登録日:2023/04/02 Sun 20:30:12
更新日:2024/07/05 Fri 12:34:48NEW!
所要時間:約 16 分で読めます
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ワンコ 熊 ウルフ 童話 童謡 スピンオフ 猫 願い星 アドベンチャー アクション オワタ式 アニメ 映画 東宝東和 ギャガ 山本耕史 土屋アンナ 中川翔子 津田健次郎 豪華声優陣 アントニオ・バンデラス cgアニメ 洋画 サルマ・ハエック 長ぐつをはいたネコと9つの命 プス キティ・フワフワーテ ゴルティ・ロックス 3びきのくま ビッグ・ジャック・ホーナー ちびっこジャック・ホーナー シュレック ドリームワークス・アニメーション ユニバーサル・ピクチャーズ 本編を観なくても楽しめるスピンオフ ねこ映画 ねこ映画と見せかけていぬ映画 9つの命 猫に九生あり チーム友情 長ぐつをはいたネコ 小関裕太 本編よりも先にできた項目
ユニバーサル・スタジオ×ドリームワークス
キレキレでモフモフな伝説ネコが、やって来る!!
これは、9つあった命がラス1になっちゃったネコの
最後の命をめぐる【うっかり死ねない】大冒険の物語!
『長ぐつをはいたネコと9つの命(原題:Puss in Boots: The Last Wish)』はドリームワークス・アニメーション製作の映画作品。
本国アメリカでは2022年12月13日にリンカーン・センターにて限定公開後、同年12月31日に公開され、日本では東宝東和とギャガの共同配給で2023年3月17日に公開された。
【概要】
ドリームワークス・アニメーション制作『シュレック』シリーズのスピンオフ作品で、同社制作『長ぐつをはいたネコ』の続編。
主人公は『シュレック2』から登場した長靴をはいた猫(プス)。
これまでの作品を見ていなくても問題なく楽しめるが、登場キャラクターなどを把握したいならばこれまでのシリーズや前作を見る事をお薦めする。
【物語・8度目の死】
長靴をはいた猫''プス''は名立たるおたずね者。
遠い遠い国やその更に辺境で沼地の怪物達と大冒険を繰り広げたのも、今や過去のこと。
民衆にとって、彼は恐れを知らぬヒーローであり大怪盗、生けるレジェンドであった。
プスは大勢の人々からもてはやされながら命知らずな冒険を繰り広げ、その日もまた、デルマールの眠れる巨人をチョチョイと討伐してしまう。
しかし、その直後の事故により、プスは命を落としてしまった。
CONTINUE? |
>YES |
NO |
プス x01 |
猫には9つの命があると言われているだけあって、命を落としたプスは再び目を覚ました。
が、持ち前の無謀さでプスはこれまでに7回命を落としており、今回の事故死により8回目の死。つまり、この時点で9つあった命は残り1つになってしまっていた。
最初のうちは、もう命のストックがないことにも高を括っていたプス。
しかしその直後、凄腕の賞金稼ぎウルフに首を狙われることになってしまう。
ウルフの剣術に敗れたプスは死の恐怖に屈し、弾かれたレイピアを拾いもせずに逃走。
そのまま街を離れたプスは、愛用の長靴・マント・帽子を埋葬すると、猫好きの老婆ママ・ルーナのもとで普通の家ネコとしてひっそりと生きることにしたのであった。
それは、恐れ知らずのヒーロー、長靴をはいた猫の最期を意味していた。
……はずであった。
【物語・冒険の始まり】
プスはママ・ルーナにピクルスというダッサイ名前を付けられ、純然たる飼い猫扱いに当初は反発していたプス改めピクルス。
しかし、家の外からウルフの気配を感じる気がして家の中で怯え隠れる日々を送るうちに、彼女の飼い猫としての無気力で堕落しきった生活に順応してしまった。
しかし、ママ・ルーナの家にゴルティ・ロックス率いるお尋ね者チーム3びきのくまが押し入ってくる。
彼らは''願い星の魔法の地図''を入手するために、長靴をはいた猫を探し出して勧誘しようとママ・ルーナのもとへとやってきたのだ。
願い星とは、ある時、空から落ちてきたと言われる巨大な星。その星にはどんな願い事でも叶える力があるという言い伝えがあった。
プスを含む多くの人々からは与太話程度に思われていたようだが、パイ職人で魔法グッズコレクターのビッグ・ジャック・ホーナーが願い星に通じる魔法の地図を入手したことにより、実在が明らかになった。
くま一家はビッグ・ジャック・ホーナーから魔法の地図を横取りし、自分たちの願いを叶えようと目論んでいたのである。
くま一家はママ・ルーナの家でプスを見つけるが、そのすっかり落ちぶれた猫が長靴をはいた猫だとは到底気付かず、長靴をはいた猫はもう死んだものと諦めて帰っていった。
しかし、プスは3びきのくま達の話をしっかりと聞いていた。
願い星の力があれば、どんな願い事でも叶えることが出来る。ということは、既に失った命のストックを、そしてかつての長靴をはいた猫の栄誉を取り戻せるかもしれない。
プスは一度は捨てた長靴・マント・帽子を二度身に纏い、願い星があるという暗黒の森への冒険に赴く決意をするのであった。
――ただし、ウルフに敗れて拾わなかったレイピアは、腰のホルダーにはない。
もちろん、命のスペアも、もうない。
プスは冒険の果てに9つの命と名誉を取り戻すことが出来るのだろうか?
