南極。(小説)

ページ名:南極。_小説_

登録日:2012/01/21(土) 04:09:11
更新日:2023/08/10 Thu 14:55:37NEW!
所要時間:約 7 分で読めます



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小説 京極夏彦 ギャグ 南極 赤塚不二夫 腹筋崩壊 どうしてこうなった 難局 (人) (廉) 。 秋本治 古屋兎丸 消極的彦 京極メキシコ ナッチー京極 南極探検隊 帰ってきた南極探検隊 ナンセンス メタ展開



丸い肉塊に黒い縦筋が十数本。
その不気味な肉質が蛇腹のように縮んで、
にゅう、
と眉毛が八の字になった……






「わ・し」







◎南極。◎


『南極。』は京極夏彦の小説作品。
かのナンセンス・パロディ・メタ(ボリック)フィクション・ギャグ小説『どすこい。』の姉妹編。
『どすこい。』所収の『すべてがデブになる』にて誕生した四(五)流小説家・南極夏彦を中心(?)とした「南極探検隊」が不可思議かつ下らない事件(難局)に挑む姿を描く、メタフィクション・コメディである。


京極夏彦の小説作品の中でも、最も長期のインターバルを経て単行本化しており、97年から98年に第一期『南極探検隊』が集英社の「小説すばる」に『どすこい。』のスピンオフとして掲載された後に、07年に漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の30周年記念コラボとして執筆された『ぬらりひょんの褌』を経て、07年から08年に『帰ってきた南極探検隊』として掲載された「南極夏彦物」を一纏めにした連作集となっている。



※しっかし「南極夏彦物」ってなあ、なんだよ……。


……コホン。
08年に単行本『南極(人)』が、10年に新書版『南極(廉)』が刊行された後に11年に文庫版『南極。』として、いずれも集英社より発売されている。


前回の『どすこい。』以上に業界や小説、漫画の構造を逆手に取りつつ、激しいツッコミと冷静な分析を入れていくと云うスタイルが推し進められており、故・赤塚不二夫作品とのコラボにより誕生した最終話『巷説ギャグ物語』は笑えるだけでは無く、漫画と小説の根本的な違いや言われてみれば即納得の京極夏彦流ギャグ解析としても読めて必読レベル。
ファンなら当然、興味があるなら是非、興味が無いヤツは白塚フチオに撃ち殺されろってなもんである(※誰か解らない奴は本読め。文庫版出たばっかだから……2012年1月現在)。



ますます酷くなる著名作家の名前のパロディ化や、業界の恥部を暴き立てる狭く、薄ら寒い身内ネタのオンパレード!
前回のしりあがり寿に続き、半ば強引にキャラクターイラストを描かされた古屋兎丸や、チャット方式の自作自演にて演出された「南極夏彦インタビュー」等、見所満載!!


……何気に京極堂も出てるしねー。


えっ?肝心な小説の内容が見えてこない?
良いんだよ。
作者の真似して、わざと脱線させてたんだし、ギャグ小説だから、そもそも内容が無いし(内容は無いよう……何つって)。


小説のキャラクターなのに、公式に姿が決まるとか有り得ないしね南極夏彦。


……さて、いい加減に3ブロックも使って飽きたので、登場人物やらエピソードの解説に移りたいと思う。
これは、それだけの説明なのである。


……だから、怒らないでいただきたい。


謝るから(冥殿が)。




【エピソード】


■南極探検隊 海で乾いていろ!
作:消極的彦(京極夏彦)
画:山極なつひこ(京極夏彦)
※元ネタ『海は涸いていた』
作:白川道
山極なつひこは『こまわりくん』で知られる、山上たつひこ氏のパロディ。



■南極探検隊 宍道湖鮫
作:京極メキシコ(京極夏彦)
画:古屋兎丸(本物)
※元ネタ『新宿鮫』
作:大沢在昌
京極メキシコは「いいかげんなペンネームコンテスト」業界の部にて翻訳家・大森望さんの発案によるもの……らしい。



■南極探検隊 夜尿中
作:ナッチー京極(京極夏彦)
画:古屋兎丸
※元ネタ『夜光虫』
ナッチー京極は「適当な筆名大募集」一般の部の優秀作品。
当選者名は劇中にてキャラクター化している。
……もう一人の当選者名は……。



ぬらりひょんの褌
作:秋本治×京極夏彦
※『こちら葛飾区亀有公園前派出所』のコラボ企画。
以前に個別項目立てたので、詳細はそっち参照してね。
至る所に載りまくりだが、挙げ句にちょっとずつ違います。
違和感感じるのは作者の所為です。
ただのファンだから謝りません。



