フロド・バギンズ

ページ名:フロド_バギンズ

登録日:2020/09/19 Sat 21:13:00
更新日:2024/05/23 Thu 10:24:01NEW!
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近代ファンタジー小説のパイオニアにして不朽の大作、『指輪物語 (Lord of the Ring)』の登場人物で、その主人公。


また指輪物語は「実際にあった「原典」をJ.R.Rトールキンが翻訳した」という体裁で書かれていて、設定上はその原典の作者の一人でもある。



【人物概要】

前述の通り『指輪物語』の主人公であり、前作(といってもこちらは児童向けの童話であり、だいぶ雰囲気が違うが)『ホビットの冒険』の主人公ビルボ・バギンズの養子。


人間ではなく「ホビット族」という種族で、ホビット達が暮らす里「ホビット庄 (The Shire)」で平和に暮らしていたが、ある日故郷を捨てて旅に出た養父ビルボから、屋敷や家財と共に「指にはめると姿を消せる魔法の指輪」を受けつぐ。
だがビルボもフロドも「ただの魔法の指輪」だとしか思っていなかったそれは、魔法使いガンダルフによって世界の運命を握っていると言ってもいいほどに重大な指輪だったことが明かされる。


その指輪は「一つの指輪 (The Ring)」と呼ばれ、世界を邪悪な意思で支配しようとしている冥王サウロンが、かつて世界の支配の為、その魔力のほぼ全てを注ぎ込んで作り上げた恐るべき代物だったのだ。


サウロンの力の源とも呼べるこの指輪を葬り去るためには、モルドールの滅びの山――――即ちサウロンの本拠地へと赴き、その火口へと投げ込むしかない。


フロドはホビット庄とホビット達、そして世界に住むすべての自由の民を守るため、「指輪所持者」としてモルドールへの絶望的な旅に赴くことを決意する。


しかし邪悪な魔力に満ちた指輪は、旅の間も絶えずフロドや仲間たちを脅かし、また彼の心と体を果てしなく消耗させていった。
最終的に忠実なる庭師サムの助けと、奇妙な道連れゴクリ(スメアゴル)の「偶然」によってなんとか使命を達成したフロドだったが、旅の間に指輪や敵によってもたらされたダメージは、彼にとって平和の中ですら治らない苦痛となって残る。


そして旅が終わってから数年がたったある日、フロドはかつての冒険の時のようにサム一人を供として旅立ち......



【出自】

ホビット達が住む土地「ホビット庄」は「西四が一の庄」「ホビット村 (Hobitton)」の名門、バギンズ家の出身。
12歳の時に両親を水難事故で亡くしたため、母方の実家であるブランディバック家(こちらはバギンズ家以上の名家)で育つ。


さらに子供のころから年上の親戚である「いかれバギンズビルボ伯父さん」と仲が良かったため、後に子供がいなかった彼の養子となって袋小路屋敷(ビルボの家)へと引っ越した。


作中の年代で言えば第3紀2968年(ホビット省暦1368年)の生まれで、指輪を捨てるための旅に出た年には既に51歳になっている。
なのでおっさんと呼んでもあながち間違いでもないが、彼はその所持している「一つの指輪」のために老化が止まっており、それを相続した33歳の時から肉体的には殆ど歳をとっていない。


またホビット族は人間より多少寿命が長く、成人とされる年齢も20歳ではなくて33歳。つまり人間の尺度で言えば、旅をしている時のフロドは「20代の肉体を持つ、30~40代の男性」といったところ。


え?やっぱりおっさんだって?そうかな…そうかも…



【身体的特徴】

外見はごく一般的な男性ホビットだが、やや背が高い方であり、肌も白い方で、口とあごの間のくぼみ(頤唇溝)がある。
ついでにガンダルフ曰く「目元が晴れやかでイキがいい」らしい。
ホビットの中ではそれほど太った方ではないが、旅に出る前は鏡の中の自分が「運動不足でちょっとデブってる」ように見えたようだ。乙女か。


ちなみに一般的なホビットの成年男性の外見とは

  • 身長約100~120cm
  • 体形はシュっとしてない。ずんぐりむっくり
  • 顔がでかくて広い。目が明るくてほっぺが赤い
  • 髪は茶系で濃い天パ
  • 基本裸足で足は毛むくじゃら
  • 耳はエルフほどではないがわずかに尖っている(物語本編では描写がないが、作者が挿絵へ指示している)

といった感じである。


やっぱおっさんだコレ!



