勃起(ゴールデンカムイ)

ページ名:勃起_ゴールデンカムイ_

登録日:2017/06/06 Tue 02:47:35
更新日:2024/02/06 Tue 11:24:52NEW!
所要時間:約 40 分で読めます



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※本項目には漫画作品『ゴールデンカムイ』の単行本化されていない内容を含む可能性があります。
 ネタバレにご注意くださいますようお願い申し上げます。





犬たちは紳士だ。


人間ではなく彼らの天国に行きたい。


む う う … 勃 起 ッ !!





冒険活劇・歴史浪漫・狩猟美食・恋愛悲喜劇・変態水滸伝!
全部ブチ込みグツグツ煮込んだ、これぞ和風闇鍋ウェスタン『ゴールデンカムイ』
本項目では、そんな本作に稀に登場しては特異な存在感を放つ、とあるキーワードについて説明する。


冒頭に挙げた「勃起が止まらん」と微笑むおじいちゃんの画像を、『ゴールデンカムイ』を知らないという方でも、このWEBの世界の片隅でちらっとでも見たことがある方は少なくなかろう。
このおじいちゃんの名は二瓶鉄造。職業:猟師。
「勃起」は生前の彼がことある毎に発していた口癖であり、彼の誇りと猟師の魂を顕す言葉であった。
本作において「勃起」には、単なる下ネタ以上の意味があるのだ。









最高に格好良い下ネタ、勃起


出オチ気味に言わせて貰うが、基本的に「勃起」という単語は一種の下ネタに過ぎない。
簡単に言うならば「おちんちんがおっきすること」に外ならず、本作における「勃起」の扱われ方も、その卑猥な意味のままの方が多い。



ぼっ‐き【勃起】


にわかにむくむくとおこりたつこと。
ふるいおこること。

広辞苑第六版より


ぼっき【勃起】

erection


陰茎が生理的に拡大、硬直すること。
その海綿体の中に液が充満することにより起る。

性的意欲の発動のほか、局所刺激によっても起る。
本来は大脳内で性的衝動が起り、橋、大脳脚を経て脊髄に伝わり、脊髄下部の勃起中枢を刺激して、仙髄下部の勃起神経と上部の下腹神経叢が勃起反射を起す。
陰茎海綿体に出入りする動脈と静脈には特殊な構造がある。
平常は、動脈から入る血液の大部分はバイパスを通って静脈に逃げてしまうが、勃起のときはこのバイパスと静脈が閉じて、海綿体が充する。

ブリタニカ国際大百科事典より



詳しい説明は既存の項目に譲るとして、本来の意味での用途でならば、冒頭の二瓶の画像とセリフは汎用性に富んでいると言えよう。適当にエロ画像でも何でもいいから貼り出して、その隣にでも二瓶の画像を貼り付けてやれば、掲載者の心情がはっきりと現れ出て来るというものだ。
ちなみに犬のチンポには骨がある。


普通、人目を憚らず「勃起」と公言する輩は変態か奇人かもっとやばい奴しかいない。
他作品の登場人物について述べてみたとして、事実、変人ばかりである。



  • フウウウウウウ~ わたしは…子供のころ…レオナルド・ダ・ビンチの『モナリザ』ってありますよね…あの絵…画集で見た時ですね あの『モナリザ』がヒザのところで組んでいる『手』…あれ…初めて見た時… なんていうか…その…下品なんですが…フフ…勃起…しちゃいましてね… 『手』のとこだけ切り抜いてしばらく…部屋にかざってました あなたのも…切り抜きたい…


  • いやぁ… ヒメにあんだけホホ染めて“早くイこうよ(ハートマーク)”なんてお願いされたら… 図らずもボッキしちゃいそうだなあ…(ハート) と思って(はぁと)
  • 失礼な! 女だってボッキできるわよ!! たとえば…(女は勃起出来ないと言われ)
  • ク… がふッ!!(止められていたのに言おうとしたのでド突かれた)

本匠千鶴(久保帯人『BLEACH』より)



  • 法律大魔王*1「私の名は法律大魔王! これが今週の法律だ」

今週の法律
男は いつ いかなる 場所でも 勃起した時は
右手を上げ 「勃起しました!!」 と申告すること


  • 秩父山医師「しかし毎回よく考えるな…本当に…」

  • 秩父山医師「勃起しましたっ!!」
  • ドライブデート中の女性「きゃあああ」

  • R-18映画を観ていた男共「「「「勃起しましたぁっ!!」」」」

  • 試合中のお相撲さん「勃起しましたぁ!!」
  • 判定役の行司さん(…… ……)

四コマ漫画『勃起しましたっ!!』(田中圭一ドクター秩父山』より)



  • ハハハッ!なんてこった、完全なる黄金比かよ!ヤバイ、達する達する!
  • 正直、勃起した。では今度こそサヨウナラ。
  • あぁ、そうだ。参考までに聞きたいんだがキミって、ヴァージン?




「勃起」を口癖にして好んで発言していた二瓶という男も、正直に言って「かなりやばい奴」なのだが、しかし、しかしである。どうか、冒頭で述べた一文を想い出して欲しい。
『ゴールデンカムイ』において、「二瓶鉄造」という男にとって、「勃起」は、ただの下ネタというだけでは終わらない。


本作は決して[[下ネタが存在しない退屈な世界>下ネタという概念が存在しない退屈な世界]]などではなく、本項目も率直に申し上げて相当に下品な内容が多く含まれるが、決して卑猥で馬鹿馬鹿しいものばかりではないということを、前以て繰り返しお伝えしておきたい。
「勃起」とは、矜持であり、猟師の魂であり、本作で描かれる真の漢の咆哮なのだ。


無論、二瓶自身も冗談めかして「勃起」と呟く場面は多い。
しかしながら、そこには必ず、彼が猟師として培った知恵・獲物の習性を学び尽くして蓄えた知識・それらを吸収していった末に戦いの場で表出する彼の個性が、まさに「二瓶鉄造」という人間が存在していた。
「勃起」とは、そんな二瓶の持つ遺伝性文化因子「ミーム」なのである。


「勃起」が指し示す猟師魂というミームは、二瓶が望んだのか望まなかったのかはいざ知らず、晩年の彼に寄り添った後代の人物へと確かに継承されている。
この人物もまた好んで「勃起」と発言することが多くなり、更に次代を担うべき子供に対しても、かつての二瓶と自分の関係と同じように、良き大人・強き先達として接するようになっている。
本来下ネタに過ぎない「勃起」も、彼ら師弟が生き生きとした表情で言う時、それはこの世で最も格好良い魂の叫びとなる。


ギャグとして受け取るだけでなく、無駄に感動させられてしまう読者側にとってはたまったものではない。
自分達の持つ「勃起」をも変容させられる気さえしてくることであろう。
これは一種の「ミーム汚染」だと言えるかもしれない。勿論、良い意味で、である。


