登録日:2018/06/19 Tue 02:47:00
更新日:2024/02/26 Mon 13:47:15NEW!
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陰謀論 陰謀 都市伝説 プロパガンダ 情報操作 メディアリテラシー デマ レスバトル 信じるか信じないかはあなた次第 迷信 嘘 論説 陰謀史観 現代の妖怪伝説 エコーチェンバー現象 サイバーカスケード フィルターバブル 循環論法
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<この白紙の建て逃げ項目は一体何なんだ…!?
さっきまでここにはこんな項目なかったぞ!?>
そうか、この建て逃げ項目は…
意味のない荒らし項目で一帯を埋め尽くし、
最後はそれを建前にした全消しによってアニヲタwikiの排除を目論んだ…
冥殿の陰謀だったんだよ!!
もしあなたが十分に大きな嘘を頻繁に繰り返せば、人々は最後にはその嘘を信じるだろう。 嘘によって生じる政治的、経済的、軍事的な結果から人々を保護する国家を維持している限り、 あなたは嘘を使える。 よって、国家のために全ての力を反対意見の抑圧に用いることは極めて重要だ。 真実は嘘の不倶戴天の敵であり、したがって、真実は国家の最大の敵だ。 ――――パウル・ヨーゼフ・ゲッベルス(1897~1945)
陰謀論とは事件や身の回りの出来事を何者かの陰謀によるものであると主張する論説である。
『陰謀の日本中世史』では
- 最終的な勝者が最初から全てを操っていたと考える
- 事件で最も得をした者が犯人と考える
- 批判者側に挙証責任を転嫁する
のような特徴が挙げられている。
▷目次
■最初に
恐怖とは一体どのようなものなのか。
生物にとって何より恐ろしいものは「死」である。
恐怖とはその「死」を齎すかもしれないような脅威から逃れようとする生理的な感覚の発露だと言える。
そして「死」を恐れるがゆえに、人はその「死」、あるいは死んだも同然のような致命的な被害をもたらすかもしれない「未知」を恐れるのだという。
人は恐怖にさらされ続けることで強いストレスを感じる。そのため人々はそのストレスから逃れるために太古の昔から「未知」に対し合理的な説明を与えることでその正体を明らかにしようと躍起になってきたのだ。
その最たるものこそ宗教・スピリチュアル・オカルトである。
原因不明の不思議な現象が起こる。誰それがかくかくしかじかの被害を受けた。
そのような噂が広まると人々は「自分も被害を受けるんじゃないのか」という恐怖に駆られる。それは自分たちを襲っている怪現象の正体がわからないからである。
そんなとき人々はその現象にこんな説明を与えるのだ。「妖怪の仕業に違いない」。
そうして原因のわからない怪現象に当時の人々が何とか合理的な説明を与えようとしてきた結果、
それら怪現象には「妖怪」「神様」という「正体」が与えられ「実態が明らかになった」ことで人々は心の安息を得たのである。つまり昔から「♪妖怪のせいなのね そうなのね」という考え方は存在したわけである。それが「あくまで創作物の中だけ」なのか「本当に信じられている」かの違いはあるけど。
時代は下り、科学が発達すると人々は物事を科学によって解明し、
「この世の理」という人類にとって最大の「未知」を明らかにすることで「恐怖」そのものを駆逐しにかかった。
情報技術が発達し、今まで不正確な伝聞や噂話に頼るしかなかった情報収集は合理化、高速化され、
今やインターネットを通じて正確な情報が地球のどこにいてもリアルタイムで手に入るようになった。
が、それでも人間は「未知」を駆逐することはできなかった。
発達した科学をもってしても、どれほど考察を重ねようとも、説明のつかないことは度々起こるものだ。
情報化が進み、求めている情報が迅速かつピンポイントで手に入りやすくなったが故に、目的の情報以外の情報に目を向けられなくなり視野狭窄に陥りがちなのが我々現代人の性なのだ。
故にその視野の外に新たな未知が生まれる可能性は常に存在し続けている。
未知の領域には未知の「危険」が潜む。
それらに合理的な説明を与え、対処の方法を得たという安心感を得ようとして生まれてきたものこそが「陰謀論」なのである。
■陰謀論ってなんだよ(哲学)
「最近何やってもうまくいかないな…宝くじは外れるし就活はどこ回ってもお祈りされるばっかりだ…」
「こんなに失敗ばっか続くなんて不自然だ! きっと俺を恨んでる誰かが邪魔してるに違いない! これは陰謀だ!」
「「「「な、なんだってー!?」」」」」
このように身の回りの出来事を「誰かの陰謀である」とみなして説明する考え方を「陰謀史観」と呼ぶ。
陰謀論とはこの陰謀史観に基づき、
強権を持つ存在が何らかの動機によって意図的に権力を振るい裏で事象を操ったり真実を隠蔽したりしている
と主張する論説のことである。またこれらを主張する者を陰謀論者と呼ぶ。
古今東西、世界では様々な陰謀・策謀が張り巡らされてきた。
その中には歴史的に有名なものもあるし、そういった陰謀が世に残るような大事件を幾度となく引き起こしてきたのは言うまでもない。
つまり人々の意識の片隅には世界の何処かで今日も陰謀が起こっているかもしれないという漠然とした認識が偏在しているのだと言える。
そうした認識がある中で説明のつかない奇妙な(と当事者が主観的に感じるような)事態に遭遇したとき、
ある人は「果たして偶然なのだろうか」という疑問を抱くかもしれない。偶然に偶然が重なって奇跡が起きたらもう偶然とは思えない。
「実は誰かが裏で糸を引いているんじゃないか?」「実はイカサマなんじゃないか?」という考えに至るのも当然だろう。
それは「偶然」という「未知」から来る「恐怖」から逃避するためだ。
この「『未知』から逃避するためにそれに合理的な説明を与えて『正体』を明らかにする」というプロセスは先述した妖怪誕生のプロセスと共通している。
科学で今まで超自然的存在の仕業とされてきたものの大半が科学現象として説明できるようになってきた今、
その「説明できない怪現象」を引き起こしているのが「超自然的存在ではなく何者かの陰謀だった」という方向にシフトしつつある。
つまり陰謀論は「妖怪という単語をまるっと陰謀という単語に置き換えた怪談のようなもの」だと言えよう。
■陰謀論が広まる理由
冒頭の言葉は、かつてナチスドイツでプロパガンダを担当していた宣伝相、ヨーゼフ・ゲッペルスの語った言葉だとされている。
いかにもバカバカしい、見え見えの嘘と捏造ででっち上げられた陰謀論を吹聴して回る者がいたとしよう。
「嘘に決まってる、信じるわけ無いだろう」
外部から鼻で笑うのは簡単かもれない。
だが、人間には「信じたいものだけを信じ、信じたくないものを信じない」という心理(確証バイアス)があることを認めなければならない。
そうした「信じたいもの」にその陰謀論がぴったり当てはまると話が一気に厄介になる。
陰謀論の大半は「一見しただけでは本当かどうかよく分からない」「一見それらしき根拠がある」ものが多い。
しかし、根拠と言っても、
- (金儲けなどを目的とした)捏造
- 妄想や単なる思い込み
- 斜め読みや読解力不足による事実誤認
- 外国語の誤訳
- 個人の体験や感覚、スピリチュアルなど不可視な概念が根拠で、根拠の真偽が検証困難な物
- 事実なのは確かだが、例外的に注目を集めた事件(ごく僅かな例)だけをピックアップしてそれを一般化している*1
- 危険性があるのは確かだが、大量摂取など常軌を逸した使い方をしなければ問題にならない物*2
- 相関関係と因果関係を誤用する(疑似科学の項目を参照)など、事実は正しくとも陰謀論の真偽とは論理的に繋がらない
等が典型例であり、学会や査読論文に持ち出せば「根拠になっていない」と一笑に付されてしまうものである。
だが、一般人がその「根拠」の質を検証するのは難しい。そのときに、「信じたい情報に根拠がある」時点で本物だと即断することを人間は起こしがちだ。
更に、現代の検索では、閲覧履歴などからアルゴリズムによる予測検索などで、検索者にとって親和的な情報を発見しやすい状況になっている。
本人がたとえ「これ本当なのかな?」と疑うことがあったとしても、検索して皆が検索者の欲しい情報を支持していれば、それを支持する情報ばかりが提示されてしまうのである(エコーチェンバー現象)。
そうして膨れ上がった人々は、周囲の指摘を聞かずネットという開かれた環境の中で閉鎖的なコミュニティを形成して極端な意見に集中してしまい、
「開かれた環境の中でこんなに皆が陰謀論を信じているんだ」という発想から皆が陰謀論を信じ込み始めると言う事態が起きる。(サイバーカスケード)
バカッターなどで生じる「炎上」と発生している結果は異なるが、「広まっていく過程」はこれに非常に近い。
そして最後は勝手に「黙った=反論できなくなった=真実だと認めた」と解釈して「真実である」と主張し始める。*3
もっと凄いことになると、「信じてしまう」以前に「信じなければならない」という事態になることもある。
人々が一斉に陰謀論を信じ込み、まるで雪崩のように一斉に行動し始める。
一斉に陰謀論を信じない人々を陰謀に加担する犯罪者だと攻撃し始めたら?
そしてそういった後先を考えない行動が冷静な人たちをも被害に巻き込みながら取り返しのつかない結果を引き起こしてしまうのだとしたら?
半ば嘘だと認めつつも、「自分も攻撃されたくないから」という理由で同調する人が出てくるかもしれない。いや、同調しない輩は敵だと見做されて殺されるとなったら、もう同調しないわけには行かない。
陰謀論が事実なのかどうかなどもうどうでもいい。信じなければ殺されるので信じなければならない。
デマが真実になった瞬間だ。
こうして周囲の人間が皆「事実だ」と唱え、異を唱えた者が排除されるようになると、それはもはやその集団内における「真実」と化してしまうのである。
そうして作られたのがナチスであり、ソ連であり、ひいてはそれらの根幹にある全体主義思想なのだから。
真実は嘘から錬成できるのである。
■陰謀論対策がうまくいかない理由
- 合理的に判断すれば、陰謀論なんて論破できる?
既に結論の出ている事項であっても、検討過程が膨大すぎて結論だけ伝えざるを得ないということはよくあることである。
長々と専門的で細かい説明が始まったときに、「もういいから結論だけ教えてよ!」って思ったこと、あるいはもう途中からついて行けず上の空になって「あーそういうことね完全に理解した(棒)」となっていたこと、諸氏にも経験があるのではあるまいか?
エビデンスに基づいた合理的な判断というのはその面倒くさい過程の中にあるのである。
そうした面倒くさい過程を人に強いるのは、現実的に非常に難しい。
まして、信じようとしている陰謀論を攻撃されるとなれば、なおのことそういう指摘は面白くなく、本当に届けるべき人々は聞いてくれないのである。
- 証拠をきちんと見せれば、陰謀論なんて論破できる?
