登録日:2020/10/03 Sat 20:42:17
更新日:2024/05/23 Thu 10:33:23NEW!
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角川書店 ネット配信 京極夏彦 多田克己 村上健司 民話 昔話 桃太郎 うんこ 屁 食糞 肛門 下ネタ これはひどい 日本はじまってた アニヲタ昔ばなし クソ項目 ツッコミ所しかない 下品 閲覧注意 ひどい民話を語る会 妖怪馬鹿
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京極夏彦 談
ひどい民話を語る会とは、角川書店の季刊誌『怪と幽』によるインターネット配信イベントの名称である。
イベントの正式名称は『怪と幽Presents ひどい民話を語る会』。2020年のシルバーウィーク初日に当たる9月19日に配信された。
概要
『怪と幽』では、前身に当たる『怪』の頃から毎年読者を対象にイベントを開催していた。
1996年から東京、京都、鳥取、岩手、徳島など本州を中心に日本各地で開催されており、
水木しげるを筆頭に荒俣宏、京極夏彦、宮部みゆき、場合によっては俳優の佐野史郎、『怪談レストラン』などで知られる松谷みよ子、『クレイジージャーニー』の佐藤健寿、アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』の出演声優や脚本家といった錚々たるメンバーが出演している。
2020年も夏や秋にイベントが行われる予定だったのだが、全て新型コロナウイルスの影響で中止となってしまい、
これらを楽しみにしていたファンのためにオンラインでのイベントが開催される運びとなった。
その記念すべき一発目がこれである。
これまで、上述したような豪華出演陣が登壇する大規模なイベントはニコニコ動画で中継されたり後日YouTubeに動画がupされていた。
しかしながら京極夏彦、多田克己、村上健司という俗に「妖怪馬鹿」と呼ばれる三人だけが登壇する小規模なイベントは
『怪』誌上にレポートが載る程度で今までネット配信される機会はなかった。
それをネット配信、しかも『怪と幽』の読者以外でも視聴が可能というのは初の試みであり、運営側も今後イベントを開催するにあたってのモデルケースとして力を入れていたようだ。
でもタイトルは「ひどい民話を語る会」。
一応冒頭の京極氏の発言にある通り、お化けに関係するイベントではあるのだが……。
出演者
京極夏彦
「ほとんどの民話って、盛ってるんですよ」
小説家・意匠家。お化け友の会肝煎でもある。
六歳の時に病床で民話の本を読んで以来、五十年以上ずっと日本各地の民話を追い続けているとのこと。
氏について詳しく知らない読者は、代表作である『百鬼夜行シリーズ』の登場人物である中禅寺秋彦のイメージを重ねてしまいがちだが、
実際には氏自身が昔からインタビューなどで答えているように素は同シリーズに登場する榎木津礼二郎の方である。
案の定、めちゃくちゃ楽しそうにひどい民話を披露していく。
これまた前々から本人がホームページ等で語っていることだが、バイプレイヤーとしてのおじいさんが大好きらしく、隣の意地悪なじじいが出てくる話は特に嬉々として語る。
くっだらない話が兎に角大好物で、話が進むにつれどんどん声が弾んでいく。
多田克己
「CMなんで入るの? なんで入るの?」
妖怪研究家。
この日のために図書館に入り浸って各地の民話を調査してきたらしい。
一度でもイベント等で本人を見たことがある人ならお分かり頂けるだろうが、
氏の言動は氏がモデルとされる多々良勝五郎先生と全く同じである。
そのため普段は暴走気味なのだが、今回は京極氏がメインで喋り倒しているためかややおとなしめ。
上記の発言は、進行表に載っていたMCという単語をガチでCMと勘違いして疑問を呈していた時のもの。
しかも配信終了間際での発言である。
村上健司
妖怪探訪家・ライター。
会場にはお化け友の会の半纏(京極氏デザイン)を着用してきていた。
自宅から大量に付箋を貼りつけた書籍を持ち込んできており気合いは十分。
曰く「色々と民話集を漁ってみたんですけど、艶話はひどいです! 多いしひどい」
しかしながら誰でも視聴可能なのにエロはマズいだろうという判断から、エロとは違う方面の下ネタを中心に進んでいくことに……。
似田貝大介
「このイベントはサクラザワと……ところざわサクラタウンにある、えーと」
『怪と幽』編集長。
でも上記の発言の通り、自社の施設の説明すら上手くできない困ったちゃん。
CM……もといMC担当だが上手に進行できていたかは疑問が残る。
と言うか某局のトーク番組に出演した際も他の出演者と比べてパンチに欠けていたのを見るに、トークは苦手な模様。
『虚実妖怪百物語』にも平社員時代に出演している。
紹介された民話
正式なタイトルが不明のため、仮称のものも含まれます。ご了承下さい。
また、この先『えの素』にも負けないレベルの下ネタが多くなるためそういう内容が苦手な方はどうかご注意下さい。
誰が話したかは色で分かるようになっています。
ぼぼ太郎
かの有名な『桃太郎』の、日本各地に伝わるバリエーションの一つ。
「ぼぼ」とは九州方面で女性の陰部を指す方言。しかしこの民話は九州以外に伝わっている。そのくせ使われている意味は九州と同じ。どういうことなの……?
