星のカービィ 毛糸の世界で大事件!

ページ名:星のカービィ 毛糸の世界で大事件_

登録日:2019/03/22 (金) 06:54:38
更新日:2024/04/04 Thu 11:15:58NEW!
所要時間:約 13 分で読めます



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新たな能力で

バラバラになった

世界を救え!!




星のカービィ 毛糸の世界で大事件!』とは、角川つばさ文庫より出版している小説版星のカービィシリーズの一作である。
作:高瀬美恵
絵:苅野タウ・ぽと
対象年齢:小学中級から
価格:680円(税抜)



概要


つばさ文庫版星のカービィシリーズの第13弾。2019年3月15日に刊行された、平成最後の小説版星のカービィでもある。



ちょうど一週間ほど前に発売されたリメイク作『毛糸のカービィ プラス』のノベライズという、小説版では最もタイムリーな作品。
基本的に原作の流れに忠実であり、例によって尺の都合から省略されたステージとボスこそあるが、一冊構成でありながら『星のカービィ ロボボプラネットの大冒険!』のような無茶のある詰め込みは見られず、オリジナル展開を交えながら丁寧に作られている。


『プラス』が原作なので、メタモル能力のみならず新要素のさいほう能力、3種のデビル達が登場する。
特にデビル達は、ゲームにおいて単なるお邪魔キャラでしかなく、殆ど設定らしい設定が明かされなかったこともあり、二次メディアミックスとはいえ「もうこれが公式でいいんじゃない?」と思えるほど違和感のない設定付与が行われている。
終盤にあのキャラがいなかった件についても自然な補完が行われた。
また、第10弾でワドルディが増えた(=それ以前は一人だけだった)という前提設定も引き継がれているため、小説版における本作の時系列は少なくとも『星のカービィ 決戦! バトルデラックス!!』以後となる。


今回は冒険要素が中心だからか、インテリア関連のキャラクターであるウール兄弟やおともだちは登場しない。けどデビルのモチーフ的にエンジィは出してもよかったですよね?


オリジナルキャラはいないが、原作で登場しなかったキャラ達は脇役で出演している。



あらすじ


ふしぎな魔法のくつしたに吸いこまれて
毛糸の世界へ迷いこんでしまったカービィは、
世界征服をたくらむアミーボ・アモーレを
倒すため、フラッフ王子と大冒険に出発!
新たな能力「メタモル能力」と「さいほう能力」で
行く手をふさぐ強敵に立ち向かう!!
しかしそのころ、アミーボ・アモーレは
プププランドも侵略しようとしていて…!?
ふたつの世界を救うために、カービィが大活やく!!
大人気ゲーム『毛糸のカービィ プラス』小説版だよ!!


(裏表紙より引用)



登場人物


プププランド

食いしん坊で元気いっぱい。
毛糸のからだは「すいこみ」ができないけれど、新たな能力が使えるぞ!

「つまり――アミーボ・アモーレは、ぼくが倒すってこと!」


いつものようにコックカワサキの料理を食べようとレストランに向かうが、彼が毛糸の男(アミーボ・アモーレ)にカゼをうつされて休まざるを得なくなったと思い込み、ズレた理由で怒りを抱いている。
その後の流れは概ね原作通りであり、友達になったフラッフと一緒にデビルや怪物達を退けながら、毛糸の世界を元通りにする冒険を進めていく。
食いしん坊とはいえ毛糸で作られた料理にはかなり戸惑ったが、すぐ順応している。しかし食べられなかったカワサキの料理を忘れることは出来ず、ほんの少しだけホームシック気味になっていた。



自分勝手でわがままな、自称プププランドの王様。

「ふぁ~、たいくつだわい。まったく、プププランドは平和すぎていかん」


キャラが小説版基準なので勿論「~ぞい」口調ではない。
退屈を持て余している*1うちにワドルディ達がニセモノと入れ替わったことには気付かず、拘束されてやっと察する有様。
自分より偉そうな態度をする上、自慢のデデデ城を「空き家同然」と罵ったアミーボ・アモーレにブチ切れて拘束を力ずくで破ろうとしたが、流石に焦ったアミーボ・アモーレにすぐさま毛糸の世界へ送り込まれてしまう。
毛糸の世界でも相変わらずのワガママっぷりで、カービィに助けられてフラッフの城に連れてこられた時には食料の蓄えすらカラになる程の食いしん坊で迷惑をかけまくった。
プププランドに帰還後は最終決戦にも参加しようとするが、フラッフとメタナイトから「大王なら、部下を助けるのは、当然のつとめです」「ワドルディたちを人質にされては、身動きがとれなくなる」と進言され、素直に聞き入れて単独行動を取った。
そのため、原作同様に最終決戦で登場はしないが、もっともらしい解釈で理由が補完されている。



