ウルトラマンデュアル2

ページ名:ウルトラマンデュアル2

登録日:2018/09/30 Sun 00:48:21
更新日:2024/03/25 Mon 13:54:00NEW!
所要時間:約 10 分で読めます



タグ一覧
三島浩司 後藤正行 tsuburaya×hayakawa universe 早川書房 円谷プロ ウルトラシリーズ 小説 ウルトラマンデュアル 光の国 宇宙警備隊 小説版ウルトラシリーズリンク ウルトラマンデュアル2





優しさには『ありがとう』の『当たり前』だけど、愛にはなんにも続きがないんだ。


そのまま消えて滅んじゃう。




『ウルトラマンデュアル2』とは、2018年9月19日に早川書房から発売されたウルトラシリーズの小説。
著者は三島浩司、表紙イラストは後藤正行が前作『ウルトラマンデュアル』から続投している。



【概要】

円谷プロダクション×早川書房のコラボ企画『TSUBURAYA×HAYAKAWA UNIVERSE』の作品の一つである『デュアル』の続編で、およそ2年と半年ぶりに刊行された。
なお、前作は単行本だったが、『2』が発売される前に文庫本版が発売されており、本作はそれに合わせるためか最初から文庫版である。
そのため、単行本版のみ買っている人は本棚に置くと単行本の次が文庫本になる。


ちなみに本作は終盤までじっくり丁寧にストーリーが進むが、最後の最後の方だけ駆け足で進んでいる。
具体的に言うと本作は560ページほどなのだが、最終決戦は30ページほど。その中で主人公とラスボスのバトルは僅か3ページ(変身、現場急行、瞬殺を1ページずつ)。
締め切りが近かったのだろうか……?




【あらすじ】

ヴェンダリスタ星人の撃攘から、八年余りの月日が流れた。
その間に敵性宇宙人の侵攻を阻むため、地球防衛軍が組織される。
栗村円と一ノ瀬環は、共に新世代のウルトラ戦士として地球を守る任務につくことを望んだが、円だけがウルトラ・オペレーションに失敗し、日本中から嘲笑されてしまう。


一方その頃、太陽系近傍には新たな宇宙人の脅威が迫っていた──!


SF戦記として新生したウルトラ戦士の叙事詩、堂々たる第二幕。


(公式より引用)



【登場人物】

  • 栗村円

本作の主人公。国際防衛大学を卒業した23歳の女性。
中学時代のボーイフレンド・颯太に言われた「人間は自分のためにしか行動できない」という考えを否定するために、地球のために働こうとウルトラウーマン化を望んだ。
しかし、本来一気にセカンド・ステップに進むはずなのに、何故かファーストとセカンドの中間……「中二階(メザニン)」止まりだった。
大学の後輩や防衛軍・世間……多くの人から嘲笑され、黒川の家に避難生活をする事に。
だが、ウルトラウーマン化した際に忘れてしまった記憶が颯太の幻影となって現れたため、彼へのアンチ行為としてウルトラウーマンとして戦っていく。


  • 一ノ瀬環

もう一人の主人公。円とは大学時代の友人。
かつて姉をヴェンダリスタ星人のキップ(はぐれ個体)によって死んでしまった事を機に、熱い正義感を持つようになった。
彼女が大学時代に発表した論文は「イチノセ・ブレーキ」として世界の常識になっている。
しかし、彼女がウルトラウーマン化してシルバーだったため、世間から嘲笑される事になる。


  • 黒川優司

国際防衛大学2年生の男性。20歳。
円と環の後輩ではあるが、2人がウルトラウーマンになるまで特に面識はなかった。
しかし環に恋をしており、環に取り入るために逃亡していた円を自宅に匿う事になる。
実は前作に登場した菊田裕子の孫。


  • 三上颯太

円の中学時代のクラスメイト。享年15歳。
父親は「モリノモリフーズ」という会社の経営陣の一人であり、裕福な家庭で育てられている。
元々は孤児だったが、子供が欲しかった今の両親に引き取られた過去を持つ。
母は優しかったが、自分の子供が欲しかった父親は颯太を育てる事に気が乗らず、母が死んでからは家庭内不和になっていた。
そんな家庭環境の中で「愛とは何か」を考えていくうちに灰色の世界しか見る事が出来なくなり、高校入学前に自殺した。


  • 二柳日々輝

前作の主人公。
娘の耀子を妻の鈴に預け、太陽系で地球を守っている宇宙警備隊の巡視部隊に所属している。
いわば単身赴任の身であり、かれこれ1年は家に帰っていない。


  • 友利光矢

かつての戦いの裏舞台で活躍していた青年。26歳。
国際防衛大学に編入し卒業、地球防衛軍に就職。
しかし、平隊員として土木建築局に回されており、その現状を不満に感じている。


  • 伊波滴

かつてティアと融合していた女性。26歳。
防衛軍には所属せずにフリーターとして職を転々としており、現在はコンビニでバイト中。
何か考えがあっての事のようだが、彼氏の光矢にも秘密にしているせいで「プー子」呼ばわりされている。



