではない。この銀河に住まう異種族(ゼノ)にも悪影響を及ぼしている。
ピュアストレイン・ジーンスティーラーは、産卵管を通じてティラニッドの遺伝子を異種族に移植する方法を取る。だがそれにもかかわらず、ピュアストレイン・ジーンスティーラーは自らの遺伝子を、後にハイブリッドを生み出すための必要不可欠な生体構造を有するいかなる生物にも埋め込むことができる。
人類の星間領域に対する膨大な年月に渡る侵入の結果、「オルク」や「グリート」、「クルート」や「アエルダリ」、「タレリアン」、そして「タウ」といった種族の中にさえジーンスティーラー・カルトのコロニーを作り始める。ジーンスティーラーは彼らの呪いを広く遠くまで拡大させるために、宇宙で活動可能なほどに十分に知的でかつ二足歩行可能な種族を寄生のターゲットとして選ぶ傾向がある。
また活動を行う場所も、ジーンスティーラーの感染を防ぐには手遅れとなるまでその拡大を秘匿するのに十分なほど過密した居住地を最適な目標とする。
【多種多様な寄生】
ジーンスティーラーの寄生は必ずしも成功するわけではなく、異種族によっては寄生が失敗する例も少なくない。例えばオルクを始めとした「グリーンスキン」種族は、寄生された個体に対して違和感を感じ取る能力を有しており、グリーンスキンは寄生先としては不適格であるということが判明している。
また、「タウ・エンパイア」に所属するクルートの社会は、フェロモンを媒介する能力や彼らの進化を導く「シェイパー」の知恵に由来する。クルート社会における感染した構成員に対する忌避感は、クルートもグリーンスキン同様に寄生先としては適さないということを意味する。
一方で、「クラフトワールド」や「デュカーリ」を始めとしたアエルダリは非常に長い妊娠期間を有しており、単純に彼らは成長可能な宿主にはならない。加えて、クラフトワールドに住まうアエルダリのサイキック能力は非常に発達したものであって、彼らはしばしば呪いの影を自らが発動し得る前に発見し、そして適切にそれを回避してしまう。
そして、タウは「エセリアル階級」との接続を有しており、ジーンスティーラーによる感染を困難にたらしめている。これらの異種族は感染が困難なため、人類のみが多種多様で統率の取れない文明のために理想的な寄生先をジーンスティーラーに提供しているのである。


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巣窟艦隊の降臨

「祝福されし真実を見よ!そして汝のあらゆる働きが今こそ実を結ぶ。その何物にも代えがたき私腹を味わうが良い。数百年に渡る我々の努力は、全てこの瞬間のためにあった。疑うならば天を仰げ!空を異形なる天使たちが覆い尽くしているこの壮大なる光景に息を呑め!〈星の御子ら〉の到来をだれが否定できるというのか?銀河の真実が誰の眼にも明らかなものとなった今、誰が我らを狂人呼ばわりできるというのか?」

〈星の救世主〉のプリムス アナスラシア・グーリック



画像出典:画像出典:コデックス「ジーンスティーラー・カルト7版」(codex:Genestealer Cults) イラストより


【概要】
ジーンスティーラー・カルトの組織の中にあって全ての行動と言葉は、敵味方を等しく飲み込む破局という最終目標への次なる一歩である。狂信者は彼らの恐るべき計画を達成し、彼らが征服するための非常に緻密な行動を遂行した惑星は全てが、その大気ですら、彼らの究極の主である「ティラニッド」によって奪い去られる。
教団が寄生文明にさらなる触手を伸ばす時、それは大いなる「昇天の日」に備えているのだ。たとえそれが数十年、時には数百年かかろうとも、遅かれ早かれサイキックの「影」は教団が広まった星系へと来訪する。
それは完全な絶望の最初にきたす兆候となる“〈歪み〉を侵食する影”現象なのである。


【大いなる兆候】
初めに、この影響による奇妙な現象が予言者を狂気に陥れ、〈歪み〉の力と交信した人々の間で無秩序な恐慌が巻き起こる。あたかも久遠の暗黒が再び訪れたかのように「星辰波」(アストロノミカン)の灯が薄れ、そして星々の間を這いずり回っているサイキックの瘴気によって完全に包まれる。
そしてこの時、現れた闇によって破滅が約束される。〈歪み〉を侵食する影の超常的な覆いは、帝国の他の領域からその星系を切り離す、すなわち救援の派遣や退避に加え、「皇帝陛下のタロット」を頼りに洞察を得ることさえもが全く不可能になるのである。
その時初めて、驚異の源が暗黒より現れる。星の光が天体で反射し、夜の空に無数の点として現れる。最初はそれらの天体が美しいものに見えるが、それらが近付くにつれ、その並外れた醜悪さが明らかになっていく。
それはティラニッド種族の生体艦隊であり、光をもたらすのではなく全てを喰らい尽くすために来訪したのだ。


【予言は成就された】
ジーンスティーラー・カルトの教団はこの絶対的な脅威の到来を、長く待ち望んだ予言の成就とみなす。人類の圧政から解放されたパトリアークの同族を信仰する彼らは、ここでその信仰を高め、自信を永遠の光の中へと昇華しようとする。
絶頂の最中にある教団の真の信仰者たちは、この夜明けに至るまでは常に暗闇の中にいたという事を互いに語り合う。彼らの献身的な熱狂が新たな高みへと到達したとき、祝福の言葉と勝鬨の如き叫び声が街路に鳴り響く。
「ティラノサイト」が空から生体の隕石となって降り立つとき、狂信者らは彼らの旗を高らかに掲げ、この御使いの一団の関心を引き付けることを願うのだ。


【大地に降臨せしティラニッド】
生体艦船の巨大な種嚢が、金切り声を上げる刃の四肢を持った猛獣を吐き出すために開いた時、狂信者らの心に疑念の種が這いよる。異星生まれの救世主という概念に向けられる彼らの信仰は尚も揺らぐ事く、狂信者らは降り立った救世主と共に戦う。
寄生惑星の住人を切り裂き食い尽くすために、ティラニッドの侵略者はキチン質と牙の大波となって陸地を押し流す。各々の種を導く集合意識体によって、ティラニッドの大群は狂信者らを餌とは見なさない。
最初にティラニッドらは「脳幹個体」(シナプスクリーチャー)によって完全に見過ごされ、狂信者らと共闘戦線を張る。この短くも、無知な幸せに浸るわずかな間、狂信者らはティラニッドの同盟軍として戦うのだ。


【狂信者らの末路】
“教団の敵”が滅ぼされた時、ジーンスティーラー・カルトの狂信者らは遂に星を隔てた家族が勢ぞろいしたという祝福と歓喜の中で、彼らの遠き同族の抱擁を受けることを熱望する。彼らは腕を広げるが、しかし、彼らはまもなく四肢という四肢をティラニッドによって引き裂かれる。
武器の形をした沸き立つ雪崩へと歩み寄る。その時初めて教団の真の愚かさが、この破滅的な真実を目撃した人々の胸に突き付けられる。
教団の雰囲気は、飼いならされた犬の如き忠実さから恐慌へと急変し、最後の救済は教団の内外双方からもたらされる。かつて狂信者だった者らは崇拝していた彼方から来るものは災厄の裏切り者と化す。
パトリアークに救いを求めた者は、代わりに死がもたらされる。その意識は今や大いなる集合意識体に完全に包摂される事によってその生物はティラニッドに、すなわち銀河を喰らい尽くすのみを望み、虚無を渡る超有機生命体の名もなき細胞の一つとなる。
惑星の防衛が蹂躙されるや否や、パトリアークとその種は彼ら自身の子孫を攻撃し、不信の念を息を詰まらせながら死んでいく彼の助言者や、信頼すべき手先たちを邪悪なる鉤爪が貫く。寄生惑星に生まれ落ちたピュアストレイン・ジーンスティーラーは彼らの献身的な両親たちに躊躇なく襲いかかり、荒れ狂う鉤爪で虐殺し、喰らい尽くすのである。
この悪夢の展開を生き延びた教団の構成員たちは命かながら逃げ出すことを試みるが、しかし彼らはそう遠くに逃げることはできない。ティラニッドの胞子の雨は激しさを増し、そして惑星それ自体が分子レベルで変異した毒の地獄と化す。
他の惑星住人と並んで、狂信者らの死体はティラニッドのファージ体に食い尽くされ、そしてその肉は地表で沸き立つ酸性の消化プールに吐き出される。そこで彼らは吐き気を催す溶解物へと分解され、上空の生体艦船へ向けてうねる毛細血管状の塔によってそのままの形で吸い上げられていく。
寄生惑星の住民と教団の寄生物は、最終的に一つに作り替えられ、彼らの肉体はこの終末的悲劇の最終章へと融合する。


【支配を広げし教団】
銀河の至る所で発生するジーンスティーラー・カルト全てが、彼らが崇拝したティラニッドの恐るべき生物に呑みこまれるというおぞましき終焉に直面するのではない。いくつかの蜂起は無意識的に、ティラニッドの生体艦隊を誘引するサイキックのオーラを送信していた事で知られている。
とりわけ〈歪みの嵐〉によって虚無に投げ込まれるか、標準的な艦隊による戦闘に巻き込まれるか、あるいは超新星爆発のような暴威を振るう天体現象によって消滅した艦隊に対して送信が行われていた。これらの教団は何度も繰り返し繁殖を試み、パトリアークとその同族によって完全に支配されるまで、彼らの種のサイクルが遥かに寄生惑星を消耗させ続けた。
そのような惑星は、複数の星系やさらにはセクター全体に広がる感染拡大網の中枢となり、二度と現れない運命の道に備えている。その時彼らは別の集合艦隊を誘引する。
彼らが寄生する領域を思うがままに支配するその時まで。


