立花響(IF)

ページ名:立花響_IF_

登録日:2019/09/06 (金) 03:59:25
更新日:2024/05/09 Thu 13:41:10NEW!
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戦姫絶唱シンフォギア 悠木碧 シンフォギア装者 戦姫絶唱シンフォギアxd unlimited ガングニール 悲しい結末 贖罪 旅人 並行世界 ダークヒロイン 激情態 哀しき悪役 何かあった未来 声優の本気 ありえたかもしれないもう一つの歴史 グレ響 翳り裂く閃光 エレクライト 並行同位体 哀しき悪役←一時的に





…誰も、私を助けてくれなかった。
だから、わたしも誰も助けない。助けたりなんてしない。


……胸の奥が痛い……痛いよ……




戦姫絶唱シンフォギアシリーズ』に登場する主人公・立花響のありえたかもしれない姿。
スマートフォンアプリゲーム『戦姫絶唱シンフォギアXD UNLIMITED』のイベント「翳り裂く閃光」にて登場。


CV:悠木碧
年齢:15歳
イメージカラー:橙
聖遺物:ガングニール→エレクライト・ドライ


ツヴァイウイングのコンサートを見に行った際にノイズとの戦闘に巻き込まれ、天羽奏により助け出された後、シンフォギアシステム3号「ガングニール」装者となったという点は本編世界における響と同じ。


しかし、その傍らには幼馴染であった未来の姿は無く*1、「助けて欲しかったのに誰も私を助けてくれなかった」と本編世界以上に荒んだ日々を送ってしまった事で、
本編の響のような能天気な一面はなく、寡黙で、他者に対する強い猜疑心から誰かと協力することもない、アウトローな性格に成長してしまっている。
故に、風鳴翼が所属する二課とも一切協力せず、八つ当たり的にノイズと孤独に戦い続ける日々を送っている*2
そんな性格から、言動は基本的に刺々しく、表情は寂しげなものや険しいものが多い。好戦的な一面もあるのか、自身のシンフォギアカードのフル覚醒のイラストでは不敵な笑みを浮かべていることも。


一方で、非戦闘時にも子どもやお年寄りを(言動こそ素っ気ないが)自発的に助けていたり、信頼できる人がいない現状に「胸が痛い」と感じていることから、本質的には同じ「人との繋がりを望む人物」である事がうかがえる。
シナリオでも言及されているが「一期における雪音クリス」に近い。要は面倒くさいツンデレ
ちなみに劇中描写からこちらもリディアンに通っている様子だが、経歴からか友達が一人もいない事も匂わせている。実装ボイスから宿題は溜め込まずに全部しっかり終わらせている様子なので、こちらの方が学力は上なのかもしれない


纏っているガングニールの造形は『GX』準拠だが、背中の飾り布をマフラーのように巻いて口元を隠しているのが特徴。
必殺技も、「まっすぐぶち抜く!」と言わんばかりに正面からぶん殴るスタイルの本編世界の響とは対照的に、四方八方から攻撃した後に背後に回って拳で打ち抜くなどのクールなモーションになっている。
これらの戦闘技術は本編の響のように風鳴弦十郎から修業をつけてもらったものではなく、自力で鍛錬を積んで身に着けた代物であり、完全な我流*3


このように立ち振る舞いが違う事もあり、ゲーム中では平行世界の奏やセレナとは異なりIF表記が付いているなど、本編世界の響とは別キャラ扱いを受けている。
担当声優は本編世界と同じく悠木碧氏だが、クールな声色と素っ気ない口調なので印象はかなり異なる。
季節ボイスなども実装されているが、こちらも基本的にクール。ただ、たまに微妙にツンデレになったりもする。


当初は並行世界の響の曲は作られていないため、設定できる曲は本編世界の響と共通であったが、XDクエスト「LOST SONG編」より本編世界の響とは異なる曲を設定できるようになった。



【シナリオ展開】


  • メモリアストーリー「陽の当たらない世界」

イベントストーリーの前日談に当たるが初公開は2019年1月~2月開催のイベント「戦姫絶笑シンフォギアRADIO 公開生配信記念クエスト」のクリア報酬であるメモリアカードで読むことが出来る。


