Zero Hour: Crisis in Time

登録日：2018/03/14 (水) 21:55:03
更新日：2024/02/19 Mon 13:16:31
所要時間：約 14 分で読めます

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『Zero Hour: Crisis in Time』は1994年にDCコミックスから出版されたアメコミ作品。

+ 作品情報

『Zero Hour: Crisis in Time』＃4～＃0
発売　1994年8月から
脚本　ダン・ジャーゲンス
作画　ダン・ジャーゲンス

レギュラーシリーズ・タイイン
数多くの作品でクロスオーバーが行われ、時間旅行や過去の存在と出会うストーリーが展開された。
いずれの作品も最後のページが白紙となっており、時空間の消滅を示唆している。

日本では未邦訳。

時間の消滅による『DCユニバース』の消滅と『DCユニバース』の新たな歴史の誕生を描いた大型イベント。
『クライシス』同様に当時のヒーローたちが一堂に会し、時間の崩壊や背後に存在する巨悪に立ち向かう。
『クライシス・オン・インフィニット・アース』から10年ほどが経った1994年に発表され、
再び複雑になり始めた『DCユニバース』の整理や『クライシス』後に発生した不都合を解消するために行われた。
特に旧時代ヒーローの代表である『ジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカ/JSA』の引退によってヒーローの世代交代が試みられ、
『クライシス』後に混乱が生じていた『リージョン・オブ・スーパーヒーローズ』は完全なリブートが行われた。
本作を補完するタイイン/関連誌として『Showcase '94』＃8～＃9で前日談が描かれ、多くのレギュレータイトルでクロスオーバーが行われた。
また本作の最後には新たな『DCユニバース』の年表が収録され、本作終了後のレギュラータイトル全てで
『ゼロ月間』と題しオリジンの語り直しを行っている。

『Zero Hour』＃4～＃2
『Zero Hour』＃1～＃0

『Zero Hour』＃4～＃2

【物語】

突如として宇宙が終わる瞬間『時の黄昏』でエントロピーによる崩壊が始まり、次々と未来が消滅し始める。
異変を察知した『リニアメン』のリップ・ハンターとウェーブライダーが未来にいたヒーローと共に阻止に動き出すも、
フラッシュ(ウォリー・ウェスト)、グリーンランタン(ハル・ジョーダン)そしてリップ・ハンターが犠牲となってしまう。
一方、現代の地球でも未来や過去、別の時間軸の人物や物が現れるという異変が起き始めていた。
いち早く気づいていたニューゴッズの一柱、メトロンは地球のヒーローたちに呼びかけニューヨークに集結し反撃の手段を練り始める。
『JSA』までもが犠牲となる中、反撃の方法を思いついたヒーローたちは過去、現在、未来へとそれぞれ向かい時間の崩壊を食い止めようとする。

【主な登場人物】

≪ヒーロー≫

過去や未来、別の時間軸から現れた人物や物に困惑する。その後メトロンの呼びかけでニューヨークに集合し、
反撃の手段を練り25世紀から現れた都市の墜落をヒーローの力と『ブームチューブ』を合わせることによって防ぐ。
その方法で時間の崩壊を防ぐために過去、現在、未来の3チームに分かれ行動し、敵に操られた『チーム・タイタンズ』と戦闘となる。

• メトロン

全知の力を与える『モビウス・チェア』に乗り世界を観測し続けてきたニューゴッズ。
異変をいち早く察知しダークサイドやスペクターの協力を得ようとするも失敗し、スーパーマンにヒーローを集めさせる。
別の時間軸から現れたニューヨークの墜落を『モビウス・チェア』から得た知識で防ぎ、同じ方法を実行するため未来へ向かうチームに参加する。

• スーパーマン(クラーク・ケント/カル＝エル)

メトロポリスを守る鋼鉄の男。各地で起きる異変を前にバットマンと話し合っていると、メトロンの接触を受けヒーローを集めるのに協力する。
その後はヒーローのリーダー格として指揮を執り、3チームに分かれると未来のチームに参加する。

• ホークマン(ケイター・ホル)

『JSA』のホークマンが持つ装備にも使われた金属『Nthメタル』の原産地サナガー星の警察官。
『Nthメタル』が鷹の神の力を引き出すことが明らかになり、
暴走する鷹の神と戦っていると『JSA』のホークマンとホークガールが現れ融合しパワーアップした。
その後、ニューヨークのヒーローと合流し現在で時間の崩壊の対処に当たる。

• ウォリアー(ガイ・ガードナー)

かつてグリーンランタンとして活躍した男。現在はイエローリングの力でパワーを発揮するアーマーを身に着け戦っている。
ウェーブライダーから過去のハルが命を落としたことを知り、未来が変わって『グリーンランタン・コァ』が復活する可能性を願っている。