残念ながら、たとえ全ての証拠や検討過程を並べられたとしても、何を信じるかは取捨選択できる。
また、その証拠や検討過程にも人の手が入っている以上その人の手について「事実だと周囲が認めようとしないのも陰謀だ!」とでも攻撃してしまえば簡単に無力化されてしまう。
証拠がないと追及したとしても「証拠がないということは黒幕によって隠蔽されたことの証拠に違いない!」という詭弁*4でいくらでもかわされてしまうという問題がある。
加えて現代社会ではプライバシーや守秘義務の問題がある以上、たとえ簡単に説明できることでも、真相を伝えること自体難しい場合が多い。
- 専門家の権威で、陰謀論は論破できる?
人間、他の人より自分が詳しい、と言う快感は大きい。
偉そうに振舞う権力者から、知恵や工夫や努力で一般人が一本取る、というのは古今東西溜飲の下がる物語として定番である。
何十年も知識を積み重ね、権威をひけらかし、自分たちを従えるように振舞う専門家が「無学な一般人」にその専門分野で論破される…と言うのも、まさにそんな構図なのである。
もちろん、一般人が専門家にまともに知識勝負して勝てるはずはないが、陰謀論は「ほら、君にあの生意気で偉そうな専門家にレスバトルで勝てる武器をあげるよ」と、模造刀を伝説の武器のように吹聴して信じ込ませてしまう。
陰謀論は専門家の権威では論破できない、と言うよりも陰謀論は専門家の権威を攻撃するウイルスだと思っていた方が良い。
- 真実をきちんと発信すれば、陰謀論は論破できる?
これには情報の伝播速度の問題が立ちはだかる。
残念ながら真実よりデマが広がる速度のほうが圧倒的に早い。
なぜならデマは反証可能な根拠や証拠がなくても勝手に広まってゆくのに対し、正しい情報はそれが正しいとされる根拠を一つ一つ明示して解説する必要があるからである。
またデマは簡潔かつ刺激的な文面の場合が多いためより拡散されやすい。
専門家の正確だが小難しい場合分けなどを伴う説明より、エセ専門家の要点の検討をすっ飛ばした分かりやすく断定的な説明に飛びついてしまう人々、というのは専門家の悩みの種である。
そうしてデマの拡散速度に訂正の速度が追いつかなくなると、それらは「訂正されないのだから真実に違いない」という薄弱な根拠で既成事実化され、
あたかもそれが真実であるかのような論説となるのである。
Wikipediaも設立当初は「さまざまな人々が情報を持ちよる集合知によって自然と正しい内容が作り上げられるだろう」というスタンスだったが
その分野を専門に研究している大学教授が時間をかけて検証や推敲して記述するよりも
24時間いつでも書き込める暇な素人の方が編集合戦に勝つ仕様だったために現在まで続く出典重視主義に変化していった。
こんな具合に、いくら事実を列挙してしようが、根本となる議論そのものが破綻してしまっているためにそれ以上追求することが不可能になってしまうのだ。
どんなに理路整然と語っても、大人が言葉も分からない赤ん坊を説得することは不可能であるのと同様、
共通の議論土台を持たない者との議論は徒労に終わることが多いのである。
無論こういった陰謀論のすべてが根拠のないデマや妄想のたぐいだと言い切ることはできない。
中にはきちんと検証や議論を重ねた上で信用に足るような証拠や論拠の提示されたものもあるし(後述)、また中には事実であるにもかかわらず「根拠のない陰謀説だ」と黙殺されそうになった例だって存在する。
過去にそのような事実があった以上、陰謀論の全てを嘘として切って捨ててしまう訳にはいかない。
だからこそ、陰謀論は今日まで根強いのである。
仮説と陰謀論は「可能性を論じるのか、結論を断定するのか」「何に基づいて取り上げるのか」などで差別化されるが、
歴史学において仮説を立てて検証していくとなれば、仮説段階の歴史上の説は根拠のない陰謀論と区別がつけにくい。
発案者としてはあくまでもこれから検証していくべき仮説として扱っていたのに、周囲の支持者がヒートアップして陰謀論と化し、
発案者がなまじ高名な学者だったために「この話には権威ある学者による裏付けがある!」とされてしまうことも考えられる。
日本には言論や学問の自由がある以上、明らかな犯罪行為でもない限り、陰謀説であると言うことの一事を持って取り締まることは原則としてできないのである。
結局の所本当に信用できるかどうかに関しては究極的には自分の目で確かめてみる他ないのだ。
…が、歴史の彼方で史料不足だったり、国家のような大組織であれば全貌が見えず、当事者ですら全貌が分からなかったりで目で確かめることはほぼ不可能なジャンルも多い。
陰謀論を根絶するにはそれこそ全知の神にでもなるしかないのである。
■陰謀論の害
陰謀論と言っても、界隈で話のネタとして盛り上がっているだけならばさほどの害はない場合も多い。
例えば本能寺の変が誰かの陰謀だったとしても、歴史学者でもない現代の一般市民にとっては単なる話のネタで済ませることができる。
しかし、こうした陰謀論の中には、「真実だとすれば」現代の政治や重大事件、個人の権利に関わる重大なものも多い。
こうした陰謀論を信じた者たちは見えない陰謀を排除しようとして、陰謀関係者とされる人物や組織を攻撃・差別・迫害することがある。
陰謀は大概の場合「悪」が絡むので、こうした悪への攻撃という体裁になってしまうと、人々の自制心も弱まってしまいがちである。
もちろん政治は陰謀論に基づいた加害者も犯罪者として取り締まり、また被害者に償わせることが責務である。
しかし、実体のない陰謀論においてはこうした政治による正当な取り締まりをも「政治も陰謀に取り込まれている!」と言う形で陰謀論に取り込んでしまい、国家に対しての国民の信頼をも奪っていく。
政府を国民が信頼しなくなるということは、人々は自分で自分を守ろうとして攻撃的にならざるを得なくなり、社会の治安を大いに乱すことになる。
また、加害が起こる前に何とかしようとして陰謀論自体を取り締まろうとすると、今度は学問の自由や言論の自由を侵害し、真実だった陰謀論が隠蔽されるなどの大きな副作用も生まれてしまうのである。
なぜ学問の自由や言論の自由を認めない国が多かったのかと言えば、こうした根拠のない陰謀論が蔓延することで、取り返しのつかない事態が起きることを恐れざるをえなかったという面がある。
そうした危険は、現代に至っても消えるものではない。むしろインターネットの普及で拡散するスピードは桁違いになったという点では危険は増したのだ。
また、あまりにもこうした陰謀論に染まり切ってしまった人の周囲では、人間関係が崩壊してしまったケースもある。
友人だけでなく家庭内でも話が通じないばかりか、陰謀論を熱心に布教しはじめてしまう。
結果、SNSでの陰謀論仲間以外の家族や友人と言った人付き合いが全て崩壊し、一人ぼっちになってしまう人も報告されるようになってきた。
特に最近は新型コロナウイルスで多くの人が家にこもってネットを見るようになったため、陰謀論にはまる人が増えたとも言われる。
更に、陰謀論を信じ込んで「真実を知る自分が動かなければ!」などと現実の活動に移そうとし、犯罪や不法行為と言う形で法的責任を問われてしまうケースさえもある。
一度陰謀論にはまってしまった人の目を覚まさせるのは公的機関の力をもってしても容易なことではなく、ヒートアップする本人と裏腹に周囲は疲弊する一方なのだ。
■陰謀論にはまりやすい人
人間誰しも陰謀論絡みの騒ぎを見る度に「自分は知識や教養があるから大丈夫」「陰謀論は知識の乏しい情弱や落ちこぼれの類が嵌まるもの」とついつい考えがちではないだろうか。
無知な人ほどはまりやすいタイプの陰謀論も多いが、教養や知識があれば陰謀論にはまらないということはない。
もっと正確に言えば、陰謀論を正確に見抜けるほどの教養や知識を持っている人はほとんどいない。
学界の最先端研究ですら毎年のように更新され、小中学校の教科書も20年前と今では内容が大分違う。
新しい知識が単なる陰謀論か学界で注目される最先端研究の成果かなんて、研究者ではない一般人が市販の本を読んで得た教養や知識で簡単に区別できるものではない。
しかも学問において「ジャンル」はいくつもあり、ありとあらゆるジャンルについて最先端の知識を得るのは研究者であっても不可能である。
それどころか、知識や教養のある人というのはえてして知的好奇心旺盛で常に新しい知識の刺激を求めていることが多い。
そういう人ほど、新しい視点を提供してくれる陰謀論は既存の知識と比べて刺激的なため、陰謀論にはまりやすいともいわれているのだ。
そうすると、はまりやすいはまりにくいの問題ではなく陰謀論にはまる危険性は誰にでもあると思うべきだろう。
むろん、この項目の読者であるあなたも例外ではない。
■知り合いが陰謀論にはまってしまったら
家族や知り合いが陰謀論者になって布教をはじめ、周囲を辟易させるようになってしまった場合、何とかしたいと考える者も多い。
だが、実の所こうした陰謀論から他人を脱却させる特効薬的な方法は見つかっていない。
脱却させるには陰謀論者自身に間違いに気づいてもらわなければならないが、外部から気付かせることは至難だ。
陰謀論者を「正しい知識や論理で説得する」のは正攻法に見えて、余計に頑なになって逆効果になることが少なくない。
陰謀論はそうした知識や論理を攻撃することで注目を集めるものが多く、説得のための知識や論理など既に陰謀論者の中では潰されていて今更効果がない場合が多いのだ。
また、薄々誤りに気付いても人間誰しも「誤っている自分を認めたくない」という心理もあり、もっと頑なになれば周りを敵視した挙句結局「自分の支持する考えを認めてくれる」陰謀論コミュニティに引きこもってしまうことになる。
陰謀論コミュニティはインターネットを通じている。今の時代、インターネットから切り離すのはほぼ不可能だ。
周囲としては、あえて陰謀論を否定せず受容の態度を示しながら話す…要は相手の主張にその場だけ乗るのが比較的効果があると言われている。
ただ、陰謀論を否定せず話を聞きつづけるというのは非常に根気がいるし、効果が出るのが5年先10年先となってしまうこともある。
問題行為を起こした場合、家族が「お前の家族だろう!」と責められることもある。
効果があるかも分からない根気のいる作業を何年も続けて、それでも維持すべき人間関係などそうある物ではない。
辛いかもしれないが、「陰謀論者を見放す」という選択肢は常に頭の隅にとどめておこう。
面倒な人との関係を切ることは、別に悪でも何でもない。
でないと自分が疲れ果てるか、最悪自分まで陰謀論に取り込まれかねないのだ。
■有名な陰謀論
魔女
かなり古いタイプの陰謀論。
「悪魔と契約した魔女が人々の間に紛れ込み災いをもたらしている」とする説で、最も歴史の古い陰謀論の1つ。
