水嶋清衣/ピルルク

ページ名:水嶋清衣_ピルルク

登録日:2015/06/09 (火曜日) 03:35:00
更新日:2024/01/15 Mon 10:32:37NEW!
所要時間:約 42 分で読めます



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wixoss ピルルク ルリグ セレクター 蒼井晶 リメンバ 大西沙織 ハンデス 死神 コミュ障 食いしん坊 主人公 シンデレラガール 苦労人 所要時間30分以上の項目 水嶋清衣 -peeping analyze- 不幸を呼ぶルリグ ハイパーぼっち 前科一犯 キシシシシ





ねえ坂口。私の罪は消えないわ




『水嶋清衣(みずしま きよい)』とは、トレーディングカードゲーム『WIXOSS』のメディアミックスシリーズの登場人物である。
本稿では、『WIXOSS』のルリグであり、彼女のもう一つの姿『ピルルク』についても解説する。



CV:大西沙織





【概要】


アニメ『selector infected WIXOSS』とそのスピンオフコミカライズ『-peeping analyze-』。および第二期『lostorage incited WIXOSS』とその第二シーズンでありシリーズ最終章『lostorage conflated WIXOSS』に登場し、これらの内『-peeping analyze-』『lostorage conflated WIXOSS』では主人公を務めている。その他一期第二シーズン「selecter spread WIXOSS』及び劇場版『selector destructed WIXOSS』にも登場し、アニメシリーズでは唯一の皆勤賞キャラクターとなっている。


黒のショートヘアでクールな雰囲気を醸し出す美少女。
後述の過去の心の傷によって人を寄せ付けない雰囲気と 斜めに構えていてどこか世を拗ねる冷めた物言いとなっているが本質的には感情豊かで良くも悪くも自己犠牲精神が強く友達思い。アニメ『selector』ではほとんど表情が変わらないが、『-peeping analyze-』では喜怒哀楽でコロコロと変わる表情を楽しめる。ついでに『Lostorage』では穂村すず子が持ってきたお菓子を遠慮知らずにバクバク食べ始めるなど、けっこう食い意地が張っていて図々しいところを見せている。


元々は『selector infected WIXOSS』に登場するサブキャラクターの一人にすぎなかったが、その性格やルックス、そして彼女を主人公としたコミカライズにおいてその過去の掘り下げとアニメの舞台からの退場後の物語と活躍が描かれたことで第一回人気投票第一位に輝くほどのファン人気を獲得し続編アニメにも登場。ついにはこれまでのシリーズのオールスターキャストが登場する最終章の主人公にまで昇り詰めるという類を見ない経歴をたどったシンデレラガールである。




【TCG『WIXOSS』のピルルク】


のルリグで、髪色は清衣の黒から青色に変わり、外見は遊女をモチーフにデザインされている。
現在は、後述のもう一人のピルルクとの区別もありカードでの名称『コード・ピルルク』と明記されることも少なくない。
TCG『WIXOSS』のスターターデッキ「ブルー・アプリ」および第一弾「サーブド・セレクター」から登場。
ピルルクのスターターは「ブルー・ペティション」も存在し、2種類以上のスターターを持つ3人目のルリグ。



自分の手札を増強、相手の手札を破壊することを得意とする。配下クラスは電化製品をモチーフとした『電機』。
ハンドアドバンテージ差を利用してじわじわと削っていくいやらしい戦い方を取る。


カード名の命名ルールは基本的に『コード・ピルルク・○』で○には単位や数量を表す記号が入る。


第12弾から、新たに黒と青の2つの色を同時に持つピルルクが登場。
同時に登場した黒の電機やスペルを駆使した、青単とはまた違った構築が可能。








【selecter infected WIXOSS】


初登場は第一期前半クール第2話「その出会いは劇薬」。
読者モデルのセレクター、蒼井晶のルリグ『ピルルク』として登場した。
社交的な外面と陰湿かつハイテンションな本性を持つ晶とは対照的にクールで無口な性格であり、彼女の指示に淡々と従って行動する。


ピルルク限定のアーツ『ピーピング・アナライズ』の効果によるハンデスを行う際に、相手セレクターの願いを読む力を持っており、晶はこれで読み取った願いを元に挑発し、相手の動揺を誘いプレイングミスを誘うことで大勢のセレクター相手に勝利を収めていた。
(なお、すべてのルリグがこのような能力を持っているわけではなく、ピルルクは後述のある一件で手に入れた)


とはいえ晶からはただの道具としてしか見られておらず、ピルルクも晶がどれだけ勝っても進化の気配を全く見せない自分に対し、カードを破くそぶりを見せながら脅してきても、どうせ出来ないと平然としているなどという様子から信頼関係は感じ取ることはできない。
第6話で晶が小湊るう子浦添伊緒奈に敗北し、セレクターの資格を失ったことでピルルクはアニメの舞台から退場する。
伊緒奈とのバトルや顛末が省略されたためその後どうなったのかは一期では描かれず、二期においてもオープニング、10話の回想シーンと最終回での一場面での登場にとどまった。




以上のようにこのアニメに登場した時点ではピルルクについて内面描写等の掘り下げはなく、晶のルリグとして注目はされていたものの、キャラクターとしてはあまり本筋に関わってこない、印象の薄いところがあった。
だが、一期放送終了後に集英社『ウルトラジャンプ』でスピンオフ『-peeping analyze-』(著 鈴木マナツ)が連載を開始。
その中で彼女の残酷な過去と、晶の元を去った後の物語が描かれた。






清衣は本を開く。月日が教えてくれた現実はどうせ叶わぬ願いと、消え入りそうな希望。







【selecter infected WIXOSS -peeping analyze-】







願いの代償は奈落




物語は晶の元に現れるよりも以前、『水嶋清衣』が14歳の中学生だった頃まで遡る。
その頃の清衣は小学生のころにいじめにあったこと、そのいじめの主犯格が友達だといって近づいてきた少女だったことから周囲に壁を作り、孤独な生活を送っている少女であった。



そんな清衣に、彼女が読んでいたウィクロスのノベライズをきっかけに声をかけてきたのがクラスメイトの少女、坂口歩美だった。
人との交流を避けていた清衣にとってはクラスみんなの人気者である歩美がなぜ自分に構うのか分からず、強引にアプローチをかけてくる歩美のことは最初はウザったく思っていたものの、次第に心を開いていき、一緒にウィクロスで遊ぶ約束をして歩美のことを名前で呼ぶようになる。
(まだ壁を作っていたところもあったのか、下の名前ではなく苗字の坂口と呼んでいた)
しかし、その日の放課後、歩美の友達に過去のトラウマを呼び起こされた清衣は歩美を拒絶し、トラックが来ていることに気づかずに道路に出た清衣を庇って歩美が事故にあい、昏睡状態になってしまう。
病院で歩美の母親から歩美の思いを聞かされた清衣。そんな清衣の前に歩美の母親から渡された歩美が清衣にプレゼントするつもりだったスターターデッキの中から、共にバトルを勝ち抜き夢限少女となれば願いを叶えてくれるというウィクロスの都市伝説のルリグ、『リメンバ』が現れた。清衣は彼女とともに夢限少女となり『坂口を救う』という願いを叶えるためにセレクターバトルに足を踏み入れるのだった。



