デュカーリ(ウォーハンマー40K)

ページ名:デュカーリ_ウォーハンマー40K_

登録日:2020/10/10 (土) 17:00:21
更新日:2024/05/23 Thu 10:37:13NEW!
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「悲鳴、慟哭、咆哮、絶叫。何たる美!何たる響きであることか!悲嘆の一つ一つが愉快に直結する。涙の一つ一つが生の証となる。もっとだ、もっと楽しませてくれ!!」


陰謀団〈黒き心臓〉のアーコン「コルズ・ヴレックス」



画像出典: コデックス「デュカーリ」(codex:DRUKHARI)第8版 P4,P5 イラストより




デュカーリとは、ウォーハンマー40Kに登場する異種族(宇宙人)の一つで、アエルダリ族で構成された勢力である。
他種族から奴隷や資源を奪って生き永らえている種族であり、その高度な科学力と残酷なる拷問術と戦闘能力で歓喜に酔いしれながら略奪と殺戮に明け暮れる。


概要


彼らの祖先は元々はアエルダリ古王国の住人であり、アエルダリ族がその退廃と堕落を極めたらどうなるかを我々に教えてくれる。アエルダリ古王国は種族の退廃と堕落によって招いた〈失墜〉の際〈方舟〉(クラフトワールド)ではなく、〈歪み〉を利用したワープ通路「ウェブウェイ」(網辻)奥深くにある大都市「コモラフ」に逃げ込んでいき、自らの過ちを悔やまずにそのままさらに堕落していった古代アエルダリ族の子孫なのである。
渾沌の神々の一柱である「スラーネッシュ神」誕生時の衝撃にも耐え抜いたなアエルダリ族であり、宇宙海賊をしながら他種族の痛みを生きるための活力としており、奴隷を拷問して生命力を漲らせる極悪非道なる種族なのである。その性質は残虐かつサディスティック(希にマゾヒスティック)。
相手の苦しみを生で感じられる接近戦を好む。ほとんどのテクノロジーがクラフトワールドのアエルダリのものと類似した高度な兵器を所持しており、敵に回せばアエルダリ同様に苦戦を強いられる。
デュカーリの社会には複数のギャング組織で構成され、それらをまとめる貴族階級による支配体制が確立されている。ギャング組織同士での対立も珍しく無く、常に成り上がりを狙おうとするもの同士の抗争が後を絶たない。
また、元々同じ種族であるクラフトワールドの各勢力とも友好関係を結んでいる場合もあり、お互いの目的が一致していれば同盟軍を組んで戦うこともある。


画像出典: コデックス「デュカーリ」(codex:DRUKHARI)第8版 P48,P49 イラストより



ゲーム上の特徴


スピードと火力に特化しており、展開速度は他の追随を許さない。しかし防御は紙で脆い。毒武器を使いこなすのでモンスター相手には有利。
同種族のクラフトワールド、ハーレクィンと混成してアーミを組める。
更にクスリを使ったステータス強化も可能。いいからドーピングだ!



画像出典: コデックス「デュカーリ」(codex:DRUKHARI)第8版 P3 写真より


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種族の特徴


【概要】
身体的な特徴はアエルダリと基本的に変わらなく丈高く細身な身体を持ち、身のこなしは優雅であり、生まれつきの敏捷さ膂力、鋭い五感を備えている。しかし、デュカーリには独自に変化した要素を持っている。
肌はクラフトワールドのアエルダリたちと比べて薄い色の肌を持つ。日光が薄いコモラフで長期間過ごしている影響で肌の色も薄くなっているのである。
彼らの身体能力と反射神経はクラフトワールドのアエルダリを凌駕おり、素早い身のこなしで敵を翻弄することなど造作もなく行える。更に彼らは優れた視覚を持っており、夜の暗闇でも視界が遮られることはないのだ。
デュカーリの種族は他のアエルダリと同様に長寿であるが、邪悪な手法によってその限界をさらに引き伸ばしている。そしてその長き寿命と鋭い知性の全てを、退廃し切った妄念を満たすためにのみ使うのだ。
しかし、彼らは元々使用できるサイキック能力に関しては、使用することを禁止している。デュカーリ族ではサイキック能力は禁忌とされており、もし使用すればかの「スラーネッシュ神」の感心を引いてしまい、渾沌の悪魔による襲撃が来る可能性が高くなってしまう。
そのため、彼らはサイキック能力に頼らないように日々を過ごしているのである。
【魂の渇き】
また、デュカーリは時間がたつにつれ魂の「渇き」に苦しんでしまう。「渇き」を癒すには他者の魂を絶えず飲み続ける必要があるからだ。
その原因はスラーネッシュ神から常に自らの魂を絶えずすすり続けられてしまうと言われている。原因が何にせよ、彼らにとっては魂の渇きは死活問題となっている。
そのため、出来るだけ敵は殺さずに捕虜として拷問をかけることがデュカーリの間では推奨されている。拷問で苦しんでいる捕虜からは魂を飲み続けることが出来るため、異種族を拉致してコモラフにある拷問施設で魂の渇きを癒すのだ。
また、他人の魂をすすり取ることで、老化を逆行させる若返りの効果を持っており、これによってデュカーリは死後にその魂をスラーネッシュに喰われないようにしている。彼らは自分の魂が生き長らえるならどんな手段でも躊躇せずに行使するだろう。
【永劫なる循環】
デュカーリには人腹生まれの「トゥルーボーン」と人工子宮生まれの「ハーフボーン」という二種類の出自が存在する。アエルダリ種族の妊娠期間は非常に長いため、デュカーリは人工的に育成されることがきわめて一般的となっている。
この過程は、ハモンキュラスの管理下に置かれた繁殖壁のハニカム構造の一室に設けられた羊膜チューブ内に受精卵を設置する事によって実行される。何千年もの前に開発された、まるでおぞましい昆虫を思わせる科学技術の応用により、チューブ内での胚の成長を超加速させることが可能となった。
新たに胎児レベルまで成長させられたデュカーリは、蛹状の袋の中で栄養液の霧雨を浴びつつ蠢き続け、やがて時至れば、ラックの担当者によって回収される。こうして誕生する「ハーフボーン」を、「トゥルーボーン」を僭称するデュカーリたちとは本質的に劣る存在と信じ、侮蔑の対象としている。



画像出典:「ウォーハンマ40K ルールブック第4版」 P144 イラストより


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戦闘教条


【概要】
コモラフの様々な勢力や組織が泡沫のような同盟を組んだ時、デュカーリの襲撃部隊が結成され「現実宇宙襲撃」(リアルスペース・レイド)が開始される。銀河中に張り巡らされたワープトンネルである〈網辻〉を利用し、敵の船や惑星に奇襲をかける。
出撃してゆくこれらの部隊は、惑星や宇宙基地や、宇宙艦隊や、その他あらゆるものを襲撃するが、その標的は常に知性を持つ存在だ。外装に刃を装備した輸送機に乗り込む彼らの常套手段は空からの襲撃で、なんも前触れもなく天から舞い降りると、混乱と恐怖に乗じて破滅の惨劇の幕が上がる。
デュカーリの科学力はあまりにも進歩しているため、まるで魔術じみた振る舞いで戦場を蹂躙する。彼らの炸裂銃は結晶化した無数の破片を飛ばし、その一つ一つが合成毒を帯びている。
デュカーリたちの所持している武器は〈帝国〉の科学力では全く理解の及ばぬもの多く所持している。異様に飾り付け、獲物の死骸をぶら下げた巨船が天より到来すると、闇の光線を放ち、悪夢のような異界のエネルギーと共に精神を蝕む力場を形成する。
強化手術を受けた傭兵や拷問者たちがまたたくポータルから飛び出してくると、獲物たちは恐怖に震えて逃げ惑うが、物陰の闇そのものから悪夢のような怪物が這い出してくる。かつてアエルダリ族が持っていた強力なサイキック能力を放棄する運命を強制された代わりに、デュカーリは肉体的な卓越さを得ている。
それ故に、彼らは速攻戦術に全てを賭けている。デュカーリはしばしば日没とともに襲いかかるが、時に彼らの奇怪なテクノロジーによって、人工的な夜を生み出すことさえある。
暗闇こそは最も根源的な恐怖をもたらすものだからだ。相手は何もわけのわからないまま襲われ、デュカーリの軍勢はすばやく敵の軍勢を葬り去るのである。
彼らに襲われた地では無慈悲な殺戮の惨劇が幕を閉じると、わずかに生き残った者たちをとらえてコモラフへと連れ去る。
【苦痛と至福の刻】
多くの場合、デュカーリたちの物質世界へ行う襲撃の主な目的は奴隷狩りだ。それこそがデュカーリの社会を回転させる燃料に他ならないからだ。
〈仄暗き都〉コモラフのへと連れてこられた不幸な虜囚たちを待っているのは、悲惨な運命のみだ。ある者は巨大な闘技場に放り込まれて数千の観客が見守る中で娯楽として狩り立てられ、またある者は、邪悪な手術あるいは毒物のための実験体にされ、その他デュカーリを楽しませるあらゆる苦痛の供給者となる。
しかし、その中でも主な虜囚の使い道として挙げられるのは、デュカーリが悩まされている魂の渇きを癒すことにあるだろう。不幸なる虜囚は、数千年の時をかけて磨かれた拷問術で捕虜は心身共にずたずたに引き裂かれた後、その弱った魂を彼らから吸い取られてしまい、彼らの寿命を延ばす燃料とされてしまうのだ。
【苦痛は生きる糧なり】
デュカーリはその他の目的を持つ襲撃を行うこともある。例えば恨みがある同族への復讐や、芸術的な殺戮を達成する目的のほか、彼らのいとこでもあるクラフトワールドのアエルダリたちから秘宝を奪うことなどだ。
特にこの最後の目的のためには、コモラフの多くの住人が糾合されることもある。全てのデュカーリは、何かに苦痛を与えたいという本能的な欲求を持っており、常にそれを満たす機会をうかがっている。
そして銀河の他の種族が手短にいないならば、コモラフの同族たちでお事は足りるのだ。



画像出典: コデックス「デュカーリ」(codex:DRUKHARI)第8版 P15 イラストより


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コモラフ


【概要】
デュカーリの拠点となる暗黒の都市。〈仄暗き都〉とも呼ばれており、その場所は銀河に張り巡らされたワープトンネル〈網辻〉の奥深くに存在する。
捕虜となり、この影の都市に連れてこられた人間は、周囲の摩訶不思議な光景を理解する事さえできない。都市には数え切れない程の尖塔や摩天楼が建ち並び、居住区や宇宙港、ウイッチの闘技場、ハモンキュラスの研究所などの不気味な建造物が軒を連ねる。
薄暗い尖塔が迷宮を成し、スラム街を人影がぞろぞろ行き交い、宇宙港があり、闘技場からは捕虜たちの苦痛と獣の咆哮が轟き、何層にも掘血抜かれた地下牢などがあるが、それらの全てが奇妙に重なり合っているのだ。コモラフには隷属している都市がいくつも存在し、次元門によって都市の間を移動することが可能となっている。
またコモラフの人口は〈方舟〉に乗り込んだ、デュカーリとは大違いの潔癖なる同族であるアシュルヤーニたちの数よりも遥かに多いと言われている。
【三層の都市】
コモラフの都市は三層構造になっており、エリート層が住まう山脈の如き高さを誇る摩天楼の上層部都市は、貴族らが住居の壮麗さを競い合う。悪趣味な上層部から少し下った中層部には、寄り集まった武器工場、研究所、衛星規模の宇宙港、より下位の貴族たちの居城、捻じれて伸びる空中道路などがひしめき、陰鬱なる神殿や闘技場などを見る事もできる。
さらにその下には貧困層が住まう沼地のようなスラム街があり、そこでは街路が至るところで行き止まりになり、掘っ立て小屋の中に恐ろしい捕食者が潜んでいる。下層の建物の外壁には果実が実り腐ったような研究所が張り付き、そこは肉体改造者や神秘論理学者の居室となっている。
また、都市全体は渾沌から身を守る防護フィールドで覆われており、渾沌の悪魔からの襲撃にも耐えぬくよう備えられている。そしてこの都市は時間も空間も歪曲した〈網辻〉の中のみで存在可能な都市であり、何よりも結晶性の菌類に似て、この異次元の広がりの中に蔓延っているのである。
まさにこのコモラフはデュカーリの尊大さによる長年の野望によって拡張された都市であるが、時にその尊大さによって破滅の痕跡を見て取る事もできる。例えば、「カインズゲート」と呼ばれる亀裂が存在し、その奥からは〈歪み〉の怪物がコモラフに向かってあふれ出てくるという。
【都市の環境】
この都市には本来上下の概念は無いが、重力を操る技術を持ってる彼らにとっては造作もなく建物に重力を発生させることも可能だ。そして、〈仄暗き都〉には最初から太陽のような光源は存在しない。
コモラフに降り注ぐ陽光とエネルギーは物質世界に存在する恒星から奪い取っており、恒星から大都市のエネルギーと弱々しい陽光を取り込んでいるのだ。この都市には惑星そのものが取り込まれていることもあり、また艦船が引きずり込まれて解体され、乗員が捕らえられることもあるという。



画像出典: コデックス「デュカーリ」(codex:DRUKHARI)第8版 P12 イラストより


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デュカーリの起源

「銀河の戦場は、闘技場とほぼ同等のスリルを与えてくれるが、いくつかの脚色が必要だ。相応な観客がいなければ、犠牲者が私の武技をしっかりと目の当たりにしていることがわかるように、犠牲者の瞼を切り落とさなければならない。そして気が済んだとき、私は避けた肉の波打つ、濡れた拍手喝采で満足しなければならない。」

魔女団〈赤き慟哭〉のウィッチ、レスプティア・ザ・レイザー


【概要】
第41千年紀(西暦40000年代)から1万年前以上もの昔、銀河全域を支配していたアエルダリ族の王国は恐るべき災厄の中で崩壊した。この未曾有の大破局を生き延びた者たちは宇宙の各地に散らばり、様々な道をたどりながら必死で生き延びようとした。
デュカーリもその一派だが、その選んだ道はひときわに暗い修羅の道だ。彼らはかつて種族が持っていた退廃を捨てずに磨き上げることで、生存のための手段としたのだ。
【〈帝国〉におけるアエルダリの知識】
異種族に関する知識は〈人類の帝国〉においては最上級の機密に属する。総人口数兆に達する人類の中でも、アエルダリ族の歴史を知る者はごくわずかしかいない。
その多くが、異種族の撲滅と調査に長けた〈純血の団〉(オルド・ゼノス)に所属する異端審問官だ。この組織に属する者の中には、アエルダリの情報提供者からなにがしらの信頼を勝ち得、この種族の失墜に関しての物語を聞かされた者もいる。
全てを疑う異端審問官たちの中には、これらの物語を虚偽であるとみなしたり、神話や逸話であると考える者も多い。しかしこれらの物語は、様々な異なる道をたどるアエルダリたちでさえ、例外なく学ぶものだ。
それは思い上がりと裏切りの物語、弱さをうち捨てようとした者たちの物語だ。
【繁栄の時代】
かつてのアエルダリ古王国は銀河で最も栄え、様々な神を信奉し、最高の科学力を誇っていた。第41千年紀から何百万年もの昔の話だ。
その当時、異種族「ネクロン」と超文明を誇る種族〈旧き者〉の間で起こった〈天界の戦争〉で、アエルダリ族は〈旧き者〉の側で戦い、遂に宿敵であるネクロン打ち倒したのだ。〈旧き者〉はネクロンによって滅ぼされてしまったが、それに代わって銀河の覇権を握ったのはアエルダリ族であった。
その科学力を用い、彼らは惑星を造り上げることも、恒星を消滅させることも簡単にできた。彼らの持つ異能力(サイキック)の力は無限の可能性を持ち、彼らこそが上位存在であることを否定できる種族などどこにもいなかった。
科学技術を極めたアエルダリにとってもはや労働の必要性は存在せず、彼らはその一生を遊んで暮らすことも、その深い知性が求めるままのあらゆる探求へと振り向ける事もできた。銀河中に張り巡らされたワープ通路〈網辻〉を駆使し、彼らは星々を気ままに旅し、一瞬で銀河の反対側までも移動ができたのだ。
そしてアエルダリ族は欲望を追い求めるだけの社会となっていった結果、神々の信仰や風習を忘れていき、異様でかつ絢憐たる探求に耽るのであった。
【堕落の影】
アエルダリの長きに渡る人生は、彼らを遥かな高み、究極を目指す探求を望ませた。なぜなら彼らは、己の能力の限界を試したいと望んでいるのである。
この種族においては、思索も情緒も、天井の恍愡に至ることもあれば奈落の絶望に落ち込むこともあり、その至福、その苦悶は人類には決して理解できない。そしてこの高慢な種族の中には、自分たちが道徳を超越したと考える者が出はじめた。
多くのアエルダリの惑星で、喜びと痛みを信奉するカルト教団が生まれた。これらの集いでは野放図なまでの科学力がただ快楽のために費やされ、全銀河から集められ生成された様々な麻薬が供された。
【未知なる次元へ】
アエルダリは彼らの版図をさらに拡大していった。銀河のより辺境の惑星を開拓してゆくだけでなく、彼らは〈旧き者〉が作り出したワープトンネル〈網辻〉の中をさらに探索した。
謎めいて複雑な、交差する次元の狭間に、拠点となる都市がいくつも生まれ、多数の宇宙港も築かれていった。これらの住人の中に、悦楽の教団の信奉者もいた。
彼らの中にはアエルダリの貴族階級に所属する者たちが多く含まれ、これらの者たちは放埓なる儀式を人目を避けて行う必要性から、次元交差のより奥へと身を潜めてゆく傾向にあった。
これらの入り組んだ居住区の中で、人身と文物を売買する闇取引が行われ始め、密かに広まっていった。
【コモラフの誕生】
〈網辻〉の中に築かれた宇宙港のうち最大のものは「コモラフ」と呼ばれる宇宙港であった。その地が接続するポータルの数は他の港を圧倒し、これによってコモラフは強力な自治権を獲得していた。
コモラフは自由都市であり、あらゆる相手と取引し、アエルダリの帝国そのものでさえそれに口をはさむことはできなかったのだ。これによってコモラフはますます巨大になり、それと同時に不法者の巣窟となり、口にされるべきでない悪徳のメッカとなったのである。
悦楽のカルトがさらに数を増やし、それを主導する貴人たちはますます力をつけていった。彼ら彼女らはコモラフの市場から莫大な富を得ると同時に、交易品と共にその悪徳をも輸出した。
【邪神の胎動】
種族として異能者(サイカ―)であるアエルダリの魂は、現世の映し世である空間〈歪み〉の中では燃えるように輝く。強い感情が実質的な存在となるその異空間で、目を焼くほどに高く飛び、押し潰すほどに下ってくアエルダリの感性そのものが、ある時より集まってこごりはじめたのだ。
〈歪み〉の時空の中に、苦痛と歓喜が誰にも気付かれる事なく広がっていった。〈歪み〉の満ち引きが激しくなり、その高まりの中に究極の感情からなる渦ができた。
そこに絶えず注ぎ込まれるのは、アエルダリの喜怒哀楽なのだった。彼らの感覚の全てが一つに融合した時、逸脱が形を成した。
その意思は待つことを知っており、少しづつ育ちながら、アエルダリの情動を放埓に喰らいつつ夢を見た。夢はアエルダリたちへと届き、その社会は底なしの退廃に向かって堕落していった。
【〈失墜〉】
アエルダリの帝国にはもはや狂気が渦巻、脅迫的な概念が充満していたが、中には訪れる文明の破滅を予見している者たちがいた。その中で最初に行動を開始したのは離脱主義者たちだった。
彼ら「エクソダイト」は退廃する都市を離れ、より辺境の星々へ向かうことで、アエルダリの文化に広がる享楽と逸脱の罠から距離を置いた。また禁欲的純粋主義者たちは、多大なサイキックを駆使した想像を絶する皇帝によって惑星ほどもあるサイズの巨大な宇宙船を作り、ひとつの国ほどもの人数を乗せて宇宙空間の深遠へと旅だった。
これらこそが、現在〈方舟〉(クラフトワールド)またはアシュルヤーニと呼ばれている勢力であり、それに乗り込んだ者たちの中には数多くの「先見司」(ファーシーア)が含まれていた。これらの者たちは、時間流の先に恐るべき悲劇的恐怖が待つと警告したのだが、社会から冷笑されかまたは顧みられなかったのだ。
そしてまた先見者の中にさえ、旅立つ船に乗ることなく、麻薬的な快楽の教えに頭を垂れてしまった者すらいたのである。しかしアエルダリの世俗から脱出した者たちは、脅威を感じ警告を発していたものたちでもあり、これらがいなくなることでアエルダリの社会はますます歯止めを失ってしまった。
文明の終末が近づき、彼らの都市のある街路は流血に染まった。快楽の絶頂と際限なき暴力が星々の規模で脈動し、美と罪が頂点を極めた。
俗世のアエルダリたちは我を忘れ、互いに掴みかかって引き裂き合った。まことにこの種族は、無数の年月を経て退廃に退廃を重ね、遂にこの怪奇なる醜状をこの世にもたらしたのである。