【内面的特徴】

バギンズ家は本来「いかにもホビットらしいホビット」、つまり温厚篤実、慎重で保守的、分別があって波風を立てないことで知られる一族だが、フロドは養父のビルボ同様、そうした家風とは真逆の性格をしている。


つまり慈悲深く聡明だが、明るく勇敢で大胆、安穏な世界を捨てまだ見ぬ世界を求め飛び出してしまうような性向を秘めており、それを示すように子供のころは立派な悪戯っ子でもあった。


ただ時に子供っぽくさえあるビルボに比べれば(相対的に)常識的な面もあり、仲間内のホビット、特に年下の親戚などに対しては年長者として落ち着きや威厳を見せることもある。


また指輪を所持して旅を続けるうちに、その重荷と魔力は彼のこうした性質をより助長し、旅の後半からは明るさが失われていき、逆に老賢者めいた荘重な風格すら漂わせるようになった。


教養面では、ビルボ同様に博覧強記。
自分たち以外の文化にはほとんど注意を払わないホビットの中にあっては珍しく、他国の伝承や他種族の言語に関する知識を豊富に持ち合わせている。
特にエルフ語には堪能で、エルフたちの標準語であるシンダリンは勿論、古語・雅語であるクウェンヤまでもある程度話せるほど。


ホビットなので特に剣術などの戦闘技能を身につけている様子はないが、物語前半では剣を振るって戦う機会も多かった。
相手も「塚山丘陵の塚人*1」「アングマールの魔王(ナズグルの首領)」「モリアのトロル」など結構な大物揃いである。


さらにフロド本人というよりホビット族の標準技能だが、「隠形」つまりステルス技術にも優れており、密かに動けば森の動物にすら感知されないレベルの隠密行動も可能。


だがそんな些末なことより、真にフロドの能力として特筆すべきなのは、そのたぐいまれな精神力と生命力だろう。
もともとホビット族自体、魔法の力や肉体的苦痛に対する強い耐性を持つ種族なのだが、賢者ですら忌避する「一つの指輪」の所持に長い旅の間耐え続けたフロドの根性は、その中でも群を抜いている。


フロドが所持する「一つの指輪」は、所持者(そして一部はその周囲にまで)に対し

  • 指輪への徹底的な執着心を植え付け、増大させる
  • 力への欲望、指輪を使用することへの欲望を激しく掻き立てる
  • 命を引き延ばし、不老化と同時に生への倦怠感を与える
  • 精神を冥王に近いものへと堕落させていく
  • 所持するだけで激しい精神的な負担をもたらし、精神と肉体を衰弱させていく

などといった極悪な影響をもたらす代物であり、しかも目的地である滅びの山に近づくほどにこの力が強くなっていった。
なお、火口で指輪を捨て去る際に指輪が放つ魅惑は最も強まる特性があり、指輪を永久に滅ぼすという行為は、自らの肉体の一部を斬り捨てるに等しいかそれ以上の深い傷を心身に負う羽目になる。
中つ国に生きるあらゆる生物にとって、それを押して自分の意志でこれを成すのは不可能に等しい。
そもそも大抵の生物は何日にも渡って所有していれば、指輪の魅力に屈して指に填めてしまうか、発狂してしまう。


フロドはこの指輪の長きにわたる所持によって身心共に傷つけられ、最終的には満足に歩くことさえできなくなるほどに衰弱したが、それでもその重荷に耐え抜き、使命を成し遂げている。


あとついでといってはなんだが「いい声をしている」らしく、旅先の旅籠で披露した歌は酔客に大ウケした。



【家系】


ホビットの中ではかなり高貴な……というとなんかホビットぽくなくて違和感があるが、まあ上流階級の出である。


実父はドロゴ・バギンズといい、前述したとおりホビット庄ホビット村の名門バギンズ家の人物で、ビルボにとってははとこ(又従弟)にあたる。


実母のプリムラ・ブランディバックはホビット村どころかホビット族全体の中でも有数の……そしてちょっと変わり種の名門、ブランディバック家の出身で、しかも当時の館主(つまり当主)の娘という相当なお嬢様


また父の母方を通じてボルジャー家、母の母方を通じてトゥック家、あるいはもうちょっと遡って角笛家丸面家……などなど、イギリスの貴族(土豪)同様に様々な貴家へとつながっている。


ちなみに血統的にはれっきとした「バギンズ」なのだが、母がブランディバック家の直系であり、また両親の死後はブランディバック家の屋敷で暮らしていたため、他のバギンズ家……というかサックビル一家からは「ブランディバックのモンだろテメー」みたいな言い方をされたりする。



