登録日:2016/02/15 Mon 01:40:16
更新日:2024/01/19 Fri 13:37:44NEW!
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映画 洋画 ハリソン・フォード インディ・ジョーンズ ジョージ・ルーカス スティーブン・スピルバーグ パラマウント映画 冒険 アーク 聖櫃 ナチス ヒトラー 衝撃のラスト エジプト ネパール
『インディ・ジョーンズ レイダース 失われたアーク《聖櫃》(原:INDIANA JONES and the RAIDERS of the LOST ARK)』はとは、1981年に公開された米映画。
ルーカスフィルム製作。パラマウント映画配給。
【概要】
映画史に残る永遠のヒーローの一人であるインディ・ジョーンズのデビュー作にして、シリーズの始まりとなった記念碑的作品。
ジョン・ウィリアムズによるテーマ曲も余りにも有名。
単品作品としてもアドベンチャー映画の金字塔として知られ、後に数々のオマージュを生んだ。
元々は『レイダース 失われたアーク《聖櫃》(RAIDERS of the LOST ARK)』がタイトルだったが、シリーズ化を見越していた事もあってかソフト(ビデオ)化に併せて改題。
ただし、紹介記事によっては元のタイトルのままで紹介されている場合もある。
映画の開始時にはパラマウントのシンボルが劇中の“山 ”に重なる演出が行われ、シリーズの「お約束」として引き継がれていった。
『STAR WARS』同様、現在の版権はルーカスフィルムの親会社であるディズニーが所有している。
【製作の経緯】
製作総指揮と監督はジョージ・ルーカスとスティーブン・スピルバーグという今では知らぬものはいない程の有名コンビだが、企画の開始が『STAR WARS』の興行的失敗を予想してハワイに逃げていたルーカスをスピルバーグが訪問した事から……という、やや後ろ向きな理由であった事でも知られる。
アイディア自体は『STAR WARS』以前よりルーカスに存在しており、1930年代に流行した冒険活劇を下地に、考古学者が活躍するアクション作品というアイディアまでが既に固まっていた。
ルーカスを訪問したスピルバーグとの会話の中で、どんな映画を撮りたい?とのルーカスの質問にスピルバーグが「007みたいな作品を撮りたい」と答えた事から本作のアイディアを提示。
それにスピルバーグが賛同した事から製作が決定した。 *1
主演はハン・ソロ役が当たり、世間の注目を浴びてはいたものの、まだ他の役が付いていなかったハリソン・フォード。
ハリソンの起用についてはルーカスは余り乗り気ではなく、オーディション段階ではトム・セレックが考えられていたが、テレビドラマ『私立探偵マグナム』への主演が決まったことから叶わず、あらためてスピルバーグからハリソンの起用をルーカスに薦める。
今度はルーカスもそれに賛同し、ハリソンも乗ったことから、漸く配役が決定。
本作の成功も加えてハリソンは遅咲きの映画スターとしての地位をいよいよ不動の物としていった。
ヒロインとなるマリオン役にはカレン・アレン。
こちらも決定までには複数の女優に打診、またはオーディションに参加して来ており、メイキング映像ではインディとの再会シーンを演じるショーン・ヤングの姿が見られる。*2
大きな企画だけに予算の確保には苦労したそうで、スピルバーグには予算と日程を超過する悪癖もあった。
これに対しルーカスは予算の効率のいい回し方としてテレビシリーズの撮影方法を指導。
2班体制や詳細な絵コンテ、ミニチュア等を利用した撮影計画と機材検討の準備により1日に40シーンもの撮影をこなすハイペースを成し遂げた。
スタジオも低予算で済むとの理由から『STAR WARS』を撮影した英国のスタジオを使用。
野外ロケで訪れたチュニジアも『STAR WARS』のロケ地であった関係から既にルーカスに土地勘があった事により選択された場所である。
【物語】
1936年。
プリンストン大学で教鞭を執るインディアナ(インディ)・ジョーンズは高名な考古学者にしてトレジャーハンターとして知られていた。
ある日の事、冒険から帰っていたインディの下を陸軍諜報部のエージェントが訪れ、ナチスがエジプトで大規模な発掘作業を行っているとの情報をもたらす。
話を聞いたインディは、ナチスがオカルト趣味のヒトラーの指示によりタニスの遺跡から伝説の《聖櫃》を発掘しようとしている事を看破。
軍の約束の下で自らが調査に向かう事を確約させる。
インディは《聖櫃》発掘に必要なメダル=ラーの杖飾りを持つ、《聖櫃》研究の権威にして袂を分かっていた恩師アブナー・レイブンウッドの隠遁していると思われるヒマラヤの寒村を訪れる。