ペストやコレラといった伝染病の正体がよくわかっていなかった当時「大規模な疫病は魔女の仕業だ!」とする陰謀論はキリスト教社会で爆発的に拡散。
最終的には原因の分からない災害や怪現象なども深く検証されないまま「全部魔女の仕業に違いない」と決めつけられてしまい、結果有効な対処も取られずに被害を広げたばかりか関係ない人間まで巻き込んで殺されるような事態まで発生した。
その歪みが最悪の形で爆発した典型的な例こそがセイラム魔女裁判である。
日本でいうと「犬神憑き」や「管狐」といった伝承がそれに当たる。
妖怪や神様といった超自然的な存在への信仰と陰謀論が実は同じものを根源としていることが如実に現れた例だと言えるだろう。
魔法といういくらでも想像の余地がある要素もあいまって創作のネタにされる機会がこれまた多い。
あのおジャ魔女どれみシリーズの基本設定も魔女の陰謀論説を如実に描いた『魔女がいっぱい』という『夢のチョコレート工場』の作者ロアルド・ダールの小説が基になっている。
なおピンと来ない人は「魔女」という単語を「敵国の工作員」という言葉に置き換えてみよう。現代的な陰謀論の出来上がりである。
宇宙人陰謀説
「宇宙人はすでに地球にやってきているが政府はそれを隠蔽しており、各地で起きている怪事件にも宇宙人が関与している」、あるいは「邪悪な宇宙人の陰謀によって世界は裏から支配されている」とする陰謀論。
有名なのはロズウェル事件だろう。アメリカに墜落したUFOを政府は極秘で回収しており、その超技術を独占するために宇宙人の存在を隠蔽しているという説である。またこれに絡んで正体不明の黒ずくめのエージェント(メン・イン・ブラック)が暗躍して事件の隠蔽や目撃者に対する口封じの脅迫、抹殺などを行っているとする説も唱えられている。
逆に「宇宙人という虚構の存在を演出することで恐怖と不安を煽り団結を呼びかけるという手法で人々を洗脳しようとしている」という陰謀説が唱えられることも。
これもそのわかりやすい「体制組織の抱える歴史の暗部」という構図からSFなどの創作作品で古くから用いられてきた題材。
またメン・イン・ブラックはいわゆるサングラスと黒いスーツを纏った黒ずくめスタイルが創作における典型的な秘密結社の工作員の姿として一般化するきっかけとなった存在であり、今日における創作への影響は非常に大きいと言える。*5
アポロ陰謀論
上述した宇宙人陰謀説の一部に当たるパターン*6と、月着陸が完全な捏造とするパターンがある。
後者は月面に立てたアメリカ国旗が空気も無いのにはためく、月面で撮った写真に星が映っていない、そもそも写真の大部分が非公開だったりと怪しむに充分。
……と言いたいが実態は、「空気が無くとも慣性は存在する」「カメラの露出の問題」「持ってったカメラにファインダーが無いので撮りそこないまくり」とつまらない現実が立ちはだかる。
前者にしたって元ネタは「生還したことへの喜びをジョークを交えて語った一言」だったりする。
バン・アレン帯からキューブリックまでバリエーションも豊か。
単体では(あまり)害が無いので、トンデモとしての陰謀論入門にはお勧めな素材。
新世界秩序陰謀説
特定の権力者や秘密結社によって世界は裏から操られているとする説。
陰謀論に詳しくない者でも、「フリーメイソン陰謀論」や「イルミナティ陰謀論」などは一度は耳にしたことがあるだろう。
ロックフェラー財団やロスチャイルド家といった実在の権力者・大富豪・ユダヤ人・フリーメイソンやイルミナティなどの秘密結社*7、
極端な例になると、存在が確認されていない300人委員会といった組織・宇宙人・人型爬虫類(レプティリアン)・悪魔などが影で糸を引いているとされる。
「大量殺戮で人口を削減しようしている」「人類の奴隷化を企んでいる」「悪魔を崇拝している」など、他の陰謀論と絡められることも多い。
わかりやすい「陰謀を巡らせる悪の組織」と「支配される弱者」という構図から創作のネタとして古くから用いられてきた。
レプティリアン陰謀説
人型爬虫類であるレプティリアンが実在しており、世界で暗躍しているとする説。
レプティリアンの正体は、爬虫類が進化した知的生命体もしくは宇宙人や霊的な存在とされる。
同時に「人間に擬態して活動している*8」「人間を喰らう」「人間の奴隷(または家畜)化を目論んでいる」「人間の霊的な進化を妨害するために活動する」といった内容がよく語られる。
ユダヤ陰謀論
多分「陰謀論」としては世界一有名なもの。
大きく2パターンあり、「ユダヤ人が○○を企んでいる」とするものと、「△△(犯罪者、嫌いな相手など)はユダヤ人と繋がっている」という主張に分かれる。
ユダヤ人は宗教的、経済的、地理的理由などここにはとても書ききれない複雑な経緯で差別されてきたが、それを正当化するために生み出されたのが前者。
反ユダヤ主義自体は紀元前から現代まで、様々な文化圏に存在するが、ユダヤ陰謀論という場合は中近世から現代のヨーロッパにおけるものを差すことが多い。というか主にナチスドイツ。
その経緯の複雑から陰謀論も一筋縄では語れないが、例を挙げると、
「自分たちキリスト教徒が貧乏なのはユダヤ人移民がキリスト教の規範を無視してあくどく儲けているから」
「ユダヤ人は紙とペンで金を巻き上げる詐欺師*9」
「我々ドイツ人はユダヤ人に支配されている」
「ユダヤ人は日々、イエスの御身において神を侮辱し冒涜し、イエスを罪人、魔術師、首吊り人と呼び、キリスト教徒を愚かな異教徒と見下している」(16世紀のヘブライ語学者の言葉)
「ユダヤ人による財閥が世界経済を牛耳っており、(主張者が敵視する相手)にはそこから金が流れている」
といったもの。
先述の新世界秩序陰謀説と一緒に語られる場合も多い。
ジョン・F・ケネディ暗殺陰謀説
陰謀説という言葉が世に広まるきっかけとなった大事件。
主犯とされるリー・ハーヴェイ・オズワルド容疑者の動機が不明だったことや、ケネディの大統領という立場、そしてオズワルド自身も直後に暗殺されたことなどから、「様々な組織や人物による陰謀によってケネディは暗殺された」とする言説が流れた。
死の一年ほど前にケネディとの不倫関係で騒ぎを起こしたマリリン・モンローが不審な死を遂げており、当時シカゴマフィアとの関係も噂されていたこともあって様々な憶測が飛び交うこととなった。
ケネディ自身もトンキン湾事件やカストロ暗殺計画などの暗部に関わっていたとされ、未だに暗殺事件の真相に関する議論が絶えない。
キング牧師暗殺陰謀説
こちらも著名な陰謀説。
キング牧師ことマーチン・ルーサー・キングJrは非暴力不服従を合言葉に黒人差別撤廃を掲げて精力的に活動していたが、1968年、脱獄囚として追われていた凶悪犯罪者のジェームズ・アール・レイに狙撃され死亡した。しかしFBIによる全力の捜査網をすり抜けて国外逃亡に成功していることやロンドンでレイ容疑者が逮捕されるまで何者かが資金提供や偽造パスポートの用意など支援を行ったらしい形跡があること、キング牧師と面識すらなかったレイ容疑者が何故脱獄して逃走中という時に突然キング牧師の暗殺を思い立ったのか*10など多くの謎を残したままレイ容疑者も1998年に獄中で死亡。真相は闇に葬られた。
絶大な影響力を持った黒人の公民権運動家というだけでKKK*11といった危険な組織だけでなく一般白人からも目の敵にされる立場であったことや、晩年は活動に対する意見のすれ違いからマルコムX率いる急進左派*12やネーション・オブ・イスラム*13等の過激派反白人集団との対立も深まっていた事、
さらには活動監視のためにCIAやFBIも暗躍していた*14事実などから死後は様々な陰謀説が飛び交った。
このように対立する組織や政敵が多数考えられる人物が殺害されたり急死したりすると「敵対勢力に暗殺されたのでは」とする陰謀説が広まりやすい。
本能寺の変陰謀説
実は首謀者は明智光秀ではなく、織田を追い落として権力奪取を図った徳川や豊臣勢力、朝廷など真の黒幕による陰謀だったのではないかとする説。
主犯とされた光秀の謀反の動機が明らかになっておらず、また関係者の動向にも不自然な点があるとの指摘から根強く主張されており、歴史小説などでも度々題材にされる。
ノストラダムスの予言
1970年代に五島勉の著書をきっかけに一大オカルトブームを引き起こした陰謀論。
ノストラダムスの予言によって今まで起こった事件はすでに予言されていたとする主張をベースに、「ノストラダムスはこう予言している」という形で展開される陰謀論。
マヤ文明の遺跡に世界滅亡の日が予言されているとか、
ヨハネの黙示録に書かれた神と悪魔の戦いとは核戦争のメタファーだったといった類似の論説も多数存在する、ある種のテンプレ形式となっている。
在日陰謀説
「韓国や北朝鮮を擁護する言説や国内の反日活動、リベラル活動を、在日韓国人や北朝鮮のフロント組織である朝鮮総連が扇動している」とする陰謀論。在日とはこの界隈では中国・韓国・北朝鮮にルーツを持つ人のみを指す。
特に朝鮮総連に関しては実際に祖国防衛隊*15の起こした各事件*16や文世光事件*17といった凶悪事件やテロ活動に構成員が関与していたことが明らかになっており、現在破壊活動防止法に基づいて公安調査庁にマークされていることもブラックな陰謀論が広まる一因となっている。
そもそも破壊活動防止法が制定されたのはこれらのテロ事件が切っ掛け。
関東大震災の頃にも「朝鮮人が井戸に毒を流した」「朝鮮人が各地で強盗、略奪、放火を行っている」とするデマで集団虐殺事件が発生するなど、朝鮮半島出身者を見下したり差別したりする風潮・思想はかなり昔から日本人に存在していると言える。
もっとも現代では、単に自分の気に食わないものを叩く口実にされている場合も多い。
デリケートな話題なので詳しい言及は避けるが、日本では「反日的」な態度だとされた組織や人物を北朝鮮や韓国などと結びつけ、陰謀説が展開されることがある。*18
一例として、朝鮮学校等に好意的な主張をした弁護士や、在日コリアンの弁護士*19に対して懲戒請求*20をする運動が起こった。
しかし、第一に彼の発言とされるものは言論・表現の自由の域を出るものではなく、その上当の弁護士はそもそもその主張自体をしていなかった。訳の分からない懲戒請求をされて対処に追われる羽目になった弁護士が懲戒請求者を提訴し、懲戒請求者が裁判所で敗訴する事態にもなった。
これは陰謀論が個人に対する加害行為と、信じた者への責任追及として現れた日本の例として悪い意味で模範的な例の一つ。
…しかしこれはまだ根拠のあるマシな陰謀論で、ネット上などでは朝鮮の「ち」も出ていない相手に対して、「あいつは在日コリアンだ」などと主張して批判する例も多々見られる。
要はユダヤ陰謀論の日本版である。