【持ち物・装備品】


「一つの指輪 (The Ring)」
フロドとその運命、そして『指輪物語』という作品そのものを象徴する彼の持ち物。
かつて冥王サウロンがその全魔力を注いで作り出した指輪であり、彼の力の源である。これをオロドルインの火口に投げ込み、破壊することがフロドたちの旅の目的だった。
見た目は何の変哲もないプレーンな金の指輪だが、どんな衝撃を受けても傷一つつかない完全無欠の美しさと、邪悪で絶大な魔力を秘めている。
前述した通り持っているだけで激しい心身の消耗をもたらし、周囲の人間にまで堕落を及ぼす物であり、旅を通じてこれを持ち続けたフロドに癒しがたいダメージを与えた。


「つらぬき丸 (Sting)」
「旅の仲間」の出発点であるエルフの都市裂け谷から出発する際、ビルボから譲られた。つまり元の持ち主はビルボであり、つらぬき丸の銘も彼によってつけられたもの。
古代のエルフ鍛冶によって作られた名刀(エルフにとっては短剣サイズだが)であり、恐るべき切れ味と頑強さを誇る。しかもオークが近づくと青く光って持ち主に知らせる便利機能付き。あとついでに大蜘蛛族に対する特効〇
裂け谷からの出発前にビルボから譲られ、物語前半におけるフロドのメインウェポンとなる。
しかし終盤では指輪による衰弱や疲労などで殆ど剣を振るうことができなくなり、殆どサムに預けられて事実上彼の佩剣となった。


「ミスリルの胴着」
同じく裂け谷でビルボから譲られた鎖帷子で、これまたビルボのおさがり。
今より相当な昔、はなれ山のドワーフが鍛造したものであり、ビルボがその冒険の途中で仲間のリーダーであるトーリン・オーケンシールドから贈られたもの。
見た目は白い銀光沢を放つ胴着サイズの鎖帷子で、無数の白い宝石によって装飾されている。
一見ただ美しいだけの普通の鎖帷子のようだが、実は中つ国で最も強靭な金属であるミスリルで作られており、金属であることを感じさせないほどに軽く、それでいて防御力は抜群。
これがなければフロドは少なくとも2回は死んでいる。
ちなみに「とても値段のつけようがない」ほど高価なものとされるが、あえて値段をつけるとなると、ホビット庄全土の値段より高くなるらしい。


「ガラドリエルの玻璃瓶 (Phial of Galadriel)」
旅の途中でエルフの都市ロスローリエンに立ち寄った際、「森の奥方」ガラドリエルから贈られた玻璃(ガラス)の瓶。
瓶の中には水が入っているが、その水にはガラドリエルによってエアレンディルの星*2の光が込められている。
光を放って周囲を照らすため、単に照明としても使われたが、それ以上に瓶に込められたガラドリエルの破邪の力が大活躍し、

  • 「暗黒の蜘蛛」こと古代の大怪物ウンゴリアントの子孫にして、サウロンでさえ一目置く怪物であるシェロブを撃退
  • 光が全くなく、五感や心さえも歪ませてしまう暗闇に満たされたシェロブの巣穴を通れるように
  • サウロンの軍事拠点の一つ、キリス・ウンゴルの搭の自動監視石像をひるませて強行突破

などなど役に立ちまくっている。
結果的にフロドの持ち物の中では最も役に立った装備といっても過言ではなく、また物語のラストシーンでも印象深い役割を果たすため、ある意味でフロドを象徴するアイテムとも言える。


「白い宝石」
指輪戦争で癒しがたい傷を負ったフロドに対し、エルフの王エルロンドの娘にして馳男(アラゴルン)の王妃、アルウェンから贈られた宝石。
エルフの持ち物らしく、持ち主を癒し慰める力を持っており、故郷に戻ったのちも傷と旅の記憶に苦しめられたフロドの心の支えとなった。


「赤表紙本 (Red Book)」
我々が知る中つ国の物語、つまり『指輪物語』や『ホビットの冒険』『シルマリルの物語』「原本」......という設定の本。正確には「西境の赤表紙本  (Red Book of Westmarch)」と呼ばれる。
もともとはビルボ・バギンズが日記兼(かつての「ホビットの冒険」の)回顧録として書き始めたもので、それをフロドが受け継ぎ自身の冒険と指輪戦争について加筆。最終的にはさらにそれを受け継いだサムによって仕上げが施されて完成した。
サムの子孫によって受け継がれてきた「西境の赤表紙本」は、その1冊のほかにビルボが裂け谷で収集した古代史に関する史料集(3冊)、サムの子孫によって付け加えられた注釈・補足本(1冊)を含めた5冊を1セットとしているが、フロド自身の記述部分があるのは1冊目のみ。