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主な教団

「公子の甲殻に純血の軟膏を塗布せよ。そしてその鉤爪に敬意をつけて口づけせよ。しかしそのとき呼吸をしてはならない。汝の定命なる不徳によってその神聖なる霊気を乱してはならぬ。彼と〈星々の父ら〉の交信を妨げぬよう、久遠の聖歌を静かに唱えること。そして戦いの時来たらば、恐れることなく彼に従うのだ。異種族的純血ゆえに、彼は教父様を除けば最も虚空の心理に近い存在なのだから。」

遺伝宗派“鋭い鉤爪”における装飾の儀式



画像出典:コデックス「ジーンスティーラー・カルト8版」(codex:Genestealer Cults)P34,P35 イラストより


【概要】
ジーンスティーラー・カルトの力の一つは多様性である。ジーンスティーラーが膨大な生物種に感染し得るのと同じように、必要に応じて新しい形を彩り、自らを改良することで教団はいかなる生態系や環境にも拡大し得る。


  • 「四本腕の皇帝陛下教団」(カルト・オヴ・フォーアームド・エンペラー)


「地下に隠れたる者ら、一つになりて立ち上がるべし」



【シンボル】
教団の印章である竜の形をしたオリジナルの模様は、〈帝国〉の百の惑星にばらまかれ、書き記され、刻み込まれ、ラクガキで書かれた。敬意の証として、〈四本腕の皇帝陛下教団〉は彼らの始祖が遥か昔にデスウォッチに殺害されたにもかかわらず、尚もトリスト一族の採掘班の産業紋章を祝賀している。
「極限の宙域」(ウルティマ・セグメントゥム)の至る所で、彼らと同じ種類の旗を用いた多くの感染が存在する。
【教団の信条】
ゴーサー・クィントゥスのトリスト採掘一族を源流とする「四本腕の皇帝陛下教団」は、長きに渡る計画と恐るべき奇襲を実行に移すまで、地下奥深くにて辛抱強く待ち続ける。教団員の中には蜂起の日まで完全なる暗闇の中で過ごすものもいるのである。
運命の日が訪れると、こうした洞窟住民たちは自らの野蛮さを解き放って攻撃するのだ。


【概要】
〈四本腕の皇帝陛下教団〉は狡知策略に富み、非常に忍耐強い特徴を有する。彼らは地下からの襲撃の達人である。
彼らの献身的な道の一つがどこで開いたとしても、千を超える彼らが地中に潜伏し、殺戮のために立ち上がる準備を行う。
〈四本腕の皇帝陛下教団〉の指導者は昼夜問わずに戦い続ける。それぞれの地下ネットワークのポテンシャルを最大限活用し、最近新たに建設されたエリアへの計画を修正するために、彼らは自らの及ぶ範囲にある全ての建物や都市の設計図を探し求めた。
結局それらの記録を全てを抹消する事と、同族以外でそれに巻き込まれた者をどこかに送るか、あるいは殺害するのを確かにする結果となった。予言者たちは彼らの触手を社会の全ての階層へと伸ばしたが、他のどの地上の住人よりもその地に詳しい対抗文化集団や反体制分子を特に利用した。
〈四本腕の皇帝陛下教団〉は真に恐るべき存在である。全ての教団の中で、この地下住まいの同胞たちは爆破や弱体化工作、そして地下からの襲撃の技術を最もうまく利用した。
彼らは工業化された彼らの戦術を有しており、その間に転向させた膨大な、鈍重な〈帝国〉の労働力の矛先を彼らの主へと向けさせた。彼らに対する攻撃はシロアリの巣を蹴るようなものであった。
すなわち地上を駆け回ったところで、それは迷宮のように潜む巣穴から突然涌き上がってくる生命体の膨大なコロニーの、最も小さな断片でしかないことに気が付くのみであった。
【謎の失踪事件】
680.M41(西暦40680年)、惑星「ゴーサー・クィントゥス」の地表ではジーンスティーラー・カルトの恐るべき汚染が初めて帝国当局の正確に知るところとなった。異種族による〈帝国信条集〉(インペリアル・クリード)からの逸脱の痕跡の調査を行うため、高名な異端審問官「チェグリン」が特務起動部の部隊を率いてこの惑星に現れた。
彼は危険を冒し、「グレート・ピット」の名で知られる惑星最大の鉱山入植地へと赴いた。そのさらに深部でチェグリンが発見したのは、さらなる背教の証拠であった。
奇妙なことに、チェグリンの最後の通信は全てが順調であることを告げていた。何世代にも渡る模範的な歴史の中で鉱山入植地を束ねる「トリスト」一族に委任すべきである、と彼は結論付けていた。
この異端審問官は信頼と尊敬を集める〈純血の団〉の団員であったため、誰もそれ以上疑いを抱かなかった。チェグリンの随行員が何らかの不審点に気が付いたのはちょうど一年前のことであった。
すなわち、異端審問官はすでに失踪し、彼の最後の文章は通常彼が通信に用いる形式ではなかったという点に。異星人の存在の恐怖に対して、デスウォッチ戦団のスペースマリーン5人によるキルチームが極めて危険な調査の追跡任務に派遣されたが、しかも彼らもまたグレート・ピットの謎に呑み込まれた。
鋼鉄の意思を持つウルトラマリーンの教戒官(チャプレイン)「オルタン・カシウス」が彼自身の手で選抜したデスウォッチ・キルチームを召集した時のみ、〈帝国〉は「ゴーサー・クィントゥス」より帰還した。砲火と怒りによって彼はトリストの隠れた陰謀を守る隠匿と偏向の網を断ち切り、彼の信念は最良の武器である事を証明した。
教団の変異した労働者らは襲撃のために移動し、デスウォッチが危険を冒して更にピットの奥へと層を進むたびに、邪悪な真実が明らかになった。チェグリン自身は発見されなかったものの、彼の「サーボ・スカル」が保持していた多くの写真を、カシウスと彼のキルチームが少しづつ収集していた。
【邪悪なるトリスト一族】
トリスト一族に汚染された惑星の深部を調査する最中、キルチーム・カシウスは数百のジーンスティーラー・カルトの狂信者と戦いを繰り広げた。彼らは生還したにもかかわらず、スペースマリーンたちその身の毛もよだつ試練によって変化した。
そして〈帝国〉も一応曲がりなりにも変化した。オルタン・カシウスは断固とした信念であらゆる面でティラニッド種族の偏執的な敵となり、数多くの教団の感染を根絶するためにデスウォッチや〈純血の団〉との緊密な連携を行った。
何故ならばゴーサー・クィントゥスの発見の中で最も衝撃だったのは、教団の中枢に潜むジーンスティーラー・カルトのパトリアークではなく、トリスト一族が送り出した悪事の証拠のホログラフであったからだ。デスウォッチはその危険性に気付いていたにもかかわらず、〈大亀裂〉の拡大によって帝国全体への通信は不可能ではなくとも困難であることが証明された。
トリスト一族は非常に狡猾であり、ゴーサー・クィントゥスの感染に引き続き、一族は効率的に〈帝国〉それ自体に敵対した。産業部門を装い、異種族に汚染されたトリスト一族はその呪いをゴーサー星系のみならず、「キャラドン」星域(セクター)全体、更にはそれを超えて拡散させた。
効率的で一貫した教団の信徒による断固たる活動を、“四腕の皇帝”の戦争指導者は何にもまして彼ら自身の勢力拡張のための道具であるとみなした。
【トリスト一族の影響力】
秘密裏の拡大に変わりに奥に潜ませた一人の密航者やジーンスティーラーの幼体を用いることで、〈四本腕の皇帝陛下教団〉はその構成員が積極的に補充される、工業生産の増加に心血を注いだ。ゴーサー・クィントゥスの帝国税は要求された水準より常に少なくとも20%より多く納税されており、基層から採掘される「アダマンチウム」がセクター内の他のいかなる資源よりも豊富であった。
全てのインゴットは強い後退を放つまで洗練され、トリスト一族の有する膨大な労働者によって注意深く貯蔵され、忠実に分類されていた。加えて、トリスト一族労働者は薄い粥と栄養剤のみで従順に生活しており、不満の発生は全く記録されていなかった。
〈帝国〉にとって彼らは模範的な住人に見えた。この事が惑星の帝国税報告を通じて、そしてその後には「帝国技術局」書記官による調査を通じて明らかになった時、「帝国兵務局」(アデプトゥス・ミュニストルム)はトリスト一族の労働者を彼らの手の届く範囲にある全ての採掘惑星に移住させ、そこでコンサルタントや効率の悪い住人が目指すべき労働者の手本として活動させた。
異端審問官チェグリンの調査以前に16の世代が繁殖し、幾千もの子孫が〈帝国〉の記録から欠落させながら、善悪双方の手段を通じてトリスト一族は、〈四本腕の皇帝陛下教団〉を銀河の半分まで拡大させた。彼らは非常に有能なであり、鉱夫であり、採掘夫であり、地中の探索者であった。
すなわち彼らはいかに暗黒の中で繁殖するかの術を熟知しており、彼らの欺瞞に満ちた秘密をいくつもの信頼の層の奥深くに埋め込んだ。彼らの影響力は、局所的な感染ではなく銀河全体の感染であり、全ての教団にとってそれらは大局的な思考家、〈影〉の中の陰謀家、そして彼らの王が来訪する方法を地ならしするために熱心に働く大臣なのだ。
彼らを追跡し存在を抹消するためのデスウォッチの最善の努力にもかかわらず、その巣穴は数百の採掘惑星へとハニカム構造になって広がっていた。彼らはアンダーハイヴや〈帝国〉の大都市の下水地区で繁殖を行った。
彼らの労働者は狭いメンテナンス用のパイプの中でせむし状になり、うだるように暑い熱導管や蟲に汚染された下水の清掃作業を、不平不満を漏らすことなく行った。彼らの工作員が秘密の通路に沿って動きまわり、狭いパイプ通路を腹ばいになって這いずり回ることで、彼らの標的へとたどり着き、気が付かれるよりも前に殺害する。