セレクターとなった清衣はリメンバとともに順調に勝ち抜いていく。
自身のルリグであるリメンバに対しては強い子だとは思っていたものの、自身の占いを押し付けてくるところや歯に衣着せぬ物言いなどに困惑を見せていた。
それでもリメンバの献身的な姿勢や明るさに次第に彼女を信頼していき、歩美が目を覚ましたら今度こそ本当の友達になりたいという願いをうちあけ、リメンバもまた自分の友達と認めるようになる。
だが、清衣が心を開いていくたび、リメンバは意味深な笑みを浮かべていたが清衣はそれに気づくことはなかった。
そしてセレクターとしての最後の戦いに勝利し、夢限少女となった清衣だったが……。



「・・・?」


「何・・・これ・・・?」



清衣は気が付くと一人の少女がいる真っ白な部屋の中にいた。その少女、『繭』は戸惑う清衣にセレクターバトルの真実を語る。
夢限少女となったセレクターはルリグと入れ替わりに自分自身がルリグになってカードの中に閉じ込められてしまう。
そしてルリグはセレクターの体を得て現実の世界に戻り、セレクターの願いを代わりに叶える。それがセレクターバトルの真実だと。
つまり清衣が外の世界に戻りたければ、何も知らない自分のセレクターを騙し、体を奪わなければならないのだ。清衣がリメンバにされたのと同じように……。



「セレクターになれたおかげで坂口が助かるのなら・・・また笑って過ごしてくれるのならそれで十分」


「私はどうなったっていい」



しかし、あまりに理不尽な運命に嘆き悲しむだろうという繭の予想に反し、清衣は自分を騙していたリメンバに恨み言の一つも漏らさなかった。それどころか、大切な友達であるリメンバに対して変わらぬ信頼をよせ、歩美を救ってくれる願いを託していた。
このゲームの真実と、リメンバがこんなことをしたのは、彼女もまたこのバトルに巻き込まれてカードに閉じ込められていた被害者だからであることを理解した清衣は、こんな裏切りをルリグたちに強要するセレクターバトルへの怒りを込めて繭に宣言する。



「こんなのは坂口の好きなウィクロスじゃない」


「私は、外の世界に出るために誰かを騙すなんて、絶対にしない」



だが繭は清衣の思い違いを一つ訂正する。現実に戻ったルリグは中身が入れ替わっただけの普通の少女であり、特別な力など失われていると。
医者でも手の施しようが無い状態の歩美を、リメンバがなにかしらの奇跡の力で治してくれると思っていた清衣は動揺する。それでもなおリメンバのことを信じる清衣に繭はある光景を見せた。そこで清衣が見たものは……、









ちょっと細工しておきましたから、誰にも邪魔されませんよ


ゆっくり


休 ん で く だ さ い ね







歩美以外誰もいない病室で人工呼吸器に細工し、永遠に続く苦しみから彼女を『殺して』救う水嶋清衣=リメンバの姿だった。
リメンバの目的はただ一つ、カードから外に出ること。
そのために清衣を利用し、彼女の願いもはじめから踏みにじるつもりだったのだ。



信じていた友達の最悪の裏切りを目の当たりにした清衣の心と決意は完全にへし折られた。
清衣は繭の口車に乗せられるままルリグになる運命を受け入れ、『ピルルク』という繭に与えられた新しい名前を名乗ってセレクターバトルに舞い戻る。



全てはセレクターの体を奪って現実の世界に戻り、歩美の命を奪ったリメンバをこの手で『殺す』ために。











それから時間が経ち……。
組んだセレクターを駒として扱い、3敗により失格させてはまた白窓の部屋に戻る。
ルリグになって得た力、『ピーピング・アナライズ』によってセレクターたちの願いを覗き、そのたびにリメンバの狙いが読めなかった自分の罪と覚悟もなく垂れ流される願いと、その代償も知らない少女たちの無価値さを思い知る。
そんなことをもう何人目のセレクターだったのか数えるのをやめるほどに繰り返していたピルルクの心は完全に凍り付いていた。
(キャラクターの服装の変化から判断して)ルリグになって一年ほどして、20人以上のセレクターたちを3敗させて使いつぶし、彼女たちを破滅させてももうなんとも思わなくなり、もはや清衣だった頃の面影は欠片も無くなった頃にピルルクは蒼井晶のルリグとなる。浦添伊緒奈という懸念材料こそあったものの、今まで自分を使いこなせなかった『役立たず』達以上に利用できる駒としての価値を晶に見いだしたピルルクは今度こそ現実に戻り、リメンバへの復讐を果たせると確信する。


しかし、結局晶はアニメ本編で描かれた通りるう子と伊緒奈に敗北しピルルクはまた白窓の部屋に戻ってきてしまう。
繭に関わる相手に不幸を振りまいていく『不幸を呼ぶルリグ』と呼ばれ、かつて歩美が好きだと言ってくれていた頃とはもう似ても似つかなくなってしまった今の自分に歩美の敵を取る資格があるのかと絶望し、心が再び折れかけていたピルルクはまた新たなセレクターの元にたどり着くのだが……。








「ん~となになに? あなたの分身となるルリグです・・・?」


「う~ん」



「よくわかんないや」






















「さか・・・ぐち・・・?」





















この意志が希望



(・・・アミカ?坂口じゃない・・・)


(そうだ・・・そんなことあるわけない。坂口は・・・死んだんだから)




晶の元を離れたピルルクが新たに送られたセレクター。歩美とうり二つのその少女の名は『橋本アミカ』。父親と二人の弟と暮らしている女子高生だった。
ピルルクがwixossの都市伝説のカードだと知ったアミカは自分の願い、病気でずっと入院している母親を救いたいという願いを託してセレクターバトルに参加する。
歩美そっくりの、そして大切な誰かを救いたいというかつての自分と同じ願いを持つ少女をセレクターに宛がってきた繭の悪意を理解しながらも、リメンバへの復讐のためにアミカまで利用しようとするピルルク。
しかし外見だけでなく、内面まであまりにも歩美にそっくりなアミカに次第に心惹かれていくピルルクは、早々に2敗しつつも願いを叶えようと必死で戦い続ける彼女と心を通わせていくのだった。
だが……。



