登録日:2019/11/28 Thu 22:50:45
更新日:2024/05/16 Thu 10:07:51NEW!
所要時間:約 13 分で読めます
▽タグ一覧
scp財団 scp foundation scp財団日本支部 scp-jp scpオブジェクト 財団は冷酷であって残酷ではない shicolorkinan 財団やらかし案件 コメント欄ログ化項目 超電救助隊hero 救命士 心臓マッサージ 命を救うための力に振り回され、命を奪われ、命を脅かすものとなった男 脅威のメタタイトル 658字 高速心臓再動士リバーサル・ゴールド 個人の正義≠組織にとっての正しさ scp-387-jp 相容れない二つの正義 長すぎるメタタイトル
SCP-387-JPとは、SCP財団日本支部が収容しているオブジェクトである。
オブジェクトクラスは何回か変化しているのでその都度説明する。
説明
SCP-387-JPは、「高速心臓再動士リバーサル・ゴールド」を自称する、(お約束どおり)謎の金属と繊維で作られた金ピカの装甲服とSCP-387-JP-A群を身に着けた人型実体。
声や体格などから成人男性と推測されているSCP-387-JPは、平均的な成人男性のおよそ6倍の身体能力と財団の標準装備を軽く上回る防御力を持ち、体一つで時速300kmで爆走する能力を有する、など、明らかに人間じゃねえ能力を有している。
…どこのメタルヒーローだと言わんばかりの名称にピンと来た職員もいるだろうが、このオブジェクトはあのお騒がせレスキューヒーロー「超電救助隊HERO」の一派だ。
SCP-387-JPは1990年代の7月28日、神奈川県の海水浴場で起こった子供の水難事故がきっかけに感知される。
…(たぶん)超かっこいい金ピカのヒーローに助けられた子、いい思い出になっただろうな。え、記憶処理?ナンノコトカナー
その後8月から翌年6月にかけ、SCP-387-JPはエイドとの会話を続けながら(カウンターブラストにより)心停止を回復させてはジェットパックで去っていく…を繰り返していた。
その救助数がこれだ!
- 川・海・プールなどの水難事故の被害者13名(うち子供9名)
- 健康上の理由から外出中に心臓発作を起こした27名
- 落下事故などの被害者13名(自殺と思わしき者4名)
- 東京都内を中心とした病院内の入院患者41名
- 屋外での封じ込め作業中だった財団の機動部隊員3名
…おいサラッと財団職員まで救ってるぞ。
ちなみに財団の確認する限り、SCP-387-JPの蘇生処置は成功している模様で、カバーストーリー「救命士のマッサージ」が流布された。
SCP-387-JPが『命を救う』こと自体は咎められるべきものではないはずだ。財団は冷酷ではあるが残酷ではないし、そもそもが彼と同じく『人類を守る』ことが存在意義なのだ。"ヒーロー"の活動を妨害したいのではない。
しかし、崇高な信念、あるいは単純な正義感、もしくは単なる趣味だとしても、それが科学も常識も一切合財が通用しないSCPオブジェクトである以上、財団はそれを確保し、収容し、保護しなくてはならない。
SCP-387-JP-A群
SCP-387-JPの装備品は、次のようなものが確認されている。
- SCP-387-JP-A-1:SCP-387-JPの両腕部に搭載された装備(以下、「カウンターブラスト」)。使用時に内蔵されていた電極が露出し、電気ショックによる心臓マッサージ及び投薬を行う。要するにAEDである。
- SCP-387-JP-A-2:SCP-387-JPが背面に背負った機器(以下「ジェットパック」と表記)。圧縮空気による飛行能力を有しており、確認された限り最大500km/hでの飛行可能。
- SCP-387-JP-A-3:SCP-387-JPが「エイドフェニックス」「エイド」と呼ぶ、飛行を含めた自立行動が可能な全長40cmの金色の鶴型ロボット(以下、「エイド」と表記)。変声期前の男性…つまり男の子のような声で会話し、付近で心肺停止状態に陥った人間を探知する。
何より、ヒーロー個人にとって「正義感」「義侠心」「人として当たり前のこと」であっても、ただの「独善」「身勝手な行動」と一蹴されて然るべきものでしかないというのも少なくない。
そのようなわけで、1990年代の7月1日、終了予定のDクラス3名を用いた捕獲作戦によりSCP-387-JPの確保を行った。
この時点での特別収容プロトコルは、「補強をした人型オブジェクト収容エリア内に、SCP-387-JP-A群とともに収容する。一日3度人型オブジェクト基準に基づいた食事を提供する」となっている。
ちなみにオブジェクトクラスはEuclid。
インタビュー記録
で、その際のインタビュー記録。
担当は貴地博士。
SCP-387-JP、壁を軽く叩きながら「俺をここに閉じ込めてどうするつもりだ?」と聞く。
この間にも彼が救える人が出てくるかもしれないのだから。
とはいえ、財団も飽くまで冷徹にオブジェクトの確保・収容・保護を行っているだけである。
悪の秘密結社ではない、彼と同じく人類を守るための組織なのだ。そのためにはオブジェクトの詳細を知らなければならない。
というわけで、貴地博士、何故このような格好で人助けをしているのかを聞く。
SCP-387-JP: (腕組みをする)当然、この俺が正義のヒーローだからに決まっているだろう?
