カイロ・レン

ページ名:カイロ_レン

登録日:2015/12/20 Sun 06:50:30
更新日:2024/01/16 Tue 13:33:13NEW!
所要時間:約 15 分で読めます



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「あなたが始めたことを私が終わらせるために」




映画『STAR WARS』シリーズ第七作『フォースの覚醒』から登場するキャラクター。


西洋風のマスクを被り、フード付きのマフラー、ノースリーブのロングコート、ロングブーツを装備した全身黒ずくめの仮面の男であり、
2015年12月から開始された新たな3部作における暗黒面のフォースの使い手(いわゆるダークジェダイ)の一人である。
演じる俳優はアダム・ドライバー。吹き替え声優は『海馬瀬人』でお馴染みの津田健次郎氏。


●目次


人物

新共和国と講和を結んだ帝国を見限り、離脱した過激派組織「ファースト・オーダー」の前線指揮官。
トルーパー隊隊長のキャプテン・ファズマは彼に敬意を払っており、作戦本部指揮官であるハックス将軍も彼については少々無礼な態度も許している。
とはいえハックスからの受けはあまり良くなく、レン自身も実戦経験が少ない彼を見くびっている。


直属の上司と言える人物は、ファースト・オーダーの最高指導者・スノーク。
自身をトップとするレン騎士団を与えられている(騎士団は7時点ではレイの予知夢にのみ登場)。


実はかつて、ルーク・スカイウォーカーが興した新たなジェダイの訓練組織に属していたが、
全盛期の帝国に所属したシスの暗黒卿ダース・ヴェイダーを崇拝するがあまり暗黒面に落ち、賛同者たちと共に離反した。
この一件はルークの精神を大きく揺り動かし、人知れず隠遁生活に入ってしまう。


平時はフォースの力を利用し冷静な判断を下すクールかつ有能な指揮官であるが、
ファースト・オーダーの主目的の一つ「ルーク・スカイウォーカーの殺害」に強い執着を示している。
また部下の失態等により計画に狂いが発生すると、周囲の物をライトセーバーでずたずたに切り裂き精神を落ち着かせる悪癖がある。
この悪癖は組織中に知れ渡っているらしく、ライトセーバーを振り回しながら「衛兵! 衛兵!」と呼んでいるところに通りかかった二人組のトルーパーが、
「うわぁ……」とでも言いたげなしぐさをして来た道をそそくさと戻ってゆくシーンはシリアスな笑いを誘う。
この他にも、エンドアで葬られたはずのダース・ヴェイダーのマスクを所持しており、祭壇のように祀って不安を感じたときに縋るなど、かなり脆い面が目立つ。


一方で、彼自身のマスクはヴェイダーに対する憧れのような存在であり、別にこれがないと生きていけない、という類のものではない。
そのため、劇中では割とあっさり仮面を外すシーンもある。素顔は結構なイケメンだが、もじゃもじゃ髪のせいでなんかもやしっ子っぽい
演じるドライバー氏は日本の取材にて「ライトセーバーの磨かれておらず完璧でもない見た目がカイロ・レン自身を表している」とコメントしており、
様々な要素でレンがまだ未熟な状態であることが示唆されている。



今までのシリーズにいなかった「悪に染まりきれない等身大の悪役」。
そして某スーパーヒーロー集結映画の笑いの神様みたいな哀愁漂うへタレっぷりからネタキャラ扱いされたりと、良くも悪くも新生SWを象徴する悪役と呼べるだろう。
一方、ダース・シディアスやヴェイダーのようなカリスマ性のある悪役を期待していたファンからはあんまり人気がない。
また、EP7終盤のとある凶行から、シリーズ通してのファンからは好意も否定も放り投げて親友の仇の如く恨まれている。



アメリカのバラエティ番組「サタデー・ナイト・ライブ」ではカイロ・レンが平社員の整備士マットとしてファースト・オーダーに潜入するコントが2016年に放送された。
「カイロ・レンは腹筋が8つに割れている」と自画自賛したりカイロ・レンの悪口を言う部下をフォースグリップで粛清したり家族を失ったストームトルーパーにファンシーな手紙を送って励ましたりと、案の定バレバレだった。
しかも整備工として潜り込んだにも関わらず猛烈な機械音痴だったことが発覚する。残念ながらメカニックの才能は血縁者達(後述)から受け継がれなかつたようだ。
なおこのコントはディズニー公認でカイロ・レンもアダム・ドライバー本人が演じていた。