しかしながら、このことによって本作における「勃起」の持つ異常性が認められるわけではない*2し、本項目でそのミーム的効果に関して議論を起こす目的は一切ないことをご留意頂きたく存じ上げ候。
※「ミーム」に関して詳しくはこちらこちらをご参照あれ。[[ん 猫ちゃん猫ちゃん!! よろしくね!!>SCP-040-JP]]









悪夢の熊撃ち・二瓶鉄造 ~永劫勃起さん~


読者にとって作中で最も印象深いであろう「勃起」の担い手が、この二瓶鉄造である。
口を開けば「勃起」と言い、二言目には「勃起!」と叫び、笑ったかと思えば「勃起」と付け足す。
単発式の村田銃を相棒とし、リュウという名の茶色いアイヌ犬を連れ歩き、「勝負は一発で決める」ことをモットーとする元気なこのおじいちゃんの正体は、国内で最も厳重と名高い網走監獄を脱獄した二十四人の刺青の死刑囚のうち一人であった。
その罪状は過剰防衛に伴う殺人。明治期日本の世情を鑑みても情状酌量の余地はない。


脱獄した二瓶は故郷の山に潜伏した。何故か? 山で死ぬためだ。
人間の掟に従って監獄で死ぬのではなく、山の掟に従い、大自然の生存競争の中で生きて死ぬ。
己の身に刻まれたアイヌの金塊の暗号など、彼にとっては一銭の価値もない。
二瓶が生き抜く上で求めるものは、自分と獲物との命のやり取り、猟師の魂だけである。


「ひとたび山に入れば、その山にいる全てのヒグマが姿を消す」
冬眠中の羆もうなされる「悪夢の熊撃ち」と呼ばれた老人は、己の居場所に帰還していた。


+ 箇条書き三点ですぐにわかる! 二瓶鉄造の生涯-
  • 北海道で二百頭(自己申告)にも及ぶ羆を仕留め、熊撃ちの達人として名を馳せる。
  • ある時遭遇したハイエナ野郎共を皆殺しにした罪で現行犯逮捕され、網走監獄送り。
  • 脱獄後は猟師に復帰し、レタに半殺しにされた谷垣を介抱する。
  • 生き残りの狼を狩ることに執念を燃やし、杉元一行とレタに勝負を挑む。

あ、これじゃ[[四つ>雨宮リンドウ]]か。……まあいいか。



純白の毛皮を持つエゾオオカミのレタについて、山で命を救った谷垣から聞かされた二瓶は自分がその狼を狩り、エゾオオカミが見る最後の猟師になるべく勝負を挑む。
強烈な殺気を体臭として発し、ヒグマよりも獲物に執着する恐るべき老人は、自分と同じく白狼の毛皮を求める谷垣を連れ、時にその若きマタギに己の流儀と知恵を分け与えながら、着々とレタを追い詰める。


仲間が狙われていることを察知した杉元・アシパさん・白石の三人は、刺青の囚人を捕らえ、レタを守るべく二人の前に立ち塞がる。
激闘の末、念願の狼との一騎討ちに臨んだ二瓶だったが、横合いから飛び込んで来たレタの「つがい」が老練の猟師を仕留める形で、勝負は彼の敗北と決した。


女の恐ろしさを身に染みて感じつつ、しかし二瓶は満足そうに、静かに息を引き取った。
山で闘い、山で散る。本懐を遂げた老人は、若きマタギの男に弔いの詞を以て送り出された。


「コレヨリノチノ」「ヨニウマレテ」「ヨイオトキケ」


後に登場したアイヌのキラウシが語ることには、二瓶には日清戦争に従軍し、帰らぬ人となった息子がいた。
子宝に恵まれた彼には十五人もの娘がいたものの、自分の跡を継ぐべき息子はたった一人だけだったという。


キラウシの回想によれば、二瓶は哀しみを湛えた瞳で、「殺した責任を背負い込むような甘ったれは兵士なんぞにならないで俺と熊撃ちをしていれば良かったんだ」と息子の遺品を見つめていた。
日露戦争帰りの兵隊で元は猟師であった谷垣に、二瓶は亡き息子の面影を重ねていたのかもしれない。
そう考えると、山中で死にかけていた谷垣を救った縁の意味が、朧げながら浮かんで来るのであった。



+ 二瓶鉄造勃起語録-
  • 五発あれば五回勝負できると勘違いする 一発で決めねば殺される 一発だから腹が据わるのだ ビビッておっ立ちゃ負けよ
  • 「マタギの兵隊さんよ 狼との勝負は一度も無いだろう? 勝負どころか 手負いの動物は格好の標的だぞ」「そういうあんたは狼を獲ったことがあるのか?」「無い! 何も知らんからこそ勝負がしたい 鹿の大量死でエサの無くなった狼は 家畜を襲うようになり 人間の罠によって絶滅するまで駆除された その知恵比べにも負けず生き残った最後の狼 狼の個性とオレの個性の勝負 猟師の魂が勃起する!!
  • 精がつくから気を付けろ? 屋根をブチ破って小屋を破壊するなよ? 勃起! ぬははは
  • 「…………お前にとって『狼狩り』は口実なのだ 軍にも故郷にも戻れず… お前の猟師魂は北海道の森を彷徨っている 谷垣よ 狼を獲ったら毛皮を手土産に故郷へ帰れ」「ふふッ」「ぬははは… 勃起
  • 谷垣よ 「洗いっこ」しようか
  • そんな目で見つめるな谷垣よ 寒さで縮んでいるだけだ 普段はもっと立派だ
  • 勃起が止まらん
  • 殺気に勘付いたか? 昂ぶりを抑えろ! 木化けだ木化け!! むうう…勃起ッ!!








求道の阿仁セクシーマタギ・谷垣源次郎 ~勃起ぐ者がれる者~


二瓶亡き後、その魂と村田単発銃を受け継いだ男が谷垣源次郎である。
第七師団の一等卒だった谷垣は、意識不明の重体となっていた尾形上等兵が伝えてきた「ふじみ」の言葉を頼りに、上等兵と戦った相手である杉元を追跡していたのだが、その相棒であるアシパさんを連行しようとした際に、彼女を守るために襲って来たレタによって殺されかけてしまう。
山で身動きの取れなくなった自身を救ってくれた二瓶と行動を共にするうち、いつしか二瓶は彼にとって「心の師」、いや「魂の師」と呼ぶべき存在となっていった。


+ 谷垣の数奇な半生-
  • 秋田の阿仁で家族と共に猟師生活を送り、妹・フミを青山賢吉という男へ嫁に出す。
  • ある時、賢吉がフミを殺害して失踪し、谷垣は故郷を捨て、彼を血眼になって探す。
  • 北海道の第七師団に入り、勃起……もとい勃発した日露戦争に従軍する。
  • 戦場で遂に東京の第一師団に入っていた賢吉を発見するが、彼は爆弾で致命傷を負ってしまった。
  • 今わの際に賢吉が語った真実は、疱瘡に罹ったフミを泣く泣く楽にしてやったということだった。
  • 戦後、故郷には戻るに戻れず、鶴見中尉の目指す理想の実現に助力。


