帽子卿(Waltz)

ページ名:帽子卿_Waltz_

登録日:2014/10/28 Tue 16:14:00
更新日:2023/12/21 Thu 13:25:07NEW!
所要時間:約 12 分で読めます



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waltz 伊坂幸太郎 大須賀めぐみ 狂人 変態 殺人鬼 愛ゆえに 全裸 帽子ペロペロ ぼうし音頭 模倣犯 帽子卿



「ハア」「ハア」
「ハア」「ハア」「ハア」「ハア」「ハア」「ハア」
「ハア」「ハア」「ハア」


しゅっ しゅっ しゅっ


「“君”が……似合うのはどんな子だろう?」
「ハア」「ハア」




出典:小学館ゲッサン少年サンデーコミックス単行本第3巻68頁


しゅっ しゅっ しゅっ


「君をかぶるのにふさわしい子……」
「ハア」「ハア」「ハア」
「今すぐ…」
「ハア」「ハア」
「探したい…探してあげたいのに…」
「ハア」


「邪魔をするんだ…」


ハァ…


「あの男、首折り男が…」





業者に依頼すれば簡単に殺し屋が派遣されてくる裏社会。
依頼人は殺し屋へ殺人に対する「安心」を求め、報酬額に応じて格付けされる殺し屋は自らの「仕事」に誇りを抱き、仲介業者は殺し屋と依頼人を結び「業界」の中で暗躍する。
時は『魔王 JUVENILE REMIX』より四年前、ガラパゴスケータイがまだまだ主流だった頃。
都会の闇に紛れ、快楽殺人を繰り返すシリアルキラーが人知れず東京23区を脅かしていた。


「業界」での彼の通り名は――



帽 子 卿



出典:小学館ゲッサン少年サンデーコミックス単行本第3巻143頁


御覧の通りの変態である。





Waltzの元凶    


帽子卿は帽子を異常に愛する性癖を持つ変態殺人鬼である。
原作:伊坂幸太郎&漫画:大須賀めぐみによるリミックス作品『Waltz』における屈指の変態である。
というか今までの伊坂作品や(少ないけれど)大須賀作品の中でも群を抜いて変態である。


さっきも同じこと読んだって?
気にするな。大事なことは何度でも言わなければならないんだ。


帽子卿の殺人の手口は残忍かつ享楽的。
女をさらい、殺し、首を切り落とし、それに帽子を飾る。
それから念入りにデコレーションを加えた「作品」を写真に収め、不要な胴体部分は処分する。
そして大量の帽子コレクションに埋もれながら存分に[[ペロペロしゅっしゅっ>ちんちん シュッ!シュッ!シュッ!]]するのだ。


遺体処理に悩まされていた彼は、いつからかとある物騒な集団と手を組み、作品制作を活発化させる。
当時、日本に勢力を拡大し始めていた中国系シンジケート・通称チクタク。
帽子卿にとっての「無用の長物」をチクタクが買い取り、臓器を売りさばくのである。
利害が一致し、「金のかかる遊びが金を生む遊びになった」時から、両者は理想的なビジネスパートナーであった。


そんな帽子卿だが、「首折り男」こと大藪に目を付けられたのが運の尽き。
欲望を御しきれない詰めの甘さから「業界」の情報網に引っ掛かり、新宿で女を三人拉致した時、既に大藪に犯行を嗅ぎ付けられていた。
そして沢ノ森8番ロッジの解体作業場で襲撃を受け、そこを訪れていたチクタクが応戦したことで何とか生き永らえた。
しかしチクタクは大藪を取り逃がしてしまった。
帽子卿はチクタクに大藪の排除を依頼。日本でのビジネスパートナーである帽子卿を守る必要があった彼らは、「首折り男」の抹殺に乗り出すこととなる。


更にチクタクに殺害を依頼しておいて帽子卿自身も気紛れに大藪を狙い始め、そこへ大藪に内縁の妻を殺されたというコンビニ経営者も同時期に岩西へ仕事を依頼していた。
こうして『Waltz』における「首折り男」をめぐる三つ巴の戦いの火蓋が切って落とされた。


……なんでいきなりコンビニの店長っていう全然普通な民間人が出しゃばってくるんだ……?