似たような例では新興宗教団体などがやり玉に上げられることもあるが、こちらも事実関係が不明な物も多く注意が必要。
江戸しぐさ
江戸時代には現代には伝わっていないマナーが存在し、それが失伝している理由は新政府が江戸人を殺戮したためという陰謀論。
だが、江戸時代の生活様式にそぐわないマナーが多く、後世での創作という説が有力である。
陰謀というかトンデモの類か。
詳細は個別記事参照。
「和多志」陰謀論
日本人の一人称である「私」に関する陰謀論。
本来「私」は、「和多志」という暴走族の当て字のような美しい意味を持つ漢字で書かれていたのだが、GHQが「私」という字に置き換えさせたと言う陰謀論。
戦前の文献から、直筆のものも含めて一人称「和多志」と書かれたものがまるで見当たらないことから一笑に付されている(「私」は簡単に見つかる)。
「和多志」と言う言葉は存在するが、それは古代日本の山神である大山津見神の別名「和多志大神」であり、一人称ではない。
また、GHQが日本人の国語教育について「漢字はややこしく覚え辛い。アルファベットだけで表記できるローマ字にしよう」という意見があったのは確かだが、日本人の識字率は元々高く、取りやめになっている。
アメリカ同時多発テロ事件陰謀説
9.11テロの発生は事前に察知していたが故意に見逃した、もしくはアメリカの自作自演であるとする陰謀論。
「設計上、航空機の突入では世界貿易センタービルは崩壊しないはずである」
「崩壊するまでの時間が早すぎる。これは内部に仕掛けられた爆薬によるものである」
等々、数多くの『根拠』が挙げられているが、
「火災による耐久度の低下など、複数要因によって崩壊した」
「実際の崩壊速度は自然であり、そもそも『陰謀』程度に収まるまで周囲に知られず大量の爆薬を設置するのは不可能」
などの再反論も多く、当然ながら実際に詳細な分析なども報告されている(陰謀論者はそれも陰謀の一環だとはねつけるが)。
また細部の『疑惑』をまとめてひとつの陰謀があったとすると、
「世界貿易センタービルでは爆薬を仕掛けながらハイジャックも装い、ペンタンゴンにはミサイルを撃ち込みながらこちらも架空の犯人と被害者まで用意してハイジャックを持ち出し、わざわざ無駄に関係者を増やすことで露呈のリスクを跳ね上がらせる」
……など、無理のある展開になりがちなことも指摘されている。
そもそもこの手の国家規模の陰謀論に共通することだが、本当に陰謀がおこなわれていた場合、
『政府上層部から末端の人間に至るまで三桁四桁、下手すればそれ以上の数の人間が悲惨な事態を引き起こす陰謀に加担し、計画中も計画後もかたくなに秘密を守っている。
そしてまことしやかに「真実」が語られるのみという程度にはカバーストーリーのための証拠が完璧に揃えられ、それらが破綻もせず何十年も世界を騙し続けている』
ということになってしまう。
特定政府機関や宗教団体や民族などが陰謀の主体となるわけだが、当の彼らからすれば「実際にそんな権力がありゃ苦労しないよ……」という話ではないだろうか。
真珠湾攻撃陰謀説
真珠湾攻撃は戦術的にはアメリカ太平洋艦隊に大打撃を与えて日本の成功裏に終わったが、反面アメリカ世論を激怒させ、アメリカの本格参戦を招いた。
このことから、「真珠湾攻撃は日本軍の攻撃を察知したアメリカがわざと攻撃させ、アメリカ参戦の大義名分を作った」自作自演だったというもの。攻撃は日本が勝手にやったのに自作自演というのもアレだけど
攻撃の大義名分を作るためだったという外にも、「日本軍の暗号を解読していることをバレる方を恐れた」等というバリエーションがある。
記録は多いのだが、関与者が非常に多く、各人に思惑があり得るためややこしい。
攻撃時に真珠湾に滞留していたのが殆ど戦艦でアメリカ側の空母が出払っており、それが後に対日反攻のきっかけとなるなど根拠も多いのだが、そもそも空母が現代戦の主力となるきっかけとなったのはこの真珠湾攻撃自体であるなどこれもかなり無理があると言える。
ちなみに後にアメリカ軍はベトナム戦争の時に「トンキン湾事件」というマッチポンプ(後述)を実際にしでかしており、またCIAに絡んだブラックな反共の陰謀を多数繰り広げていたことも分かっている。
「背後の一突き」陰謀説
第一次世界大戦でのドイツの敗因を共産党などの左派政党・勢力やユダヤ人に帰した陰謀論。
具体的には「前線で将兵は果敢に戦っていたが、左派やユダヤ人に扇動された政府が軍を裏切り、背後から突き刺したのだ」というもの。
匕首伝説などとも。
ドイツやオーストリアでは大衆は経済的に苦痛を強いられ末期にはデモやストライキが頻発した一方で国内が戦場とならず、
(国内の大衆にとっては)軍事的な敗北の兆候を感じられないまま唐突な革命騒動で政治体制が激変し講和条約を結ばれた。
そのため革命に主導的であった陣営・政治家への攻撃や敗戦の責任転嫁や戦後の政治不信などを理由に大戦後に広く唱えられ受容された。
ナチス台頭の下地の一つとなった陰謀論であり、また第二次世界大戦では「背後の一突きとか二度と言わせない、今度こそ正面から殴り倒す」という空気が連合国にあったとか。
ラストバタリオン陰謀説
ラストバタリオンとはアドルフ・ヒトラーが最後の演説の中で言及したとされる謎の組織。
ナチスの精鋭部隊とされるがその実態はおろか実在するのかどうかすら不明であり、「実はナチスは滅んでおらず生き残ったラストバタリオンがどこかで復活の機会をうかがって暗躍している」という陰謀説は有名。
「復活を目指して暗躍する滅んだはずの組織」というこれまた分かりやすい構図から創作作品でも目にする機会は多い。
客船タイタニック号沈没事故
「タイタニック号を所有していたホワイト・スター・ライン社が当時財政難に陥っていたため、保険金目当てでわざと事故を起こした」
「沈没したのは実は姉妹船オリンピック号で、以前に何度か事故を起こし損傷していたオリンピック号を廃棄するついでにタイタニック号とすり替えられていた」
といった説が唱えられている。
「WSL社に深く関係している者が出港直前に乗船をキャンセルしている」「タイタニック号とされる写真をよく見るとオリンピック号の特徴と一致する」
「事前に周囲の船から氷山警報を何度も受けていたにもかかわらず、進路変更も減速もしなかった」「双眼鏡が本来あるべき所に無かったせいで氷山発見が遅れた」
等といった状況証拠はあるが、反論も多く存在している*21。
普通に考えても『保険金が出たところで遺族への見舞金と大事故による信用低下でトントンではないか』『オリンピック号とタイタニック号は外見上だけでも結構差異があり、またタイタニック号遭難の2ヵ月前にも事故を起こしているため、そんな短時間で外見をタイタニック号に合わせる工事などできるのか』といった点があり、
現実的には都市伝説の域を出ていない。
イタビア航空870便墜落事故、他
イタビア航空870便事故は1980年6月にイタリアで発生した航空事故。
みんな大好き「メーデー!:航空機事故の真実と真相」シーズン11でも映像化されている。
「パイロットに『異常発生』などの発言・通信がなく、機体にトラブルが起きたとは考えにくい」「事故の瞬間の直前~直後にレーダーに別の飛行物体が映った」「機体の残骸を回収・再組立しての調査を行ったところ、『機体の外側から致命的な破壊が起きた』ことが推定される知見が得られた」
などの点から「軍による空対空ミサイルの誤射により、機体にミサイルが直撃。致命的な構造破壊が発生して墜落」と推測されたものの、証拠不十分などで確定はしなかった*22ため「イタリア軍による隠蔽工作が行われた」「そもそもイタリア軍とは別に『870便を撃墜した』軍事組織ないし団体がいる」などの陰謀論が飛び交った。
本件以外にも「旅客機の大事故」は陰謀論と相性が良いらしく、「日航123便事故*23の自衛隊誤射説・米軍誤射説」「TWA800便(映画『ファイナル・デスティネーション』のモチーフになった事故*24)のミサイル撃墜説」「ダグ・ハマーショルド国連事務総長の死(公務で乗ったチャーター便が墜落して死去)はパイロットエラーによる墜落*25ではなく、事務総長暗殺事件」「カチンの森事件*26の慰霊式典に参加予定だったポーランド大統領夫妻及び政府要人の搭乗した航空機が突如墜落したポーランド空軍Tu-154墜落事故」など枚挙にいとまがない。
リアルの「国家による民間機撃墜」であった大韓航空機撃墜事件や大韓航空機爆破事件の経緯を見ると「航空機関係、ガチの破壊工作はすぐバレるし誤魔化せない」ということがわかるのである。
赤十字の献血の闇
赤十字社が献血で無料で集めた血液を病院に高値で売っており、その権益を守るために実は既に本物の血液の代わりになる代替液を発明済みなのだが赤十字がそれを闇に葬っている…どころか
薄めた海水が輸血の代わりになることを伏せさせている、というもの。
仮に大量に失血した人間に対して輸血の代わりに純粋な水を投与すると、浸透圧の原理で体液の成分が細胞から抜き取られて死に至るが
血液と同等の塩分濃度であれば釣り合うため、確かに血管内で循環する分には問題はない。
ただしその塩水はあくまで塩分濃度が同じだけで、血小板や赤血球のような体内に酸素や栄養分を行き渡らせる成分はないので、低下した血圧を補って脱水や血流循環だけは確保するものの、無いよりマシなだけで限度を超えると死ぬ。
第二次大戦中に輸血が確保できないので調整した生理食塩水を投与して兵士を助けた事例はあるし、
それを元ネタに『ゴルゴ13』でゴルゴが食塩と水で自分の失血を補う話もあるが、あくまで非常時のその場しのぎで血液の代替にはならない。
まして海水なんて危険な雑菌や有害物質が含まれることも珍しくないためこんなもんを輸血したら結果はお察しである。
赤十字社が集めた血液を売っているのも事実だがそこまでにかかる経費や運営費を考えれば暴利という価格でもない。
有名人死亡説・影武者説
とある人物は既に死亡*27しており、影武者にすり替わっているという物。
政治家や実業家などのいわゆる権力者や芸能人など社会的な影響力を持つ人物が噂の対象になりやすい。
昭和天皇に代表される皇族替玉説、金正恩影武者説、ウラジーミル・プーチン影武者説等が有名。
危険性隠蔽論
ある物品に対して、危険性が明らかであるにもかかわらず当該物品の流通を停止させられる事による既得権益の喪失を恐れた企業や権力者が組織ぐるみでその事実の隠蔽を図っているとする説。
食品や添加物、薬品(麻薬なども含む)、医療行為、生活必需品、嗜好品、娯楽など、ありとあらゆる物がこの陰謀論の対象となる。
例えば遺伝子組み換え食品*28や人工甘味料に発ガン性があるという主張は耳にする機会も多いだろう*29。
