最も危険なゲーム(古畑任三郎)

ページ名:最も危険なゲーム_古畑任三郎_

登録日:2023/08/17 Sun 23:36:11
更新日:2024/04/13 Sat 21:00:45NEW!
所要時間:約 15 分で読めます



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古畑任三郎 江口洋介 異色 山崎一 水道橋博士 西村雅彦 saz 最も危険なゲーム 最後の事件 石井正則 鉄道 身代金 トレインジャック



皆さんの前に登場して早5年、これまで様々な犯人と出会ってきました。
発作的にしろ計画的にしろ、彼らには罪を犯すだけの理由がありました。
今回登場する犯人はそう言った意味では最も危険なタイプの犯人と言えるかもしれません。


すなわち、犯罪をゲームとしか考えていない人物…手強そうです。






『最も危険なゲーム』とは、『古畑任三郎』のエピソードの1つ。
第3シリーズ最終話で、古畑シリーズ唯一の前後編になっている。
初回放送は前編が1999年6月15日、後編が1999年6月22日。


映像ソフト版のタイトルは「最後の事件」だが、後にFINALシリーズが作成されたため、当記事では放映時のタイトルである「最も危険なゲーム」で統一する。
本作は前述した前後編構成の他に、古畑が個人ではなくテロ活動を行う犯罪集団と対決するなど、シリーズの中でも異色の作品になっている。





※以下ネタバレが含まれますのでご注意ください。



ストーリー

動物愛護団体「SAZ(Save Animals of Zoo)」のメンバーで過激な一派に属する牟田(むた)が仲間を裏切りSAZの鞄を持って逃走した。牟田は同じSAZのメンバーの手で殺されるが、持ち出した鞄は電車内の遺失物として保管所に預けられる。
SAZのメンバー・浅香が鞄を取り戻しに行くが中身を証明できず回収に失敗すると、リーダーの日下は鞄を取り戻すため鉄道会社のコントロールセンターを乗っ取り架空のトレインジャックを起こす。
混乱するコントロールセンターに警視庁公安部の刑事に成りすました浅香が乗り込むが、そこには会社に苦情申し立てに来た古畑が居合わせていた。


登場人物

【ゲスト】

  • 日下光司(くさか こうじ)

演:江口洋介
SAZの雇われリーダー。
「能率的かつ経済的なテロ活動」という理念を基に、如何に効率よくテロ活動を行うかを目的としている。
犯罪をゲーム感覚で考えており、人を傷つけず 殺さず 人質を取らず 身代金を取らずといったルールを遵守した上で目的を達することをポリシーとしている。他のSAZメンバーと違い動物愛護には一切興味がなく、自身のポリシーを理解しようとしないメンバーとは一定の距離を置いている。
考え事をする際にボールペンをカチカチと頻りにノックする癖がある。

  • 武藤田(むとうだ)

演:佐々木功
鉄道会社のコントロールセンター長。過去に電車の運転手を30年務めており、新幹線のタイヤ交換も経験しているなど車両整備の心得もある。業務において一度も事故を起こさなかったことを誇りにしており、「乗客は私の命」という信念で事件が発生すると乗客を守るためにテロリストとの交渉に奔走している。心臓に持病がある。

  • 浅香忠夫(あさか ただお)

演:斎藤洋介
SAZのメンバー。牟田が持ち出した鞄の回収に失敗した後、一番最初に公安部の刑事を名乗りコントロールセンターに現れた。

  • 山本一郎(やまもと いちろう)

演:山崎一
SAZのメンバー。逃走する牟田を射殺した張本人で、トレインジャックの準備でコントロールセンター付近の寺に侵入した際には気付いた住職をナイフで殺害しようとするなど、殺人を厭わない冷酷な性格。

  • 大和田五郎(おおわだ ごろう)

演:水道橋博士
SAZのメンバー。パソコンや通信機器に詳しく、コントロールセンターのホストコンピューターをハッキングし、運行ランプを操作してトレインジャックを偽装した。他にも携帯電話の通信を妨害し、通話を傍受するなどしてセンター内の諜報活動をしていた。

  • 牟田(むた)

演:小原雅人
SAZのメンバーで組織を抜けてメンバーの情報を公安に持ち込もうとしたが、山本に殺害される。


【レギュラー陣】

  • 古畑任三郎

演:田村正和
鉄道会社には偶に乗った列車内でのようやく買った携帯電話の使用を注意されたことに対し、「家の留守番電話の聞いていただけ。一言も喋ってない。」と文句を言うためだけに来ていたが、それを切っ掛けに事件に関わることになる。お詫びの品に時計をもらいややご機嫌になっていたが、サブレについては馬鹿にしていると憤っていた。

演:西村雅彦
目立った活躍はないが、偶々すれ違った鈴木が手配中の牟田殺害犯に似ていることに気づき、拘束された西園寺を救出するなど陰ながら事件解決に貢献している。

演:石井正則
古畑の指示に従い、いち早くトレインジャックの真相に気づくものの日下の部下に拘束されてしまう、



【劇中の用語とヒント】

  • SAZ(Save Animals of Zoo)

