登録日:2020/11/03 (火曜日) 17:45:00
更新日:2024/05/23 Thu 11:04:16NEW!
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ボードゲーム ロブ・ダヴィオー マット・リーコック パンデミック パンデミック:レガシー レガシーシステム 冷戦 スパイ
あなたのために用意されたルールと規則に従えば、任務が順調に進むことをお約束します。
誰も信じるな! 自分自身で選択しろ。さもなくば後悔することになるだろう。
概要
パンデミック:レガシー シーズン0は2020年に発売された協力型ゲーム。日本語訳はホビージャパンから発売されている。
デザイナーはマット・リーコックとロブ・ダヴィオー。
「レガシー型」のブームを巻き起こした「パンデミック:レガシー シーズン1」の前日譚となる。
どんなゲームか
レガシー型、あるいはレガシーシステムの概要はパンデミック:レガシー シーズン1を見ていただくとして、以下はシーズン0の要素に絞って話を進める。
1962年、冷戦真っただ中の時代。
CIAはソ連が「MEDUSA計画」なる細菌兵器を用いたプロジェクトを進めていることを突き止めた。
このソ連の計画を阻止するために選ばれた4人のエージェント、それがプレイヤーたちである。
1~7の数字もしくはsmallなどで指定してください。
ここから先は「パンデミック:レガシー シーズン0」に関する、プロローグまでで分かる範囲でのネタバレが含まれている。
ネタバレに同意した上で、レガシーカードをめくって裏面を読み上げること。
レガシーカードをめくる
パンデミックはシリーズものとして疫病以外をテーマとしたものも同様のシステムで作成されているものがあるのだが(クトゥルフとライジングタイド(洪水))、今回のシーズン0では「スパイ作戦」がテーマとなっている。
例によって通常のパンデミックとはルールが異なる点が多々あるため、今回もシーズン2に続き変化がおきない「プロローグ」でゲームのルールを覚えることができる。
コンポーネント
- ゲームボード
1962年当時の世界地図。通常のパンデミックとは経路やピックアップされる都市が異なっている。東ベルリンや平壌があるのが作品のイメージを強く物語っているかも知れない。
各都市には所属エリア(ベースの色)、属する陣営(連合/中立/ソ連)、監視の度合いが示されている。
- 工作員コマ(36個)
- 事件トークン(7個)
- 脅威度マーカー
- 隠れ家コマ(8個)
- チームコマ(3種類各3個)
テーマがスパイ、と述べたように、今回の敵は病気ではなくソ連のスパイである。
なので、諸々のコマもその方向に置き換わっている。24個ずつ4色あった疫病コマが工作員コマ一種類になって数が大幅減となっているのも特徴の一つだろうか。
新ファクターとなる「チームコマ」については後程。
- 脅威カード(48枚)
- プレイヤーカード(58枚)
- 都市カード(48枚)
- イベントカード(5枚)
- 深刻化カード(5枚)
都市の数自体は従来のパンデミックと異なるところはないため、その辺りは各都市1枚と通常と同じ配分になっている。
ただし、感染カードが脅威カードに、エピデミックカードが深刻化カードになっているのと、脅威カードに「事件」という欄があることが異なっている。
- プレイヤーコマ(4個)
- アクションシート(4枚)
シーズン1と同じくプレイヤー分のポーンが用意され、手持ちのアクションシートの色でどのプレイヤーの駒かは判別するようになっている。
アクションシートはプレイヤーのとれる行動のサマリーが書かれているよくあるもの。
- トラッキングトークン
- 目的達成/失敗トークン
トラッキングトークンはゲーム中の目的達成のための目標を探す補助として使うマーカー。
また、目的達成/失敗トークンは当該目標を達成したのか失敗したのかを示すマーカーである。
使い方は後述。