• フラッシュ(ウォリー・ウェスト)

超スピードを操るヒーロー。未来の科学の力で魔法を再現する犯罪者アブラ・カダブラとの戦いの最中、カダブラが元居た時代64世紀に飛ばされた。
そこでエントロピーの裂け目を目撃しカダブラを糾弾するが、ウェーブライダーとリップ・ハンターからカダブラは関係無いと教えられる。
時間の崩壊を防ぐためカダブラから提案された超スピードによる突撃を敢行するが失敗し、
先代フラッシュ(バリー・アレン)のようにコスチュームを残し消滅してしまう。

• グリーンランタン(ハル・ジョーダン)

宇宙の治安維持組織『グリーンランタン・コァ』の一員で地球担当。狂気に走った現在の彼ではなく、それ以前の存在。
58世紀の英雄ポル・マニングに呼ばれ時間の崩壊を防ごうとしていたが、失敗し消滅した。

≪リニアメン≫

過去と未来を守る時間の警察官。タイムスリップの影響を少なくするため体の一部を機械化している。『バニシング・ポイント』に基地を持つ。

• ウェーブライダー(マシュー・ライダー)

別時間軸から現れたマシュー・ライダー。時間流を自在に行き来できる力を持つ。
リップ・ハンターと共に時間の崩壊を食い止めようとするが失敗し、ハンターから聞いた『クライシス』を基地で調査する。
その後『JSA』に接触し共に『バニシング・ポイント』に向かおうとするが、ホークマンに導かれ彼らの融合を目撃する。
ホークマンと共にヒーローたちと合流し時間の崩壊が『クライシス』に似ていることを教えた後、
『JSA』の救出に向かうがエクスタントが自分と同じパワーを持っていることを知り動揺する。
『JSA』を連れ現代に戻るとヒーローたちと合流し、過去に向かうチームに参加する。

• リップ・ハンター

時間連続体を守る監視者。時空の異変を察知しウェーブライダーと共に64世紀や58世紀に向かう。
58世紀で時間の崩壊が『クライシス』に似ていることに気が付くも、崩壊に巻き込まれ消滅した。

• マシュー・ライダー、リリ・リー

『リニアメン』のリーダーで天才科学者と紅一点の時間活動家。基地で待機していたがエクスタントの襲撃を受け囚われてしまう。

≪ジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカ/JSA≫

第二次大戦前から活躍するヒーローで構成されたヒーローチーム。魔法によって実年齢より若さを保っている。
ウェーブライダーからウォリーの死を知らされ、敵討ちのために『バニシング・ポイント』に向かう。
そこでエクスタントと戦闘になりメンバー全員が戦闘不能の状況に追い込まれ、現代に帰還するもチームの解散と引退を決意する。

• グリーンランタン(アラン・スコット)

宇宙の全ての魔法を詰め込んだ宝珠『スターハート』の破片を加工したランタンとリングで戦うヒーロー。
ランタンとリングが一体化してパワーアップし、『スターハート』の影響で肉体が他のメンバーより若返っている。
エクスタントとの戦いではリングのパワーで攻撃を防ぐも、エネルギーを奪われ戦えなくなってしまう。
現代に戻り引退を決意するとリングをグリーンランタン(カイル・レイナー)に渡し、他のメンバーを病院に送り届ける。

• アトム(アル・プラット)

青い覆面をかぶった原子力パワーを持つヒーロー。エクスタントとの戦いで一番最初の犠牲者となった。

• ドクター・フェイト(ケント・ネルソン/インザ・ネルソン)

魔術師ナブーの力を持つヘルメットをかぶることで魔術を使うヒーロー。『JSA』を『バニシング・ポイント』に連れていく。
アトムが犠牲になった直後、エクスタントの攻撃を受けナブーの遺物を失い変身を解かれてしまう。
その後、他のメンバーと共に本来の年齢まで老いてしまい引退を決意する。

• サンドマン(ウェズリー・ドッズ)、ワイルドキャット(テッド・グラント)

特殊な能力を持たず生身とガジェットだけで戦うヒーロー。エクスタントに挑むも急激に老化させられ倒れてしまう。
現代に戻ると病院に運ばれ事なきを得る。

• フラッシュ(ジェイ・ギャリック)、スターマン(テッド・ナイト)、ジョニー・クイック(ジョニー・チェンバーズ)、アワーマン(レックス・テイラー)、ドクター・ミッドナイト(チャールズ・マクナイダー)、ジョニー・サンダー

『JSA』のメンバー。エクスタントの攻撃で本来の年齢まで老いてしまう。
それでもアワーマンとドクター・ミッドナイトがエクスタントに挑むも、さらに老化させられ命を落としてしまう。
その後、現代に戻ると引退を決意する。