おばあさんが妊娠中という、最初期の桃太郎伝説に則った内容のため川から桃は流れてこない。しかしおばあさんは川へ洗濯に行く。
そこからどう話が転ぶのかと思いきや、なんと洗濯に向かう途中岩を跨いだ瞬間に男の子を産み落とす。
その瞬間を目撃したおじいさん、男の子の名前を「ぼぼから生まれたからぼぼ太郎」と命名するのだった。
「子どもを産んだら全員そうじゃないんですかね」
「人から生まれた人太郎みたいな」
「母から生まれた母太郎みたいな」
日本民俗学の父・柳田国男は各地の桃太郎伝説を蒐集した『桃太郎の誕生』という作品を発表しているが、
この話に関しては「いくらなんでも作りだろ……」と判断して同書への収録を見送っている。
が、京極氏曰く本当に民話として複数個所に伝わっているわけで……。実際のところどうなのかは今もって不明。
つらら女、アマビエ
民話というものは語り継がれていくうちに内容が変化していくものである。
が、中には伝承が残っているとされる地域にそんな伝承は微塵も存在しないというマジの捏造パターンも見受けられる。
例えば東北地方を中心に伝わっているとされる「つらら女」という妖怪の伝承。
実際にその地域で古くから伝承されているのは「雪女」の伝承のみで、「つらら女」という妖怪はどこにも存在しない。
これについて京極氏は、「雪女を風呂に入れたら面白くね?」という発想から誰かが雪女の伝承を改変し話し始めたところ、
それが周辺地域に広まるうちに話のオチの部分からつらら女という名称が生まれたのではないかとする仮説を立てている。
また、近年有名になった「アマビエ」という予言獣だが、今の熊本県に出現したとされるも現地にそんな伝承は一切ない。
そもそもアマビエ出現のソースは当時の瓦版一枚のみであり、別地域の「アマビコ」という妖怪の誤記であるとする説が研究者の見解となっている。
犬聟入
福井県に伝わる異類婚姻譚。
むかしむかしあるところに不精者の母親がいた。
彼女は小さな娘を厠まで連れて行くのを面倒臭がり、その辺で糞をさせていた。
さすがにそのままだと問題があるので、母親はあろうことか犬に糞を食べて処理するよう命じた。
「この段階でひどくないですかね」
母親は犬に対し交換条件として、娘が成長した暁には嫁にやると宣言。
時が経ち、美人に成長した娘は約束を守り犬と結婚する。
「自分の糞で育った犬と添うってどういう気持ちなのかよく分かんないけど、これひどいでしょ」
山に新居を構えて犬と二人で暮らす娘。犬は里で物拾いをやって金目の物を見つけることで娘を養っていた。
ある時、唐突に犬に嫉妬した猟師が現れて犬を殺害し、強引に娘を寝取ってしまう。
娘は甲斐甲斐しく猟師に尽くしたが、その献身に油断した猟師は娘に自分の髭を剃らせている隙に剃刀で喉を切られ死んでしまった。
その後娘は亡き犬の菩提を弔って一生を送るのであった。めでたしめでたし。
「めでたいのかなあ……」
実はこの話、兵庫県に類話が存在する。
そちらでは猟師が薬売りになっており、しかも薬売りとの間に七人もの子どもをもうけている。
後は全く同じ展開となり、薬売りは娘に暗殺されて終わる。
「これ僕、たとえば小説にしろって言われても困っちゃう」
「誰にも感情移入できない感じですよね」
逆さ犬
岩手県浄法寺町に伝わる民話。
ある夜、一人の男が道を歩いていると向こうから犬が吠えながらやってきた。
男は吠え掛かる犬の口に拳を突っ込むと、腕をくるりと返す。その瞬間、犬の皮が裏返ってしまった。
肉むき出しの状態で真っ赤になった犬は、ワンワン吠えながら来た道を戻っていったという。ペンタゴンとブラックホールかよ
「これどういう話なんだろうと思って……(苦笑)」
「豪傑譚としてもなんとなくこう釈然としない」
病草紙、今昔物語集
京極氏の話に関連があるのではと紹介された。
平安時代の絵巻物『病草紙』には、
京の都の犬は食べるものが何もないので人糞を食べるから糞臭いとの記述がある。
また、仏教説話集である『今昔物語集』には天狗が糞臭いとの記述が見られる。
天狗の「狗」は犬を指す古語なので、やはり何か関係があるのではと多田氏は見解を述べている。