「・・・見つけた。リメンバ・・・!」


「やっぱり!清衣ちゃんだぁ!お久しぶりですぅっ」



そんな二人の前に現れたセレクター。それは、黒のルリグを手に三度目のセレクターバトルに参加していた水嶋清衣=リメンバであった。
もはや本性を隠すことなく、悪意を込めて笑いながら挑発してくるリメンバに憎悪を隠せないピルルク。
夢限少女になるための最後の1勝を得ようとするリメンバに告げられたピルルクの正体とセレクターの末路にショックを受け、さらに母親がこのタイミングで危篤状態となったと知り、母親を救うためになりふり構っていられなくなったアミカはピルルクの静止を無視してリメンバとのバトルを始めてしまう。


バトルの中で、セレクターバトルの真実とピルルクには母親を救う事など出来ないことを知らされ、騙されていたと絶望するアミカにリメンバの攻撃で傷つきながらもピルルクは語り掛ける。
歩美を助けたかったというかつての自分の願いとそれを最悪のやり方で裏切ったリメンバへの憎しみ。そして歩美にそっくりなアミカと出会うことで凍り付いていた心が溶けていき、やがて歩美の代わりとしてではなく本当にアミカと友達になりたいと思うようになっていったこと。



「ごめんね、アミカ」


「私は・・・あなたの友達じゃない。だって私は・・・」


「『不幸を呼ぶルリグ』だから」



それなのにアミカを自分のせいで苦境に立たせてしまっていることに涙を流すピルルクの姿にアミカが選んだ答えは、願いを「ピルルクを人間に戻すこと」に変更すること。これまでずっと一人で苦しみ続けてきた友達を救いたいという願いだった。



「罰とかそんなの、関係ないよ」



「私も・・・きっと坂口さんも、復讐とか罰とかそんなの望んでない」



「だってこんなに苦しんでる清衣なんて見たくないもん」



「友達だから」




そんなアミカの思いにピルルク……清衣は気づいた。『ピーピング・アナライズ』の力を得た本当の意味。自分自身の気持ちを見つめること。そしてアミカが教えてくれた自分自身の本当の気持ちから目をそらさないことを理解できたとき……。



「ねえ、坂口。私の罪は消えないわ・・・」


「私は・・・あなたとたくさんの少女たちを傷つけた。許してもらえないのもわかってる」


「でも今は・・・」


「私は、アミカの願いを叶えたい」



「アミカ・・・宣誓を」


「ピルルク、グロウ!」




清衣は進化した。アミカの願いを叶えるために。本来、存在しないはずの領域『レベル5』へと。
レベル5『コード・ピルルク ACRO』への進化によりリメンバへの反撃が始まる。あと一撃で勝てる。勝利を確信し、アミカが夢限少女へと至り清衣と入れ替わりにルリグになろうとする時、清衣はある賭けに出ることを決意する。
清衣を信じ、覗く手札もなく無意味のはずの『ピーピング・アナライズ』を発動し攻撃せずにターンを終えたアミカに止めをさすリメンバ。3敗目を迎え、セレクターバトルから失格したアミカはバトルフィールドから消滅してしまう。セレクターバトルの敗者へのペナルティ。アミカの願いの反転により人間に戻れなくなったことを、何をしたかったのかと嘲笑うリメンバに清衣は答えた。
レベル5に至ったことでまた進化した『ピーピング・アナライズ』の力は”意志を操る”力。
この力でアミカの願いを書き換えた上で3敗させた。
そして書き換えられたアミカの「母親を失いたい」という願いは反転し、その結果アミカは「母親を絶対に失えなくなる」。
誰も幸せに出来ない理不尽なゲームのルールを逆に利用し、清衣は、アミカと母親を救うことが出来たのだ。
そんなことをしてもきっと喜んではくれないと歩美の復讐を諦めた清衣を嘲笑いながら夢限少女となり、先に白窓の部屋へと向かって行くリメンバを後目に、ようやく心の中の歩美と向き合うことが出来た清衣。最後に大切な友達の願いを叶えることが出来た彼女の表情はとても満足げなものであった。




もう何度目になるかも分からない白窓の部屋に戻ってきた清衣を待っていたのは、清衣がアミカを不幸にする様子を見て面白がるはずが、アミカを救うだけでなくセレクターバトルさえも破綻させかねない力を得たことにいら立つ繭であった。
繭はお詫びと称してルリグに戻った後のリメンバが辿った末路を見せつけ、それよりももっと酷い存在の消滅をちらつかせて清衣が泣いて命乞いして屈服するようにしようとするも、すでに自分のしてきたことの報いを受ける覚悟を決めていた清衣は全く動じることもなく繭に宣言する。



「あなたが、どうしてこんなことをしてるのかわからない。あなたを止めるなんて出来ないのもわかってる。でも」


「ウィクロスをこんな風に使うのは許さない」


「こんなのは、坂口の好きなウィクロスじゃないから



それに対し、ついに癇癪を爆発させた繭は清衣を白窓の部屋から追い出し、『どこか』へと送り付けてしまう。「せいぜい苦しみなさい」と呪いの言葉を送りながら……



半年後。ある少女たちによってセレクターバトルが終わりを迎え、全てのルリグが解放された後の夏のあるバス停。
そこには元の人間の体に戻ることが出来た清衣の姿があった。
心を読む力を失い、歩美を殺したこの体で犯してきた罪を背負いながら生き続ける。
それは繭の呪いの言葉の通り、苦しみが待ち続ける生なのだろう。それでも清衣は受け入れる。
自分自身が選んだ結果を……


そしてそこには……、
大切な『友達』も居てくれるのだから……。





清衣は本を閉じた。今なら、純粋にWIXOSSを楽しめると思った。










こうして、清衣の戦いは終わったかに見えた。だが呪われたゲームは再び脈動を始める……。
『selecter』の物語が終わっていくらかの時が流れ、ゲームマスターの繭が居なくなったはずのセレクターバトルは再び開始されてしまった。その新たなバトルを舞台とした新作アニメ『Lostorage incited WIXOSS』のPVの中には日常に戻ったはずの清衣の姿があった。今作では、『selector』シリーズのキャラクターの一人がキーパーソンとして登場すると言われており、それが清衣なのではないかと放送開始前からささやかれていたが……。






清衣はまた選ばれた。だけど、それはきっと運命で、






【Lostorage incited WIXOSS】




第2話『少女/理想と現実』において、本作の主人公である『穂村すず子』の幼馴染であり、もう一人の主人公、『森川千夏』と街中で偶然に遭遇するという形で清衣は再登場する。
この時点では清衣の顔見せとしての登場であるためかパートナールリグは明かされず、千夏とのバトル内容も省略される形で終わったものの、ウィクロス初心者の千夏とかつて夢限少女になれたほどである清衣との実力差は明らかであり、バトルは清衣の勝利に終わり千夏に「あなた、自分で自分を縛ってる。それが敗因よ」とアドバイスを残して去って行った。