二瓶が言葉と行動で語った「猟師の魂」はいつしか谷垣の中にも息衝き、この伝説の羆撃ちと過ごした短くも濃密な日々は、半死人のようであった彼に眠る「マタギの谷垣」を生き生きと蘇らせたのである。
杉元らと激闘を繰り広げた末、アイヌの矢毒に掛かり、紆余曲折あってアシパさんのコタン(村)に搬送されることとなった時に訴えた言葉からも、マタギとしての気高さ・二瓶からの魂の継承を窺わせる。


「俺は猟師だ 死ぬときは 俺も山で死ぬ」


二瓶は山で死んだ。望み通りの最期だった。谷垣はそれを弔った。
幾度も救われた自分の命の意味を探し、谷垣は生まれて来た役目を自問自答する。
奇しくもその姿は、本作に彩りを添えるアイヌの諺――「天から役目なしに降ろされた物はひとつもない」と重なり、彼の行く末を暗示するのであった。


その後、尾形上等兵と二階堂の二人組が谷垣の命を狙い、アイヌの村に直接やって来る。
実は尾形は鶴見中尉に対して造反を企てており、それに賛同していた他の兵士の行方が谷垣と共にわからなくなったため、アイヌに匿われている兵士の存在を聞き、彼を探しに来たのである。
兵士らは杉元のせいでヒグマと殺し合って共倒れしていたのだが、尾形は谷垣によるものと推測し、造反が鶴見中尉の耳に入る前に彼を抹殺せんと動き出したのだ。
谷垣は自身に降りかかる火の粉を払うべく、アシパさんのフチ(おばあちゃん)や従妹のオソマ*3を守るべく、二瓶が遺した村田銃を手に、孤独な闘いに挑む。
そして逆転の一手を撃ち込んだ時、遂に彼の口から魂が迸る。





「 勃 起 !! 」





追手を退け、兵士ではなく「マタギの谷垣」として第二の人生を歩みつつあった彼は、孤児のチカパシと交流を深め、イと出会い、二人と連れ立って杉元一派を追う旅に出ることとなる。
「アシパさんに同行する三人の男のうち一人は裏切り者で、彼女に危険が迫っている」と占い、信心深いフチ(あばあちゃん)は自分の死期を思うほど深刻な気の病み方をしてしまったのだ。
谷垣の脳裡に、かつて鶴見中尉に身の上話を語った時の言葉が蘇る――「賢吉は自分の役目を見つけて命を使いました」「私の生まれてきた役目は何だろうと毎日考えています」……
彼は家族とは絶縁していた。娘が死に、息子まで故郷を出て戦争へ行くことになってから、老いた母は心労がたたり、身体が弱って死んでしまった。己を大切にしてくれた人をまた、同じように死なせてなるものか。
親身になって、傷を、心を癒して貰った恩を返す。
アシパさんを無事に連れ戻す。谷垣はそれに己の天命を見出した。


最近ではすっかり愛されキャラとしての地位を確立し、「勃起」もすっかり口癖になってしまった。
泥火山の噴気孔のことをアイヌ語で「ボッケ」と言うことを教えられ、思わず「ボッキ」と呟いたところ、この恥ずかしい間違い方をチカパシに訂正されてもなお改めることなく真顔で「ボッキ」と言い放つ。
二瓶の教えを忘れぬために持ち出した村田銃の残り香を追い、猟犬のリュウも旅に同行している。


旅の中でイとは急接近しており、杉田一派と再会した時の睦まじさから、周囲に「結婚しろ」「夫婦かお前ら」と言われる程度には認知されている。
ちなみに彼の一物はかなりの御立派様であるようで、位置取りが悪かったとは言え、それで後頭部を殴打された白石が「なんてすごいチンポ……」と口走ってしまうくらい。



+ 谷垣源次郎勃起語録-
  • 勃起!!
  • ……つまり「勃起」か 本当にいい名前をもらったな……チカパシ勃起
  • ウンウン…いい名前だ 勃起
  • 「おい逃げるな ボッキ!「谷垣ニ*4 ボッキじゃない」「俺はチカパシだよ」
  • そうだ…チカパシ 自分を奮い立たせて戦う… それこそが勃起なのだチカパシ!!
  • 「ボッキ」「ボッケだよ」「え?」「ボッキじゃないよ」
  • 「おっと…そうか ははは」「ボッキか…」「ボッケだよ谷垣ニパ」/「谷垣ニパ?」*5
  • 一発だ! 勝負は一発で決めるぞ そのまま引き金を引けチカパシ
  • そうだ チカパシ… こ れ が 勃 起 だ !








勃起の申し子・チカパシ ~股座に充のオルフェン~


北海道の短い春、谷垣とマカナックルの背を追う小さな人影があった。それがこの少年、チカパシである。
「チカパシ」という名の持つ意味は「チカ・アシ」……直訳では「鳥が立つ(“A bird stands.”)」
しかしこの「チカには「陰茎」の意味が隠喩として含まれており、転じて「チカパシ」「陰茎を立てる」――即ち「勃起」となるのだ。
この用法に関しては吉田巌氏『アイヌ史資料集』にも記述があり、そこでは「チカパシ」「陰茎の怒発」を意味する人名だと書かれている。[[おちんちんレイジバースト>ブラッドレイジ(GE2RB)]]


アイヌ民族の風習として、幼児には病魔が近寄らぬよう汚い幼名で呼ぶ習わしがある。
アイヌの中には、名前を正式に付ける際に良過ぎるものを嫌い、敢えて汚い幼名を残したり、本人に関する出来事から珍妙な名前を付けたりする者もおり、「チカパシ」という名の人物も実在したという記録が残っている。
そう、「チカパシ」の名を持ち、[[「俺が勃起だ」>俺がガンダムだ]]と名乗る漢達がアイヌにはいたのだ。


チカパシに名を授けた実の両親は疱瘡で他界し*6、身寄りのない彼は村の老人達に共同で育てられていた。
村の他の子供達と遊ぶこともなかったチカパシだが、猟には興味を持ち、谷垣の傍にいることを選んだ。
彼は谷垣の珍道中に同行し、「勃起」の名に恥じぬ活躍を魅せる。ちんちんも見せる。
そして、二瓶と谷垣がそうだったように、いつしか二人は師弟関係にも似た絆を結ぶのであった。


+ 生き残った男の子のお話-

チカパシ初登場回を描き上げた後、作者・野田先生はアイヌの昔話との奇妙な一致を発見した。

  • アイヌの男の子がおじさんと山へ狩りに行った時、「疱瘡の神様達」と出会う。
  • 川を上って来た神様達は、二人に食料を分けてくれと頼む。
  • ケチなおじさんは男の子に小鹿の前脚だけを持たせて神様達へ渡し、大部分を持ち帰る。
  • 「全員分には足りない」と哀れに思った男の子に、「疱瘡の神様」は男の子に言う。
  • 「お前の家族は全員殺した。おじさんも殺す。お前だけは助けてやろう」
  • そして男の子だけが生き残った……


