遺伝詞

ページ名:遺伝詞

登録日:2012/03/10(土) 00:47:42
更新日:2023/08/07 Mon 15:21:24NEW!
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概念 都市シリーズ 音楽 流体 遺伝子 遺伝詞 すべての素 素詞



川上稔の長編ライトノベルシリーズ「都市シリーズ」において語られる概念。


明確に「遺伝詞」(英:ライブ/仏:フォーミュール)として語られるのは都市シリーズのみであるが、その性質から境界線上のホライゾン終わりのクロニクルにも存在はしているものと思われ、『境界線上のホライゾンNEXT BOX』にてその単語が発明された。
また遺伝詞という言葉は携帯アプリ「OBSTCLE OVERTURE」にも登場するが、OBSTCLE OVERTUREでは存在する「かも知れない」程度にしか説明されていないため、ここでは主に都市シリーズでの遺伝詞について説明する。




□概要


♯注意♯

本項を閲覧する前に流体の項目を閲覧した方がより簡単に理解出来るため、流体の項目を最初に閲覧することを推奨します


都市シリーズには流体(エーテル)と呼ばれる概念が存在する。
詳しい説明は項目に譲るが、これは「数千億の素詞群」の配列から成る「万物に可変する因子」――解りやすく言えば「現象、概念、物質、生物を問わず、全てのものに変化する可能性のある」因子であり、都市シリーズの舞台に登場するものは全て流体によって出来ていると言っても過言ではない。


ならば、ここに一つの疑問が生じるであろう。
即ち、万物が流体から出来ているならば、その流体が「何に」なるのかはいったいどうやって決められているのか?という疑問だ。
そしてその疑問に対する答えこそが本項で説明する遺伝詞である。


さて、流体について知っていれば、遺伝詞について知る事はそう難しくはない。


遺伝詞とは、端的に言ってしまえば上で書いた「流体を構成する数千億の素詞群」の事である。回りくどく説明してしまえば遺伝詞とは万物に可変する因子を構成する素詞と言え、人や動物、物に限らず、などの無形のものや、果ては時間や、闇などといった概念に至るまで、全ては極限まで分解した場合この「遺伝詞」にたどり着く。


ここで、その流体が「何に」なるのかはいったいどうやって決められているのか?という疑問に戻ろう。
遺伝詞とは「数千億の素詞群」である。数千億――つまり基本的に遺伝詞は単一では存在し得ず、素詞の集まりこそが遺伝詞と呼べる。そして、なにかが複数あるということはそこには配列が存在する事になる。この配列こそが流体を「何の」流体になるかを決定しているのだ。


内包する遺伝詞がの配列をしていればその流体はとなり、
内包する遺伝詞がの配列をしていればその流体はとなる。
また、内包する遺伝詞がの配列をしていればその流体はとなり、
内包する遺伝詞が闇の配列をしていればその流体は闇となる。


これこそが遺伝詞の性質――ひいては流体の性質を決定着ける遺伝詞配列のメカニズムである。




□遺伝詞に関する用語

都市シリーズでは、遺伝詞に関する用語が幾つか存在する。
これらは風水五行を使用する風水師や五行師、全行師が使用する用語であるが、結構唐突に登場するためここに記しておく。
これから都市シリーズを読まんとする諸君が都市シリーズを読み解くための一端にでもなれば幸いである。


掛詞(メッセージ)
その遺伝詞がどのような性質を持つか――前述した遺伝詞配列を表す言葉。


詞色(ネイロ)
遺伝詞配列の色。ニュアンス的には掛詞に近いが風水街都香港においては特に、風水師や五行師が見る感情の遺伝詞の色を指していた。


拍詞(テンポ)
その遺伝詞のもつ振動の速さ。基本的に拍詞の速い遺伝詞程強く、奏(騒)楽都市OSAKAにおける神器の一つ、「炎神」は最高速の拍詞を持つ遺伝詞という考察が一般的。


詞階(オクターブ)
純粋な遺伝詞の総量。無論、拍詞同様多い方が遺伝詞的に強い。


遺伝詞操作(アレンジ)
主に風水師が使用する技。対象遺伝詞の掛詞を操作することで、対象のものをべつのものへと変化させる行為。ただし、遺伝詞を完全に操作することは難しく、元の性質を残したりする。(例:車→犬へと変化させた場合、鉄の毛並みと硝子の瞳を持つ犬となる)


遺伝詞交換(セッション)
名前の通り、自分の遺伝詞と相手の遺伝詞を交換すること。基本的に一対一。
自分と相手の遺伝詞を交換することで均一化、相手の持つ能力を得たりすることが可能。『創雅都市S.F』収録の設定資料ではこれにより、五行師が風水師に変化した例が掲載されている。
リスクも存在し、均一化されれば出来たことが出来なくなったり、力が弱まる可能性もある。
…………あ?方法?言わせんなよ恥ずかしい


遺伝詞乱散(ライブ・ブレイク)
物質等の遺伝詞が暴走し、「妖物」となって暴れだす現象。
状況によっては「凌駕紋章」を制御不可能になった重騎等もこの現象を起こし怪物化するケースも存在する。
対処法は「風水によって整調化する」・「五行師や戦闘系職業が物理的に倒す」の2種類があり、前者なら元のものに戻すことも可能である。


言障(ワーズワーン)
遺伝詞系の疾病の中でも最悪の遺伝病で、一度発症すれば肺病と似たような状態で発声器官を中心に遺伝詞が崩壊。
最終的には体中の遺伝詞が分解して消失するという最期を遂げる。
また原因が「存在を司る遺伝詞」にあるため、例え神だろうと魔だろうと等しく発病してしまう。
都市世界の2002年時点でも余命計算は可能だが治療法はなく、体感時間100倍かつアバターで動ける電詞都市DTでも、外界での余命に達すれば魂が消滅する(冷凍睡眠での引き延ばしは可能)。
但し『電詞都市DT』下巻の設定解説では、この病に関する一つの新解釈が掲載されている。