そしてそれから4年後の2020年、奇跡は起きた。
同番組でまたしても職場潜入に挑むこととなったのだ。今度はインターン生ランディを名乗り、部下や他のインターン生とコミュニケーションを取りつつ雑用に励む。
全く以てどうでもいい(本人にとっては最重要事項だが)内容の質問をして周りを呆れさせたり、飲み物を配る時にミスをしたせいでボロクソ罵倒してきた幹部を始末したりとやりたい放題。今回も当然正体はバレバレ。
更には単にプリンターのトレイが空っぽなだけなのに故障したからコピー出来ないと勘違いして、二度もプリンターをぶっ壊すというもはや機械音痴などといった次元を超える存在と化していた。
演じるのはもちろん例によってアダム・ドライバーその人である。


光の誘惑に負けたのか、米ディズニーランドではカイロ・レンのグリーティングが行われていたりする。






戦士として

フォース使いとしての才能は確かなものがある。
ルークとスノークの教えを受けた彼は、光と闇、両対のフォースに通じた青年と言える。
EP7ではフォース・グリップを巧みに操る姿を見せ、時にはブラスタービームを空中に長時間静止させる離れ業をやってのけている。
フォースを使った精神的拷問・自白術にも長けている。


彼の赤いライトセーバーは、鍔の部分から左右に余剰エネルギーを放出し、さながら十字架のようなシルエットを形成する。
どうやら古代のシスの記録にあった物を復元したようだが、実際はセーバー作成時にクリスタルにヒビを入れてしまい、それが影響して出力が不安定な為、左右の鍔から余剰エネルギーを逃がして安定させる為の機構。
刃も火花が散るような見た目であり、エネルギー収束も覚束ない。
加えて握り手の作りも非常に雑で、配線が外部にはみ出し、内部機構が露出している。
このライトセーバーこそがカイロ・レンの『不安定さ』を象徴している。


戦闘時は一呼吸ごとに柄を回転させる独特の動きを見せる。鍔競り合いで拮抗した際には強引に刃を押し込み、鍔のセーバーで抉りに行くエグイ戦法を使う。


しかし、前述した悪癖からもわかるように、メンタル面においてかなり大きな不安が残る。
ヴェイダーのように強くなりたいと願う一方、自分ではその域に到達できないのではないかという不安。
そして「光に対する憧れ」という恐怖。
これらはスノークにも指摘されており、克服すべき点として意識している。







※以下、本格的なネタバレに入ります。ガラケーユーザーはご注意を










その正体

本名「ベン・ソロ」。
言わずもがなハン・ソロとレイア・オーガナの息子であり、師匠であるルークは伯父、崇拝するヴェイダーは祖父に当たる。


祖父に対する執着を示すベンを問題視したハンとレイアだったが、2人はお互いに仕事にかまけ、子供の面倒を見る余裕がなかった。
ルークに鍛えさせようと彼の元に送ったものの、結局暗黒面に落ちてしまうことになる。


ぶっちゃけその性格や脆さとしては若い頃のヴェイダーことアナキン・スカイウォーカーにそっくりであり、後年の作品では冷静でない時のヴェイダーがレンと似たような失態を犯す場面が描かれたり、公式の音響総集編『ギャラクシー・オブ・サウンド』の第3集「ダークサイド」でも交互に映る編集がやたら多かったりと、各種スピンオフにおいてもベンがアナキンの孫であること(あるいはアナキンがベンの祖父であること)を意識したであろう演出が着々と増えている。


周囲の人間はスノークの策略により暗黒面に落とされただけで、本来のベンは光に属する存在と考えており、
ベン自身も、ベンとしての両親への執着等、暖かな想いを光の誘惑と呼び、正義に目覚めてしまうことを恐れている。「光堕ち」とか新しすぎんだろ。
実際、ソロの呼びかけに正気を取り戻し「どうしたらいいのかわからない」と涙を流す姿を見せていた。だが……。


EP8で語られた過去

ルークの元で修業を受けていたベンだったが、ある日ルークはベンの中にある凄まじい暗黒面の素質を感じ取ってしまう。
アナキン譲りの強力なフォース感応力を持つがゆえに「暗黒面の権化として大成する前に始末しなければならない」と、本能的に一瞬考えてしまいライトセーバーを起動してしまった。
EP5にてダゴバでヴェイダーの幻影と戦った時や、EP5、EP6でのヴェイダーとの二度の対決においてもルークは相手より先に抜刀しており*1、その悪癖(というか、EP5で指摘された短気さ)が出てしまったと言える。
そのタイミングで目を覚ましたベンはライトセーバーを構えるルークを見て師に見捨てられたと思い込み、寺院を滅茶苦茶に荒らして逃亡。