常に仮面をつけていて、すべてが謎につつまれた剣士。

「プププランドの様子がおかしい。これは、いったい……?」


ハルバードからプププランドの異変を察知していたが、突然現れたアミーボ・アモーレに自慢の戦艦をゴムボートみたいなものと罵られた挙句、手も足も出ず毛糸の世界に送り込まれてしまう。
操られてカービィと戦った後は正気に戻り、いち早くプププランドの現状を伝えて共に帰還した。
不意打ちを受けた事とゴムボート呼ばわりがよほど屈辱だったのかは不明だが、普段に増して敵には全く容赦せず、城のワドルディ達がニセモノと分かるや否や躊躇なく切りつける怖い一面も見せる。
ラストのアミーボ・アモーレに対するお前はヤクザか?とツッコミたくなるような言動は必見。




毛糸の世界

  • フラッフ
毛糸の国の王子様。
戦いは得意ではないけれど、色々なことを知っている。

「カービィか。かっこいい名前だね。見かけない顔だけど、どこからきたの?」


毛糸の国のふとまゆ王子様。一人称は「ボク」。
真面目なしっかり者で、口調や性格はゲームとそんなに変わらない。作中ではかなりの常識人。
アミーボ・アモーレの手でバラバラにされた大陸を元通りにしようと旅に出たが、戦いが不慣れなせいで手下から逃げ回るしかできず、偶然居合わせたカービィに助けられた。
メタモルトマトのおかげで変身能力を得た彼の強さを見込み、協力を申し込んで出発した。
王子だけあって毛糸の世界に関しては博識で、各大陸のことはもちろん裏地の住人についても知っているが、本作では魔法の毛糸のことはデビルから訊くまで知らなかった様子。



  • オレ・デビール
  • ワイ・デビール
  • ウチ・デビール
毛糸の世界の裏地に住んでいる。
強い相手を見ると、つい追いかけていたずらしてしまう。

「冗談じゃない! オレは、だれの手下でもないぜ。裏地の住人たるもの、表の連中の命令なんかきくもんか!」


「ヒャアアアアアア、楽しかった! オレ・デビールが言ってたとおりや。オマエら、強いなあ! ヒャヒャヒャヒャ!」


「アナタ、これから、たいへんな戦いに挑むことになるわよ」


毛糸の世界の裏側にあるもう一つの世界、裏地の住人たち。
それぞれの一人称は名前そのまんまであり、ワイ・デビールのみ関西弁で喋る。


裏地の住人は総じて捻くれ者、いたずら好きな性格で血の気も多い危険な連中。表側の住人の言うことには従わず、フラッフも警戒するほど。
しかし、実態は何も面白いものがない裏地で退屈を持て余しすぎているだけというのが正しく、表で強そうな者を見かけると戦い、もとい遊びたくなる性分。
表の住人が知らない貴重な情報「裏地情報」を沢山知っており、退屈を紛らわして楽しませてくれる相手にサービスで教えてくれるなど、案外根っからの悪人ではない。


上記の気質もあって元々アミーボ・アモーレの手下でも何でもないどころか、彼に大陸を引き裂かれたせいで裏地の世界も狭まってしまい、退屈さが加速していた。
そこに、カービィ達が彼の手下と戦っている所をオレ・デビールが目撃し、ちょっかい出したのをきっかけにワイとウチもオレの話から存在を知るところとなった。
表に現れた直後はよほど楽しいのか、倒されるまで殆ど笑い声を上げるばかり。特に狂ったように笑いながら追いかけるワイ・デビールは一種のホラーである。



毛糸の世界をバラバラに引きさいて、
支配しようとたくらんでいる。

「くっくっく。こんな戦艦、わしにかかれば、ゴムボートみたいなものでアミーボ。なんの苦労もなく、占領できたでアモーレ!」


本作の黒幕。一人称は「わし」。
語尾の「~でアモーレ」は原作だとたった1回しか使わなかったが、本作ではそこそこ使用頻度が高い。


毛糸の身体に2本の杖を持った怪しい男で、魔法の毛糸と魔法のくつしたを奪い、毛糸の世界をバラバラにして無数の手下を放った。
それだけでは飽き足らず、今度はプププランドをも支配しようとしている。
戦わずして支配を進める狡猾な知能は相変わらずで、デデデ大王の周りをニセモノのワドルディで囲み、メタナイトの戦艦もいつの間にか占領した上でメタナイトに何もさせず毛糸の世界に送り飛ばした。ついでに原作よりもイキっている
ちなみに原作冒頭の奇妙な噂のくだりはカットされており、コックカワサキ以前の他の被害者についての描写は見られないため、彼が実質最初の被害者ということになる。