1~7の数字もしくはsmallなどで指定してください。


渾沌の神「スラーネッシュ」、逸脱せし闇の御子が撹拌する〈歪み〉の中で上げた産声は、物理空間そのものを打ち砕きながら響いた。


それは歓喜に満ちたサイキックの絶叫であり、〈歪み〉と三次元宇宙を隔てる帳をやすやすと引き裂いた。アエルダリの帝国の中枢を成していた何百もの星系が粉々に砕け、広がる波動はさらに無数の星々を呑み込んでいった。
銀河史上最大の〈歪みの嵐〉(ワープストーム)が発生し、狂気の擾乱は何千光年のも彼方にまで広がった。スラーネッシュが産まれしその座標こそ、後に人類が〈恐怖の眼〉(アイ・オヴ・テラー)と名付けた場所なのである。
そこは物質世界と悪夢が住まう〈渾沌の領域〉を繋ぐ宙域であり、現在ケイオススペースマリーンの大逆兵団が根城としている拠点でもある。狂気の産声を上げたスラーネッシュはその誕生の最初の一呼吸で、アエルダリ種族のほぼすべての魂を吸い込んでしまった。
何十億、何百億もの魂の苦悶を、貪婪な渇きのままに飲み干したのだ。それは極限の感覚すら味わえるアエルダリの精神からなる、究極の苦痛の精髄だった。
【滅亡から逃れし生存者】
ごくわずかなアエルダリのみがこの運命を逃れた。離脱主義者、すなわち〈方舟〉に乗り込んだアエルダリたちは居住惑星を持たず、ひたすら銀河をさまよい続けながら戦う運命となった。
しかしこれらとて、生き延びたのはスラーネッシュから十分に遠ざかることができていた者たちであり、他は滅んでしまった。アエルダリは、彼らの神々さえそのほとんどがスラーネッシュに喰われてしまったと信じている。
かくしてアエルダリ古王国は永遠に失われ、この種族は生き延びるための必死の闘争を今日までも続けているのだ。
【省みぬ者たち】
現実宇宙でスラーネッシュ神が誕生したその一方で〈網辻〉は、その影響によって多大な被害を受けた。数多くの枝道が押しつぶされたち引き裂かれたりし、破綻した箇所からは渾沌のエッセンスが流入して、その後に飢えたケイオスディーモンが続いた。
しかし無事に残った次元や接続は少なくはなく、特にコモラフは外部からの侵入を受けなかった。厳重な「サイコクリスタル」の防衛機構が、破損や汚染の被害を受けた通路からコモラフを遮断したのだ。
こういった防御が不足していた他の都市は消滅してしまい、どうなったのかもわからない。こうして、奇妙な〈網辻〉の性質に守られ、コモラフの住人はスラーネッシュの生誕による厄災を生き延びた。
そして彼らはその本来の傲岸さにより、その不品行と利己性を悔い改めることなど考えようともしなかった。彼らはもちろん合理的な推論によって、この大異変の原因が彼ら自身にある事に気が付いたはずだ。
しかし反省、恥辱、贖罪といった観念は彼らに縁のないものであり、彼らが求めるのは力を得、野心を満たすことだけだった。
【恐るべき呪い】
もしこの異次元の湾岸都市の住人が自分たちは災いを切り抜けたと考えたなら、渾沌の神はその大いなる飢えを満たしたはずだと考えたなら、それは大いなる過ちというものだった。スラーネッシュの底抜けの食欲は波動となって時空に広がり、コモラフで生き延びたアエルダリたちはその影響を気付かず受け続けていたのだ。
彼らの種族は〈失墜〉したのであり、彼らは決してその例外ではなかったことが、やがて明らかになった。コモラフに住むアエルダリたちは大口を開けた渾沌の神によってその精神を一飲みにされる代わりに、魂を少しづつ吸い取られていた。
彼らの魂は雫となって〈歪み〉へとこぼれ落ち、スラーネッシュが喜んでそれを舐め取っていく。彼らの種族に取りついたこのおぞましき渾沌の神であるスラーネッシュを、アエルダリたちはふさわしくも、〈渇きたる淫婦〉という異名で呼称した。
【死への恐怖】
彼らの種族の生き残りは何よりもスラーネッシュを恐れる。この欲望の神は彼らの秘められた望みより生まれたものであり、次元の帳の向こうで彼らを食わんと待ち受けている。
アエルダリたちは死を恐れるが、それは他の種族が持つ死への恐れとは異なっている。彼らの強いサイキック能力によって、死後もその精神を保たせる。
そして彼らの信仰によれば、これらの魂はアエルダリたちの神々のもとへと赴くはずであった。しかしいまや、そこに待ち受けるのはスラーネッシュなのだ。
自らの魂が意識を持ったままスラーネッシュ神に喰われてしまうことは、アエルダリたちにとっては最大の恐怖であることに他ならない。よってこの運命を回避する術を、アエルダリたちは一つならず発見した。
コモラフに住まうアエルダリ、すなわち「デュカーリ」と成り果てて、苦痛に満ちた魂の漏出を抱える者たちが見つけたのは、苦しみを受けるのは他の者でもよいという事実だった。
【魂の負債】
かくしてデュカーリとなった者たちは、長年にわたり多くの相手を襲っている。対象はアエルダリであってもなくてもよいが、意識を持つ生物でなければならない。
彼らは与える痛みと恐怖を可能な限り引き伸ばし、被害者の苦悶を味わうことで、自らの衰え行く魂を満たすのだ。これがデュカーリの起源である。
いまやコモラフには絶えず虜囚が運び込まれ、悪夢のような熱意のもとで苛まれる。彼らは加虐趣味の寄生種族であり、口にすることも樿られる残虐行為に手を染めることでのみ空虚な魂を長らえさせることができる。
彼らは進歩した科学技術を駆使し、苦痛をもたらす新たな手段を常に模索している。彼らが抱えているのはいわば魂の負債であり、その取立人こそ〈渇きたる淫婦〉ことスラーネッシュなのだ。
尊大で自信過剰な彼らは、他の種族全て、他のアエルダリすら含めて弱く劣った存在として見下している。デュカーリにとっては、他の種族はただの資源であり財産であって、それらを苦しめるのも、必要に応じて消費するのも彼らの自由なのだ。
【美味なる苦悶】
他の種族が料理を味わうように、デュカーリは苦悶を味わう。ある意味では、彼らは栄養すらそこから得ている。
それなしには、彼らの魂は痩せ細っていくのだ。しかしこの呪いは決して彼らを満足させない。
スラーネッシュの募りゆく飢えはデュカーリの魂に爪を立て、その欲望を掻き立てる。どれほどの美味なる恐怖も、荘厳にして神経を引き裂くような痛みも、デュカーリたちを喜ばせるのはほんのわずかな時間だけだ。
彼らの魂そのものが救いようもなく病んでいるのであり、デュカーリは常に破滅へと転げ落ち続け、彼らを待つのはただ際限のない堕落なのだ。他者の苦痛を味わえぬ期間が長引くと、デュカーリの精神は惨めなほどに衰退してゆく。
かつての尊大さは見る影もなくなり、何とかして破滅を避けようと震えながら目を血走らせ、肉体すらも痩せ細る。こうなってしまった者は、他のデュカーリの格好の餌食となる運命だ。
一方で、繊細にして希少なる優れた苦痛を味わったばかりのデュカーリは冷たい活力のオーラに包まれる。倦んでいた瞳には邪悪な輝きが戻り、その魂は超自然のエネルギーに満ちている。
【終わりなき堕落】
デュカーリの物質世界への襲撃はかつてなく増加している。かの〈仄暗き都〉コモラフは存在し続けるために絶えず生贄を必要とするのだ。
そして無数の快楽のカルト、様々な組織、密約を交わした集団が、力と支配を求めて相争い続ける。略奪の艦隊は銀河全域に姿を見せ、何百万のも捕虜を毎日のようにコモラフへと運び込む。
虜囚たちが、時にはその苦痛そのものが商品として取引されるこの街は、絶対の悪が花開く悪徳の都なのだ。今日に至るまで、コモラフは宇宙に邪悪を撒き続けている。
デュカーリは薄暗いポータルから出撃し、その捕虜となった者を待つのは身の毛もよだつ運命だ。様々な文明において、多くの神話や伝説が闇よりの狩人のことを語っている。
身は細く、手にした鉤は邪悪に曲がり、その笑みは常に飢えている。幸運な者はそれらに触れられただけで死んでしまうが、そうでない者は拐われてゆく。


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組織の構造

“我らはいかなる場にも如何なる時にも在り。我ら明白なる真実を語る虚言家なり。我らコモラフにて行われし行為全てに関与せり。面して、我らその全てに手を下さず。我ら全てを知れども無知を主張せり。我ら汝の酒に注がれし毒なり。我ら、汝を常に苛み、嘲笑を贈る者なり。されど我ら、信に答えし戦士にして、いかなる時も救いの手を差し伸べ、悲哀を聴聞せし者なり。”
“我ら、毒の舌の陰謀団・・・なのか?そうであろうか・・・?”

アーコン、クルール・カタレン


【概要】
デュカーリの軍勢は3つのカテゴリーに分類され、主に「陰謀団」(カバル)、「魔女団」(ウィッチカルト)、「盟約団」(ハモンキュラス・コヴン)に分かれている。


陰謀団(カバル)


【概要】
〈網辻〉(ウェブウェイ)を利用して略奪を行うデュカーリの主戦力軍勢。「アーコン」と呼ばれるコモラフの貴族によって軍が率いられ、〈物質世界〉の惑星に襲撃や略奪を行う。コモラフは、宇宙海賊や貴族の私兵、犯罪者集団など、各種の陰謀団が存在し、それを構成するのは様々なサディスト、奴隷商人、拷問者、殺人者、盗賊などだ。
陰謀団同士は常に抗争が絶えず、その協力関係及び敵対関係は網の目のように広がりつつ常に変動して、本質的に弱肉強食であるコモラフの社会情勢を形成している。陰謀団が行う外宇宙の略奪によって、彼らの社会に必要不可欠である奴隷の大半が供給されている。
最小の陰謀団でさえそれを構成するデュカーリは数百に達し、秘密の本拠地と多数の隠れ家を所有している。最大の陰謀団の構成員は数百万に達し、コモラフに巨大な領土を持つ。
組織内では常に成り上がりを狙う「カバライト・ウォーリア」や、他の組織(魔女団、インキュバス等)からの傭兵などで構成されており、メンバー同士でも対立や抗争が絶えない。
皆、最も権力を渇望し、最も他者の苦痛に飢えている。各構成員は、戦闘の傷跡にまみれた上かみコモラフの無数の広間で恐るべき名声をあげることを望み、傭兵戦士としての自らの力を証明しようとするだろう。
下剋上が耐えない毒蟲の壷といっても差し支えない大規模な陰謀団は絶えず物質世界を略奪する事で、銀河そのものへの脅威となっている。
【無法なる秩序】
危険に満ちたコモラフの社会では、強力な力を得ようという野心を持つ者、つまり一般的なデュカーリは容易く敵を作ってしまうし、誰からもにらまれるようになる。無論そんな状態ではだれも長生きはできず、野望を果たし力を得るなど事実上不可能だ。
これこそ、多くのデュカーリが陰謀団に所属しようとする理由である。加入するための試験は命懸けで、競争率はシビアだが、陰謀団に入ることにはそれだけの価値がある。そこでは最低限の安全が約束され、出世の道も存在するからだ。
陰謀団に所属する者への攻撃は陰謀団そのものの攻撃とみなされる。このため陰謀団は互いへの刺激を控え、社会には最低限の秩序が生まれるのだ。
とはいえ、陰謀団が十分に巨大になった場合には、抗争をためらわなくなることもある。そしてもちろん、他の陰謀団に所属する特定の個人をどうしても取り除きたいなら、ばれぬように暗殺する手段があるし、また殺すよりも社会的に抹殺する方が望ましいという場合もある。
全ての陰謀団は、水面下において互いへの工作活動を絶えず繰り広げている。
【絶えぬ抗争】
陰謀団には常に入団希望者が絶えず、その数が減ることはまずない。また、その構成員の多くは外の宇宙への略奪に行っているのが常だ。
そして陰謀団の本拠には多数の脱出経路があり、予備の本拠も用意されている。すなわち、ある陰謀団を襲って全滅させること言うことはおよそ不可能事だ。
加えて、本当にそんなことを試みるならば、連鎖反応的に続く抗争によってコモラフ全土に内戦を引き起こす覚悟が要るだろう。もしも、一つの陰謀団を消滅させる力を持つ者がいるとしたら、それは「アズドゥルバエル・ヴェクト」だ。
だが彼は、陰謀団が相争う現状に満足している。それが競争原理によってコモラフをより強くしていくと考えているのだ。
【戦場に向かう陰謀団】
陰謀団の存在の第一の目的は闘争である。襲撃に向かうことには、もちろん大量の奴隷が確保できるという利益があるし、多大な苦痛を味わえるという喜びもある。
しかしそれだけではなく、襲撃を計画通りに遂行し、戦果と共にコモラフに凱旋することは大いなる強さの誇示となり、社会的な意味も大きい。コモラフの市民たちに、自分たちの陰謀団こそが強大であり支配的なのだと示すことができるのだ。
巨大な陰謀団は常に略奪を行っており、同時に数十、場合によっては数百もの襲撃を並行して進めている事さえある。不幸な星々を次々と犠牲にしながら、物質的な勝利と政治的な勝利を共に収めてゆくのだ。
陰謀団を率いるアーコンはライバルの陰謀団に対して複雑極まる工作活動を繰り広げるが、彼らの立てる戦闘計画もそれに劣らぬほど緻密だ。彼らは手元の奴隷を拷問し、また敵地に斥候と傭兵を送り込んで、攻撃目標に関する情報を可能な限り入手する。
また同時に、ハモンキュラスに莫大な報酬を支払い、異様で謎めいた探索手段を制作させる。それらは例えば、囁き硝子で作られた鏡や、不可視の使い魔の群れといったものかもしれず、捕虜に埋め込んで解放するための発信機かもしれない。
これらが如何に高額であろうとも、襲撃が成功すれば利益はそれを補って余りある。
【名誉なき者たち】
戦場における陰謀団は、勝つためならばあらゆる手段を取る。彼らは戦場における名誉とか勇気といったものに何ら価値も見出しておらず、それを相手の弱点とみなす。
陰謀団は最も弱い敵をためらうことなく攻撃し、自分たちより強い敵ならさっさと逃げる。小物界の大物敵司令官の暗殺は彼らが好む戦術だし、恐怖と混乱をまき散らすことも同様だ。
不意打ち、一撃離脱、相手に罠にかけることは、強力な化学兵器と並ぶ基本的な武器であり、彼らはそれを実に見事に使いこなす。


画像出典: コデックス「デュカーリ」(codex:DRUKHARI)第8版 P7 イラストより


【主な陰謀団】
コモラフに存在する陰謀団はそれぞれに多様な差異を持ち、反目の結果として戦争を繰り広げたり、あるいは共通の利益のために現実宇宙の略奪に赴いたりしている。各陰謀団の流儀は、それらが最初に台頭し、一つの派遣を築き上げた時の価値観や方針、思想、すなわち、激化するギャング同士の抗争を生き延びた方法、残虐なる美学的嗜好、ひたむきなるアーコンの性格などの拡張となっていることが多い。