親兄弟を失い、孤児となった身の彼は、家族愛・加えて母性に飢えていると思しき描写が多々ある。
谷垣とイの旅の後を勝手に追って来た時も、イの「家族のふりをする」という提案をこれまた勝手に快諾し、彼女を「おっぱいを触っても怒らない異母姉」(要約)、谷垣を「叔父だが、実は父親が姉の母親に産ませた異母兄」(要約)→「隣りに住んでる金玉がでっかいひと」(=他人)とし、嬉々とした表情で股間を触りながら更にまた勝手に役柄を考える……そんな彼の様子には読者らも頬を緩まされるのであった。


彼の年相応のマセたクソガキっぷりにはこういった微笑ましさに溢れており、谷垣が十勝へ行くと聞いて連想したのか、「トカプ」(おっぱいの意)*7を連呼しての巨乳をチラチラ見ながらはしゃぎまわる姿には、読者らはやはり頬を緩まされるのであった。
なお、「トカプ」は実際に「十勝」の語源でもある。
なんてこった……十勝は、十勝こそが、[[命を育む約束の大地>聖なる探索(GOD EATER 2)]]だったのか……


そんなチカパシ少年にも、漢の闘争心の覚醒と性の目覚めがいっぺんにやって来る。
千里眼の超能力者・三船千鶴子の身代わりとして(語弊があるけれども)連れ去られたイを救出せんと、谷垣は戦いを挑む。
チカパシは谷垣を奮起せしめ、更にはその窮地を救ったのである。
はおっぱいも大きいし、蓄えも沢山持っている。
だが、彼女を助けるのは決して彼女に養って貰うためではない。旅の仲間だから。家族だから。
チカパシの決死の物言いに、谷垣は心震わす。
その直後、チカパシ少年はイが縄で縛られておっぱいを変形させられている*8様子を見て滅茶苦茶昂奮してのたうち回っていた。


そして更にチカパシの身にはトラウマレベルの運命が降り掛かる。
谷垣とイが結ばれるのを目撃した彼は、その迫力に泣き出してしまった。
「オチウ」――「オ」(陰部)を「チウ」(刺す)で人間同士の性交を意味する。
親愛の情を向けていた二人が激しくセックスする描写は流石に誌面で描かれはしなかったが、チカパシの心に傷を負わせるには充分足りえる情景であったのだろう。
現実時間にしてその一か月後に掲載された『東京喰種:re』みたいにちゃんと描写してくれても良かったんですよ野田先生ェ!


その後、攫われたアシパを追う杉元一行に加わったチカパシは樺太アイヌの娘エノノカと出会い、親交を深める。
流氷原でアシパを救出し、裏切り者と一旦の決着を付けた一行は樺太のアイヌたちに別れを告げ、大泊へと向かうことに。
一緒についてきたリュウは犬橇の先頭犬へ昇格しエノノカたちの村で新たな道を歩むことになった。
一度は別れを告げ、エノノカに「また来る」と約束して一行と共に馬橇に乗り込むチカパシ。
しかし別れを惜しむエノノカの呼ぶ声に応じたその時、手を滑らせ馬橇から落ちてしまう。
立ち上がるが橇へ足の向かないチカパシの様子から、谷垣は全てを察した。
「見せかけの家族」を演じた日々を思い出しながら歩み寄る谷垣。そしてチカパシの前に立つと大粒の涙を流し、


「チカパシ・・・お前はここに残って 自分の本当の家族をつくりなさい」


と告げる。
同時に谷垣は苦楽を共にした村田銃をチカパシに渡し、「体が大きくなるまでまだ使うなよ」「その銃を使う時はひとりで立つんだ」と説く。


「ひとりで立つ・・・これも勃起だね?谷垣ニパ」


力強い瞳で問うチカパシに一人前のアイヌの影を見た谷垣もまた、


「そうだ勃起だ!!チカパシ!!」


と力強く応えた。
若きアイヌの新たなる旅立ちを見送る杉元一行の顔には笑みが浮かんでいた。
そうして二瓶の勃起魂は更に次の世代へ受け継がれることとなった。





+ チカパシ勃起語録-
  • 「谷垣ニパ ヒグマが出たらちんちん出してくれる?」*9「チカパシ…おれはヒグマが襲ってきたらこれで撃つ」「ちんちん出しながらヒグマ撃つの? かっけえ」「いや……ちんちんは出さない」
  • これが……勃起……
  • ああ~でも… イのおっぱいが… おっぱいが縄で締め付けられて食い込んでかわいそう… それなのに… ちんちんがむずむずする!! どうして? 谷垣ニ
  • 「それも勃起だ」「これも…勃起?」「勃起ってすげえや」
  • 俺ちんちん出しただけだけど!
  • オチウ… オチウ怖ぁい… 『チカパシは初めて見る大人のセックスの迫力に怖くて泣いた』
  • 「おれチカパシ ちんちんが勃起するって意味だ!」「ボッキ?」「わたしエノノカ 『フレップ(コケモモ)』って意味 フレップたくさん食べて全部ゲーしたからこの名前」「他に名付けるきっかけなかったのかい?」(by杉元)
  • ハァハァハァ 谷垣ニパ! これが… こ れ が 勃 起 ?








番外編・その他の人物の勃起


ここからは本作に登場する他の人物の「勃起」にまつわる話もご紹介しよう。
股座がいきり立つ方の「勃起」も盛り沢山、それがゴールデンカムイ。
……結局下ネタまみれじゃないかって? 当 た り 前 だ ろ う が 。


ちなみにこういう話になると、主人公なのに杉元なんかは扱いが悪い。
春先とは言え冷たい海に飛び込む直前、寒さですっかり縮こまってしまった。
しかもアシパさんにはバッチリ目撃されており、後で笑いものにされた。


果たして、今後杉元の不死身棒が不死鳥の如く立ち上がる日は来るのだろうか?
「チカパシ」=「鳥が立つ」≒「陰茎が立つ」だけに。





辺見和雄 ~煌めくタナトスへの欲動~


幼い頃、実家の裏山に棲んでいた大猪に弟を惨たらしく喰い殺されてしまい……
そのトラウマを性癖に変えてしまった他殺願望持ちの快楽殺人犯。
自分と同じ殺人者の「におい」を感じ取ったことから、杉元との殺し合いを渇望する。
彼を語る上で最大の個性と言える部分は、自分の死を妄想して勃起した股間が光ること。


+ 辺見ちゃんの煌めきハイヴォルテージ-
  • 誰でもいいからぶっ殺したくなるんです

 網走収監時代、白石が直接殺人の動機を問い質した時のこと。
→股間が激しく隆起していることを想像させ得る激烈な発光。

  • あああ…とってもお似合いです

 杉元に凶器(鰊粕加工場の道具)を渡す。
→杉元が見様見真似でそれを使う。
切り刻まれる鰊粕の塊に自分を重ねた妄想をして悦楽に浸る。
→アシパさんが怪訝そうにそれを見つめる。

  • 最高だッ!!