焼酎の話
奥備中(岡山県北西部)に伝わる民話。
むかしむかし貧乏で年が越せない老夫婦が暮らしていた。
おばあさんが厠で用を足す際の尿の音が、おじいさんには「しょう、しょう、ちゅう」と聞こえたのでなんとなく焼酎を売ってみたところ大儲け。
それを聞いた隣に住む意地悪じいさん、同じように自分のばあさんの尿の音を聞くが「しょう、しょう、ちゅう」とは聞こえず、焼酎を売っても大失敗に終わったという。
「隣のじいさんは大体ひどい目に遭うんです」
パナンペとペナンペ
アイヌ民族に伝わる民話。
パナンペ(本州の民話で言うところの正直じいさん)とペナンペ(本州の民話で言うところの意地悪じいさん)が出てくる一連の話の総称で、
正直者の話はちゃんと聞きなさいという教訓話。
基本的な流れとして、
パナンペの成功を聞きつけたペナンペが、食事の席でパナンペの話を聞く
↓
「それは俺が最初に考えたアイデアだ! 盗作だ!」とペナンペがキレる
↓
報復としてパナンペ宅の玄関に糞尿をまき散らす
ここまでがテンプレとなっており、後の展開は話の内容によって異なってくる。
● パナンペ、沖へ向かって肛門を開く
ある日漁に出たパナンペが沖に向かって己の肛門を向けながら「魚、来い」と唱えると、次々と魚が肛門に吸い込まれていった。
ペナンペが来て上記のテンプレをやらかした後、何故か山へ行って肛門を解放し虫を呼ぶ。
大方の予想通り大量の虫が肛門に吸い込まれていき、その中に混ざっていた毒虫に刺されてペナンペはつまらない死に方をした。
● パナンペ、氷に穴をあけてそこへへのこを差す
へのことは男性器のこと。
ワカサギ釣りの要領で勃起した逸物を穴に挿入したところ、面白いように魚が獲れた。
「アンコウみたいな」
ペナンペが来て(ry
ペナンペ、へのこを穴に挿入するも凍ってしまって身動きが取れなくなる。
そこへやって来たペナンペの妻、大漁だと勝手に勘違いした挙句ペナンペのへのこをマサカリでちょん切ってしまうのであった。
かくしてペナンぺはつまらない死に方をした。
「隣のじじいと隣のばばあはちょっと問題ですよ」
このへのこ釣りの民話は漫画『ゴールデンカムイ』でも紹介されているため、あまり民話に詳しくない人の間でも多少知名度は高いと思われる。
ピーピーヒョロヒョロジュージュープー
日本各地に伝わる『鳥呑み爺』または『屁ひり爺』と呼ばれる民話のバリエーションの一つ。
木こりのおじいさんが弁当を食べようとしたら小鳥が糞を落としていった。
おじいさん、何をトチ狂ったのか「まあ汚くないだろう」とそのまま弁当を平らげてしまった。
以後おじいさんのひり出すおならの音が、小鳥の囀りのように聞こえるようになった。*1
隣に住む意地悪じいさん、真似をして小鳥の糞を食し、
調子ぶっこいて殿様の前で披露したところ綺麗な音どころか実弾が飛び出してしまう。
濃厚なスカトロプレイを体験した怒りの殿様によって、哀れ意地悪じいさんは手打ちにされるのだった。
雁取り爺
青森県に伝わる民話。
屁が出そうなおじいさん、尻に栓をして何故か屋根に上りそこで寝っ転がる。
我慢できず屁をこいたところ、勢いよく飛んで行った栓は空を飛んでいた雁に命中し、これを射落とした。
その一部始終を目撃していた隣に住む意地悪ばあさん、欲を出して自分のじいさんに真似をさせる。
じいさん、屁をこくまでは良かったが栓は上ではなく下に向かって飛び、
屋根の下で待機していたばあさんを貫通して死に至らしめるのだった。
「なかなかひどい話ですね……」
「隣の人が真似して良いこと一つもないですからねえ」
猪鍋(仮称)
東北地方に伝わる民話で、かの有名な『花咲か爺』のバリエーションの一つ。
おじいさんの犬が急に喋りだすまでは同じだが、「ここ掘れワンワン」ではなく「今日はイノシシを獲るといい」という具体的な助言だった。
その助言に従ったところイノシシが獲れたので猪鍋を作り食べ始める。
そこへ隣に住む意地悪ばあさんが覗きに来たので、おじいさんは猪鍋を振る舞ったうえお裾分けまでしてあげた。