  • 「陰謀団〈黒き心臓〉(ブラック・ハート)」

【概要】
コモラフの支配者ともいえる「アズドゥルバエル・ヴェクト」直轄の陰謀団であり、ためらいなく彼の意志を実行する軍事力でもある。ヴェクトが〈仄暗き都〉に彗星のごとく現れ、大暴君の名で恐れられるほど目覚ましい台頭を果たす中、彼自身の手によって構成された〈黒き心臓〉は、今日に至るまで、あらゆる陰謀団の中で最古にして最大規模を誇っている。
【ヴェクトの台頭】
〈失墜〉の後、何千年もの間〈仄暗き都〉コモラフはごく少数の貴族の家系に支配されていた。コモラフは貴族たちの絶対支配領域であり、それを脅かす者は誰であれ、是非なく粛清された。
都市全体が完全に停滞し、腐敗と特権階級の横暴に満ちていた。だが、アズドゥルバエル・ヴェクトが立ちあがた時、全てが変革を迎えたのであった。
噂によれば、ヴェクト自身はコモラフの奴隷階級の出自であるという。そのため、貴族たちは台頭してゆくヴェクトを過小評価するに至った。
彼の率いるカルト〈黒き心臓〉は秘密裏に、あらゆる貴族の家門にスパイを侵入させていた。彼の影響力が高まるにつれ、彼に従う者たちもその数を増やしていった。
敵対する可能性がある者から自身に対する否定的な主張の余地を許さぬために、ヴェクトは配下の犯した所業から常に身を引き、決して表舞台に立つことをしなかった。そのおかげで、彼自身は自らの手を一度も血に汚すことはなかったのだ。
彼のスパイは必要とあらば刃を振るい、然るべき器に毒を盛りつけ、主の昇格と台頭の実現を円滑に進めていった。ヴェクトは、決して貴族同士に彼への対抗同盟を結ばせることはなかった。
彼は配下を集めたカルトを陰謀団〈黒き心臓〉に改称し、彼自身は至高の君主“大暴君”を自称した。自らの傲慢さによって盲目となっていたコモラフの貴族たちは、ヴェクトが何を進め、いかなる力を手に入れているか、手遅れになるまで知ることはなかった。
それゆえ、ヴェクトが台頭した後も無傷で残っていた貴族やその他の犯罪結社は、陰謀団の構造を自らまねて生存を図った。
【ヴェクト直参の陰謀団】
〈黒き心臓〉の陰謀団は広大な組織だ。あまりにも広範な構造を持っているため、同じ陰謀団に所属するアーコン同氏が独自の派閥を形成し、配下を従え、独自の陰謀を練っている。
アーコンの全員がヴェクトの遺産を受け継ごうと目論んでいるが、後継者争いが殺人に発展するケースは皆無に等しい。大暴君は、「己が道具たち」が、たとえ相争った結果であれ「損耗する」ことが許さぬためだ。
加えて、これらアーコンたち各自が十二分にその名を恐れられ、事実、極めて強大なる力を持っている。自身も、敢えてヴェクトに挑むなど、夢想する余地すらないことを自覚している。
背信を企むこと自体がアーコンたちにとって大いなる危険をもたらすと考えられているのだ。これも噂に過ぎぬはずだが、ヴェクトには己の脅威となる者から、ひどい悪臭が発せられているのがわかるのだという。
陰謀団には何百ものデュカーリが所属しているが、〈黒き心臓〉の純然たる力は、表面上のあらゆる不満分子を抑え込んでいる。コモラフの無慈悲な統治体制がある限り、〈黒き心臓〉の全戦力に拮抗するだけでも、現実にあり得ぬほどの膨大な数の陰謀団が同盟する必要があるだろう。
陰謀団自体の途方もない力と、大暴君の直属の軍事力であるという点に由来する「格」のおかげで、〈黒き心臓〉はコモラフにおける、いかなる機関よりも統一された総体として運用されえる状態を維持している。ヴェクトは、麾下のアーコンたちから、他のいかなる暴君たちが望むべくもないほど厚い忠誠心を喚起し得るものの、全コモラフの統制を保つために陰謀団自体の戦力だけでは明らかに不足するという事態が浮上した際に備え、〈不和〉の魔女団との同盟関係を結んだ。
これにより彼は、その地位と権威をさらに強化している。
【姿なき監視者】
陰謀団〈黒き心臓〉は、ヴェクトの要請に応じるスパイや工作員の一大部隊を従えている。情報提供者は、コモラフ人のあらゆる社会階層全体に分布している。
独立行動を取ると主張しているアーコンは、陰謀団に相関関係と比較検討の材料をもたらす情報を提供するため、競合するハモンキュラスたちとそれぞれ協定を結んでいる。拷問中の囚人に関する事柄から、異なる盟約団が結んだ協定の詳細やハモンキュラスたちが創造した「最新作」の情報に至るまで、ヴェクトはあらゆる情報を入手する。
それらの知識があまりに広範なものであるため、ヴェクトとその軍団が秘教団的な自身らの結社の存在意義を無に帰さしめようとしているのではないかとの懸念を抱く古参のハモンキュラスもいるという。〈黒き心臓〉は、広くアエルダリ種族の中にまでエージェントを潜入させており、クラフトワールドのアエルダリ(アシュルヤーニ)やインナーリ、果てはエクゾダイトの惑星にも、中にはハーレクィンの仮面劇団にさえ、尖兵を潜伏させている。
このようにヴェクトと彼のカバライトたちは、常にライバルに数歩先んじており、彼らの陰謀団に対する行動がどれだけ些細なことであれ、看過されることはない。大暴君は誰かを侮るということをせず、脅威は常に思いがけぬ方向からやって来るということを、よく知っている。一回ヴェクトは死んでいるし
この広大なスパイ網は、ヴェクトの名のもとに行われたあらゆる襲撃が、ヴェクトによって精査されるということも意味している。アーコンたちは皆、自分たちの行動がヴェクトの査定対象となっていることを熟知しており、ヴェクト自身があらゆるあらゆる事態に備えた緊急対策を用意していることも疑ってはいない。
一方、アーコンたちは、自身らの誰かが何かで失策を犯した場合、間違いなくヴェクトの怒りを招くであろうことも承知している。ヴェクトの不興を買う可能性があるか否かは、〈黒き心臓〉のアーコンたちにとって、強力な動機となる。
その結果、アーコンたちは破滅的な強襲作戦を精密に実行し、膨大な数の奴隷をコモラフに連行し、大暴君を満足させ続けている。


  • 「陰謀団〈皮剥ぎ髑髏〉(フレイド・スカル)」

【概要】
〈黒き心臓〉を別にすれば、〈皮剥ぎ髑髏〉ほど大規模な軍備を有する陰謀団はコモラフには存在しない。この陰謀団を率いる暴君は「ヴラエスク・マリドラック」だ。
下級社会に生まれ、その高速戦による暴虐でその名を上げた彼は、自身も凶暴な戦士である。下級のリーヴァー層に産まれたことは彼の流儀に大きな影響を与えており、現在でも彼は敵に迅速にして痛烈なる強襲をかけ、殺戮を完遂する事を好んでいる。
陰謀団の拠点は〈猛毒の王冠〉である。ここはコモラフで最も標高が高く、最も険しい、ノコギリ歯状の峰が連なっている場所だ。
広大な側面には無数のドックと反重力係留所があり、その周囲には「ヴォイドレイヴン爆撃機」と「レイザーウィング高速戦闘機」の排気煙が雲となって、絶え間なく形を変えながらたなびいている。暴君マリドラックは空挺戦術の名手であり、コモラフの闘技場で新たに編み出された空中戦術を喜んで自軍に取り入れるという。
それが壮大にして暴力的であれば、なおさらだ。ヘリオンやリーヴァーの徒党が彼の旗の下に集まり、共に戦うことを切望していること自体が、彼の名声と言えよう。
大勢のスカージたちも同様にマリドラックに忠誠を捧げているという。


  • 「陰謀団〈毒の舌〉(ポイズンド・タン)」

【概要】
〈毒の舌〉ほど油断ならぬ陰謀団も皆無と言ってもいい。というのも、この陰謀団のスパイは、コモラフの壊死した血管の全域を流れているという、まことしやかな噂が絶えぬからだ。
その組織力は極めて強大で、ライバルたちを愚かな錯誤に陥らせ、正面決戦を強いることなくニッチな位置を立ち回り、己が勢力を保ち続けている。この陰謀団の構成員たちは、「事故」や「失敗」を演出し、複雑な計略によってスケープゴートを定め、特定のライバルと「同盟者」とが責任を追及し合うように仕向けることに喜びを覚えるという。
現実宇宙襲撃の計画を実行に移す以前より、〈毒の舌〉の戦士達は浸透戦術、暗殺、中毒の大発生を駆使して、戦闘開始以前に敵の弱体化を図るのが常だ。この陰謀団はまた、偽情報を意図的に流し、敵が必ず猛攻を仕掛ける場所を用意しておく。
偽情報がまんまと信じた敵は、防備の最も手薄な箇所と信じて、誤った場所へ主戦力の投入を行うだろう。敵の作戦を予測する能力にかけては、もはや超常的なレベルに達しているという知の巨魁「レディ・アウレリア・マリス」がこの陰謀団を率いている。
彼女は〈仄暗き都〉に張り巡らされた最も致命的な陰謀の錯綜する中心部に身を置きつつ、空前の妄信と偽りの技を持って自分と自分の陰謀団を安全に操ってきた。ヴェクトが殺害されたと報じられた際、彼の敵は〈大凶在〉(グレイト・クェイク)に集まり、勝利を叫んだが、マリスもこれもヴェクトの罠と読み解き、陰謀団を率いて〈網辻〉に姿を隠し、ヴェクトが展開した報復の大虐殺を逃れたのだ。


  • 「陰謀団〈黒曜石の薔薇〉(オブシディアン・ローズ)」

【概要】
陰謀団〈黒曜石の薔薇〉の構成員は、たとえどれほどの低位のデュカーリであれ、比類なく精巧な装甲と、完全に整備された武器一式を装備している。この陰謀団は〈仄暗き都〉最大の兵器工廠を管理下に置いており、暴君「アエストラ・クロミス」のおかげで、コモラフにおける武器の取引は鉄の規律が敷かれ、安全が保たれている。
そのような高品質で作り出された武器や防具は、たとえそれ一つだけだったとしても、弱小陰謀団にとっては貴重な財産となるだろう。クロミスにとって、彼女の工房で作成されるあらゆる物品は完璧なものでなくてはならない。
この厳格なる基準は、陰謀団構成員のあらゆる生活領域に適用されている。襲撃前、陰謀団の戦士達は集中的な訓練を受け、体術、射撃の精度を高めてゆき、不測の事態に対しても完全な準備を整える。
彼らがそうするのは、敵とライバルの双方に対し、生まれながらにして自分たちが圧倒的優位性を有していることを誇示するためだ。クロミスの要求する基準を満たせなかったカバライトは捕虜と一緒に陰謀団のビークルの生えた巨大な刃に串刺しにされ、ある種の「模範」として衆目に晒されることも珍しくない。


  • 「陰謀団〈至高なる憎悪〉」(ラスト・ヘイトレッド)

【概要】
陰謀団〈至高なる憎悪〉に所属するデュカーリは、いわば“禁忌の芸術”に魅了されている。この陰謀団の動機がいかなるものか、多くの観察者が推測を巡らせつつ答えが見いだせずにいる。
というのも、彼らが使役するあらゆる奴隷は死体から作られており、彼らが不死を目指しているのか、それともアエルダリ種族全体を滅ぼそうとしているのか、判然としないからだ。真実がいかなるものであれ、彼らが極めて野心的であり、その野心をためらいなく実行する点に疑いの余地はない。
この者らは、アシュルヤーニ、エクゾダイト、そしてとりわけインナーリを相手にした時には、同胞に対する信じがたいほど凶悪な所業に勤しむ。苦痛の苗床とも呼ぶべき環境で、この陰謀団は捕虜たちを驚くべき延命技術によって長らく生かしておくことで悪名高い。
陰謀団のデュカーリたちは、戦闘中、まだ絶命してない犠牲者たちを襲撃艇に縛り付ける。これは彼らのみが熟達し得た特殊な技術で、死にかけた魂が肉体から離れてゆくのを阻む措置なのだ。


  • 「陰謀団〈滅びの太陽〉(ダイイング・サン)」

【概要】
他のいかなる陰謀団よりもトゥルーボーンの割合が圧倒的に多い〈滅びの太陽〉のデュカーリたち。その起源は実に古の時代にまでさかのぼるという。
デュカーリの中でも時に尊大極まりない彼らにとって、千年単位で存続していない者は侮蔑の対象でしかなく、ヴェクトさえも成り上がりの反逆者に過ぎない。日没と共に敵を襲うことを好む彼らは踏破不可能と思われるほど峻険な〈侮蔑の頂〉と呼ばれる拠点より出撃する。
彼らを率いる「ヴォール・ゾーランス」は、希望の光を絶望の闇へと転換するという象徴的な演出に執着している。陰謀団の外部にはほぼ知られてなどいないが〈滅びの太陽〉のデュカーリはアエルダリ古王国に伝わる禁断の知識の破片を所持している。
だが、そういったサイキック的な聖遺物に関する、現所持者である彼らの理解は、哀れなほど低い。恒星のエネルギーを吸収して枯渇させ、いかなる知的生物さえも絶滅させ、惑星そのものから生命力を奪い尽くす力を有している彼らだが、あくまでもそれを発動させるのは最後の手段だ。
それほど大規模な破壊工作が常に滞りなく機能するとは限らず、また必然的に無用の注意を引いてしまうことが多いからだ。


  • 「陰謀団〈鋼鉄の荊棘の支配者たち〉(ロード・オヴ・アイアンソーン)」

【概要】
パンダイモンの小領域を統べる〈鋼鉄の荊棘の支配者たち〉は、レイダーとラヴェイジャーからなるコモラフの陰謀団最強の艦隊の一つを保有しており、この洗練された兵力の一部を〈黒き心臓〉へ供給してもいる。強襲艇の側面に刻まれた彼らの勲章は、優れた戦力であることを証明する印ともなっている。
この陰謀団の過去の支配者たちがアズドゥルバエル・ヴェクトへの反乱を起こした挙げ句に失敗し、粛清された後、新たに陰謀団を率いたアーコンたちが、長きに渡たる困難を克服してようやく達成した成果の象徴となった。今や彼らの反重力ドックと兵器交易所、奴隷が動かす工場設備が絶えず喧騒に包まれており、それらの施設は小規模な衛星の地表ならば覆い尽くされてしまうほど広範な面積を占めている。
陰謀団が必要とする奴隷は膨大な数に上り、カバライトは否応なく活発な略奪に赴かねばならない状況だ。彼らは圧倒的な火力による蹂躙と、劣等種族の兵器を苦も無く退けるデュカーリの技術の優位性を強く信奉している。


  • 「陰謀団〈砕かれし印〉(ブロークン・シグル)」

【概要】
〈砕かれし印〉のデュカーリは、敵が圧倒的な恐怖に苦しむことに悦びを覚える。それがために、秩序があり、安定した閑静な社会を築いた惑星を攻略することが多い。
〈砕かれし印〉の暴君「ゼラティス」は敵に恐怖を与えることに耽溺しており、その耽溺ぶりは、彼の行動を容易に予測できるものにしているとして、多くの競合者から軽蔑を買うほどだ。ゼラティスは敵に幻覚作用を引き起こすガス爆撃を繰り返したり、敵の通信網を完全に乗っ取ることで恐怖を散乱させることを大いに楽しむ。
彼と彼のカバライトたちによると、敵への予告は、その後の戦闘によってもたらされる恐怖の饗宴を一際趣深く盛り上げる上で、不可欠にして無上の価値があるという。この凶悪な所業は、〈人類の帝国〉において、特に異端審問庁の〈純血の団〉とデスウォッチ戦団から強烈な憎悪を向けられており、両社はゼラティスの首を直接狙っているが、彼自身はこの種の危険にほとんど関心を払っていない。
その代わり、彼は超人戦士という素晴らしい奴隷を手に入れて、自慢する事しきりなのだ。


【その他の陰謀団】
多彩な陰謀団が繰り出すそれぞれの戦闘様式には限りがない。いくつかの陰謀団が持つ軍事力、影響力は共に著しく大きいが、コモラフにおける政治力学の周辺部に蠢く者たちもまた、支配階級へと昇格するための計画に余念がない。
陰謀団〈断絶〉はあらゆる戦場を無数の攻撃艇で蹂躙し、速度と正確性を持って獲物をしとめる。陰謀団〈嵐の尖塔〉や〈鮮血の絶叫〉のように火力優位の戦闘を好んで使うことを好み、無数のラヴェイジャーを購入あるいは建造したり、あるいはスカージを大量に雇っている者らもいる。
対照的に、接近戦のさなか、己が顔に降りかかる敵の返り血に悦びを覚える者もいる。〈慄きの刃〉や〈白銀の牙〉などの陰謀団は、こうした流血の沐浴を偏愛している。
彼らは、敵の断末魔の叫びや、息絶える寸前前の苦悶を、まさに浴びるかのごとく味わうのだ。また、通常では考えられぬ、特異な同盟を己が戦略の一端として披露する陰謀団もいる。
〈全智の眼〉の構成員は正体を隠す上、極めて高度な技術を操るハモンキュラスと共同戦線を取り、まるで権力の「ブローカー」といった趣で影響力を振るう。一方、〈峻厳なる悪鬼〉の陰謀団は魔女団やハーレクィンとともに行動することで知られている。
さらに謎めいた存在も少なくない。陰謀団〈第十三の囁き〉のデュカーリは顔を隠して現実宇宙の襲撃に臨み、マンドレイクとの同盟を維持していると信じられている。
この陰謀団が襲来すると、まるで高波のごとく影が押し寄せ、敵を囲む闇の中から恐怖が出現すると言われている。



魔女団(ウィッチカルト)