こちらの響がどのようにしてシンフォギア装者へと覚醒したか、装者となった意味が解らずに苦悩している様子が語られている他、
こちらの世界の未来は遠方から度々リディアンを訪れていたのだが響になかなか会えずニアミスしていた事も語られている。



  • イベントストーリー「翳り裂く閃光」

2017年9月開催のイベント。人気なためか、定期的に復刻開催されている。


模擬戦の最中に眩暈を覚えたことを皮切りに、徐々に体調が悪化していくと共に、「陽が当たらず、誰もいない世界に独りきりでいる」悪夢にうなされるようになっていく響。
容体はどんどん悪化していき、ついには衰弱のあまり寝たきりの状態になってしまっていた。


一方、完全聖遺物「ギャラルホルン」のアラートに対応し、並行世界へと赴いたマリアとクリスは、ノイズとの戦闘中にその世界の風鳴翼と合流。
カルマノイズがその世界にも存在していることを確認すると共に、本編世界の響とはまったく印象が異なる並行世界の響とも接触し、その状況を知った。


そして、一旦本編世界に戻り、状況を報告。
響の悪夢と並行世界の響の置かれた状況が似ていることから、本編世界の響の体調不良は、並行世界の響と精神同調してしまっていることが原因ではないかと推測を立てる。


例え並行世界の別人であっても、立花響の精神を救うのであれば彼女の「陽だまり」である小日向未来が適任だと考えたS.O.N.G.は、
本人たっての希望もあり、クリス・マリアと共に未来を並行世界に派遣することを決定。
並行世界に無事移動できた未来は、その世界の二課から「神獣鏡」のギアを譲り受け、強制的だった以前とは異なり、自らの意思でギアを纏うことを決意した。


言動こそ違えど、その本質は変わっていないと推察した未来は、粘り強く響と対話を続けるが、そんな中、二人をカルマノイズが襲撃。
本編世界の響の性格と戦い方を熟知している未来は、並行世界の響とまるで長年一緒に戦ってきたかのような息の合った連携でカルマノイズに応戦し、
そんな未来との連携に響もかすかな喜びを感じつつあったが、カルマノイズの呪い*4から「響は私が助ける」という言葉に過剰反応し、暴走状態に陥ってしまう。


助ける……私を……助けるって言った……?

私が本当に助けて欲しかった時には助けてくれなかったくせに!

結局お前も同じだッ!また私に嘘をつくッ!


何とか隙をついて暴走を止めるものの、完全聖遺物「ゴライアス」の登場もあり、並行世界の響にもガングニールとの融合症状が出始めた上に、日に日に状況は悪化していってしまう。
その一方で、自身を想う未来の真心を対話の中で悟ったことで、体調とは反比例して、凍てついた響の心は次第に「陽だまり」の暖かさで雪解けしていきつつあった。


しかし、暴走した際にカルマノイズを吸収した事で、ガングニールとの融合によりカルマノイズの力を中和させてなんとか生き永らえている状態になってしまい、
かつて「G」で同じ症状が発症した際に本編世界の響を救ったように、「神獣鏡」でガングニールを分解してしまえばカルマノイズの悪影響で死亡してしまうが、
そのままガングニールとの融合を放置していても、いずれは融合の進行により死亡してしまうという、どちらを選んでも死を免れない状況に追い込まれてしまった響は、
死への恐怖から自暴自棄となり、カルマノイズへと憎悪をぶつけ更にカルマノイズを吸収した事で再び暴走、さらに「ゴライアス」まで現れてしまった。


混乱する戦場の中で、互いの世界の装者たちの連携もあり未来は響を上手く戦場から離れさせ、暴走する響を助けるために絶唱を使用。
その直前の未来との会話で自我を取り戻しかけていた響も、絶唱の負荷が未来を傷付けるのを防ぐべく、同じく絶唱を使用する。


互いを助けようとする二人の絶唱によるフォニックゲインは、未来の「神獣鏡」のシンフォギアをエクスドライブモードへと引き上げた。
暴走状態から解けつつあった響は、絶唱を使ってでも自分に手を伸ばし続ける未来の姿に心を打たれる。



