SCP-4290

ページ名:SCP-4290

登録日:2019/03/31(日) 22:37:32
更新日:2024/04/04 Thu 11:36:58NEW!
所要時間:約 4 分で読めます



タグ一覧
scp scp foundation keter 封印 ダエーバイト 夏王朝 青海省 scp-4290 9volt 青海湖




世界の全てが恐れ慄いた。





SCP-4290はシェア・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクト
オブジェクトクラスKeter
項目名は『飢えたる子』



概要

SCP-4290は中国の青海省にある青海湖に封印された実体*1。なんと一万年も封印されているらしいが、封印は7日間以内に破られると予想されている。……ずいぶん緊迫した話だ。


どんな封印かというと、青海湖の湖底にベリリウム銅でできたトーテム8個がフラクタル状に配置されており、これらのトーテムは装甲をつけた人間の形をしていて、魔除けのルーン文字まで刻まれている。なんだかSCP-2317を彷彿とさせる仰々しい封印だが、封印の中心からは赤色光の爆発が定期的に観測され、先月から明るさを増しているとのこと。これ、大丈夫……?


財団はSCP-4290について書かれた古い記録を見つけたが、それによるとSCP-4290*2は「戦士たちの攻撃をもとのもせず、指一本で辺り一帯を爆発させて溶かし、10日間で全てを飲み込んでしまった」らしい。どうやら、封印が解けてしまったらK-クラスシナリオ待ったなしの代物のようだ。


こんな危険な存在を財団が放っておくわけもなく、特別収容プロトコルによると、収容のために機動部隊アルファ-1「レッドライトハンド」(財団最高幹部O5の直属部隊)、タウ-5「サムサラ」(不死のクローン人間部隊)、ニュー-7「下される鉄槌」 (財団最大規模の武装集団)が投入されるという豪華っぷり。さらには核地雷や軌道上兵器まで配備する念の入れ用だ。なんだかもう収容違反フラグがビンビンである。


で、赤い爆発がどんどん明るくなっていくわ、さらには青海湖周辺のテレビが謎のメッセージを受信しはじめるわでいよいよヤバくなる。メッセージは、

子供の鍵を直せ

と中性的な声で語りかけるうえに、ドロドロに溶解した都市の上を浮遊するSCP-4290実体……という映像のオマケ付き。急かすように繰り返し放送され、しまいには

残された時間はもうない─直せ

と、冷や汗モノの通告がなされる。


そこで財団が禁じ手の放浪者の図書館まで使って必死になって調べたところ、過去、財団よりも前にSCP-4290の封印の修繕を試みた人たちがいたことがわかった。なんと、エリクシャン、夏王朝、古代オルトサン、そしてダエーバイト文明……と超文明が揃い踏み。いずれも財団の技術を大きく上回るオーバーテクノロジーを備えた異常古代文明である。
しかし彼らをもってしても、SCP-4290実体を滅することはできなかった。あるいは殺害を試みて失敗した場合を恐れたか……新たなルーンを刻むなどして封印を補強するしかなかったようだ。


そんなこんなで見つけた古代の記録を参考に、財団は遠隔操作探査機で「贄」(3体の死体と天使の生きた心臓)を届けることで封印を補強しようと試みた。が、なんと赤色の爆発が探査機を直撃。制御不能となった探査機が封印トーテムに刻まれたルーン文字を傷つけ、贄もおよそ半数しか正常に捧げられなかった。
そして青海湖周辺のテレビは

贄は10の胃に届かなかった。備えろ。

という放送を受信。財団のエージェントの一人も「夏王朝がどうにもできなかったんだから俺たちにどうにかできるわけねーだろ」と言って逃げ出してしまった。ああ、もうダメだ……。


そして赤色の光が辺り一帯を覆い、トーテムは崩壊した……。



「シナリオ4290/解錠」の発生

2022年8月17日、封印トーテムは完全に崩壊した。青海湖から全長40mの痩せた人型実体がゆっくりと出現した。そして財団の軍事力は、SCP-4290の活動を確認するため3時間もの待機を強いられた。……あれ?


いっこうに動きを見せないSCP-4290に財団はしびれを切らし、ついには遠隔操作探査機を送って調べるも生命活動の兆候は一切なし。検死を行ったところ、SCP-4290は栄養失調で9千年前に死亡していたことが判明した。そしてオブジェクトクラスはNeutralizedに再分類された。めでたしめでたし。



……って餓死しとるやないかーい!!!