第8話では『御影はんな』と対戦し、清衣のルリグがかつて彼女が名乗っていた名をつけられたルリグ『アロス・ピルルク』であることが判明。実力者であるはんなにも勝利を収め、セレクターバトルに深入りしないよう忠告する。


第9話ではブックメーカー『里見紅』の元でセレクターたちをバトルへと引き込み続ける千夏と再戦。
セレクターバトルの復活の経緯を調べていくうちに、その理由が前回のバトルが繭の消滅で終了した後も残り続けた少女たちの思念が澱みあって意志を持ったものではないかと考えるようになり、それが事実ならかつて『不幸を呼ぶルリグ』として多くの少女たちを絶望に追いやってきた自分にも責任があると考え、その償いのためにバトルを止めようとしている事が明らかとなった。
千夏に自身の過去とセレクターバトルの闇を語り、かつての自分と同じように闇へと転がり落ちていく彼女を止めようとするも聞き入れられず、所持コイン枚数がゲームクリア条件となる5枚となりセレクターバトルから抜けるのを避けるためにわざと敗北する。


そして第10話において、セレクターバトルを煽る元凶となっている里見との直接対決に臨むが、どうやって調べたものか清衣の過去を知る里見に過去の罪と心の傷をネタにされて散々煽られ、皮肉にもかつて『ピーピング・アナライズ』の力で自分が晶と共にやってきたことが返ってくるような形で動揺させられてしまう。『ピーピング』で反撃に出ようとするも里見の内面のドス黒い闇を見てしまったことで吐き気を催すほどに気分を害してしまい、結果完全敗北を喫してしまうこととなった。


その後里見は最終回ですず子とのバトルに敗れ、コインをすべて失ったことで消滅。この頃には清衣も90日の制限日数を過ぎたことでバトルからは抜けることが出来た。しかし、里見とのバトルで失った分の記憶の宿っていたコインを取り戻せないままにバトルを抜けた結果、歩美のことについて思い出せなくなってしまうという重い代償を支払うことになってしまった。


が、その後もかつての罪の償いや、すでにルリグと入れ替わりになっていた里見と彼(彼女?)と入れ替わった里見のルリグである『カーニバル』。そして以前戦ったルリグ『レイラ』の動向に、ルリグが悪意を持ってこの世界を喰いつくす危険な存在へと進化しているのではないかという危機感を抱いたことからセレクターバトルを止めるために、そして失った大切な誰かの記憶を取り戻し、今そばにいてくれる大切な友達に向き合うために戦うことを諦めてはおらず、既に自分一人の手に負えない状況になったことを理解したため実力のあるセレクターたちに協力を呼び掛けており、そのためにすず子に、そして小湊るう子に接触するのだった……。






セレクターバトルを繰り返し、心を覗き、重ねた罪


私は私、闇の鎖の一つだった。それを打ち消す、一つの贖罪として






【Lostorage conflated WIXOSS】




それぞれ失ったもの、巻き込みたくないものの大きさからすず子とるう子に協力を断られ、再びやってきたアロス・ピルルクと共に一人セレクターバトルに参加した清衣。その最初の対戦相手となったのは、かつてのピルルクのセレクター『蒼井晶』であった。
現在の自分の状況の不満を逆恨み同然にぶつけてくる晶に苦戦するも、新たなセレクターバトルの新システム『キーカード』の力で、かつてルリグだった頃の姿『コード・ピルルク』としてバトルフィールドに再び降り立った清衣は、アロス・ピルルクと新たな力『カタルシス』により晶に勝利しルールによってルリグを奪い取るとともに、その場に現れたカーニバルに今度こそこの絶望を生むセレクターバトルの闇の連鎖を断ち切って見せると宣言する。


後日、はんな、ルリグ『リル』が来たことで再びセレクターとなったすず子と共に情報を集める清衣は、同じくセレクターとなり、前回のバトルの結果失った記憶を取り戻そうとしている千夏と彼女を再び闇に引き込もうとするカーニバルと遭遇。千夏を助けようとするルリグ、『ドーナ』と組んでカーニバルとの対決に望むが、通常『キーカード』の力を使っても二人までしか出せないはずのルリグを自身の能力で三人まで召喚するという予想外の戦術に再び敗北寸前まで追いつめられてしまうも、カーニバルがなぜか退いたことでバトルが中断に終わり危機を免れる。


それからしばらくして、清衣の前に因縁の宿敵と過去の罪が再び立ちはだかる。
アミカとのデートを終えた帰り道、清衣の元にアミカの携帯から一本の電話がかかってきた。その電話の主はアミカではなく清衣に敗れルリグを失ったはずの蒼井晶。彼女に自分の最大の弱点であるアミカを拉致され、誘い出された清衣の前に現れる晶。そして彼女の新たなルリグは、清衣への執着から再びルリグとなったリメンバであった。
アミカを人質にピルルクとしてフィールドに出て無抵抗で晶とリメンバのサンドバッグにされるだけのバトルを強要され、清衣は傷ついていく。
それでもアミカを失うくらいなら負けて自分が消えてしまってもいいと諦めてしまいそうになる清衣。そんな清衣の元に監禁場所から逃げ出すことが出来たアミカの声が響く。アミカの思いに勇気づけられ迷いを断ち切り再び立ち上がった清衣は、残りコイン一枚で敗北すれば消滅する晶を倒す覚悟を決めバトルを再開する。
激闘の末勝利を収め、かつてのパートナーに引導を渡した清衣。しかしアミカの無事を喜ぶのも束の間、前回のバトルのクリア条件であるはずだったコイン5枚を獲得してもバトルクリアの気配がないことに愕然となるのだった。


翌日、はんなに仲介される形で同じくバトルに参加していた、以前ピルルクだった頃に戦った少女、『植村一衣』と接触する清衣。
だが彼女たちはるう子とすず子がカーニバルに騙され、そそのかされる形でバトルを始めようとしているということを知る。潰しあいになろうとしている二人を止めようとする清衣たちだったが彼女たちがどこにいるのかも分からない。
その時、突然清衣は白窓の部屋に呼び出される。新たなセレクターバトルを始めた白窓の部屋の意志『夢限』。かつての主たる繭が消え、自らの新たな主を求めてこのバトルを始めたそれは、清衣を白窓の部屋から生まれた原初のルリグ『シロ(小湊るう子のルリグ 『タマ』)』と並ぶ『もう一人の少女』と呼び、「扉を開けて」「鍵を」「「バトルを」「選んで」「見つけて」などと謎めいた言葉をかける。
『夢限』との接触でるう子とすず子がどこにいるのかを知ることが出来た清衣たちは彼女たちを止めるために二人がいる池袋に向かう。
はんなの機転でなんとかバトルを止めることが出来た清衣たちは彼女たちと合流し、白窓の部屋に入った時に感じ取ることが出来た、清衣が想像していた通りにかつてのセレクターバトルに関わった少女たちの無念が今回のバトルの根底にあったということを皆に話す。
まずはカーニバルたちを倒すという方針を固めた清衣たちであったが、翌日るう子たちがカーニバルと袂を分かったレイラのバトルを受けているのと同時にそのカーニバルが清衣、すず子、はんなの前に立ちはだかる。