【概要】
女性のデュカーリで構成されている狂信的な戦闘軍団で男性は少ない。デュカーリの持って生まれた身のこなし、優美さ、活力は、コモラフに多数存在する様々な魔女団において芸術の粋にまで高められている。
戦士たちはその武芸の壮観さを仄暗き都の闘技場において惜しげもなく見世物とし、権力者、有力者である観客の眼を楽しませる。その戦いぶりはどぎつく派手で、観客が求める苦痛をたっぷりと生み出す。
コモラフにおいては、極限的な体験、新趣向の苦悶、情熱的な気晴らしへの需要は途絶えることはない。住人は絶えずそれらを接種すしない限り、鬱病になるか互いに殺し合い始めるだろう。
デュカーリは虚ろなる魂の持ち主なのだ。そしてそれをわずかでも慰めることができるのが、闘技場における魔女団だ。
ほとんどの魔女団は、少なくとも一つの闘技場を自前で所持している。それらは刀で飾られた天守を備える壮大な城塞の中に設えられ、優雅にして素早い殺し合いを毎晩のように見世物にしている。
【陰惨なる闘技場】
これらの闘技場のうち最もささやかなものに比べてさえ、人類が築いた最大の闘技場が泥の小屋のように感じられるだろう。いくつかの闘技場は、数回層にも渡って、闘争のための様々な環境を備えている。
他の宇宙種族の都市を模倣したもの、鬱蒼とした密林、その他無数の創造的なジオラマが用意され、血の宴を待っている。ウィッチたちはそこで選ばれた虜囚、巨大な猛獣、時にはお互いを相手に戦い、観客の市民たちは血に飢えて叫びながらそれを見守る。
その観客席に座を占めるには、十分裕福であるか、あるいは特別なルートに通じていなければならない。闘技場の中には、コモラフの高き塔を取り巻いた輪の形状をしている建造物も存在する。
その中ではリーヴァーたちが、ジェットバイクを駆使しての死のレースを演じるのだ。中には移動闘技場さえあり、これはコモラフの薄暗き路地に獲物を逃がし、スカイボードに乗ったビーストマスターたちが恐ろしい奴隷獣を駆り立てながらそれを追うというもので、観客たちは熱狂的に群がってその後をついていくのだ。
【妖艶なる魔女たち】
魔女団に所属する多様な戦士達は「ヘカタリー」と呼ばれ、多種多様な武器を使用する。削るもの、捕まえるもの、斬りつけるもの、押し潰すものなどがその例だ。
鋭い鉄鉤、重厚なフレイル、棘の付いた網、その他挙げ切れぬほどの異様な武器の数々は使いこなすのに技巧を要するが、それは戦士達がその技を華々しく披露するためでもある。ヘカタリーたちは身に着ける装甲は最低限のものしかない。
速度と俊敏さこそが最大の防御であり、野蛮な攻撃を優雅に殺すのは一つの見せ場なのだ。彼女らはあらゆる敵を見逃さない。
興奮剤と戦闘薬をとめどなく摂取したヤク中戦士たちはは爆発的なスピードと過剰なまでの感覚を備え、その時流行のヤク(薬)によってはより奇妙な能力を垣間見せることもある。
【闘技場を後にして】
数千にも及ぶ熟練の剣闘士を抱えた魔女団は社会においても無視できぬ強力な存在だ。闘技場だけでなく、魔女団は巨大な訓練施設を有し、猛獣園や武器庫ももちろん備えている。
多くの場合、恐ろしいほどに優雅なこれらの戦士たちを取りまとめているのはサキュバスの中で最も殺戮を極めし者、すなわち闘技場において頂点に君臨する覇者である。その配下には他のサキュバスが仕え、そのそれぞれが数十人規模のウィッチを部下としてサークルを形成している。
ほとんど例外なく、魔女団には強力なアーコンの後援者がいる。このため、魔女団は豊富な奴隷や多種多様なエリクサーの供給を常に受けることができる。
その見返りとして、アーコンは己が率いる襲撃のために、何よりも頼りになる達人戦士たちを借り受ける。また強力な魔女団は、時に物質世界への襲撃を主導する事もある。
これには多くの勢力が大枚を払って参与してくるが、それはこの戦士達と肩を並べて戦いたいからなのだ。



画像出典: コデックス「デュカーリ」(codex:DRUKHARI)第8版 P25 イラストより


【主な魔女団】
コモラフにおける魔女団は幾つかの手段を用いて〈不和〉をけん制している。魔女団はそれぞれ独自の拠点と領土を持ち、いうまでもなく固有の戦闘様式や専門分野に熟達している。
これらの多様な強みを活かし、それぞれの魔女団は常軌を逸した暴力、凄惨なる流血の祭典、業苦の交響曲を求めて止まらぬ、各魔女団の嗜好と強く重なる悦楽主義者の観衆を大量に集めている。苦痛嗜好に憑りつかれたごく少数の同族を満足させるためであれ、ヴェクトは多くの魔女団が存在することを許し、ライバル関係の発生を推奨している。
〈仄暗き都〉の暗がりに広がる地域の中には、大規模区域、疑似空間、コモラフ上層部の天高くそびえる尖塔から下層領域の路地に至るまで、無数の戦闘集団や二次同盟などが存在する。それぞれがライバルとみなした組織に取って代わり、領土を奪い取り、これまでに開発されてきたあらゆる戦闘様式を習得し、報酬と引き換えに死の饗宴を味わおうと望む観衆を動員するためのあらゆる行動を実行しようとしている。


  • 「魔女団〈不和〉(ストライフ)」

【概要】
〈不和〉は〈仄暗き都〉最大の規模を誇る魔女団だ。その影響力は比類なく、コモラフに多数存在する、いかなる殺戮集団をも圧倒している。
魔女団が披露する殺戮の陶酔に、熱狂的な献身を捧げる者たちは後を絶たず、魔女団はその勢力を高め続けているが、それはひとえに一大巨星として輝くサキュバスである“ナイフの女王”こと「リリス・ヘスベラックス」の力に起因する。一声で何千人のもウィッチたちを動かす彼女の力は、他の魔女団のそれを遥かに凌駕しているのだ。
野獣の如き暴力性を漲らせ、饗宴の開幕を彩る比類なき〈不和〉の魔女団。彼女らは、どれほど長きに渡ってその権威を地に貶めようと画策してきた者たちに対しても完璧にして空前の苦痛が生み出す美の極致を披露する事で、コモラフ中の嫉妬と敵意を集めている。〈不和〉の魔女団を構成する円環は、それぞれ低位のサキュバスが率いている。
彼女らの平衡状態を油断なく見張り続けるのは、彼女らの卓越せし女主人リリス・ヘスベラックスその人だ。彼女の超常的とすら言える戦闘技能、いかなる微小な機会さえ捉える鋭敏なる感覚、そして観衆を自在に弄い、苦痛と歓喜の荒々しい感情の虜にする能力のおかげでリリスに対する熱狂的な献身や野心的な申し出は引きも切らない。
魔女団の多様なる技を極めた崇高なる模範者の下、ヘカタリーたちは、「レディ・ヘスペラックス」が体現する完全性に到達すべく、自分たち自身を鼓舞し、高めようと努めている。リリスは、彼女らが利己的な理由、すなわち自身らの昇進のためにそうした研鑽を積むこと自体何一つ気にしていない。
だが、彼女自身を不快にさせた者は魔女団の誰であれ、速やかにして残虐なる終焉を迎える。
【蜜月の同盟】
〈不和〉の魔女団は、アズドゥルバエル・ヴェクト直轄の陰謀団〈黒き心臓〉との間に密接な関係を築いている。リリス自身が闘技場に剣闘士として出場することは滅多にないが、その時は、大暴君自身も観客席に現れるという。
だが、苛烈なる殺戮者たちと敢えて関わろうとする彼の姿は、代理映像か培養複製体に過ぎない。この周知の同盟関係が、〈不和〉の魔女団のライバルたちに対して牽制となり、露骨な敵対行動を阻止していることは確かだ。
そしてこの盟約は、コモラフのカバライトたちが現実宇宙襲撃部隊に赴く際、魔女団の強大なる戦士たちがそれに伴うことを保証するものでもある。ヴェクトによる全面的な庇護とリリスの名声の相互作用により、魔女団の開催する毎晩の退廃的な闘技場の祭典は常に満員になる。
コモラフの特権階級の多くは、多様な特別料金を支払って、クルーシバエルの、黒き血の流れる生ける翡翠色で飾られた特等席でひと時を過ごそうとする。
「料金」として用いられてるものは、物質宇宙産の希少な捕虜や珍奇な物質によるものかた、領土の一部の割譲や、危険な任務の請負まで、実に様々だ。
【〈不和〉の本拠地】
クルーシバエルは〈不和〉の魔女団の本拠地と呼べる舞台であり、ナイフの女王の主権領域だ。それは百万もの人数を遥かに超える収容力を持ち、数あるコモラフの闘技場の中でも群を抜いて豪華な壮観を誇る闘技場なのだ。
リリスと同様、クルーシバエルの名も〈仄暗き都〉の幻めいた境界線の向こうにまで轟いている。そこで戦ったのは、いずれも伝説的な人物ばかりだ。
「不死鳥の将」(フェニックス・ロード)の一人である「ジェイン・ザール」でさえ、その気高き血潮をリリスの刃によって砂上に散らした。歪んだ曲芸の数々と、貪欲な胃袋を満足させる饗宴会場としての役割を持つクルーシバエルは、観衆の感情を強烈に揺さぶる、多様なプログラムを提供する。
広大な競争路を設けた環状の闘技場では、リーヴァーのギャングたちが危険極まりない高速度で先頭争いを繰り広げる。まるで投擲された投げ矢のごとく、リーヴァー・ジェットバイクは傍らに迫るライバルを車体に備わった刃で切り裂き、反重力タロンでスパイクだらけの闘技場の壁に獲物を掴んで容赦なくめり込ませる。
虚言と偽証をなす者たちは皆、敵と同じぐらい自分たちの生命さえも脅かす、想像を絶するほどの劇的な殺戮をもたらすために、ありとあらゆる好機を利用する。
【禍々しい武装】
〈不和〉の魔女団は、クルーシバエルに潜入する富と権力によって、名匠と謳われる武器職工や極めて高位のハモンキュラスへ豪華で、通常では望めぬほどの驚異的な武器や兵器の購入、また最高の刺激剤の提供を要請できる。「レイザーフレイル」は、一見すると、分節された刃が長く連なって伸びた剣のようだ。
だが、手首を振ると、まるで金属製の鞭のごとく自在にしなる武器へと変わる。一方、「ヒドラ・ガントレット」は半ば知性を有する超平面結晶から作られ、強靭な意志の持ち主が振るうとで致命的な切っ先を成長させ、間合いに届く標的が何であれ、容易に切断してのける。
中毒性のある化学合成物、例えば「グレイヴロータス」や「ペインブリンガー」、「スプリンターマインド」などは、使用者の生命を著しく縮める危険があるものの、戦闘能力を飛躍的に高めたり、獲物の苦痛をより鋭敏に、高い感度で味わえるため、広く使用されている。
【リリスの懸念】
リリスの披露する流血の芸術に貢がれる富は、弱者を徹底して淘汰する魔女団の訓練機関と、魔女団自体が行う現実宇宙襲撃部隊の資金に転用される。彼女に従うウィッチ、リーヴァー、ビーストマスター」、支援部隊となる「ヘリオン・ギャング」を可能な限り多様な惑星に派遣し、死の恐怖と苦痛で彼らを駆り立てつつ、あらゆる形態の壮大な殺戮を習得させることで、ナイフの女王は自身の魔女団のみでは対抗し難かったコモラフ内の敵対勢力に対し、あらゆる点で信頼に足る防御力を獲得するに至った。
〈不和〉の魔女団が体得していない殺戮方法は、皆無に等しい。リリスは、陰謀団の支配者たちが繰り広げる複雑怪奇な反撃手段と狡猾なる背信に対する忍耐とを、ほとんど持ち合わせていない。
だが、ヴェクトの陰謀団〈黒き心臓〉との鉄の絆があるにもかかわらず、彼女の鋭敏な知覚は、実利的な保安装置を用意しておくことを忘れなかった。多岐にわたる冗長性を確保する事で、かの絶大なる支援者が万が一、衰えをきたした場合に備えたのだ。
ごく最近になってから、この可能性に対する懸念は、リリスの心の中の暗き間隙に、より頻繁に頭をもたげてくるようになった。〈影の娘〉と呼ばれる「イヴライネ」がアエルダリの死の神「インニアード」の御使として生まれ変わった。
そしてその場所は、まさにリリスの誇る闘技場クルーシバエルであった、イヴライネの爆発的な神格化は、リリスに敗北した後に生じた。
それは不面目とまでは言えぬものの、リリスは、観衆に対して異種族の数十人もの戦士が放たれたのみならず、それに続いてコモラフ内部に最新の大分裂が引き起こされたことを軽視していない。
それは〈仄暗き都〉の階層構造に連なる小領域の破裂まで引き起こし、ケイオスディーモンの進入すら招いたのだった。
【インナーリとの共闘】
イヴライネがコモラフから脱出し、己が従える囁ける神「インニアード」を覚醒させ、かの宿敵である「スラーネッシュ」を打倒するための支援を求めた後、リリスはイヴライネの配下たる組織「インナーリ」と共闘する戦力として闘技場から選抜した強力な戦士団を派遣した。これはヴェクトの長きに渡る庇護の終わりを意味すると見なす者もいる。
というのも、大暴君ヴェクト自身は、自らの死を招いたインナーリに対しては冷酷なる侮蔑しか抱いていない考えられているからだ。イヴライネの覚醒の余波によってコモラフにケイオスディーモンが侵入し、仄暗き都は大混乱に見舞われた。
その未曾有の事態に乗じてヴェクトは何者か暗殺されたが、恐るべき儀式によって復活を遂げ、暗殺の屈辱を果たすためにイヴライネへの復讐を画策している。リリスのライバルたちは、大暴君との同盟関係に生じていると思われる綻びを躍起になって探しているが、リリスが示しているインナーリへの支持が、どの程度彼女の真意であるかは未だ疑問だと考える者たちもいる。
インナーリの主張通り、リリスは〈かの渇きたる女〉ことスラーネッシュを永遠に滅ぼす手段を目にし、惜しみなく支援を続けるのか?彼女は都合よく、魂を犠牲にすることなく不死へと至る道を探しているのだろうか?
それとも、神の力に対して自分自身を試すために、彼女は単純にイヴライネに再び対決を迫ろうとしているのだろうか?


  • 「魔女団〈呪われし刃〉(カースド・ブレイド)」

【概要】
〈仄暗き都〉に満ち満ちた背信と欺瞞にさることながら傾倒する〈呪われし刃〉の魔女団は、信頼を裏切ることこそが芸術の最高の形式であると信じている。「ネヘクサス闘技場」の剣闘士たちと同盟関係を結ぼうと考えているアーコンは、自分が〈呪われし刃〉を出し抜けることを証明しようと躍起になっているか、ある種の破滅嗜好に屈しているかに見える。
魔女団のウィッチたちと、戦略を練り続けるサキュバスたちは、同盟者と敵とに「居てはならぬ場所に居させる」ことを得意としている。この者らは、隠し刃とレイザーフレイルのような多機能兵器、そして青白い皮膚の下に埋め込まれた猛毒の棘と、よく手入れされた指の爪の下に装着した「フリックブレイド」を好む。
〈呪われし刃〉は、自然淘汰を極限まで加速した、倒錯した過程がもたらす適者生存の法則によって、最強にして最も狡猾なる頭脳を持つ者のみが生き残るようにしている。これは地中深く這った根のごとき強さであり、夢幻の適応性を示している。
ネヘクサス闘技場は、時にはその脅威が観客席の間に生じることもあるにせよ、無数の死の脅威で名高い。そこでこの魔女団の演目として最も好まれているのは、異種族の下級兵士との同盟を装うことだ。
戦闘員は、自分たちの傍らにいる敏速極まりない味方の助けを借りて生き残れるかもしれないという希望を抱くが、結局はその味方に息の根を止められるだけだ。〈呪われし刃〉の戦士たちは、獲物の顔に浮かぶ衝撃と絶望を、甘美なる滋味として味わっている。
魔女団の背信嗜好は、現実宇宙襲撃部隊全体に拡大され、他の侵略者たちが行う攻撃と同時に計画されることもある。この者らは前触れなしに出現し、〈帝国〉の諸惑星、タウ・エンパイアの入植地、アシュルヤーニの〈方舟〉をケイオスディーモンの大群やオルクのいくさ組、その他銀河系の名も知れぬ脅威から守る者たちに、真の目的を隠したまま手を貸す。
〈呪われし刃〉は、獲物と定めた「守り手」たちに、かすかな希望のきらめきを浸透させる。その後に獲物に無慈悲なる切っ先を突き立てて、救済の思いを微塵に砕くのだ。


  • 「魔女団〈赤き慟哭〉(レッド・グリーフ)」

【概要】
あらゆるヘカタリーが着用するタイトなウィッチスーツは、身体的な防御機能はほぼ提供しない。防御手段に固執する代わりに、魔女団は「刃が当たる場所に身を置くな」という思想を徹底して指導する。
〈赤き慟哭〉の魔女団は、この信条を極端に先鋭化させてる。魔女団のウィッチたちは、そのしなやかな肉体と超常的なまでの反応速度によって、卓越した敏捷性を発揮する。
高速で戦場に殺到する「レイダー」や「ヴェノム」、「ジェットバイク」や「スカイボード」で構成される〈赤き慟哭〉の襲撃部隊は、標的を一瞬で血煙へと変える。船体に吊り下げられ、生きたままトロフィーとなった捕虜から、真っ赤な血の飛行機雲を流す者さえいるという。
この魔女団のウィッチたちが敢えて地表を踏むのは、敵の頭上から飛びかかった時のみだとも噂されている。全速力で急降下する、奇怪な装飾が施された攻撃艇から、目にも止まらぬ速さで飛び出すのだ。
〈赤き慟哭〉は、物質宇宙の狩場で超高速の空中戦等を展開するのが得意だ。この技量は闘技場で観衆に提供される理屈抜きの興奮に十二分に反映されている。
試合場は高くそびえたつ尖塔の頂上に作られている。透明なクリスタル製の観衆席は、めまいを覚えるほどの高さから巨大な湾をはるか下方に見下ろす位置にせり出している。
無論、落下すれば死が待っている。スパイクと円柱が林立する場内で、ヘリオンとリーヴァーが猛スピードで戦う。
「単分子レイザーワイヤー」を吹き流しつつ高速で移動する闘士も少なくないため、ジグザグに動く標的の軌道を読み誤った者には、無惨な破滅が待ち受けている。〈赤き慟哭〉のウィッチたちがごく当たり前に展開する速度で戦う獲物をたちどころに斬り刻み、血飛沫が場内を彩るのだ。


  • 「魔女団〈第七の悲嘆〉(セブンス・ウォゥ)」

【概要】
アエルダリに伝わる古の神話によると、〈第七の悲嘆〉とは、流血の神「カエラ・メンシャ・カイン」の手で女神「リレアス」の炉の月が破壊された様を示しているという。これは純血の喪失と共鳴している。
サキュバスの三頭支配体制によって統率されている〈第七の悲嘆〉の魔女団の構成員たちは、純潔と美徳を斬り裂き、滅ぼす者たちに他ならない。この魔女団の戦士に生まれついた者は、会話する前に刃を振るうことを覚える。
支配者がこの道理を説くのと同様に、この魔女団は銀河系全域の生命体に、あらゆる存在の中心に潜む絶望に関して教えを説く役目を持つのだという。この哲学は「殺す」のではなく「痛めつける」ことを念頭に置いて設計されたテクニックにより、戦場で実行される。
ウィッチたちの射撃と打撃は、腱の切断と関節の破壊を目的としている。十三箇所の浅い傷を先に相手に負わせたほうが勝者となる一騎打ちの、残響覚めやらぬ闘技場で、〈第七の悲嘆〉の戦士たちは、はるかに多数の傷を的に与えて自由を奪う。
戦士たちの後には、バラバラとなった五体がおりなる屍のカーペットが無造作に残され、これから始まる拷問がなお一層おぞましく苛烈なものであることを忍ばせる。いったん相手を斬り刻み、動きを封じると〈第七の悲嘆〉のウィッチたちは叫び声を上げる観衆の前をゆっくりと歩き、じわじわと苦痛を上げる拷問と筆舌に通し難い嗜虐行為を、ほしいままに与えてゆく。


  • 「魔女団〈拒まれし刃〉」(ブレイド・ディナイド)

