登録日:2016/12/06 Tue 16:32:56
更新日:2024/02/01 Thu 13:40:31NEW!
所要時間:約 6 分で読めます
▽タグ一覧
dcコミックス dc black label アメコミ バットマン ジョーカー トゥーフェイス new earth ポストクライシス プレフラッシュポイント グラント・モリソン サイコ 不思議の国のアリス デイブ・マッキーン
『Arkham Asylum: A Serious House on Serious Earth』は1989年にDCコミックスから出版されたアメコミ作品。
『Arkham Asylum: A Serious House on Serious Earth』
発売 1989年10月
脚本 グラント・モリソン
作画 デイブ・マッキーン
日本では2000年に小学館集英社プロダクションから邦訳本が発売され、2010年に同じく小学館集英社プロダクションからモリソンによるスクリプトとラフスケッチを収録した『バットマン:アーカム・アサイラム 完全版』が発売されている。
フランクミラーによる『バットマン:ダークナイト・リターンズ』、『バットマン:イヤーワン』やアラン・ムーアによる『ウォッチメン』、
『バットマン:キリングジョーク』が発売されたコミック変革期の1980年代後半のラストを飾った作品。
バットマン史上屈指の問題作とも言われ、凶暴で活動的に描かれがちだったバットマンを精神的に脆く問題を抱えた人物として描き、
彼が内なる狂気と向かい合いそれを乗り越える姿を描いた内容となっている。
バットマンと並行して『アーカム・アサイラム』創設者アマデウス・アーカムが優秀な医師で家族思いな父親から狂人へと変わっていく姿が描かれる。
異才として知られるモリソンによるライティングはもちろんのこと、デイブ・マッキーンのコミックとは思えない独創的なアートによって読者も狂気へと誘うような作品になっている。
2009年に発売された『バットマン アーカム・アサイラム』は本作の影響を受けた部分がみられる。
【物語】
4月1日、エイプリルフール。精神病院『アーカム・アサイラム』で暴動が発生する。
ジョーカーに呼ばれ『アーカム』を訪れたバットマンは囚人たちによるかくれんぼに参加させられ、狂気の淵に向かっていく。
【登場人物】
- バットマン(ブルース・ウェイン)
ゴッサムを守る闇の騎士。外見はシルエットのように描かれている。
ジョーカーの要求で単身『アーカム』に向かいかくれんぼに参加させられ、様々なヴィランと出会い追い詰められていく。
モリソン曰く本作のバットマンは『装甲し、抑圧され、不安定で、性的機能の停止した男』とのこと。
後にライターを担当した『JLA』では健全さと尊厳さを強調し、モリソン・バットマン・サーガでは神格化して描いている。
- アマデウス・アーカム
本作のもう1人の主人公。『アーカム・アサイラム』の創設者で優秀な精神科医。バットマンの活躍と並行して彼の日記を通し彼の人生が語られる。
精神を患った母の死と同じく精神を患い投獄されたマーティン・ホーキンスとの出会いから実家を改築し『アーカム・アサイラム』を開業を決意した。
その後、妻と娘をマーティンに殺されるが、彼を一番最初の患者にして事故に見せかけ殺し復讐を果たした。
≪ヴィラン≫
犯罪の道化王子とも呼ばれるバットマンのライバル。『アーカム・アサイラム』を占拠し人質の解放を条件にバットマンを呼びよせる。
バットマンに対し挑発的な言動を繰り返した後、バットマンにかくれんぼをさせる。
本作では従来の常識を超えた超正常な人間で固定した人格がないと分析されている。
- トゥーフェイス(ハービー・デント)
顔の半分を酸で焼かれ精神が歪んだゴッサムの元地方検事。片面を傷つけたコインを使って行動を決めていたが、
治療の結果タロットカードを使い選択肢が78通りに増えた。2にこだわることは無くなった様だが、
選択肢が増えすぎてまともにトイレにも行けなくなっている。