先にカーニバルとのバトルに挑むすず子であったが、カーニバルは限界を超えた領域『レベル5』への進化を果たしていた。すず子は敗北してしまうものの、彼女が敗北と引き換えに探った手の内の情報を託された清衣はカーニバルとの決戦に臨む。
すず子戦に続いてレベル5に進化したカーニバルは「バトルを望むのは人間とルリグたちの総意。これからも闇は永遠に終わらない」と清衣を挑発する。だが……。



「そうね……闇は誰の心にもある。私の中にも」


「でも人はそれを乗り越え強くなる。闇の先に光を見出す事が出来る」


「心から信じられる友達」


「私を信じてくれる仲間」


「こんな私を信じてくれた大切な人……」


「一人では抱えきれない闇も、誰かと一緒なら乗り越えられる」


「それが人間よ……人間の強さよ!!」



仲間や友達の思いと共にその闇を乗り越えられる強さを得ることが出来た今の清衣がそのような挑発に心惑わされることはもうない。自身の意志で闇の連鎖を続けていると思い込み、その実、結局は夢限の手のひらの上で踊っているだけのカーニバルを否定すると清衣は『カタルシス』を発動。その力でレベルを5から更に強制上昇させることで限界を超えた力を暴走させるという奇策をもってカーニバルに勝利する。


そして仲間たちから全てを終わらせることを託され、レイラに勝利したるう子からルリグたちを譲渡され、参加していた全てのルリグを手に入れたことでこのセレクターバトルの最終勝者となった清衣は、崩壊した白窓の部屋へとたどり着く。
そこで待っていた夢限は、清衣に白窓の部屋の主となり新たなセレクターバトルを始めることを望むが、清衣はバトルを終わらせこれまでの戦いで消えた記憶たちを解放すると宣言。それを拒む夢限に闇に取り込まれそうになるも、消えたはずの『彼女』の記憶に助けられ闇を振り払った清衣は、夢限との最終決戦に挑む。
夢限が数限りなく呼び出す白窓の部屋に漂う人々の負の思念が実体化したルリグたちと、再びキーカードから実体化した『カーニバル』『レイラ』『リメンバ』が清衣に襲い掛かり、『アロス・ピルルク』『ユヅキ』『ドーナ』『リル』『メル』『華代』『翠子』『ミルルン』『あーや』『グズ子』が清衣と一緒に戦ってくれる激戦の中で、清衣は夢限がどんなにバトルを続けて記憶を奪い続け周りを自分と同じ闇に引きずり込もうとも満たされず、本当は彼女もまた救いを求めていたこと。だから自分を救ってくれる可能性を持つ清衣をこの連鎖を断ち切る鍵となる『もう一人の少女』に選んだことに気づく。
夢限を救うため、新たなレベル5『ピルルク TELOS』への進化を果たした清衣。夢限を救う鍵。自分自身の心を見つけることから生まれた真の『ピーピング・アナライズ』の力で心を闇から解き放たれた夢現は自ら消えることを選んだ。
そして清衣はアロス・ピルルクと共に『カタルシス』の力で白窓の部屋に囚われていた記憶達を解放する。今度こそ本当に戦いは終わり、清衣もまた、取り戻すことが出来た歩美の記憶と共に元の日常に帰っていくのだった。





そしてあの戦いから半年後―


セレクターバトルに巻き込まれ、そして消えていった人々が元に戻って日常を取り戻していき、本当なら記憶の中に消えていくはずだったルリグたちもまた人間としてこの世界に生まれる奇跡が起こった新しい世界。
これまでの戦いの中で、清衣が犯した罪は消えない。一人ぼっちで苦しんでいた頃の記憶も消えない。
それでも清衣は向き合い、多くの仲間たちに支えられてそれを乗り越え、ずっと続いてきた闇と悲劇の連鎖を断ち切ることが出来た。
これからも全ての自分の選択と記憶達と共に清衣はこれからも歩み続ける。



「記憶。それは不確かで曖昧なもの。自分の中で勝手に色を付けて楽しい記憶、悲しい記憶と選別しているだけ」


「記憶は私の中で日々色を変えていく。でもそれはどんなに悲しい記憶だとしても捨てようとは思わない」


「私の一部だから」


「すべての選択を。すべての出会いを、嘘にしたくないから」







「そして、これから先の選択も、胸を張って選びたいから」







戦いの中で出会えたアミカたちたくさんの友達に囲まれて、清衣の日々はこれからも続いていく。







人間関係



 ●坂口歩美


 「バトルするならもう敬語もやめて。いい加減私のことも呼び捨てで呼んでよね!」
 「・・・」
 「分かった・・・坂口」
 「名字かよ!?」


清衣のクラスメイトの少女。
清衣と歩美の交流自体は数日程度のものだったと思われるものの、本当は友達が欲しいと願っていたにも拘わらず過去の心の傷から踏み出せずにいた清衣は歩美が話しかけて来てくれたことを本当にうれしく思っており、歩美も清衣のことを相当気に入っていたことが彼女の母親の話からも分かる。
もし事故がなければ、また清衣の願いが本当の意味で叶い、歩美が目覚めることができればきっといい友達になれたことは想像に難くない。それだけに自分の願いが招いた歩美の死という最悪の結末は清衣の心に大きな傷と後悔を残すことになってしまった。


リメンバとの決戦を終えた清衣の前に幻影として現れ、「私の罪は消えない」とすべてを受け入れた親友を笑顔で抱きしめている。
なおセレクター達がバトルから開放された後も歩美が死んだという事実は変わらないままであり、TV最終回と同じ場面で清衣は彼女の墓参りに向かっている。


前述のとおり『incited』でのバトルの結果、清衣は歩美の記憶を失ったことで彼女の顔と声にまるでノイズがかかったようになり、同時に歩美との関係や彼女に起こったことについてなんの感慨も抱けなくなってしまっていたものの、白窓の部屋に奪われていた歩美の記憶が清衣を救い、清衣はすべてを終わらせて彼女の記憶を取り戻すことが出来たのだった。



●橋本アミカ


 「お帰り!!」


ピルルクの最後のセレクターであり、清衣が得た大切な友達。
前述の通り、歩美とは外見も内面もそっくりである(見分け方としては、歩美はサイドテールを左側で結んでおり、アミカは逆に右側で結んでいる)。ただしアミカは清衣よりも年上なので、当然清衣と同学年の歩美よりも年上になる。
心が凍り付き、リメンバへの復讐のためだけに大勢の少女たちを巻き添えにしてどん底へ堕ちていくだけだったピルルクがまた新たに歩き出せたのは彼女に出会えたことが始まりであったことを考えると、アミカがピルルクのセレクターになった事はまさに運命であり、2人を引き合わせた繭にとって最大の誤算だったと言えるだろう。
セレクターバトルの失格による願いの反転により危篤状態であった母親も快方に向かい、また家族みんなで暮らせるようになっていた。そして半年後の夏。アミカは人間に戻れた清衣と再会することができ、彼女たち二人の笑顔で『peeping analyze』の物語は締めくくられている。