長ぐつをはいたネコと9つの命
【登場人物】
いよいよ冒険がはじまるところで、登場人物を整理し、物語のあらすじと共に改めて紹介。
プス(長靴をはいた猫)
声:アントニオ・バンデラス/日本語吹替:山本耕史
出典はヨーロッパの民話『長靴をはいた猫』。
だが、その性質は『長靴をはいた猫』と『怪傑ゾロ』を足して2で割ったような怪傑猫。
アウトロー、ヒーロー、そしてレジェンド。
クールで果敢なお尋ね者の剣士であり、好きな物は命知らずな冒険。
元ネタに勝るとも劣らぬ驚異的な剣術と体捌きでもって、甲冑を纏った無数の兵士達はおろか小山のような巨人でさえ手玉にとってのける。
確かな実力を備えているばかりか猫であるために命が9つあるはずなのだが、危険な賭場でポーカーの最中にAのファイブカード*1をかましたり、甲殻類アレルギーの癖に限界を超えてカニ料理を堪能したり、牛追い祭りの最中にナンパを試みて牛に踏み潰されたり、斬新な移動法を実践して粉微塵になったり……。
恐れを知らぬ自由奔放さを通り越して杜撰ですらあった日々を送るうちに命を費やし続けていた。
その挙句、冒頭の説明の通り、既に残る命は1つとなっている。
なお、日本語吹替はシリーズ前作まで担当していた竹中直人氏から新たに山本耕史氏に変更されている。
プスの願い
9つの命を取り戻す事、そしてかつての栄光を取り戻す事
死の恐怖から一時はすっかり衰えてしまったプスだが、願い星の力で命のストックを取り戻すことで、恐れ知らずのヒーローであった頃に戻ろうと奔走している。
ワンコ
声:ハーヴェイ・ギーエン/日本語吹替:小関裕太
ママ・ルーナの飼い猫に紛れていたチワワ。
とても人懐っこい性格で、同じく喋れる動物であるプスに懐いてしまい、冒険についてくるようになった。
筆舌しがたい不運な過去を持つが、本人が能天気なのか、ポジティブなのか、前向きに乗り切っている。
夢はセラピードッグになることらしい。
ワンコの願い
特になし
プスが友達だからという理由でついてきているだけで、特に叶えたい願いはない。
魔法の地図は願い星に向かう者達に各々の試練を課すが、ワンコは無欲であるためか、ワンコの試練は超イージーモード。
キティ・フワフワーテ
声:サルマ・ハエック・ピノー/日本語吹替:土屋アンナ
大胆不敵な怪盗猫。
かつてプスとは恋仲であり婚約までしていたが、プスが結婚式当日に式場に来なかったのでその話はお流れになっている。つまり元カノ。
実は彼女もまたゴルティに勧誘されていたようだが、キティはその勧誘を蹴り、自ら魔法の地図を奪取するために暗躍を開始していた。
ビッグ・ジャック・ホーナーの宝物庫にてプスと鉢合わせるも、魔法の地図を盗み出すことに成功。
しかし、そのどさくさでプス、ワンコと合流してしまい、共に願い星を求める冒険をすることになった。
なお、日本語吹替は前作で担当した本田貴子女史から新たに土屋アンナ女史に変更されている。
キティの願い
信頼できるパートナーを見つける
これまで数多の信頼を裏切られ続けてきたキティは裏切りをなによりも嫌っており、願いの力で本当に信頼できるパートナーを得ようとしていた。
プスに結婚式をドタキャンされた件では大して気にしていないと彼をあしらっていたが、彼女が手にした地図には絶望や孤独と言った単語が並んでいたことからして、実際にはかなりのトラウマになっていた模様。
なし崩し的に相棒になったプスについては、上述した過去があるので随分きつく当たっていたが……?
