登録日:2017/02/23 Thu 03:13:29
更新日:2024/02/06 Tue 10:29:35NEW!
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アメリカのファンを魅了した、サイバー・パンク・ジャパニメーション!
『アミテージ・ザ・サード』とは、AICが1995年に制作したOVAである。全4話。
人類が移住してきた近未来の火星を舞台に火星警察の美少女刑事・アミテージと、地球から赴任してきた人間の刑事・ロスの活躍を描いたSFアクション。
概要
アニメーター・越智博之氏がキャラクターデザンのみならず監督も兼任した意欲作であり、美麗な作画とハイクォリティなセンス、繊細な心理描写などが大きな話題となり、海外版がリリースされた全米では大ヒットとなった。
作中では火星やロボットの他、クトゥルフ神話に関する用語を元にした要素も含まれている。
1996年には本作に再編集を施し、全米公開用にハリウッド・スタッフが全編英語吹き替えでリミックスした『ARMITAGE III POLY-MATRIX』が劇場公開された。キャッチコピーが「悲しみの回路をロックせよ!」
更にその5年後に続編である『ARMITAGE DUAL-MATRIX』が公開された。
主題歌
- 「いい夢を思い出せない」
第1~3話のエンディング。
アミテージ役の笠原弘子氏が担当。暗く切ないバラードが特徴。
- 「PHANTOM WORLD」
『いい夢を思い出せない』の英語版。
- 「I've got it!」
第4話のエンディング。
こちらも笠原弘子氏が担当。『いい夢を思い出せない』と打って変わって明るいロック調の曲。
あらすじ
テラフォーミング途上の火星…。地球から移住してきた刑事、ロス・シリバスは空港に到着するなり殺人事件に巻き込まれた。
殺されたのは人気歌手のケリー・マッキャノンで、ロスはその死体から衝撃の事実を知る。
彼女は人間ではなく、現在の汎用ロボット、セカンド・タイプを遥かに凌駕する存在――サードだったのだ!
ロスは、火星警察(MPD)のナオミ・アミテージとコンビを組み、次々とサードを破壊していく犯人、ダンクロードを追う。
2人の捜査をあざ笑うかのように、事件を追う間も止まらない殺人!?
……ロスと離れ、1人でサードの謎に挑むアミテージにサード殺害の容疑がかけられる。
用語
- 火星
テラフォーミングで地球と殆ど変わりのない環境が構築されている。
本作における火星はロボット産業が発達しており、大半のロボットが人間の代わりの労働力として一般的に利用されている。
一方で人間社会に広く進出しているアンドロイドと人間の間に摩擦が生じており、特に仕事をアンドロイドに奪われる事に不満を持った一部の人間達がロボット排斥を叫び、日頃から抗議デモを起こしている。ブラック企業が見たら喜んで彼らを社畜としてコキ使うであろう。
- 地球
火星を移住可能な惑星に変え、航空機で地球と火星の行き来が可能となっている。
フィクションでしばしばみられる「地球以外は植民地」といった状態であり、火星が未だに独立していない実情も相まって地球上位の関係が続いていた。
しかし本編後半で「ONE WORLD ONE NATION」を合言葉に火星と経済条約を結んでおり、事実上地球と火星が友好的な関係になったのだが、その実体は地球の文化や価値観を火星に押しつける同化政策であった。
そのしわ寄せとしてサード規格のロボットが地球側のフェミニズム思想に反する存在と見なされてしまい、火星側も条約を円滑に進めるという利害が一致し、サードの抹殺へと繋がってしまった。
- セカンド
本作で一般的に出回っている人型アンドロイド。
人間との区別のため頭部にスイッチが付いており、その点を除けば人間と変わらない外見をしている。
また、人間に従順になるように作られているため、基本的にロボット三原則の思考回路である。
- サード