作中に登場する架空の動物愛護団体で、「動物園の動物を守れ」をスローガンに活動している。大多数は穏健派な様だが、日下たち一部過激派は動物を園の檻から無理やり解放したり、建物を爆破するといったテロ活動を行っていて仲間からも煙たがられている。

  • SAZの鞄

組織を裏切った牟田が持ち出した鞄。牟田はこれを持って公安に駆け込もうとしていたが、SAZのメンバーに追われる過程で電車内に置き忘れてしまい、鉄道会社の遺失物センターに届けられた。目印としてSAZのキーホルダーが付いており、日下たちはこの鞄を回収するために架空のトレインジャックを計画する。

  • トレインジャック

日下が鞄を取り戻すために計画した架空の事件。メンバーの大和田がコントロールセンターのホストコンピューターをハッキングし、列車の運行状況を示すランプを操作することでトレインジャックが発生したように見せかけた。その上で脅迫電話をかけ身代金として本日分の売り上げである約1000万円を要求している。









以下、事件の展開。ネタバレにご注意ください

















前編

コントロールセンターに犯人から人質である乗客の身代金として本日の売上金の約1000万円と列車のATC解除の要求が入る。
居合わせた古畑は自らの身分を明かし事件解決の協力を申し出るが、本職の刑事の登場に慌てた浅香が指示を求めると、日下は自らも公安部の刑事と偽ってコントロールセンターに乗り込む。


様子を伺っていた古畑は浅香が応援要請をしてから日下の到着があまりに早いこと、日下の登場前後で交渉の電話に出た相手が変わっていることに疑問をもつ。しかし古畑の疑問を精査する前にトレインジャックされた電車が間もなくコントロールセンター付近の駅を通過することが分かり、確認に行こうとする職員とそれを足止めする日下たちでコントロールセンターは混乱するが、古畑は犯人も西園寺なら警察とは思わないと言いくるめて当該車両の確認に向かわせる。


西園寺が駅のホームで列車の通過を待っていると、そこには最終電車に乗ってきたという今泉の姿があった。そこで西園寺はようやく乗っ取られたのは電車ではなくコントロールセンターだと気づき、古畑に知らせようとするが日下の部下に阻まれ身柄を拘束されてしまう。


日下は身代金として要求された1000万円分の売上金を4つの鞄に分けて、それぞれの犯人が指示した場所に運ぶことを武藤田に提案し、武藤田たちはすぐに準備に取り掛かる。身代金の運搬方法について職員が話し合いを続けるコントロールセンターに日下のボールペンのノック音が鳴り響く中、古畑は静かに日下の様子を伺うのだった。












後編





これまで私が関わってきた多くの犯罪者たち。
彼らに共通しているのは、誰一人逮捕の瞬間、悪あがきをしなかったということ。
彼らは犯行を認めた後、進んで自供してくれました。


誇り高き殺人者。
そして、それが私の自慢でもあるのです。







日下の提案で身代金を4つにわけて指定された場所に運ぶことになった武藤田たちは、運搬に適当な鞄を探すが3つしか見つからず後1つは牟田が持ち出し遺失物保管所に預けられた鞄を使うことになる。日下はSAZのキーホルダーが付いた鞄をバンに積み込み、あわよくばそのまま逃走を考えていたが古畑と武藤田が同乗することになったため、止む無く3人で身代金の受け渡し場所である市営球場に向かう。


道中、鈴木の手で車のタイヤをパンクさせられ武藤田がタイヤの交換をしている間に車内では古畑の追及が始まっていた。古畑は自身の警察手帳を取り出しながら日下にも警察手帳の提示を求めるが、日下は嵩張ってスーツの形が崩れるから携帯していないと言い逃れる。
次に古畑は今回の事件が架空のトレインジャックであること、公安の刑事と名乗る浅香も偽物だと疑っていることを暗に伝える。日下は「そうなると後から来た公安の人間(=自分)も偽物ということになる。」と笑って語り、古畑も笑ってそれを肯定する。


話の途中で日下は路駐している怪しい車の様子を見に行くと言って外に出て後を付けていた鈴木と打ち合わせする。その様子を見ていた古畑のもとへ西園寺から一緒にいる公安刑事の日下は偽物で事件の首謀者だという電話が入るが、古畑は「知ってるよ」と当然の様に言い、西園寺たちも市営球場に来るように言い電話を切る。




古畑が最も憎むもの

市営球場に到着すると武藤田は身代金の入った鞄をマウンドに置き、物陰に隠れて犯人の姿を窺っていたが、居ても立ってもいられずマウンドに走り周囲を見回していた。その間に古畑と日下は車内での話の続きを始める。
日下はもしこれが古畑の推理した通り架空の事件だとしたら、かなり周到な計画で犯人は誰も人を傷つけず、殺さず、人質も取らずに目的を達したことになり、そんな見事な計画を建てた犯人を尊敬すると遠回しに自画自賛する。