【登場ウルトラマン】

  • メザニン

円が変身したウルトラウーマン。
ファーストでもセカンドでもないメザニンのウルトラウーマン。
今までオペレーションを受けた中で唯一戦士タイプになった事で期待されていたが、オペレーションの失敗により、「セカンドになれなかった出来損ない」と世間で嘲笑されていた。
初戦闘の時からエネルギーが切れかかっても自然と回復する上、戦う怪獣が勝手に死んでしまう現象が起きている。
実は本来メザニンは戦士ではなく聖者であり、回復するのは怪獣と周りにいる人間の生命力をオートで吸収しているから。
つまり、メザニンとの戦いでは怪獣の方に時間制限が出来るのだ。
戦士になったのは同時にオペレーションを受けた環の才能を奪い取ったからである。


  • タマキ

環が変身するウルトラウーマン。セカンド・ステップ。
一風変わった名前だが、これは作中で環が変身する姿に名前が付けられていないため、単なる仮称である。
環が変身者だと周囲に知られているため、地球では「環」、他のウルトラ戦士から「タマキ」と本名で呼ばれている。
体はシルバー一色だったため、世間から「邪心があったから」と言われ続けていたが……?
しかし、実は彼女こそ日々輝以来となる戦士型であり、オペレーションの失敗で環の才能が円に移り、同時に円の聖者の力の制御能力が環に移動してしまったのだ。円が生命力を奪ってしまうのはそのため。
これをどうにかするには一度融合し、分離の際に才能を正しい位置に戻す必要がある。


日々輝が変身するウルトラマンだが、未だにファースト・ステップ。
前作のラスト時点では宇宙警備隊の平隊員の足を引っ張らない程度だったが、8年の歳月を経て地球周辺にいる宇宙警備隊の中で屈指の戦闘力を持つようになった。
フルパワーで放つショルト・ストライクは太陽系に悪影響を与えかねない程。
なお、地球からは「シラヌイ」と呼ばれるのは前作と同じだが、他のウルトラ戦士から「ビッキー」と呼ばれており、作中では誰もデュアルと呼んでいない。


  • ナヴィガーレ/ウンリュウ

前作で光矢と融合した後、キップを監視するため地球で過ごしている。
ティアに一目惚れし、彼女の騎士として行動する。
デュアル同様にナヴィガーレは飛び地側の呼称だったため、現在完全に死語。もはや「ウンリュウ」が正式名称と化している。


光の国の聖女だったウルトラウーマン。
前作で地球を守るため犯した罪のせいで光の国を永久追放され、地球に帰っていた。
さらに兄のブリッジはティアを庇おうと仕事を放棄して光の国に赴いた結果、巡り巡って地球の危機に発展する。


  • バゴ

環と日々輝が配属されている太陽系巡視団一号艇の隊長を務めるウルトラマン。妻子がいる。
地球の文化、特に日本のサブカルチャーに強い関心を抱いており、日夜アニメを鑑賞している。


  • 真のウルトラウーマン

円と環が融合変身して誕生したスーパーウルトラウーマン
融合した事で聖者の力と戦士の力が本来の持ち主が完全に使えるようになった。そういう意味では2人の合体形態であると同時に2人の真の姿と言える。
半人前と半人前が合体してようやく一人前……どころではない力を秘めており、日々輝の自滅覚悟のフルパワーショルト・ストライクを無傷で耐えきる最終兵器ツェーラを一撃で消し飛ばす程。
名前に関しては、伊波松男が「2人で1つのデュアルなヒロイン」と表現していたり、地の文で「真のウルトラウーマン」と表現されるに留まっており、正式な名称は不明。



【登場宇宙人】

  • ディリダ星人

太陽系巡視団の関所を強引に突破して地球と交渉している宇宙人。
そのため、地球人からの印象は悪い。


  • ハウイェ星人

ギャラフィアンを撃退した地球に興味を示し、ディリダより1ヶ月前に地球に来訪。
地球人に気付かれているが、ハウイェが来てから現れる怪獣達はハウェイが外交の一種として仕向けている存在である。
ディリダ星人と手を組み、何かを企んでいるようだが……?


  • ユウナギ星人

正規の手続きを踏んで地球に来た宇宙人。
「墜落の翼に目をつけられた地球が気になる」というが……


  • ヒガン星人

関所での手続きの最中、宇宙船として使っていたツェーラが宇宙警備隊を勝手に攻撃した事で戦争が勃発した。
やはり墜落の翼の事が気になるらしい。


  • リトディ星人

前作では名前だけが明かされていたギャラフィアンの加盟惑星。
ヴェンダリスタ・スタグレングス・カードウを引き連れて地球に赴いた。


タマキの目の前に現れた強大な光の存在。
宇宙警備隊でも迂闊に手が出せないが、果たしてその目的とは……?