寺院を壊滅させてしまっただけでなく、自身がベンを暗黒面に追い詰めてしまったという後悔からルークは隠遁に至り、
ベンはカイロ・レンと化したのであった。


……のだが、実は寺院崩壊からカイロ・レンと化すまでの間にも結構紆余曲折があり、そちらの詳細は正史コミック『The Rise of Kylo Ren』にてレン騎士団の詳細ともども描かれることとなる。


シリーズにおいての活躍(時系列順)

シーズン4終盤、主人公エズラがスターウォーズ世界のありとあらゆる時間と場所に繋がる「狭間の世界」に侵入した際に、無数の扉から聞こえる声の一つとしてEP7の音声を流用する形でレイともども声だけ登場。
この時点ではまだ生まれてすらいない彼らの声が聞こえていること自体が狭間の世界の性質を端的に表しているといえよう。
祖父アナキンとも間接的に共演しており、正史作品においてアナキンとレンの掛け合い(っぽいもの)が実現している数少ないシーンの一つである。


具体的にはレンの「あなたが始めたことを」と「私が終わらせる」の間にアナキンの「君を失いたくない」が挿入される形となっており、アナキンが始めたこと=愛する者を失わないことを、レン(ベン)が結実させると解釈すると後のEP9での展開と合致しているとする見解もある。(公開順的に偶然である可能性も高いが、レンとレイが惹かれあっていること自体はEP8の時点で十分に示されている。)


いかにしてカイロ・レンが生まれたのか、なぜ彼はカイロ・レンと名乗るのかを掘り下げる本コミックで明かされた最も重大な情報は、レン騎士団はカイロ・レンよりも先にシス・エターナル傘下の実働隊として存在しており「レン」とはその歴代の(といっても先代以前は詳細不明だが)リーダーが名乗った名前であったということだろう。


彼らとベンの最初の遭遇はジェダイ離反の数年前……ルークとロア・サン・テッカのジェダイ遺跡捜索に同行した時に遡る。
ベンは会ったことすらないジェダイに肖った名と偉大すぎる両親の姓ゆえに向けられる周囲からの期待や、EP2のアナキンさながらに「マスターが自分に力を使わせてくれない」ことへの不満を抱えていたが、この頃には既に友人となっていたスノークに対してルークは素晴らしい師匠だと告げており、多少のストレスはあれどダークジェダイの片鱗は微塵も無かった。
だが、ルーク達と時を同じくして遺跡を漁っていたレン騎士団およびそのリーダーにして赤いライトセーバーを振るうレンという男と遭遇。(以下、紛らわしいので先代レンと表記)
先代レンはベンの不満を見通した上で、強すぎるルークへの嫌がらせの意図も込めてか光以外の道があることをチラつかせ、ヘルメットを脱ぎ捨てた。
結局本編と違ってチートスペックを十全に発揮できるルークが先代レンを含むレン騎士団全員を撃退したことで一同はその場を切り抜けたが、ベンの記憶の片隅にはレン騎士団の存在がこびりついていた。


そして時は流れ、EP8で描かれた通りベンはルークに見捨てられたと思い暴走。寺院を崩落させた。


この時点でベンはまだルークが何故自分に剣を向けたのか疑問を浮かべており、それこそルークと話せば和解の余地はいくらでもある段階であった。
だがその直後、崩落の影響か燃料タンクが爆発して火災が発生し、寺院のジェダイ候補生達が全員死亡してしまう。
切りかかってきたルークのみならず、共に修行した仲間達までも自分が意図せず皆殺しにしてしまったという事実がベンの暴走の最大の引き金となったのである。
そこへたまたま出払っていたジェダイ候補生の同期━━ベンにライバル意識を抱く少女ボー、フォースの神秘に探究心を走らせるクオレンの少年へニックス、周囲の期待に悩むベンに寄り添いありのままであればいいと親しく接する本作屈指の聖人少年タイ━━の三人が帰投したが、もはや弁解できるはずもなくベンはへニックスをフォースで負傷させて逃走。三人もベンを追う形で寺院を発った。
……おそらくルークが意識を取り戻したのはその後であり、炎上する寺院といなくなった四人の弟子の存在を知って絶望し隠遁に至ったのだろう。


首都ホズニアン・プライムに帰ることもできず、友人スノークの元に向かったベンは記憶の片隅にいたレン騎士団を身寄りとすべく彼に相談し、その導きでかつてレン騎士団と遭遇した遺跡へ向かった。
なお、スノークと友人関係にあるのは当然ながらその背後にいるシディアスがベンを闇に誘導することを狙って近づいた次第である。親身に話を聞くふりをしつつ暗黒面に誘導するその手口はアナキンを堕としたのと同じやり方である。ついでにいざ堕ちたらスパルタ指導が始まるところまで同じである