この後博士はスーツの提供者を聞こうとしたが、「それは当然秘密に決まってる!」で語ろうとはしなかった模様。
理由は、「それがヒーローだから」…だそうで。
また彼の目的についても「俺がヒーローだからだ」で一蹴した模様。
そこにエイドも加わるが、その際に呼び鈴のような音が鳴る。
SCP-387-JP: エイド、俺の出番か?
SCP-387-JP-A-3(エイド): 要救助者を確認!ここから近いよ!
SCP-387-JP: 分かった!そういう訳だ、ここから出してくれ!
貴地博士: すいませんが、それは無理で…
SCP-387-JP: じゃあ悪いな!(壁への攻撃を始める。約45分間の攻撃を行うが破壊には至らず。小さく悪態を吐いた後に壁に向かって寝転がり、インタビューへの返答を行わなくなった)
ざいだんの ぎじゅつって すげー!
いまじゃ なぞのスーパーヒーローのこうげきでも びくともしない かべが つくれるんだってよ!
そしてふてくされてしまうSCP-387-JP。かわいい。
ちなみにこの「コール」は、同時刻に別エリアで行われていた実験によりDクラスが心停止に陥ったことが原因だったようだ。
この後SCP-387-JPは一切のインタビューに応じなくなり、装備品つまりSCP-387-JP-A群に関する調査は激しい抵抗から失敗に終わっている。
ならば提供する食事に薬剤を混ぜて…とも考えてみたが、全てエイドに察知された模様。
収容から8月22日までにエイドは合計27回の報告を行い、SCP-387-JPはその度に壁への攻撃を行っていた。
人を救いたいという彼の気持ちもわかるが、それ以前に彼とその装備品は紛れもないSCPオブジェクトであり、
はい、そうですか、行って来いというわけにも行かないのだ。
財団施設をある程度以上に自由に徘徊・活動することが認められたオブジェクトは、明確に財団に対し協力的な態度を取るカインさん、
職員として雇う事自体が特別収容プロトコルであり、さらにその異常性も大きな問題にはならないとわかっているウエリントン、
あるいは正真正銘の人畜無害なアイポッドと、様々な条件をクリアした非常に限られたものしか無いのだ。
その能力が未だに未知数であり、尚且明確に協力的な態度を取る様子が見られない387-JPには、申し訳ないがまだ収容されていてもらおう。
それ故、彼の「個室」たるオブジェクト収容エリアは補強が行われた。
8月22日付の映像記録
いつもどおり壁を激しく叩くSCP-387-JP。
その周りをエイドことSCP-387-JP-A-3が飛び回っている。
SCP-387-JP-A-3: 近くに君の助けを求めている人がいるよ!
SCP-387-JP: (壁を叩き続ける)わ、分かってる…おい!マジで開けろ!開けてくれよ!
が、何かがおかしい。
ジェットパックから黒煙が上がり、カウンターブラストからは火花が出ている。
その場に崩れ落ちるSCP-387-JP。
SCP-387-JP-A-3: 頑張って、リバーサル・ゴールド!君にしか救えないんだ!
SCP-387-JP: (呻き声)分かってるから、(痙攣と同時に叫ぶ)もう勘弁してくれ、話も聞いてやるから!だから出してくれよ!
SCP-387-JP、その場で体を丸め蹲る。
カウンターブラストの表面に激しく火花が飛び散る…恐らく上記の痙攣の原因は、カウンターブラストの「漏電」なのかもしれない。
SCP-387-JP-A-3: また新しい人が!お願い、リバーサル
SCP-387-JP: (上半身を細かに痙攣させる。壁に体重を預けて立ち上がろうとする)
SCP-387-JP-A-3: ああ!また新しい人が!
ある意味、彼は収容されるべきではない場所に収容されてしまったのかもしれない。
SCP財団という組織は単にオブジェクトを収容するだけでなく、そのオブジェクトの性質を見出すため、Dクラスを用いた人体実験を行わなければならない場合もある。
…場合によってはDクラスは当然のように犠牲になる。
それはすなわちSCP-387-JPの力を必要とする者が無数に現れる、ということなのだ。
そんな彼らを救うために必要なエネルギー、それが使われることなく充填され続けるということは…。
数十回、数百回も心臓を蘇生させるだけの電力が使われることなく蓄積され続けるということは…。
SCP-387-JP: (絶叫しながら再び床に崩れ落ちる)もうやめろ!お願いだ!これ以上チャージしないでくれ!