ママ・ルーナ
声:ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ/日本語吹替:渡辺明乃
猫好きの老婆で、保健所の目を掻い潜って大量の猫を飼育している。
迷いネコのふりをしてやってきたプスのことも喜んで受け入れ、ピクルスと名前をつけて可愛がっていた。
ファンタジーな概念から解き放たれたかのように、実にリアルに猫を多頭飼い。飼育崩壊しそうな環境だが家の中は清潔で猫達も疾病等の様子は見られない辺り、実は偉人なのかも知れない。
このように全く悪い人ではないのだが、3びきのくまたちに襲われ家を荒らされ、オルガンに突っ込まれるなど散々な目に遭う。
でも喜べ!貴重なお風呂シーンがあるぞ!
ゴルティ・ロックス
声:フローレンス・ピュー/日本語吹替:中川翔子
3匹の熊を引き連れるお尋ね者3びきのくまのリーダー。
ビッグ・ジャック・ホーナーが願い星に到達する魔法の地図を見つけたという情報を得て、横取りを目論んでいたが、上述の通り、プスとキティに横取りの計画を横取りされてしまう。
それでもあきらめることなく、3匹の熊を使役しながらプスとキティの追跡を開始、願い星への到達を目論み続ける。
出典は海外ではメジャーな童話である『3びきのくま』。(ベイビー・ベアから白雪姫の劣化版などと言われている)
この物語のゴルティはもとは天涯孤独な少女だったが、迷い込んだ熊たちの家で3匹の熊と出会い、今では家族として、そしてならず者チームの仲間として暮らしている。
ちなみに、彼らの話の端々にでてくる「~すぎる」「ちょうどいい」という言い回しや、おかゆやベッドの話は、原作物語の中に登場するもの。
ゴルティの願い
?????
ゴルティには家族の熊たちにも明かしていない願い事がある。
その詳細は秘密としているが、それを叶えることで「ちょうどよくなる」という。
熊たちはそれを信じ、ゴルティの願いを叶えるために共に願い星を追っている。
パパ・ベア
声:レイ・ウィンストン/日本語吹替:楠見尚己
「3びきのくま」の父熊。ゴルティの義父。
隻眼で巨体と見た目は恐ろしいが、実はそれほど凶悪な性格というわけでもなさそうで、むしろ、なんだかちょっと間が抜けている。
が、実は最終局面でしれっと超ファインプレーをする
ママ・ベア
声:オリヴィア・コールマン/日本語吹替:魏涼子
「3びきのくま」の母熊。ゴルティの義母。
夫同様見た目は恐ろしいが、母性ある性格で義娘であるゴルティのことも心から愛している。
願い星の力などなくとも「ゴルティがいることでちょうどいい」と思っているようだが、ゴルティの願いを叶えるために協力している。
ベイビー・ベア
声:サムソン・ケイオ/日本語吹替:木村昴
「3びきのくま」の小熊。ゴルティの義弟。(熊と人の年齢をどう比較して姉弟を決めているのか不明だが、少なくとも弟分のポジションである模様)
くま一家の中でも特に鼻がきくらしく*2、プスたちが魔法の地図を手に入れた後も、その臭いから彼らを執拗に追跡し、地図の奪取を狙っている。
ゴルティとは常に下らない口喧嘩ばかりしているが、彼もまたゴルティを家族であると認めており、ゴルティの願いを叶えるために協力している。
ビッグ・ジャック・ホーナー
声:ジョン・ムレイニー/日本語吹替:成河
出典は童謡「マザーグース」より「ちびっこジャック・ホーナー」。
肥満で巨漢なパイ工場のオーナー。生涯でどれだけパイに指を突っ込んできたのか、親指がパイの紫色になっている。
特殊な能力があるわけではないが、世界中の魔法・魔術グッズを収集し、時にはそれを武器として操る強キャラと化している。プスをして「厄介な相手」。幻の不死鳥を即席火炎放射器にする男など世界でこいつくらいだろう。