【概要】
突発的で荒々しい即興のパフォーマンスによって、不利な戦況を一気に覆すのは、魔女団〈拒まれし刃〉の十八番だ。彼女らは、敵が振るう武器を、敵自身に対して振るわせる特異な技量において比類なき、古来より続く魔女団である。
敵の明らかな力を、敵自身の命取りへと変えられてしまうのだ。それが強力であればあるほど、破滅は確かなものとなるだろう。
魔女団のウィッチたちがこの瞠目の手管を披露する場合、ウィッチは丸腰で、あるいは丸腰の上に両腕を縛られた剣奴として登場する。枷をすり抜け、敵の武器を奪い取り、ウィッチは大混乱を引き起こして終幕まで観衆の目を捉え続けている。
大人数でウィッチに襲い掛かった捕虜たちは、何人もがまとまって、自分たちの武器で串刺しにされている姿を晒すことがしばしばあるのだ。「ヘリックス闘技場」で繰り広げられるこうした血の饗宴のみならず、〈拒まれし刃〉は頻繁に現実宇宙襲撃部隊を行い、常に自分たちの勝率を上げ続けている。
塹壕に囲まれた城塞や圧倒的多数の装甲車両を攻撃する際にウィッチたちが繰り出す、ピンポイントのヘイワイア攻撃は、掩蔽壕や車両を、そっくりすのまま動かぬ棺へと変えてしまう。その上で幻覚作用をもたらす榴弾の投擲により、兵士たちは恐怖で統制を失った烏合の衆と化す。
敵が罠にかかり、恐慌状態に陥ると、〈拒まれし刃〉の戦士達は多くの場合、時間をかけて獲物を個々に引き離し、個別に仕留めるために選別した上、敵自身の武器を奪ってとどめを刺す。防衛線に付いていながら恐怖に駆られ、自ら命を絶った兵士たちの逸話の大半は、〈拒まれし刃〉の凄惨なアートの産物であることを物語っている。


  • 「魔女団〈解かれし忿怒〉(ラース・アンバウンド)」

【概要】
魔女団〈解かれし忿怒〉のウィッチたちは、瞑想と儀式を然るべく行うことにより、アエルダリの言語で「カエラス・マエナイド」(殺戮の恍惚状態)と呼ばれる状態へと移行することができる。こうして比類なき屠殺者と化したウィッチたちは、敵魔方問わずに脅威と化す。
サキュバスの「ハイスナメーネ・ヴェイルブラッド」に率いられたこの魔女団のウィッチとビーストマスターは、長く血生臭い凄惨な儀式を戦いの前に行う。これによって知性が徐々に薄らいでゆき、血に飢えた闘争本能がそれに取って代わる。
この魔女団はビーストマスターとその使役する多様で狂暴な怪物たちのおかげで、コモラフで最も名高い。なかば狂乱した意識に沈みつつ怪物を操る、シャーマン的な強奪者たちは、使役する獣に比べてもあまり遜色ない「怪物」だ。
魔女団の支援者であるアーコン「ゼティス・クーラヴォック」は陰謀団〈凶眼〉を率いるが、彼自身が主催する現実宇宙襲撃部隊の最も壮観な眺めは、そうした怪物たちが繰り広げる「饗宴」なのだという。〈解かれし忿怒〉は、堕落した大逆者のスペースマリーンである名高き剣士「悠久なるルシウス」を、拠点である闘技場で「もてなした」ことが知られている。
これは自らこの尊大なる虐殺者との勝負を行おうと考えていたリリス・ヘスベラックスにとって、実に悔しい出来事であった。この時、魔女団は闘技場に響き渡る叫びと唸りを通して、カエラス・マエナイドの絶対的な陶酔感を感知したのだという。
それはルシウスの鎧が放つ絶叫と心地よく調和したのであった。



ハモンキュラスの盟約団(ハモンキュラス・コヴン)


【概要】
コモラフの闇深くに住む、狂気の肉体改造師「ハモンキュラス」の組織。いわゆるマッドドクターの集まりである。
仄暗き都コモラフは実体化した悪夢そのものであり、その不変の悪意と革新的な邪念を体現するものこそハモンキュラスの盟約団だ。それは拷問者にしてかつ錬金術師でもある者たちの有害な結社であり、仄暗き都の曲がりくねった地下通路の奥で生と死を邪悪に玩んでいる。
彼らはデュカーリたちが生き延びるための決定的な役割を果たしているが、その要求する対価は決して安くない。怪物じみて痩せこけた外見を持つハモンキュラスは、超常の技術を駆使する狂気の天才たちであり、コモラフの民からさえ恐れられている。
その一人一人は独自の探求に励み、名状しがたい闇の科学を極めようとしているが、彼らはまたその技術を売る雇われ職人でもあり、対価を支払える者にはその不愉快な腕前を貸し与える。彼らの作業といえば、肉体改造、薬物やエリクサーの醸造、被験者に絶叫を上げさせること、患者に絶叫を上げさせることなどだ。
【悪夢の研究室】
その趣味嗜好を同じくするハモンキュラスは、寄り集まって盟約団を作る。彼らの作る拠点には牢獄、研究室、科学醸造所などがずらりと並び、外部の者には理解さえできぬ施設も多い。洞窟のような空間、泡立つ水槽が並ぶ広間、巧妙な機械が詰まった部屋の数々は、他のデュカーリでさえ決して足を踏み入れたくないと願うようなものだ。
ねじくれた廊下の壁はまだ生きている被験体で構築され、その眼窩にはランプが仕込まれて薄暗い光を放っている。その先の解体室には拷問台が並び、内臓が散らばっている。
ハモンキュラスと関わり合いになる事は、その配下である肉体改造を受けたラックたちに肉を切り取られること以上の危険がある。しかし必要な時にハモンキュラスの力を借りるのをためらうこともまた賢明ではない。彼らこそは、生と死を操ることができる者たちなのだ。
【永劫すら支配して】
人間に比較すれば信じられぬほど長寿であるとしても、アエルダリは不老不死ではない。死を避けるため、そして彼らの魂を待ち構えるかの飢えたるものを避けるため、多くのデュカーリは数人のハモンキュラスと契約を結んでいる。
依頼する際には、自らの肉体の一部を提供しなければならない。指、皮膚の一部を剥いだもの、あるいは手足の一本などだ。それらは新鮮なまま生命を保ち続け、ハモンキュラスたちはそこから依頼人の肉体を丸ごと複製することができる。
彼らはぐちゃぐちゃになった死体からさえ、傷一つない肉体を復元してしまう。デュカーリの中にはこの取引を好まぬ者もいる。
なぜなら盟約団は取引の対価として魂の一部を要求するからだ。しかしこの〈仄暗き都〉は命の危険の絶えることのない地であり、また高慢なデュカーリたちとて、下劣なるものの反撃も時には致命的となるとよく知っているため、ハモンキュラスが依頼人に不足したためしはない。
【苦痛なる医術】
襲撃の際のデュカーリは素早く、激しく襲いかかる。次々と捕虜を捕らえ、殺す相手には可能な限りの苦痛を与えて、彼らは再び〈網辻〉の中に消えてしまう。
彼らは味方の使者や負傷者を運び去る。ハモンキュラスの所に連れてゆくのだ。
ハモンキュラスはタロスや、その他の半ば意志を持つ機械を助手にして施術にかかる。このおぞましい処置が速やかに行われ、倒れたデュカーリの肉体にまだ強い魂が残っているなら、これらの霊魂は少しずつ形を取り戻し、肉体を形作ってゆく。
この恐るべき処理の胆となるのは、デュカーリ社会の他の多くの要素と同様、苦痛である。損傷した肉体は透明な蓋の付いたポッドに収められ、ハモンキュラスが拷問台の周囲に設置している給輪環に接続される。
この肉体改造者が台の上に犠牲者を置きその体を切り刻んでゆくと、ふさわしい苦痛と絶叫が生じ、それがポッドの中のデュカーリに注がれることによってその肉体が癒されてゆくのだ。
犠牲者が次々と取り替えられ、十分な回復の拷問が行われれば、最初はポッドの中で真っ赤な肉片としか見えなかったものが肉体を形成し始め、苦痛に顔をしかめてのたうちながらも元の形を取り戻してゆく。骨が、腱が、内蔵が再生し、肉がその上を覆い、ついには皮膚までが整うのだ。
【暗黒の実験】
このおぞましき不死性を売りさばく商売によって、ハモンキュラスの盟約団は恐ろしく裕福で力強いものになっている。彼らは襲撃の戦利品から最上のものを要求できる。
しかし時には、ハモンキュラスたちは自ら望んで襲撃に加わるか、自分たちでそれを主催する事もある。その目的は、その邪悪なる創造物の実用実験だ。
貪欲なまでの好奇心を目に浮かべながら、彼らは好き放題に強化したラックや不気味なまでに肥大させたグロテスクといった存在を戦場に解き放ち、最新の精神拷問器具や新調合の毒薬を試そうとする。



画像出典: コデックス「デュカーリ」(codex:DRUKHARI)第8版 P33 イラストより


【主な盟約団】
ハモンキュラスの盟約団はいずれも、気難しい肉塊の加工師たちの組織だ。ハモンキュラスたちはいずれも個人的な妄想に憑かれた、衝動的な怪物に他ならない。
盟約団に受け継がれた技術や知識を継承する者たちも少なくはないが、そのおぞましき業の数々は完全に共有されているわけではない。だが〈仄暗き都〉では、保安上の共通点が多いため、似たような興味の対象を持つハモンキュラス同士が都の深部で、あたかも血が凝固するかのごとく寄り集まる傾向がある。
あらゆるハモンキュラスにとって現実宇宙は、彼らが望む材料を生み出す繁殖場であり、存在の秘密を解明し得る約束された処女航海の大洋でもある。そこに力を振るうことは、万物の創造主に匹敵する所業となるだろう。
デュカーリという種族にとってハモンキュラスは、種族固有の邪悪さ、渦巻く堕落が形成するその本質と不可分なものだ。そのおかげで盟約団は、コモラフの下層領域に結集した隠れ家で、自身らが自由に思い描いたあらゆる邪悪な実験を行うことができるというわけだ。
これらの盟約団は互いに競い、襲撃の略奪品を巡って衝突し、社会の凄惨な堕落をその行く末として熱望している。盟約団はまた庇護者の座や、闘技場の名高き覇者となった者の生殺与奪特権を巡って衝突する事もある。そして、陰謀団と魔女団も、その衝突を自身らの優位に変えようと常に機会を窺っている。


  • 「〈肉塊の預言者団〉(プロフェット・オヴ・フレッシュ)」

【概要】
〈肉塊の預言者団〉は、コモラフの物理的、社会的、政治的組織の層に埋もれて肥大したどす黒い嚢胞のごとくに影響力のある集団であり、どれほど権勢を誇るアーコンであれ、その力に対しては何人も懸念を拭えぬほどだ。彼らの権力の触手はいたる所で蔓延する感染症のごとく拡大し続けている。
この盟約団を〈仄暗き都〉から切除することは不可能であろう。進んでそれを実施するにはあまりにも大きなリスクを負うことになるからだ。
〈肉塊の預言者団〉は拷問芸術の彫琢師こと「ウライエン・ラカルス」自身が率いる盟約団だ。アズドゥルバエル・ヴェクトの長年にわたる庇護を得ている上、その他有力な暴君たちも支援を惜しまない。
アーコン、サキュバス、雫落した貴族たち、成り上がりの犯罪者、あるいは誰であれ盟約団の提示する報酬を用意できる力を持った者たちに、高品質のサービスや補給物資の供給を行うことを通じて、盟約団はいかなる攻撃や敵意をも受け付けぬほど安全な社会的地位を守り続けている。報酬の支払いに対する容赦ない回収と、支払いそのものを踏み倒そうとする者たちへのおぞましき罰則と報復を無限に豊かにしてゆくことで、盟約団自体の力の増大の一途を辿っている。
コモラフのエリートの大半は、自身の肉体の復活について不可避的な盟約の数々を〈肉塊の預言者団〉と結んでいるため、あえてこの盟約団と対立するリスクを犯す者など皆無だ。〈肉塊の預言者団〉はコモラフ内で最大規模を誇る盟約団だ。
いくつかの陰謀団すら上回る規模に達しているが、盟約団自体もまた何百人というハモンキュラスを抱えている。彼らの一人一人は、己が表現する恐怖の研究に孤独に勤しんでいるが、ウライエン・ラカルスに代表されるような天才的なハモンキュラスは、権力という蜘蛛の巣の中心で滋養を蓄え、蠢き続けている。
【無惨なる創造物】
あらゆるハモンキュラスは、自身の周囲に小規模な集団を侍らせている。お気に入りの創造物や歪んだ従僕たち、「ハモコライト」と呼ばれる従弟たちの集団だ。
だが、最もその数で目立つのは、「残骸」(ラック)と呼ばれる主人直々に変貌させられた従者たちである。実験体を無慈悲に制御したり、切除手術や肉体加工における希少な才能を隠しているラックは、ハモンキュラスの助手として働くのだ。
〈仄暗き都〉の尖塔の下に広がる階層の頂点とみなされているため、この盟約団は他のいずれよりもはるかに多くのラック化を望む者たちを引き寄せている。〈肉塊の預言者団〉の一員となる事は大いなる畏敬と尊崇の対象となるが、そのような禁断の力を得る道は、それ自体が苦痛そのものと言える。
【預言者への道】
一員となるための階梯を登り始める時、ラックの四肢には大々的に烙印が押され、刺青が入れられ、あるいは主人のおぞましき気まぐれに従って、想像もつかぬ奇怪な仕様を施されることもある。特に独創的な嗜虐行為によってラックが主人を悦ばせようとする場合、彼らは損傷などによって機能不全をきたした手足の一部を切除してみせる。
彼らはそれを、自らに許された栄光の一つとして認識しているのだ。後に〈預言者団〉の素体貯蔵庫に収められたパーツの中から、傷一つないものが選ばれ、切除部分の器官は再置換される。
それぞれの預言者は何千人ものラックを統括する。そのラックたちの中には、苦痛と拷問の奥義に通じた「アコシスト」がいる。
そうした大勢のラックたちは、盟約団の実験施設や屠殺場を思わせる施術工房の運営と管理作業に従事している。彼ら無くして盟約団の施設の稼働はおぼつかない。
各施設はコモラフの中心核の下に何マイルにも渡って伸び続ける螺旋状の迷宮に存在する。その迷宮は、ラカルスとその側近だけが知る小領域の全体に及んでいる。
こうした悪夢の工房にて、〈預言者団〉の熟達したハモンキュラスたちはホルモン濃縮、筋肉増強、骨格の異常発達などの実験に勤しむ。ハモンキュラスは、自分を裏切ったデュカーリを捕らえ、その肉体を無惨に変形させてゆくことにたまらない愉悦を覚えるという。
〈預言者団〉の増え続ける創造物には、極限まで破壊力の高めた肉体を与えられ、ロボトミー化された「グロテスク」や、半分は機械、半分は生体の拷問機動兵器(ペインエンジン)である「タロス」、「クロノス」などが存在する。
【禁断の力】
コモラフでは、「異能力」(サイキック)を操る活動が厳重に禁止されているのにもかかわらず、〈肉塊の預言者団〉の構成員の多くはこの分野へと手を出している。自らの残虐行為の影響を解釈して宇宙の真実を学び取ろうと試みているという意味では、彼らは自身の研究において正確であり、また勤勉である。
真に優れた存在がより劣等なる序列の生命に対して示す乖離をもって、この者らは、ある紛争の精神的外傷が、戦場全体に精神的・時間的な「傷」を形成し、やがてこれまで以上に無軌道で逸脱した残虐行為を招く事を予見している。
【戦場への介入】
現実宇宙襲撃部隊に赴くデュカーリが、自軍にラカルスを迎えようとしたり、〈肉塊の預言者団〉の一員から自らが計画した出撃に加わる特権を得ようとしたりして競り合うと、それらはすぐさま同族間での致命的な衝突に変じる。盟約団が行う現実宇宙襲撃部隊が小規模なものであったとしても、一つの惑星の防御態勢を一掃する事は造作もない。
「反重力式輸送機体」(アンチグラヴ・トランスポート)を用いた小船団は、スパイクの打ち付けられた檻に、預言者たちの最新の創造物を収容して戦場に赴く。一方、ラックと脈動するペインエンジンで編成された歩兵部隊は、隠された空間ポータルを開くや否や戦場になだれ込む。
巨大な星間輸送機があらゆる報酬を、生ける戦利品を呑み込み、返り血と死骸だけを地表に残し、有益とみなされたあらゆるものを奪い取ってゆく。そうした残虐極まりない殺戮の鑑賞は〈仄暗き都〉の最強の強壮剤の一つだ。
ラカルスがそうした騒乱に注意を向けることはほとんどない。ただ、彼は自分のコレクションをいくつか増やせる機会が得られることと、それらが、彼自身が密かに抱く現実宇宙襲撃部隊の目的を隠す偽装工作の役に立っている事には、満足している。
太古より生きながらえる怪物であるラカルスは最近、盟約団を指揮して、〈人類の帝国〉が遺伝子工学の最新の成果として披露された代物を回収した。それは、人類の守護者「スペースマリーン」の中でもさらなる強化が施された兵士「プライマリス・スペースマリーン」であった。
生きたプライマリスの生体構成要素を、全スペースマリーン戦団から回収し、完全なコレクションとして完成させる日も近いだろう。ラカルスは、筆頭大賢人「ベリサリウス・カウル」の味気ない努力の成果よりも、皇帝自身が創造した苦心の賜物が数千年に渡る劣化の末に多様な変異や堕落を生じていることを研究対象にして、それらにはるかに深い興味を抱いている。
〈肉塊の預言者団〉の一員たちは、コモラフないとハーレクィンの両勢力の好意を最大限に利用して、イヴライネと、彼女が率いるインナーリの弟子たちの居場所を突き止めようとしている。これが、純粋にヴェクトの要請によるものなのか、あるいは〈死者の神〉インニアードだけがもたらす洞察を得ようとしているものなのかは、定かではない。