…なんで、私なんかのために…


どうせ誰も助けてくれない……
みんな一緒、わたしのことなんて誰も……、なのに……


-違う
小日向未来は……
いっつもわたしのことを想って、傍にいて、助けてくれる人
そして、わたしも未来の事が好きだった
どうして、そんな当たり前のことを、忘れていたんだろう……



未来の意志の強さを思い知った響は、かつての未来も同じように自分の味方でいてくれたことを思い出す。
そしてついに、自分を助けようと差し伸ばし続けられていた未来の手を取ることを決め、「助けて」と未来に願った。


響の願いを未来が拒むわけがなく、未来は響を絶対に助けることを宣言。


誰かとの繋がりをずっと求めていた孤独な少女は、ついに信頼できる人の手を取ることが出来たのだった。



そして、後日メディカルチェックを受けた響の身体からは、ガングニールの破片とカルマノイズの呪いが消失していた。
並行世界から来た大切な幼馴染によって、響は死の恐怖と孤独から解放されたのだ。


未来との交流によって身体だけでなく心も救われた響は、自分の手が壊すためのものではなく繋ぐためのものだと実感すると共に、
自分の世界に帰っていった彼女とまた会いたいと思いながら公園を歩いていた。


そんな彼女に、少し前に別れたばかりの幼馴染の声が掛けられる。
「まだこの世界にいたの?」と振り向いた彼女の前にいたのは、並行世界の未来――つまり、彼女の本当の幼馴染の小日向未来であった。
再会を果たし、未来が辛い環境に置かれた自分を独りにしてしまったことをずっと後悔し続け、同時に自分を想い続けていたことを知った響は、
自分の世界にも未来が、自分にとっての「陽だまり」があったことを改めて実感し、やっと笑顔を見せるのだった。



ああ…そうだ。わたし、あの時、思い出したんだ
未来は、ずっと私の陽だまりだったんだって……
そうだよ、やっと見つけた
わたしのいるべき場所はここだったんだ……




  • XDクエスト「LOST SONG編 第1章 陽だまり翳りて」

「翳り裂く閃光」の後、本作では様々なイベントクエストが開催されてきたが、この世界についてや平行世界の響の動向については上記のメモリアストーリー「陽の当たらない世界」以外は全くと言って良いほど語られてこなかった。
それころか、「あらゆる平行世界を巻き込む危機に立ち向かう」という内容の常設大型イベントストーリーであるXDクエスト「ギャラルホルン編」でも、この世界は消滅の危機に巻き込まれなかったということで、完全にスルーされていた。
しかし、「翳り裂く閃光」のイベント初開催から実に3年が経過した2020年9月より、XDクエストの新章として平行世界の響を主役に据えた長編ストーリー「LOST SONG編」がスタート。
その際に発表された紫の謎の兵装をまとい、本編世界の響と戦う平行世界の響の姿と、彼女の身に降り注ぐ更なる不幸が話題となった。
なお、このLOST SONG編から本編世界の響と区別するため、こちらの立花響は「ヒビキ」表記が基本となった。



別の世界からやってきた小日向未来との出会いで昔より前を向いて歩けるようになったヒビキこと、「もう一人の立花響」。そんな彼女の日常は大きく変わった。


1つ目はシンフォギア装者としての日常。
彼女は桜井了子が新たに用意したガングニールを纏い、正式な特異災害対策機動機動部二課所属のシンフォギア装者として、翼と共にノイズと戦っていた。


2つ目は普通の学生としての日常。
この世界における小日向未来がリディアン音楽院に編入し、未来との関わりでヒビキの人となりが他の生徒にも知られるようになったからか、ヒビキを変に避ける生徒も少なくなっており、板場・寺島・安藤の三人娘など積極的に関わろうとする生徒も増えた。