だが欲深いばあさん、帰宅途中に夫である隣のじいさんの分を全て平らげてしまう。
しかもあろうことか中身が無いのを誤魔化すために器に馬糞を入れてじいさんに差し出した。
じいさん、臭いが気になりながらも疑わず完食してしまう。
「ひどいねwww」
その後なんやかやで隣の犬を殺害し、以降『花咲か爺』と全く同じ展開が続く。
そして隣のばあさんは性懲りもなくじいさんに馬糞を食わせ、じいさんはやっぱり疑うことなく食べてしまう。
「何故自分の配偶者に馬糞を食わせるのかと」
「わざわざ食わせなきゃいいのに(苦笑)」
「破綻してますよね」
最終的には『花咲か爺』と同じで隣のばあさんは酷い目に遭うオチなのだが、
ここまでの展開を読んで頂いても分かる通り、隣のじいさんは悪いことを何一つしていないにも関わらず損しかしていない。
「隣のおじいさん、良いこと一つもないんですよ」
三人坊主
沖縄県に伝わる民話。親坊主・中坊主・小坊主という三人組の話。
上の坊主二人が畑で取れた芋を蒸かしておくよう小坊主に言いつける。
二人が留守の間に蒸かし芋を全てつまみ食いしてしまった小坊主は、代わりにうんこを用意する。
帰宅した上の坊主は二人とも気付かずそれを食べてしまうのだった。
「なーんで気が付かないんだよって」
「昔話の人ってみんなうっかりしてますよね」
さすがにブチ切れた上の坊主二人は、罰として小坊主を船に監禁し、そのまま海へと流してしまう。
別れ際に小坊主は「お前の心根が良ければ良い場所へ流れつく筈だ」とのメッセージを託されるが、流れ着いたのは鬼の棲む島だった。
「それ心根が悪かったってことね」
鬼の家族に捕まり鍋の出汁にされそうになる小坊主だったが、
つまみ食いしようと群がってきた鬼の子たちに食わせてやるから縄を解くよう指示を出すと、ついでに親の宝を持ってくるよう告げる。
鬼の子は馬鹿正直に「空が飛べるようになる服」、そして「憎い相手を必ず殺す枡」なる超絶チートアイテムを持ってくる。
小坊主、早速枡を使って鬼の子を皆殺しにし逃走。追ってきた親も容赦なく殺害すると空を飛んで二人の坊主の下へ帰っていった。
帰還した小坊主を上の坊主二人は暖かく迎え入れ、仲良く暮らしましたとさ。めでたしめでたし。
「糞食をさせられたことに対する恨みとかないわけだね」
銚子池由来譚
山梨県富士吉田市に伝わる民話で、『屁っぴり嫁』のバリエーションの一つ。
結婚式当日に嫁がやけにそわそわしている。嫁に理由を尋ねたところ、「おならが出そう」という返事が返ってきた。
姑の「恥ずかしがらず出せばいい」という言葉を受けた嫁はおならをするのだが、
ロケット噴射のような屁をこいて屋根の破風を突き破って飛び出し、嫁はそのまま池に落ちて溺死してしまう。
その時手に銚子を持っていたから、嫁が落ちた池は銚子池と呼ばれるようになったそうな。
吸い込ん屁
同じく『屁っぴり嫁』のバリエーションの一つ。
『屁っぴり嫁』という民話は、どの地域でも基本的に嫁が凄い屁をこいて風圧で人や物がすっ飛ぶという話だが、
実は放出した後に吸引が行われるという記述が多く散見される。ナンデ…
屁の直撃を受けて大根畑まで吹っ飛んだ姑、今度は大根とともに吸引され、その後放出 → 吸引を何度も繰り返して畑を行き来するうちに大根が全て抜けてしまう。
手で抜くよりも便利なのだが、満身創痍の姑の「身体が持たない」宣言により嫁は実家へ帰らされてしまう。
ちなみに地域によっては姑の髪が肛門に吸い込まれて抜け落ちるというパターンも存在する。
また、地域によっては自分をからかった相手を吸い込んでケツ圧で締め付けて懲らしめるというパターンも。
この『屁っぴり嫁』、実家への帰宅途中で木に生った実を取ろうとするくだりがテンプレとなっており、どの地域にも共通している。
基本は屁の風圧で落とすのだが、こちらでは吸引して実を取る。そして体内に入った実を打ち出して鳥を射落とす。
ついでに殿様からの褒美の米俵をも吸い込んでゲットする。
「おならって出すだけでしょ。一方通行じゃないんですか? そういう生理機能が備わった人が昔はいたんでしょうか」
「掃除機じゃないんですから」肛門にそんな機能ねえよ