陰謀論では「発ガン性があるという研究結果を政府と癒着した企業が隠蔽して揉み消し、既得権益を守ろうとしている」と主張されるのだ。
このタイプで近年目立つのは、「新型コロナワクチンは有害物質の塊なのに政府と企業は利益のために真実を隠蔽して接種を行わせている」といった反ワクチン運動であろうか。
また、最近では「昆虫食危険論」が界隈を賑やかしている。
有効性隠蔽論
上記とは真逆のパターンだが、ある物品に対して、有効性が明らかであるにもかかわらず自らが権益を持つ製品との競合や政治的な面子を潰されることによる既得権益の喪失を恐れた企業や権力者が組織ぐるみでその事実の隠蔽を図っているとする説。ある意味上記の危険性隠蔽論と表裏一体とも言え、「危険性を隠蔽しつつ安全な代替手段の存在を握り潰して既得権益を守ろうとしている」という形の主張も多い。
こちらも食品や添加物、薬品(麻薬なども含む)、医療行為、生活必需品、嗜好品、娯楽など、ありとあらゆる物がこの陰謀論の対象にできる。
特に医学的に認められていない代替医療や麻薬など規制が厳しい物が挙げられることが多い。
近年では反ワクチン陰謀論とのセットで流布される「イベルメクチン*30がコロナウイルス感染症に有効であるという事実*31を政府が製薬会社と癒着して握り潰し、治療薬承認を妨害している」などとする主張が該当する。
上級国民不逮捕陰謀論
社会的に高い地位にある人物(または親族)が罪を犯しても中々逮捕されないことを理由に、「上級国民だから忖度されて逮捕されない」という言説。
創作などでは権力者の計らいで犯罪が揉み消される話がしばしばあるが、現実でもとある事件をきっかけに劇的に広まり、「上級国民」は流行語大賞にノミネートされるに至った*32。
法律上、犯罪の捜査は逮捕や勾留をせずに行われるのが原則であり、逮捕や勾留はあくまで被疑者が逃亡や証拠隠滅をするリスクを防ぐために行う。
そうした恐れがないと判断すれば、捜査機関も逮捕令状を要求したりしないし、したとしても裁判所に却下されてしまうのである。
また、逮捕と量刑に相関関係は無いが、「逮捕されない=罪が軽んじられている」という誤った認識があることが最大の原因と言える。
社会的地位の高い人物は、基本的に住処がハッキリしているし、周囲の人間に注視されやすく、高齢者が多いため移送のリスク*33も高くなりやすい。
何より社会的地位が高いほど、逃亡することで失うものは多いため逃亡が割に合わない=逃亡のリスクは小さいと判断される。
つまり、「社会的地位の高い上級国民だから逮捕されない」というのはある種の事実だが、合理的な理由でその傾向が生じているだけである。
もちろん一概に逮捕されないわけではなく、野放しにしてしまうと証拠隠滅や逃亡が考えられる事案であったり、精神面が正常でなく信用に足らない状態だったりしたら逮捕されることになるだろう。
逆に、痴漢冤罪などでは逃亡の恐れが安易に認められ、逮捕・勾留され過ぎているのではないかという「人質司法」の問題もあるが、こちらは弁護士などの専門家から問題提起がされている所である。
これに関してはそもそも逮捕=罰であるという誤解が浸透してしまっている現状にも問題がある(本来は「被疑者」の時点では犯罪者とはみなされないのだが、一般的な認識として「被疑者」と「犯人」がイコールになってしまっている)。
集団ストーカー
「自分はとある組織の工作員等による集団ストーカーに付きまとわれている」とする主張。
電磁波兵器や思考盗聴などによって攻撃を受けているという内容が同時に主張されることも。
お分かりだろうがこんな支離滅裂な内容が実際にあるわけがなく、これらは重度の統合失調症患者に起こる典型的な被害妄想症状としてよく報告されるものである*34。
ブログやSNSなどで大真面目にこんな夢物語を真実だと思い込んで主張している者もおり、また同じように被害妄想に取り憑かれた者と合流して更なる主張や活動に発展するケースも確認されている。
またこのような主張をインターネットに投稿した結果、ネット掲示板を利用するDQNまがいの連中に目をつけられ、面白半分で時に違法行為すらも伴った嫌がらせやいたずらを繰り返されるという本物の集団ストーカー行為にまで発展してしまった例もある。
なお後述する「桶川ストーカー殺人事件」が、本物の集団ストーカーだった例として主に集団ストーカーの実在を確信する人間から主張されることがある。
環境問題に関する陰謀論
ある環境問題の原因が特定の国家、企業等によるものだったり、逆に実在しない環境問題がでっち上げられていると主張する陰謀論。
前者の例としてはかつての公害問題が挙げられ、元凶とされた企業の一部が陰謀を主張していた。
後者の例としては地球温暖化が捏造である、あるいは温暖化は事実だが人類の活動とは無関係とする温暖化陰謀論が有名どころだろう。
環境問題の特徴としては、問題の原因が発生してから実際に影響が出るまでに数年、場合によっては数十年以上もかかる場合があること、原因が単一であることは少なく、様々な要素が複合的に作用して発生する場合が多いことだろう。
因果関係が証明されるまでに時間を要するうえ、実は原因は他にある、という主張も展開しやすいため、陰謀論が主張されやすい分野であると言える。
環境問題対策として行われる政策に、生活の不便を強いるものが含まれることも反発を呼びやすい理由であると思われる。
また、近年では環境問題の提起と称して美術品や観光名所の汚損を行うなど、完全に手段と目的を取り違えた(自称)環境活動化による迷惑行為も問題となっており、彼らに対する反発も陰謀論を助長する一因となっているようである。
エネルギー陰謀論
環境問題と密接に関わるエネルギーにも陰謀論は存在する。
最も有名なものは、「石油はあと●●年で枯渇する」という予測が、原油価格を釣り上げたい中東の産油国、中東諸国の力を削ぎたい欧米の陰謀によるでっち上げだというものだろう*35。
1970年代のオイルショック時にあと30~40年程度で枯渇すると言われた石油が、約50年経過した現在でも豊富に存在することが根拠とされることが多い。
しかし年数の元データとなっている採掘可能な埋蔵量とは、「発見されている」原油のうち、「その時点の技術」で「経済的に採算が取れる」原油であり、新たな資源の発見や技術革新、価格の上昇による採算ラインの変動によって増加していくもので、いつ原油が枯渇するか、を求めるうえでは参考程度にしかならない数値なのである。それを説明しないまま単純に石油の消費量で割った年数ばかりが独り歩きしたことで、でっち上げ説が広まってしまったのであった。
半世紀も前から存在する陰謀論だが、日本においては東日本大震災による原発事故、それに端を発するエネルギー政策の大幅な転換が発生しており、その際に怪しげな情報も大量に流布されたため、原子力産業と結びつくなど形を変えて今なお語られ続けている。
実は既に常温核融合や永久機関(!)が実現されているが、既存のエネルギー産業が利権を維持するために隠匿されている、などというものも。
科学兵器・生物兵器テロ説
異臭騒ぎや危険な感染症が流行ると高確率で唱えられる陰謀説。
「あの異臭騒ぎは化学兵器による毒ガステロだ」「今流行している感染症は某国がバラ蒔いた細菌兵器だ」などとする言説である。
過去には鳥インフルエンザからSARS、果てはHIVウイルスに至るまで生物兵器テロ説が唱えられたことがあり、2019年末の新型コロナウイルスも「新型コロナは中国が作っていたウイルス兵器」とする陰謀論が早期から流布した。
日本では実際にオウム真理教によって「亀戸異臭事件」や「地下鉄サリン事件」など化学・生物兵器テロが実行されており、日本人は特にこういった陰謀説には敏感だと言える。
ケムトレイル陰謀論
アメリカを中心に1990年代後半から世界中で発生し始めた、アメリカでは現在も大規模な信奉者を抱える陰謀論。
具体的には「空に長時間残留している飛行機雲は政府や軍の邪悪な陰謀によって飛行機から空中に散布される有害な化学物質、または生物兵器の影響である」とする言説。
「chemical」+「contrail」で「chemtrail」。
主に目的として、太陽光の管理や気象制御、心理操作、人口抑制、人体実験などがよく挙げられる。
1996年にアメリカ空軍大学で起草された論文によってケムトレイルの考え方は過熱し、1999年からのインターネット普及に伴いケムトレイル陰謀論は浸透。
ラジオ放送でも拡散されてしまい実際にアメリカ国民から抗議の電話や手紙が殺到した結果、連邦政府はクレーム対応に追われたという逸話が残っている。
この陰謀論は世界中の科学者や科学界、政府機関が今も「普通の飛行機雲だよ!」と繰り返し説明を行っているが、ケムトレイル陰謀論に染まった人間は「嘘だっ!」と拒絶しているため根絶できていないのが実情。
なお、日本では花粉症をケムトレイルと思い込む事例も超定番で、2023年のCOVID-19(新型コロナウイルス)の対策緩和のほぼ同時期に強烈なスギ花粉の発生による花粉症患者の増加があったため、反マスクの陰謀論者アカウントの間で「どう見ても花粉症の症状なのに、ケムトレイルの仕業だと仲間同士で盛り上がる」光景が見られた。
HAARP、及び類似の地震兵器・気象兵器
HAARPとは「High Frequency Active Auroral Research Program(高周波活性オーロラ調査プログラム)」の名前が示す通り、
本来は地球の大気圏上層やその周辺で発生する自然現象のデータ収集を行う事を目的としたアメリカの軍と大学の共同プログラムである。
しかし軍が絡み、かつ電離層をどうこうするという性質からか「実は無線通信の妨害を目的とした軍事目的の研究ではないのか」という批判があった。
更に、一部の陰謀論者からはどういう訳か大地震を引き起こす能力を持つとされる事もある。
電離層にレーダー照射する装置で地殻プレートの歪みによって発生する地震をどうやって起こすかは謎である。
また1995年の阪神淡路大震災や、2011年の東北地震などもまた人為的に起こされた地震(人工地震)であったとする説も唱えられている*36。
これには上述のHAARPの他、地中での核爆弾の起爆によるともされる。
その根拠は「核爆弾による人工地震はその性質上P波が発生しない。東北地震はP波が観測されていないため人工地震に違いない」というものである。
一応、地中で核爆弾を起爆すると衝撃波によって地震のようなものが発生するのは間違いない。
しかし上記の例では、実の所『地震波を全体で見るとP波が短過ぎて見掛け上P波が無いように見える事がある』などといった事情があり、P波が観測されていないという事実は無い。
しかし提唱側も意地になっているのか、その後に発生した熊本地震、大阪北部地震、北海道胆振地震など、