独りぼっちだったヒビキは、少しずつ心を凍てつかせていた氷を溶かし、確実に前を向いて歩けるようになっていた。


そんなある日、ヒビキはスターリットという科学者の女性と出会い、関わりを持つこととなる。スターリットは突然学校に押しかけたり、ヒビキに友達になろうと持ち掛けたり、破天荒な行動を繰り返してはヒビキを呆れさせていた。その一方で響はスターリットが口ずさむ歌に心を惹かれながらも、彼女の歌から何か迷いがあることに気付いていた。
それをヒビキから指摘されたスターリットはヒビキに問いかける。「人は変わることができるのか」と。


それから数日が経過した。その間に、世界では謎の機械「レーベンガー」によって人々が消滅させられるという事件が起きており、二課でもレーベンガーとの交戦を何度か経験しながらも警戒を強めていた。一方でヒビキはレーベンガーによる事件にスターリットが関係しているのではないかという疑念を抱いていた。


そんなこんなしているうちに9月13日、ヒビキの誕生日を迎えた。今日は未来をはじめとした友人たちが自分の誕生会を開いてくれることになっており、久しく自分の誕生日を喜んだことがなかったヒビキは少し胸を躍らせていた。
しかし、そんな日に限ってレーベンガーが世界各地に出現し、ヒビキもその対応に追われることになってしまう。ヒビキと翼は必死にレーベンガーの排除に当たるが、一向に数が減らず、体力ばかりが消耗する一方。そんな状況の中で、ヒビキはエレクライトと呼ばれる謎の兵装を纏ったスターリットと再会する。ヒビキはスターリットにこの間の「人は変わることができるか」という質問に「自分が変われたのだからできる」と答える。その答えに納得したスターリットはヒビキと共闘する道を選び、共にレーベンガーにの迎撃に当たるのだった。


しかしレーベンガーの魔の手が未来たちにも及ぶことを察知したヒビキは、未来たちの元へ急行する。さらには炎を纏った謎の巨人「スサノオ」も出現し混迷する戦場の中、ヒビキは逃げ惑う未来を発見するが、未来の背後にはスサノオが迫ってきていた。
そして次の瞬間……。


――ッ!?
未来……?
どこにいるの。応えてよ、未来――ッ!!
そんな……嘘……嘘だ……ッ!!
………………………………………………
…………未来が、消えて……?


ああああああああああああッ!!



未来がヒビキの目の前で跡形なく消滅した。




ヒビキにとって大切な陽だまり。彼女を奪ったのは目の前にいる炎の巨人以外に考え得られない。響のすべてが憎悪に染まり、衝動のままにスサノオへとぶつかっていった。
しかし全く歯が立たず、それどころか無理筋を通そうとした結果、シンフォギアが耐久限度を超えてしまい、ヒビキは変身解除されてしまう。まだ自分には戦う意思があるのに、肉体もシンフォギアも思うように動いてくれないという現実をヒビキは怒りと共に呪うことしかできない。


そしてヒビキの元へ駆けつけたスターリットも、スサノオの攻撃からヒビキを庇って致命傷を受けてしまう。更にはヒビキとスターリットを逃がすために足止めを買って出た翼も、絶唱を使ってまでスサノオを止めようとするも傷一つつけられず、逆に絶唱の反動で倒れてしまう。


未来が消され、スターリットも翼も倒れ、最早絶望しか残されていないヒビキに、瀕死のスターリットが語り掛ける。
スターリットはヒビキに「ヒビキはヒビキの温もりを忘れないで」と伝えると、自分の纏っていたエレクライトを解除してエレクライトの起動キーである「トランスコイル」をヒビキに託し、静かに息を引き取った。
多くの大切なものを失った今のヒビキには、スターリットの最期の言葉を受け止めることはできなかった。


……わたしは、この力を使う。あいつを殺すために……ッ!!


エレクライト、スイッチオン――ッ!!