屁合戦(仮称)
山陰地方に伝わる民話。
東のおなら名人が西のおなら名人の下へ対決にやって来るが相手は留守だった。
家ではおばあさんが留守番をしていたが、そのおばあさんも屁で床に敷いた筵をめくるほどの威力の持ち主だった。
「妻でこれなら旦那はどんだけヤバいんだ」と恐れをなした東の名人はそのまま帰ろうとするが、
それでも名人としての矜持からか帰り際に屁をこいて西の名人宅の屋根を少しだけ剥がしていく。
帰宅した西の名人、剥がれた屋根を見てマジギレ。
おばあさんから事情を聞いた西の名人は、手杵を屁で射出して帰宅途中の東の名人を狙撃し殺害するのだった。
涼み袋
高知県に伝わる民話。
土産物として涼み袋なるものが売られており、侍だか坊主だかがそれを購入する。
それはその名の通り袋の口を開けると涼しい風が吹き出す、今で言う携帯クーラーのような代物であった。
だが旅の途中でお供の丁稚だか小僧だかが中に入っていた風を全部使い切ってしまい、誤魔化すために己の屁を袋の中に封入する。
帰宅後、人々を集めて自慢しようと涼み袋を出すが、中から出てきたのはひどい悪臭。
「夏場だから風が腐った」という落語みたいなオチがついて話は終わりを迎える。
桃太郎のバリエーション
近年、様々な媒体で『桃太郎』のパロディが描かれ、中には鬼退治に行かないという展開も見受けられる。
だがそのような展開は、先人が既に幾度となく通った道だった。
西日本を中心に分布する桃太郎伝説の中には「山行き型」という名称で分類される、鬼退治に行かない桃太郎の話が多く存在する。
そもそもここで語られる桃太郎、桃から生まれたかどうかすら怪しい。
「まがいもんじゃないのそいつ」
一方、山陰地方には同じく「山行き型」としてこのようなバリエーションが存在する。
鬼ヶ島へ行かず山で野良仕事をするまでは同じだが、この桃太郎は山から松の大木を引っこ抜いて帰宅し、それで自宅を倒壊させてしまう。
瓦礫の下敷きとなったおじいさんは鍋の中に、おばあさんは米櫃の中に顔を突っ込んで窒息死という救いのない展開のまま物語は終わりを迎える。
これ以外の地域では、「山行き型」のバリエーションとして何かと理由を付けて野良仕事をサボるニート桃太郎が登場する。
山へ仲間と一緒に柴刈りに行っても寝転んで糞尿を垂らしながら惰眠を貪る桃太郎。
仲間に責められると逆ギレした挙句、大量の柴を持ち帰って自宅を倒壊させ、それで爺婆を殺害しその後は一生ニートを満喫したそうな。めでたしめでたし。
「めでたくないねwww」
他にも刈った柴を厠に置いておいたらおばあさんが躓いて腰を打ち負傷してしまい、
治療のために必要な鬼の生き肝を求めて鬼ヶ島へジェノサイドに行くというパターンもあるそうな。
● 東北地方の桃太郎
こちらの桃太郎はまさかの半グレで、おじいさんとおばあさんが揃って養育を拒否して家から追い出されてしまう。
で、行く当てもないし暇だから仕方なく鬼ヶ島へ鬼退治に行くという流れになっている。
「東北の方の桃太郎は、たぶん桃太郎電鉄が通るのが遅かったから――桃太郎が行くのが遅かったらしくて意外とダメなんですよ桃太郎」
他にも東北では、鬼に返り討ちに遭ったり家から出ずニートで終わるというパターンも存在するらしい。
● 厠の屋根葺き型民話
福島県東白川郡には、「厠の屋根葺き型」に分類される話が伝わっている。
この「厠の屋根葺き型」は、必ずおじいさんが天気が良いので便所の屋根を葺き直そうとする導入から始まるのが特徴。
作業中に暑くなって脱ぎ捨てた服が便器の中に落ちてしまい、それをおばあさんが川へ洗濯に持って行って桃を拾うという流れ。
珍しいパターンとして、おじいさん自身が便器に転落するパターンも存在する。
「厠の屋根葺き型」民話の中には以下のようなひどい話も。
テンプレ通り屋根に上ったおじいさんは、そこで豆を三粒発見する。
おばあさんがその豆を使って団子を三つ作るのだが、おばあさん、一人でこっそり二個食べておじいさんには団子を一個しか与えなかった。
怪しんだおじいさんは「うんこのこき比べをしよう」と提案、おじいさんがうんこを一つ出したのに対しおばあさんは二つひり出したので不正がバレてしまう。