かくして遺跡にたどり着いたベンは先代レンが脱ぎ捨ててそのままになっていたヘルメットを拾い上げ、フォースでレン騎士団の居場所を探知したが、その直後三人のジェダイが追いついた。
ベンを人殺しと糾弾してボーが斬りかかり、ベンはそれに応戦。
タイとへニックスを置いてけぼりにする勢いで単身ベンに喰らいかかるボーだったが、誰とも関わりたくないベンは「放っておいてくれ」と三人を突き放し、フォースでボーを崖から突き落とした。
そこでベンは我に帰り、投げ出されたボーをフォースで保持したが、回り道をしていたへニックスはボーが崖から落とされるところだけを見ておりボーが死んだと思い込んで激昂した彼はライトセーバーを投擲。
ベンはボーを支えながら咄嗟にそれを防御したことでライトセーバーを止めるどころか押し返してしまい、ライトセーバーはへニックスの胸を切り裂いて殺害。
二度目となる意図せぬ殺害により、ベンはさらに心中の闇を深め、ボーとタイを遺跡に押し込んで激情のままフォースを解放。
遺跡を崩落させ彼らを閉じ込めて去っていった。


その後、自力でレン騎士団を見つけ出したこととへニックスを「仕留めた」という戦果を手土産に先代レンへ直談判し、レン騎士団へ加入したベンは任務に同行。
ベンはあくまで身寄りを求めてレン騎士団に入っただけであり、未だに人を殺めることは拒否していたが、そんなベンの目の前で先代レンは平然と人を斬り殺していった。


そしてそこへボーとタイが到着。ボーはレン騎士団の、タイはベンの相手をそれぞれ引き受けた。


タイとベンは激しく斬り合い、タイはベンにまだ光の道を選ぶことができると説得したが、光を選ばされ続けてきたと感じていたベンは「選択の余地」を語るタイを一蹴。ライトセーバーを弾き飛ばしタイを降参させた。
タイはそれでもなお「ベンにとって自分を殺すことが必要ならそうすればいい」とありのままのベンを受け入れていた。
期待を押し付けなどしない、自分を受け入れてくれる存在を目の当たりにしベンの心は遂に揺らいだが……その瞬間先代レンがタイの首をフォースでへし折り殺害。
既に壊れかけていた状態で、拠り所になり得た相手を失ったベンは心の底から憎悪を爆発させた。
タイのライトセーバーを拾い上げて二刀流で先代レンに斬りかかり、一進一退の攻防の末に先代レンを圧倒。その絶大な暗黒面の力は遥か遠くにいる母レイアのみならずまだフォースを覚醒させていない幼少期のレイにまで寒気を覚えさせる程のものであった。
そして遥か彼方の惑星エクセゴルでも……スノークの背後にいるシディアスがベンの暗黒面を感じ取りほくそ笑んでいた……。


先代レンの胸をタイのライトセーバーで穿ち抜き、自らのありのままの意思で人を殺めたベンはタイの最期の願いを最悪の形で体現し、完全に暗黒面に開眼。
レン騎士団により追い詰められていたボーの元に現れ、自分をかつて人殺しと罵った彼女を先代レンのライトセーバーで刺し殺し、その周囲ではレン騎士団が新たなリーダーに敬意を示すかのごとく跪いていた。


その後ベンはライトセーバーを改造し……自らのカイバー・クリスタルを溢れ出る憎悪と共に握り潰した。
シスの儀式でもある「ブリーディング」が施されたことでクリスタルは深紅に染まり、クロスガード・ライトセーバーが完成。
ひび割れたクリスタルにより生じた不安定な十字の刃を構えるベンに、スノークの(あるいはシディアスの)テレパシーが尋ねた。


お前の名前は?」……と。



以上のように、ルークの失敗こそあれど引き返せるタイミングはいくらでもあったはずが、先代レンとの接触に始まり予期せぬ火災や力加減のミスやタイミングのすれ違いなど幾重もの不運が重なって引き返せなくなっていった故の悲劇としてベンの転落が描かれており、本編におけるメンタル面の不安定さや光への未練の説得力を補強する一冊となっている。
ついでにEP7以降碌に掘り下げられなかったロア・サン・テッカの存在やEP8の評価を分けることとなったルークの失敗もある程度フォローしている


最序盤から登場。レジスタンス協力者達の虐殺を指揮し、ポー・ダメロンが狙撃したブラスタービームを止める、凄まじい迫力を見せつける。
その後は拷問に屈しないポーをフォースで痛めつけ、ルークの手掛かりとなる地図を持つBB-8の情報を吐かせた。
ハックス将軍とも互角に言い合うなど、いかにもな大物オーラを漂わせる。