SCP-387-JP-A-3: 大丈夫!さあ、勇気を出して!君はヒーローなんだ!
SCP-387-JP: そんな…(全身を痙攣させ、SCP-387-JP-Aの各所から白煙が上がる)
SCP-387-JP-A-3: ああ!こんなに近くにもまた君の助けを待ってる人がいる!今すぐ動いて、リバーサル・ゴールド!
SCP-387-JP: (全身が痙攣する)
SCP-387-JP-A-3: ああ!君の目と鼻の先に助けが必要な人が倒れている!君の出番だよ、リバーサル・ゴールド!
SCP-387-JP: (全身が痙攣する)
(以下、SCP-387-JP-A-3の発言後にSCP-387-JPが痙攣する動作が繰り返された)
会話の内容から察するに、カウンターブラストを「作動」させる許可、そして恐らくはカウンターブラストそのものへのエネルギー供給は、エイドが司っていた可能性があると予想されている。
SCP-387-JPは痙攣以外の動作を行わないため、カウンターブラストからの「漏電」による電気ショックで動いているだけ-
すなわち、「死亡」していると見られている。
8月29日、SCP-387-JPは死亡したとみなされたことから、オブジェクトクラスがSafeに変更された。
同時に実験のために8月31日に予定されていた、心停止直後のDクラスの提供計画は破棄された模様。
繰り返すが、財団は飽くまで「SCPオブジェクト」という異常存在を人々から遠ざけることで人類を守る組織であり、
その目的のためは残酷ではないが冷酷になるのだ。
心停止を救う正義の味方を妨害するために、SCP-387-JPを収容したわけではない。一つのSCPオブジェクトとして取り扱ったに過ぎない。
だが、確保・収容・そして"保護"という理念からすれば、今回は財団は「やらかしてしまった」のかもしれない。
もしかすると、特別収容プロトコルとして「心停止したDクラス職員の救助」を明記すべきだったのかもしれないのだ。
救うべきものを救えず、しかもその力で彼自身を滅ぼす結果となったことを考えれば-。
あ、そうそう、何かを忘れていたと思ったらメタタイトルだった。
…そんなにメタタイトルを知りたいのかい?
ある意味後悔しても知らないぞ?
準備はよろしいですか?
SCP-387-JP - 財団と名乗る謎の集団によって僕とゴールドは監禁されてしまった!逃げる手段は見当たらない上、また一人一人と僕達が救えた筈の命が失われていく…目的も何も分からないけど、まだ僕達は挫けていない、必ずここから抜け出してみせる…えぇっ!?僕に全部任せるって、どういう事なの!?次回高速心臓再動士リバーサル・ゴールド「救う為に脱出せよ!決死のセルフ・リバーサル!」続けて「救う為に脱出せよ!決死のセルフ・リバーサル!」合わせて「巣食う為に脱出せよ!█死のリバーサル!リバーサル!命!」合わせて命は[Reboot]僕の名前はエイド・フェニックス!リバーサル・ゴールドの命█なんだけど、まだまだ僕の事を信じていないみたい…だけど子供が溺れて█るよ!あの子を救いたい気持ちがあるから█命命命!ああ、また新たな命が失われていく。このまま黙って見過ごせない、だっ█て僕達は█ヒーローなのだから![Reb██oot]][システムに異常が感知されました][reboot]命[Rebo██t][システムに異常が感知されました][安全性の為に一部メモリ内累積データを削除します]ヒーロー援助用ロボットであり要救助者の探知を█行います探知しましたモジュール稼働要請を送りま█す送りました探知しました送ります██りました█探知します[Reboot]要請します[Reb█oot][Repeat][Repeat██][Re█peat][█eboot][Repe██t]このま█だと僕█は誰も救えな█よ、ゴ██ルド…[ReReReboot][Repeat]
見よ、このそんじょそこらのラノベも真っ青なタイトルを(白目
その文字数、脅威の658字。…これ以上に長いメタタイトルは、ちょっとなさそうだ。
ってかほぼ次回予告のノリだし!?