''大地震の際には毎回欠かさず「此度の地震は人工地震である」''と主張している。
ここまで来ると陰謀論を通り越して与太話の域に達しており、まさしく「陰謀論」と見られているのは阪神大震災と東北地震程度である。
ちなみに、「人工的に地震を起こす」こと自体は現在の技術でも可能であり、石油採掘のための地盤への水や二酸化炭素の注入や、逆に地下水を大量に汲み上げることでも地震の発生が報告されている。
というか極論適当に爆発を起こすだけでも震度1~2くらいの揺れは起きる。
といっても天然の地震とは規模も性質もまったく違うので、ばれずに大規模な被害を起こすことなど不可能なのだが、これらも陰謀論者によって地震兵器の一種として扱われることがある*37。
ワクチン危険説
集団ワクチン接種の話題が持ち上がるといつの時代でもほぼ確実に現れ始める陰謀論。
「ワクチンは人体に害であるため人間はワクチン接種はしないほうがいい」という論が基本だが、中には「あのワクチンは人類選別のための大量殺戮のために行っている」などの過激なものまで存在。
2023年現在で最もメジャーな陰謀論の1つと言っても過言ではない。
なお、陰謀の主体はワクチン接種を積極的に進めているビル・ゲイツ氏になることが多く、彼が「ワクチンによって世界の人口削減を目指している」と発言したことが根拠に挙げられることがある。
それに近い発言自体は事実であるが、これは当然ながらワクチンで人々を殺戮するような物騒なものではない。
「ワクチンによって特に途上国における子供の死亡率が下がれば、現在の先進国のほぼすべてが辿ってきた道と同じように人は自然と多産を避けるようになり、結果として世界の人口増加に歯止めがかかり資源問題の解決に向かう」……という内容である。
そもそも、本当にワクチンによる大量殺戮なんて物騒なことをゲイツ氏が考えているなら、公でそんなことは言わずそれこそ静かに「陰謀」を進めるだろう、というのは少し考えればわかる話。
わざわざ凄まじい手間と費用をかけてワクチンを打たせるより、重症化リスクのあるまま罹患させて放置する方がよほど効率的に人口を削減できるだろう。
また陰謀の主体が製薬会社や医師たちになり、彼らは金儲けのためにワクチン接種を推しているのだという主張も存在するが、これも「金儲けをしたいなら病気を抑制するワクチンではなく、その都度患者が必要とする薬などの医療のほうが効率的だ」と反論がある。
その上、人口を削減させたら製薬会社にとっても客が減ってしまい損しかしないのである。
「政府などによる人間の選別・間引き行為である」という趣旨で語られる事もあるが、
その場合政府の指示に素直に従う者が死に絶え、政府の言う事を信じない疑り深い者が生き残るという、
政府にとって都合が悪過ぎる結果となるため一行でロジックが破綻している。
仮にパンデミック等が陰謀によって引き起こされたのであればむしろその疑い深い者たちがワクチンを打たないことを見越したと考える方が自然なのである。
ワクチンを打つことはあくまでも任意であり、肝心の人口爆発が著しいアフリカ等でも接種が強制的に押し進められているような事実も存在しない。
実際のところ、ワクチンは多くの命を救った称賛に値する発明ではあるものの、歴史的に見て問題点がゼロというわけではない。
実際戦後、集団予防接種の副作用によって死亡や重篤な障害が生じた例は存在しており、そういった被害者に対してもなかなか救済がなかったという苦い歴史があるのは確かである。
また現代のワクチン不信の一部は、例えばアメリカ政府が黒人に対して人体実験的な梅毒治療を何十年にわたって繰り返していた過去などからきているなど*38、単に無知な愚か者が陰謀論に振り回されていると切り捨てられない側面もある。
他のあらゆる医療と同様、ワクチンも慎重なテストを経たきちんとしたエビデンスを元に用いられるべきであり、その過程を監視するのは我々市民の義務と言える。
逆に、きちんとエビデンスさえ揃えば多くの命を救う福音となるワクチンに対して、度を越えた忌避感を植え付ける陰謀論ははっきり危険であるとも言えるかもしれない。
Qアノン
海外の匿名掲示板に「Q」というHN*39で書き込まれた内容から広まった新手の陰謀論。
正確にはQアノンとはオリジナルの投稿者のことであり、その「支持者」「信者」がいるという構図になるのだが、彼らも含めて一連の陰謀論を唱える人々全体がQアノンと呼ばれることも多い。
基本的にはQおよびその信奉者たちの姿勢はドナルド・トランプ元アメリカ大統領を支持するものであり、
「通称ディープ・ステートやカバールなどと呼ばれる闇の政府が背後で暗躍して、アメリカを支配している」
「バイデン氏や複数メディア、米民主党は実は闇の政府あるいは中国の尖兵で、アメリカを闇の政府や中国にとって都合のいいものに変えようとしている」
そして、
「トランプ(当時)大統領はそれに対抗する光の存在である」というような世界観が基盤となっている。
なおQの書き込みは先行する「ピザ・ゲート」と呼ばれる別の陰謀論*40を取り入れているなど、ちょっとした陰謀論よくばりセットとなっており、本記事にもある別の主張も複数展開していた。
実のところQアノン陰謀論ムーヴメントが拡散するにつれて、同じトランプ支持の陰謀論を唱える人の間でもメインとなる主張が変質している場合もある。
例えば前述した主張のなかでも中国の関与はオリジナルのQの書き込みにはなく、おそらくは「『敵』としての中国」というのは本邦の陰謀論者にはなじみがあり通りがよかったからだろうが、日本で広まるなかで付け加えられた部分である。
結果としてQの書き込みから3年後、2020年に大統領選挙がおこなわれトランプ氏はバイデン民主党大統領候補に敗北したわけだが、当然ながらQアノン支持者の面々が納得するわけはなく、当のトランプ氏やその周りからも含めて「民主党側の不正選挙疑惑」が大量に発せられた*41。
現在では、これらの現象も含めて「Qアノン陰謀論」の一環として包括的に語られることも多い。
また本邦でもこのころを境にQアノン的な言動が主にトランプ支持者を中心に広まり、彼らを指して「Jアノン」などと呼ぶ向きもある。
なお不正選挙疑惑のほうは陰謀論の常として非常に無理のある主張も多く、そのほとんどが米法廷でも撥ねられており、少なくとも選挙結果を覆すような規模の大陰謀をバイデン氏および民主党候補がおこなったという蓋然性は極めて低い。
……もっともこれも陰謀論の常として、「闇の政府・ディープ・ステート」の超権力がこれらの露呈を防いでいるという反証不可能なタイプの反論が支持者からはなされているのだが。
Qの書き込みから展開された一連の陰謀論は、2021年に犠牲者を複数出した議事堂襲撃という最悪の結末にも影響を与えたとされており、web上で拡散した陰謀論が実際の事件の引き金(の一端)を担うという、極めて現代的な問題にも発展してしまった。
だがカルト的な様相を見せている先鋭化された陰謀論者はそのようなことで目を覚ますはずもなく、前述した「世界緊急放送システム」陰謀論を2022年現在でも展開している。
世界緊急放送システム
災害時に、政府から情報を通知するためのシステム。
それ自体は、どこの国にもある(日本にもJアラートというものがある)のだが、アメリカのそれは「実は全世界に発信することができるもので、アメリカのトランプ大統領が、バイデン新政権やメディアなどの悪行を、それを使って全世界に知らしめようとしている」というもの。
トランプ氏の弁護士が、『トランプ氏が上記のことをしようとしている』と、トランプ氏寄りのSNSを通して発表したことで、たちまち広まり、さらにそこで『ライフラインが止まるかもしれないから、食料や水の備蓄を』と呼びかけたことから、たちまち日本で大騒ぎになった。
当初それを発表するという日からかなり経っているが、信奉者たちは『先延ばしになった』『準備中』とか言って引き延ばしている。
MMRの調査対象
当時の読者に浸透した陰謀論。
流石に途中からはギャグと見なされるようになってきたが
秘密結社NNN
日本を含めた世界各地で活動しており、ターゲットに定めた人間の元に次々に構成員を送り込んでくるとされる秘密結社。
動物に関する都市伝説も参照。
■本当に陰謀だった陰謀論
カチンの森事件*42
1940年にポーランド郊外の森であったポーランド人捕虜に対する虐殺事件。黒幕はソ連側の秘密警察NKVD。当時の長官はあの悪名高いラヴレンチー=ベリヤだった。
ソ連によって抑留されていたポーランド人兵士らが釈放され輸送される途中で消息を断ったが、実はNKVDの指示によってポーランド郊外の森で虐殺され、その遺体は穴に埋められて隠蔽されたことが発覚した事件である。
当初ソ連はポーランドに侵攻したナチスドイツによって虐殺されたと主張していたが、ポーランド政府に対してナチスドイツがやったと発表しろと脅迫までしていたことが明らかになった。
張作霖爆殺事件
満州こと中国東北部の南満州鉄道権益の保護を目的に展開していた関東軍が、満州の権益拡大を狙って引き起こした暗殺事件。
社会科の授業でも満州事変に関連した事件としてほぼ間違いなく習う重大事件である。
当時の満州の支配者であった軍閥の領袖、張作霖は後ろ盾を日本から欧米に鞍替えしつつある一方で満州での支持を失いつつあり、また蒋介石率いる国民党軍にも敗北し、関東軍との関係が悪化していた。
その為に関東軍は満州のより直接的な支配を求めたが軍や政府中央からは拒否され、独断で暗殺を行った……というもの。
日本側は「蒋介石軍の便衣兵*43による犯行だ」と主張していたが、張作霖は死に際に「日本軍にやられた」と言い遺しており、また満州の権益を巡って関東軍と対立関係にあった事から関東軍の関与が強く疑われていた。
後の日本の調査で関東軍大佐の河本大作及びその指揮下の兵による犯行だと確認されている。ただし発案は当時の関東軍司令官であるとされる。
なお事件の対応を巡り時の田中義一政権も吹き飛んでおり、また張作霖の息子の張学良は早くから日本主犯を確信していて、父の跡を継ぐと早々に蒋介石に下ったため、陰謀としても逆効果に終わっている。
……ちなみに2000年になって実は真の黒幕は中国東北鉄道条約を巡って対立していたソ連であり、同国の諜報機関が派遣した工作員ナウム・エイチンゴン*44による犯行であるとの陰謀説も唱えられはじめた。
また張学良はやがて蒋介石とも対立し、50年も監禁される羽目となる。
坂本堤弁護士一家殺害事件
オウム真理教が引き起こした事件の中でも殊に有名な事件の一つ。
オウム信者の脱会を支援していた坂本堤弁護士とその一家をオウム真理教信者が襲撃して殺害、遺体を遺棄した。