【用語】

基本的前作から用語は引き継いでいるため、前作の項目も参照のこと。
ここでは主に新用語について解説する。


  • ウルトラ・オペレーター

前作でティアも使用した「ウルトラ・オペレーション」という超能力を再現する装置。
地球が宇宙人と肩を並べて歩き始める時代……いわばネオフロンティア時代に移行した事により、光の国からウルトラの聖者の力を再現した装置が1台だけ日本の防衛軍に与えられた。
これのおかげで地球人類はいつでもウルトラ戦士に進化できる時代になったのだ。
もちろん、超人化すると一般人では太刀打ち出来なくなるため、厳正な審査の上で選ばれた志願者が受ける事でウルトラマンとなれる。


前作で語られたように、体に赤色があると戦士タイプなのだが、これは日々輝以外には数十人が受けても何故か現れなかった。
国が色々調べて送り込んだ人間であってもシルバー一色なのだ。
前例である初代と日々輝の共通点は正義感が強い事と考え、「オペレーション装置が認める程の正義感がないと戦士型にはなれない」と防衛軍及び世間では噂になっている。


ティアの超能力と違い、一度で一気にセカンドに進化する。つまり人間には二度と戻れない。
ファーストも作れない事もないが、不完全体が生まれる可能性が考えられるため、光の国が推奨していない。


なお、装置がどういう基準で戦士を生み出しているかは不明だが、

  • 主人公の悩みが「人間は自分のためにしか行動できない」というものである事
  • 日々輝と環は誰かのために行動できる事
  • そして作中でウルトラ戦士は宇宙の中で極めて稀な誰かのために勝手に体が動く人種である事が語られている事

……から、他人のために行動できる人間が戦士型になれると思われる。


  • イチノセ・ブレーキ

環が大学在学中に世界中で注目を浴びる事になった論文と世界現象の事。
当時幾ら相応しい人間を選んでも戦士型が生まれなかったため、ファーストまでは人間に戻れる事を利用し、一気に8000人の人間をファーストにして、その中の戦士型のみセカンド、辞退したい者は人間に戻してもらうという下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる戦法を取ろうとしていた。
しかし、環は元に戻れるという保険は地球防衛や正義という大義を汚すという観点から、一気にセカンドにするべきと反論した。
要は`「覚悟無き者は受けるな」}という旨の論文である。
さらに言えばこの計画は素質がなかったファースト数千人を光の国に頼んで一人一人元に戻す必要があるため、向こうの善意に甘えた戦法である事も批判される(ちなみにファーストを人間に戻せる人は光の国でも一部しかいない)。
しかし、本編中敵との交戦が進んでいった事でファースト量産化計画が再始動し、環も「現状やむを得ない」と折れるしかなかった。


  • 惑星ツェーレ

かつて墜落の翼が凶悪な怪獣達を閉じ込め、怪獣の牢獄と化した惑星。
危険な宇宙人に生物兵器として利用されないように宇宙警備隊が監視していたが、エリート部隊のリーダーであるブリッジが妹のために無断帰還したため連携に乱れが生じ、
凶悪な宇宙人たちに怪獣達──作中では「ツェーラ」と呼ばれているが──それらが持ち去られてしまった。


そしてこの星こそ墜落の翼……もとい不落の翼が生まれた星であり、不落の翼がここに怪獣を集めたのは牢獄にするためではなく、怪獣達を争わせる事で進化を促し、自分達の後継者になるであろう第二の不落の翼を生み出させるためであった。
その計画は予期せぬ後継者が登場した事で中止に追い込まれ、現在まで放置されていた。





追記・修正お願いします。


[#include(name=テンプレ2)]

この項目が面白かったなら……\ポチッと/
#vote3(time=600,1)

[#include(name=テンプレ3)]


  • 登場宇宙人も中途半端だし、もっとネタバレに配慮して欲しいね。終盤で明らかになる作品テーマとも言える結論や最後の最後で出てくるその場限りの最終形態とも言えるキャラを他のキャラと一律に書いてたりさ -- 名無しさん (2018-09-30 03:23:14)
  • 立て主の独自研究というか作中で使われていない、勝手な名称が多いですよね -- 名無しさん (2018-09-30 14:10:09)
  • コメント欄で指摘されていた項目の不備を一部修正しました -- 名無しさん (2019-10-15 22:48:45)
  • 2のウンリュウさんマジで可愛いからミラーナイトとかフーマくんとかの爽やか風残念空回りキャラ好きな人ぜひ一度読んでもらいたい 前作の活躍っぷりとのギャップがえぐい -- 名無しさん (2022-12-31 03:10:53)
  • 誤りや独自命名が多かったので、キャラクター名を本文準拠に編集しました。 -- 名無しさん (2023-05-31 09:57:40)

#comment

シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。

コメント

返信元返信をやめる

※ 悪質なユーザーの書き込みは制限します。

最新を表示する

NG表示方式

NGID一覧