トランスコイルを発動させてエレクライトを纏ったヒビキは怒りのままに悪鬼羅刹の如く剣を振るい、スサノオを圧倒していく。
あまりにも強烈かつ苛烈な攻撃を受けたスサノオは撤退しかける。しかしヒビキはそれを許さず追撃を仕掛けるが、それを止めたのは絶唱をつかって立つことすらままならないはずの翼だった。憎しみにとらわれたヒビキを見ていられず、翼はヒビキを止めようとしたのだ。しかし、その間にスサノオは別の並行世界へと撤退を図られてしまい、ヒビキは絶叫した。


戦いが終わってヒビキは未来が落とした紙袋を拾い上げ、未来からのバースデーカードを読むと、ヒビキは意を決してエレクライトを再び纏い、エレクライトの力で平行行世界につながるゲートを開く。
そんな自分を引き留めようとする弦十郎に向って、「大切なものを守れなかった力も歌も、もういらない」と告げると、ヒビキは半壊したガングニールのペンダントを捨ててゲートをくぐり、どこか知らない平行行世界へと旅立っていった。
未来の仇、スサノオを討つために……。


さよなら、みんな。そして胸の歌ガングニール――



  • XDクエスト「LOST SONG編 第2章 星明かりの導き」

未来を消し去った炎の巨人スサノオへの復讐のため、エレクライトを纏い、レーベンガーを破壊して回りながら並行世界を渡り歩くヒビキ。
そんなヒビキの前に2人の襲撃者が現れる。その2人はスターリットの仲間で、エレクライトの装着者「ブリッツァー」である少女・ララとフォルテ。彼女たちはヒビキがスターリットからエレクライトを奪ったのだと思い込んで、ヒビキに襲い掛かったが、ヒビキから事情説明を受けて鞘を納める。


ヒビキの口からスターリットの死を聞かされたララたちは消沈するものの、ヒビキがスサノオに単身で挑もうとしていることを知ると、ララたちはヒビキに「エレクライトの使い方を教える」という名目で自身の所属組織である「T.E.C」へ来るように提案する。ヒビキは乗り気ではなかったが、スサノオを倒せる可能性を上げるためにもエレクライトのことを知る必要があると判断し、T.E.Cを訪れることにする。


そこでララとフォルテはヒビキとの交流を経て、新しい家族としてヒビキに仲間意識を持つようになり、ヒビキもララとフォルテと過ごす時間に安らぎを覚えるようになっていた。しかしながら、ヒビキはその温もりに甘えて未来の陽だまりを忘れてしまうことを恐れて、肝心なところでなかなかララとフォルテの手を握ることができずにいた。


そんな中、T.E.Cのリーダー、二コラ・テスラの指示を受けて、とある並行世界に赴くことになったヒビキたち3人。そこではアルカノイズを兵器利用し、人々の間で争いの絶えない、この世の地獄ともいうべき光景が広がっていた。そんな世界でのヒビキたちブリッツァーの任務は「コンダクター」と呼ばれる装置を特定座標に設置すること。
ヒビキたちはアルカノイズに襲われている民間人を助けるか否かで意見がぶつかりながらも、最終的には3人団結してアルカノイズを撃退して子供を守り、コンダクターの設置を完了させる。するとそのとき、遠くで燃え立つ炎を目にしたヒビキは弾かれるようにその場を飛び出した。あそこに未来の仇がいる、そんな確信を抱きながら。


ヒビキがたどり着いた先にいたのは、並行世界消滅という一大事の原因を探るために本編世界から調査にやってきていたシンフォギア装者たちと交戦していたスサノオだった。ヒビキは何もかも振り払い、怒りのままに一直線にスサノオに向っていく。


お前だけは許さない――ッ!!
お前だけはああああああああッ!!!



突然目の前に現れてスサノオを討滅せんと暴れまわるヒビキを見た本編世界の立花響や雪音クリスたちは何が何だか分からず混乱するばかり。とにかく響はもう一人の自分であるヒビキと交戦し、誰かを傷つけるために拳を振るうことをやめさせようとするが、憎悪に突き動かされるままに暴れるヒビキを止めるのは、響本人ですらも困難を極めた。



邪魔を――するなあぁッ!!


くッ――
こんな戦い、意味なんてないはずだよッ!
あなたも立花響なら、わかるよねッ!?


一緒にするなッ!
何も失ってない……お前なんかとッ!


失って……?


誰よりも……何よりも……護りたい人だったッ!


くぅ……、護りたい人、それって……ッ!