【関係者】


「見たところ、まったくただのホビットにすぎないが」「しかし、お前にはもう表面には表れないものがあるんだよ。幸運を祈ってるよ!」

「ビルボ・バギンズ」 Bilbo Baggins
養父にして先代指輪所持者。血縁関係も一応あり、フロドからすると「母のいとこ」兼「父のはとこ」にあたる。
フロドからは養父として、また年上の友人として深く敬愛されている。
バギンズ家らしからぬフロドの性格・教養はかなりの部分がビルボの影響であり、エルフ語などもまたビルボから学んだもの。



「だがお一人じゃありません。おらもまいりますだ。でなければ二人とも行かないちゅうことですだ。おらまず船に全部穴ぶちあけちまいます。」

「サム」Sam
フルネームはサムワイズ・ギャムジー (Samwise Gamgee)。庭師にして従者。指輪の仲間の一人
バギンズ家の雇い人である庭師ではあるが、主人フロドを強く慕っており、近代のイギリス文学にみられる「階級を越えた友情」系のキャラである。
フロドの旅には最初から最後まで同行し、彼が旅の途中で一人で旅を続けることを決意し、仲間たちから離れた時ですら強引に同行する。
苦難にあっても決してフロドを見捨てず、常に主人を支えてその旅の成就を助けた。



「かれは近頃たるんでるんだよ。少し歩いて目方を減らせば、いくらか軽くなるような気がするんじゃないかな」

「ピピン」 Pippin
フルネームはペレグリン・トゥック (Peregrin Took)。年下の親戚(22歳差)。指輪の仲間の一人
仲の良い友人の一人であり、彼が最初に袋小路屋敷を出た時から同行している、サムの次に古い道連れ。



「さあ、これでぼくたちだけになった。一緒に出発した四人だけだ。」「ほかの人たちはみんな、次々とあとに残して来たんだね。まるでゆっくりと醒めていく夢みたいだな。」

「メリー」 Merry
本名メリアドク・ブランディバック (Meriadoc Brandybuck)。年下の親戚(14歳差)。指輪の仲間の一人
ピピン同様、フロドの親しい友人の一人。サムやピピンにやや遅れて一行に加わる。



「それにしても、あんたのような後継を選んだビルボの目に曇りはなかったのう。」

「ガンダルフ」 Gandalf
長い付き合いの魔法使いで、フロドの運命の導き手であり、また守り手だった。指輪の仲間の一人
フロド(とビルボ)は、彼が「お祝いごとで花火を披露するさすらいの老人」でないことを知る数少ないホビットである。



「馳男」 Strider
フルネーム…というか本名はアラゴルン (Aragorn)「野伏 (Ranger)」の首領にして、かつての西方世界の上級王エレンディルの直系。指輪の仲間の一人
ガンダルフの古い友人で、フロドたちとはブリー村で初めて出会い、裂け谷へと向かう一行を守った。
控えめに言っても人相風体がコワイためホビット一同(とくにサム)からはかなり疑われたが、フロドは「見た目は悪いが、受ける感じはいい」と早くから彼を信頼している。



「ボロミア」Boromir
指輪の仲間の一人で、西方王国ゴンドールの実質的な統治者である執政デネソールの嫡男。
旅の途中、指輪の誘惑に負けて一時的に正気を失い、フロドから指輪を奪おうとして結果フロド(とサム)を一行から離脱させることになったが、フロドはすべて指輪の邪悪な魔力のせいと考えており、彼を軽蔑したり憎んだりすることはなかった。



「ファラミア」Faramir
ボロミアの弟。フロドの旅に同行した兄と違ってゴンドール本国で防衛任務にあたっていたが、そこで偶然旅の途中のフロドとサムと出会う。
フロドが世界の運命を握る指輪を所持していることに勘づくが、その魔力に屈した兄とは逆に誘惑をはねのけ、物資や情報を提供してフロドの旅の助けとなった。



「ゴクリ(スメアゴル)」 Gollum
ビルボの前の指輪所持者
指輪を取り返すべく一行を追ってくるが、フロドとサムに捕獲され、指輪の力で従わされ、またフロドの慈悲に触れて一時はその案内人となった。
最終的には指輪の魅力に屈してフロドを裏切るが、何の因果かそのおかげでフロドの使命は達成されることになる。



「サックビル=バギンズ家」 Sackville-Baggins Family
昔から袋小路屋敷をわがものにしようと狙っている、袋小路バギンズ家の親戚にして(スケールは小さいが)宿敵。作中には夫オソ、妻ロベリア、息子ロソの3人が登場する。