真実を知りキレたおじいさんは、報復としておばあさんを便器に叩き込んだとさ。めでたしめでたし。
林檎の怪
秋田県角館町に伝わる民話で『柿男』のバリエーションの一つ。
独居老人宅に夜中怪しい男が現れて「うんこを食べさせてください」と懇願してくる。
恐れをなしたおじいさんが自分のうんこを差し出すと、男は嬉しそうに平らげてしまった。やはり年配の爺さんの糞は最高やで
そして男は、あろうことか「今度は僕のいかがですか?」と自分のうんこをおじいさんに食べるよう勧めてくるではないか。はよう糞まみれになろうぜ
おじいさんは根負けしてとうとう食べてしまう。こんなやり取りが連日連夜続いていくのだった。
「たぶん他の柿とか梨とかのように変な男がした排泄物はフルーティな味がしたんでしょうや。わしのもそうなの!? って誤解した可能性がありますよね」
「いやいや、ちょっとそれは(苦笑)」うんちっていうのは、まだ完全に消化されてるわけじゃないから、フルーティな味がするんだ
ある日おじいさん、今になって正気に返りこのままで良いのかと自問自答を続ける。
そこから導き出された結論として、おじいさんはやってきた男を問答無用で鉈で斬りつけた。翌朝、庭の林檎の木に大きな傷が付いているのを発見するのだった。
「植物だから肥料か」
「確かに村上君の言う通り肥料だと思えば理に適っているんだけれども、そこに至るまでの老人の心理の綾を考えるとね……」
「美味しかったんですかね」
糞を食って犬になる
石川県に伝わる弘法大師譚。
ある日のこと。弘法大師(と思われるお坊さん)は、托鉢先の親父に出したばかりのうんこを差し出されるという嫌がらせを受けた。
お坊さん、特に怒りもせず河原までうんこを持っていくと焼いて調理を始めた。「これは焼き味噌じゃ」
焼け糞の匂いに誘われて当のうんこした親父がその場にやって来ると、親父はそれを譲れとのたまいだした。
譲ってやった途端、親父はうんこを美味そうに食し、満足して帰っていった。
だが帰宅して縁側でくつろいでいた親父は、いつの間にか犬になっていたという。完
「ひどいねぇちょっとwwwどういうことなんだろ」
「私はここまでくるとね、ちょっと整合性をもって理解することが出来なかったですwww」
「これは素晴らしい話ですねwww」
「罰当たりにしてもこれはちょっとひどい仕返しじゃないですかね」
この話があまりにもひどすぎたため、村上氏は自分が用意していたひどい話を出せないまま配信が終了してしまった。
如何だったであろうか。
今回は話者三名が話の流れを一切修正しようとしなかった結果最後まで下ネタ全開の内容となったが、
他のジャンルでもひどい民話は腐るほどあるらしく、故に第二弾を期待するファンの声も非常に多い。
また、食糞する犬の話から食糞して犬になった話に帰結する京極氏の構成の妙にやられたファンも多かった模様。
当イベントの視聴者の中には『デジモンアドベンチャー』などの監督として知られる角銅博之もおり、
自身のブログにてイベントの感想を述べたうえで*2「3時間位はやってほしいですね」と絶賛していた。
その後の展開
後日、KADOKAWAのホームページにイベントのレポートが掲載されたのだが、
付けられていたタグはホラーだった。
確かにある意味ホラーではあるが……。
その後『怪と幽 vol.6』にもイベントの記事が掲載されている。
記事を担当したのは、『虚実妖怪百物語』のお蔭で一部では非常に有名なレオ☆若葉。生きていたのか。
村上氏との対談という形で記事を構成している。
その際村上氏から、イベントで語られた内容と同じことをやればお前も後世まで語り継がれるぞと煽られていた。流石のレオ氏も困惑しているようだったが。
『怪と幽 vol.7』ではイベントにて紹介された中から厳選した民話のオリジナル版、更にイベントでは紹介しきれなかった桃太郎のバリエーションを収録するという企画が行われており、公式も配信後の反響から確かな手応えを感じているようだ。
そして2021年8月14日、ついに待望の第二弾が開催された。