- トウィードルダム、トウィードルディー
鏡の国のアリスの登場人物に似た双子。バットマンを独り占めするジョーカーに文句を言う。
- ブラックマスク(ロマン・シオニス)
顔に黒いマスクがくっついたギャングのボス。独特な言い回しをするヴィランが多い中、
ジョーカーにバットマンのマスクを剥ぐよう要求するなど普通の反応をする。
- プロフェッサー・マイロ(アキレス・マイロ)
おかっぱヘアーが特徴的なマッドサイエンティスト。自分は正気だと思っており他の人間に呆れている。
- クレイフェイス(プレストン・ペイン)
特殊な皮膚病を治すため肉体を自在に変化させるクレイフェイスの血液を輸血した結果、自身もクレイフェイスになってしまった男。
アーカムをさまようバットマンに助けを求めるが拒否されてしまう。
- ドクター・デスティニー(ジョン・ディー)
他人の夢を操る力を持つスーパーヴィラン。他の作品ではドクロの仮面にフードをかぶった大男として描かれることが多いが、
本作では車椅子に乗った老人として描かれている。車椅子を押してくれる人を探していたがバットマンに背中を蹴られ階段から落ちてしまう。
- スケアクロウ(ジョナサン・クレーン)
恐怖に心を奪われた元心理学者。案山子のようなコスチュームに身を包んでいる。
ドクター・デスティニーを蹴落としたバットマンの背後に現れ彼を驚かす。
- マッドハッター(ジャービス・テッチ)
不思議の国のアリスに異常な執着を見せる小男。洗脳を得意とする。鏡の中からバットマンの前に現れ読者とバットマンに本作の本質を語る。
- マキシー・ゼウス(マクシミリアン・ゼウス)
自分をゼウス神の生まれ変わりと自称する異常者。自らの体に電気を通して青白く光っている。バットマンに意味不明な言葉を語るが無視される。
- キラークロック(ウェイロン・ジョーンズ)
特殊な皮膚病でワニのような外見を持つ犯罪者。バットマンに襲い掛かるが槍で刺され撃退される。
≪その他≫
- アマデウスの母
アマデウス・アーカムの母親。元々病気がちだったが1901年に精神を患ってしまう。その後、1920年に自殺している。
- ジェームズ・ゴードン
ゴッサム市警本部長。バットマンの良き理解者。ジョーカーの要求に従いバットマンを呼び出し、『アーカム』へ向かう彼を見送る。
- マーティン・ホーキンス
アマデウスがメトロポリスの精神病院で働いていたころに出会った患者。狂犬と呼ばれ女性の顔と性器だけを傷つける犯行を行い逮捕された。
その後、刑務所を脱走しアマデウスの妻と娘を殺害し『アーカム・アサイラム』の一番最初の患者となる。
6か月間治療を受けていたが1922年の4月1日に事故という形で殺された。
- コンスタンス・アーカム、ハリエット・アーカム
アマデウスの愛する妻と娘。1921年の4月1日にマーティン・ホーキンスに殺される。
- キャベンディッシュ
『アーカム・アサイラム』の管理責任者。ピエロの格好をさせられている。バットマン到着後も責任者として現場に残る。
- ルース・アダムス
『アーカム・アサイラム』の心理療法士。ジョーカーやトゥーフェイスの治療に携わっている。
バットマン到着後も現場に残り、彼に言語連想テストを行う。その結果、バットマンはトラウマを呼び起こされ精神的に不安定になってしまう。
追記・修正お願いします。
[#include(name=テンプレ2)]
この項目が面白かったなら……\ポチッと/
#vote3(time=600,1)
[#include(name=テンプレ3)]
▷ コメント欄
- 「モリソン曰く本作のバットマンは…『性的機能の停止した男』」この知らせはセリーナ・カイルにとってショックだった -- 名無しさん (2016-12-06 22:59:12)
- 本編終了後の登場人物紹介文がカッコ良くて凄い好き -- 名無しさん (2019-05-20 09:43:04)
#comment
コメント
最新を表示する
NG表示方式
NGID一覧