そこで、恩師アブナーの死をアブナーの一人娘で嘗ての恋人でもあるマリオンから聞かされたインディは一度は追い返されてしまうが、直後にトート率いるゲシュタポのエージェントが襲来。
助けに入ったインディは、マリオンを救いだすと共にエジプトに向かう。
友人の発掘王サラーと合流したインディだったが、ナチスの放った刺客によりマリオンが殺害(※勿論生きてました)されてしまう。
インディは《聖櫃》とマリオンの復讐の為にタニスの発掘現場へと潜入するが……。
【登場人物】
■インディアナ(インディ)・ジョーンズ
演:ハリソン・フォード
シリーズ通しての主人公。
学者としても有能だが何より冒険家、トレジャーハンターとして名高く、男女問わず(意味深)学生達からの人気が高い。
危険地帯に出向く割には蛇が苦手であったりと可愛い面も多く、《聖櫃》への拘り等、これらの複伏線は後のシリーズで回収された。*3
鞭を持った主人公像は日本では『悪魔城ドラキュラ(FC)』にも影響を与えたとも。
■マリオン・レイブンウッド
演:カレン・アレン
インディの恩師であるアブナー・レイブンウッドの一人娘で、かつての恋人。
父親の死後もネパールに残り、当地で酒場を開いて生活していた。
勝ち気な性格で、再会したインディを殴り付けた他、酒にも強い。
父親からラーの杖飾りを預けられていた。
メイキングによると、中の人とスタッフによって、撮影中にどんどんコミカルなキャラクター付けがされていったとの事。
■サラー
演:ジョン・リス=デイヴィス
エジプトの発掘王で子沢山。
ナチスの《聖櫃》発掘部隊に駆り出されていたが、友人のインディに協力。
《聖櫃》発掘の手助けをする。
■マーカス・ブロディ
演:デンホルム・エリオット
プリンストン大学の副学部長でインディの父親替わり。
博物館の館長でもあり、インディの持ち出した宝物を買い取っている模様。
■ルネ・ベロック
演:ポール・フリーマン
インディの宿敵の仏人学者で、汚い手段でインディの得た宝物を奪ってきた。
ナチスに協力してはいるが、あくまでも自分の栄誉と金の為だけに《聖櫃》を探している。
ナチスに誘拐されたマリオンを気に入り、何とか自分のものにしようとしている。
■アーノルド・エルンスト・トート
演:ロナルド・レイシー
冷酷なゲシュタポのエージェントで、ラーの杖飾りを奪うべくマリオンを拷問にかけようとした。本作屈指の萌えキャラ。*4
台詞は僅か13行と云う短さながら、抜群の存在感により本作を代表する悪役として記憶されている。
■へルマン・ディードリッヒ
演:ヴォルフ・カーラー
《聖櫃》発掘部隊の隊長。
あくまでも総統の命を受けて発掘作業に従事しているだけであり、考古学的な価値や人質には関心が無い。
台詞からも《聖櫃》がユダヤ人に由来する事を嫌悪しているのが解る。
■カタンガ
演:ジョージ・ハリス
サラーの友人で、インディらの為に手配された貨物船の船長。
■サティポ
演:アルフレッド・モリーナ
冒頭でインディに協力してチャチャポヤン遺跡に向かった2人組の1人。
遺跡内部まで入るも、危機に陥ったインディを見捨てて黄金の神像を奪って逃げ出すが……。*5
■バーランカ
演:ビック・タブリアン
チャチャポヤン遺跡に向かった2人組の1人。
【聖櫃(ARK)】
ユダヤ(聖書)伝承に残る、十戒の石板が納められたとされる契約の箱。
本作での余りにも印象的な解釈が後の作品に与えた影響は大きい。
本作のラストで何処かの倉庫に運び込まれているが……。*6
【余談】
本作の印象的なシーンの1つである、インディが三日月刀を振るう刺客に付き合わずに射殺してしまうシーンは、チェニジアでの撮影中に主演のハリソンをも含めた大勢の関係者が飲み水に当たってしまい、体調を崩してしまった事で急遽アレンジされたシーンである。
元々は「ジョン・ウー作品にも負けない」と豪語されるアクションシーンに、なる筈だったとの事。
CGの無い時代と云う事もあってか、劇中の遺跡は精巧なセット。
数々のオマージュとパロディを生んだ侵入者を押し潰そうとする大玉も実物大のセット。登場する害虫や蛇は本物である。
勿論、当時としては考え得る最大の安全性に配慮して撮影されているが……。
メイキングでのインタビューによると、タランチュラを付けられてパニックに陥ったモリーナのリアクションをそのまま採用する等、生の迫力が感じられるのも当然なのかもしれない。
番組後半に登場するUボートはセットではなく、映画『Uボート』にも使用された本物。
『STAR WARS』のパロディとして、冒頭でインディが乗り込む複葉機にはOB-CPO(オビワン&C-3PO)の文字と、タニス遺跡の「魂の井戸」の柱にC-3POとR2-D2が描かれている。
……『STAR WARS』は地球文明の起源だった……?