しかしそれを聞いた古畑は「頭は良いかもしれないが、まったく尊敬できない」と日下の考えを真っ向から切り捨てる。今回の事件によって穏やかな定年を迎えられるはずだった武藤田は責任を追及され職を追われるのは確実だろうし、他にも売上金を担当した出納係の職員が責任を感じて自殺する可能性だってある。そんなことにも気づかずに誰も傷つけていないなどと思いあがった犯人に対し、古畑は「私はね、自分の犯した罪を罪と思わない人間…最も憎みます」と憤りを示す。


2人の元に見回りをしていた武藤田が戻ってくるが、体調を気遣う古畑の制止を振り切り忙しなく再びマウンドに走っていく姿を見て、空回りしているが職務熱心な人だと古畑は感心する。それを聞いた日下は古畑に赤い洗面器の男の話を話し始める(これまで何度もオチを聞き逃している古畑は食い気味に話しの続きを促す)が、オチを言う前に武藤田が胸を抑えて苦しそうにしている姿に気づき急いで駆け寄る。
日下はすぐに救急車を呼ぶように叫ぶが、古畑は犯人が来るかもしれないと敢えて渋ってみせると、日下は「犯人なんか来ないことは、あんただって知っているだろう。」と言い、救急車を急がせた。








以下、事件の真相と解決まで。さらなるネタバレにご注意ください












ゲームの勝敗

武藤田が搬送された病院の待合いで、日下はいつから疑っていたのか古畑に問う。
古畑が日下を偽物の刑事だと確信したのは車内で見せた警察手帳の件だった。日下は自分が手帳を携帯していなかったことだと思ったが、古畑は自分が見せた警察手帳に何の疑問も示さなかったことだと訂正し、日下に見せた手帳がドラマの小道具であることを明かす。更にセンターにかかってきた脅迫電話の背後に日下が癖でやるボールペンのノック音が混じっていたこと、2回目の電話の犯人が別人に代わっており、その直後に日下がセンターに現れたことも疑う材料だった。


日下は古畑を賞賛しつつも、自身の負けを認めずゲームはドローと宣言する。日下は古畑が自分を疑っていることに気づいており、こっそり鞄のキーホルダーを別の鞄に付け替えていた。牟田が持ち出した鞄の中にはメンバーの秘密のアドレスが書かれた手帳が隠されており、今頃は別のメンバーがその鞄ごと手帳を回収しているだろうと日下は言う。


僕は負けちゃいない。」と強がる日下に、古畑はその手帳はどんな物なのか問う。



どんな?どんなと言われても…。


青い?ポケットサイズの?表紙にグループの名前の入った?




そう言って古畑は背中越しにSAZの手帳を日下に見せつける。
古畑は日下が疑われていることに気付いていたことやキーホルダーの付け替えもすべて見抜いており、こっそり鞄を漁って目的の手帳を確保していた。


あなたの負けです。私もね、このゲームに懸けちゃプロなんです。


古畑はそう宣言するが日下はまだ諦めていなかった。今泉と西園寺が到着して古畑が気を取られた一瞬の隙を付いて病院の職員を人質に取り、古畑たちが動揺しているうちに逃走に成功する。







ゲームセット

拠点に戻った日下はメンバーたちが手に入れた身代金を遣って逃走しようとしていることを知ると、身代金は全額返すとメンバーを説得し真夜中に一人球場に向かう。マウンドに4つの鞄を置いたところで、球場のライトが付き、照らし出された日下のもとに古畑が歩み寄る。


古畑は日下がこれまで自身に課した「1.人を傷つけず 2.殺さず 3.人質を取らず 4.身代金を取らず」のルールを3つまで破っていたことから、ゲームの成立と何より自身の信念のため最後の身代金を取らないことだけは何としても守ろうとすると確信していた。そして自分が捕まらないように身代金全額を確実に返すには明日の朝一に持ち逃げされる恐れのない少年野球の子供たちが見つけるように球場を選ぶだろうと完全に読み切っていた。


メンバーの誰もが理解していなかった日下の信念とも言うべきルール。それらを理解し自身を追い詰めた、言わば最高の対戦相手であり理解者でもある古畑に対し、日下は「あなたには敵わないな」と遂に負けを認めるのだった。
身柄を確保された日下は古畑から武藤田が数日で退院できることを知らされ、犠牲者が出なかったことに安堵すると古畑に振り返って不敵に笑いながら言い放つ。


古畑さん、今度は負けないよ。


連行されていく日下を見送った古畑は、今泉たちには散歩して帰ると言いのんびりと歩き去るのだった。





追記・修正はゲーム感覚でお願いします。


  • このタイミングでエピソード項目作るのか… -- 名無しさん (2023-08-17 03:03:06)
  • 第3シーズンは色々と突っ込みどころが多いけど、これはちょっと荒唐無稽すぎるなぁ -- 名無しさん (2023-08-17 05:29:23)
  • エピソード項目の作成はアニメやドラマ問わず禁止になったはずでは…? -- 名無しさん (2023-08-17 06:09:33)
  • 「悪あがきをしない」ね。まあ、閣下はその後に制作されたエピの人だし、悪あがきというか逃げたんだけどね。 -- 名無しさん (2023-08-17 07:27:31)

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