- パスポート(4冊)
- 当座の偽造身分カード(4枚)
パスポートはいわゆるキャラクターシートを3枚内蔵している。今回は各プレイヤーごとに持ちキャラがある程度固定される仕様。
プロローグではパスポートは使わずに、当座の偽造身分カードを使う。前作までの「キャラが死亡した時の代理カード」でもあるのだが、今回の当座の偽造身分は普通にパンデミックの役割クラスの能力は持っているため、中々強力。
- マニュアル
毎度おなじみ歯抜けのマニュアル。変更点も多いため、予めよく読もう。
- シールシート(3枚)
各種変化を記録するためのシール群。今回うち一枚はプレイヤーの容姿用のもの。ある意味レガシーにとって重要なもの。
- レガシーデッキ
当然今回も登場のシナリオブック。今回は「STOP」のほかに「PAUSE」と裏に書かれたカードもあり、それぞれどのタイミングでめくるか異なることを明示している。
- 作戦カード
「指示された時に指定の番号のカードを見るように」とだけ示されたカード。内容は不明。
- 機密書類(3枚)
基本レガシーデッキの指示によって開けられる。
- 安全庫(8個)
ゲームボードをどけた下にある、①~⑧までの番号が振られた小箱。
これまたゲームの進行に応じて指示された時に開けることになる。
- 報告書
パラグラフが記述されたブックレット。ゲーム進行中に番号が指定された場合、指定のパラグラフの文章を読む。これによって出来事の結果が分かる仕組み。
最終ページはカレンダー(プレイ記録)になっている。
- 諜報ファイル/職員ファイル
小さなケース。ゲーム中指定されたカードをこのファイルに格納することになる。
セットアップからゲーム開始まで
パンデミック:レガシーは12回から24回のプレイで完結する。
最初のプレイは「1月上旬」「資金調達レベル:4」で始めることになる。
その回のゲームで成功できた場合もしくは「充分」であった場合、次の月に移る。失敗した場合は下旬に移り、下旬の場合は勝敗に関わらず次の月に移ることになる。
まずレガシーデッキの指示に従ってカードをひき、そこに書かれた指示に従う。
月初めの場合、ここで目的カードが出るためそれを準備する。
そして、ボード上に配置する必要のあるコマを予め配置する。
次に、よくシャッフルした脅威カードの山から3枚ずつひき、順に工作員コマを3個、2個、1個ずつ置く。(最終的に合計18個の工作員コマが置かれる)
都市カードと資金調達レベルと等しい枚数の任意のイベントカードと一緒にシャッフルし、プレイヤーごとに決められた初期枚数を配る。そして、ワシントンに全てのプレイヤーコマを置く。
残ったプレイヤーカードを5つの山に分け、各山に深刻化カードを1枚混ぜてシャッフルし、積み重ねてプレイヤーカードの山札とする。
その後、プレイヤーは好きなパスポートもしくは当座の偽造身分カードを受け取り、パスポートの場合どの偽造身分を使用するかを決める。
ランダムにスタートプレイヤーを決めたら、ゲーム開始である。
プレイヤーの手順
- 監視の確認
プレイヤーが手番を開始する時にその都市に監視シンボルがあり、かつ隠れ家がない場合、監視シンボル1つごとにキャラクターシートの「カバー」欄を左から1つ削る(スクラッチになっている)。
何もでなければいいのだが、カードマークが出れば手持ちのカードを1枚捨てる。また手錠マークが出れば一つ重荷(ペナルティ能力)を得なければならない。また、焼失マークが出た場合はそこでその偽造身分はスパイだということが完全にばれたことになる。以降その身分は使えない。プレイヤーはそのゲーム中は「当座の偽造身分」を使ってプレイを続けることになる。
なお、当座の偽造身分を使っている状態で監視に引っかかった場合、通常ならカバーが剥がれる数だけ手札を捨てる。
- アクションの実行
4アクションを実行できることはパンデミックの伝統。ただし、アクション内容が大分違う。
- 自動車または船舶による移動
従来通り。線でつないだマスを1つ移動できる。