『Lostorage』シリーズにおいては、清衣が再びセレクターバトルに関わりを持とうとしている事を心配しているが、清衣の決意を知って彼女を送り出している。
大切な友達であるアミカの事は清衣にとって心の拠り所であり帰る場所になっており、晶とリメンバに清衣の弱点として狙われたこともあったもののそれでも清衣を信じて、彼女がすべてを終わらせて帰ってくることを日常の世界で待ち続けていた。



なお、清衣のルリグであるアロス・ピルルクの外見が明らかに自分をモデルにしていることを把握できているかについては不明。



余談だが『アミカ』とはイタリア語で女友達、恋人という意味。



 ●アロス・ピルルク


 「お別れだね、清衣」
 「どうかしら?確証はないけど、もしかしたら……」
 「だからさよならは言わない」
 「そう、じゃあわたしも。ありがとう清衣、楽しかったよ!!」


『Lostorage』シリーズでまたしてもセレクターバトルに巻き込まれた清衣の相棒であるルリグ。
名前はピルルクだが、見た目は歩美もしくはアミカに似ているタレ目少女で設定上も別人。モデルになったのがどちらなのかもしくは二人ともなのかは公式の資料でもはっきりしていないのだが、サイドテールを右で結んでいることからアミカの影響を強く受けているのではとファンからは考えられており、正式名称のアロス・ピルルクが明らかになるまでは『アミルク』とも呼ばれていた。アロスはギリシャ語で「もう一つの」という言葉なので『もう一人のピルルク』という意味となる。
『incited』では、彼女がどういった性格なのかや清衣との関係はあまり描かれていなかったが、『conflated』での会話によるとこの闇のゲームとルリグの真実を知っていても自分に優しく接してくれる清衣には心を許しているとともに彼女が危険に身をさらしていくことを心配しているなど、良好な関係を築けていたようだ。


固有のコイン技は初代ピルルクと同じ『ピーピング』で、セレクターの願いを見る能力も健在。自身の手札を捨てることをコストにする能力と、手札から捨てられたときに効果を発揮するカードが多いクラス、青の『凶虫』を組み合わせた戦術を使い、初代ピルルク譲りのハンデスも得意とする。


『conflated』では、第2話で再びセレクターバトルが始まると同時に、ハンドレス戦術を得意とするクラスである青の『悪魔』を従え、新たなコイン技『カタルシス』を得て清衣の元に再び戻って来た。
清衣と共に最後まで戦い続け、闇の連鎖を断ち切ることが出来た彼女に待っていたのは、新しい理の中で人間になることが出来たという結末であった。本来なら清衣の記憶の中に消えていくはずだった彼女には、これからも清衣の大切な友達としての新しい未来が待っているのだ。



 ●リメンバ


 「怖い顔・・・やっぱり清衣ちゃん、大っ嫌い♪」
 「奇遇ね・・・私もあなたが、大嫌い!!」」


清衣のセレクター時代のパートナーであり、後の因縁の宿敵。
清衣からは信頼され友達と認められるようになったが、リメンバはその笑顔の裏で最初から清衣の願いを歩美の殺害という方法で叶えるつもりであった。またリメンバは清衣から歩美が目を覚ましたら彼女と今度こそ友達として一緒にいたいと願っていることを聞かされており、それを知った上で清衣が絶対に望むはずがないと分かっている方法をとった外道。
セレクターバトルのルールだから仕方がない……ということとは関係なく、最初から清衣を騙して自分の思いどおりに動かすことを愉しんでおり、最後には自分を信じていた清衣を最悪の形で裏切り、その結果彼女を魔道に堕とすことになるなど、あからさまに清衣に害意を持って凶行に及ぶ救いようのない人物。



彼女の正体はかつて清衣をいじめていたグループの中心人物、梓……、


ではなく彼女の取り巻きの一人であり、リメンバは出会ったその時から自分が宛がわれたセレクターがかつていじめていた清衣であることに気づいていた。もっとも、リメンバが清衣の元に来たのは繭の思惑、もしくは偶然でリメンバも自身のセレクターが清衣だと知って驚いていたようだが。
彼女の願いは違う自分になりたいであり、ルリグとなり、そして清衣の体を奪ったことでその願いは一応は叶ったとはいえた。
しかし、このような不本意な形で見下していた清衣の体に入るという叶え方では満足できるはずもなかったのかすぐに清衣の体にも飽きてしまい、今度は元の体に戻りたいという願いを抱くようになった頃に新たにやってきた黒のルリグと共にセレクターバトルに再参加していた。
占いにこだわる性格。清衣への悪口やいじめの内容、梓への憧ればかりが書き連ねられていた日記。当初の願いから見て取れる自分へのコンプレックスからすると、清衣のことは貶めることで相対的に自分が優れた存在に思えて優越感に浸れて気持ちいい相手というように思っていたのだろう。ルリグだった頃に浮かべていた意味深な笑みは、正体や目的に気づかないまま、自分を信じて友達と呼ぶ清衣への嘲笑であった。


その悪魔のような本質は繭の好むところだったようだが、ルールを逆手に取って願いを叶えようとする小賢しい目論見が彼女の癇に障り、清衣とアミカに勝利した後、望み通りに本来の自分の体を使っている以前組んでいたルリグの所に送られ、そしてルリグに乗っ取られた元の自分の手で絶望に叩き落とされるという自滅同然の末路をたどることになる。



やだやだ。ねえ出して!ねぇ!お願いですからぁ!



詳細な末路は彼女自身の項目を参照。
結局、清衣はリメンバの正体には最後まで気づかず、最終話で繭に見せられた光景からようやく彼女の正体に思い至ったかもしれないという描写に収まっている。



ずーっと遊びましょうよ、清衣ちゃんで。そうしたら私、幸せになれるんです!!