セカンド規格のロボットで他社製品に押されがちなコンセプシオン社が巻き返しをはかって開発した高性能アンドロイド。
一部を除いてほとんどが女性型でボディの大半が有機素材で構成されており、内部もほぼ人体を再現した構造となっている等、セカンド以上に人間に近い仕様。……流石に肉体の成長までは不可能。
だが、サードの最大の特徴は人間の子供を妊娠・出産が可能である点。
妊娠・出産が可能
大事なことなので2回言いました。
また、人間を生むために必要な要素としてほとんどのサードが人間と変わらぬ感情を持っている。
その背景には出生率が低い火星の事情があり、地球からの入植に頼らずに人口問題を解決するための新人類として秘密裏に開発されたのだが、上述にある通りフェミニズム思想の地球との経済条約締結を控える形で女性型妊娠ロボットの存在が一転して排他される対象にされ、最終的に人間側の一方的な都合で歴史から抹殺される事となった。
- コンセプシオン社
ロボットメーカーの最大手。
本作の事件のカギの1つ。
- リプレイス
簡単に言うと人体の機械化。
ロボット工学やサイバネティックスが発達している本作では脳以外の人体を人工物で再現できるらしく、外科手術で人工臓器などを肉体に埋め込んだり、負傷で失われた部位を人工物に代替させたりする事が可能。
- アサシンドロイド
サードのベースとなったアンドロイド。
その名の通り暗殺用に開発されたロボットであり、人間を超えた戦闘力を持ちながら人間社会に溶け込んで適応できるほど人間に近い等、まさに暗殺者に適しているタイプ。
登場人物
※(CV:OVA/英語吹替え)
主要人物
- ナオミ・アミテージ(CV:笠原弘子/エリザベス・バークレー)
本作の主人公。19歳。
MPDの巡査部長である女刑事。小柄かつ童顔で幼い容姿であるが、体型がトランジスタグラマーで後述の服装も相まって色気を感じさせる。
服装がエピソードごとにコロコロと変わるものの、共通して赤と黒を基調としている。普段は赤のジャケットと短パンで、その下は赤レザーのブラと黒のガーターベルトであり、おまけにインナーを着用していないため、微妙にエロい。
勤務時はバイザー型サングラスをかけ、愛銃であるピンク色のハンドガンを所持している。
ロボット絡みの事件に関しては異様な熱意を持って捜査しているが、実は彼女もアンドロイドであり、サードであった。
ただし、普通のサードではなく、正確にはサードとアサシンドロイドのハイブリットとも言える特別仕様であり、
- 姿が見えなくなるほど超高速で移動。
- 電脳ネットワークにアクセスして手を触れずに機械を操作できる。
- 素手でマシンガンの銃弾を弾く。
- 指先から電流を流して掴んだ相手を感電させる。
- 戦車の砲弾が直撃してもほぼ無傷。
- タックルで戦車を転倒させ、直後にワンパンで大破させた。
……と、どこぞのサイボーグ女とは別のベクトルでハイスペックな戦闘力を披露していた。
終盤では左腕にパルスレーザー砲を内蔵、背部にレーザー砲付きのウイングパーツが追加装備され、ボンデージ風のスーツ姿で大空を飛行しながら政府軍を次々と撃破していった。…途中で翼を破壊されて飛行不能となったが
激しい戦闘の末、ロスと共に無事に生還しており、彼の子供を身ごもった事を告げたところで物語が終了する。
- ロス・シリバス(CV:増谷康紀/キーファー・サザーランド)
もう1人の主人公。
地球から来た警部補で筋肉質な体型に男前な顔立ちをした男性。普段は青のコートを纏っている。
MPDに着任早々、サード殺害事件に巻き込まれる形でアミテージとコンビを組む事になる。
かつてのパートナーであったジェニファーをアンドロイドに殺害された過去を持ち、それ故にロボットを憎んでいる。
と言っても人間至上主義というワケではなく、むしろロボット排斥運動などには懐疑的であり、基本的に公私を使い分ける正義の人。
