登録日:2011/09/27 (火) 21:43:29
更新日:2023/08/08 Tue 13:41:01NEW!
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装甲騎兵ボトムズ ps 強化人間 サイボーグ パーフェクトソルジャー プロト・ワン フィアナ プロト・ツー イプシロン ラダァ・ニーバ 欠陥兵器 思考能力の一部を削除された切れ味のいい人間 素体 チヂリウム 短寿命 ジェネラル イプシロン フィアナ
※推奨BGM:炎のさだめ
予告
己の放った銃弾が、鏡の中の己を打ち砕く。
飛び散る破片とともに、見えなくなる自分。
遙かな宇宙の彼方、もう一人の自分を映し出す鏡を求めて、クエントへ。
次回、『パーフェクトソルジャー』。
この身体の中に潜むものは、何だ。
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装甲騎兵ボトムズシリーズに登場する人間兵器で所謂"強化人間"の一種。ボトムズ本編において重要な要素の一つであり、特に前半2クールにおけるストーリーの核とも言える存在である。
なお、作中では略称のPS(ピーエス)と呼ばれる事が殆どである。
◆背景
アストラギウス銀河において展開された百年戦争の最中に開発・実戦投入されたアーマードトルーパー(AT)は敵味方問わず多大な破壊と殺戮を振りまきながら軍上層部からすればそれを補って余りある戦果をギルガメス、バララント両陣営にもたらした。
それに伴い新型機開発競争も激化の一途を辿ったがやがて大きな壁にぶち当たる……機体を動かす搭乗者の問題である。
開発が進めば当然機体はより高性能になっていくが同時にそのメカニズムや制御方法も複雑化していき、やがてはよく訓練された兵士であっても対応出来なくなる、言い換えればどんな高性能機を開発してもパイロットがそれを持て余しロクに性能を発揮出来ずに終わる可能性が浮上してきたのだ。
一応ATには操縦の補助として音声入力や基本動作を自動化するミッションディスク(MD)もあるがそれも限界がある。かといって全く新しい操縦補助システムを構築・搭載するのも技術的に難しいし使い捨ての棺桶にそこまで金を使いたくない……そこでギルガメス、バララント双方は考えた。
だったら最初から対応出来るパイロットを創ればいいんだ、と
◆ギルガメスPSとバララントPS
こうしてPSの開発に着手したギルガメスとバララントだが、両者の技術や志向の違いから同じPSと言ってもその手法には大きな差異が存在した。
ギルガメス側は主に生命工学的な観点からアプローチをかけ、まず受精卵の段階から遺伝子操作を行い、ある程度成長すると筋力強化や脳神経系に思考力、判断力、反射神経を強化する為の処理を施す。
この状態を『素体』といい、この素体に普通の人間と同様の知識や常識を持たせる為に脳を再処理する事で完成する。
ある程度の知識は再処理後に予め刷り込ませておくが、それ以上の知識・技能の習得には通常の人間同様学習が必要となる。
一方バララント側は主に機械工学的な観点からアプローチをかけ、こちらは人体に機械を埋め込む一種のサイボーグとなっており、主に戦場で負傷した兵士を素体に身体の欠損を機械で補い戦闘に特化した改造を施すという手法が取られた。
その性質上ギルガメスPSと異なり脳そのものに根本的な処理は施されていないが代わりに機体の操縦系と脳神経を直結可能になっている。
◆ペールゼンの影 ~その狂気と憎悪と妄執~
開発経緯は先述の通りだがPS開発には一人の男の影が付き纏う。レッドショルダーの創設者にして最高司令官、そして異能生存体説の提唱者……ヨラン・ペールゼンである。
死なない兵士により構成された最強の戦闘集団の創設という狂気に囚われていたペールゼンは、遂にその理想たる死なない兵士……キリコ・キュービィーを発見する。
だがキリコの何者の支配を拒むその本質に気付くと、キリコに恐怖すると同時に憎悪を抱く様になった。
ペールゼンはキリコを死地へ幾度となく送り込むがキリコは悉く撥ね退け生き延びる。
そこでペールゼンは自らの理想の兵士を創る為、そしてキリコを殺す為にPS開発へとコミットしていく。
レッドショルダーの悪業が軍上層部に露呈し失脚したペールゼンだが、やがてメルキア軍から『素体』を奪取した秘密結社と接触、そこでPSの育成に携わる事になる。
ペールゼンはPSを戦闘マシンではなく感情を持った一人の兵士として育成する方針を執ったが、これはキリコを殺すのはマシンではなく人間でなければならないという執念に基づく物であった。
同時にペールゼンはPSを死なない兵士の理想形であるキリコの模倣という側面を持たせた。
結果的にペールゼンはキリコ含む元レッドショルダーの襲撃で命を落としその妄執が果たされる事は無かった。
◆その戦果 ~『完璧なる兵士』として~
秘密結社がメルキア軍から奪取したPSの内『プロト・ワン』はウドの街で実戦テストが行われ、キリコを一度は撃破するなどその高い戦闘力を存分に発揮した。