だけど、それをあいつに奪われたんだ……!ッ
あいつが憎くて、憎くて……気が狂いそうになる。
この気持ちが、お前なんかに分かるかああッ!


お願い、武器を下して――
この手は、固く握るだけじゃない、こぶしを開いて誰かと繋ぐことができる。
そうでしょう?


わたしは違うッ!
この手を繋ぐ相手なんて、もういないッ!
これは、わたしの陽だまりを奪ったあいつを殺すための手だ――ッ!


こんなの、間違っているよ……ッ!
殺すことに意味なんて……ッ!


じゃあどうしたらいいって言うんだッ!
陽だまりを奪われた悲しみを、怒りを……ッ!


わたしだって、それを失いかけたことがあるッ! だから――


――わかるだなんて、言わせないッ!
仲間に囲まれて幸せそうなお前にはーーッ!


それでも、わたしは……この胸の歌でーー


――もう、歌なんていらない


うあああああッ!?


……わたしは、お前とは違う
だって、ただ一人手を繋いでいたかった人。
わたしの歌を好きだと言ってくれた人……


あの陽だまりはもう、どこにも無いんだッ!!



最終的に響は押し切られてしまい、ヒビキを止めることはかなわず、スサノオはヒビキの手によって倒されてしまった。
しかしそれを成し遂げたヒビキはやっと気づいた。スサノオを倒しても、未来は戻ってこないと。スサノオへの復讐を果たした今、もう自分に生きる意味はなくなってしまったのだと。
そんな虚しさが、ヒビキの心を埋め尽くしていた。


そんなときだった。ヒビキたちが設置したコンダクターが起動して、星命力……すなわちこの並行世界事態が持つ星の生命力を吸い上げ始めた。それによって地震や暴風などの天変地異が起き始め、ヒビキたちが今いる並行世界の崩壊がはじまった。
ヒビキはそんな予想だにしていなかった事態に、どういうことかをララたちやテスラに問い詰めた。
そこで、コンダクターとは星命力を吸い上げて並行世界を消滅させるための装置であり、人々を消し去っていたレーベンガーも人間をデータ化して収集するための装置で、そのどちらもが二コラ・テスラ本人が理想郷創造のために用意したものだということを知らされた。
つまり、T.E.Cという組織こそがレーベンガーによる民間人襲撃及び、本編世界の装者たちが追っていた並行世界崩壊の元凶であったことを知り、ヒビキは自分が知らぬ間に世界滅亡の片棒を担がされていたことに気付いてしまった。
更に言えば、未来の仇であったスサノオは偶然暴走していただけで、むしろ本来はアヌンナキによって生み出された並行世界守護のための防衛システムであり、T.E.Cにとってはただの障害に過ぎなかったことも、ヒビキはここで知ることになった。


T.E.Cの計画の真実と、ララもフォルテもテスラの計画を理解した上で協力していたことを知って、大きなショックを受けたヒビキは、自分がアルカノイズの襲撃から救った子供だけでも助けようと、近くの村へ急ぐ。コンダクターによる並行世界崩壊がすぐそこに迫る中、ヒビキは自分が救った子供を見つけて手を伸ばすが、その子供は瓦礫に潰された両親を目前にしてすでに生きる気力を失っていた。そしてその子供はヒビキの伸ばした手に目を向けぬまま地面の裂け目に転落、深い奈落の底へと飲み込まれていった。



助け……られなかった……
ううん、違う、わたしのせいだ。
わたしが――


そう自分を責めながらもヒビキはテスラたちとT.E.Cの本部に戻ってきた。
テスラのいう理想郷とは、数多くの並行世界を一つに束ね、星命力があふれて生と死の概念すらも無くなる唯一無二の世界というもので、理想郷が完成した暁には今まで消滅した人たちとも……未来とも再会できるという。
そんな理想郷を追い求めるララとフォルテは、並行世界の消滅くらいで気を落とすことなくヒビキにはこれからも協力するように求める。だが自分の理想のために他の多くの並行世界を犠牲にするT.E.Cのやり方にヒビキはどうしても賛同できず、反旗を翻してT.E.Cから脱走した。
そんなやり方で未来と再会しても、未来に悲しみを背負わせてしまうし、何より多くの犠牲を払って生き残った自分自身という存在を許せなくなってしまうから。