……だが、ここから彼のメッキが剥げ始める。
ルークの痕跡を追おうとするも、部下の不手際で捜索は遅々として進まず。その最中に光への怯えを自覚し、スノークから叱られる。
BB-8を保護したことで地図を見ていたレイをようやく捕まえるも、彼女を尋問した時には、レイがフォースに目覚めたことで逆に心を読まれ、狼狽する醜態をさらしてしまう。
おまけにレジスタンスの反撃に対して「女さえいれば記憶読めるからいいや」と退散した結果、BB-8はレジスタンスに確保されて地図そのものはレジスタンス側へ。
挙句に脱走兵のフィンもスルーした結果、彼の口からスターキラー基地の弱点が露呈、レジスタンスの攻撃を許す大失態をやらかす。
そしてレイは見よう見まねのフォースを使って脱走し、もぬけの殻の尋問室にやってきたレンは室内をメタメタに破壊、上述したようにストームトルーパー達までご乱心ぶりを察してすごすごと逃げ帰っていく。シリーズでもここまで情けない奴はいない。


基地に乗り込んできたハンと対峙し、彼から説得を受けた際には、目に涙を浮かべて自らの心境を吐露する。
だが、いざ父にライトセーバーを渡そうとしたとき、彼の手はセーバーを固く握りしめたままだった。そしてセーバーを発振し、父を刺殺してしまう
しかし本人の精神も相当に弱っていたらしく、怒りに燃えるチューバッカの狙撃を感知できず負傷。
一部始終を見ていたレイとフィンを発見した直後、チューバッカが起爆した爆発に巻き込まれる。



なんとか脱出した彼は、どうやったのか逃げるレイとフィンの前に先回り。
レイをフォースで叩きのめし、伯父ルークのライトセーバーを持つフィンに決闘を挑む。
傷なんて痛くないという強がりか、出血する傷口をことあるごとにぼんぼん叩く姿が痛々しい。
だが、脱走兵のフィンを「裏切り者!!」となじる姿には多くの観客が「お前が言うな」と思ったことだろう。


決闘では終始フィンを押すが、負傷の影響、そしてまかりなりにもフィンが兵士としての訓練を積んでいたことで、中々とどめを刺せない。
予想外の展開を迎えた決闘の結末は……。


最初の艦隊戦には登場せず、スノークに謁見するシーンから登場する。
前回の傷跡が残る中で「かすり傷です」と強がって見せたものの、スノークからは「馬鹿げたマスクを外せ」「光への未練が消えていない」「初めてライトセーバーを握った小娘に敗れた」前作で観客も思っていたであろう辛辣な指摘を散々ぶつけられた上に、反抗しようとした瞬間にフォースライトニングで吹っ飛ばされるなど、ある意味暗黒面らしい壮絶な指導を受けていた。
怒りのままに飛び出したレンは、エレベーターの中で癇癪を起こしてマスクを何度も叩き付けて粉砕。母であるレイアを手にかけて今度こそ暗黒面の深淵に至るべく、専用機TIEサイレンサーで出撃。


祖父・父・伯父譲りの凄まじい操縦テクニックでレジスタンス艦隊を圧倒し、出撃しようとしていたレジスタンス戦闘機に対しては発進する前に格納庫へミサイルを撃ち込んで一網打尽にして抵抗の隙を与えなかった。
エースパイロットのポーの専用機ブラック・ワンをはじめ、XウイングとAウイングが全機使用不可能になったレジスタンス旗艦「ラダス」は逃亡を試みるが、スノークの旗艦「スプレマシー」の砲撃を防ぐべく後部にシールドを集中していたことが仇となった。
小型機の速度を活かしてシールドの薄くなっていた正面に回り込んだレンは、レイアのいるブリッジに照準を合わせて件のミサイルを発射しようとするが……
ここにきて引き金を引くことを躊躇してしまった。光明面への未練があるというスノークの指摘は正しかったと言えるだろう。
結局僚機のTIEファイター2機がミサイルを撃ち込み、ギアル・アクバー提督ほかレジスタンス上層部を壊滅させることに成功したものの、母の死を前に何もしなかったという事実にレンは唖然とするしかないのであった(実はレイアは生きていたのだがそれを知ることはなかった)。
その後、スプレマシーが援護不可能な距離までラダスが離れ、僚機も撃墜されたことで、ハックス将軍の指示を受けスプレマシーに帰還することになる。


スプレマシーに帰還した後は傷の手当を続けつつ待機していたが、そんな彼にある異変が起こる。
遥か離れた惑星オク・トーにいるはずの因縁の相手レイと、フォースを介したテレパシーで繋がったのだ。
通路を歩いている時や宇宙空間を眺めている時のみならず、何故か上裸で自室にいた時にもテレパシーは発生し、
もやしっ子という印象を払拭するかのような鍛えぬいた肉体をレイと観客に見せつけた*2
「何か着るもの無いの!?」