その名も『ひどい民話を語る会V3』。仮に次があるとしたらXか?
四人目の話者としてホラーや怪談を得意とする作家の黒史郎が参戦し、より話のバリエーションが増している。
前回、あまりにも下ネタだらけだったので今回は一部を除き下ネタが封印されているが、
その代わり残念すぎる人々を取り扱った話が非常に増えており、期待を裏切らない内容となっていた。
詳細は該当項目を参照のこと。
2022年10月28日には第二弾『V3』共々書籍として纏められた『ひどい民話を語る会』もKADOKAWAより刊行された。
書籍の帯やWEB紹介文には「※下品な話が苦手な方はご遠慮ください。」としっかり注意書きも明記されている。
1~7の数字もしくはsmallなどで指定してください。
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京極夏彦(書籍版「はじめに」より)
. 人
. (__)
.\(__)/
.( ・∀・ )追記・修正はあなたの地元のクッソひどい話を採録してからお願いします。
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▷ コメント欄
- 話の大半が食糞じゃねえかw -- 名無しさん (2020-10-03 20:49:07)
- クソまみれじゃねえか...至急メールくれや。 -- 名無しさん (2020-10-03 21:05:20)
- 犬が裏返る話ってぬ~べ~でもあったな -- 名無しさん (2020-10-03 21:15:29)
- なんでこんなに似たような話がもりもりと…ヘルシーな食生活を営んでいた昔の人のうんこはおいしかった可能性が微レ存…? -- 名無しさん (2020-10-03 21:39:07)
- ザ・フライと蠅の王をキッタない鍋でグツグツに煮込んだみたいだぁ…… -- 名無しさん (2020-10-03 21:40:16)
- 昔も今もうんこで笑いを取る風習は変わらない -- 名無しさん (2020-10-03 21:49:58)
- 昔の田舎なんて笑えるくらい面白いものはうんこと屁しかないと言うわりと深刻な社会背景が伺える民話群。探せばどうせヨーロッパにも似たような民話があるはず。 -- 名無しさん (2020-10-03 22:02:53)
- てっきり、『雉も鳴かずば』とかの鬱エンド系昔話しが語られるかと思いきや、下ネタ祭り…… -- 名無しさん (2020-10-03 22:29:08)
- クッソ笑った またあれば見たいな -- 名無しさん (2020-10-03 23:17:42)
- ロシアには糞が美女になったから嫁にしたという話があったはず -- 名無しさん (2020-10-03 23:38:24)
- これはクソ項目(直球)ですわ -- 名無しさん (2020-10-03 23:40:08)
- タイトルに偽りなくひどいな、おい -- 名無しさん (2020-10-04 00:01:56)
- なんか酷い連載漫画にある、とりあえずお色気シーンを雑に入れるのと同じノリでとりあえず下ネタ入れてくるよな -- 名無しさん (2020-10-04 00:44:48)
- 「犬が裏返る話」ベティブープの白雪姫っていうクラシックカートゥーンにまんま映像化したようなシーンがあるな。裏返るのはドラゴンだけど。 -- 名無しさん (2020-10-04 01:04:34)
- 悪事を働いて退治じゃなく生き胆目当てでジェノサイドされる鬼可哀想 -- 名無しさん (2020-10-04 01:17:39)
- 今週のクソ項目(文字通り) -- 名無しさん (2020-10-04 01:53:48)
- 小さい子が好きで盛り上がりそうあなウ〇コネタ祭りだなオイw -- 名無しさん (2020-10-04 07:11:46)
- 昔の人どんだけ食糞ネタ好きだったんだよww -- 名無しさん (2020-10-04 07:28:36)