- 民間飛行便による移動
目的地の都市カードを持っている場合、その都市に1アクションで移動できる直行便に相当するアクション。ただし、行きたい都市によってカードの扱いが変わる。
- 連合:カードを公開するだけでよく、捨て札にする必要はない。
- 中立:カードを捨てることによって移動できる。
- ソ連:民間飛行便による移動は「使えない」
- 記録外飛行による移動
自分がいる都市カードを捨て札にすることで、好きな都市へ移動できる。本家のチャーター便と同じであり、またソ連都市への移動も制約がない。
- 工作員の無力化
自分がいる都市から工作員コマを1つ取り除く。要するに治療。
- 知識の共有
プレイヤー同士が同じ都市にいる場合、その都市のカードを受け渡しできる。
- 隠れ家の建設
その都市の都市カードを捨て札にすることで、隠れ家を建設できる。本家の研究施設に当たるが、得られる恩恵はちょっと違う。
- チームの設立
隠れ家のある都市でその都市と同じ勢力の都市カードを5枚捨て札にすることによってその勢力のチームコマをこのアクションを行った都市に配置する。
いわゆる「治療薬の開発」に当たるアクションだが、実際このアクション、というかこのアクションで作成できるチームが成功に必須となってくる。
チームコマはプレイヤーコマと独立して動かせるが、能力が有効になるのはチームコマの勢力と同じ勢力の都市にいる時だけである。(他勢力の都市に入ること自体にペナルティはない)
チームコマはその能力が有効である場合、その都市で「確保」と「掃討」を行える。
確保は目的達成に必須であり、掃討も強力な能力なので、チームをいかに早く作るかがポイントとなる。
- 自動車または船によるチームの移動
チームを1つ、隣接都市に移動させる。チームはどこにいても構わない。
- 対象都市の指定
目的カードに未知の対象都市がある場合、未知の対象都市と同じ地域にある隠れ家で、その地域のカード3枚を捨て札にすることによって未知の対象都市1枚を公開することができる。
意味が分からんって? 後で説明する。
- 確保
目的カードに指定された対象を確保し、目的を達成する。
このためには、目的カードで指定された都市に、有効であるチームがいなければならない。
例えばプロローグの目的だと「ノヴォシビルスク」が対象に指定されている目的があるため、これを達成するにはノヴォシビルスクにソ連のチームがいる状態で「確保」を宣言すればいい。
問題なのはもう一つのパターン、つまり「目的となる都市が不明」のケースである。
こうした目的がある場合、ゲームの準備時点でその目的で指定された地域の都市カード(プロローグならばヨーロッパなのでヨーロッパの都市カード11枚)を抜き出し、シャッフルして裏向きに指定枚数を取り除き、それの上に目的カードを置く。
そして残りの都市カードは他の都市カードと一緒にしておく。つまり、この裏向きのカードが「目的の都市」であり、それを推理しなければならないのである。
都市カードは各都市に1枚だけなので、ゲーム中に引いた都市カードは目的としては除外できる。この辺りをトラッキングトークンで管理しながら、目的の都市を絞り込んでいくことになる。
それが悠長だと思えば、先に挙げたアクション「対象都市の指定」で裏向きのカードを見ることができる。カード3枚と引き換えに、即座に目的の都市を割り出すことができるだろう。
ゲームの展開によっては、目的の都市が1つに絞り切れない状態で一か八か「確保」に踏み切らなければならない場合もある。その場合、目的の都市に有効なチームがいれば「成功」、いなければ「失敗」となる。
いささか強引な手ながら、残りの可能性のある都市が2-3に絞れた状態でその都市全てにチームを配置できれば確実に成功させられるだろう。
成功失敗に関わらず、全ての目的が終了した時点でその回のゲームは終了となる。
- 掃討
4回のアクションを行ったなら、有効になっているチームのいる都市を調べ、そこから「全ての工作員コマ」を排除する。