そうして何度も通話するうちに、レイとの距離を少しづつ縮めていき、ルークとの間に起こった過去についても語った。
結果的にレイはレンを改心させられる可能性を見出し、彼との接触を危険視するルークを振り払って単身スプレマシーへと乗り込み、両者は再び対面することとなる。


レンはレイをスノークのもとへと連れていき謁見させる。
レイからアナキンのライトセーバーを奪い取って散々痛めつけ、さらにスノークはレイを連れてこさせるために自分がレイとレンを繋いでいたことを明かす。全てはスノークの罠だったのだ。
スノークはレイを殺すようにレンに命じ、レンもそれに従いライトセーバーを起動するが……直後、スノークの肘掛けに置かれていたアナキンのライトセーバーをフォースで起動してスノークを殺害。


曲がりなりにも共感しつつあったレイを選び、互いに背中を預け、白兵戦に特化した精鋭エリート・プレトリアン・ガードの軍団を相手に共同戦線を展開した。
ボロボロになりながらもプレトリアンガードを全滅させ、炎上する謁見の間でレイはレンにレジスタンスへの砲撃をやめるように願い出た。
が、それに対しレンは「スノーク、スカイウォーカー、シス、ジェダイ、反乱者……全ては滅びる」と、攻撃をやめることはなかった。そしてレイに手を組み銀河を支配しようと半ば懇願するかのような表情で誘惑した。
それはヴェイダーへの憧れで動いていたレンが初めて自らの意思で下した決断であったが、
同時にその志は奇しくも「皇帝を打倒し銀河を支配しよう」とかつてパドメやルークに語り掛けたヴェイダーと全く同じものであった。


レイもレンも互いに共に歩むことを望んでいたが、レイはベン・ソロを光明面に帰還させて共に歩むことを望み、レンはレイを暗黒面に引き込んで共に歩むことを望んでいたため、惹かれ合いながらも両者は決裂。


一触即発の空気の中で二人はアナキンのライトセーバーを手にするべく壮絶なフォースの衝突を繰り広げた*3
両者の力は拮抗しライトセーバーが中央から動くことはないまま、アナキンからオビ=ワンを経てルークに渡りレンが追い求めてきたスカイウォーカー家の象徴は真っ二つに割れた。
同時にラダスの特攻によりスプレマシーが致命傷を受け、衝撃で二人は気絶した。



レイが目を覚ましてその場を離れた後、ハックス将軍がボロボロになった謁見の間を訪れ、同時にレンも目を覚ました。
スノークの死を知り、ここぞとばかりに自分がファーストオーダーの指導者になることを宣言するハックス将軍だったが、レンはかつての祖父の如くフォース・グリップでハックスの首を締め上げ「私が最高指導者だ」と告げる。小物らしく瞬く間にハックスはひれ伏し、レンはファーストオーダーの最高指導者の座に収まった。


レンは早速、クレイトに逃げ延びたレジスタンスを討ち滅ぼすように命令を下し、自身もユプシロン級コマンドシャトルで前線に立つ。
圧倒的な戦力差でレジスタンスを追い詰めるが、そこに一人の男が現れた。


元師匠にして仇敵であるルーク・スカイウォーカーが現れたのである。


AT-M6の大軍の砲撃ですら傷一つ付かない伝説のジェダイに対し、レンは自ら決着をつけるべくやめるよう進言するハックスを吹っ飛ばしてクレイトの大地に降り立った。


髭を短くした姿で壊れたはずのアナキンのライトセーバーを振るうルークに対しレンは苛烈な攻撃を仕掛けるが、いずれも躱されてしまう。
ルークに対しレンは「レジスタンスを皆殺しにし、戦いを終わらせ、最後のジェダイを殺してやる!」と言い放つが、ルークには「素晴らしい、その言葉の全て間違っている。レジスタンスは今日再び誕生し、戦いが始まる。そして私は最後のジェダイではない」と返される。
その言葉に激昂し、納刀したルークに斬りかかるレンだったが、両断したにもかかわらず一切の手ごたえがなかった。