 身元が判明した末、杉元と死闘を繰り広げる。
→突如襲来したシャチに海中へ引きずり込まれる。
→海へ空へとシャチに投げ出され、弄ばれる。
→その死に様に至上の絶望と喜悦を感じながら、太陽と股間を同化させる。


ちなみに彼の股間が光るイメージはアメリカのバンド“Electric Six”の“Danger! High Voltage”のミュージックビデオがモチーフ。視聴する際は口に飲み物を含まないようご注意ください。
同じ出版社で殆ど同じ掲載雑誌名の股間が光る仲間にはこいつもいる。





牛山辰馬 ~愛すべき紳士、チンポ先生~


単騎かつ無手で作中最大最強の脱獄囚にして、本作の変態紳士筆頭、チンポ先生。
キロランケニパとは上川アイヌの村で手に取ったストゥ(制裁棒)のデカさを讃え合った仲。
肉体言語を駆使した圧倒的説得力と素敵にお茶目な立ち居振る舞いで皆を魅了し続けるチンポ先生だが、定期的に女を抱かねばそのうち誰彼構わず襲い掛かるという精神的に不安定な一面も。
衝動が振り切れた時の迷走具合は、家永(本当はジジイ)にお預けを食らった上に人の判別も出来なくなるほど酩酊していたとは言え、白石の臭い乳首を舐め(即座に嘔吐し)てしまうほど。*10
土方陣営に与した時も遊郭通いの真っ最中。
そんな彼も、家永を匿い、杉元らと行動を共にするようになってからは多少鳴りを潜めたかと思われていた。


だが、奴は……はじけた。
樺戸監獄から逃走した脱獄囚が潜伏していたアイヌの村を解放した後、ドサクサついでにヒグマを撃退した功績で村の女性達に熱烈なアプローチを受けたにも拘わらず、残念ながら杉元によって強制連行。
その最中、先生が引き摺られていった地面には随分と見事な前立腺ブレーキの跡が……!





白石由竹 ~恋をしたから脱獄することにした~


全身脱臼能力を持つ妖怪軟体動物、脱獄王こと白石由竹。
無期懲役囚である熊岸長庵に描いて貰った「シスター宮沢」の、ほぼ線と点だけの落書きのような似顔絵を宝物とし、時に心を癒す糧とし、時に実際の彼女の顔と声を想像しながら[[自慰に耽った。>オナニー]]
……が、その度に同房の囚人に邪魔立てされてしまうのだった。


渋川善次郎*11「雑居房は必ず囚人が奇数なんだってよ」
「3人5人7人……どうしてかわかるか?」「男色防止だ」


辺見和雄(上述)「自分の死刑執行を想像してるんですね? わかります!


ちなみにアシパさんは「ヤツメウナギに骨が無いのは石狩川に落ちたヒグマの腸が変じたものであるから」というアイヌの神話を引用し、白石の関節がぐにゃぐにゃなのは「ヒグマのチンポがシライシになったからなのかもな」という自説を展開した。
本来は感動的なシーンで使われるような飛びっきりの美しい笑顔で。
もしかしたら本人としては「白石の軟体は神様からの贈り物」的なことを言いたかったのかもしれない。





若山親分と勝負師仲沢 ~真実の愛~


読者の予想の遥か斜め上をアクセルベタ踏みで超えて行った人気シリーズの二人組。
当然ながら肉体関係にあったこの二人も、然るべき時には勃起していたことであろう。
いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう。詳細はこちら。





江渡貝弥作 ~明治の服飾怪物~


江渡貝くぅぅんはお母さんに去勢されているので、仮に勃起しても本来の機能を果たし得ない。かわいそう。
しかし、現実にも睾丸除去による性欲減退は当然発生するが、勃起現象自体に睾丸の有無が関わることはない。
本項目上部に格納してある広辞苑やブリタニカからの引用だけでは安心して勃起出来ない方は、「勃起のメカニズム」でググると幸せになれますぞい!
けれども、仮に勃起出来たとしても発射するべき実弾が無いんだよにゃあ……





坂本慶一郎と蝮のお銀 ~明治北海道のボニー&クライド~


凶悪だからこそ惹かれ合った。
刺青の囚人である稲妻強盗こと坂本慶一郎とその相棒にして奥方たる蝮のお銀のドタバタバカップル。
籍を入れていたかどうかは知らんが、夫婦なので当然「オチウ」もしていた。しまくっていた。
実際に誌面でも「オチウ」していた。都合二回。
目の前でおっ始められた夏太郎と亀蔵(土方の部下)も読者もドン引き。
嬌声を聞き付けてノコノコやって来た見張りをさらっと殺す手際の良さもドン引きものである。


その結果誕生した彼ら夫婦の愛の結晶も登場。
おめでとうございます! 元気な男の子ですよ!
あと、この件での鶴見中尉の描写はどう考えても射精です。本当にありがとうございました。





姉畑支遁 ~シートンのウコチャヌプコロ動物記~


+ どうしてだ? 杉元……-

ウコチャヌプコロ……(真剣)



「ウコチャヌ」とは、動物の交尾のことである。
姉畑の所業に対し、アシパさんが抱いた疑問において、この言葉は現れた。
杉元はその意味を噛み締めるかのように神妙な面持ちで復唱し、読者らへ絶大な衝撃を与えた。



「どうしてだ? 杉元……どうしてこんなことを?」
「人間が鹿とウコチャヌしても子供なんか出来ないのに……」
「ましてやオスの鹿とウコチャヌする意味がわからない」


「オスはメスとしかウコチャヌしないはずなのに」
「オスとウコチャヌするなんて どうしてだ? 杉元……」


「ウコチャヌ……」



語源としては「ウコ」:「互いに」、「チャヌ」:「知る・覚える」、「コ」:「~している・~しながら」から成立する熟語で、直訳すると「お互いのことを知る」「なかよしする」[[「オカカワリする」>せがれいじり]]といった意味になる。
アイヌ民族の感覚からすれば、この言葉は動物に限って使われ、人間同士ならば「オチウ」などが一般的。
「人間と動物とが」「オスとオス同士とが」「ウコチャヌ」するなんてことは普通はあり得ない。*12
まあ、海の向こうにはバイソンとかボノボとかみたいなオス同士・或いはメス同士でも交尾する生き物もいるんだけれどねえ……


なお、この言葉で、読者らにさえ「野田先生は『ゴールデンカムイ』を映像化させる気なんて皆無だろう」と思わせた姉畑シリーズに一層の異常さが添えられ、「姉畑=ウコチャヌの図式さえ完成しているとも言えるが、しかし作中で実際にこれを発したのは杉元とアシパさんだけである。



今日もドッタンバッタン大騒ぎ


最早蛇足だけれども、「ウコチャヌという強烈マカビンビンな下ネタアイヌ単語を手に入れた『ゴールデンカムイ』読者らの一部が向かう先には、姉畑のシリーズがヤンジャンに掲載されていた当時放送中だった[[某動物擬人化美少女ブラウザゲーム原作の予想外メガヒットアニメ>けものフレンズ(アニメ)]]があった。
折しも抜群のタイミングでヒグマをモデルとしたキャラクターが登場したため、「ウコチャヌを含めたアイヌ語ネタは、水を得た魚の如く活性化した読者らの手で瞬く間に伝染したのである。


姉畑が神々を穢した罪は重い(超とばっちり)
あろうことか流行に乗じて「すごーい! 彼は変態けものフレンズなんだね!」*13なんて狙い澄ました煽り文を書く担当編集も大概だがなあ!!