ネタばらし

「一件落着だけどなんだかもやもやするなあ」と思ったあなた、それはある意味、極めて正しいリアクションである。


実はこのオブジェクト、「144時間ジャムコンテスト」という本家SCP Wikiで開かれた大会の作品。大会のルールは、48時間ごとに計3つのお題が発表され、各お題が発表されてから48時間以内にそのお題にまつわる記事を書いて投稿しなければならないというもの。


そして、1つ目のお題「毛むくじゃらの犬」で堂々一位を勝ち取ったのがこのオブジェクト。「毛むくじゃらの犬の話」は英語でshaggy dog storyと書くが、これは英語のスラングで、「なんか長大だけど内容もオチも意味がよくわからない小説」の意*3。SCP-4290は、SCP-2317を思い起こさせる仰々しい封印、夏王朝やダエーバイト文明といった超古代文明の登場、要注意団体「蛇の手」の異常施設である放浪者の図書館の使用、機動部隊オールスターズの投入といった贅沢すぎる設定のわりに、あまりにも釈然としないもやもやするオチが評価されたのか、見事一位となった。


SCPには、このように記事だけを読んでもよくわからないオブジェクトが存在するが、何らかの大会の作品であることも多い。そういうとき、記事のタグが手がかりになることがある。例えば、SCP-4290の場合は「jam-con2019」というタグがつけられており、このタグからコンテストのページにたどりつける。そこから、大会に応募された他の記事も読むことができ、思いもよらない良記事に出会うこともある。有名なSCP記事を一巡りしたあなた、もう一歩深みにはまって、このような楽しみ方をしてみるのはいかがだろうか。



考察

蛇足として、なぜ餓えたる子は餓えたまま死んでしまったのかを考えてみよう。
これまで生贄にされた何十もの死体や心臓は、SCP-4290実体の口の上で、未だ食されていない状態で発見された。そのことから推察するに、生贄の儀式は恐らく、封印されたSCP-4290実体が腹を空かせて暴れ出したときに、餌を与えてなだめすかすような意味をもっていたのだろう。
ところが、前述の超古代文明らはいずれも、「古代」とつくように滅亡ないし衰退した文明である。当然、SCP-4290実体の収容手順なども上手く後継の文明に引き継がれたかは微妙なところで、恐らくはそのどこか*4で「餌を与えることを忘れる」という期間が訪れてしまった。
当然、SCP-4290実体は暴れただろう。そして元のままの封印ではそれを抑えられず、世界は再び滅亡の危機に瀕したはずである。……封印が元のままであったなら。


一体どういうことか? つまりはこうである。
前述したように、古代文明から古代文明へと封印が引き継がれる際、それぞれの文明は各々の技術で封印を強化していた。それがいつの間にか、SCP-4290実体の力では破壊できないほどにまで、封印を堅固たらしめていたのである。
そして、餓えたSCP-4290実体は暴れた。暴れたが封印はビクともしなかった。ビクともしなかったので、そのうち実体は餓死した。餓死したが、そうと知らない外の文明は依然として実体を恐れ、ときに生贄を捧げるまでして封印を守り続けた。そして現在に到る――と、そんなしょうもないお話。


「幽霊の正体見たり枯れ尾花」というように、恐ろしい恐ろしいと思っているものでも、いざ正体がわかってしまうと拍子抜けだったりするものである。
恐怖の本質が正体不明にあるという意味では、大山鳴動して死体が一つ出てきたSCP-4290は、SCPという創作ホラーの本質をよく表していると言えるかもしれない。



追記・修正は封印の中身を確かめてからお願いします。




[#include(name=テンプレ2)]

この項目が面白かったなら……\ポチッと/
#vote3(time=600,40)

[#include(name=テンプレ3)]


*1 奇跡論式封印が施されていたクラスI終末論的実体。この字面だけでも嫌な予感しかしない。
*2 記録内でのSCP-4290実体は「子供(The Child)」と称される。御子、落とし子といったニュアンスだろうか。
*3 内容を要約すると、ある人物が自分が飼っている犬が如何に毛むくじゃらかを長々と語る。語り語るも語り尽くせぬか、というクライマックスのところで別の登場人物がその犬を見て評するに、「それほど毛むくじゃらじゃないな」…というもの
*4 9000年前となると、古代オルトサンの後あたりか? エリクシャンはよくわからないが、夏王朝やダエーバイトはその遙か後世で登場する。

シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。

コメント

返信元返信をやめる

※ 悪質なユーザーの書き込みは制限します。

最新を表示する

NG表示方式

NGID一覧