その後セレクターバトルをるう子たちが終わらせたことで絶望から解放されはしたものの、大きな心の傷を抱えてしまい戻れたはずの現実にもなじめなくなってしまっていた。
そんなある時、清衣をいじめて、また彼女を騙していいように動かして優越感に浸っていた頃が自分の絶頂期であったと思い返し、自分にとっての最高のラッキーアイテムである清衣への執着が再びつのっていく中で、崩壊した白窓の部屋に再びルリグとして呼び出され、自分と同じく清衣への執着をつのらせている蒼井晶のルリグとなり共に新たなセレクターバトルに参戦。晶をそそのかしてアミカを拉致し、バトルで抵抗できない清衣に歪んだ執着を吐き出しながら暴行を加えるも結果的には敗北するのだった。
なおバトルの中でも、また晶が破れた後の白窓の部屋での最終決戦さえ、リメンバは清衣への歪んだ執着を吐き出し続けていたが、清衣の方は以前のバトルの際にリメンバへの感情の整理をつけることが出来ていたこともあってか、リメンバへの憎しみといったものをあまり見せることがなかった。


そして全ての戦いが終わった後、彼女もまた人間に戻ることが出来たものの、清衣への執着は全く消えずに残ることとなった。
……清衣とリメンバの因縁は、セレクターバトルが終わったこれから先もまだ続いていくのかもしれない。





そんな本編中ではもはや和解出来るような気配などかけらもないリメンバと清衣だが、どういうわけか二次創作等では俗にいう『リメピル』といったカップリングネタも多く、wixossスピンオフ作者の某リメピル派漫画家先生などといった公式勢の支持者も押しまくっている。
というか作者である鈴木マナツ先生本人も、2人は仲良しというようなイラストを描いたりしているのも一因となっている気がする。
リメンバが清衣に向ける悪意を、清衣への執着や歪んだ愛情表現とも受け取れるためだろうか。
もっとも当然のことながら大体の場合清衣の方はリメンバのことを邪険に扱っているのもお約束。


とネタで済むと思いきや、リメンバは『conflated』で上記の通り清衣に歪んだ執着を見せるありさまである……。
つまりめきめき先生大勝利www
だがなんという清衣ちゃん大迷惑なヤンデレストーカー



実カードではselectorシリーズ最終弾となる第14弾のスペル「アイス・フィンガー」にてついに共演。
ピルルク渾身のアイス・フィンガーがリメンバの腹部に直撃しているという、愛情もなにもあったもんじゃないバイオレンスな一枚がそこにあった。


その後、リメンバのスターター『デュアル・ペイルネス』収録のスペル「フローズンフィンガー」にて再共演。
リメンバ渾身のフローズンフィンガーがアロス・ピルルクの腹部に直撃しているというリメンバの、邪魔者を排除して清衣ちゃんと遊びたいという一方的で歪んだ気持ち悪い愛情を感じる一枚がそこにあった。



 ●


 「あなたは似ている気がする。少し前までの私と。いつも一人で誰も信じられず復讐だけを糧に日々を過ごして……」
 「でも、心の底では救いを求めている。私はアミカと出会えた。いつかあなたも……」
 「嫌い。嫌い、嫌い嫌い嫌い!!あなたなんて大嫌い!!」
 「私のゲームを乱した報いよ!!せいぜい苦しみなさい!!」


白窓の部屋の主にして、セレクターバトルの支配者。バトルへの参加を拒否する清衣の心をへし折りピルルクとしてリメンバへの復讐へと向かわせた元凶。
3敗を繰り返し、白窓の部屋に戻ってくることを繰り返すピルルクとは何度も顔を合わせており、彼女と関わった少女たちが不幸になっていく様、そして次第に人間らしさを失って壊れていく姿を見て楽しんでいたが、面白いおもちゃであったはずの清衣が自身の思惑を外れたことには癇癪を爆発させた。
結果的に清衣は繭に一矢報いることは出来たもののセレクターバトルを止めるということは出来ずに終わった。そんな繭の呪いのゲームを彼女たちが終わらせるのは、もう少し後の話。
部屋から追い出された後の清衣がどこに送られ、セレクターバトルが終わる前の間どうしていたのかは描かれておらず、ファンの考察では繭によって直接元の清衣の体に戻されたという説や、本編のタマと同じように幽閉されており、セレクターバトルが終わった際に解放されたという説が有力となっている。






一方。『ピーピング・アナライズ』連載終了後にウルトラジャンプで連載されるようになった外伝漫画『selector infected WIXOSS ~まゆのおへや~』での二人の関係はというと……。


 「なんとかは風邪ひかないっていうものね…」
 「何よ!!バカにしてるの!?」


こちらの作品において、本編序盤や『ピーピングアナライズ』の作中で見せたラスボスとしての威厳など最初からどこにも存在せず、完全に振り回される側に回ってしまっている繭の事をピルルクは完全にバカにして舐めきっている。



 ●蒼井晶



 「かつてあなたを利用したのは本当。私を恨むのも仕方がない。でも私はセレクターバトルを……」
 「知ったこっちゃねえよ!!」
 「ぜってぇてめえをけちょんけちょんにして!!絶望で顔をぐちゃぐちゃに歪ませてやるからな!!」



ピルルクのアニメにおけるもう何人目になるかも分からないセレクターであり、リメンバと並ぶ因縁の相手。
晶がピルルクを道具としていたのは前述の通りだが、ピルルクもまた、
①人気読者モデルとしての立場から自然とセレクターが集まってくる。
②相手が初心者だろうがどんな事情を抱えていようが、それを平気で潰すことのできる残虐性。
③相手の願いを嘲笑い、心理的にいたぶる悪辣さがピーピング・アナライズの特性と相性がよい。
といった点を評価しており、理想的な駒と称すなどこれまでに組んだセレクターたちと同様に、晶のことを道具しか見ていなかった。
本来なら晶は清衣の嫌うタイプの人間であるが、ルリグになってから全く勝つことが出来ず、また人間らしさを無くしていたこの時のピルルクにとって自分を使いこなせるセレクターの利用価値は大きく、今度こそ勝ち抜き、晶の体を奪って現実に戻りリメンバを殺せるだろうと、かつての清衣なら絶対に浮かべなかったであろう歪んだ笑みで喜んでいた。
もし小湊るう子が晶の前に現れなければピルルクは晶の体を乗っ取り、リメンバを殺しに行けたのだろうか?
晶にとっては残念(幸い?)なことだが晶とピルルクの関係ではピルルクの進化条件を満たせるとは考えにくいので恐らく晶の願いは叶えられなかっただろう。実際、あの時点でのピルルク自身も自分の進化条件を分かっていなかったのだから。


その後『conflated』第三話においてセレクターとして清衣と再会。清衣は自分が使いつぶした少女の姿を改めて見せつけられてショックを受けており、上記の通り現在の自分が惨めな状況であることを(自業自得な面も多分にあることを棚に上げて)清衣のせいにして八つ当たり同然にバトルを挑むも返り討ちにされてしまい、ルールによりルリグを奪われてしまうこととなった。まだコインをすべて失っていないので失格は免れているがバトルには参加できなくなり、ますます強くなった清衣への復讐心を抱えたままコイン喪失によっていずれ消えるはずだった。
しかし、彼女の手の中に同じく清衣への執着を抱えるリメンバが現れる。彼女と共に清衣を叩きのめすために動き出し、手始めにリメンバから聞かされた清衣の弱点であるアミカにその魔の手を伸ばす。
にしても毎回拉致ってるな、お前……。
そしてアミカを人質にとった清衣との再度のバトルで敗北しコインを全喪失。清衣に引導を渡される形で消滅することになるのだった。