ラッコ鍋騒動 ~深夜、密室、男同士。何も起きないわけがなく~


合流した杉元一味と谷垣一行がアイヌの村を出た後の夜のこと。
男衆が蝗害*14から身を防ぐために駆け込んだ番屋(漁師の宿泊所)でそれは起こった。
谷垣が「夫婦で食えよ」と釘を刺されていたにも拘わらず、海辺で貰ったラッコを鍋で煮始めたのだが、鍋から発せられる独特の臭気が部屋を満たした頃から、皆の様子がおかしくなった。


アイヌ民族には「ラッコの肉を煮る時は必ず男女同数で部屋にいなければならない」という言い伝えがある。
何故ならば、ラッコの煮える臭いには、一人でいては気を失う威力の催淫作用があるからだ。
後にイも言っていたが、ラッコは孤独に弱く、つがいの片割れを人間に捕られると、行き場のなくなった欲情を拗らせて死んでしまうのだという。



+ 性欲を持て余した雄共による、禁断の宴が幕を開く-

発気揚々はっきよい! 土俵と化した漁師小屋!



ムッワァァァァ…



ラッコの呪いか、姉畑という害悪をのさばらせた傲慢な人の子への報いなのか、杉元らは自分達の夕飯が原因だとはつゆ知らず、互いに欲情してしまったのだ。
バンプアップ著しい谷垣は胸筋の発達でボタンをはじき飛ばし、セクシーな剛毛を晒してしまう。
異様な香りと熱気に当てられて体調を崩した尾形百之助(孤高の山“ネコ”スナイパー)も、混乱したままの杉元らの手で丸裸にされ、あわや「昏睡脱衣! 診療所と化した漁師小屋!」になる寸前であった。


そんな時、蝗害を逃れてやって来た男がまた一人。別行動を取っていたキロランケであった。
妖艶な色気をムッワァァァァと放つキロちゃんの登場に生唾を飲み込む一同。
飢えた野獣共の檻に極上の肉を纏う飢えた野獣がもう一匹、檻に入った途端にスイッチオン。
これもう(何が起こるか)わかんねえな。


肌を露わに、手持ち無沙汰げに互いの肉体を褒めていた彼らは、沸き起こる感情の正体を知らず、やがて行き場を無くした熱情に正常な判断力を奪われ、限界はすぐそばまで差し迫っていた。
そして褌一丁となった杉元がやおら立ち上がり、自分の尻を叩いて一言。



「ダメだ俺…もう我慢できねえ…」


「 相 撲 し よ う ぜ 」


なるほど そうか!!



本格的ガチムチふんどしレスリングの始まりである。
杉元達は劣情に身を任せ、息を切らせてがっぷり四つに組み合い、相撲を取った。
同じ頃、小舟の上、アシパさんとイはとてもと~っても真面目な話をしていた。
その頃、番屋の中、杉元達は汗だくになりながら、充満するラッコ鍋の臭いにまみれて、相撲していた。
歪みねぇな♂


夜明け頃、バッタの群れは過ぎ、臭気の抜けた番屋にはやけに余所余所しく着替える男達の姿があった。
彼らは「他言無用」を誓い合い、気まずそうに外へ出掛けて行った。仕方ないね。
この話を読んだ後から『火ノ丸相撲』や『バチバチ』を清らかな心で読めなくなった子がいないか、ちょっとだけ心配です。



疲れて寝入ってしまった谷垣は番屋に取り残されていたが、そこにイが現れる。
火照った頬を緩ませ、ラッコの肉を口実に、その効能を免罪符に、彼女は谷垣と肌を重ねる。


狼狽する谷垣の目に、枕元に投げ出していた村田銃とシャツが映った。
「女は怖いぞ」と口を酸っぱくして谷垣に説いていたはずの二瓶の魂。
折角イに縫い付けて貰ったのに、ボタンがすぐに外れてしまったシャツ。
師匠と彼女に恥じるかのように、二人の目に入らぬように、谷垣は微笑む猟師の魂を隠した。
外では大人のセックスオチウを目撃したチカパシが、その迫力から怖さに泣いていた。


こうして、姉畑のウコチャヌプコロから谷垣のラッコ鍋(→相♂撲→オ♂チ♀ウ)に至るまでの波乱万丈・疾風怒濤の道程は、濃厚過ぎるR-18奇譚として読者らの脳髄に深く刻まれた。
……あの場にもしチンポ先生がいたらもっとヤバかったのでは、と想像するだに恐ろしい……
立て続けに変態エピソードが続いたせいで本項目も稲妻&蝮までの予定だったのが大幅に延びた。




岩息舞治 ~暴力に魅せられた哀しきモンスター~


あなたにとってスチェンカとは?
「自己表現です。絵や歌や文章や踊りなんかで自分を表現するのと同じこと。」
「小さい頃から私という男を知ってもらう唯一の方法として選んだのが、暴力だった。」
「でも…嫌われちゃいましたね。そんな私を世間は理解しませんでした。人生のほとんどを監獄で過ごしました。」



暗号刺青を持つ脱獄囚の一人。少女漫画のように目を輝かせているスキンヘッドに丸眼鏡のマッチョマン。
脱獄後に流れ着いた樺太で筋骨隆々の男が並んだ姿を壁に例えた殴り合い「スチェンカ」に出会う。
暴力が肯定される場に岩息は歓喜。本来はレクリエーションとして行われていたこれを賭けの対象とし、金稼ぎの手段と本気の戦いを楽しめる舞台を作り上げた。
かつて監獄にいたときは牛山との戦いが楽しみの一つであり、つかみ合いになれば負けていたが殴り合いにまま勝ったこともあるという。