□風水五行

遺伝詞を認識出来る人間が取得出来る技術。遺伝詞への干渉法等で幾つかのスタイルがある。


○風水師(英:チューナー/仏:コレクター/独:シュテイマー)
遺伝詞に干渉し、修復・一時的な書き加えを行う事で物質を変化させる技術者。用途としては「遺伝詞乱散」を起こして怪物化したものや破壊されたものを「整調化」して無害化・修復する、
怪我人に対して「本人の無事な遺伝詞」を引き出すことで治癒を早めたり精神的負荷を「整調化」して治す「風水治療」、「整調化」の応用で物質を別なものに変化させ攻撃する等がある。


○五行師(バスター)
遺伝詞に他の遺伝詞をぶつけ相殺・破壊する技術者。遺伝詞を認識し、それをうまく破壊する遺伝詞を集約することでより破壊力を上げられる。
応用としては「すぐに治る」くらいの破壊を物質に与え、それを無数に繰り返すことでより強度の高い素材を「鋳造」する技術があり、高位の神形具は「鋳造」によって一から作られている。


○全行師(独:グリーンホーナー)
風水五行に開眼出来ない・していない遺伝詞認識能力持ちがつく技術者。状況に応じて認識した遺伝詞に対応した符を使用し攻撃や防御を行う。
ここから風水五行に開眼しうるが、一度風水師か五行師になると選ばなかった方は使えなくなる。


○速読歴(英:ファストリーダー/独:ゾフォルト・レーダー)
遺伝詞認識能力を「視る」事に特化させ(代わりに干渉は使用不可能)、世界の「歴詞遺伝詞」や個人の遺伝詞に触れることで「予言」を見ることが出来る技術者。極めれば時虚遺伝詞すら見る事が出来る。


○言霊師(ワードマスター)
風水五行使いの亜種で、遺伝詞の「変化」に特化した技術者。触れたものに「語り掛ける」事で物質を支配・変化させる。但し有機物の変化は負荷が大きい。応用として「風水治療」に近いことも出来る。



□遺伝詞技術

遺伝詞を使用した技術/遺伝詞に関連した技術を示す。なお、遺伝詞技術は多く存在しているため、ここに書く物はほんの一端であることを理解して頂きたい。


重騎(記乗機構/書斎)
記乗とは重騎を操作するため、重騎に乗る事。(重騎に関する詳細はリンク先参照)
重騎に乗る/操作するとは、コックピットに搭乗し、レバーやらボタンで操作することではない。自身を遺伝詞レベルで分解し、重騎の伝導管に流すことで重騎と合体する事を言う。
遺伝詞分解には書斎と呼ばれる棺桶状の部屋を用いる。書斎を使用し、安全に遺伝詞分解する場合でも、遺伝詞分解には最低2~5分の時間が必要。


強臓式機械
使用者の遺伝詞を混ぜた機械。詳細はリンク先参照のこと。


○神器
等の純粋な遺伝詞を「音楽」としてMDに封入することにより、そのMDを聴くことで火や水、氷、風等を操る事が可能となる。
使用出来る詞階により、上から「」「」「」に分類可能。(例:「」属性で、最大詞階を使用する神器は「」)


○神形具
五行師が作成する道具。詞を増幅させる作用をもっており風水師や五行師などはそのまま武器としても使用するが、それ以外にも神器の発動にも必要な多目的な道具、わかりやすくいうとアンプ。
詳細は風水五行の項を参照。


○言詞爆弾(ヴォルト・ボンベ)
遺伝詞使用技術史上、最悪の兵器。遺伝詞を意図的に変異させ、崩壊に導く。
最初にこれを開発した独逸がWW2末大量にこれを世界中で爆発させたせいで、世界は宇宙への道を閉ざされてしまうことになる。
また『装甲都市 伯林』後半ではある事情で米国にも開発技術が流出したが、制作時の誤爆でデトロイトが崩壊、戦後電詞都市に改造されるまで人の住めない土地と化した。




以上が遺伝詞技術の一部である。この他にも幾つか存在するが、それらについては割愛。




□遺伝詞の種類 
作品で、幾つか説明されている遺伝詞が存在するため、それについて重要なものを一部説明する。


○時虚遺伝詞
この世界の時間軸を司る遺伝詞。世界の出来事は全て時虚遺伝詞の上に成り立ち、全ての出来事は時虚遺伝詞に記録される。
時虚遺伝詞を破壊した場合、破壊した分だけ時間が巻き戻ったり、全ての時虚遺伝詞を破壊すれば時間軸が崩壊し世界が滅びる。


○世界概念遺伝詞
世界の概念を司る遺伝詞。都市世界は何度も崩壊しているが、何故都合良く人間が登場するのかと言えばこの遺伝詞のおかげ。
この遺伝詞は、いわば、世界を作る際の「基本ルール」を記録した遺伝詞で、「基本ルール」として「世界には人間がいる」というルールをこの遺伝詞が記録しているため、何度世界が作り直されても人間が誕生する。





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  • ん? あー、川上作品群で確かめ合いをセッションって呼ぶ由来って、なる。 -- 名無しさん (2014-05-20 20:26:05)
  • 境ホラ新作でこの用語が登場。都市世界でもこんな発見だったのかなあ。 -- 名無しさん (2019-06-26 08:22:47)

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