ついでに、ギャングのように凶悪な手下のパティシエを部下として率いているなど、武力に関してはまず隙がない。(童謡ではただの腕白小僧なのに……)
そして性格は邪悪そのもの。傲慢を煮詰めて強欲のパイ生地で包んだような男。(実際本人も自ら「共感能力がない」といい放っている)。
部下を消耗品のように殺すことすら何とも思っていない極悪非道な人物であり、シリーズ最大の外道。同じシリーズの悪役だった『1』のファークアード卿や『2』の妖精ゴッドマザーとその息子のチャーミング王子等がマトモに見えてしまう。
その収集力によって、最強の魔法グッズとも言える魔法の地図を入手した。これによって願い事を叶えようと画策していたが、プスとキティに魔法の地図を盗られてしまう。
無論ホーナーは諦めることなく、何でも入る魔法の鞄に大量の魔法グッズを詰め込み、大勢の部下を引き連れて地図の奪還と願い星への到達に乗り出した。
童話ではなく童謡のキャラクターであることが地味にコンプレックスらしい。
昔の名前で呼ばれると不機嫌になる。つまり昔の名前で呼んだ相手は処刑。また、童話特有の「喋る動物」が大嫌いだという。
ホーナーの願い
世界中の魔法を独り占めする
つまり[[世界征服>世界征服]]。説明不要。
ここまで分かりやすいと最早清々しいくらいにとんでもない願い事。
エシカル・バグ
声:ケヴィン・マッキャン
ビッグ・ジャック・ホーナーの魔法グッズコレクションの一つで、悪魔の蝗かと思って間違えて出したコオロギ。
ピノキオに出てくる説教コオロギ(ディスニーのピノキオでいうとジミニー・クリケット)のようなもので、ちいさい良心と言える存在らしい。
しかし、今回の主、ビッグ・ジャック・ホーナーがどうしようもないほど邪悪すぎて頭を抱えることに。なお、この世界におけるピノキオも女の子用のパンツを穿いていたりと、かなり難ありな人物であるが……
ウルフ
声:ヴァグネル・モウラ/日本語吹替:津田健次郎
口笛と共に現れる、神出鬼没で凄腕の賞金稼ぎであり殺し屋。
ショーテルの二刀流を操るその剣腕はプスのレイピアをもってしても全く歯が立たないほど。
もう命のスペアがないプスにとってウルフの存在は恐怖そのものであり、その姿が見えるだけでもプスは恐怖で毛を逆立て、すっかり怖気づいて逃げ出してしまう程。
その後もプスを執拗に付け狙っているのか、冒険の端々で姿を見せてはプスを死の恐怖に陥れる。
ドリームワークスのキャラクターといえばコメディリリーフを欠かさないのがお約束。
しかしに彼に限っては例外で、ただひたすらに恐ろしい存在としてプスの前に立ちはだかり続ける本作最大のトラウマ要因である。
シュレック&ドンキー
言わずと知れた本シリーズの主人公にしてプスの大事な仲間。
本作には一切登場しないが、プスが本気で死を感じた際に彼らとの思い出も走馬灯の中で流れており、遠く遠く離れていても2人との友情は今でも強く残っている。
【物語・暗黒の森の冒険】
プス&キティ&ワンコはビッグ・ジャック・ホーナーから強奪した魔法の地図を手に、願い星があるという暗黒の森を突き進む。
しかし、くま一家とホーナーもまた魔法の地図を奪おうと彼らを追跡。三つ巴の願い星争奪戦を繰り広げていた。
冒険の最中、プスはキティとワンコに対して相変わらずキザに振舞っていたが、その裏では死を恐れ、ウルフの影にも怯えていた。
くま一家やホーナーとの乱戦の中、とうとう魔法の地図はくま一家に奪われてしまい、プスもまた訪れた死の恐怖からキティとワンコを置いて逃走してしまう。
枯れた森の片隅で、プスは過呼吸になるほど参ってしまったが、そんな中でセラピードッグが本領を発揮した。