• ホークマン(カーター・ホール)、ホークガール(シーラ・ホール)

古代エジプトから絆で結ばれたカップル。猛禽類のマスクをつけ『Nthメタル』製の反重力の翼と古代の武器を持つ。
他のメンバーと共に『バニシング・ポイント』に向かおうとするが、暴走した鷹の神を止めるためホークマン(ケイター・ホル)と合体する。

≪ヴィラン≫

• エクスタント(ハンク・ホール)

かつてホークとして活躍したヒーローで、未来から現れた悪の自分モナークからその座を引き継ぎ世界征服を目論んでいる。
今回の戦いを前にウェーブライダーとリップ・ハンターと戦って、自分の中に眠る相棒だったダブの力を引き出しエクスタントに進化した。
ウェーブライダーから奪ったタイムマシンで時空を移動し、時間の崩壊を利用して自分の望む世界を作ろうとしている。
ウェーブライダーが去った後、『リニアメン』の基地を乗っ取る。『JSA』が現れると時間を操る力で圧倒し、
ウェーブライダーに自分が彼と同じ力を持っていることを見せつける。ウェーブライダーと『JSA』を現代に送り返すと、
チームを分けたヒーローたちに『チーム・タイタンズ』をぶつけ、自身は過去に向かったヒーローに襲い掛かる。

• チーム・タイタンズ

可能性の未来から現れたとされるヒーローチーム。スーパーマンの招集に従いニューヨークに現れる。
実はエクスタントにプログラムを仕掛けられており、チームを分けたヒーローたちに襲い掛かる。

≪その他≫

• タイム・トラッパー(ロック・クリン)

歴史に干渉する能力を持つ『リージョン・オブ・スーパーヒーローズ』の宿敵。
『時の黄昏』を根城にしている。突如何者かの襲撃を受け時間の消滅が始まってしまう。
その後『リージョン』のコズミックボーイに接触し、自分が未来の彼であると教える。

• ニューゴッズ

フォース・ワールドに生きる新たな神々。ニュージェネシスとアポコリプスの二派に分かれ争いを続けている。
アポコリプスの王ダークサイドの元にメトロンが現れるが意に介さず、ニュージェネシスの指導者ハイファーザーも異変に気付くも恐怖するのみだった。

• ドクター・ミスト(ノモ/マルティス)

古代の神秘主義集団『レイメン』に所属する不死身の魔術師。『ストーンズ・オブ・ライフ』によってパワーを発揮する。
同じ不死身の存在のヴァンダル・サベッジの消滅を感じ取り、過去の消滅に伴い彼も消滅してしまう。

• スペクター(ジム・コリガン)

罪人に悲惨な罰を与える復讐の天使。メトロンから協力を求められるが、時間の崩壊は自然現象として取り合わない。

• ブレイニアック2(ヴリル・ドックス2世)

『L.E.G.I.O.N.』の指揮官でレベル12の知性を持つ。調査の結果、宇宙が死に近づいていることを知り更なる調査のためプローブを発射する。

『Zero Hour』＃1～＃0

【物語】

未来において時間の崩壊を食い止めたかと思えたが、崩壊は現代に迫り街やヒーローが次々に消滅していく。
最後の抵抗を試みるヒーローたちは現代に現れたエクスタントに挑むも失敗し、彼らの前に真の黒幕パララックスが姿を現す。
パララックスの手で時間は崩壊し全てが消滅すると、パララックスは生き延びたヒーローに自分の思惑を語り新たな宇宙を生み出そうとする。

【主な登場人物】

≪パララックスによって生かされたヒーロー≫

パララックスによる時間の崩壊を生き延びたヒーロー。彼と縁の深いガイと今回の戦いで現れた3人が選ばれている。
パララックスからあらゆる可能性を内包し理想郷のような世界を生み出すことを聞かされ、彼に協力するか悩んでしまう。

• パララックス(ハル・ジョーダン)

今回の事件の黒幕。ホームタウン、コーストシティを失い狂乱に走ったハル・ジョーダンの新たな姿。
時間を移動する力と宇宙を生まれ変わらせる力を手に入れ、さらに時間流から『クライシス』の残存エネルギーを得てパワーアップし時間を崩壊させた。
崩壊した宇宙のエネルギーが浮かぶ空間で生かしたヒーローに全てを明かし、理想郷のような新たな宇宙を生み出そうとするが、
ウェーブライダーに率いられたヒーローに妨害される。

• ウォリアー(ガイ・ガードナー)