【小ネタ】


・「本名」

「翻訳作品」という体裁をとる指輪物語では、ホビットの名前は全て「西方語 (Westron)」*3英訳したもの」したという設定になっている。
つまりフロド・バギンズという名前は「英訳された」名前であり、当然ながら「翻訳前」の名前が存在する
指輪物語本編では明かされないが、フロドの本名、つまり西方語での名前は「マウラ・ラビンギ (Maura Labingi)」という。「Maura」は「賢い」という意味の言葉を名前化したもので、「Labingi」は「袋小路」を同じく苗字化したもの。
そしてFrodoはゲルマン語*4で「賢い」という意味の言葉の名前化で、BagginsはBag Ends(袋小路)を変化させたものなので、つまり結構な直訳ネームだったりする。


ちなみに指輪物語がイギリス国外で出版された時、トールキンは「英語(=西方語)の部分は全てその国の言葉に直し、エルフ語やドワーフ語、暗黒語といった『異言語』はそのまま音写するように」という指示を出したため、ヨーロッパ圏ではフロドの名前が国によって結構違ったりする(特に苗字のバギンズの方)。


ただ言語体系が根本的に違う日本語版ではさすがにそれは色々と無理があるためか、登場人物だけはそのまま英語の名前を音写する形をとっているが、一歩間違えば「袋小路 聡」などという醤油ネームにされていても不思議ではなかった。危ない危ない。


・家業

ちなみに袋小路屋敷のバギンズ家は、ビルボもフロドも労働をしていないが金に困っている様子が全くなく、イギリス流にいうところの「ジェントリ(小作人を多数擁する田舎地主)」なのだと考えられている(実際に作中で”gentlehobitto”とも呼ばれている)。



【派生作品におけるフロド】


『ロード・オブ・ザ・リング』3部作(ピーター・ジャクソン監督の映画)
おそらく最も有名なフロド・バギンズ。
演じるのはイライジャ・ウッドで、映画としては後継作品にあたる『ホビット』3部作でも同じく彼が演じている。日本語吹き替えは一貫して浪川大輔


本作は映画という媒体に合わせて、また尺の都合からだいぶストーリーに手を加えており、フロドもその影響で年齢が20歳近く若くなっている。なのでこのフロドは原作のように「見た目が若者のおっさん」ではなく単に「若者」で、年下だったホビット仲間も同年代に。


本作でも一応主人公ではあるのだが、ストーリー短縮化の影響をかなり顕著に(それも正直悪い方向に)受けており、描写がごっそり切り取られてかなりキャラが薄くなっている。


また指輪の設定についてもそれほど仔細に語っていないので、「フロドは指輪に屈してしまうヘタレ」などと原作未読の観客っから誤解されることも少なくなく、どうにも不遇な印象が否めない。主人公なのに。



※「わたしが記事を追記:修正します。」と、かれはいいました。「でも、わたしは海外の原語版資料を知りませんが……」


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  • 何でどいつもこいつもLとRを間違えるんだ…(直しときました) -- 名無しさん (2020-09-19 21:54:56)
  • 映画のこの人、ヒロインだよね -- 名無しさん (2020-09-20 00:01:47)
  • この役でのイライジャウッドの演技はもっと評価されていいと思うんだがなんか評判悪いんだよな -- 名無しさん (2020-09-20 08:26:22)
  • 最初に小説読んだ時は「西の国へ渡る」意味を理解してなかったけど、つまるところ常世の国へと旅立ったって事なのね… -- 名無しさん (2020-09-21 07:17:15)
  • 映画はフロドを他三人と同年代にしたことでフロドとサムの関係性が本質的に変わってるのよね。原作だそのままと主人と従者って感じだけど映画はブロマンス的な雰囲気になってる -- 名無しさん (2020-09-21 21:48:27)
  • ↑3 映画のフロドのキャラからするとイライジャの容姿も演技はドハマりしてると思うんだけど、その「映画のフロド」のキャラ自体が賛否両論というかなんというか、まあぶっちゃけちょっと評判が悪いとこがあるのが響いてるよね -- 名無しさん (2020-09-23 22:13:06)

#comment(striction)

*1 古代に魔王との戦いで死んだ者たちの亡霊
*2 宵の明星(金星)。初代冥王モルゴスを滅ぼすための助けを求め神々の国へと赴いた英雄エアレンディルが、魔法の船ヴィンギロトに乗り夜空を航海する姿とされている
*3 作中でホビットたちも使う言語=地の文
*4 英語の起源は古ゲルマン語

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