一時期であっても心を安らげた自分の居場所をまた失ったヒビキは、冷たい雨にうたれながら、「自分に残酷な運命を課す世界」と「知らず知らずのうちに全ての並行世界の敵となってしまった自分自身」に絶望していた。そんなヒビキには、T.E.Cの計画を阻止することで、自分のせいで死んだ人たちへの罪滅ぼしをすること以外に、最早生きる意味を見出すことができないのであった――。





【余談】


その正反対とも呼べる性格面から、ファンからは「グレ響」「響オルタ」と呼ばれる事が多い。
人気も高く、『GX』の響のリデコ品とはいえフィギュア化もされている。


なお、担当声優の悠木碧も「こちらの響のほうが好き」とコメントしており、ゲーム中に登場する「ここ、ちょっと寒いんだけど?」という平行世界の響のイラストが描かれたメモリアカードは、悠木碧本人がデザインしたイラストが元となっている。
ちなみにイラストが得意な悠木碧が描いただけあって、元のイラストも超上手い。



追記・修正は陽だまりを見つけてからでお願いします。


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  • グレビッキーはめんどくさくて個人的にはひだまりビッキーより好き -- 名無しさん (2019-09-06 08:45:30)
  • 金子のオッサン曰く「流竜馬」だそうな。…マフラーがそれっぽい? -- 名無しさん (2019-09-06 14:03:05)
  • ガングニールのペンダントの予備が一個できたし、再登場の準備はできたな -- 名無しさん (2019-09-06 20:18:39)
  • こっちのビッキ―はヒーローよりヒロインしてる感じ。奏やセレナ達と違って出番や専用曲がないの悲しい -- 名無しさん (2019-09-09 01:17:34)
  • 境遇考えるとこうなるのが普通で、むしろ本編の響の方が狂ってるとよく言われるからな。こっの方が自然でむしろタイプだわ。OVAでいいからアニメ化してくれると嬉しい -- 名無しさん (2019-11-11 12:24:49)
  • 今日からアプリで新しいシナリオにAnother響が再登場しましたが、序盤で何でまた救われない展開になるの……… -- 名無しさん (2020-09-13 19:26:16)
  • ↑ほんとシンフォギアって女子も視聴者も曇らせるよな…… -- 名無しさん (2020-09-13 19:45:09)
  • IF響に何か恨みでもあるのか…⁈ -- 名無しさん (2020-09-14 20:27:54)
  • グレビッキーがまた翳るっぽいんですけど -- 名無しさん (2020-09-14 21:50:17)
  • 翳るどころか、落ちるところまで落ちちまったじゃねぇか -- 名無しさん (2020-11-17 15:49:21)
  • シンフォギア版Dボゥイになりつつある… -- 名無しさん (2020-11-30 16:55:38)
  • 中の人繋がりで軌跡シリーズのレンにより近い感じ。そもそも響とレンの過去って共通点多すぎて最早小説版555の真理状態…まどか系のヒロインの業深過ぎィッ! -- 名無しさん (2021-06-23 19:26:59)
  • ケン・イシカワ時空からすれば全然優しい常識人だがある意味ゲッター線に愛されそうなくらい異能生命体しちゃってる感 -- 名無しさん (2021-07-26 20:17:37)
  • 「未来がいなくて、辛くて……。だけど、いろんな出会いもあったんだ」。無くしてしまった歌を取り戻し、元の世界に帰還した響を待っていたのは……。 -- 名無しさん (2021-12-23 00:15:07)

#comment

*1 運命の日となったツヴァイウイングのライブの直後に家庭の事情で引っ越している事が語られている。
*2 こういった姿勢もあり、こちら側の翼は当初は響との協力に懐疑的だった。
*3 そもそもこちらの世界の風鳴弦十郎は本編世界のような超人的な武闘派ではなく、天才的な発明家であるので、並行世界の響が弦十郎から武術を教わるということは響自身の事情抜きにしても無理だと言ってよかった
*4 破壊衝動などを促進され、精神が不安定になってしまう

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