画像出典:コデックス「ジーンスティーラー・カルト8版」(codex:Genestealer Cults)P20,P21 イラストより



  • 「ハイヴカルト」


「暴君に対して銃をとる者ら」



【シンボル】
ハイヴ教団の象徴はタリスマンとして身に着けている。しかしその鋭い刃が教団の犠牲者の喉を切り裂くのに使われる時、致命的なもう一つの役割を果たす。
刃物のついた竜の形の象徴は、彼らが「ニュー・ギドラム」の帝国防衛軍連隊の種の同胞であるか、あるいは感染したハイヴギャングの同胞であるかを問わず、このハイヴカルトの全ての構成員によって所持されている。この象徴そのものが典型的な「ナックルダスター」や投剣、あるいは短刀の形で武器化されている程に、このハイヴカルトは非常に軍事化されている。
それらは教団の道に立ちふさがる者を殺害する際にしばしば用いられ、メイガス、「ヴォッコー・マイ」によって最初に始められた“貴族殺し”を想起させる鮮やかな象徴となっている。
最初のハイヴカルトの旗はニュー・ギドラム第233連隊の軍旗を元に作られ、殺害された政治将校(コミッサー)から奪い取った戦利品のみならず、宗務局に属していた聖職者の頭蓋が装飾されている。
【教団の信条】
ハイヴカルトの兄弟姉妹たちは戦争の素人ではない。ギャング出身にせよ、あるいは〈帝国〉の軍事組織が変異したものにせよ、彼らは軍事組織として緊密に戦うのだ。
彼らは補助武装や転用された工業器具の扱いについて訓練を積んでおり、戦場においてはいかなる劣勢にあろうとも勝利を疑わず、奇妙なまでの規律と共に戦い続ける。


【概要】
ハイヴカルトは軍事的で、組織化された階層的な教団である。それらは寄生惑星の犯罪社会や「ハイヴ・ギャング」達のみならず、彼らを徴兵する「アストラ・ミリタルム」(帝国防衛軍)の連隊にも浸透している。
ハイヴカルトにとって、武装する事と危険を伴うことは神聖なる義務なのである。ハイヴカルトの指導者は、彼らの新入りの中でもその来歴を問わずに戦士を優先して扱う。彼らの持つ理論は徹底している。
すなわち、剣、銃、そしてなによりも強力な戦車を扱えるものを転向させなければならないというものである。蜂起に対する彼らの寄与は、「昇天の日」において無上なものとなるだろう。
もし教団全体が〈帝国〉やあるいは、闇市場などがもたらし得る最良の武器によって十分に武装化し装甲化したならば、暴力の壮大なうねりの中であらゆるものを圧倒するだろう。〈帝国〉当局から奪われた一つの武器は、蜂起の日に二つ分の価値を持つ。
【ハイヴカルトの創生】
ハイヴカルトの創生感染は、〈帝国〉の「過密惑星」(ハイヴワールド)の至る所で、燎原の火のごとく広がるジーンスティーラーの感染の最もたる例である。惑星「ニュー・ギドラム」の過密惑星では汚染された地表の上に13もの古い「多層都市」(ハイヴシティー)を有していた。
これらの巨大で人口に造られた建造物の山々は、それぞれ数百億の人々が暮らしており、ハイヴ教団によって一つを除き全てのハイヴが征服された。「ハイヴ・タラネクス」のみが抵抗し、他の居住地の犠牲は教訓となった。
タラネクスの下層では幾度も包囲されていた時でさえ、その未来は実に暗澹たるものに見られた。ニュー・ギドラムにおける教団の発生は一連の儀式殺人によって始まった。
好戦的なアンダーハイヴのファミリーがピュアストレイン・ジーンスティーラーの種の周りに現れた。これらの異種族の標本は元々、偉大なる学芸員「ディノシス」として知られる自称“異種族の第一人者”から購入された。
それらは後に、彼らの敵に対する秘密兵器を探し求めるチンピラによって都市に密輸された。“最初の父”と名付けられたジーンスティーラーの元へと即座に連れてこられたギャング達は争いに参加し続け、速やかに彼らの敵に勝利した。
侵入し、拉致し、脅迫し、そして敵から窃盗し、ひっそりと着実に成長するという伝統的な方法に代わり、この狂信者たちは直接その喉元にかみついた。狂信者は次々と敵対しているギャングを虐殺していき、“下水”として知られる領域の大部分を支配した。
その下層部分で地盤を固めており、更に強大なギャングらがそこで起こったことを目撃し、そしてついに一時休戦してハイヴカルトに対する防衛にあたっていたが、狭いパイプから這い出て有毒物の湖を泳ぎ予期せぬ方向から襲撃してくる“最初の父”と彼の鋭い目をしたジーンスティーラーに直面した時、ギャングらは圧倒されてしまった。
【忍び寄る暗殺者】
その間にも、ハイヴの貴族社会は教団の獰猛な野望によって感染させられていた。教団のメイガス、「ヴォッコー・マイ」はこの作戦の中核であった。
彼は支配的な一族を少しづつ、彼のサイキックの影響力と並外れた魅力でもって支配下に組み込んでいった。しかしながら彼の策略を免れた一人の人物、日ごろから異種族様式の兜を身に着けている「スローン」という名で呼ばれていたハイヴの富豪が現れた。
暗黒の時の中で、ヴォッコー・マイは彼のローブを脱ぎ去り、そしてスローンの入浴中に鋭い刃状の教団のタリスマンでこの要人の首を切り裂いて暗殺し、彼の犯行声明として現場に残した。これはそのような幾多の殺害の最初の一件であり、マイの道から障害を取り除く広範な戦略の一部であった。
その半数が目撃されたのにもかかわらず、マイは決して捕らえられることはなかった。
【白い徘徊者】
これらの殺害の第一幕によって、白い徘徊者の都市伝説がニュー・ギドラムの貴族社会の中で生まれた。サンクトゥスとして知られるネオファイトの暗殺者を生み落とすのに十分なまで教団が成長した時、ヴォッコー・マイは工作員をハイヴの尖塔へと移す。
非常に強情であるが、強力なサイキック能力を有するが故に彼の策略に陥らない人物の暗殺を命じた。白い徘徊者の伝説は拡大し、ハイヴシティーからハイヴシティーへと広まっていったが、しかし実のところは幾人かの工作員が共同で事にあたったためであった。
時間と共に「ジーン・セクト」が13の古いハイヴシティーの内、12のハイヴシティーで設立された。そしてこの教団の拡大はそこでとどまらなかった。
【帝国防衛軍に広まる教義】
ニュー・ギドラムの主な人的輸出、それは熟達した「ローチワーム」の養蚕家や「帝国防衛軍」への徴兵は「日輪の宙域」(セグメントゥム・ソーラー)の外の惑星からその中心地までハイヴカルトの感染を拡大させた。多くの帝国防衛軍の連隊がこれら惑星のギャングから徴兵することによって、ハイヴカルトはさらに拡大を続けることとなる。
秘匿されたギャングの印章や皮下に埋め込まれた電子タトゥーは、ニュー・ギドラムの一族に対する忠誠を尽くす彼らが秘密裏に仲間を識別する事を可能とし、そして戦闘の合間に代表される非活動中の多大な時間の中で彼らの教義を広めていった。帝国防衛軍の途方もない膨大さ、そして彼らが戦った壮絶で激化する戦争は、ハイヴカルトが彼らに侵入したほとんどの戦場において政治将校団からの監視の目を逃れるのに一役買った。
ハイヴ教団に対して秘密裏に忠誠を誓った者は注意深く、よく訓練された兵士となるが、たとえそれが奇妙な側面の上であったとしても、帝国防衛軍の指揮官にとって歩兵の出身となる文化に対してほとんど関心を持たないため、誰もその経歴を深く追及する者はいない。帝国防衛軍はその人数の中に非常に多くの人種、慣習、そして様々な種類の帝国教義が存在しているため、教団のネオファイトや種の同胞たちにとって彼らの組織の拡大計画を秘密裏に促進させるにはうってつけの場所である。
【ハイヴカルトの反乱】
ハイヴカルトが惑星上で反乱を開始した時、星系内にいる多くの帝国防衛軍の連隊は、皮膚の上に竜の形を有している数千人のハイヴカルト信徒による蜂起を鎮圧するために派遣される。教団の工作員は彼らの連隊の中から裏切り、惑星地下から湧き出る大群と協力して戦うために機甲部隊や超重戦車でさえも転向させ、秩序を回復させるように命令された帝国防衛軍はほんの僅かな血塗られた数日間に撃破される。
彼らと共に戦う帝国修道会やスペースマリーンの軍勢は長きに渡って計画されてきた突然の裏切りを目のあたりにし、予告なしに死を迎える。ハイヴカルトの領域奪取のためのゾッとする効果的な方法は非常に成果を上げている事を幾度となく証明してきた。
軍事的な精密さを以て、彼の信者を統率し割り当てる、天賦の才を誇る戦略家のネクソスによって統合された彼らは、“最初の父”の声に合わせ勇敢に進む無数の集団を有している。彼らは戦闘艦艇や空中の資源、そして彼らが暗躍する戦場に到達するための方法に対する比類なきアクセス権を有している。そしてそれ以上に、〈帝国〉の大都市下層における幾千もの感染したギャングの働きによって惑星は地下から上に向けて脆弱化させられており、彼らは同時に全ての社会階層に対して攻撃を行うことができる。
幾人かは太陽星系それ自体がハイヴカルトによる脅威にさらされていると囁き、日輪の宙域における彼らの存在の報告はこれ以上に頻繁なものになっている。


画像出典:コデックス「ジーンスティーラー・カルト8版」(codex:Genestealer Cults)P22 イラストより



  • 「刃ありし歯車」(ブレイデッド・コグ)