犯行現場からオウム真理教のバッジが発見されたため教団による陰謀であるという説が濃厚だったが、神奈川県警は「事件性に関しては不明」との説明を行った。
またこの事件に対し、教団側は当初「オウム真理教排除を狙った日本政府や横浜弁護士事務所の陰謀、狂言だ」と主張していた。
その後実行犯の一人である岡崎一明が犯行を自供した事でオウム真理教による犯行であることが確認された。
またこれに関係して初動段階で既にオウム真理教の関与を直ちに疑って然るべきだったにもかかわらず「事件性に関しては不明」との説明を行ったことから、神奈川県警は以前から左派の労働運動に関わっていた坂本弁護士を目障りだと考えており、オウム真理教による犯行だと感づいていながら見殺しにしたとする説も唱えられた*45。
日本人拉致問題
北朝鮮工作員によって複数人の日本人が北朝鮮に拉致された事件。
当初北朝鮮側は拉致の事実を否定していたが後に事実であったことを認めた。
今となっては信じられないが金正日が声明を発表するまでは「日本海沿岸で多発する謎の人攫い」といった都市伝説のような扱いであり、真偽不明の与太話として見られていたのである。
これも今となっては信じられないが第二次世界大戦後、植民地時代に朝鮮半島北部に築かれたダムや工業インフラ、豊富な地下資源を丸ごと手に入れ、共産圏からのバックアップも受けた北朝鮮は当時アジア有数の工業大国であり、本格的に凋落の気配を見せ始める1980年代頃までは地上の楽園とすら宣伝されていた。そんな国がよもやそんなブラックな陰謀に手を染めていようなど、当時の一般人には想像もつかなかったのだ。
親北路線をとっていた政党や人物は事件が明るみに出ると批判にさらされることとなった。
なおその際に拉致問題を否定するホームページを突如削除した件をきっかけにウェブ魚拓が開発されたともいわれている。
CIA麻薬ビジネス事件
CIAが中華民国と組んで黄金の三角地帯*46で麻薬を生産し、獲得した金を反共団体に供与しつつ共産圏に麻薬を流して体制の混乱を企てていた。
ロナルド・レーガン政権の頃まで続いていたという。
CIAはこれ以外にも(主に冷戦に絡んだ)犯罪スレスレのブラックな活動を行っていたことが後年の資料開示で明らかになっており、秘密諜報組織というダークなイメージと合わせて創作における題材として頻繁に用いられる。
MKウルトラ計画
こちらもCIAが関与した陰謀事件。
なんと薬物や様々な機械を用いて民衆を洗脳する技術を開発しようと試みていた。
アメリカが第二次世界大戦終結直後に実施したペーパークリップ作戦*47で集めた、ちょっとやばそうな内容の研究をしていた科学者たち*48の協力の下、LSDを使った自白強要や洗脳の実験を行っていた。
しかも被験者への同意なしにである。
もしこの事実が露見すれば第二次世界大戦の戦勝国であり、またナチスを始めとする独裁国家での非人道的な人体実験を非難する立場にあるアメリカの威信が大きく傷つけられることは必至であり、1973年に時のCIA長官によって関連資料の隠蔽が図られたが、
かろうじて持ち出された数枚の資料によってその存在が明るみに出ることとなった。
トンキン湾事件
ベトナム戦争真っ只中の1964年8月2日、北ベトナム軍の哨戒艇が。トンキン湾で哨戒任務中のアメリカ軍駆逐艦マドックスを、南ベトナム軍の艦艇と誤認して魚雷を発射する事件が発生。
続く8月4日、駆逐艦ターナー・ジョイが接近してくる北ベトナム軍の艦艇とおぼしきレーダー目標に対し機関銃による射撃を行う。
以上の事件を「北ベトナム軍による公海での攻撃」であると主張したアメリカ政府はこれを口実に「トンキン湾決議」を採択。ベトナム戦争に介入し北爆を開始する。
…が、誤認とはいえ実際に魚雷を撃ち込まれている2日の事件はともかく、4日の事件に関してはレーダーの誤認によるものの可能性が高い。おまけにこの時アメリカ軍は両日とも思いっきりベトナムの領海を侵犯していたので「公海で攻撃された」という主張は完全に捏造。よしんば本当に攻撃されたとしても正当な領海防衛行為でありアメリカに文句を言う権利など無かった。国内世論をベトナム主戦論に傾けるためにケネディ大統領と後任のジョンソン大統領が仕組んだ事だったらしい。
北ベトナム政府は「領海を侵犯していた艦艇を追い払っただけ」「4日に関しては攻撃自体が捏造」と主張しており、国内でも4日の事件に関しては懐疑論が唱えられるなどアメリカ政府による陰謀説が囁かれていた。
後にこの事実は「ペンタゴン・ペーパーズ」としてすっぱ抜かれ、アメリカ政界を揺るがす大事件を巻き起こすこととなる。
桶川ストーカー殺人事件
埼玉県桶川市の女子大生が元交際相手の男を含む数名の集団に嫌がらせを受け続けた挙げ句刺殺された事件。
妄想ではない本物の集団ストーカーだったが相談にあたった埼玉県警上尾署の担当警官は再三の告訴の要請に対してまともに取り合わず、
しかもいざ殺人事件が起こると調書や記録を改竄して保身を図ったため、3人の逮捕者を含む15人もの処分者を出す最悪の警察不祥事となった。
またストーカー規制法成立の契機ともなった。
集団ストーカーを訴える人々の中にはこのような悲惨な事件をもとに、自分の集団ストーカー被害も妄想ではないと主張する場合もある。
が、本件は集団ストーカー被害を訴える人々の典型例の「身に覚えがないのに、特定集団に属する多くの人間から、婉曲な嫌がらせを受けている」というパターンと違って『発端となった犯人グループの一味は実際に被害者と交際しており、嫌がらせの前には直接的暴力も振るっている』『実際に嫌がらせに加担したのは、元交際相手の兄などを含むたった5名』『嫌がらせの内容は、無言電話やビラ巻きなど誰がどう見ても問題であると認定できる行為』。
言うまでもなくこんな事件は繰り返してはならず、ストーカー被害にあわれている被害者の方々の声に真摯に耳を傾けなければならないという教訓は尊重するべきだが、「集団ストーカー被害にあっている」というある種の陰謀論を唱える人間の言っていることがそれぞれ本当に事実であるかは別問題である。
エプスタイン島事件
アメリカの富豪で慈善家でもあったジェフリー・エプスタインが、個人所有の島(バージン諸島のリトルセントジェームズ島)で未成年の少女による売春を行っていた事件。
最年少で12歳の子どもが買春の被害に遭っており、ビル・クリントン大統領に「献身的な慈善家」と讃えられた人物の犯罪行為には全米に衝撃が走った。
また、エプスタインは2019年に独房内で遺体で発見された。首吊りによる自殺と発表されたが、その死にある不可解な点から暗殺されたという陰謀論がある。
これは少女売春に著名人や有力者が関わっており、それをエプスタインが証言することを恐れたためという説である。
エリザベス女王の次男アンドルー王子を筆頭にそうそうたる顔ぶれが告発を受けているのは事実で、王子はこの一件により王室を追放され、英国王室から未成年者性的虐待事件の賠償金が支払われる非常に不名誉な事態を招いた。
また、欧州最大手銀行のドイツ銀行やアメリカ最大手銀行のJPモルガンは再三の口座凍結要請を無視していた事を認め、これらの銀行が被害者グループに数百億円規模の解決金を支払っている。
2022年にはイーロン・マスクがエプスタイン事件について、マスコミ各社に極めて強固な報道統制が敷かれている事を匂わせるツイートを行った。これがただのネタツイートなのか暗に告発したのかは不明である。
「上級国民」「特権階級」といった陰謀論者が好むワード、現実がフィクションを超えたとも言われる王族・政治家・大企業に広がったエプスタインの関係、果ては中心人物の死による幕引きなど、不謹慎な言い方をすれば「面白い」要素がこれでもかと詰まった事件であり、これらをパズルのピースのように組み合わせるだけで憶測に基づいたもっともらしいストーリーを誰でも組み立てられてしまう。事件のスケールの大きさからしばしば世界規模の陰謀論までもが流布されている。
■創作における陰謀論
現実世界では「○○の陰謀だったんだよ!」「な、なんだってー!!」という話はほとんどが根も葉もない噂だが、
漫画とかアニメとか特撮とかで主人公サイドが「これは○○の陰謀だ!」等と言った場合、極めて高い確率でそれは的中する。
完全に的中とまでは行かなくとも、「元になっている何らかの事件」がほぼ確実に存在すると言っていい。
言い出したキャラクターが中二病とか陰謀論者であるという設定がない限りはほぼ確実と考えて良い。
中二病の陰謀論者が本物の陰謀に巻き込まれてしまうというSteins;Gateのような作品もある。
「○○の陰謀」を唱える人の代表例として挙げられるのが、仮面ライダーBLACKの主人公南光太郎。
時間が巻き戻る、川が逆流するなどの明らかな超常現象はもちろん、
- 地震
- 大量誘拐
- 暴走族が街で暴れている
- 知人のレーサーの成績が急に良くなった
- ある少年が突然勉強するようになった
- 病気が流行っている
- 変なバスとすれ違った
などのありとあらゆる事項を「もしやゴルゴム!?」「ゴルゴムの仕業か!」と断定。
調査に乗り出すと100%の確率でそれは実際ゴルゴムの仕業である。
考えてみれば「偶然」という「未知」から来る「恐怖」が陰謀論を生むのだから、
創作において真相を「偶然」にしておく必要はなく、陰謀が真実であってよいのである。
また、現実の陰謀論を題材・ネタにした作品もあり、作品独自の解釈を持ち込むことも多い。
この項目でも多用されている「○○の陰謀だったんだよ!」「な、なんだってー!!」という構文を生み出したMMR マガジンミステリー調査班が代表例で、これはオカルト話や陰謀論をいかにもな現実味をもって紹介する実録(風)漫画である。
追記修正されないのも全て…
冥殿の陰謀だったんだよ!!
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さて、この項目を最後まで読んでくれた諸兄には、
冒頭で述べたヨーゼフ・ゲッベルスの言葉についてある事実をお伝えしなければならない。
実はこの言葉
つまり嘘とデマの危険性を訴えるこの項目自体にのっけから特大の大嘘がさも真実であるかのように仕込まれていたというオチである。
ゲッベルスは実際にプロパガンダの天才だった事実がある故に、尤もらしい文言に「ゲッベルス曰く」を付けるだけでいかにも含蓄深い言葉のように聞こえてしまう。冒頭の言葉は、「『嘘も百回つけば真実になる』とゲッベルスは語った」という別のデマの「元ネタ」と称してよく引き合いに出される*49。ある意味『嘘も百回つけば真実になる』という言葉自体が「百回ついた結果真実になった大嘘」という形で主張の正しさを証明しているのは皮肉な事実だと言えよう。
ここまで読み進めてきたあなたは、冒頭の文言を読んだとき「おや?」と思っただろうか?