本格登場    



チクタクからまたしても大藪をすんでのところで取り逃がしたという報告を受け、自宅に閉じ篭っていた帽子卿。
冒頭の通り昂奮状態で帽子を激しくしゅっしゅっしながら気を紛らわせる日々。



全 裸 で 。



「変態だ……」と思ったそこの貴方。正解です。
だってこいつ変態だもん。


そんな変態快楽殺人鬼帽子卿は遂に我慢の限界を迎え、昼間に人通りの少なくなる通りで女性を誘拐。
ウキウキ気分で作業場へのドライブを楽しんでいたところ、チクタクから「首折り男を発見した」という報せを受け、新宿へ引き返すのだった。
そして新宿公園を脱出した蝉と(大藪とそっくりなだけの)苺原を発見。
車で轢き殺そうとするが、標的の一致によりチクタクからの逃走計画が整うまで大藪に死なれては困る蝉に妨害を受ける。


その時、大事な大事な帽子を車外に落としてしまった。



「………ごめんね。」
「大切な君を落としてしまうなんて……」
「汚れてしまったね、今 ふいてあげるよ。」



出典:小学館ゲッサン少年サンデーコミックス単行本第3巻143頁


ベロベロベロベロ
ベロベロ
ベロベロベロ
ベロベロベロベロベロベロベロ



しかし帽子の汚れを拭いているうちに苺原にも薬の切れた女性にも逃げられてしまい、蝉を置いて帽子卿もその場を離れる。
次に向かった先はチクタクの構成員のうち応答しなくなった者の最終地点。
その立体駐車場に因縁の「首折り男」が。しかも手負いで。



「怖いよ。君は怖くて、とても邪魔だ。」


「僕の、愛を、妨げる、君が、とても邪魔なんだ。」
「愛のために、僕は殺す。」
「全ての犠牲は、愛。」
「僕の愛ゆえ。」


「殺し屋の俺には納得しかねる犯行動機だ。」



そして帽子卿は「首折り男」を五階から突き落とした。





ところが!    


下を見てみたら「首折り男」は血達磨の形相でこちらを見上げ返していた。
二度見する頃にはその姿も消えており、恐怖と狂気に支配された帽子卿は態勢を整えるべく帰宅する。
ただしこれは苺原の偽装。それにまんまと引っ掛かって大藪が生きていると誤認したのだ。
そのまま彼は、帽子が満載のクローゼットに身を押し込みながらチクタクに相談する。



全 裸 で 。



「殺し屋の仕事に口を出すな、この変態。」


おまけにチクタクの指揮官である貧乳姉さんから罵倒を頂きました。
よく言った貧乳。お前にはバストアップマシーンを買う権利をやろう。


チクタクは「首折り男」の捜索を一度は打ち切るものの、
大藪の変装をさせた部下の手で「業界」の関係者を連続で殺害し、裏社会の人間を敵に回させることで大藪を炙り出す作戦を開始。
このせいで大藪as苺原は休む間もなく逃げ回った挙句、ノイローゼになってビルの屋上から蝉に向けてゲロ吐いた。
その後「首折り男」とその伝言を受け取った蝉は別々のルートから沢ノ森に集結。


三者が奏でる三拍子の円舞曲が始まろうとしていた。



その頃、当の変態は別荘でくつろいでいた。




出典:小学館ゲッサン少年サンデーコミックス単行本第5巻50頁
「やはり女は…無口に限る。」



「首折り男」にバレている解体作業現場は8番ロッジ。「秘密の隠れ家」としている13番ロッジは安全なはず。敵はチクタクに任せて自分は悠々と風呂上り。
しかしチクタクの貧乳姉さんに「そこを動くなよ!? 絶対に動くなよ!?」と釘を刺されていたにもかかわらず、やはり帽子を乗っける台座欲しさに別荘を出ようとしてしまう。



「残念だったな。」



残念! そこに現れたのは「首折り男」!!
ついでに「首折り男」を追って来た蝉!!