最終決戦は異空間ではなく、おどろおどろしい雰囲気に様変わりしたデデデ城大広間で戦う。*2
こっちもこっちでラスボスらしいシチュエーションである。


裏地の住人は彼の正体を知っているようで、ウチ・デビールはカービィに対して「見た目で決めつけてはいけない」と忠告の裏地情報を残した。




その他脇役

「どうしよう、カービィまで、あの毛糸の男にやられちゃったら……」


アミーボ・アモーレに襲われて毛糸の身体にされてしまい、スカスカの身体を他人に見られたくない思いから止む無くレストランを休業した。
たまたま訪れたカービィに「カゼを引いたから」と適当な理由でごまかした為、カービィからは(恐らく最後まで)毛糸の男にカゼをうつされたと思い込まれた。
挿し絵では当たり前のように毛糸姿のコックカワサキが描かれているが、原作には登場しないキャラのため結構レアである。



「なんて、すてきな日なんだろう。お仕事が終わったら、カービィをさそって、お散歩したいな……」


他のワドルディ達の妙な違和感に気付き、毛糸の身体をしている時点でバレバレなニセモノと見抜いたが既に手遅れで、あっという間に拘束されてしまう。
後は城の地下に本物のワドルディ達と一緒に閉じ込められてしまったため、終盤に助けられるまで登場しない。完全にヒロイン
メインのレギュラーとしては非常に出番が少ないが、元々バンダナワドルディ自体が原作にはおらず、今回のカービィのパートナー役にはフラッフがいるのである意味必然の展開ではある。
なお、救出されたコピーのワドルディ達には感謝する際「代表者が礼をする」という感覚がないことが発覚し、皆で次々と喋るものだからデデデにすら「うるさい」と言わしめた。



  • ワドルディ(ニセモノ)

「広間の……窓と……」「台所の……床……だね……」


アミーボ・アモーレによって編み出された毛糸のワドルディ達。
ハキハキした喋り方をする本物と違い、いちいち区切って息もスースー漏れたような喋り方をする(後者は毛糸化したコックカワサキも同じ)。
こっそりと本物のワドルディ達と入れ替わっており、従順に働くフリをしていたが、バンダナワドルディに見破られると唐突にホラー漫画で見る書体で喋りながら本性を表し始めた。
デデデ城占領後は戻ってきたカービィ達を迎え撃つが、元が弱いのとやたら血気盛んなメタナイトのせいで大した見せ場もなく蹴散らされた。



「偵察カメラが、次々に映像を送ってきております。プププランドは、今、とんでもないことになっておるようですぞ!」


ハルバードで地上の異変をメタナイトに知らせた。
今回はハルバードの出番がここだけなので、バル艦長もこの場面だけの脇役。
もちろん彼も原作には登場していない。



  • 大臣

「なんとかしてください、フラッフ様!」


挿し絵の無いオリジナルキャラクター。
毛糸の国の大臣で、裏地の住人らが城に連れて来たデデデ大王の超絶暴食っぷりを嘆いてフラッフに泣きついた。



  • ヤリヘー

「こ、これは、たいへん失礼しました! まさか、王子様とは知らずに!」


科学が最も進んだ大陸、スペースランドのスターハイウェイの番人。
最初はロケットを持たないカービィ達を追い払おうとしたが、フラッフに気付いてすぐに態度を改めた。本来は感激屋のちょっとオーバーな性格。
実は裏地に友達がおり、その縁でカービィのことを教えられたため、隠し持っていたロケットのメタモルリングを譲って彼らを見送った。



  • サスゾー、ヨーガンス、ドドワン、フェニクロウ

アミーボ・アモーレの手下たち。
なお台詞があったのはヨーガンスのみであり他は全員無口。何故ボス格のドドワン達まで……。


ちなみに大陸が2つ省略された*3影響でランプキンとイカスタコスの出番はハブられた。イカはともかくお菓子の国のファンタジーランドとランプキンくらいはカービィの性格を考慮して少し触れてもよかったのでは……




アイテム・設定

  • 魔法の毛糸、魔法のくつした

概ね原作通り。



  • メタモルトマト

食べた者は変身能力を得られる、超貴重なトマト。
滅多に数が取れないため、博識なフラッフでも「不思議な力を得られる」程度の認識止まりであり、詳細はあまり知られていなかった。