ちなみに過去の負傷で既に右足がリプレイスで義足化しており、中盤では右腕も義肢になる等、皮肉にも体の半分近くをロボットと同じ機械に置き換える羽目になってしまう。*1
当初は自由奔放なアミテージに手を焼いていたものの、共に行動する内に彼女を愛するようになり、それに伴ってロボット嫌いの考えを改めるようになる。
第三者から見れば、親子ほど年の離れたコンビであるが、終盤ではアミテージとセクロスした模様。お前ら末永く爆発しろ。
最終決戦ではライドアーマーに似たパワードスーツに乗り込んでアミテージと共に火星総督府の政府軍に挑んでいった。
その後は行方不明となり、お尋ね者という扱いになっていたが、エピローグにてアミテージと2人で平穏な生活を送っている。
英語吹替えがのちのジャック・バウアー。
- ルネ・ダンクロード(CV:中尾隆聖/ダン・ウォーレン)
本作の悪役。
人間社会にまぎれこんだサードを次々と殺害していく金髪の男。
サイコな人物像に加え、中の人の演技も相まって時々ばいきんまんに似た奇声を上げる。
その正体はアサクラ博士の助手にしてサードの共同開発者。本編開始以前にサードのコンセプトを巡ってアサクラ博士と意見が対立して袂を分かち、火星の経済条約の利害が一致した形でサード抹殺へと至る。
序盤でアミテージに逮捕されて病院送りにされたが、自身と同じ容姿のアサシンドロイドにサード抹殺を引き継がせた。
その後、収容された病院で治療を受けていたところをサードに関して何か知っていると睨んだアミテージ達に連れ出された。
直後に襲撃してきたアサシンドロイドの戦闘に巻き込まれて致命傷を負い、最後までサードに否定的な言葉を呟きながら絶命。
戦闘で大破したアサシンドロイドもオリジナルの後を追うかのごとくアミテージにトドメを刺された。
- ジュリアン・ムーア(CV:緒方恵美/ワンダ・ナウィキー)
サードの存在を知る謎の美少年。
実は彼もサードであり、唯一の男性型である。普段はプルートというハンドルネームを名乗っている。
接触してきたアミテージと共にネットワーク施設に侵入し、残されたサードの情報へのアクセスを試みたところ、ハッキングしてきたダンクロードに意識を乗っ取られてアミテージに襲いかかってしまう。
アミテージの抵抗で物理的にダンクロードを強制ログアウトさせた事で正気に戻ったものの、既に限界を迎えており、アミテージの目の前で大破してしまった。
しかし、あらかじめ自身のデータを電脳ネットワークにバックアップしていたおかげで魂だけの状態になりながらも生き延びており、のちに電脳空間でアミテージ達と再会を果たした。
MPD
- ラリー・ランドルフ(CV:佐藤正治/マイク・レイノルズ)
アミテージ達の上司であるMPD特別捜査班の部長。
中盤で失脚したアミテージをサード殺害容疑の重要参考人として特別手配し、ロスに対しては事件から手を引くよう命令した。
良くも悪くもタヌキ親父であり、終盤でロスをも指名手配せざるを得なくなった際には立場上表立って助ける事が出来ない状況を通信でアミテージ達に告げつつも、激励ともとれるメッセージを送っていた。
- エディー(CV:掛川裕彦/ブライアン・クランストン)
MPDのメンバー。
常に軽口を叩くお調子者であるが、実は凄腕のハッカーであり、ロスとアミテージの逃亡に陰ながら協力する。
- クリス・ブラウン(CV:神奈延年/スティーヴ・アポストリナ)
MPDのメンバー。
真面目な金髪の青年。「俺の歌を聴けぇっ!!」と叫んだりはしない。
- ローウェル・ガンツ(CV:高木渉/ダグ・ストーン)
MPDのメンバー。
黒人の検死官であり、サード殺害について『これ』と『ガイシャ』との使い分けに苦慮している。
サード
- ケリー・マッキャノン(CV:南場千絵子/ドロシー・エリアス=ファーン)
サードの1人である人気歌手。
三つ編みが特徴でウエスタン風のファッションを好む。
登場してすぐにダンクロードに殺害された。アミテージの台詞によれば「人類最後のカントリー歌手」だった模様。