しかもその頃岩西が「令嬢」経由でロリロリしいスズメバチちゃんを抱き込んで「お菓子の家にはハチミツだァー!」したので、チクタクは完全に壊滅状態。
絶望しかける貧乳を岩西が「帽子卿を始末するんだよ。」「あの男はもう助からねえんだよ!!」「ひひひひひひひひ」と煽る煽る。ざまあ。
しかし貧乳は岩西の挑発をものともせず帽子卿へ連絡を取る。


岩西の言葉の真偽・帽子卿の生死の行方・仕事の続行と放棄。
それを決めるのは自分自身だ、と……



「首折りが来た!!!」


「さようなら、帽子卿。」
「あなたの時間は、間もなく止まることでしょう。」





過去    


普通の学生だった。普通の家族、普通の成績、普通の友達。
一般家庭に生まれ、平凡な毎日を繰り返すうちに、日常に倦んでしまった彼は小動物を解体しては遺棄する行為に手を染めていた。
人とは違うすごいことをしている。そんな気分になるためだけに。


中学三年のある時、彼は同じ中学に通う美少年に猫を殺す現場を見られてしまう。
しかしその美少年は怯えることも通報することもせず、逆に彼の「作品」を「弱いものいじめだ」と揶揄する。



「首を、落としてみなよ。」
「そして、その首に小さな帽子を乗せるんだ。僕ならそうする。」


「無償で、ただ美しさを求める、それが作品に対する愛。金や賞賛を求めるのは最も軽蔑すべき行為。」




出典:小学館ゲッサン少年サンデーコミックス単行本第5巻125頁


「全ては、愛ゆえに。」



翌日、美少年の言葉を何一つ理解できないままいつも通りに登校すると、彼のクラスは騒然となっていた。
黒板に昨夜の美少年の「作品」と思われる、帽子を飾られた女の生首の写真が貼ってあったのだ。



「ガブリエル・カッソの『ウェールズ』って映画、観たことある?
 帽子をかぶったヒロインが首を切られてしまうんだけど、帽子があんなに美しく見えたのは初めてだったよ、感動して涙があふれた。」



その「作品」を見た瞬間、彼の眼からは涙が溢れ、世界観が変容した。
彼も帽子をかぶり、あの時の美少年の真似をして作品を作り始めたのだった。





末路    



「………………なぜ…」
「酷い…酷いよ君達…」
「どうして…」



出典:小学館ゲッサン少年サンデーコミックス単行本第5巻171頁
「どうして寄ってたかって  
 この僕を―――――――!!!」



お前が邪魔なんだ。



一時は蝉と「首折り男」を部屋に閉じ込めることに成功した帽子卿だったが、そこへコンビニ店長と岩西が次々と現れ、
一時的に手を組んだこの四人が一斉に自分を狙っていることを知らされる。
見事に総スカンを喰らった帽子卿は逃走。でもすぐ追いつかれる。
そこで彼は屋敷に放火。バカジャナイノー。



「さあ折ってみろ!」
「僕の首を。」
「首を!!」
「首を!!」
「折ってみろよ! 首折り男ォ!!!」


「わかった。」



更にその現場へ現れたもう一人の「首折り男」。
さっきまで自分を追っていた「首折り男」がほくそ笑む。
なんだかんだで生きていた大藪は、顔が似ているだけの全然普通な高校生である苺原と二人組で行動していたのだ。


そこへ踏み込んだ蝉のナイフを避けた際に服に引火してしまい、帽子卿は間抜けにも殺し屋×2+高校生のトリオの前で堂々と服を脱ぎ出す。熱いから仕方ないよね。
だからあっけなく蝉に刺されて、喉を掻っ切られるのである。
恨み言も断末魔も発する間もなく、こうして帽子卿は死んだ。