  • メタモルリング/メタモル能力

毛糸の世界に存在する伝説のお宝。
メタモルトマトを食べた者だけがこれに触れることで、強力なメタモル能力に変身することができる。
裏地の住人達が隠し持っている他、フラッフの城にも彼の先祖が深い森の奥で発見した一つが保管されている。あとメタナイトが拾ったやつ
ちなみに本作ではメタモル能力の解除方法が詳細に説明されており、その辺の木など棒状のモノに触れるか糸を巻き付けるかすれば元の姿に戻れる。



  • さいほうのもと/さいほう能力

フラッフの城にある裁縫担当の役所、「さいほう省」の役人達の仕事道具。
裁縫にとんと疎いカービィでも頭に被って念じるだけで、それぞれのさいほうのもとに応じた能力を簡単に行使できる。
普段はさいほう省の倉庫に保管されており、役人達はこれを使って様々なものを作っている。フラッフ曰くこの国で一番大事な仕事らしい。



  • 裏地の世界

毛糸の世界の裏側にある、もう一つの世界。
ゲームの描写と照らし合わせると、出現する瞬間に破れた背景の向こう側にある空間がそれの事なのだろうか?
オレ・デビール曰く「いつだって静かで、薄暗くて、たいくつ」な世界で、表の住人に過激なちょっかいを出しに行く程度には本当につまらない場所の模様。



もくじ


核心を避けた上で軽く紹介。


  • プロローグ

コックカワサキの店に訪れたカービィだが、まさかの休業にびっくり。
カワサキは「毛糸の男に気をつけろ」と忠告するが……


  • 1 毛糸のカービィ!?

靴下の中に吸い込まれたカービィは、気付けば毛糸の世界にいた。
自分も毛糸の姿になっていたことに驚くが、怪物に襲われていたフラッフを助けることに。


  • 2 フラッフ王子と大冒険!

毛糸の世界はカービィを吸い込んだ謎の男、アミーボ・アモーレによってバラバラにされていた。
カービィは一つ返事で協力し、大陸をつなげる旅に出発するのだった。


  • 3 メタモル能力で大激闘!!

デビルの情報をもとに、メタモル能力でロボットに変身したカービィ。
大陸をつなげるのに必要な魔法の毛糸を持つ手下、ドドワンと対決する!


  • 4 デデデ城乗っ取り作戦!?

働き者のワドルディ達の様子がおかしい。
実は、既にアミーボ・アモーレの魔の手がデデデ大王にまで……


  • 5 新たな力、さいほう能力!

次の大陸、ホットランドに進んだカービィとフラッフ。
新たな手下のフェニクロウを前に、たまたま手に入れたさいほう能力が活躍!
一方、プププランドでは着実にアミーボ・アモーレの侵略計画が進んでいて…


  • 6 三人目のデビール!

順調に歩を進めるカービィ達は、ついに三人目の裏地の住人と戦う。
しかし、手に入れた裏地情報はなんだか不穏な内容で……


  • 7 毛糸の強敵、登場!

裏地の住人が残した、カービィにとって戦いたくない相手という言葉。
その意味は、アミーボ・アモーレに操られたデデデ大王だった!


  • 8 毛糸の強敵、さらにあらわる

旅はついに最後の大陸、スペースランドに辿り着いた。
最後に待ち受けるのは強敵、メタナイト!


  • 9 世界を救う、最終決戦!

プププランドに帰ってきたカービィ達は、何もかも毛糸に変えられた世界を目の当たりにする。
アミーボ・アモーレとの決戦の結末は……!?


  • エピローグ

全てが終わり、デデデ城でパーティーが開かれた。
でも、コックカワサキの料理がずっと食べたかったカービィは……





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  • なんかちょっとインパクト弱いなと思ってたら理由がわかった。フラッフがカービィの相方として常識人過ぎる。 -- 名無しさん (2019-04-29 18:03:20)
  • フラッフ自体が毛糸くらいしか登場してないからキャラ付けが難しいのもありそう。 -- 名無しさん (2020-07-28 23:12:57)

#comment

*1 その際、「プププランドを襲う侵略者とか、食糧庫を食い荒らすカービィとか来ないのか」のようなことを言っていた。侵略者と同列に扱われるカービィ…
*2 メタナイトによれば、「プププランドでは一番大きな建物なので侵略の拠点にはうってつけ」とのこと。
*3 キルトの町はどうやらグラスランド内にあるようなので厳密には3つ

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