更に秘密結社が奪取したもう一体のPS『プロト・ツー』ことイプシロンは襲撃してきた元レッドショルダーを一蹴しキリコを追い詰め、クメン内乱では神聖クメン王国側の戦力としてPS専用機スナッピングタートルを駆り多大な戦果を挙げ政府側からはブルーATと恐れられた。
バララントPSもメルキアの都市ア・コバにてバトリングによる実戦テストが行われ、デンジャー・メロンのリングネームで知られた。
メルキア軍と交戦した際にはデチューンされていたとは言えラビドリードッグを一蹴している。
◆その欠点 ~『切れ味のいい人間』の代償~
そんなPSだがいくつか重大な欠点が存在する。
まずその製造・維持コスト。ギルガメスPSの製造には大量のヂヂリウムという物質が必要であり、更に定期的にヂヂリウムを照射しないと徐々に身体能力が低下し、やがて身体が硬直し死に至る(一説にはそれは暗示であり最終的には普通の人間と同程度の身体能力になるだけとされるがPSとしては死んだも同然である)。
問題はこのヂヂリウムはコンピューター回路に必要な希少物質であり、非常に高価で軍と言えどもそう簡単に大量に調達出来る物でも無いという事。勿論ATを始めとする兵器にも必要なので尚更である。
更に過度な改造の代償かその寿命も非常に短く、ギルガメスPSの場合その寿命は僅か2年である。
加えて先述した脳の再処理の途中で何かを見てしまうとその存在が根底に刷り込まれてしまい植え込まれたプログラムよりも優先されてしまう。
現にプロト・ワンはキリコの存在が刷り込まれた結果命令に背き、最終的に秘密結社に欠陥品扱いされプロト・ワンも『フィアナ』と名乗りキリコと行動を共にした。
仮に製造過程でアクシデントが無くとも精神的には不安定になりがち。
特にバララントPSは上記の欠点が殆ど見られない代わりにそれが顕著でラダァ・ニーバは精神が完全に破綻しており、レッドショルダーへの憎悪の余り命令を無視して暴走するという事態にまで発展している。
◆頓挫
上記の欠点に加えて、政治的野心からギルガメスでPS計画を推進していたディーテル・ロイル・バッテンタイン中将が惑星ミヨイテにおいて発生した軍事物資であるヂヂリウム強奪事件、通称『プランバンドール・スキャンダル』への関与を疑われた上に、プロトワンを秘密結社に奪われたことで計画が大幅に遅延。
スキャンダルの火消しの為バッテンタインは関係者の口封じを謀るが、結果的に自らの政治生命も縮めてしまう。
何より肝心のPSが悉くキリコに敗北した事により計画は中止を余儀なくされ、以後PS計画が日の目を見る事は無かった。
バララント側の動向は語られたことはないが、おそらくニーヴァの暴走を受けて中止に至ったと思われる。
◆余談
ゲーム作品『ライトニングスラッシュ』にはPSの簡易版とも言えるフェイシャルソルジャー(FS)が登場する。こちらは体内にナーヴコネクターという機械を埋め込む事で一般兵士にPSに匹敵する能力を持たせようというものだが制御が難しく暴走する危険性がある。
なお、主人公もこのナーヴコネクターを埋め込まれている。
『ペールゼン・ファイルズ』の登場人物の一人ゲレンボラッシュ・ドロカ・ザキはペールゼンによりキリコを殺す様に洗脳された事やペールゼンの部下の台詞、そしてフェドク・ウォッカムの「人工的な異能生存体」という推測からPSとの関連を指摘される事がある。
人為的な手段で戦闘能力を強化された兵士という発想はガンダムシリーズよりも先駆けているが、本作のPSが創作でどの程度影響を与えたかは不明。
格闘ゲーム史上最強最悪のボスと名高い『カイザーナックル』のジェネラルも勝利台詞で「I'm Perfect soldier」と言うが恐らく本項目とは関係無い。
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予告
何故、どうして書く。
何故項目を立てる。
共に眺めたアニヲタWikiで互いの項目を覗く。
そこには荒涼たる砂漠の中、
闇夜に仲間を求めて立ち尽くす、
孤独な己の姿があった。
次回、『暗闇』。
死が互いを分かつまで。
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▷ コメント欄
- フィアナやイプシロンの名前が、「プロト・@@」ということは、二人は試作型だったのかな? -- 名無しさん (2015-06-30 12:50:25)
- キリコを凌駕する存在を作るって目的だと途中になるから試作という認識は正解。 -- 名無しさん (2015-07-03 23:43:50)
- MDガイストのMDS(Most Dangerous Soldier)といい勝負だな -- 名無しさん (2016-07-28 17:15:46)
- ガンダムシリーズの強化人間もそうだが、この手の人間兵器って開発に掛かったコストに対して上げた戦果が釣り合っていない気がするのは俺だけだろうか -- 名無しさん (2021-07-13 22:02:25)
- まあ「ストーリー上でアホな軍部が作った悲しい人間兵器を主人公側が打ち倒す」ためだけの存在だから… -- 名無しさん (2021-08-15 22:12:33)
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