「人類、機械、そして異種族の栄光ある団結」



【シンボル】
機械の中の異種族、「フェインミンスター・ガンマ」の人々の力の象徴、そして「帝国技術局」(アデプトゥス・メカニクス)の圧制に立ち上がりし全ての狂信者の象徴。
〈刃ありし歯車〉の狂信者は火星、すなわち赤い惑星に属する「工業惑星」の緋色に関する装飾を身にまとっている。狂信者たちの最も重要な戦旗には、己のためにエネルギーを求めた彼の妄執がフェインミンスター・ガンマの最初の反乱を引き起こしたテックプリースト「ドミヌス」、「オヴィド・スレンシオム」の遺骸が吊るされた。
これらは他は今やスレンシオムの工業惑星の上で、「機械教団」(カルト・メカニカス)に対する勝利の象徴としてはためいている。
【教団の信条】
このジーンスティーラー教団は〈帝国〉の工業惑星群に勢力を広げており、その軍勢の中には数多くのサイボーグが存在する。彼らは人間と機械、そして異種族を組み合わせて最強の生命体を生み出すべく研究を続けており、その過程で生み出された教団の戦闘員は超自然的な耐久力を獲得しているのだ。


【概要】
〈刃ありし歯車〉の教団は、可能な限り自らの体に施された人体改造の金属部分を生身の人体のままにし、ティラニッドの超宇宙的な生体によって更に強化させるために生まれた。その構成員は元「機械教団」の信徒が多く、自らの体を機械化したものに加えて、ティラニッドの遺伝変異を融合させる。
この人類と異種族の獣と戦争機械の偉大なる融合物は寄生先の帝国技術局に対する深刻な脅威であった。惑星「フェインミンスター・ガンマ」はかつては貧困の惑星であり、その住人は「偉大なる機械の歯車」と呼ばれていた。
その抑圧されし群衆が星々の彼方より来る新たな支配者の抱擁を受けて以来、その信念はうち棄てられ、隠喩的な歯車は武器へと変化した。フェインミンスター・ガンマはもはや銀河に広がる〈帝国〉の不当に虐げられた奴隷ではなく、新たな命令を発する司令塔なのである。
それはすなわち、冷酷なジーンスティーラーの名の下に、殺戮と破壊にその身が捧げられたのだ。
【圧制時代】
M41(西暦40000年代)後半、偉大なる節制者として知られるテックプリースト・ドミヌス、オヴィド・スレンシオムのマクロクレードはフェインミンスター・ガンマの地表に大挙して降り立つ。星々を跨ぐ彼らの機会確保の征戦を進めるため、そして彼らに随行する「クエスター・メカニクス」の騎士に補給を行うため、彼らは大規模な補給を求めていた。
フェインミンスター・ガンマはしかしながら彼らの創造に反し、近傍の「ヴァカダン星系」で開いた〈歪みの嵐〉のために異例の低エネルギー収穫量を記録しており、フェインミンスター・ガンマの貧弱なエネルギー生産施設の大半が人口光を維持するための緊急事態プロトコルで稼動していた。住民は、もし接近する〈歪みの嵐〉による悪意に満ちた光が人口の灯によって覆われているならば、誰もその天の現象を見ることがなく、ゆえに数えきれない住人が狂気と絶望から逃げられるだろうと思っていた。
1日中絶え間なく都市の光を確保するために悪戦苦闘し、惑星の貧弱なエネルギー生産地区をオヴィド・スレンシオムが発見した時、さらなる深宇宙への前哨基地を確保するという彼の望みは頓挫してしまった。彼の「フルグライト・アドバイザー」と協議し、スレンシオムは代わりにこの惑星の住人から豊富な「生体電気」を収穫することを決めた。
技術的調査がそれに続き、表向きは生体強化を行った者とそうでない者を目録上同等の水準に保ち、代わりに数万人の住人が帝国技術局のホールをよろめき、ほとんど昏睡状態になりながら後にした。
【帝国技術局への反乱】
住人の不満は次第に増幅していき、それが劇的に噴出し流れ出すことは否定できないぐらいになった。工業機械や、闇市場で取引された即席の武器や粗雑な銃器を用い、フェインミンスター・ガンマの奴隷労働者たちは、彼らを骨の髄まで使い潰そうとしていた機械教団のエージェントに対して蜂起した。
彼らは完全に打倒され、「エクスターミネーション・サーヴィター」部隊やスキタリのマクロクレードがこの最悪の奴隷反乱を根絶するために派遣され、彼のさらなるエネルギーを求める貪欲さに関わらず、スレンシオムは彼ができる限り多くの人命を救った。そしてこれが理由になって灰塵の中から新たな反乱の火種がもたらされた。
しばしの間、帝国技術局はその支配体制を回復したが、しかしその結果として生まれた抑圧と妄執の空気は、地下宗教の拡大にとって良好な土壌となった。
【総主教の降臨】
貨物船「レッドスパーク号」によって偶然にもピュアストレイン・ジーンスティーラーがこの惑星の地表へともたらされた時、拡大する解放の教団は即座にそれに続いた。この異種族生命体は異なる文化、あるいは異なる種族が存在したことの証と見なされ、その不安は明らかに帝国技術局よりも残酷でも暴虐でもなかった。
レッドスパーク号の乗組員は、彼らの奇怪な積み荷への崇拝に救済を見出し得ると断固として主張した。当初は緩慢に、しかし加速的に「新たな解放」運動の噂が住人を通じて広まった。
もはや狂信者たちは彼らの支配者同様の血も涙もない倦むことを知らない機械の一部となることに甘んじなかった。代わりに彼らは刃たらんとした。
惑星のテックプリースト「オーバーシーア」が彼らの労働者に刻んだコードの焼き印や電子タトゥーは、多くの場合不正な印字機によって、新たに出現した教団の象徴と合致するよう変化した。「万機神」(オムニシア)の歯車は、教義に定められ信仰深き構成員によって、ノコギリ刃状の脊椎を身に纏え、というスローガンの入れ墨が普及し、「機械崇拝」の教義の一つは衝撃を受けこの上なく冒瀆に感じるであろうメッセージを各々が有していた。
毎時に、フェインミンスター・ガンマの「フォージ・テンプル」は新たな戦車の一群や「サーヴィター・パターン」の輸送機を生産していた。それらも教団によって奪取され、反乱の印章で塗り潰されてしまった。
一般の住人は、〈刃ありし歯車〉教団の呪文の影響下に置かれ、パトリアーク自身の精神的な猛攻撃のみならず、多くのスキタリが教団の抱擁に編成された。彼らの電子追跡印章と「ノウアスフィア」のオーラは、侵入が妨げられているはずの多くの領域に侵入する事を可能にし、教団が障害なく拡大することを許してしまう。
これらの元機械教団に仕えていたサイボーグの新入りによって彼ら自身のクレードの同胞たちへ徐々に汚染が広がり、住民の残酷な救済の種がまかれていった。
【圧制者の死】
全ての状態が確信を持って勝利を示した時のみ昇天の日が発生すると、教団のネクソスとして活動したかつてのスキタリ・アルファによる徹底的なシミュレーションによる結論づけられる。数学的な正確性をもって、スレンシオムの「電子ファージ耐性」は転覆し、自身はサンクトゥスの生体変化弾によって殺害された事によって、教団の宿敵は死の間際に、解き放たれた肉体のお卒べき栄光を知ることが出来た。
その日から〈刃ありし歯車〉の種の一族は次の一連の残虐なる主人へとなり替わった。しかし彼らは、古い支配者とは比べ物にならない程の悪辣な軍勢に最終的に復讐される事になるとは未だに学んではいなかった。
【肉体、機械、異種族の融合】
〈機械教団〉が肉体と機械の融合を模索する一方、〈刃ありし歯車〉教団はそこに異種族の要素を融合させることを模索した。サイボーグ化された肉体には〈刃ありし歯車〉の様々な集団においてありふれた要素であり、ティラニッドが持つキチン質と融合した人間の骨と同じぐらい、金属とワイヤーと水圧機も彼らの生体を捻じ曲げてしまった。
各々の教団の蜂起を行う尖兵を組織したこの機械生体は、万機神に対する大変衝動的な冒瀆であり、火星の信仰心篤い「テックアデプト」や戦争用の「技能奉仕者」(サーヴィター)の一人を彼らの通路に留めることが可能であった。異星人と聖なる機械の真なる融合は不可能な目標であるが、ティラニッドにとってはその隔てりを融合させることは造作もない。
今や宗教的情熱によって憑りつかれた新たな妄執によって彼らの熱狂的な計画を追い求める〈刃ありし歯車〉は止まることを知らない。彼らは自らの神、すなわち、異端審問局の〈純血の団〉やデスウォッチ戦団には見慣れたものであろう鉤爪の生えた主枝に沿って機械的なハサミを持つ、爪の生えた万機神をシンボルとして描く。
自らの武器と一つになるまでの間苦痛の手術に耐えることで、幾人かは彼らの武器と彼ら自身の体を繋ぎ合わせさえした。教団の名において彼らの一心不乱さが破壊へと向けられるまで、他の幾人かは愚鈍なメイガスの、あるいはパトリアーク自身の催眠的な視線によって新たな命令を与えられるサーヴィターとしての生活を開始するのであった。

画像出典:コデックス「ジーンスティーラー・カルト8版」(codex:Genestealer Cults)P24,P25 イラストより



  • 「錆びた鉤爪」(ラステッド・クロウ)


「全てが腐り落ちる時、教団のみが生き残る。」



【シンボル】
この教団のシンボルは、不心得者とそれが作りし物を等しく呑み込む、金属を宿主とする偉大なる竜によって工業の歯車が呑み込まれていることを示している。また、この教団の旗には惑星「ニュージアム」最大の金鉱山における監督者であり、殺害された鉱石管理者「ルビオ」の外套によって作られている。
旗に掛けられた各々の金のペンダントは教団を抑圧した上層階級の死体からはぎ取られた物である。
【教団の信条】
〈錆びた鉤爪〉は、あらゆる存在は時と共に滅ぶと信じており、この銀河の不公正なる法則を生き延びる事をその目的としている。彼らの肉体もまた、その哲学と同様に堅固だ。
彼らは物質的な富には注意を払っておらず、ぼろ布やすり切れた皮服に身を包んでいるが、しかしその肌や、その下のキチン質は重厚なる木材のように頑丈である。