- スカトロが一般性癖だった可能性、いやあってたまるか -- 名無しさん (2020-10-04 13:09:31)
- うんこは偉大である -- 名無しさん (2020-10-04 17:43:43)
- 鬱昔話でおなじみ、とうせん坊が村人から鍋に糞をされる陰惨胸糞いじめのイメージが変わるな。昔の人の感覚ではそこまでひどいいじめではなかった疑惑が浮上 -- 名無しさん (2020-10-04 18:09:55)
- まぁ、昔は特に田舎なんてそこら中で肥の匂いがしてただろうし。 -- 名無しさん (2020-10-04 18:32:09)
- 犬が糞を食う話は日本各地でことわざやまじない歌になってるね。沖縄ですらそう。昔は豚に和洋問わずに糞を食わせたそうだし、ウサギなどはいわずもがな、動物は現代人が想像している以上に糞を食う。人間だって薬として口にする。 -- 名無しさん (2020-10-05 08:38:22)
- ↑まぁ、日本は湿った土壌でやっぱり糞を食うのはアカンと思ったのか糞尿を肥やしにする野菜の生食は殆どされなくなったらしいが。煮物は発展してもサラダが無いのはそういうことらしい。 -- 名無しさん (2020-10-05 09:17:50)
- 沖縄の、鬼が宝見せて取られる話、日本昔話で似た話読んだぞ… -- 名無しさん (2020-10-05 10:58:53)
- あぁ^〜日本中糞まみれや -- 名無しさん (2020-10-06 00:32:08)
- 昔は肥料として排泄物は身近なものだったろうから民話に頻出してもおかしくはない。だからって食ったり食わせたりするのはおかしい?それな。 -- 名無しさん (2020-10-06 01:46:30)
- 人糞はまだまだ消化吸収されていない栄養が残ってるらしいからね(だから肥料になる)。そう言えば犬の糞は肥料にならないと聞いたことがあるな。 -- 名無しさん (2020-11-06 18:47:35)
- 村上先生の妖怪事典に、自分のおま○こに食事を詰めて小人をおびき寄せたアイヌあたりの女の話があった -- 名無しさん (2020-11-27 23:15:16)
- なんで悪役が毎回隣のじいさんなんだろう? -- 名無しさん (2021-01-10 06:00:07)
- こ れ は ひ ど い (褒め言葉) -- 名無しさん (2021-01-10 09:22:11)
- 教養が足りないと他人いじりと下ネタしか盛り上がる話ができなくなるってのは今も昔も変わらないんだろうな… -- 名無しさん (2021-08-07 00:15:17)
- 岡山県(桃太郎)ががっつり噛んでるのが酷いwwwwww -- 名無しさん (2021-09-06 09:19:24)
- 書籍情報助かる -- 名無しさん (2022-09-27 07:42:50)
- ↑3昔の偉い人がまとめた日本神話も下ネタ多かったけど…でも話の中身はこんなひどくない -- 名無しさん (2022-11-05 09:33:40)
- 柳田国男が著書への収録を見送ったで笑ってしまった -- 名無しさん (2023-03-14 23:10:15)
- ↑見送ったで察せるものがある -- 名無しさん (2023-08-22 15:24:36)
- へっぴりよめごが如何にギリギリのラインであったかわかる -- 名無しさん (2023-08-24 13:02:37)
- 教養がないんだからストーリーラインもへったくれもないのは当然なんだよな「林檎の怪」 -- 名無しさん (2023-11-17 23:10:51)
- 続き>林檎の怪はうんこを食う発想こそひどいが、林檎の樹のうんこ→林檎にすることで「アリクイは蟻を食べる、死んだアリクイを蟻が食べる」的な相互関係を作っているのは巧い -- 名無しさん (2023-11-17 23:14:44)
#comment
*2 さすがにうんこやおならについては直接的な表現を避けて書いていたが。
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