チームが特効薬のような役割を果たしてくれるわけである。また、プレイヤーの位置とは無関係に動かせるため、そういう意味で使いやすい面もある。
- プレイヤーカードの獲得
プレイヤーカードの山札から2枚ひく。この時手札の上限枚数(通常は7枚)を越えていれば、超えた分を即座に捨てる。
また、深刻化カードが出た場合その解決を行う。
深刻化カードの解決
1:脅威マーカーを1つ右に動かす(右端まで行っていれば何もしない)
2:脅威カードの山札の底から1枚引き、その都市に工作員コマを3個置く。
3:今めくったカードも含めた捨て札となっている脅威カードをシャッフルし、脅威カードの山札の上に置く。
基本的には本家のエピデミックと同じ。
- 工作員の処理
1:脅威マーカーがある欄の数値分の枚数、脅威カードの山札の上からめくる。
2:その都市に工作員コマを1つ置く。
3:2の手順で工作員コマを置こうとするときに既に工作員コマが3個ある場合、「事件」が発生する。当該都市に事件トークンを1つ置く。置く事件トークンがない(すなわち、8回目の事件発生である)場合、その回のゲームは終了する。事件マーカーを置いた場合、脅威カードの山札の底から1枚カードを引き、そのカードの事件欄に書いてあることを解決する。事件のために引いたカードはゲーム終了エリアに置く。(深刻化のケースと違い、捨て札とはしないことに注意)
「アウトブレイク」に当たる「事件」のルールに幾らか変更が加えられている。まあ爆発的に広がる工作員とか嫌すぎるしね……。
真面目な話、事件トークンは事件の被害を拡大する上に恒久的な悪影響もあるため、できるだけ起こさないよう心掛けたい。
- ゲームの終了
以下の場合にゲームは終了する。
1:全ての目的カードが成功もしくは失敗となった場合
2:プレイヤーカードをひけない(きっちり0になる場合は1ターン続行が可能)
3:事件トークンを置かなければならない時に置けなくなった場合
4:工作員コマを置かなければならない時に置けなくなった場合
「敗北条件」ではなく「終了条件」となっているのは、今回のルールではゲームの終了状態として「成功」「失敗」の中間である「充分」があるため。
具体的には目的を全て成功させれば「成功」、1つを除いて成功させれば「充分」、2つ以上失敗していれば「失敗」となる。
ゲーム終了後の処理
- 作戦結果が成功であった場合
次回のプレイは次の月の上旬になる。
資金調達レベルを1下げる。
- 作戦結果が充分であった場合
次回のプレイは次の月の上旬になる。
資金調達レベルを1上げる。
- 作戦結果が失敗であった場合
上旬であれば、次回のプレイは今の月の下旬になる。下旬であれば、次の月の上旬になる。
資金調達レベルを2上げる。
- 監視の強化
事件トークンが置かれた都市は、ソ連による監視が一段階強化される。
- アップグレードの獲得
ゲームの勝敗に関わらず、人数分の予算(成功すればさらに+1)を受け取り、それでアップグレードを買うことができる。(プロローグ時は不可能)
- 資産の獲得:偽造身分の空いているスロットに資産シールを貼る。
- 永続的な隠れ家:ボード上の隠れ家コマ1つを永続化する。
- 監視の無効化:ソ連の監視レベルを1段階下げる。
別に失敗したってアップグレードは貰えることに注意。
これによって味方を強化していき、より困難な状況に対処していくことになる。
1~7の数字もしくはsmallなどで指定してください。
ここから先は自分で「パンデミック:レガシー」をプレイして確かめること。
君のミッションだが、この記事の追記、修正を行うことにある。
例によって君、もしくは君のメンバーが捕らえられ、或いは殺されても当局は一切関知しないからそのつもりで。
なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る!
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