レンが戦っていたのはフォースで生み出された幻影に過ぎず、ルーク自身はオク・トーで瞑想により幻影を操っていたのであった。


かくして伝説のジェダイはレンもレジスタンスも殺めることなく時間稼ぎに徹し、最後のジェダイたるレイとその仲間を逃がすことに成功したのである。*4


ルークを討てずレジスタンスにも逃げられたレンは、これまたかつての祖父の如く「Nooooooooooooo!!!!!」と叫ぶのであった。



以上がEP8におけるカイロ・レンの活躍である。
賛否両論で知られるEP8の評価に違わず、今作の彼を
師を殺害して闇の勢力のトップに立つというシスの原理そのものな行動や、往年のダース・ヴェイダーを思わせる言動の数々と、磨きのかかったシリアスな笑いから「ついに悪役として一皮剥けた」と好意的に受け入れる意見もあれば、
「相変わらず不安定なままトップに立って大丈夫なのか」「全て壊すとか自暴自棄じゃないのか」と不安視する声もある。


どちらにせよ、EP9で彼がどのような結末を迎えるのか目が離せないと言えるだろう。


三部作通して最速の登場を果たす。
クレイトの戦いから一年、相変わらず荒ぶった戦闘スタイルでムスタファーの抵抗勢力を一掃する最高指導者カイロ・レンはあるシス・アーティファクトを探し求めていた。


オープニング・クロールで前作、前々作で気配すら感じさせなかったダース・シディアスが突如銀河に向けて宣戦布告同様に自身の生存を明かしたことから、自身の覇権への脅威として元銀河皇帝が潜む惑星エクセゴルへと導くベイダーのウェイファインダーが必要だった
速攻でただ一人エクセゴルに殴り込みをかけたカイロ・レンは、ゾンビのようなおぞましい外見で生き延びていたシディアスと対面する。EP 7全編で展開するレジェンドを探し求めるあらすじが五分で終わってしまった。


慎重に薄暗いエクセゴルのシス要塞の中を進んでいくレンの脳内に語り掛けるシディアスはスノークは彼が作った幻であり、彼が昔から脳内で聞いていたスノークやベイダーの声は全て彼であったことを明かした。
ものものしい廊下から開けた空間に出たレンを迎えたのは、修道士のように顔も隠した匿名の召使たち、そしてあのスノークが全裸の状態で何体も培養液で満たされたタンク中に、まるでクローンであるかのように鈴なりになっていた様であった。
シディアスが古代よりのカルトであるシス・エターナルの協力で密かに築いていた銀河史上類を観ない規模の大艦隊「ファイナル・オーダー」および新たなる銀河皇帝の座と引き換えに、レイの抹殺指令と彼女の真の正体を聞かされる。


時を同じくしてジェダイ最後の希望であるレイは、マスターのルーク・スカイウォーカーがフォースの冥界へと旅立った今、彼の妹であるレイア・オーガナからジェダイの修行を受けていた。
共和国時代から伝統であるトレーニング・リモートとの訓練中、思い通りにいかない苛立ちが募ったタイミングでレンによるフォースの波紋(恐らくベイダーの遺骸を依り代にしたと思われる)が届く。
この時双方はフォースが見せた不可思議なヴィジョンを目撃するが、この時ベンが見たのは断片的な過去の記憶がつぎはぎになったフラッシュバック、そして「貴様が殺した」「ベン!」というⅤのルークの発言とⅦのハン・ソロの呼び声だった。
またこの時、ムスタファーにおいて何かを脳内で見せられているのか両眼をつぶって頭を振るカットも一瞬映っているため、少なくともスノークに指摘された「父の影」を未だに吹っ切れていない。



その後、自身が最高指導者として君臨したファースト・オーダーでは、レンの騎士団(スターキラー基地の戦いやクレイトの戦いの最中は別の任務で留守にしていた)をプレトリアン・ガードに代わる親衛隊に任命、上級将校たちを集めて情報共有などを可能とした最高評議会を設立していたことが明らかになった。
秘密主義のためにまとまった体系も特になかったスノーク体制では幹部同士の情報共有も不明瞭だったため、それを受けた改革であると思われる。
この最高評議会のその他大勢のような調子でひっそりと座っているという事実上の左遷を受けたハックス将軍を威圧し、自身に異議を唱えるクイン将軍をフォース・グリップで締め上げて天井に叩きつけるなど、かつて帝国内の処刑人として猛威を振るった祖父ダース・ベイダーに勝るとも劣らない貫録を見せつけている。
プライド将軍の発言からエクセゴルのシス艦隊がその時点のFOの軍事力を一万倍にも増大させるほどの強さを誇る事から、元皇帝から提示されたレイの抹殺指令をFO中に下す。