【概要】
“錆びた鉤爪”の幾多の困難を乗り越えた無骨な生存者は、彼らが〈帝国〉のアンダーハイヴの狭苦しい領域にいた時よりも遥かに廃棄物についての知識が熟知している。彼らは開拓者であり、流浪の民であり、そして廃棄物の試掘者なのだ。
“錆びた鉤爪”教団は常に各地を転々と回っており、定住拠点を持たない。その信奉者は〈帝国〉社会の中心に潜むよりむしろ、その周縁で繁殖を行う。
何故ならば拡張と入植のために教団が必要とするものは、それが何処であっても新たな「ジーン・セクト」や感染を助け得る新鮮な寄生先の住人であると彼らは証明しているからである。“錆びた鉤爪”教団は、この上なく忍耐強い弾力的な領域を喜んで放浪を行う。
彼らの乱雑な外見にもかかわらず、“錆びた鉤爪”の狂信者は恐るべき敵なのである。すなわち、彼らは数週間も飲まず食わずで過ごし、不安定な太陽の下で倦むことなく働き、あるいは銃撃を受けても怯むことなく最期まで戦い続けるのである。
【教団の起源】
この教団は「極限の宙域」(ウルティマ・セグメントゥム)の東部辺境にある惑星「ニュージアム」の不毛な廃棄物にその起源をさかのぼる事ができる。この惑星の地殻の下で働く鉱夫たちは、惑星の地層に眠る数百トンもの貴金属を日々採掘していた。
鉱夫らの運命を握っていた、目の眩むような富豪である惑星の上流階級は、抑圧された労働者らが地層から掘り起こした貴金属のほんのわずかな欠片さえも、彼らが使用するのはもちろんのこと、保持することも禁じられていた。この禁令は、冷酷なる主の名の下で彼らのみを粉にして働く住人の間で大きな怒りを引き起こした。
彼らの採掘作業の過酷な労働は彼らの残飯のような食事と栄養ペースト、そして一日数時間の睡眠以外は何ももたらさなかった。彼らが多く掘り出した貴金属のいくらかは密かに持ち出されたが、ニュージアム採掘集団のサーヴィター監督者の目はそれを即座に発見した。
彼らは逮捕され、しかしながら自動むち打ち刑か絞首刑に処され、そして彼らの遺骸には効果的な警告として「泥棒」の刻印が押されたのである。ニュージアムの虐げられし下層員は新たな教義にとって最適な土壌である事を証明した。
小規模の作業班のツルハシが埋もれた宇宙船の残骸を掘り当てた時、それに続く調査はその中で休眠していたジーンスティーラーを覚醒させた。それが、この惑星を奈落へと滑り落ちた最初の出来事であった。
「自由開拓者」(ローグ・トレーダー)の仲間と協力しながら、ニュージアムの試掘団は彼らの労働者を惑星から開拓惑星へと展開させた。そして各々の開拓的拡張によって、この辺境における密教も共に拡散していったのだ。
ほとんどの教団は慎ましやかな創生が多かったが、“錆びた鉤爪”は永続的な価値を有する何かの受け入れを拒否することになるという主張に対して、物質的な財産に対する彼らの嫌悪を抱いていた。彼ら自身に対してすら。
彼らは全くの虚無主義者であり、宇宙空間でエントロピーが充満して侵食している物質を信仰した。不可視の存在によって包摂され、再編された肉体と魂のみを彼らは崇拝し、そして超越した何かになりえると信じていた。
彼らが二足歩行可能な骨と肉、ボロボロの布と錆びた金属の塊に過ぎないものになるその日まで、そして異なった考え方をする者が愚かにも不都合な現実を知る事になるだろう。
【教団の信条】
開拓の厳しい生活様式と密接に関係する時、この思考様式はみすぼらしく手入れされていない風貌の原因となる。すなわち、多くの時間を手入れや服飾、あるいは洗練に費やすことは卑しむべきであり、そしてそれは究極的に無価値な耽溺であるとみなされた。
物体は奉仕するためにのみ存在し、全ての物質的財産は、実用的かつ使い捨てるものであり、まさに肉体の如くすぐに朽ち果て、永遠の精神のみがあとに残されると考えられている。この広範囲に渡って移動するジーンスティーラー・カルトの宗派は、虚無主義の空虚さが全てを、金属さえも飲み込むものと信じてやまないのだ。
彼らは全てのコインの曇りと錆が全ての乗り物を侵食するのを、神聖なるエントロピーが聖なるパトリアークによって彼らの惑星に持ち込まれたとみなしており、その激しい拡大を歓迎する。彼らは〈帝国〉の全ての成果は錆びて朽ち果て、肉体と魂は侵食され、そしてそこに残された虚無のみが真の意味と普遍性を有するのだ、という事実を堅持している。
いつの日か、彼ら自身もまた虚無の一部となるという事を知っている。その間にも彼らが能う限りの方法で以て、彼らは全ての文明の崩壊を加速させようとする。
上級階級の圧制が完全に侵食され尽くした時のみ、彼らの教義を銀河の隅々にまで自由に広めることが可能になる。最終的にすべての物は、粗野で不毛な虚無の真実に屈することに他ならないのだ。
【教団の組織体制】
この教団は無益に名付けられたものではなく、その兵器や車両はしばしば荒廃と侵食の状態にある。教団の幾人かの構成員は、彼らの紫がかった指紋を残した全ての金属を錆びさせることさえできる。
“錆びた鉤爪”のメイガスが両手をかざすことによって〈帝国〉の車両を単なる腐食させた鉄塊に変えている映像が存在する。この現象を目撃した異端審問庁「純血の団」のエージェントは、この教団のほとんどの異星人入信者が、おそらくティラニッドそのものから感染したナノ生物の寄生体を宿していると確信している。
すなわち、金属を宿主とする貪欲で、この不可視の捕食者は隔壁すらもわずか数分の内に食い尽くし得る。無論、教団はこの現象を神聖なる減少として見なしているのだ。
この教団のジーン・セクトは通常、他の生物よりも広範囲による錆びた鉤爪が高い頻度で現れる専門的な生物的形状を有する「ケラーモーフ」を繁殖させようとした。このピストルを持った姿は彼らの同族の中での英雄となり、抑圧された群衆が彼らの後ろで団結するまでの間、秩序の支柱に対する大胆不敵な攻撃を導いた。
大半が放浪し続けるこの教団は、大部分が機甲化されたギャングである“開拓惑星の許されざる太陽”の下で放浪を続けている「アタラン・ライダーズ」の大部分を抱えている。表向きには彼らは教団構成員に対する防護として皮コートと幅広の帽子を身に着けるが、それらは主に彼らのハイブリッド化を好奇な人々の目から隠すために用いているのである。
これら下部組織のスパイや破壊工作員、そして放浪者は戦争指導者に彼らの発見を報告するため、通信網や衛星通信さえも利用する。それらは彼らのプリムスや同族たちに秘密作戦を可能にさせ、前線から指揮する事によりもむしろ緩慢に影響する成果となる。
メイガスはジーン・セクトの中枢に就き従僕をサイキックで指揮する一方、彼らは尚も教団の拡大を支え、そしてケラーモーフとは異なり、常に不可避の殉教を待ち望んでいる。彼らは容易に替えがきかないのである。
【黄金の爪】
商業庁から奪った金を溶かし、その中に浸すことによって鉤爪の一つを金ぴかにした最初の人物であるニュージアムの聖人は、黄金の爪として知られているケラーモーフであった。この象徴的な冒涜の行動は、たとえ鉱石管理者がそれらの金を細かくすり潰したとしても、機が熟し教団が望めばいかなるものも手に入れ得るし彼らを止めるものは何もなかったという力を想起させる象徴であった。
“錆びた鉤爪”教団は富や肉体と魂に対して、いずれ滅びゆく運命にある所持物と同様に刹那的な概念以上の価値を付ける事を避けたにもかかわらず、惑星の主らの弱弱しい手から奪い取った安物の宝石や見掛け倒しの物を感染させることで彼らにそれを思い出せることに無上の喜びを感じていた。
すなわちそれと全く同様に、彼らの種畜が彼らから奪い、一度のジーンスティーラーの口づけによってより高位の存在へと変化させるのだという事を。


画像出典:コデックス「ジーンスティーラー・カルト8版」(codex:Genestealer Cults)P26 イラストより



  • 「物乞い王子」(ポウパー・プリンス)


「真に偉大なる犠牲から永遠が出づる」



【シンボル】
“物乞い王子”は多くの手足を持つ竜の形を用いる。これは各々の狂信者が一つの偉大なる生命体の鉤爪、すなわち教団そのものの一部に過ぎないことを表している。
“物乞い王子”の旗は「聖テンダーク」のミイラ化した遺骸で飾られている。このメイガスは、パトリアークを守護するための彼らの無私の衝動を雄弁に語っている。
そして拡大するにつれて、教団員は彼の有り方を模倣した。戦いの前に教団員は日本の指から鉤爪をテンダークの遺骸の眼孔に差し入れた。メイガスの並外れた洞察力の一部を自らに与えるであろう事を信じて。
【教団の信条】
〈物乞い王子〉の教団員は熱烈極まりなく、指導者を守るためにピンの抜かれたフラググレネードの上に覆いかぶさることさえ辞さない。組織が脅かされると、彼らは昇天の妨げになるものを殺戮するために狂人の如く戦うのだ。