プスはワンコに助けられた一時の安堵の中、ワンコに悩み事を打ち明け、キティとの結婚式での失踪を後悔していたこと、彼女を裏切ったことは間違いであったことを告白。
その告白を、2匹を探しに来たキティが偶然耳にした。
キティは「プスが好きなのはレジェンドである自分自身、それには勝てない」という思いを持って彼の事を諦めていた。
しかし、その本音を聞いて彼を再度受け入れることにしたのか、さりげなく、プスとの距離を詰め直していく。
願い事に関しては「工夫すれば願い事をシェアできる」ことをプスに提案。
最初の頃のプスとキティは地図を共に持ちながら願い事の奪い合いをしている状態だったが、改めて、願い事のために2匹で協力しあうことを約束した。
仲間の後押しで勇気を取り戻したプスは、キティとの強い信頼関係のもと、くま一家から地図を奪い返すことに成功。
しかしその際にくま一家にワンコを誘拐されてしまい、さらに弾みでプスが地図を手にしたことで、暗黒の森がプスの試練へと姿を変えてしまう。
キティはワンコの奪還を目指し、プスは試練の出口を求めて彷徨うことになってしまった。
プスに降りかかった試練は、これまで落としてきた命の幻影たちとの再会。
プスは幻影たちとの対話で、レジェンドたる孤高な栄光への執着を再び甦らせつつあった。
しかし、そんな最中に、暗黒の森の試練どころではない恐怖がプスの前に立ちはだかった。
賞金稼ぎのウルフが追いついてきたのである。
否、追いついたという表現は適切ではなかった。
ウルフは、プスの幻影たちを次々に破壊しながら、プスのこれまでの死を見届けてきたと語りだした。
ウルフはただの賞金稼ぎなどではなく
死神
であった
物のたとえでも、誇張表現でも、詩的表現でも、屁理屈でもない、正真正銘の死の使い。
プスは長らく、自分の事を不死身だと勘違いし、命知らずな冒険を繰り広げては軽率に命を消費し続けてきた。
せっかくの9つの命を1つも大切に生きなかったプスを見かねた死神が、その最後の命を刈り取りに現れたのだった。
プスは命からがら死神から逃げ延び、その恐怖からキティもワンコも置き去りにして、ひとり願い星の地へと急いだ。
【物語・ゴルティの願い】
プスが死神に付け狙われている頃、くま一家はワンコを餌にめちゃくちゃ原始的な罠でプスやキティを待ち受ける用意をしていた。
その間、ゴルティとベイビー・ベアは相変わらずの下らない口喧嘩を繰り返している。
ワンコはその様子をとても良い家族であると評した。思わずくま達が油断をしたが……その隙に、ワンコは呆気なくキティに助け出されてしまった。
ワンコをまんまと取り返されたことに関して、またまたゴルティとベイビー・ベアは口喧嘩。
と、その喧嘩の弾みで、ゴルティは自分の願い事をくま達に明かした。
ゴルティの願い事は
「ちゃんとした家族を手に入れること」
なにしろ自分は熊ではないのだから、人間の家族を得ることによって「ちょうどよくなる」というのがゴルティの考えだった。
裏を返せば、3匹の熊たち家族を捨てる事が目的だったということである。
転がり込んだ人間の孤児を愛する家族として受け入れていた熊達は、その告白にとても悲しんだ様子だった。
しかし、それでもゴルティのちょうどよくなる幸せのために、引き続き、彼女の願いを叶える協力を決めて、3匹と1人で、願い星の元へと向かうのだった。
一方、ワンコを救出したキティはプスを発見し、合流しようとする……が、死に追われ躍起になるプスは二人に気付くことすらなく、願い星へと一目散に走っていく。
【物語・願い星】
魔法の地図を手に願い星の地へとたどり着いたプスは、キティとの約束も忘れて、すぐさま命のストックを蘇らせる願いを叶えようとした。