日本では「金曜ロードショー」の第1回作品として放送され、以降2023年まで同枠だけで6回も放送される人気作品となっている。
インディの吹き替えは俳優の村井國夫が担当し、テレビ放送は(他局放送分を含め)原則このバージョンが使用され現在も親しまれている。
但し、4作目『クリスタル・スカルの王国』が公開されてから暫くの間は、吹替バージョンを統一させる配給元の意向から、Blu-rayでは内田直哉(クリスタル・スカル時の声優)による吹き替え版がメインに収録されている時期もあった。
その後、無事に『クリスタル・スカルの王国』村井國夫バージョンも制作されたことと、『運命のダイヤル』で村井氏が完全復帰となったことで、現在は村井國夫バージョンがメイン扱いになるよう軌道修正されている。
追記・修正は大玉から逃げ切ってからお願い致します。
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▷ コメント欄
- アークのある場所でインディアナがコブラと対面するシーンでは、なんと本物のコブラ(当然、有毒です)を使っていたのだ。ガラス越しとはいえ、万が一のために医療チームを用意するなどかなりの厳戒態勢を敷いて撮影したそうな。 -- 名無しさん (2016-02-15 02:15:32)
- タイトルの送り仮名違うし…ページ名「失われた聖櫃」に変更でよろしい? -- 名無しさん (2016-02-15 02:30:46)
- ↑手元にあったボックス参考にしましたが、気になるなら変えてもいいです。 -- 名無しさん (2016-02-15 02:39:37)
- やっぱラストだよなー。子供の頃にワクワクしてたらアレだもんなー。 -- 名無しさん (2016-02-15 04:45:21)
- 因みに、村井さん、「クリスタルスカイの王国」でのハリソンの吹替えを、楽しみにしてたんだけど、スケジュールの都合で、断念。めっちゃ悔しがったって、話聞いたけど、本当? -- 名無しさん (2016-02-15 05:09:41)
- 金曜ロードショーの第一回だっけ…「レイダース=争奪者」「アーク=十戒が書かれた石盤を納めたひつぎ」というミズハルの解説は30年経った今でも覚えてる -- 名無しさん (2016-02-15 20:36:13)
- なんだっけ、最後はアークを開けたら祟りでその場にいた目を瞑ったジョーンズ達以外みんな文字通り煮るなり焼くなりされて死ぬんだっけ。爽快ではあったが子供の頃見て結構トラウマになった。 -- 名無しさん (2016-02-16 17:11:56)
- ↑ゲシュタポ野郎がドロドロになるシーンか。後のスプリガンにも影響が見えるな -- 名無しさん (2016-02-16 17:31:36)
- ゲシュタポ連中の苗字がトートにディートリッヒとナチの大物と同じなのは笑うべきか -- 名無しさん (2016-02-18 20:05:24)
- カタンガ船長いい人だよね -- 名無しさん (2016-09-24 23:14:08)
- あの大玉特撮じゃなかったのか! すごい -- 名無しさん (2018-05-14 14:08:40)
- このアークって、FGOにおいては、第三章で、ドレイクの姉御と一緒に取りに行くやつだよね? ダビデの兄ちゃんが守ってたやつ。 -- 名無しさん (2018-05-14 15:30:12)
- 宮崎駿がインディシリーズを批判してたの聞いて、もったいないと思った。普通に名作なのに… -- 名無しさん (2019-06-11 15:50:50)
- ↑あの爺さん頭おかしいから… -- 名無しさん (2021-04-26 20:12:18)
- ゲシュタポが死んだのは「箱に不用意に触れたら天罰で死ぬ」っていう実際のアークの伝説が元ネタかな -- 名無しさん (2023-04-19 16:27:25)
- ↑アークに神輿のような持ち手があるのも触れないためだっけか。そういや冒頭のお宝ゴールデンアイドルは元ネタとかあるのかな? -- 名無しさん (2023-05-20 01:57:33)
- 今回初めて観て驚いたのはインディが敵とは言え躊躇なくバンバン殺しまくる所。マスターキートンのような人だと思ってたんでビックリした -- 名無しさん (2023-05-21 21:57:59)
- 全編通して敵は容赦なく殺すけど、インディはナチが嫌いらしいので彼らが相手の場合は一層気合を込めて殺りに行ってるのかも。 -- 名無しさん (2023-09-14 17:56:12)
#comment
*2 カレンは17年後に『インディ・ジョーンズ クリスタルスカルの王国』にて再びマリオン役を演じている。
*3 ルーカスの構想段階では、嘗てマックイーンの演じたネバダ・スミスにちなみインディ・スミスであったが、スピルバーグが難色を示した為に、ジョーンズがファミリーネームとなった。インディアナは当時のルーカスの愛犬の名前で、このエピソードは後に『最後の聖戦』でシナリオに採用された。この犬は『STAR WARS』ではチューバッカのキャラクター案を生んだ事でも知られている。
*4 ロナルド・レイシーは長年の役者生活では芽が出ず、エージェントに転向していたが、本作の出演を機に再び役者業に戻った。レイシーは後に『最後の聖戦』にヒムラー役でも出演している。
*5 モリーナは本作が映画デビュー作。後に『スパイダーマン2』でDr.オクトパスを演じた事でも知られる。
*6 続きは『クリスタル・スカルの王国』にて。
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