犬泥棒との交渉でスチェンカに出た杉元に惹かれ、彼との本気の殴り合いを望むようになる。辺見ちゃんといい変なのに好かれる杉元…
さらに杉元との殴り合いに加えて谷垣、鯉登、月島を加えた日本軍チーム4人からの集中砲火を希望し、
4人から殴られている間は「もっとぉ!!」「んモットぉ!!」とエクスタシーの表情で叫ぶなどマゾ気質もある模様。
この集中砲火をあっさり振り払い長期戦の様子を見せるも、殴られすぎた杉元が暴走を始め、武器使用に加えて金塊目的を口走ったことから思い破れた岩息は逃走。
追ってきた谷垣鯉登月島とバーニャ(ロシア式サウナ)に逃げ込むも、サウナでの殴り合いと外のクズリ(別名ウルヴァリン)の二択を迫るデスマッチを始めた。
なおこのときにスチェンカ開始時の上裸からサウナに合わせて谷垣鯉登月島と4人とも全裸になっている。また男の全裸か。
やがて杉元が現れ、サウナに合わせて全裸になったまま外で殴り合いを再開。膝をついた瞬間足元の氷が割れて冷水からの脱出を優先したため決着はつかず。
金塊争いから逃れるため、杉元の勧めと月島からの脅迫を受けて大陸の果てに向かうことを約束して杉元一行と別れた。


二瓶や辺見のように金塊に興味を持たず、発言こそ丁寧な人物だが冒頭で紹介した通り価値観はだいぶズレている。
網走に収監された理由は明確にされていないものの、台詞から察するにおそらく傷害罪あるい傷害致死罪。そして罪は認めつつも暴力好きを改善する気はあまりない。
しかし杉元の拳に怒りが込められていることを見抜き、大切な人を救えなかった自分を責め苛む杉元に慰めの言葉をかける優しさも見せた。
(もっとも、このときの杉元は我を失っていたため岩息の言葉が届いたかどうかは…)






アニヲタwikiで項目を建てたいからwiki籠りになった
作成の後に他の籠りたちが 建てた項目を追記し
たとえ糞項目と罵られても
いつか修正され wikiの一部となる
理想的な編集だ



[#include(name=テンプレ2)]

この項目を見て「勃起」したら……\オチウ…/
#vote3(time=600,31)

[#include(name=テンプレ3)]


コメント欄をブチ破って相談所を困らせるなよ?



勃 起 ! ぬ は は は


  • こ れ は ひ ど い -- 名無しさん (2017-06-06 08:12:33)
  • よく調べたな、まるで勃起博士だ・・・(畏怖) -- 名無しさん (2017-06-06 08:31:31)
  • ……なん…だと?(戦慄) -- 名無しさん (2017-06-06 09:17:11)
  • なんやこの項目w -- 名無しさん (2017-06-06 09:21:25)
  • 項目作成者は狂人かなにかか -- 名無しさん (2017-06-06 09:50:18)
  • 凄い。ただそれしか言葉が出ない…… -- 名無しさん (2017-06-06 10:48:26)
  • コメント欄は不意打ちだろww -- 名無しさん (2017-06-06 11:12:56)
  • 書きすぎィ!!そんでいてこんだけ内容が充実してるとか論文か何か? -- 名無しさん (2017-06-06 11:21:56)
  • 建て主絶対谷垣か二瓶だろwww -- 名無しさん (2017-06-06 12:34:24)
  • オチィ! -- 名無しさん (2017-06-06 14:04:19)
  • この項目……スケベすぎる!! -- 名無しさん (2017-06-06 14:21:18)
  • 項目作成者が狂人というよりこの作品(ついでに作者&編集)自体が純粋な狂気と予測不可能な変態性に満ちているというかなんというか・・・ -- 名無しさん (2017-06-06 22:59:53)
  • 勃起に満ちた項目 -- 名無しさん (2017-06-06 23:50:47)
  • 腹筋が死んだwww -- 名無しさん (2017-06-07 01:31:29)
  • 二瓶のじいさんの勃起発言は陽気さと心意気が見えて普通に好きだったなあ。殺人者とはいえ動機は筋のあるものだし。その後に出てきた変態たちは・・・うん。 -- 名無しさん (2017-06-07 01:49:12)
  • これ建てた奴馬っ鹿じゃねぇのwww(褒め言葉 -- 名無しさん (2017-06-07 02:58:51)
  • 本項目で触れられていないが、「谷垣ニシパ」の「ニシパ」は「~の旦那」という意味合い。英語で言うとミスター。「ミスターフルスイング」は「フルスイングニシパ」になり、「ミスターフルボッキ」は「フルボッキニシパ」になるよ -- 名無しさん (2017-06-07 08:08:46)
  • 添付ファイル名でまで笑いを取ろうとするのやめろや(誉め言葉) -- 名無しさん (2017-06-07 08:51:55)
  • どうでもいいけど収容違反が発生して…収容違反しかなかったわゴメン -- 名無しさん (2017-06-07 12:50:45)
  • ラッコ鍋騒動の話はヤバかったな・・・本屋で笑うの我慢するのがあんなにきつかったのは久々だったわ -- 名無しさん (2017-06-07 16:49:34)
  • こ の 漫 画 が 凄 い !!(別の意味で) -- 名無しさん (2017-06-07 18:21:51)
  • こ れ は 酷 い (褒め言葉) -- 名無しさん (2017-06-07 21:31:22)
  • そのうち二瓶の項目が出来て魂が勃起する記事になるんだろうな エレクチオンの方の意味でなくてよかったというべきか -- 名無しさん (2017-06-07 21:52:37)
  • 今週はベニテングダケが出てたな・・・w -- 名無しさん (2017-06-08 14:41:26)
  • テラフォ初期とかでヤンジャンにうまい煽り文職人がいるのは知ってたが、変態けものフレンズは反則だろ -- 名無しさん (2017-06-08 20:39:09)
  • 充血のオルフェンとか誰が上手いこと言えとw -- 名無しさん (2017-06-08 21:07:36)
  • 「来いよ、アニメ化!放送コードなんて捨ててかかってこい!!」て言葉がよぎる気迫をこの項目からは感じるww -- 名無しさん (2017-06-08 21:20:13)
  • 野田先生のブログの受け売りだけどさ・・・吉田巌氏「アイヌ史資料集」の中に「珍奇な名前」として挙げられているチカパシの意味は、「陰茎の怒発」。オイオイオイ「RAGE OF DICK」かよ -- 名無しさん (2017-06-10 04:59:00)
  • けもフレOP調の結婚行進曲「濡根嵌根大騒ぎ!」とか相撲の寄せ太鼓でエマニエル夫人「今煮える腐心」とか浮かんできて頭から離れんぞどうしてくれる -- 名無しさん (2017-06-25 08:00:15)
  • コメント欄冒頭の不意打ち勃起で腹筋が犯られた -- 名無しさん (2017-06-25 14:10:12)
  • ↑ 一発で決めねば殺される 一発だから腹が据わるのだ ビビッて笑っちゃ負けよ -- 名無しさん (2017-06-25 20:26:59)
  • 俺も勃起したくて仕方ない気分になってきた -- 名無しさん (2017-06-29 02:03:55)
  • 無駄にクオリティ高くてビビったwww -- 名無しさん (2017-08-03 00:49:43)
  • これをアニメ化するのか・・・ -- 名無しさん (2017-08-03 15:33:40)
  • なんかGEの登場人物が見え隠れしてますねぇ... -- 名無しさん (2017-09-21 21:41:37)
  • 支遁登場後の界隈のヒートアップぶりとヒグマと神威へのド級の風評被害っぷりには笑うしかないと同時に巻き込まれなかった世が世ならナコリム姉妹も巻き込まれていたと思うと・・・ -- 名無しさん (2017-09-23 08:10:24)
  • おい深刻な収容違反でミーム災害が・・・しかも異常性変質だと!?みんなにg勃起!! -- 名無しさん (2017-12-22 20:58:54)
  • ちょっと読みにくいんでこの項目から姉畑支遁の項目を分離しようと思うのですが反対の方いますでしょうか? -- 名無しさん (2017-12-28 15:36:13)
  • ↑賛成。そもそも強盗夫婦までの予定が延びまくった体なので(反省)……でも、ウコチャヌプコロからのラッコ鍋にはきちんと関連付けたいので、なるべくなら「どうしてだ杉元?」内の「ちなみに」部分は本項目にも残して欲しいと存じます -- 名無しさん (2017-12-29 04:20:33)
  • では一週間待って反対が無ければこの項目から姉畑支遁の項目を分離します -- 名無しさん (2017-12-29 13:16:28)
  • この項目から姉畑支遁の項目を分離しました -- 名無しさん (2018-01-05 17:21:24)
  • いま二瓶との戦いを初めて読んでるが、建て主がここまで情熱を燃やす理由がよくわかった。「安心しろ。人間なんぞにそこまで価値はない。これは獣と獣の殺し合いよ。だが生き残るのは俺一匹!! 苦しませずに一発で決めてやる」こんなセリフを聞いて勃起しない男の子はいないわ -- 名無しさん (2018-01-05 19:14:46)
  • コメント欄で村田銃に撃ち抜かれたわ それも一撃で -- 名無しさん (2018-01-15 14:50:11)
  • cv大塚明夫さんに決定ですでに勃起 ちなみに大塚明夫さんも声優魂が勃起ってツイートしてた -- 名無しさん (2018-03-25 20:11:07)
  • 男だらけの湯けむり襲撃事件やキロランケとチンポ先生のストゥ兜合わせの項目はないんですか! -- 名無しさん (2018-05-03 19:54:36)
  • 15巻を読んで岩息さん追加。殴り合いの中に起きてるぽいコマあったし。項目作成時は雑誌のみの内容も書いてたけど、今後追記する場合は単行本の内容から書く形にルールを決めてもいいでしょうか? -- 名無しさん (2018-11-04 16:24:25)
  • お前こそ真のオタクだ! -- 名無しさん (2019-10-29 13:46:48)
  • 相談所に報告のあった画像を全て削除しました。画像掲載のルールの中に「集英社が権利を有する画像は掲載禁止」だと定められています。 -- 名無しさん (2020-04-27 23:43:58)
  • ↑本文から添付ファイルへのリンクを外しただけで、ファイル自体は残っていますよ。管理者でないと消せません? -- 名無しさん (2020-04-29 16:46:17)
  • 銃とチンコはお互いに比喩表現になっているように、奇妙な縁がある。銃と共に生き、銃と共に死んだ二瓶が「勃起」を口癖にしていたのはある意味自然なことだったのかも知れない。 -- 名無しさん (2020-12-22 19:00:36)
  • 初期案だとクライドリというマタギに伝わる儀式を谷垣と二瓶がやる予定だったらしい。 -- 名無しさん (2020-12-22 19:45:37)
  • ところで、精子探偵宇佐美ちゃんは番外編に追記していいのだろうか? -- 名無しさん (2021-09-02 18:46:25)
  • 流石に勃起と勃発まで間違えんでええわ -- 名無しさん (2021-10-31 14:11:56)
  • コメント欄開いて見事に不意打ち食らいましたよwwww -- 名無しさん (2021-11-06 19:59:52)
  • チカパシとアイヌの昔話に関しては、ガチの偶然の一致なのが凄いところ。 -- 名無しさん (2021-11-11 14:05:52)
  • 途中からゴールデンカムイの変態どもが一堂に会しとるカオスな空間に -- 名無しさん (2021-12-07 12:30:13)
  • 勃起の話をしたいんなら二瓶と谷垣のことだけ書けばいいのでは?何がしたいかよくわからない記事だった。 -- 名無しさん (2022-02-05 11:15:52)
  • それもまた勃起だな -- 名無しさん (2022-05-05 17:33:28)
  • 性別の偏った15人の子供に恵まれるミームもセットでついてくる可能性 -- 名無しさん (2022-05-05 22:56:03)
  • 作者曰く牛山>谷垣>ボウタロウ>キロランケ>菊田>有古>家永>ヴァシリ>二瓶>稲妻>月島>鶴見 あとは似たりよったりで杉元も尾形も宇佐美も土方も鯉登も平均 白石はちょっと小さいらしいね -- 名無しさん (2022-10-29 10:10:39)
  • ↑作者は牛山よりは小さいんか -- 名無しさん (2022-12-18 13:37:12)
  • ↑「曰く(いわく)」な 作者が自分のサイズを示したわけじゃねぇよ!? -- 名無しさん (2023-02-17 13:12:34)