ところが、その姿をキティに見られてしまい、キティからはまたしても裏切られたと失望されてしまう。
そんな一触即発も冷めやまないうちに、3びきのくま達とビッグ・ジャック・ホーナーまで願い星の地に乱入。
その本体が小島のように巨大な願い星は浮上を始め、起動し始めるや呑み込めば生物を消滅するヴェールのような蒼白い炎に包まれた。
炎に包まれる中で最後の争奪戦がはじまってしまった。
願い事に王手をかけたのはゴルティ。魔法の地図を手に、あとは呪文を唱えるだけ、というところまでこぎ着けた。
ところが、ビッグ・ジャック・ホーナーの強襲でベイビー・ベアが命の危機に晒されてしまう。
その時、ゴルティは願いを叶えるチャンスを捨ててベイビー・ベアを救出した。
結果、ゴルティは願い星に願いを唱える機会を逃してしまったが、
同時に、彼女の願いは願い星を介さずして叶ったのだった。
ビッグ・ジャック・ホーナーはキティ達の手により、自身が持つ魔法の鞄に押し込まれてリタイア。
一方のキティも既に願いを叶えること自体に失望したのか、願い事を放棄した様子で、せっかく手に入れた魔法の地図をプスに明け渡した。
とうとう命のストックを蘇らせるチャンスを得たプス。
ワンコはプスに願いが渡ったことを喜んでいる様子だったが、その暁に手に入る名誉やスリルの話などではなく、たった1つの命と、その周りの大事なものについて、彼に問いかけている。
キティに呆れられ、ワンコに諭され、プスは願い事を手にしながら、その願い事について葛藤する様子を見せる。
しかし、そんなプスの目の前に、死神が最後の命を奪いに現れてしまった。
【物語・結末】
物語の結末 折り畳み
死神は、最初にプスが捨ててしまったレイピアをプスのもとに転がし、願い事で命を増やす姑息な手段で死から逃げのびるか、このまま戦って潔く死ぬかの選択を迫った。
驚異的なまでの剣術の持ち主であるばかりか、今や空を飛ぶ願い星にあっさりと追い付き、願い星を包む死の炎を意に介さずちょっとした薄いヴェールを潜るかのように越えて来た。
明らかに超常の存在であり、どう考えてもプスは勝ち目は無いのは明白。倒すどころか傷が付くかすら怪しい。
確実に迫る死の化身を前にしてプスの脳裏に走馬灯が過る。
そこに映るのは今、この命が持つ、ワンコやキティたちの記憶だけ。
プスはレイピアを手に取り、死神に立ち向かった。
そこには既に、命を無駄遣いする傲慢な猫も、死の恐怖に怯える哀れな猫もいない。
そして、彼には死に屈する弱気など微塵もない。
勝てないと分かっている死であろうとも、今この命で手に入れた大切な信頼と愛を失わない為に抗う覚悟を決めた長靴をはいた猫の姿があった。
死神のショーテルに追い詰められてもレイピアとネコナイフを構え、死神のショーテルを弾き飛ばし、最後の最後まで戦い続ける決意を見せるプス。
そんな長靴をはいた猫の決意を前にして、遂に死神は諦めた。
彼の目的は、命の多さにかまけて雑に命を散らし続ける、英雄気取りの傲慢な愚者にさっさと引導を渡して思い知らせることだった。
しかし目の前に居るのは、命を軽んじず死を恐れない、長靴をはいた猫。最早別人である。
死神は、彼に最後の命を生きるチャンスを与えると、口笛と共にその場を立ち去って行ったのであった。
命のストックなど得ずともヒーローとして生まれ変わった、長靴をはいた猫
その葛藤と決意を聞き届け、もう一度、彼を見直したキティ
もう願い事が必要なくなったゴルティとクマ一家
願い星の力に頼らずとも、そこに集ったそれぞれが、得るべきものを得ることに成功したのである。
……では、願い星の願いの行く末は?