かつてグリーンランタンとして活躍した男。現在はイエローリングの力でパワーを発揮するアーマーを身に着け戦っている。
戦いの中で体から武器を生み出す能力に目覚めた。パララックスから新たな世界の話を聞き動揺するが、正義の心からパララックスに挑む。

• トライアンフ(ウィリアム・マッキンタイヤ)

時の流れから忘れ去られていた『JLA』の創設者。今回の事件の中で帰還を果たした。パララックスの提案に動揺し戦いを見守る。

• バットガール(バーバラ・ゴードン)、アルファ・センチュリオン(マルクス・アエリウス)

別の可能性の世界から現れたゴッサムとメトロポリスの守護者。新たな世界でなければ自分たちの世界を取り戻せないため、
パララックスに協力しウェーブライダーと共に現れたヒーローに挑む。

• エクスタント(ハンク・ホール)

時間を超える力を得た元ヒーロー。時間の崩壊を引き起こしたのがパララックスだと知り協力する。
『レイメン』を壊滅させた後、現代に現れヒーローたちを襲撃し完全な崩壊までの時間を稼ぐ。
パララックスに生かされると彼に協力してヒーローたちと戦う。

≪ウェーブライダーによって助けられたヒーロー≫

パララックスによる時間の崩壊からウェーブライダーによって助けられたヒーロー。パララックスを倒すためのメンツが選ばれている。
『リニアメン』の基地で対策を練った後、あらゆるものを犠牲に欲望を満たそうとするパララックスに挑む。

• ウェーブライダー(マシュー・ライダー)

現代の時間軸のマシュー・ライダーが変化した姿。ブレイニアック2のプローブと『リニアメン』の技術をアトムが組み合わせることで変化した。
命を落とした別の時間軸のウェーブライダーに代わってヒーローを導き、自らが選んだヒーローたちと共にパララックスに挑む。

• グリーンアロー(オリバー・クイーン)

スターシティを守るエメラルドの射手。特殊な能力を持たない自分が助けられたことやかつて親友だったハルと戦うことに悩みながらも、
パララックスに立ち向かう。

• ダメージ(グラント・エマーソン)

エネルギーを吸収し爆破能力を発揮する新人ヒーロー。切り札扱いされることに戸惑いながらもパララックスとの戦いに協力する。

• スーパーマン(クラーク・ケント/カル＝エル)、グリーンランタン(カイル・レイナー)、ホークマン(ケイター・ホル)、レイ(レイモンド・テリル)、キャプテン・アトム(ナザニエル・アダム)、ダークスター(ドナ・トロイ)

ウェーブライダーによって助けられたヒーローたち。神の様に振る舞い身勝手に人々を犠牲にしたパララックスを許せず戦いを挑む。

• アトム(レイ・パーマー)

特殊なスーツとベルトで体を縮小できるヒーロー。現代の戦いでは縮小化で内部からエクスタントを倒そうとするが、反撃を受け18歳まで若返る。
若返った影響で知識を無くしてしまいパララックスとの戦いでは見守ることに徹する。

• リリ・リー

『リニアメン』の紅一点で時間活動家。『バニシング・ポイント』の基地からヒーローとパララックスの戦いを見守る。

≪その他≫

• タイム・トラッパー(ロック・クリン)

歴史に干渉する能力を持つ『リージョン・オブ・スーパーヒーローズ』の宿敵。
30世紀が消滅する前に自らが生み出した世界『ポケットユニバース』に『リージョン』と『リージョネアーズ』を引き合わせた。
そして宿敵たちの最期を見守った直後にパララックスの攻撃を受け死亡した。

• パワーガール(カレン・スター)

古代アトランティスの魔術師エイリオンの孫。謎の妊娠をしており混乱の中で子供が生まれかけ、
ワンダーウーマンの協力で出産の準備を進めるが消滅に飲み込まれる。

• フラッシュ(ジェイ・ギャリック)

大学生の時、薬品の実験で超スピードを操る力を得たヒーロー。エクスタントとの戦いを経て引退を決意するが、
その前にスペクターの協力を取り付けようとして彼の元に向かい過去の消滅に伴い姿を消した。

• スペクター(ジム・コリガン)

罪人に悲惨な罰を与える復讐の天使。世界の消滅もジェイの説得も気に留めなかったが、黒幕がパララックスだと分かると彼に罰を与えるため姿を現す。

• メトロン

全知の力を与える『モビウス・チェア』に乗り世界を観測し続けてきたニューゴッズ。
『モビウス・チェア』を失いながらも諦めず戦い続けたが、時間の消滅に飲み込まれ姿を消した。

• グリーンランタン(アラン・スコット)、スターマン(テッド・ナイト)

『JSA』のメンバー。ワイルドキャットの見舞いに赴き、スターマンは息子たちにスターマンの座を引き渡すが消滅に飲み込まれた。

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