#comment

*1 奥秩父の独立立法機関を名乗る傍迷惑な妖怪
*2 例えば日本語解読能力を有するDクラス職員を用いた実験の結果が、「このコミックスシリーズに一時間以上暴露した人間の98%は『勃起』という単語に対して畏敬の念を持つようになることが判明しています」となったとしても、そこへ更に「それってただのファンになっただけじゃあないの?」という疑問が発生するため。嘘だと思うならそいつに何か美味い物でも食わせてみろ。一言でも「ヒンナ」と言い出したらそいつはもうただの熱烈なファンだ
*3 うんこの意味だが、アイヌ特有の幼名
*4 男性への敬称。目上の男性へ「旦那」、お年寄りへ「長老」を指す模様。英語で言えば“Mr.”となるところか
*5 単行本第12巻より。台詞が変更された
*6 疱瘡(天然痘)は明治時代に道南から感染が拡大し、免疫を持っていなかったアイヌは人口が激減してしまったという
*7 「トカップ」「トカプチ」とも。「母性的な」「昼」の意味も持つ。おっぱいはやわらけえんだぞ!
*8 それはもう激しく食い込んでいた。おっぱいはやわらけえんだぞ!!
*9 「股間を晒せばヒグマは逃げる」という、アイヌに伝わる熊除けのまじない。無論、迷信である。が、アイヌは信心深いので迷信を大事にする
*10 ふくよかな奴はともかく、雄っぱいはかてえんだぞ……
*11 3巻で土方おじいちゃんにジュウサツ・ゴーメンされた人
*12 ただしアイヌの民話にもカムイと人との異種結婚譚は存在する。
*13 当該作品の項目内脚注にもあるが、この言い回しは原作には存在しない造語だと考えられている。悪意ある煽りに用いられることもあるので、用法・用量を守り、正しくお使いいただきたい。「勃起」と同じでね!
*14 イナゴなどのバッタ類が大群を成し、広範囲を移動して食害を起こす

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