【概要】
“物乞い王子”は自己犠牲と謙遜の中にのみ偉大さを見出し得ると信じている。狂信を向けた熱狂の核心は、彼らが巨大な〈帝国〉の組織の下部に増殖可能な新たな秩序を確実なものとさせる事であった。
たとえ、全ての命がパトリアーク自身を守る事に費やされようと。“物乞い王子”はそれが霞に包まれた言葉や暗示的な概念の中においてのみ言及されるものであっても、彼方からくるティラニッドの熱心な崇拝者である。
彼らは、熱烈な献身によって崇拝者らを守る自らの予言者と生きた聖人も崇拝する。彼らはほとんど異星人であるかのように無私であり、自分よりもパトリアークに近い者のために喜んで撃たれるほど、彼らの教養に非常に忠実である。
彼らは決して躊躇することなく、戦争指導者を守るために自らの命を捧げる。この自己犠牲、最上の中世は強いられたものではなく、むしろ自主的に行われている。
すなわち、彼らの最高指導者の一人であるメイガスの殉教によって、教団構成員の数百年後を定義する教団の霊魂に対してさざ波のような声が送られてきたのである。
【教団の創生】
“物乞い王子”は元々、既にほぼ完全に教団の影響下に置かれながらもいまだに〈帝国〉の保有する惑星として記載される黄土色のスラム惑星「チャンサーズ・ヴェイル」で生まれた。住人の大半は海岸に散らばる荒れ果てたあばら家の町で生活しており、彼らの肌は荒れた海からの定期的な鉱物採掘によってひどく乾燥していた。
この惑星は毎年数百万トンの塩の塊を、「星域」(セクター)内の海を持たない惑星へと輸出している。肉の塩漬けや治療薬に至るまで、この塩は多くの目的のために使用される。チャンサーズ・ヴェイルで誕生した“物乞い王子”の信者は、しわの寄った、青ざめた肌を持った人々であった。
すなわち、聖なる地の祝福された末裔として自らを宿命づけた風貌の人々は、教団の名においてほかの惑星に移住していった。当初この教団には多くの人々が入信したのは、チャンサーズ・ヴェイルの貧困と惨めな貧民のように抑圧やジーンスティーラーの口づけによって強いられたわけではなく、この惑星から離れることを熱望していたからであった。
「センファー」の主要宇宙港にて成長していた帝国教団の分派へと言葉が広がった。しかしながらその設立の源はその時に大型艦「ジャスト・ストレングス」を隠れ処としていたピュアストレイン・ジーンスティーラーであったことは秘匿されていた。
希望と団結、そして新たな始まりを説く教団はジーンスティーラーの力から出で、この惑星の焼き付くような海岸に住む抑圧され絶望した人々を夢中にさせるものとなった。
【偉大なる殉職者】
この教団の最初の、そして最も偉大な才能に恵まれた扇動者であるメイガス、マロヴィッチ・テンダークは星々の中で新たな生活について確信を持って述べ、わずか数週間の間に数千人が彼の影響下に入った。この惑星の住人の一団が、星の救世主に対する彼らの献身の下に団結した。
全ての「皇帝陛下の日」にこのメイガスは拍手喝采で、栄光が迫っていることについてを説教した。テンダークは、亜人「ラットリング」の狙撃手が放った弾丸の前に飛び出て、星の救世主その人、すなわち教団のパトリアークを守って死んだ。
この亜人の暗殺者は一時間以内にばらばらに引き裂かれ、テンダークは聖人に叙せられた。そしてこの日から教団の信徒数は4倍に膨れ上がると同時に、ラットリングに対して激しき憎悪を抱きはじめ、この矮小なる帝国防衛軍の兵が存在するいかなる戦場においても、彼らを粉砕するために多大なる労力を惜しまなかった。
教団のパトリアークが危うく殺害されそうになった任務の報復であり、彼らを許すなど到底あり得なかった。
【自己犠牲精神】
もし仮にいずれかの教団が種のマインドへの盲目的な服従を具現化するならば、その教団は“物乞い王子”に違いない。この教団の狂信者は、彼らの主を守るためならば文字通りなんでも行う。ん? 今なんでもするって言ったよね?
異端審問庁の〈純血の団〉による調査記録によると、100もの極度な自己犠牲の発生報告が存在しており、そのいくつかは彼らが人類の集団というよりも、虫の巣の行動のように見えるほど衝撃的なものであった。プロメチウムの火の中を走り抜け襲来して敵に飛びかかる変異したハイブリッドの映像が存在しており、それは純粋に自らの命を挺し、かれらの戦争指導者が脱出するための数秒間の安全を得るものであった。
彼らの教団指導者の前で自らの体を用い、分厚い壁を作り、生きる防壁として呻き声一つ発さずに「カステラン・ウォークレード」の燐弾を受け止めた「ネオファイト・ハイブリッド」の報告が存在している。オルクたちが駆る「ボーンブレーカ・ワゴン」の巨大なトゲ付きラムにたいして密集突撃を行い、その動きを押し止め、彼らのパトリアークを守る“物乞い王子”のぼやけた映像さえもある。
すなわち、ひたすら建物の側面を速やかに上る捕食者の長のためだけに彼らはそれを行ったのだ。
【驚異の洞察力】
教団に危険が訪れた時、とりわけこの凶悪な組織の中枢が危険に脅かされた時に奇妙な洞察力を発揮し、この教団にたいして軍事的な断首戦術を成功させることはほぼ不可能である。教団の戦争指導者の命の数は結果として彼に魅せられた者の数になり、彼らの思い切った方法は驚くべき成功を証明してきた。
指導者が信仰深き信徒たちの間で語ったように、“物乞い王子”の一人になるという事は永遠に生きることなのである。常に同じ肉体でも、同じ生体構造でさえないかもしれないという事を誰もが認めず、それを彼らの生まれ持った権利としている。
“物乞い王子”は、彼らが並外れた外見によって祝福されている他者に語り、折に触れて第六感を持って産まれてきたと主張している。「ナクムンド・ガントレット」の北端に位置する、戦争によって引き裂かれた惑星「ヴィジルス」において“物乞い王子”は数世代にも渡って全ての社会階層へと侵入を続けてきた。
〈帝国法務院〉の一隊と異端審問庁の一団でさえ、通常の基準値を遥かに超えた行方不明事件の噂と報告の後にこの惑星の隅々まで徹底的に調査を行ったにもかかわらず、このジーンスティーラー・カルトは常に彼らの一歩先を行き続けた。あるいは少なくとも、住人に紛れて巧妙に自信をカモフラージュし、彼らの邪悪なる計画を深刻な妨害無しに継続させた。
教団の主として彼らの侵攻深き崇拝者に知られているその惑星のパトリアークは、追跡と調査を回避する事に非常に長けており、彼は霧の如く触れる事ができず、しかも思いのままに影から影へと移り変わると彼の狂信者によって主張されていた。
【異種族への反撃】
銀河を分断する〈大亀裂〉内から突然のオルクはじめとした「グリーンスキン」たちがの侵略が惑星ヴィジルスの反乱を転覆の脅威にさらした時、それが現実のものとなる前に、ジーンスティーラー・カルトの狂信者たちは彼らが長きに渡って弱体化した工作を続けてきた多くの要塞を守るために戦った。
もしグリーンスキンらの脅威が惑星地表を支配することが彼らが許してしまったなら、これまでで戦い、計画を練ってきた者は皆、ボロボロに引き裂かれることになるだろう。オルクはこの不毛の地を征服し、全ての文明化された領域に形成されたハイヴシティーが不規則に広がる周縁に侵入するために、〈久遠の暗黒〉の間にこの惑星の脆弱さを最大限に利用した。
破壊的で、しかし相対的には単純なものとして始まった侵攻は、すぐに全ての前線において複雑で多層的な戦争へと変わった。“物乞い王子”は「ダークデン・ハイヴプロール」や遺伝子を毒に犯された多くの空洞、すなわち乾燥惑星の水供給の大部分がそこから引き出された巨大な貯水槽の支配権を奪取した。
複雑に入り組んだ状況で、教団の教義は社会の最上層部にまで達し、「帝国宗務局」の聖人の避難場所や支配者たる「アクイレリアン・カウンシル」にまで感染が及んだ。戦団長「マルネウス・カルガー」率いる「ウルトラマリーン」戦団の介入がようやく、この惑星を大災害の淵から救った。
しかし、“物乞い王子”は既に拡散し、さらに遠く離れた所へと危険を冒す前にこの惑星の衛星を感染させていた。


画像出典:コデックス「ジーンスティーラー・カルト8版」(codex:Genestealer Cults)P28,P29 イラストより



  • 「捻じれし螺旋」(ツイステッド・ヘリックス)


「最も苦き薬を飲みし者」



【シンボル】
“捻じれし螺旋”の象徴は、〈帝国〉の施療院施設で用いられる典型的な密議的なシンボルを堕落させたものである。“捻じれし螺旋”の旗には、霊薬や超ステロイド剤、そして教団の異星人の試料の血管から採取された祝福された胆汁を含む小瓶が吊るされている。
【教団の信条】
〈捻じれし螺旋〉は狂気じみた錬金術や邪悪なる実験の技術に秀でている。正装に身を包んだバイオファーガスの創造者たちはありとあらゆる大きさと種類の怪物的な混成種を生み出しており、その血に流れる禁じられた生体化学混合薬のエネルギーは、これらの怪物に人間離れした力と素早さをもたらしている。