その後、他のサード達と共に電脳空間でアミテージ達と出会うのだが、ボディに残っていたデータがかなり破損していたせいか、揃いも揃って会話によるコミュニケーションができず、その場にいるだけの浮遊霊同然の存在になり果てていた。
- ジェシカ・マニング(CV:片石千春/リーヴァ・スパイヤー)
サードの1人。
画家として暮らしていたが、電波ジャックしたダンクロードの口から名指しで正体を暴露された事により、それに呼応した反ロボット団体に襲撃された挙句に最期は丸焼きにされた。
だが、生命維持反応が終了する間際に電脳ネットワークを通じてアミテージに自分達の情報を送っていた。
その他
- ユージン・H・アレン(CV:田中秀幸/サム・ストロング)
コンセプシオン社副社長。
サード殺害の事件に絡んでいる模様。
自身に仕えている女性型セカンドとハーレムしていたところをロスに尋問され、直後に何者かにコントロールされたセカンドの自爆に巻き込まれて死亡。
- アサクラ(CV:嶋俊介/バリー・スティグラー)
アミテージの生みの親である天才科学者。
かつてはダンクロードと共にサードの開発を行っていたが、プロジェクトが頓挫してからはコンセプシオン社のマインドコントロールで記憶と精神を書き換えられてダニッチ丘陵の実験ドームへと追いやられた。
現在はサードへの関心を失い、次世代の新生命体であるアライヴの開発に専念しており、当初はアミテージの事など見向きもしなかったが、完全に記憶を失っているわけではなく、その証拠にアミテージらしき少女と仲良く写ってる写真を今でも机の上に飾っている。
条約締結の日に実験ドームが反政府活動とみなされて政府軍の標的にされた際には、生みの親の最後の務めとして修理を兼ねたアップグレードをアミテージに施した。
その後、政府軍の攻撃により実験ドームと運命を共にした。
- ウィルバー・ダンクロード(CV:中尾隆聖 /ダン・ウォーレン)
アサクラの助手。
ダンクロードと同型のアサシンドロイドであるが、彼と逆に温厚な性格で常に敬語で語りかけ、アミテージ達に対しては協力的な一面を持つ。
もっとも、ダンロードと瓜二つな容姿のせいでアミテージからは銃を向けられたが。
名前の由来はおそらくクトゥルフ神話の『ダニッチの怪』に登場した“ウィルバー・ウェイトリー”と思われる。
- アライヴ
アサクラが開発したバイオロボット。
人間そっくりなサードとは異なり、木が人型になったような人外の姿をしている。
ダニッチ丘陵のドーム内で複数の個体が暮らしている。
- スチュワーデスのセカンド(仮称)
序盤で登場した女性型アンドロイド。
ロスが乗っていた航空機に同乗していたスチュワーデスであるが、デザイナーの趣味なのか、制服がジャケットとTバック1枚というかなり露出度が高い格好となっている。ちなみに現実におけるベトナムの航空会社『ベトナムジェットエア』ではビキニ姿のスチュワーデスが機内でダンスパフォーマンスを披露するサービスが存在しており、見方によっては作中のような格好をしたスチュワーデスが現実にいても違和感が無いとも言える(笑)
コミック版
本作のリリースと並行する形で『月刊少年キャプテン』で連載されていた。全2巻。
著者は大棚ザラエ+池上竜矢で、OVAとは設定や人物の一部が共通しているものの、アミテージとロスの人物像やストーリーが大きく異なっている。
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- Oneworld onenationの言葉と物悲しいBGMを背景に戦う二人が印象的だった。 -- 名無しさん (2017-02-23 21:40:00)
- 「女の子が吐く姿ってイイなぁ 好きだなぁ!」 -- ダンクロード (2017-02-23 21:41:30)
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