そればかりはぜひとも、本作をご覧いただき、その目で結末を確かめて頂きたい。
【演出】
- BGM
本作のBGMはラテン曲が多数採用されている。
パワフルで明るく、時に哀愁もある楽曲が、物語を軽快に彩っている。
- バトルアクションシーン
今作のバトルアクションの演出では、従来通りの滑らかで美しい3DCGに組み合わせて、フレームをあえて減らしたリミテッドアニメ風なバトルアクションが盛りだくさん。
序盤のアクションシーンは、公式が公開しているCMでも観ることが出来る。
【余談】
- オープニング
『シュレック』や『カンフーパンダ』、『ヒックとドラゴン』など、これまでのドリームワークスのメガヒットシリーズの主人公たちがちょこっと登場する。
- 猫には9つの命がある
物語の主軸となる重要な設定だが、「猫には9つの命がある」「猫に九生あり」は有名な伝承。
もちろん、実際の猫には9つの命はない。
- 童謡「ちびっこジャック・ホーナー」
ヨーロッパでは有名な童謡で、登場するちびっこジャック・ホーナーはただの腕白小僧である。
しかし、実はこの童謡、イギリスの黒歴史的な出来事を風刺した曲であるという都市伝説がある。
そのような背景があり、ちびっこジャック・ホーナーは風刺画で悪党の隠喩として扱われることがけっこうあるのである。
ただし、その場合には「日和見主義者」の意味が強く、本作のめっちゃアクティブでめっちゃ悪い事しまくるビッグ・ジャック・ホーナーの人間性とは結び付かないので、あくまでコラムの一つとして捉えて頂きたい。
- ねこ映画かと思ったらいぬ映画だった
ワンコの存在により、当映画はねこ映画と見せかけたいぬ映画と言われていたりする。
※もちろんねこ映画要素も満載なので安心されたし。あとクマ映画もな
……ちなみに、実は彼には最終盤まで名前がないのだが、便宜上、Wikiではワンコと記載している。
- 冥銭
劇中、プスを付け狙うウルフが両目に硬貨を重ねてみせるジェスチャーを取る。
これはヨーロッパでは一般的な埋葬の儀式のひとつ。つまり、このジェスチャーは死へと誘う脅迫である。
効果は抜群で、プスはこの後もウルフの影に震え上がることになった。
- 魔法グッズ
ビッグ・ジャック・ホーナーが所持する魔法グッズは、多くが童話やおとぎ話を出典としている。
そのため、ホーナー邸のシーンではカメオ出演が大渋滞を起こしている。一部を紹介。
・不死鳥(フェニックス)
命尽きるたびに燃え上がり、灰から蘇生すると言われている有名な鳥。上述の通り、火炎放射器に使われた。
・ユニコーンの角
伝説の動物、一角獣の角。ホーナーは特に仔馬の角を大量に収集しており、クロスボウの矢に用いた。刺さった者はカラフルな紙風船と化し爆散する。
・空飛ぶ絨毯
読んで字の如く。詳しくは該当項目を参照。
・リリパットの船のボトルシップ
小人たちが乗った船が入ったボトルシップ。おそらく出典は『ガリバー旅行記』。保管されていたがカチコミに来たゴルディに叩き割られた。
・ミダス王の手
触れたものをなんでも黄金に変えてしまう魔法の手。主に自分をからかった奴の処刑に使っている。出典はギリシャ神話。
・水晶玉
遠い景色を監視することができる魔法の水晶玉。
様々なおとぎ話に登場するが、有名なのは『オズの魔法使い』。
・ベビーシッターバッグ
なんでも入るカバン。ドラえもん『メリーポピンズ』に登場する。ついでに空を飛ぶ傘もメリーポピンズが出典。
・かぼちゃの馬車
ホーナーの乗り物。言わずと知れた『シンデレラ』の魔法道具。
これを作り出した魔法の杖と、ガラスの靴もシンデレラが出典。ガラスの靴は捨てられた。
本来夢に溢れたデザインになるはずだったが、魔法が使えないホーナーがカボチャに魔法の杖をそのままぶっ刺したので巨大な戦車に変貌した。
・エクスカリバー
『王の剣』に登場する、王だけが引き抜ける伝説の剣。
当たり前と言うかホーナーには引き抜くことができなかったらしく、[[スクラビルド>ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム]]岩つきのまま。
シュレック3にはアーサー王が登場しているのだが、彼は困っていないだろうか。
・毒リンゴ
『白雪姫』でお馴染み。でも、それ爆弾じゃないんですけど……。
・魔法のお菓子
「EAT ME」と書かれたお菓子で、食べると体が大きくなる。『ふしぎの国のアリス』の魔法グッズ。
未使用だが小さくなる魔法の小瓶もセットについていた。
…世界の魔法や魔術に詳しいホーナーも、巨大化は負けフラグというジンクスは知らなかったらしい。