全 裸 で 。



その後、蝉の手で更に火を放たれた屋敷諸共、彼の遺体は消し炭となっていった。





フンフーン♪ かわいい あの項目は アニヲタwiki!
追記・修正 するよ キメ!! だって wiki篭りなんだもん
画像も追加 フンフ… キメ!! ハアハアハアハア 荒らしなどいらぬ
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  • 項目懲りすぎワロタw -- 名無しさん (2014-10-28 20:15:11)
  • ぼうし音・・・騙したなァ!! -- 名無しさん (2014-10-29 00:17:37)
  • どうかしているキャラの全然普通な項目 -- 名無しさん (2021-05-20 22:29:17)

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ぼうし音頭♪



ぼうし音頭と言ったな。これは嘘だ。









「…………………………………………………全ては…」


「 僕 の 愛 ゆ え に 。」





もう一人の帽子卿    



「愛が何かと聞かれたら、僕は迷わず『無償』と答える。」
「僕がこの世で最も軽蔑する行為は…愛を金に変えることだよ。」



岩西事務所に「首折り男」殺害を依頼した、都内でコンビニを経営している全然普通のおっさん。
実はこいつが本家本元「元祖帽子卿」とも言える超危険人物であった。


コンビニ店長とは仮の姿。その正体はやはり女を殺し、頭部に帽子を飾る殺人芸術家。
変態の方の帽子卿との違いは、「作品」の制作を通じて金銭を得たり評価を求めたりしないという点。
あと変態じゃないし無駄にイケメン。中学生の頃は美少年だった。


中学生の頃は美少年だった。
つまり、少年時代の変態帽子卿を唆し、殺人への道を説いた美少年と同一人物である。
本家本元にして元祖であり、物語の元凶の元凶とも言える。


変態に自分が「作品」を作っていることを教えた日から彼は変態の行動を監視し、
チクタクを雇ったことも大藪に尻尾を掴まれたことも、変態の解体作業現場も隠れ家も全て把握していた。
そして沢ノ森で大藪に襲われた際も木陰から様子を窺っており、大藪が自分の存在に気付いたことも察知。
内縁の妻が「首折り男」に殺されたとでっちあげ、岩西事務所に仇討ちを依頼した。


内縁の妻というのも実質的には殺人芸術家の顔を隠すためのカモフラージュで、「首折り男」の犯行に見せかけるために彼が首を折って殺害した。
やたらと金払いが良いのは彼女の遺産を自分のものにしたため。
この徹底的な秘密主義にムカッ腹が立った岩西は報酬三割増しを要求した。


変態が一年前にチクタクと手を組んだ時から変態を始末する機会を窺っており、
大藪も変態を狙っていること、大藪を狙わせた蝉がチクタクの妨害に手をこまねいていることから、遂に最優先で変態を殺すチャンスが訪れ、行動開始。
流石に岩西が依頼人の胡散臭さにコンビニへ乗り込んできた時は殺そうとしたが、
大藪が苺原と蝉を介して依頼の不自然さを指摘した際、「首折り男」が自分をも狙っていることを確信。
そのメッセージから一致団結し、チクタクも帽子卿もまとめて片付けられる布陣を整えた。



「愛を金にかえる行為は許しがたく醜いものだよ。」



出典:小学館ゲッサン少年サンデーコミックス単行本第5巻134頁
ついでに貧乳姉さんも「作品」の仲間入り



その後岩西の入れ知恵で「劇団」を雇ったりメモを残したりして「首折り男」や蝉を沢ノ森13番ロッジへと誘導。
蝉が変態を刺し殺した後、依頼完遂の暁には予定通り蝉も始末するよう岩西に念押しする。
しかし岩西は最後の最後で蝉という逸材が惜しくなり、契約を破棄してしまう。


蝉を生かすために自分へ銃口を向ける岩西。
自分を殺すつもりだと直感した、その瞬間――



ゴ ッ



満身創痍で正気を失った大藪が、彼の首を折った。



「どうして… ……僕が……」
「僕はただ… 静かに愛していたかっただけなのに…」



火を放たれて崩壊する屋敷。
瓦礫に埋もれてゆく彼の眼に焼き付いた、最期の光景は……



「うつく」「し」「い」

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