  • 「〈暗き訓え〉(ダーク・クリード)」

【概要】
教父は宇宙の根本原理の一つだ。〈暗き訓え〉のおぞましき眷属は、この盟約団こそは恐怖を飼い慣らし、それを制御する術を極めた存在なのだと主張する。
彼らが作り上げた肉質の鞘から飛び出てくる怪物は、皆どれも想像を絶する恐怖の権化だ。盟約団が最も重視するおぞましき美的感覚に従って造化され、変貌しているからだ。
定命なる者たちの理解を超えた不気味な手段で、生きとし生けるものが抱く恐怖をはるか彼方から嗅ぎ取ることは、〈暗き訓え〉にとって洗練の極めだと言えよう。現在盟約団の恐怖統計の専門化には、かつてない需要が生じており、特別な暗殺計画が練られた場合、そこには文字通り心臓が止まるほどの恐怖が盛り込まれる。
〈暗き訓え〉のハモンキュラスは、標的がただならぬ展開に狼狽し、その果てに死に至る演出を好む。そのおかげで盟約団には、マンドレイクと定期的な協定を結ぶ必要が生じたという。
盟約団にとって、捕虜は大きなコストの発生源となるが、このおぞましき盟約団自体が、一般的な想定以上に捕虜を必要とするのが常であるにしても、〈暗き訓え〉の支配者たちはそのコストを喜んで支払うだろう。というのも、捕虜が抱く生々しき恐怖という感情は、怪物たちにとって抗いがたい欲望の源であり、また忠誠心を保たせるための糧でもあるからだ。


  • 「〈十二の盟約団〉(コヴン・オヴ・トゥエルブ)」

【概要】
巨大な刃を振るう殺戮者、嗜好にして生来の暗殺者、〈十二の盟約団〉のハモンキュラスたちは、常ならぬ過程を経て、鮮血で赤く染めた手を振るう誇り高き剣士の集団へと自らを昇華させた。この血生臭い集団を構成するハモンキュラスの数は、十一人に限られている。
評議会の議席は儀礼上、ウライエン・ラカルスを招待した際の席として、普段は空席となっているのだ。この盟約団において上位への昇格を目論むならば、あらゆる意味で「排除」を遂行する必要がある。
すなわち、上位者の抹殺を果たすことが唯一の手段となるのである。この無慈悲なる機構は、盟約団の有するラックの兵団にも容赦ない哲学を育ませる結果をもたらした。
「力を望むならば、力ある者を殺せ」これによってハモンキュラス自身も、配下の者には警告なしに罰を与え、常に背信を警戒し続ける必要から逃れられなくなったのだ。
ハモンキュラスたちは、常に同輩よちも一歩先んじることを求め、互いのわずかな弱みも見逃さぬように監視を続けている。不運なる獲物は、現実宇宙襲撃部隊のさなかに、この緊張状態がもたらす余波を受けることとなる。
さらにそれは意識の浸出さえもたらし〈十二の盟約団〉が生み出した、仮初めの知性を持つ怪物らにも影響を与えている。


  • 「〈黒き裔〉(ブラック・ディセント)」

【概要】
悠久の時をまたぐ忍耐力と、蜘蛛の狩猟本能とを併せ持つ盟約団〈黒き裔〉は、遠大な計画を立て、それを蜘蛛の巣のごとく広げてゆく。その罠や策略は闘技場を席巻する魔女団からも高い評価を得ており、観衆からも満場の驚愕の悲鳴や絶叫が絶えない。
それは無限の可能性を湛えた宝庫であり、実験で迎えられるが、そうした見た目に派手な仕掛けは、騙されやすく派手な舞台に付き合えるだけの裕福な者だけのためのものだ。〈黒き裔〉を構成する者たちは、偽装された標的や罠と撒き餌を用意し、そこへ陥った者に然るべき破滅をもたらす。
そうした戦略計画は、時として千年単位で遂行されるものがあるという。彼らの現実宇宙襲撃部隊は綿密に計画されたもので、通常は盟約団の獲物をあらかじめ用意された領域へと誘導するパターンが多い。
その領域は歪んだ皮肉や悪意によって獲物に選ばれた劣等種族を完全に恐怖と混乱に陥れるのみならず、凶悪な独創性の産物である罠も仕掛けられている。しばしば用いられるのは、獲物の皮膚を選択的に焼き尽くす神経電撃の猛放射や、あらかじめ拡散された遅効性の変異源だ。
それによって途方もない突然変異を引き起こした現地の植物が、棘のシャワーを放つなどして、獲物に思いがけぬ攻撃を放つのだ。そうした悪意と恐怖の発露を好むアーコンは〈黒き裔〉とともに現実宇宙襲撃を行うことがある。
その際は、この盟約団が綿密に計画した襲撃計画の、過剰とも思われるほど入り組んだ演出を邪魔し、繊細なハモンキュラスの逆鱗に触れぬように注意する必要があるという。


  • 「〈呪禍〉(ザ・ヘックス)」

【概要】
〈失墜〉の後に続いた暗き時代以来、〈呪禍〉は「呪い」を編みだすことに特化してきた。それらの大半は凶悪にして奇怪なるテクノロジーの産物だが、あまりにも高度かつ洗練された使用性、機能性のために、劣等種族の目には魔法としか映らない。
とはいえ、この盟約団が好んで用いる「呪い」のいくつかは、真の超自然的なレベルに達している。かつて「ガラス化病」を開発したのは〈呪禍〉だった。
一度〈仄暗き都〉に蔓延したこの疫病は、感染者の全身を透き通るガラスへと変えてしまうのだ。〈呪禍〉の構成員たちは、自らを傑出した肉塊の芸術家だと認識している。
この者らの研究は神秘の銃の開発にもつながり、盟約団の名を冠した“呪禍の長銃”(ヘックスライフル)は、今日に至るまで、上質を知る暗殺者らに好んで求める武器である。それらから放たれた恐ろしき銃弾は、幾人もの銀河の重鎮を物言わぬ姿に変えてきた。


  • 「〈永劫なる螺旋〉(エヴァー・スパイラル)」

【概要】
不浄なる堕落へと至る、捻じれたる隧道へと一歩一歩踏み込んでゆくことは、〈永劫なる螺旋〉のハモンキュラスにとって、いわば征戦のようなものだ。彼らはあらゆる存在を、個々人のみならず種族全体の規模で、より「おぞましき」ものへと変貌させてゆく試みを日々重ねているかのように見える。
事実、彼らの野望は、銀河系全体を凄惨きわまりないものへ貶めようとする境地へに達しており、穢れたエネルギーをありとあらゆる星々へと撒き散らしている。この者らは、健全なる恒星の光を生物の皮膚に腫瘍を生ぜしめる悪性の放射へと変換し、諸惑星の位置を微妙にずらして自然の相から占星術を行う種族に恐るべき破滅の運命を読み取らせ、異種交配で誕生させた恐るべき怪物を異次元から影の中へと侵出させてゆくのである。
〈永劫なる螺旋〉の構成員は、あらゆるハモンキュラスの中で最も献身的である。略奪、捕食、その他さまざまなおぞましき所業の果てに、自らが神格化されたことを信じ、不浄なる頽廃に進んで身を沈めているのだ。
だが、彼らは他の盟約団よりも影が薄くなることは望んでいない。それを回避しようと、より多大な苦痛を求めて「クロノス・パラサイトエンジン」を多数動員し、己が必要とする苦痛をできるだけ大量に補給しようとするのだ。


  • 「〈黒壇の棘〉(エボン・スティング)」

【概要】
盟約団〈黒壇の棘〉は極めて高性能の「タロス・ペインエンジン」を作り出すことで名高い。この多腕の拷問兵器は、一つ一つが〈黒壇の棘〉の誇る肉体加工技術と比類なき効率性を備えており、この盟約団とその周辺に限られた範囲ではあるが、いくつかの派生型の急増を呼んだ。
吐き気を催すようなペインエンジン〈黒の道化師〉がたった一体のみ現存する。同族殺しの機体から、三体一組で行動する無数の刃を装着した〈多嚢体〉に至るまで、〈黒壇の棘〉の技巧と美学の結晶は、戦場から闘技場、果ては個人所有まで、膨大な需要が存在する。
だが、〈黒壇の棘〉の名を真の恐怖たらしめているのは、戦闘用の強制注入薬剤をはじめとした様々な特殊薬品だ。タロスの武器は〈黒壇の棘〉が開発した特殊な毒に覆われている。
蛆虫を思わせる「ニクトヴェルミッド」の肉質から抽出される、ある種の秘薬は、犠牲者の肉体をキチン質の繭、あるいは蛹へと変えてしまう。これはニクトヴェルミッドの次世代を育むための、意識ある生きた苗床へと生まれ変わった犠牲者なのだ。



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主要キャラ

  • 「男爵サソニクス」


【概要】
腐り果てたコモラフの下腹部には、一人の戦士が潜んでいる・・・。あたかも残忍なる王のように、拠り所のない貧民たちに命令を下し、無法者たちの軍団を支配する者が。
彼は自らを”ヘリオンの首領”にして”中つ闇の王”、男爵サソニクスと名乗っている。現在、彼の影響力はコモラフの下層社会全域にまで広がっているという。サソニクスの許しが無ければ、いなかるヘリオンのギャング団も戦争に赴くことはできないとさえ噂され、またサソニクスの空中神殿の場所は各ギャング団のリーダーしか知らないのだと囁かれる。
かの男爵は、自らの素性や居場所を薄汚い秘密の帳(とばり)で覆い隠しているのだ。
【陰謀団からの独立】
サソニクスはかつて、陰謀団〈切り裂かれし眼球〉(スラッシュド・アイ)に属する貴族階級の一人であった。
彼は現実宇宙襲撃がもたらすスリルと興奮の虜となっており、飽くことなく襲撃を繰り返していたことで知られている。かの〈方舟〉(クラフトワールド)の一つである「アレイトック」襲撃に際して、サソニクスは敵の先見司(ファーシーア)を捕獲するのみならず、コモラフへの凱旋に際してこの事実を大いに公言した。
ここまでは〈切り裂かれし眼球〉を統べるアーコンである「サイスラクス」も許したが、その後サソニクスは、このサイカーを自らの邸宅に運ぼうとして陰謀団全体を危険にさらしてしまったのである。サソニクスは陰謀団からの追放を言い渡され、同じ陰謀団の仲間たちにエスコートされながら、〈仄暗き都〉の内奥部へと連行されていった。
腹の奥に煮え立つような憤怒を隠していたサソニクスは、チャンスが訪れるのをじっと待ち続けた後、狂戦士と化してエスコートたちを殺害し、都の下層部へと逃げ込んだのである。
【身をやつした狩人】
この日以来、サソニクスの首には高い賞金がかけられている。熟練の賞金稼ぎ(バウンティハンター)や異星の猟犬たちが彼を狩ろうと試みたが、彼らは一人また一人と、〈切り裂かれし眼球〉の尖塔群に逆さ吊りにされるのであった。
次に刺客として差し向けられたのは、「カバライト・トゥルーボーン」の精鋭たちだった。彼らはサソニクスを捕まえてサイスラクスの玉座の前に引っ立てるべく、〈仄暗き都〉のはらわたをえぐりながら突き進み、赤い血の道を刻みながら彼を追ったのだ。しかし、サソニクスはこの手強い追跡者からもどうにか逃げ切った。
このように、生き残りをかけて毎日のように過酷な戦いをくぐり抜けてゆくうちに、サソニクスは徐々にサヴァイバーとして名声を集めるようになり、真剣に彼に傾倒する者も現れ始めた。やがて彼は、ヘリオンのギャング団や陰謀団に対して恨みを募らせる者たちの間で、英雄視されるようになってゆく。
かくして男爵は、追放者や反抗者や伝統破壊主義者らを集め、粗末な軍団を作り上げたのだ。その後、一年間に渡る過酷な闘争の後で、ついに男爵サソニクスはサイスラクス家を跪かせることに成功したのである。
【未来を視る力】
男爵サソニクスには、今日にいたるまで、たとえ最も近い側近に対しても絶対に明かしていない秘密がひとつだけ存在する。血が染みついたサソニクスの外套(がいとう)には、呪物の類がいくつも吊り下げられているが、その中でもひとつにサソニクスが没落する原因となったあの先見司の一部が混じっているのだ。
クリスタルが鉱脈のように走るこの骨を血の中に浸すことによって、サソニクスはぼんやりとした未来の光景を見る。この力を使って、サソニクスは自分を狙う賞金稼ぎたちを返り討ちにしてきた。
同様に、男爵率いる飛行部隊が常に敵の一歩先を読む形で逃走先に回りこむことが出来る理由も、この力に起因しているのだ。男爵サソニクスは、戦闘上層部のアーコンたちが渋々ながら彼のヘリオン軍団に一目置かねばならない現在の状態を、大いに楽しんでいる。
「彼を通さずにヘリオンを雇うのはリスクが大きすぎる」と、アーコンたちは口を揃えて言うだろう。サソニクスがその地位を向上させて以来、ヘリオンギャング団の数々は交渉に応じるようになったが、彼らの忠誠心は”ヘリオンの王”たるサソニクスにのみ捧げられるからだ。
しかし、このアーコンたちも、サソニクスが諜報と脅迫のエキスパートであることまでは認識していないだろう。最近になって権力の座についていた支配者の何人かが、かつてサソニクスのヘリオンギャング団に属していたという事実は、絶対の秘密として隠蔽され続けているからだ。
「男爵は全てお見通しだ」・・・サソニクスは、そううそぶく。没落貴族からコモラフ下層社会の王へと上り詰めた彼の言葉は、おそらく正しいのだろう。



画像出典: コデックス「ダークエルダー」(codex:DarkEldar)第5版 P48 イラストより


  • 「リリス・ヘスペラクス」


【概要】
リリスは自他共に認める「グラディエーター・アリーナ」の覇者だ。彼女は同類たちの中で最も危険な存在であり、その白兵戦闘術は明らかに天才の域に達している。
リリスはまさに優美さの化身だ。そのしなやかな身のこなしは見る者を誘惑し、昂揚させ、魔法のように魅了するという。
彼女が全身を血に染め上げながら殺人を行う光景を見る権利は極めて高価で、絶大な財力を持つデュカーリにしか見ることができない。この類稀なる才能を持つサキュバスが直々に殺戮を繰り広げる光景を間近で見ることは、あらゆるカバライトにとって究極の夢である。
何故ならば、どれほど歳得たデュカーリであっても、その光景を見れば失われた精力と活力を再び取り戻すことができるからだ。
【肉食獣めいた芸術家】
彼女の猫撫で声は甘く柔らかいヴェルヴェットに例えられるが、リリスが口を開くことは滅多にない。何故なら彼女は芸術家(アーティスト)であり、政治家(ポリティシャン)ではないからだ。
いずれにせよ、彼女が発した言葉は常に、周囲に控える魔女団「不和」(ストライフ)の”侍女”(ハンドメイデン)たちによって一言一句たがわず実行される。彼女らはこの女主人が持つ完全無欠の美貌と、ほとんど超自然的な敏捷性に対して、常に羨望と嫉妬と敬意が入り混じったまなざしを向けているという。
現実宇宙襲撃の前夜、出撃の準備を整えるアーコンの広場にはしばしば、自らの手で選抜したウィッチの従者らを引き連れたリリスが、肉食のネコ科動物めいたしなやかな足取りで入り込んでくることがある。
【薬物を避けし狩人】
このようにして貴婦人(レディ)ヘスペラクスは、現実宇宙襲撃に乗り出す陰謀団を祝福し、ともに襲撃へと赴く。コモラフでは出会えないような強敵を狩るためだ。彼女は銀河でも名高い精鋭部隊や英雄に対して自らの力を試すことを大いに愛しているからである。
むろん、どんな相手と戦ったとしても、リリスは常に自らの専用ミュージアムに飾るための凄惨な戦利品をその手に握り、また自分の体からは血の一滴も流すことなく生還をとげてきた。例外といえば、血に濡れた彼女の刃だけである。
あらゆるカルトのウィッチの中で、リリスだけは唯一「戦闘薬物」(コンバット・ドラッグ)を用いない。熱狂的なリリスの信奉者でもあるカルト”不和”(ストライフ)のウィッチたちは「我らが偉大なる女主人は、戦闘薬物などに頼らずとも、ただ切れ味鋭い鋼の刃のみで敵を殺戮できるからだ」と語っている。
事実、リリスはありとあらゆる風変わりな武器の扱いに熟練しているが、彼女が戦闘時に最も頻繁に用いるのは、極めて簡素だが、完璧な均等がとれた二本のナイフだけなのである。
【リリスに向けられし疑惑】
ライバル関係にある魔女団(ウィッチ・カルト)のハーピーたちは、リリスの異常なまでの戦闘技術が、どこか超自然的なものに由来するのではないかとささやき合っている。いわく、リリスがハモンキュラスを懐柔して自らの血液をハイパーアドレナリンに置換したであるとか、幼少期から乳の代わりにステロイド・シリンジを吸って育ったであるとか、「バリオン物質」で作られた棺の中に並々と注がれた興奮刺激剤の液体に身を横たえて睡眠を取るであるとか、といった事実無根の噂だ。
しかし、真実は極めてシンプルである。彼女はただ、生まれついての略奪者(プレデター)なのだ。
リリスは白兵戦を何よりも好み、また戦闘薬物を弱者のためのものと見下している。戦闘薬物を使うと、必殺の一撃を命中させた獲物から血が流れ出るのを感じる時の、あの悦びがかき乱され台無しになってしまうからである。
興奮剤によって神経を汚された状態で、獲物が死に逝くときのあの吐息、あの極めて繊細な死のニュアンスを正しく味わうことなど、できるはずもなかろう。こうした化学物質による身体能力強化を拒むことは、グラディエーター・アリーナの世界では自殺行為にも等しい。
だがリリスは、戦闘薬物などに頼ることなく、ただ自らの脅威的な殺人技術だけで生き残り続けており、彼女の体は未だ見にくい傷跡などによって汚されてはいないのである。
【戦闘教条】
戦闘において、リリスはその二本のナイフだけでなく、自らの全身をも武器として用いる。絹のように柔らかく豊かな彼女の頭髪には逆棘やフックが編みこまれており、「イラグナェ」のウィッチたちが使うシャードネットのように敵の武器をからめ取って無効化することが可能だ。
また、彼女の長くしなやかな脚と剥き出しの素足は鋭利な刃物で武装され、指の爪も強化され研ぎ澄まされているため、爪先舞舞(ピルエット)式のキックで敵の喉をやすやすと切り裂くことが出来る。下級の戦士が相手ならば、たとえ12対1の戦力差があったとしても、リリスはものの数秒で敵全員を殺害するだろう。
彼女の刃はらせん状の軌跡を描き続ながら次々と致命的な一撃を繰り出し、殺戮を終えるとともに華麗な装飾楽句(フラリッシュ)のごとく静止するのだ。彼女の戦闘風景を盗撮した貴重な映像は、倒錯した暴力の味を耽溺してやまない者たちの手で収集され、コモラフやそれ以外の場所でも取引や交換などが行われているという。
その光景を見た者たちは異口同音にこう洩らすはずだ・・。「リリスが紡ぎ出す殺戮の舞踏を見て魅了されるのは、定命の者だけに限らないだろう」と。