命のストックが尽きた方、ビッグ・ジャック・ホーナーにこき使われながら追記・修正をよろしくお願いいたします。
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▷ コメント欄
- 9つの命の件は都市伝説じゃなくて伝説や伝承の類だと思う。古代から伝わってる話だし -- 名無しさん (2023-04-02 20:41:29)
- ↑たぶんそれが正解っぽいので本文修正しやした -- 名無しさん (2023-04-02 20:45:53)
- トイストーリーといい、これといい老婆の入浴シーンを入れとけみたいなノリがあるんかな -- 名無しさん (2023-04-02 20:55:05)
- プス「猫には九つの命がある。私の好きな言葉です」 -- 名無しさん (2023-04-02 21:12:19)
- ↑プスの吹き替え、竹中直人氏から山本耕史氏に変わってて少々驚いた。 -- 名無しさん (2023-04-02 21:22:02)
- どつして「長ぐつをはいたネコと9つの命」のプス吹替が竹中直人さん続投にならなかったの本当に何ですか? バズ・ライトイヤー (演:ティム・アレン/声:所ジョージ) わかる バズ・ライトイヤー (演:クリス・エヴァンス/声:鈴木亮平) わかる プス/長ぐつをはいたネコ (演:アントニオ・バンデラス/声:竹中直人) わかる プス/長ぐつをはいたネコ (演:アントニオ・バンデラス/声:山本耕史) わからない 同じ名前の別世界の存在とかじゃなくて、同一人物かつ原語版で演じている声優も同じなのに日本語吹替版だけで声が変わってるの、なんなん? -- 名無しさん (2023-04-02 21:29:45)
- ↑ あれから20年経ってるから、そこそこに歌を歌いつつ声優をこなす、と言うのは相当キツいからでないか -- 名無しさん (2023-04-02 23:30:07)
- 熊ファミリーの長女がフローレンス・ピューなの、ミッドサマー繋がりなんだろうか…(It's a Bear!) -- 名無しさん (2023-04-03 09:41:24)
- 前作やシュレックシリーズより先に項目出来たのか。 -- 名無しさん (2023-04-03 15:32:16)
- 「長ぐつをはいたネコ」の記事はないの草 -- 名無しさん (2023-04-03 15:37:26)
- 案の定ウルフの造形に狂わされた視聴者が山のようにいるの草 -- 名無しさん (2023-04-04 02:58:09)
- ビッグ・ジャックはセリフ回しと吹き替えのおかげでユーモラスですらある -- 名無しさん (2023-04-04 18:54:56)
- あのドリームワークスオールスターのオープニングと最新CGのアクションは感動した -- 名無しさん (2023-04-04 19:01:01)
- 劇場放映も終わったようなので、頃合いを見て結末の折り畳みを解除し、願いの結末についてを追記しようかと思っております。(あと、文章捩れてるところとか公式の紹介から著しく離れてるとこをちょっとだけ差し戻したり修正したりしました。) -- 名無しさん (2023-05-22 12:01:39)
- ウルフがとにかく格好よくて -- 名無しさん (2023-06-08 22:26:30)
- この作品のプスもイカすとは思うが、自分にとって長靴をはいた猫と言えば東映アニメーションのペロをおいて他にはいない。リメイクとか続編とかないかなー…… -- 名無しさん (2023-06-08 22:28:16)
- ルール改定に伴い要約的とはいえない説明部分をいくらかカットしてみました -- 名無しさん (2023-06-28 23:08:12)
- やっぱ補助抜きでのオーバーウェイトなベンチプレスは危険なのかなぁ -- 名無しさん (2023-07-25 12:07:18)
- ↑バランス崩したら凶器がそのまま降ってくるからな -- 名無しさん (2023-10-21 16:05:04)
- 仮面ライダーゲンム1/10 -- 名無しさん (2023-10-21 16:11:26)
- キティも結婚式に行かなかったっていうのはプスの罪悪感を減らすためのキティの嘘だよな -- 名無しさん (2024-05-07 20:21:30)
#comment(striction)
*2 現実の熊も哺乳類で一番くらい嗅覚が優れた生き物である
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