そんな清衣と晶だが、テレビ版とはパラレルワールドにあたると思われる劇場版のエピローグでは一緒にいる場面があることから和解は出来たようで、劇場版のDVD、ブルーレイ付録のドラマCD『晶さんとおかしな二人のセレクターgirly☆talk』ではピルルクの次の晶のルリグ、ミルルンこと『るん』も交えた思い出話に花を咲かせている。


……こんな光景がテレビ版の世界でも見られる日ははたして来るのだろうか?いやもしかしたら、(このままでは矛盾があるものの)セレクターバトルが終わり、晶も元に戻ることが出来た未来でこんな光景が見られるのかもしれない。





 ●穂村すず子
 ●御影はんな


「あ、あのークッキー焼いてきたの!!よかったら食べない?」
「安定。チョコチップとバナナ。いつものすず子さんの味です。試食、どうですか?その辺のスイーツよりおいしいですよ」
「……おいしい」
(……モグモグモグモグ)
「反則!!一人で全部食べる気ですか!?」
「勧めたのはあなたでしょ」(モグモグ)
「まだいっぱいあるから」



『conflated』で清衣が協力を求めたセレクターたち。
前作のバトルで里見を倒しているすず子と、有名ゲームライターであり一度清衣と矛を交えているはんなと実力面は十分。
上記の通り、前回のバトルで大切な友達の記憶を失うことになったすず子と、清衣の忠告を無視する形でその後もバトルを続けた結果、勝ち抜けはしたものの絶望を味わう破目になったはんなは一度清衣の要請を断ることになったが、それぞれの元にルリグが来たことで再びバトルに巻き込まれてしまい、清衣と情報を共有し協力しあうこととなった(ついでにすず子が作って持ってくるお菓子に舌鼓を打っている)。






余談



第10弾『チェインドセレクター』に収録されているタロットルリグカードにおけるピルルクの大アルカナは『THE DEATH(死神)』
正位置における意味は停止、終末、破滅、離散、終局、清算、決着、死の予兆、終焉、消滅、全滅、満身創痍、ゲームオーバー、バッドエンディング、死屍累々、風前の灯、といった不吉なもの。セレクターの願いを叶えるつもりもなく、破滅だけをもたらし続けていた『不幸を呼ぶルリグ』たる彼女には確かに『死神』の称号もふさわしいものだろう。
ただし、死神の逆位置の意味は再スタート、新展開、上昇、挫折から立ち直る、再生、起死回生、名誉挽回、汚名返上、コンティニュー、とこちらもまたアミカの元にたどり着けた後のピルルクに合ったものとなっている。



Blu-ray特典映像『緑子さんとピルルクたん』では『緑子』とともにパーソナリティを担当。
毒舌を吐きまくり「キシシシシ」という不気味な笑い声で生真面目な緑子を毎回恐怖のどん底に叩き込んでいる。
なおこの「キシシ」はピーアナでもアミカやリメンバに披露しており、素の笑い方がこれらしい。



劇場版の入場特典カード『セレクター』のピルルクバージョンでは、普段の可憐さとはまるで違う三白眼で怪しげに笑う清衣が描かれており、ファンを驚かせた。
が、後に公開された緑子バージョンが清衣の前で困ったように笑う緑子こと『市川緑』の姿だったため『緑子さんの前のピルルクたんはこんな顔する』とファンは大いに納得するのだった。






この追記、修正が希望。



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  • スピンオフ主人公で罪と罰を背負いながらも最後にようやく希望を見出したとか美味しい立ち位置にいるし、劇場版でも出てきてくれないかな -- 名無しさん (2015-06-09 19:21:29)
  • 今までなかったんだ。人気あるルリグだから意外 -- 名無しさん (2015-06-20 11:01:29)
  • 映画版どうなるんだ…PVの時点で何か負けオーラ漂ってるぞ -- 名無しさん (2015-12-07 21:46:39)
  • アニメだけだとほぼ端役だったけど漫画だと設定上、本筋に関わらない(関われない)まさに外伝の主人公って感じだった。終盤はイレギュラー化したが。 -- 名無しさん (2015-12-24 11:00:45)
  • アニメ本編の時の清衣ちゃんは漫画を読んだうえで見返すとなんか心が痛くなる -- 名無しさん (2016-02-02 02:05:04)
  • 今の清衣ちゃんならWIXOSSを利用して記憶を奪う新たな黒幕も許せない存在だろうな。参戦するのか、すず子を導く師匠になるのか… -- 名無しさん (2016-10-08 21:10:24)
  • 『Lostorage incited WIXOSS』のOPに登場してた -- 名無しさん (2016-10-09 01:03:47)
  • 2話にして早々に登場とな -- 名無しさん (2016-10-15 13:10:48)
  • 新ピルルクはアミカっぽい -- 名無しさん (2016-11-26 10:55:06)
  • 清衣自体の煽り性能が高いわけじゃないから、コインベッドするメリットあんまないな ある種の展開上の都合で里見に負けてコイン残1だが、この先どうなるやら -- 名無しさん (2016-12-11 16:51:46)
  • 地獄を見てきたんだからもっと頑張れというか、こんなんならださんがよかったっていうか -- 名無しさん (2017-01-01 01:24:38)
  • まあ、マリーもマナツも関わってないのに勝手なことせんでくれ感はある。あの終わり方なら二期も続投だろうし、出したからにはキッチリ片付けて欲しいね -- 名無しさん (2017-01-15 16:40:44)
  • ピーアナだけでなくロストレージの新作でも主人公(?)とか、どんだけ制作陣のお気に入りなんだよ -- 名無しさん (2017-08-06 14:12:41)
  • はてさてどうなりますことやら -- 名無しさん (2017-12-18 10:46:28)
  • 前作組と今作組を繋げるにはこの子しかいないからね。戦いに身を投じる動機もよくわかるし -- 名無しさん (2017-12-18 10:55:36)
  • 世界大会では滅法強いのにTCGでは散々な冷遇を強いられているステアード組に果たして清衣のスカウトはあるのか。あとリバースも。 -- 名無しさん (2017-12-19 19:30:59)
  • 何やら凄い記事の充実っぷりに…! -- 名無しさん (2018-05-12 02:20:00)
  • 外伝漫画での主役だけでなくアニメでも主人公に昇格とか愛されてるな、Lostorage勢のキャラとの関係も良好だし -- 名無しさん (2018-05-19 02:14:00)
  • コンフレ、清衣さんが主人公で本当に良かった。 -- 名無しさん (2018-07-14 14:44:57)

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