画像出典: コデックス「ダークエルダー」(codex:DarkEldar)第5版 P49 イラストより


  • 「カラドラーク」


【概要】
カラドラーク。デュカーリの言葉で〈首を狩る者〉の名を持つこのマンドレイクは、仄暗きコモラフの路地に出没し辻斬りを繰り返す、まさに真の恐怖が肉体を持ったかのような存在である。
マンドレイクは影から出現する能力で有名だが、カラドラークは薄い影からも這い出すことができ、いつも狩ったばかりの獲物の生首を持っているという。
【虚ろなる首狩り】
カラドラークの外見的な特徴ときては、虚ろな眼窩と、通常の両腕に加えて鋭い爪を持った腕をもう一対持つことが挙げられる。これらの特徴がマンドレイクとしての生まれついてのものなのか、それともハモンキュラスの所業によるものなのかは、今のところわかっていない。
カラドラークは何の動機もなく手当たり次第に殺しているように見えるが、暗殺者として働くことでも知られている。彼は法外な報酬と引き換えに、依頼人が選んだ獲物の首を狩ることもあるのだ。
〈首を狩る者〉はしばしば、呼ばれてもいないのに現実宇宙襲撃に同行し、狙っていた敵の髑髏を一つ奪うと、現れた時と同じように人知れず姿を消す。カラドラークの恐るべき探索の旅が終わりを迎える時、果たして何が起こるのかを知っているのは、マンドレイクたちだけである。
【髑髏に飾られし隠れ処】
カラドラークは、その長く鋭利な刀で音もなく巧妙に犠牲者の首をはね、隠れ処である地下墓地(カタコンベ)へと持ち帰る。ここは広大な半球型の部屋があり、カラドラークはそこを住処にしているのだ。
その内壁には彼が狩った獲物の髑髏が、ありえないほどの精確さで部屋の中央を見つめるように並べられている。彼はその部屋の中央に設えた玉座の上で奇怪な黒い虫のように座り、狩ったばかりの生首から手際良く肉を剥がすのだ。
髑髏が出来上がると、〈首を狩る者〉はそれを手の中で転がし、髑髏の形をその長い指と鋭敏な舌で調べ上げる。髑髏が満足いくものではなかった場合、カラドラークは地面に散らばっている数え切れないほどの髑髏の残骸の中へそれを放り捨てる。
そしてこれを不機嫌な顔で踏み壊してから、もう一度新鮮な獲物を狩りに赴くのだ。もし髑髏が満足いくものだった場合、カラドラークは鋭い爪の生えた手を伸ばして、部屋の内壁に並んだ髑髏の顎と眼窩をしっかりつかんで足場とし、隠れ処の半球状の壁を慎重に上ってゆく。
そして、まだ髑髏が設置されていない一番上の輪の部分に、芸術家のように注意深い手つきでこれを差し込む。彼が望む髑髏が見つかるには十年に一度あるかないかのことだが、〈首を狩る者〉の隠れ処の内壁は、ほとんど髑髏で埋め尽くされている。
そして、隠れ処の中の空気には禁断の力が満ちているのだ・・。
【奇妙なる噂】
カラドラークが注意深く選んだ髑髏の中には、犠牲者の魂の叫びが封じ込められている。髑髏たちの空虚な眼窩は、生前とは程遠い形で、じっとカラドラークの隠れ処の中心を見つめている。
「集められた髑髏の視線がある一定の量を越すと、影を超えた次元への穴が開き、その中に潜む悪意に満ちた怪物たちがこちらを見つめ返してくるはずだ」・・とカラドラークの何人かの弟子たちは信じている・・。「髑髏たちが瞬きすることなく空間内の一座標を見つめている中、〈首を狩る者〉の玉座の上」にゆっくりと〈網辻〉(ウェブウェイ)の裂け目が開くであろう。そして、闇がまるで生けるもののように集うのだ。やがて影の領域を超えて現れた悪意に満ちし力は、新たなる漆黒の地獄を作り出し、仄暗きコモラフの最深部をその深淵へと叩き落とすであろう」と。
その時が訪れれば、全デュカーリはマンドレイクとその恐るべき眷属の真の力を思い知ることとなるだろう。その時こそ、〈仄暗き都〉はカラドラークの意のままに操られるのだ。



画像出典: コデックス「ダークエルダー」(codex:DarkEldar)第5版 P50 イラストより


  • 「スリスカス」

【概要】
星々の海を渡るアエルダリ・コルセアの宇宙海賊艦隊には、彼らが獲物とする惑星と同じくらい、実に様々な種類が存在する。例えば、ある者たちは名誉の掟によって自らを律し、またある者たちは無慈悲な残虐行為を繰り返しているのだ。
しかし彼らの中で最も気紛れで移り気な者は誰かと問われれば、それは間違いなく公爵「ドラヴェリアス・スリスカス」であろう。スリスカスは、敵の旗艦を美しく劇的に葬り去るためならば、たとえ自らの艦隊に属する全船舶を危険に晒すことすらも厭わない・・。
安全策を選ぶような臆病者は、誰の記憶にも留められることなく忘却されるのみだと彼は考えているからだ。それにもかかわらず、スリスカス率いる大海賊艦隊は、躊躇無く彼の命令に従っている。
海賊たちは皆、スリスカスが見せる異常なまでの熱狂の背後には鋼鉄のごとく強靭な意志が隠されており、その意志力を用いてこれまで数々の艦隊に死をもたらしてきたことを知っているからだ。
【宇宙海賊の誕生】
伝説によると、かつて公爵スリスカスは、コモラフで際限なく繰り返される勢力闘争に疲れ果て、この〈仄暗き都〉に留まって陰謀に怯えているくらいならばいっそ盛大に別れを告げようと考えた。彼は自分と同じような考えを持つ海賊船長たちを募って一団を組み、いつものようにコモラフ全域が大規模な内戦状態に陥る時期が巡ってくるのを、息を潜めて待ち続けた。
そして好機が訪れたと見るや、彼らは前代未聞の暴挙に出る。スリスカス一党は、三つの陰謀団(カバル)の戦艦を盗み出すのみならず、激しい戦闘を繰り広げながらコモラフの港の守りを突破して、見事に逃げおおせたのだ。
大切な戦艦を盗まれた三つの陰謀団のアーコンたちの怒りたるや、筆舌に尽くしがたいものであったが、もはや既に時遅し・・。スリスカスは虚空の彼方へと消え、二度と戻ってはこなかったのである。
誇大妄想狂であり凄まじい権力欲に燃えるスリスカスは、数千年以上にも渡って宇宙海賊〈天空の蛇〉(スカイ・サーペント)の総司令官であり続けている。星々の海を支配することは、自らに与えられた当然の権利であると言わんばかりに。
彼は百を越える異名や称号を持ち、公爵の名は「アルファ・プライム」から「オメゴン・ベルト」まで轟き渡っている。またスリスカスは、何をしでかすかわからない突拍子もない振る舞いで悪名高い。
魅力的でカリスマ性に溢れた名君のように振る舞っていたかと思うと、次の瞬間には他者の流血と苦痛に飢えた冷酷非情な暴君へと変わっている。
かつて「貴婦人マリス」は、そんなスリスカスを評して「モラルの欠片も無く、卑劣極まりなく、しかし交渉時には非の打ち所が無いほど完璧な装いを見せる男」と言ったものだ。
【歪んだユーモアセンス】
有名なエピソードがある。かつてスリスカスは、慈悲を求めてきた人類の惑星提督との間で、寛大にも交渉に応じる姿勢を見せた。だが、人類側が派遣してきた代理人がスリスカスの名前を誤って発音してしまった途端に彼は態度を豹変させ、この惑星の第一多層都市(プライマリー・ハイヴシティ)に暮らす貴族たちを全員抹殺したのだ。
スリスカスは、笑顔絶やさぬ放蕩者の顔から、突然冷酷無比なる殺人鬼の顔に変わることから、"蛇"(サーペント)の”の蔑称を囁かされてきた。しかしこの名が囁かれるのを聞くたびに、スリスカスは歪んだ喜びを覚えるのだという。
しかし、強力な毒を持つかどうかにもかかわらずスリスカスの危険さは蛇ごときの比較ではない。まるで蛇たちのほうがスリスカスにちなんで"蛇"と名づけられたかと思えるほどだ。
彼の歪んだユーモアセンスは大げさに称賛されているようだが、少なくともその一部は真実であり、公爵の側近である助言者たちも「スリスカスが最も喜びを覚えるのは、犠牲者たちが公爵の心に慈悲の欠片も無いその顔に絶望の表情を浮かべるときだ」と語っている。
犠牲者たちの心が壊れ、希望が絶望的恐怖へと変わる瞬間を彼は好む。彼の熱狂的信奉者の多くが語っているように、スリスカスは自らの"餌"と戯れるのが大好きなのだ。
際限なく肥大し続ける彼の権力と影響力ゆえに、スリスカスの行動は、年々その異常性を増している。公爵の肌は透けそうなほど白い雪花石膏(アラバスター)色を保ち続けているが、これは彼が下等種族と同じ空気を吸うたびに、その後で側室奴隷の一団に全身を完全浄化させているからだ。
彼が二回同じ服を着ることはなく、また全ての新たな衣服には、最近殺害したばかりの敵の一部が含有されているという。晩餐時には、毒への耐性を強めるために猛毒の仕込まれた食事を摂る。
スリスカスはしばしば哀愁を漂わせる物思いに耽るが、そんな時は虜虜囚たちの肌に壮大な詩を刻み付けることを好む。そして公爵の個人旗は、バッカの宇宙提督なら剥ぎ取った生皮をもとに作られている。
提督が指揮していた星区防衛要塞(セグメンタム・フォートレス)も膨大なる宇宙戦艦群も、スリスカスが用いる巧妙な浸透戦術と破壊工作の前では、何の役にも立たなかったのだ。
【台頭する追放者】
公爵スリスカスは、今なおデュカーリたちの間で極めて高い人気を博しており、それは仄暗きコモラフから追放された者たちにとっても同様である。かつて公爵が盗み出した三隻の旗艦も、今ではスリスカスの旗印のもとに集う無敵の巡洋艦(クルーザー)、海賊船(コルセア)、軍艦(ウォーシップ)などに囲まれているのだ。
現在のところ、スリスカスはこの動きを止めようとはしていない。稼ぎが悪くなってくると、"蛇"(サーペント)はしばしば周囲の仲間にも咬みつくからである。今のところ、彼は衛星軌道上からの襲撃を繰り返し続けており、裕福な惑星や高名な惑星の数々を恐怖のどん底に叩き落としている。
新たな大虐殺が起こるたびに、彼の伝説的名声は高まる一方である。


  • 「ドラツァール」


【概要】
俗世から隔絶された生活を送るインキュバスたちにとってさえ、ドラツァールの存在は謎めいている。彼の素性については、ごく限られたことしか知られていない。
彼は招かざる身でありながら、ある日唐突にインキュバスの大社(おおやしろ)へと侵入した。古のインキュバスの鎧を身に纏うこの侵入者は、行く手を阻む者たちを全て切り捨てながら、内なる聖所へと進み、社の主の長たる「ハイラーク」に戦いを挑んだのだという。
ハイラークはこの不遜なる新参者がインキュバスのしきたりを侮辱したことに激怒し、長の座から立ち上がってロウソクの灯りに照らされた円形闘技場へと入り、応戦の構えをとった。だが、ハイラークが確信していた自らの優位は、挑戦者が姿を霞ませるがごとく素早い動きを見せたとき、もろくも崩れ去ったと言われている。
ロウソクの灯りが頼りなく揺れる闘技場で、疾駆するドラツァールの姿を捉えるのは至難の業であった。決闘はものの数分で終わり、挑戦者はハイラークのバラバラになった死体をまたいで円形闘技場を後にしたという。
勝者の権利によって長の座につく資格を得たドラツァールであったが、彼はただ己の剣を振って、刃に付いた血を払うだけであった。
【謎の帳に包まれし剣士】
ドラツァールの謎めいた外見は多くの憶測と謎を呼んでいる。噂やゴシップなどがひとしきり続いた後、仄暗きコモラフに建つどのインキュバスの社にも、ドラツァールなる人物の名を知る者はおらず、また彼が身に纏う独特な古の武具を知る者もいないことが明らかとなったのだ。
ある者は「ドラツァールは、インキュバスの始祖たる、かの名高きアーラの化身である」と言い、またある者は「彼の鎧の中にあるのは朽ち果てた骨にすぎない」と語る。こうした噂の中で、さしあたり疑いの余地がないことが明らかになったのは「彼に挑む者たちがどれほど卓越した技量の持ち主であったとしても、決闘では常にドラツァールが勝者となる」ことであった。
彼がハイラークやクレイヴェクスの地位を要求したことはない。しかし、並々ならぬ技量を誇るインキュバスたちの中でさえ、ドラツァールは処刑執行人(エクスキューショナー)の地位にあり続け、死の化身として無慈悲なる技を存分に振るい続けているのだ。
【生きている剣】
劇的な登場を果たした瞬間から今日まで、ドラツァールはインキュバスの大社において不可欠な存在となっている。しかしながら彼が人前で言葉を発したことはなく、またその兜を脱いだこともなければ、食物を口にしたり眠りに就く姿を誰かに見せたこともない。
ドラツァールという名前すらも儀礼的なものであり、それはデュカーリの言葉で"生きている剣"という意味を持つに過ぎないのだ。会話の際に彼が示す反応は、時々わずかにうなずくか、その頭をかすかに傾ける程度であり、そうした仕草を見せるのも、最年長のインキュバスらを前にして多少の敬意を払うときに限ったものである。
他のインキュバスの社の長たちは、〈剣士らの主〉(マスター・オヴ・ブレイズ)を非常に警戒しているという。現在では高い地位に就いているものの、彼らもかつては一介の剣士に過ぎず、何らかの欠点を持つ定命の存在だったからである。
社の長たちの本来の名前と個性(アイデンティティ)はとうの昔に失われたが、その邪悪な心の中には、未だ小さな野心の炎がちらちらと見え隠れしているのだ。彼らの中でドラツァールだけがただ独り、感情や虚栄心に左右されることなく、孤高の存在として悠然と佇んでいる。
彼はただ殺すためだけに生きているのだ・・。それ以上でもなく、それ以下でもなく。
【戦闘教条】
ドラツァールは他のインキュバスよりも背が高く敏捷で、獲物をとらえるカマキリのごとき素早さで斬撃を繰り出す。彼の行く手に立ちはだかる敵は、デミグレイヴ二刀流の餌食となり、剣を抜く暇もなく戦死をとげるだろう。
ドラツァールは驚異的な疾駆能力を持ち、たとえどれほど激しい混戦の中でも、標的に向かって敵兵たちの間を駆け抜けてゆき、標的が刃を振り下ろすか銃の引き金を引くよりも速く、これを斬り殺しているのだ。ドラツァールの標的となった者は、直ちに己の信じる神に祈りを捧げるべきだろう。
その命はわずか数秒後には奪われているのだから。



画像出典: ボックスセット「ブラッド・オヴ・フェニックス」(Blood Of The Phoenix Set) ボックスイラストより


  • 「貴婦人マリス」

【概要】
まだ千年も生きていないのにもかかわらず、レディ・アウレリア・マリスはこれまでに何度となく、自分がアズドゥルバエル・ヴェクトの悪辣極まりない知性にも匹敵する唯一のアーコンであることを証明してきた。マリスは劇的な事件の数々を経て現在の地位へと上り詰めたが、それ以前の段階からすでに彼女の精神は精巧無比なる機械時計のように完成されており、まるで微小なる黄金の歯車で形作られた精密細工(ラティスワーク)がカチカチと動き続けているかのごとく思考を続けてきたのである。
彼女は狡猾この上ない本性を持つにもかかわらず、常に完全無欠の礼儀作法と物腰をもって振舞い、凍えるほど冷たいれいせつさと清楚さで、その危険で腹黒い意図を覆い隠し続けてきた。マリスの冷淡で高飛車な態度は、その家臣団や側近らの間にも広まり、模倣されている。機知に優れ、ウイットに富んだ者でなければ、彼女が率いる陰謀団(カバル)、〈毒の舌〉(ポイズンド・タン)への入団は認められないのだ。
【戦闘教条】
敵の動きを予測するマリスの能力とその正確さは、もはや超常的なレベルにまで達そうとしている。マリスの存在を快く思わない者たちは、彼女がサイキック的な能力を使っているのではないかと非難するほどだ。
しかしそれ以外の多くの者は、この予知能力が純粋にマリスの明晰なる頭脳によって導き出されるものだと信じて疑わない。彼女は敵からの攻撃がどこに対してどのように繰り出されるかを予知する優れた能力を持ち、そしてその対象は物理的な攻撃か、それとも政略的な攻撃かを問わないのである。
マリスは風変わりな刀剣や、カミソリのように鋭い刃を持つ鋼鉄の扇をはじめとする使って吼え猛りながら突撃してくるオルクの群を手際よく優雅に始末してゆくが、その光景を見たことある者は、彼女が戦闘だけでなく言葉の応酬においても同じくらい危険な力を持つことに気付くだろう。マリスが持つこの奇妙な予知能力について、彼女と敵対する者たちは他にも様々なエピソードを知っている。
かつて、貴婦人アウレリア・マリスはアズドゥルバエル・ヴェクトの側室の一人だった。コモラフの大暴君は彼女の持つ驚異的知性に気付き、自らの愛人にして重臣としてマリスを迎えたのだ。
だが、それからわずか十年足らずの間に、ヴェクトには新たな関心事ができ、マリスをうるさい虫のように扱い始め、彼女を自らの宮廷から追放したのであった。
【水晶の心臓】
マリスがこれを快く受け止めることはなかった。狂おしき憤怒に駆られたマリスは、最も忠実なる従者団を引き連れて、たちまちコモラフを後にし、〈網辻〉(ウェブウェイ)の中へと消えたのである。
この放浪の旅は、いわばマリスが自らに課した試練であり、ゆえに彼女はその先に何が起こるのかを予見することはなかった。やがて迷宮次元の深みにて、貴婦人マリスは純粋な光を放つ機知に富んだ知性体と接触を果たす。
その反実体的な怪物は、ほんのジェスチャー程度の動きを見せただけで、マリスの従者団を瞬時に全滅させてしまったが、彼女は臆することなくこの怪物と互いの意志力を衝突させた。この勝負に負けた側は、自らの心臓を相手に差し出す、という約束のもとに。
そして驚くべきことに、マリスはこの光輝く神々しき道化が繰り出してくる際限ない謎賭けに打ち勝ち、ついに大勝利をおさめたのだ。この知性体はクスクス笑いとともに消滅し、それまで存在していた場所には、一本の奇妙な刀剣だけが残されていたのである。
この剣の心臓部には握りこぶし大のクリスタルの塊が光を放ちながら脈打っており、またこの剣は自らの意志で動くようたった。いかなる代償を支払ってでもヴェクトに復讐を遂げるのだと、半ば狂気じみた怒りの虜となっていたマリスは、この奇怪な刀剣を掴み、自らの心臓を切り出して、それをこの正体不明の存在が持っていたクリスタルの心臓と置換した。
たちまち彼女の傷跡は再生され、モハヤ醜い傷跡は少しも残ってなどいない。クリスタルの心臓は、マリスの胸の内側で今もなお脈打っている。
【貴婦人の台頭】
かくしてコモラフへと生還をとげたマリスは、ゆっくりと、だが着実に、陰謀団〈毒の舌〉のアーコンとしての権力を取り戻していった。彼女の繰り出す権謀術数は誰にも看破されることはなく、いずれも精密なタペストリーのごとく完璧な因果関係を織り成してゆく。
マリスが行う現実宇宙襲撃は、真の恐怖として恐れられるようになっていった。マリスはまるで悪魔憑きのように烈しく戦い、敵の手の内を見透かし、さらには他の陰謀団の襲撃部隊さえも出し抜いて、常に最高の戦利品をせしめるのだ。
権力の階段を上ってゆく中で、マリスがこれまで微笑を見せたことは、一度たりとてない。彼女の表情からはただ、自分自身に対する絶大なる自信と、醜い権力闘争や脚の引っ張り合いに明け暮れるデュカーリたちに対する強い侮蔑の念しか読み取れないだろう。
ただ、周囲に誰もいなくなると、マリスは鏡の中に映った自らの姿を見て、はにかむように笑みを見せ、それからクスクスという忍び笑いを洩らし・・・それから突然、鬼気迫るような発作的な哄笑を響き渡らせるのだ。まるで二つの喉から同時に声が発せられているかのように!
現在では彼女と魂を共有することとなったあの正体不明の存在は極めて強力であり、この怪物の手助けを得ながら権力を強め続けるマリスは、ヴェクトの失墜へと繋がる鍵を握る最重要人物といえよう。そしておそらくは、コモラフそのものの運命も・・・。