【概要】
“捻じれし螺旋”の狂信者はジーンスティーラーの呪いを与えられたのではなく、過酷な医療実験を通じてむしろ自発的に彼らの社会へともたらした。彼らは自らの集団の中に数えきれないほどの怪異生物を住まわせた。
“捻じれし螺旋”は最も邪悪な方法を通じていたる所へ拡大し、〈帝国〉の医療科学への限定された理解を利用する。教団の始まりの地は、帝国北部の「薄明の宙域」(セグメントゥム・オブスキュラス)に東部に位置する惑星「ヴェジョヴィウムIII」にある。
この惑星は技術的に文明化惑星であるが、大昔に医薬品を輸出するマクロ錬金術の精錬所に取って代わられた。これらのコンビナートが強力な影響を有するようになっていく。そして支配的な企業がそれらを支配し、惑星の地平線は膨大な薬品工業によって埋め尽くされた。
ハイヴシティー貴族の尖塔から見たこの光景は、神の如き賢者らの研究所のようにそびえたっているように見えた。すなわち、らせん状のガラスのパイプラインや煙突が膨大な蒸留器や冷却塔に沿って奇妙な色の煙を吐き出す建物の群が広がる光景である。
その環境は住民の生命と生体にさえ支配を及ぼす、神聖なる比較は喜ばしきものであった。
【教団の信条】
“捻じれし螺旋”の戦争指導者とバイオファーガスは、彼ら自身を新たに生まれた神の如き存在として考え、彼らの周囲で肉と血を捏ねあげ、そして人類と異星人と虚無の混合を創造した。彼らはそれを実験体として見なしておらず、全ての小競り合いや施設の乗っ取り、そして大規模な蜂起でさえも彼らの実験に対してさらに確固たる結論をそこから引き出すための単なる次の実験台と見なしていた。
完璧な生命体を求める彼らの探求の中で彼らは狂った天才の創造物を造り出し、しかし日々それらを超えるものを求めた。それは表面的な知的好奇心の裏に隠れた、この教団の医療工場を支配する力に狂った偏執狂を満足させるであろう銀河の支配に他ならなかった。
【ジーンスティーラーの到来】
ヴェジョヴィウムの支配者は大昔に、精神を曇らせるこの秘密を暴いた。多大な犠牲を払った第38千年紀(西暦37000年代)の「ドクセンクラフター」の反乱の後にヴェジョヴィウムの惑星総督は、食糧ペーストや庶民の死体デンプンと混合可能な抑制化学を依頼した。
この強力な化学の拡大は、住民が従順に、そして最も強い刺激以外には無関心な牛のように変えたように見えた。この恐怖を見た訪問者は、教団の支配者に対するいくつもの法律上のあらゆる手段を試みたにもかかわらず、彼らはこの惑星の工業的繁栄の利益を支配する人々によって常に批判され、誘拐され、口封じをされた。
ヴェジョヴィウムが非常に多くの医薬品やアポシカリウムの物資、そして常に多くの治療薬を「パール・セクター」全域の帝国軍事組織に供給していたため、調査は決して、この惑星の繁栄の中枢で広がる陰謀を暴き得る深部に達することはなかった。皮肉にも、ヴェジョヴィウムの人々に一時的な救済を示したのは精神的無気力であった。
ピュアストレイン・ジーンスティーラーの一群が産まれ、更に過酷な実験の材料としてそれらを用いることが意図され、裏市場を通じてこの惑星に到着し、その最初の積み荷がティラニッドの尖兵の生命体に直接対面した時、この汚染者たる存在にとってそれは、一筋縄ではなかった。彼はジーンスティーラーのオーラの奇妙な催眠に抵抗を示した。
そして本能的にこの獣と同族がいる所のエアロックを閉め、この生物の産卵管が強化ガラスをぶち破り飛び出すまさにその瞬間に強化ドアを固く閉じた。
【呪われし実験】
この事件は言うまでもなく当直の監視者に報告され、そこからハイヴシティー尖塔の支配者へとメッセージが届いた。彼らの志願者の命が突然の犠牲になった事に憂慮した工業教団の指導者たちは、囚われたジーンスティーラーを殺害した。
すなわち放射線浴と毒ガス、音波攪乱機、更には酸の霧によるエアロックへの攻撃の後、彼らは遂にピュアストレイン・ジーンスティーラーでさえ耐えることのできない銃弾の雨を用いた。彼乱はその後に、まさに彼らを感染させようとしていた異種族生命体を解剖した。
一連の数百もの徹底的な実験を終え、医療監督者はジーンスティーラーの口づけに祝福された細胞の暗号化によって、ピュアストレイン・ジーンスティーラーの遺伝子を抽出する方法を習得した。最高の標本(プライム・ペシメン)としてのみ知られる〈影〉の個体の命令で、この発見の暗示が徹底的に研究された。
最終的に、彼らは新たな進化の出発点に居るのだと結論付けられた。すなわち、この異種族の遺伝子パターンは真なる完成への、そしておそらく不死への道筋であった。
厳格な検査状態の下で、ヴェジョヴィウムの貴族は自らの血管に異星人の成分を注入し、ネオファイト・ハイブリッドに酷似した何かへの変化が始まった。
実際には、彼らは当初彼らを感染させようとしていたジーンスティーラーの呪いを回避したにもかかわらず、代わりにヴェジョヴィウムの支配者たちは、種のサイクルの最後に自らを怪物へと変形させ始めた。案の定、多くのおぞましい災害と失敗した実験を経て、彼らは逸脱した計画によって新たなジーンスティーラーの一群を生み出した。
たとえそれが感染した寄生先での潜伏生体というよりはむしろ、隠匿された薬品工業の無精チューブの中で種に命が与えられたとしても。それらは次に、新たなる発生源を感染させ、ヴェジョヴィウムは次第に他の教団のような組織を模倣し始めた。
【教団の拡大】
そうして、ジーンスティーラーの呪いは新たな、そして不穏な媒介体を通じてヴェジョヴィウムの惑星全体を包み込んだ。それらの発見に取り憑かれた最高の標本(プライム・スペシメン)と彼の同僚は、自身の研究を幾度なく拡大させ、彼らの神性という妄想を補強する新たな生態の研究という最も奇妙な領域へ危険を冒して足を踏み入れた。
彼らはあらゆる場所で人々に、自らの混合物を播種することが彼らの不滅の忠誠や、更には崇拝さえも確実なものとするという事を確信し始めた。これに続く実験は、ヴェジョヴィウムの医薬品輸出の大部分を為す、治療薬注射瓶にこの遺伝子を組み込むための方法を導き出し、そしてその小瓶から、無数の無垢な人々の血管に注入された。
これにより、全ての受容者は容易に感染する不可避の種の呪いが与えられた。すなわち、栄養補助錠剤の形で多くの人々へ強制的に与えられ、後に教団の「独立感染媒介」の一つの深夜訪問を通じて感染が補強された。
長年にわたるこれらの生物錬金術的な実験の欠陥は、“捻じれし螺旋”の実験施設から非常に多くの怪物が飛び出す結果となっていた。「アベレーション」、多肢症のハイブリッド、せむしの獣、そして融合した怪異は、教団がその衝撃的な秘密を保っていた監房ではありふれたものであった。
反乱の際、最高の標本が繊細さよりもむしろ暴力を通じてのみ彼の狙いを達成できた時、これらの無数の怪物的なハイブリッドは解放されたのだ。ステロイド性血清と鎮痛薬の全てが注入されたそれらは最も優れた突撃隊となり、戦いへと扇動したバイオファーガスは実弾、あるいは身の毛もよだつ死の中で彼らの性能から多くを学び、醜く苦しい代謝は最終的に彼らに多く積み重ねられた実験的な適合に屈した。
恐怖と暴力によって征服されたすべての星系ごとに、教団は医療輸出品の入念な配布とそれに続く大量投入を通じて信徒たちを迎え入れた。惑星間規模で専門的に洗練され、工業化されたこの過程は、“捻じれし螺旋”がその呪いをヴェジョヴィウム星系やそれを超えて拡大させるのを確かにした。


画像出典:コデックス「ジーンスティーラー・カルト8版」(codex:Genestealer Cults)P30 イラストより



  • 「内なる竜」(インナーウィルム)


【シンボル】
“内なる竜”教団の活動で用いられる凶悪な丸ノコは、教団の旗や象徴の基礎を成している。
【概要】
“内なる竜”の教団は食肉処理惑星「フライシュゲート」を感染させた。「グロックス」や「グロントック」、そして「ボヴィアン」を「マウドリン星系」に供給する基幹惑星であったフライシュゲートは、長きに渡りジーンスティーラー・カルトによって支配されている。
この教団の始祖生命体はフライシュゲート内部に、未熟な虚無鯨を解体して取り出した腸を持ち込んだ。人類が気にも掛けない家畜の群れの中で彼らの秘密教団が強大に育つために狂信者らは、家畜の腸内で発見される腕の長さの腸内寄生物から啓示を得る。
彼らが日々の食肉処理で用いる解体機に由来する、ノコギリ刃の脊椎の形をした竜の模様の使用は、フライシュゲートにとどまるものではない。この模様は多くの産業的農業惑星でも現れている。


画像出典:コデックス「ジーンスティーラー・カルト8版」(codex:Genestealer Cults)P32 イラストより



  • 「ベヒモイド地下教団」


【シンボル】
この地下教団の一つ目の竜の模様は、彼らが打倒を試みる文明化された〈帝国〉の名誉を呑み込む。
【概要】
ウルトラマール星域の周縁において“ベヒモイド地下教団”は活躍している。この秘密組織は、「オルタン・カシウス」によって訓練されたティラニッド戦争の古参兵からの攻撃を受け続けているのにもかかわらず、複数の感染惑星を有するほどに狡猾である。
この教団の創設者らは、戦いで傷つき氷の中に囚われたティラニッドの怪物を崇拝していたという噂が存在しており、そして彼らは未だに新たな教団の聖人としての彼らのパトリアークと並びその巨獣を崇めている。それを取り巻く宇宙旅行者に「オールド・ワン・アイズ」として知られているこの生物は、狂信者達が儀式的に自ら傷つけるタトゥーに描き、あるいは自らの右目を摘出させする程に象徴的な重要性を教団に与えている。
この生物に対する敬意の中で、彼らがベヒモスと呼ぶ異種族の神の予言者として信者達は認識している。


画像出典:コデックス「ジーンスティーラー・カルト8版」(codex:Genestealer Cults)P32 イラストより



  • 「星の同志」(スター・キンダード)