そこから疑念を抱き、自力で確認しようと思っただろうか?
確認しようとしたにしても、Wikipediaなどではない信頼できる文献を頼ろうとしただろうか?
そうした文献に記述がなかったときに、「たまたま見つからなかっただけで実際言っていたのだろう」と思ったりしなかっただろうか?
ナチ政権の所業を知っているだけに、ゲッベルスなら言いかねないとつい思い込んでしまってはいなかっただろうか?
デマに踊らされる人々を「バカな連中だ」と笑い飛ばすのは簡単かもしれないが、思い込みという落とし穴はあなたが考える以上に身近な所に潜んでいるのだ。
この項目が根拠のないデマやセンセーショナルな飛ばし記事に安易に飛びつく危険性を説き啓蒙する内容であったとしても。
読んでいるあなたが人間であるように、この項目を書いている者もまた人間なのである。
そして人間である以上、たとい努めて公平性を重視して書いたのだとしてもそこには書いた人間の無意識的な知識・思想の偏り、偏見、主観が混ざり込むことは避けられない。
決してただ提示された言葉を「真実」と鵜呑みにするのではなく、自身のできる範囲内で「自分で確かめ」、「自分で考え」、「自分で結論を出し」、「自分で信じた事への責任を取る」ことを心がけよう。
いつだって決して忘れてはならない。
真実は嘘から錬成できるのである。
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- 久し振りにこのページ来たら最後の折り畳みでびっくらこいた。騙された奴が言うのもなんだけどいいねこういうの -- 名無しさん (2024-01-11 15:24:55)
- "疑わしい例"としての記載すら独語版wikipediaにはないのよね。別な発言(しかも割と陰謀論ネタにフィットする)はある。ところでGoebbelsだ(懐かしネタ -- 名無しさん (2024-01-12 21:12:59)
- 男なら陰謀論よりも淫棒論を語れ! -- 名無しさん (2024-01-12 21:36:26)
- 「ヨーゼフ・ゲッベルスの言葉について」の話、実は言ってない台詞で済ませるくらいでいいんじゃないかな。それに関する話がちょっと説教臭くなってるような気が… -- 名無しさん (2024-01-16 17:26:00)
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*2 例を挙げると、多くの人が日常的に用いる水も大量摂取すれば悪影響を及ぼす。
*3 非常に残念だが、このロジックは昨今SNSでよく見られる傾向にある。
*4 このように証明されていない命題を論拠に別の命題の証明を試みる詭弁を循環論法という
*5 この都市伝説に基づいて制作されたのが、かのウィル・スミスとトミー・リー・ジョーンズ主演のSF映画「メン・イン・ブラック」シリーズである。
*6 例:アポロ8号はUFOと遭遇している。
*7 どちらも実在する組織だが、世界で暗躍しているという事実は確認されていない。
*8 特定の人物に擬態できたり、著名人・大富豪・権力者がレプティリアンであるとする陰謀論もある。
*9 当時の「金融業」という概念への不理解によるもの
*10 レイ自身は「ラウールと名乗る男に騙された」と供述している。暗殺の報酬として逃走資金の援助などを持ち掛けられた可能性もあるが真相は不明。
*11 アメリカで活動する超過激派白人至上主義犯罪集団。
*12 皮肉なことにマルコムX自身もキング牧師暗殺の3年前に暗殺されている。
*13 ブラックムスリムとも。黒人イスラム教徒の集団からなる反白人・反キリスト教運動団体。暴力革命も辞さない極右集団で、マルコムXやカシアス・クレイも一時期所属していた。
*14 共産党と手を組んでの共産主義革命やベトナム反戦運動の高まりを危惧していたらしい。実際にFBIから脅迫文が度々送りつけられていた事やCIAによって会話が盗聴されていた事が後年開示された資料により明らかになっている。
*15 現在の朝鮮総連の前身に当たる組織。不法入国者や在日朝鮮人などを武装化・組織化し、暴動などの非合法反政府活動などに従事させていた。
*16 血のメーデー事件、親子爆弾事件、東成警察署襲撃事件など多数。
*17 在日韓国人の文世光(ムン・セグァン)が朝鮮総連の工作員の手引で当時の韓国大統領の朴正煕(後の朴槿恵大統領の実父)を殺害しようと試みた事件。未遂に終わったが妻の陸英修夫人が射殺され、日韓国交断絶寸前にまで至る大惨事となった。北朝鮮はこれを見て日本人に成り済ました工作員に事件を起こさせて責任を日本に擦り付けることで信頼を失墜させる手口を構想し、大韓航空機爆破事件で実行に移された。
*18 左翼系の反与党抗議デモは金で雇われた在日朝鮮人のサクラによるでっち上げであるなどとするいわゆる「プロ市民」陰謀論など。
*19 法律上日本国籍がなくても日本で弁護士資格を得ることは問題なく可能。
*20 弁護士として懲戒処分することを求めること。誰でもできるが、事実無根や言いがかりで行っていい訳ではない。
*21 例えば双眼鏡に関しては、タイタニック号が氷山に衝突したのは深夜の大西洋のど真ん中であり、更に当日は月も無い真っ暗闇の中だったため、たとえ手近に双眼鏡があったところでどれだけの助けになったかは疑問である。また写真についても、単なる取り違えの可能性がある他、オリンピック号が事故でスクリューを破損させたため当時建造中だったタイタニック号のスクリューと交換した事があり、そのせいで「タイタニック号なのにオリンピック号のスクリューが付いている資料や証言が残る」事態が起きている。
*22 この場合の「確定」とは、「事故調査報告書に結論として書ける状態まで証拠がそろった」という意味である。実際にそうなったことがわかった、とは微妙にニュアンスが違うことに留意されたし
*23 事故報告書の結論は「しりもち事故(日航115便事故)の修理ミスにより与圧隔壁の強度が不足。結果、飛行中に隔壁が破れてしまった際同時に油圧操縦系統が破壊され、コントロール不能に陥り墜落」
*24 事故報告書の結論は「気化した燃料が配線不良の火花で爆発したことによる空中分解」
*25 これも確定はしていないが『名前のよく似た2つの空港のうち片方に降りることになっていたが、パイロットが空港を混同。高度計算に失敗した結果地表に近づきすぎて墜落』ではないかとされる
*26 後述するが、戦前の旧ソ連が行った大量虐殺事件
*27 監禁されているというパターンもある。
*28 特にかつてアメリカに存在し、遺伝子組み換え作物の生産で莫大な利益をあげていたモンサント社が有名か。詳細は長くなるので省くが、2012年に同社製の遺伝子組み換え作物には発ガン性があると主張する論文が出されて騒ぎになった。同社は自社製の農薬「ラウンドアップ」とそれに耐性のある遺伝子組み換え作物をセットで売り付けるマッチポンプ商法を行っており、またかつてベトナム戦争で使われた悪名高き枯葉剤の開発に関与していたり、強引な商法で国際的な非難を受けるなど大分ブラックなイメージの付きまとう会社だったという事を付記しておく。
*29 日本で使用が制限されたチクロやサッカリンなどが著名。一応両方とも動物実験でそのような結果が出たという主張は確かにあるが、その後の再現実験ではそのような結果は確認されず、またそれらの実験とがん患者数の増減に明確な因果関係が立証された例は現在存在していない。現在でもアスパルテームやアセスルファムカリウムなどで発ガン性が主張されることがある。甘味料として広く利用されていたズルチンやある種の殺虫剤などには実際に発ガン性があることが判明しておりその事が多分に影響しているものと考えられる。
*30 アメリカの製薬会社メルクが開発した駆虫薬の一種。
*31 実際に一部研究者がそのような論文を発表したことがあったものの、「高濃度の試験管内実験」という限定的な状況下での結果である上にその論文も不正や欠陥だらけで後に撤回されるなど科学的信憑性は甚だ低いとされている。
*32 もっとも、この件に関しては被疑者が最後まで自分の非を認めずむしろ「自分は欠陥品の被害者だ」と言わんばかりの態度を取り続けて大勢の怒りを買った面もあるか。
*33 持病の治療を受けていたり、逮捕・拘留のストレスで心身に悪影響を与えるなど。もしそのせいで容疑者が死亡でもすれば大問題であるし、真相究明や贖罪の面でもいいとこなしである。
*34 「統合失調症自体が集団ストーカーを隠蔽する嘘」という主張が同時にされることもある。
*35 中東諸国が陰謀の仕掛け人にもターゲットにもなっている?陰謀論ではよくあることである。
*36 大きな被害が発生しているが、中越地震に関してはこういった説は比較的見かけない。
*37 『地震計が揺れを感知した』ことと『地震が起きた』ことを混同するといった傾向がよく見られる。
*38 詳しくは「タスキギー梅毒実験」で検索。
*39 つまり匿名=アノンのQ、Qアノン
*40 「民主党やリベラルなセレブなどが大がかりな児童買春を行っている」という内容
*41 独裁政治の途上国などで不正選挙が行われているという指摘はよくあるが、「現職側の票操作によるものである」と批判されるのが通例であり、非現職側の操作が疑われるケースは見当たらない。
*42 カチンの森という名前は実際に現地にある村の名前が由来だが最初にこの事実を追求しに掛かったナチスドイツが使い始めた呼称で正式名称ではない。名前の由来となったカチン村からは結構距離があるのだが、新聞で事件名を印象付ける際に覚えやすい名前の方が事件の認知が大衆に広まりやすいと考えられたのでこの名前を使ったらしい。
*43 私服を着て民間人に変装した工作兵。
*44 トロツキー暗殺などを指揮した大物諜報員
*45 捜査状況をオウム側に察知され証拠隠滅を図られないよう、あえて言及を避けただけでは?という指摘もあり、こちらはあくまでも真偽不明の噂である。
*46 東南アジアのタイ、ミャンマー、ラオスの3国がメコン川で接する山岳地帯。麻薬密売などの犯罪の温床になっているというブラックな噂が立っている。
*47 ナチス政権下で活動していたドイツ人科学者をヘッドハンティングないし連行してドイツ軍の持っていた兵器開発のノウハウを吸収しようとした計画。
*48 拷問や洗脳に関する研究を行っていたものなど。ニュンベルグ裁判で戦犯とされた人物まで含まれていた。
*49 原文はそもそもゲッベルスの発言であるかどうか以前に出典すらも判然としていない。翻訳元となったであろうドイツ語の原文は発見されているのだが、そのドイツ語の原文自体どこから出てきたのかも不明なまま独り歩きしてきた英語の怪文書をドイツ語に翻訳した代物だったりする。
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