  • 「ウライエン・ラカルス」


【概要】
ウライエン・ラカルスの名で知られるこの怪物は、想像を絶するほど歪みきった存在であり、彼はこれまでに何度もなく死と素性を繰り返し、その中で肉体改造の技術を芸術の域までに高めた。肉体改造学と彫刻的解剖学の天才である彼は、肉細工師(フレッシュクラフター)として伝説的名声を得るに至ったのである。
かつてラカルスは、仄暗きコモラフを背後から操る陰謀劇において中心的役割を果たす人物の一人であったが、現在の彼はもはや、権力闘争や特権的階級といったくだらない戯れ事には何の興味も抱いていない。ラカルスはただ、自らの倒錯した喜びを追求するためだけに存在を続けているのだ。
【肉体の芸術家】
ウライエンの萎びきった肉体は、デュカーリとして糧を得ることで若き日の栄光を取り戻す能力が、彼の中ではもはや失われて久しいことを暗示している。なにしろ、彼は数千年もの時を生き続けているのだから。
この長い時の中で、ウライエンは様々な理由で戦死をとげてきた・・・。ボルト弾、炎、刀剣、銃弾、毒、両断の祭具(イヴィサレイター)などなど・・・。この他にも数々の凄惨な最期を迎えてきたのだ。
だが、そのたびごとに、残されたウライエンの死体の各部位はゆっくりと成長と再生を開始して、ハモンキュラスの主のために新たな肉体を造ろうとする。ウライエンこそは肉体再生技術の開祖であり、複雑な外科手術的改造が施された彼の骨には、暗黒の復活を遂げるために必要な鍵が隠されているのだという。
ラカルスは死と生を隔てるヴェールを何度となく超えており、そのたびに自らの死を美味たる葡萄酒(ワイン)のごとく味わってきた。新たな死を経験し、新たな苦痛の絶頂を味わうたびに、彼の卓越した知性は新たな高みへと導かれるからだ。
【蝕まれし肉体】
しかしながら、この数百年間は、ラカルスの肉体に備わった自己再生プロセスが一部破損しているのではないかと思える状況が続いている。ここ最近の復活時に再生されたウライエンの肉体の一部は、以前よりも退化した特徴を持っているように見えるからだ。
このため、ウライエンの現在の外見は、非常に不気味でおぞましいものとなっている。例えば、彼の背中から突き出すように生えた人口脊柱は奇怪に歪み、嫌らしい笑みを浮かべた彼の顔は、なめし革のように固い肉の紐で自らの頭蓋骨に縛り付けられている。
また、ラカルスの体からはこれ見よがしに何本もの腕が生えているが、一部の腕は皮を剥かれて反機械化され、強引に腕としての機能を与えられている。また一部の腕は完全に退化して歪み、接近してくる者に対して、警告じみた弱々しいジェスチャーを見せるのみだ。
ラカルスの肉体には恒久的な再生能力が備わっており、彼の新陳代謝にも大きな影響を与えている。ラカルスが追った傷はひとりでに縫合され、信じ難い速度で回復してしまうのだ。
ラカルスはあらゆる類の負傷を歓迎している・・。特に戦場で受ける負傷は大歓迎だ。戦場での負傷は、自らの体組織をさらに強化することに繋がるような、思いがけない肉体再生をもたらす可能性があるからである。
【肉塊のサーカス団】
あるハモンキュラスが皆そうであるように、ウライエンの心には苦痛のシンフォニーを奏で続けたいという熱意が宿っており、その情熱の炎は衰えることを知らない。彼は戦闘用の様々な武器を装備している。
例えば、高い変異原性を持つ自らの体液を敵の肉体に注入するガントレットや、どんなに小さなかすり傷すらも致命傷に変える凶悪な刃物などである。だが、この堕落しきった悪鬼が持つ武器の中でも特に恐るべきものは、不明によろめきつつ肉塊収容所(フレッシュベン)から出てくる、あの吐き気を催すほど不快な彼の被創造物たちだ。
そこは恐怖の見世物小屋のような場所であり、それを見た者は誰であれ精神を蝕まれるだろう。返り血に染まったラックたちや、そびえるような巨体を持つグロテスクたちが、絶望と悲観の声をあげる肉の芸術品たちの間を歩き回り、その足元の血溜りでは貪欲なるハモヴォーアたちが身をくねらせているのだ。
この奇怪な怪物たちを行進させ、その先頭に立つのは、むろんウライエン・ラカルスその人である。彼はあたかも地獄のサーカス団長のように、これらの歪んだ怪物たちを率い、戦場という名の劇場で殺戮を指揮するのだ。
ラカルスはしばしば、陰謀団(カバル)や魔女団(ウィッチ・カルト)とともに物質宇宙へと赴く。戦場で自らの創作物を解き放ち、数々の傑作を大々的に世に知らしめるために。
どんな芸術家(アーティスト)にとっても、それを鑑賞する観客(オーディエンス)は欠かせない存在だからだ。ハモンキュラスの主たるラカルスが戦場に姿を現すと、彼に束の間の娯楽を提供して栄誉を授かろうと、デュカーリたちの間で極めて苛烈な競争が幕を開ける。
だが、ラカルスが巻き起こす”鞭打ち歯ぎしりに満ちた苦痛のカーニバル”よりも過激な見世物など、ほとんど存在しないだろう。



画像出典: コデックス「ダークエルダー」(codex:DarkEldar)第5版 P54 イラストより


  • 「アズドゥルバエル・ヴェクト」


【概要】
アズドゥルバエル・ヴェクトは、数あるアーコンの中でも最高位に立つトップであり、陰謀団〈黒き心臓〉と〈仄暗き都〉を牛耳っている恐るべき大暴君である。彼は生粋のコモラフ人だが、卑屈なる奴隷として生まれ、持ち前の狡猾さ、比類なき才能、情け容赦ない残忍さでコモラフの位階を駆け上がってきたのだ。
かの者はいわばコモラフの心臓部を蝕む腐り果てた腫瘍であり、銀河全域に張り巡らされた巨大なクモの糸の流心に居る黒蜘蛛である。過去何千年紀もの長きに渡って、〈仄暗き都〉を猥雑にして無秩序なる宇宙港から銀河的巨大都市へと作り変えてきたのは、この男に他ならない。
また、コモラフの貴族の名家全てを征服し、さらにこれら貴族の治める小領土全てを支配下に置くのも、やはりこのアズドゥルバエル・ヴェクトの鋼鉄の意志によって統治されているのだ。
ヴェクトという人物を極めて端的に表現するならば、史上最も知的かつ悪意に満ちたデュカーリといえるだろう。ミルクのように白い彼の肌には、どんなに小さな傷跡も存在せず、深淵のようにどす黒いその目は、彼の魂の憶測で燃える憎悪の炎が凝り固まって硬化したかのようだ。
ヴェクトが持つ頭脳の複雑性は、次元分裂図形(フラクタル)の辺縁か、あるいはティーンチ神の「水晶の迷宮」(クリスタル・ラビリンス)に例えられる。彼の精神の内部は、数百年単位の時間をかけて結実する計画と対策と策略によって形作られた、終わりなき宮廷のようだ。
何千年紀もの時を生きる者にとっては、たかだか百年など移ろいゆく季節の一つに過ぎないのである。ヴェクトに対する陰謀の芽は、その十倍も凶悪な陰謀をもって、ひとつ残らず摘み取られてきた。
またヴェクトに対して裏切りを企てた者は、一人残らずその計略を見透かされて、自らの身を破滅を迎えることとなったのだ。
【尽きる事無き権力欲】
ヴェクトはもともと下層階級の生まれであり、幼い頃に奴隷として売り飛ばされた。このため、現在でもデュカーリの貴族たちは、成り上がり者に過ぎないヴェクトの高貴さを認めようとはしないのである。
さらに彼は、デュカーリ社会での侮蔑の対象である人工子宮生まれの「ハーフボーン」であるため、周りからさらなる屈辱を受けることとなった。こうした恵まれぬ出自が、カミソリのように切れ味鋭いヴェクトの頭脳と、際限の無い征服欲、権力欲を生み出す原因の一端となったであろうことは、想像に難くない。
何故ならヴェクトが企てる計略は常に、彼が憎む特権階級の者たちの計略よりも、さらに鋭くあらねばならなかったからである。複雑に捻じ曲がった権力の位階によって逃げ場のない状況へと追い込まれながらも、ヴェクトは〈仄暗き都〉の内部に存在する階層社会の梯子を必死に這い登った。
彼の後ろには政敵の死体が累々と転がったが、狡猾なるヴェクトは決して自らの刃に血を濡らすことはなかった。彼は極めて用心深くまた用意周到であったため、そのような短絡的で直接的な行動を取ることはなかったのである。
それどころか彼は、コモラフの支配階層や競争相手、さらには自らが従える戦士たちにさえ、はじめのうちは大いに過小評価され見くびられていた。下賤な出自を隠れ蓑にして自らの能力を隠しつつ、ヴェクトは密かに力を蓄えていたのだ。
そして彼は、ついに自らの陰謀団(カバル)〈黒き心臓〉(ブラック・ハート)を設立する。この組織は、あたかも風前の灯火のごとく弱々しい炎として生まれたが、後には全てを焼き焦がす炎の嵐のごとき規模までに成長することとなったのだ。
コモラフの支配者たちが「この新興勢力は自分たちの地位を脅かす存在になるのではないか」と危惧し始める頃には、もはや全てが手遅れだった。ヴェクトの政略的基盤は、すでに揺るぎないほどに磐石となっていた。
孤立無援の状態にある小領土を一つまた一つと強制的に吸収しながら、ヴェクトは自らの勢力範囲を広げ続け、やがてデュカーリの版図全域を支配下に収めるに至った。最後に彼の前に屈した小領土は、”三度呪われし”「シャア=ドゥム」である。
ヴェクトは一切の慈悲も良心の呵責も無くこの小領土を徹底的に破壊し、無人の廃墟だけをあとに残した。こうして彼は、およそ六千年のも長きに渡る計略をついに完成させ、〈仄暗き都〉に君臨する究極の大暴君(シュープリム・オーヴァーロード)となったのである。
【支配体制の揺るぎ】
にもかかわらず、ヴェクトが〈仄暗き都〉に対して敷く支配体制はいささか緩和の兆しを見せ始めているが、誰もこの事実を声高に語ろうとはしない。この結果、下層社会の闇に潜んでいた者たちが、自らの手でチャンスを掴み取ろうとコモラフの表舞台に続々と現れ始めた。
また、ヴェクト自身が戦場に赴き、自らの敵に対して単刀直入な方法で報復攻撃を繰り出す頻度も、これと同様に増えてきているようだ。究極の大暴君の怒りの矛先は、〈仄暗き都〉の中だけに留まらない。
年々、ヴェクトが現実宇宙襲撃に乗り出す頻度は増し続けている。一部の者たちは「数千年間に渡って酷使されたヴェクトの肉体は、もはやいかなる手段を使っても若返らせることなど不可能」と確信しており、また一部の者たちは「ヴェクトと同様の地位にある者たちは、彼の鎧に致命的な隙間を発見している」と囁く。
これらの噂が何を意味するについては、様々な憶測が飛び交っている・・・。「ヴェクトはもはや支配者としての成功に飽いたのだ」・・・「彼は人生そのものに倦み疲れたのではないか」・・・「いや、ヴェクトは自分自身をギャンブルを行うかのように無防備な姿をさらし、敵からの挑戦を誘っているに過ぎない」あるいは「そもそもこうした噂こそが、政敵にその正体を現させるための新たな策略なのではないか」と。これらの中で、ただ一つだけ確実なものがあるとすれば「いかなる理由にせよ、ヴェクトが倒れれば〈仄暗き都〉は激しい内戦の渦に飲み込まれる」という説だろう・・。
【大暴君の復讐】
第41千年紀の末期、〈仄暗き都〉コモラフに、アエルダリの「イヴライネ」がインニアード神の力を授かり、インニアードに仕える巫女となった。そのサイキック的な衝撃により、コモラフには〈渾沌の領域〉から数多くのケイオスディーモンが襲来してきたのだ。
ヴェクトはすぐさま陰謀団を結集させてこれらディーモンに対する反撃を行い、コモラフの心臓部崩壊は免れた。しかしその直後、ヴェクトはそのどさくさに紛れて襲いかかってきた正体不明のマンドレイクに斬られ、死亡してしまう。
ヴェクトの死後、ハーレクィンの中でも謎多き気まぐれな仮面劇団によって彼の葬儀が行われた。そこには彼の友人や敵である多くのアーコンが参列したが、しかし葬儀の終盤、仮面劇団はいきなり参列者を虐殺してしてしまう。
悲惨なる惨劇後、仮面劇団は参列者の血を利用し、なんと儀式によってヴェクトは完全なる復活を遂げた。しかも、以前のヴェクトとは違い、新たな力を得て生まれ変わったのだ。
大虐殺の後、ヴェクトに忠実な者たちは完全な状態で復活し、そうでない者たちはヴェクトの意のままに操れる醜い姿を持った怪物の容姿を持つ奴隷として生まれ変わり、永遠に嘲笑される対象となったのである。自らを“生けるダークミューズ”として宣言したヴェクトは、それだけでは彼は飽き足らなかった。
ヴェクトにとっての一番の脅威は、コモラフを壊滅寸前まで追い込んだ「イヴライネ」であり、彼はインナーリの計画を潰すために様々な刺客を彼女らに送り込んだのだ。ヴェクトの復讐劇は始まったばかりだ。



画像出典: コデックス「ダークエルダー」(codex:DarkEldar (3rd Edition) revised)第3版改訂版 P37 イラストより


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デュカーリの兵種と兵器

デュカーリの陰謀団や魔女団、盟約団にはおぞましき狩人や殺戮者が苦痛と獲物を求めて襲いかかってくる。権力欲に飢えたギャングや屠殺を愉しむ女戦士、そして肉体改造を行うマッドサイエンティストなど、デュカーリの戦士たちは名状し難き者たちばかりだ。
そしてそれらの戦士達を支える様々な武器や兵器は、デュカーリたちの狩りをさらに残酷でかつ凄惨なものへと変えてゆくのである。
苦痛と嗜虐を求めしデュカーリの戦力についてはこちらを参照されたし。


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「下等種族を見ていると、嫌悪に満たされる。自らの知恵だけを頼りに生き、哀れなほど短く、全く意味のない生活を送っている。我が生きている間、奴らは何世代移ろっただろうか?その答えは我の注意の及ばないところにある。だが我の技術を正しく応用すれば、この哀れな存在はそれぞれ、永遠の苦しみさえも耐えうることができるようになるのだ。そして悲鳴を通じて、奴らの価値を我に示してくれる。」

肉体の預言者団のマスター・ハモンキュラス、ウライエン・ラカルス



追記・修正を行う際は、コモラフ人(びと)の方でお願いします。


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  • ありがとうございます!読めて嬉しい! -- 名無し (2020-12-21 19:05:15)
  • そうであることが死活問題とはいえ「無慙無愧」という言葉にぴったりな奴ら -- 名無しさん (2021-04-21 01:26:00)
  • 昔のアポカリプスのルールで、他の勢力は同胞を信頼してる(オルクやケイオスでさえ)のに、こいつらだけお互いを信じていない扱いだから、筋金入りのパラノイアなんだな -- 名無しさん (2021-08-31 22:10:53)
  • こんだけ御無体な連中なのにケイオス側じゃないんだ……。なら本場のケイオスってどんだけ!? -- 名無しさん (2021-09-01 20:16:20)
  • ↑ 人間の魂は死んだら人格が曖昧になるから、ケイオスの奴隷にされてもそんなに酷じゃないけど、デュカーリの魂が死んだら、人格残ったままケイオスの奴隷になるから、嗜好は同じでも根本的に相容れないところがある -- 名無しさん (2022-03-15 20:34:12)
  • オルクと潰しあってろよ… -- 名無しさん (2022-04-17 17:03:47)
  • オルクの生態から、1体でも死体がコモラフに入ったら、制圧できても永遠にオルクに悩まされないといけないのかな? -- 名無しさん (2022-09-28 13:45:10)
  • 昔の設定だと「オルクは苦痛をほぼ感じない」というのがあったはず。これがまだ生きているなら、デュカーリが積極的にオルクと戦う理由は薄いかと。あとコモラフでオルクが1体でも死んだら確実にオルク軍団との消耗戦になる。なにしろ恐怖の眼の内部ですら繁殖する連中だから。 -- 名無しさん (2022-09-28 20:25:15)
  • 実は第38千世紀に網辻経由でコモラフにオルクの群れにカチコミかけてきた模様。けっこうな損害を負ったけど捕虜のオルク10000人を闘技場の盛大な見せ物に使ったらしい。 -- 名無しさん (2023-06-01 20:42:01)
  • ドラツァールもフェニックスロードの可能性がでてきたな -- 名無しさん (2024-02-20 13:29:21)

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