【シンボル】
“星の同志”によっての神聖なる太陽は、全ての狂信者の肉体に飾られる人類のいけにえを与えている。
【概要】
長きに渡って見捨てられた「グレイブディッド・リーチ」で発生したこの教団は、〈人類の皇帝〉に対する崇拝を点に輝く神聖な太陽の形を取って主張した。実際には、彼らは太陽と星々の彼方に存在するものの、すなわち永遠の闇の暗い帳に現れる不可知の存在を崇拝した。
ある時、“星の同志”は虚無の暗黒の栄光は遂にグレイブディッド・リーチの太陽の輝きを呑み込み、そして真実のみが生き残るであろうと説いた。彼らのメイガスたちは、反逆の日に太陽を呑み込む大いなる蝕を予言の中で見た、と主張した。
彼らが聖句の中で表した、他の一つの天体ではなく無数の生体艦船が日食を引き起こす場面が描写したものを、彼らは理解しなかったにもかかわらず。


画像出典:コデックス「ジーンスティーラー・カルト8版」(codex:Genestealer Cults)P32 イラストより



  • 「ヨルムンガンドの子ら」(サン・オヴ・ヨルムンガンド)


【シンボル】
自らを呑み込む竜は“ヨルムンガンド”の子らの象徴である。自らを食い尽くす事によってのみ、再誕する。
【概要】
彼らが自らをそう呼ぶところの、“子ら”は暗黒星雲にまたがって散在する多くの感染した宇宙ステーションで教団が創生された。途方もなく巨大な蛇のように渦巻きながら「サラッシー・セクター」を通る、復活した生体艦隊を崇拝する。
外部から隠された軌道ステーションを彼らの拡大を覆い隠すために利用しながら、“ヨルムンガンドの子ら”は焦点の日が来る時を備え、それによってこのセクター全体を破滅させる。“ヨルムンガンドの子ら”によって用いられる感染媒介体は、教団が崇拝する彼方より来る巣窟艦隊によって啓示を受ける。
ティラニッドの生体艦が卵の如き胞子で小惑星に向けてそれらが襲撃する所へと、“ヨルムンガンドの子ら”は千人単位で巨大な輸送船や貨物船に乗り密航する。


画像出典:コデックス「ジーンスティーラー・カルト8版」(codex:Genestealer Cults)P33 イラストより



  • 「祝福されれし竜種」(ブレスド・ワームリング)


【シンボル】
“祝福されし竜種”の印章は、彼らが手本とする地を這う虫に似せて分割されている。
【概要】
“祝福されし竜種”の狂信者は墓所惑星「マスチ・バール」のローム層に潜む甲虫と、うねる環形動物のみを食す。陰鬱な雰囲気と性質を有する厳粛な教団は、かつて地中を潜った全ての生物の力を受け継ぐ、死体を食す不潔な虫を信仰している。
最も卑しい生物の在り方を抱く事によって、自らを星の皇帝により近づける謙虚さを見出すだろう、と彼らは説く。実際、彼らは人類の主こと皇帝に対してではなく、偉大なる暴食者の化身に関心を向けている。
すなわち、いつの日か彼ら全てを喰らい尽くすティラニッド種族に対して。


画像出典:コデックス「ジーンスティーラー・カルト8版」(codex:Genestealer Cults)P33 イラストより



  • 「ハイドラ教団」(カルト・ハイドリック)


【シンボル】
“ハイドラ教団”の多頭竜の模様は、より大きな肉体を構成する数多の細胞を表している。
【概要】
“ハイドラ教団”の感染を攻撃することは、遥かに強大な生物の一本の触手を攻撃するようなものである。数百年にも渡り、この組織は「ヴィジランス・クアドレクス」の造船所からピュアストレイン・ジーンスティーラーの種を送り続けてきた。
その多くが後に破壊されたにもかかわらず、さらに多くは“ハイドラ教団”を新たに創設し、「凪の宙域」(セグメントゥム・パシフィカス)の各所にある12の惑星に彼らの旗がはためいていた。そのような接点の一つを攻撃することは、時間をかけた、しかし確かな報復を招く事になる。
教団の戦争指導者によって敵対行動の報がサイキックを通じて送信されることで、教団の数多くの組織が攻撃者に群がってくるのは時間の問題となる。そして敵を完全に撲滅するか邪悪なカリスマを用いて彼らを教団の理念へと転向させるのである。


画像出典:コデックス「ジーンスティーラー・カルト8版」(codex:Genestealer Cults)P33 イラストより



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ジーンスティーラー・カルトの兵種、兵器

ジーンスティーラー教団には様々な兵種が存在し、その一つ一つが恐るべき力を有している。肉体を強化した怪物の如き教団員や、サイキック能力を持つ者まで様々だ。
さらにそれらを支える各種兵器も〈帝国〉のありとあらゆる場所から入手、製造し、教団の戦力として転用されているのである。


狂信者の戦力や兵器についてはこちらを参照されたし。


目次に戻る


「謙虚なる魂は星々へと統合されるであろう。彼の者は個人の力を拒絶し、数多の中の一つになる事によってのみ栄光を見出すのだ。個人の利益を求める戦争の中で、愚者や野蛮人にもがき苦しませよ。必ずや我々は、再誕する不死鳥の群れとして戦火を超えて昇華するであろう!天の使い達は銀河の真の支配者の肖像を再び表された!数多の神々よ。我々の及ばざるものなど、この世界に存在しようもない!」

教団司祭 ダーレガウ・スレンダクト


追記・修正はジーンスティーラー教団に入ってからお願いいたします。


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  • 髪の毛はやはり皇帝陛下からいただいた恩寵である -- 名無しさん (2021-06-11 23:28:27)
  • スペマカルトはいないんだ -- 名無しさん (2021-06-11 23:44:08)
  • 頼むからオルクを主食にしてくれ。あいつら無限に増えるから喰い放題だろ。 -- 名無しさん (2021-06-12 08:51:45)
  • ↑ 生まれてすぐ武器発明して、抵抗してくる主食なんていやだろう -- 名無しさん (2021-06-12 10:21:00)
  • 実は「恐怖の真の意味を知った」として偉大なる尊父に改宗した教団もある -- 名無しさん (2021-06-12 12:15:10)
  • ↑×4 スペマは、厳正な入団審査して改造するし、その後も常時、チェックされる、子供も産まない、と人間のライフサイクルから外れてるから、汚染は不可能でしょうね  -- 名無しさん (2021-06-12 14:24:40)
  • ティラニッドは戦闘に見合うカロリーが得られないと判断した場合、戦闘そのものを回避する傾向がある。だからオルクはティラニッドからすると割に合わない相手。喰った分以上に戦闘しなきゃならないから。 -- 名無しさん (2021-06-12 17:41:37)
  • あとある程度以上の規模の集団で立っていないのはタウとオルクぐらいか…編集者さんありがとう -- 名無しさん (2021-06-12 20:42:51)
  • ↑×2 なお、とある異端審問官がいらんことしたせいでオルクとティラニッドが激突、オルクを餌に増えまくったティラニッドとティラニッドを殴りまくってオルクがデカくなる無限ループを繰り返す宇宙の蠱毒の如き戦いが勃発した模様(オクタリウス戦争) -- 名無しさん (2021-06-12 21:46:43)
  • ↑ でもとりあえずは帝国へのティラニド進行は(少しは)止まったから・・・ -- 名無しさん (2021-06-12 22:10:01)
  • ↑結果として両勢力を拡大させてしまったなら充分大逆だと思うが。 -- 名無しさん (2021-06-12 22:23:08)
  • ついでにその異端審問官はティラニッドの進軍経路の星々を先んじて究極浄化して生物資源取らせない手も取ったけど、それで帝国臣民数十億人死なせて処刑宣告が下ってるらしい。 -- 名無しさん (2021-06-12 22:51:45)
  • まあ、真の異端審問官は処刑宣告とか異端認定食らってからが本番だから… -- 名無しさん (2021-06-13 01:52:23)
  • 設定を見る限りティラニッドの添え物みたいな感じなのにこれだけ設定があるってもしかしてティラニッドの登場って(作中内ではなく現実の方で)ジーンスティーラーカルトの登場より遅かった? -- 名無しさん (2021-06-13 11:38:59)
  • ↑ ×6ティラニッドがオルク喰って増えるのは分かるんだが、オルクが勢力増大させるのは謎すぎる。まあ何となく理由は分かるんだが。 -- 名無しさん (2021-08-21 18:18:14)
  • 新商品shadow throneで、ついに地球進出 -- 名無しさん (2021-11-03 18:24:16)
  • どこもかしこもどん詰まりと言うか暗い40k世界でも一番キツイと言うか最初から詰んでる勢力に思える 年単位で浸透して任務完了した後与えられる役目は餌って… -- 名無しさん (2021-11-10 07:51:16)
  • そんな哀れな餌だろうと受け入れてくれる、偉大なる尊父ナーグルの慈愛の深さよ……(ジーンスティーラーカルトの一つ「テネブラス教団」はナーグル神に改宗してる) -- 名無しさん (2022-01-09 13:22:58)
  • ↑2他勢力にありがちな「上手くいく気がしない」じゃなくて「上手くいく気がしない上に仮に上手く行ったら死ぬ。」だもんなあ -- 名無しさん (2022-01-24 13:23:44)
  • ところが最新コデックスによると餌食にされずに集合艦隊と行動を共にしている集団の存在が発覚した模様。 -- 名無しさん (2022-03-12 20:26:52)
  • ジーンスティーラーが汚染してる星にオルクが襲撃してきたらカオスになりそう -- 名無しさん (2022-12-27 17:32:24)
  • 他にもジーンスティーラーカルトになってからもう一度帝国に忠誠を誓ってパトリアークを怒らせているジーンスティーラーカルトとかもいるらしいしもうめちゃくちゃである -- 名無しさん (2023-01-20 23:11:04)
  • ↑そんな連中マジでいるのか?帝国も絶対信用していないだろそいつら -- 名無しさん (2024-05-18 01:15:20)

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