■帰ってきた南極探検隊 ガスノート
原作:京極夏彦(作)
漫画:古屋兎丸(イラスト)
※元ネタ『デスノート(DEATH NOTE)』
原作:大葉つぐみ
漫画:小畑健
約10年振りの復活が……これかよ。
死神は出ません。



■帰ってきた南極探検隊 探偵がリレーを……
作:京極夏彦
画:古屋兎丸
※元ネタ『探偵ガリレオ』
作:東野圭吾
「小説すばる」掲載作品としてはラストだが、シリーズとしてはまだ後があると云う微妙な立ち位置。



■帰ってきた南極探検隊 毒マッスル海胆ばーさん用米糠盗る
作:京極夏彦
画:古屋兎丸
※元ネタ『独白するユニバーサル横メルカトル』
作:平山夢明
単行本『南極(人)』用に書き下ろされた最終話……の筈なのに、最終話じゃないと云う微妙な作品(内容もね……この本に関しちゃ全部だが)。



■帰ってきた南極探検隊 巷説ギャグ物語
作:赤塚不二夫÷京極夏彦
※元ネタ『巷説百物語
作:本人。
時系列は最後だけど、書かれたのは前。
偉大なる赤塚ワールドを京極夏彦が解き明かす一大オマージュ。




【主要登場人物】


◆赤垣廉太郎
本シリーズの語り部で、実質的な主人公。
元オカルトライター上がりの冒険小説家で、椎塚の無茶な願いを聞いてしまって以降、強制的にバカ騒ぎに巻き込まれてしまっている。
小説家としての実績を上げても、周囲の評価は絶対に上がらない。



◆椎塚有美子
枢英社のエンターテインメント文芸誌(中間小説誌)「小説シュバル」の美人編集員。
年齢は不明。
てか禁句。
痩せ形で、鎖骨に「肺病持ちの夜鷹の如く色気」を持つが、極めて凶暴……つか作中最強。
南極夏彦の担当であり、それ故に檜舞台へのチャンスを潰すが、約10年後には編集長にまで出世していた。
ウチャリ山での騒動の後に、何とか痩せていたららしい。
丸顔の同僚の寺坂やイケメン神崎も健在。



◆片岡太
アニメ好きのキモヲタにして、特撮マニア。
奴だけは前作『すべてがデブになる』のウチャリ山での騒動に巻き込まれていないのにやっぱり太ったままだった……。
本作では狂言回しを務める、便利で陽気で動けるデブ。



◆祝田
『帰ってきた南極探検隊』での椎塚の部下。
メガネと伸びた鼻の下以外に特徴が生まれていない新キャラだが、赤塚ギャグワールドにまで出張している。



◆中大岡百太郎
廉太郎の古い知人で、業界に名だたる心霊研究家……つまりはただのインチキ親父。
名前の由来は「あなたの知らない世界」で有名なあの人とか「心霊写真」の本で有名なあの人とか、つのだ☆ヒロの兄貴の漫画で有名なあのキャラクターとかその辺。



◆大盛望
古屋兎丸の描くテンプレ的な美少女イラストみたいな、美少女女子校生(この一節で古屋兎丸がイラストを引き受ける事になった)。
名前は前述の大森望氏に、見た目は古屋兎丸のイラストに準じる。
本作最大の問題人物。
10年後の新シリーズでは……。
それに伴い、バカっぽい喋り方は素から演出に切り替えられた(作中の都合上)。




◆南極夏彦
通称:簾禿げ。
本名:山田鮫太郎
ただし、本名は『宍道湖鮫』の際に適当に付けられたので作者も忘れてしまっていた(『新宿鮫』知ってる人は笑えるよね、ね!?)。
業界の底辺に位置する、チビで不細工で才能の欠片も無いダメ親父。
……その癖に、古屋兎丸、秋本治、赤塚不二夫(!)各氏にイラストに起こされると云う、京極堂も御行の又市も成し得ていない快挙に預かった愛すべきバカ。
……主役じゃ無いのかって?
出オチが全てのバカには主役は務まりまへん。













……以上、長々と講釈を垂れて来たようですけど、結局の所は何が何だかわかりませんよね?
結局、ネタとか何とか言いながら本質が見抜けていないから長文を駆使しても書評一つ書けないのですわ。
じゃあキモヲタの皆さんに、素敵な追記修正を……と言いたい所ですけど、こんなに文章が長いとお気持ちもお萎えになって、せいぜいタグをいじるしかしたくならないでしょう?
いいんですわ、そう仕向けたのは私なんですから……許してね、と。






椎塚「お、おのれ北極星〜!!」


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