誰かの命を救うために全てを捧げた男に敬礼をしながら追記・修正をお願いします。
[#include(name=テンプレ2)]
追記
2004年1月25日以降、SCP-387-JPの収容エリアで継続的に破損状態が確認されている。
同年2月11日に発生した、インシデント-387-JP-1の状況と照らし合わせると、現在387-JPの収容エリアでは以下のような現象が発生していると予想されている。
- エイドが許可し、カウンターブラストに蓄積された電力が何らかの形でジェットパックにも供給され「機能」している模様。ジェットパックは常に飛行用の圧縮空気を噴射し続けている
- カウンターブラストは破損していない。
- 装甲服の強度により、SCP-387-JPの体は分断されず、SCP-387-JP-Aと共にほぼ球状に圧縮・変形している
スペパイ「あー、こりゃ背骨バキバキだな」 - ノイズの激しく混ざりくぐもった声及び声量のばらつきから、エイドは変形したSCP-387-JPに巻き込まれている
主人が死んでも装備は「生きている」可能性が高いのだ。
しかも今尚エネルギーは供給され、カウンターブラストを介して他の装備にも供給されている。
今は収容室で「暴れまわっている」だけに過ぎないSCP-387-JPだが、このまま速度とエネルギー量が増え続ければ、いつかは収容違反を起こすだろう。
それ故、4月1日をもってオブジェクトクラスはKeterに引き上げられ、
収容エリアを中心に複数の防護壁で補強した特設のサイト-81██を構築し、一切の立ち入りを禁止するという特別収容プロトコルに改められた。
尚、破損部から流れたエイドの音声を解析した結果、以下のようなメッセージであることが判明している。
- 心停止確認
- チャージ
- 頑張れ
命を救うための力に命を奪われ、さらにその力に振り回され誰かの命を危機に晒す何かと成り果てた正義の救命士。
「ヒーローだから」のたった一言で全てを説明し、無償で誰かを救い続けた彼にとってはあまりにも無惨な仕打ちではないだろうか。
但し、繰り返すが、彼を収容した財団も、ただ単に"不可解な力と装備で他人の命を救う異常存在"たる彼を、一つのSCPオブジェクトとして、他のオブジェクトと同様に確保・収容・そして保護を行ったに過ぎないのである。
決して彼の力を妬んだり、あるいは正義の行使に邪魔をしようとしたわけではない。飽くまで『一つのSCPオブジェクト』として扱い、自分たちの任務と使命に冷酷に・冷徹に従っただけである。
組織にとっての正しさが一個人の信念や正義に常に沿うものとは限らない。時に組織の為すことは、強い正義感を持つ者からすれば不条理や非道なものとしか目に映らないこともある。
逆に個人の正義も、組織からすればただの身勝手な独りよがりでしかないこともある。
特に善悪の判断は、それが顕著となるものの一つであろう。
そう考えれば、この一件はもしかすると-
「個人」としてのヒーロー、リバーサル・ゴールドと、「組織」としての財団、そしてその双方の信念が出会ったその時点で…
どう転んでも胸くそ悪い、後味の悪い結末となる運命だったのかもしれない。
追記・修正は、財団は残酷ではないが冷酷である事を今一度理解してからお願いします。
▷ CC BY-SA 3.0に基づく表示
SCP-387-JP - 財団と名乗る謎の集団によって僕とゴールドは監禁されてしまった!逃げる手段は見当たらない上、また一人一人と僕達が救えた筈の命が失われていく…目的も何も分からないけど、まだ僕達は挫けていない、必ずここから抜け出してみせる…えぇっ!?僕に全部任せるって、どういう事なの!?次回高速心臓再動士リバーサル・ゴールド「救う為に脱出せよ!決死のセルフ・リバーサル!」続けて「救う為に脱出せよ!決死のセルフ・リバーサル!」合わせて「巣食う為に脱出せよ!█死のリバーサル!リバーサル!命!」合わせて命は[Reboot]僕の名前はエイド・フェニックス!リバーサル・ゴールドの命█なんだけど、まだまだ僕の事を信じていないみたい…だけど子供が溺れて█るよ!あの子を救いたい気持ちがあるから█命命命!ああ、また新たな命が失われていく。このまま黙って見過ごせない、だっ█て僕達は█ヒーローなのだから![Reb██oot]][システムに異常が感知されました][reboot]命[Rebo██t][システムに異常が感知されました][安全性の為に一部メモリ内累積データを削除します]ヒーロー援助用ロボットであり要救助者の探知を█行います探知しましたモジュール稼働要請を送りま█す送りました探知しました送ります██りました█探知します[Reboot]要請します[Reb█oot][Repeat][Repeat██][Re█peat][█eboot][Repe██t]このま█だと僕█は誰も救えな█よ、ゴ██ルド…[ReReReboot][Repeat]
by ShicolorkiNaN
http://ja.scp-wiki.net/scp-387-JP
この項目の内容は『クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス』に従います。
この項目が面白かったなら……\ポチッと/
#vote3(time=600,45)
[#include(name=テンプレ3)]
▷ コメント欄
#lsd()
#comment_num2(num=30)
コメント
最新を表示する
NG表示方式
NGID一覧