砂漠の惑星パサーナに同じくウェイファインダーを求めてやってきたレジスタンス一行の中にいたレイに、レンはクレイト以来のフォース・ボンドで接触を試みる。
レイを暗黒面に引き込むことを諦めてはおらず、本来は殺意はないことなどの言葉を交わす中、彼女の胸にかかっていた現地のネックレスをひったくる(前作で見せていた四度目のフォース・ボンドで示唆された空間を超えて質量が瞬間移動する能力の発展)事でレイたちの位置を特定。
レン騎士団を予め向かわせる中、自身は愛機のTIEウィスパーでレイに突撃をかけるが軽やかに交わされた上に片方の翼を着られたことでド派手に墜落&大炎上。
死亡したと思わせて自身のテーマ曲を盛大に鳴らしながら堂々と登場。FOの捕虜となったチューバッカが乗っていると思われる輸送船をフォース・プルで引き戻そうとするレイを、輸送船を押し出す形で妨害。
前作でアナキン・スカイウォーカーのライトセーバーの引き合いを彷彿させる互角の力勝負へと至る中、焦りや恐怖といった負の感情を爆発させたレイの指先から電撃が噴出し、輸送船を撃墜してしまう。
動揺しつつ逃走を成功させたレイを、レンは衝撃とも歓喜ともつかぬ表情で見つめる。
なお、別の船に乗っていた事で実は生存していたチューバッカと共に、レジスタンス側のウェイファインダーへの情報源となるシスの短剣を確保した。



C-3POのメモリーに残されたシスの短剣の情報解読のために雪の惑星キジーミへと赴いたレイ一行をFOの情報網で特定し、予め向かわせていたレン騎士団に町中を探索させる。


その一方で情報解読に成功し、チューイの生存を感知したレイたちは逆にレンの旗艦<ステッドファスト>に潜入成功していた。この際「女は近くにいる」とフォースで感じ取るレンは、当のレイが自分の部屋に思いっきり侵入している事に気づいていない。
短剣の実物を確保したレイとフォース・ボンドを確立させると、レイの両親は「『平凡』を望んだ何者か」である事や「シディアスの魔の手から守るために自分をジャクーに売った直後にシス・アサシンの手にかかって死亡した」という真実をちらつかせ、動揺したレイと空間を超えたライトセーバー戦を行う。


すんでのところでレイの脱出直前にステッドファストに到着したレンはハンガーでレイと対峙し、彼女こそがシス卿ダース・シディアス/銀河皇帝シーヴ・パルパティーンの血を継承する孫娘、レイ・パルパティーンであるという真実を明かす。
後ずさるレイにレンは「自身の母親はベイダーの娘・彼女の父親がシディアスの息子」という銀河中を恐怖政治で圧巻した銀河帝国のトップに君臨したシス・マスターとアプレンティスの血筋にあるとなぞらえる中、更なる真実を明かす。
自分たちはフォース・ダイアドであり、このフォースを通じた特別な絆はシディアスさえも認知していないと言う。
全ての黒幕であったシディアスをも倒すことで共にシスの王座につき、前作よろしく自身の手を差し出すことでプロポーズ誘いを持ち掛ける。


しかしレイはそれを拒否し、フィンらの機転によりまたもやレイの脱出を許してしまう。
シディアスからも「余のシス艦隊を貴様に向けさせるな」と脳内催促が入るが、シディアスからシディアス分のウェイファインダーの所在を聞いたのかレイが次に向かった海の月ケフ・バーへと単身向かい、デス・スターⅡの残骸中のかつての王座の間でレイを待ち受ける。
ウェイファインダーを手にした際に完全に闇に身をゆだねた自分のヴィジョンを見て動揺し、レイは落としたウェイファインダーを確保したレンは「俺の母にジェダイとして顔向けできなくなった」「もう帰れないぞ。俺のように」と、母への郷愁や後悔ともつかぬ表情でレイが自分と同類であることを突き付ける。
唯一エクセゴルへと至るウェイファインダーのデータを手にしているレンはシディアスのウェイファインダーを素手で木っ端みじんに粉砕し、それに激怒したレイが襲い掛かってきたことでケフ・バーの決戦へともつれ込む。


何度か大波に襲われつつ、一年の間にそれぞれ腕を磨いていた二人の戦いは進んでいく。
フォースの新技を披露しつつ激情のままにライトセーバーを振るうレイと、それを全て受け止めるかのように淡々と対応しつつ着実に駒を進めるレン。
最終的にレイを圧倒したレンは倒れこんだ相手にライトセーバーを振り上げた瞬間、最後の力を振り絞ってフォースを通じて語り掛けてきた母レイアの声に動揺。思わず振り向いてライトセーバーを撮り落としたところで、その隙を突いたレイに起動した自身の十字のライトセーバーで胴体を貫かれる。
同時に二人はレイアの逝去を感じ、死を覚悟して崩れ落ちたレンは、自身の激情に身を任せたレイによる生命エネルギーを分け与えられることで腹の傷はおろか顔につけられた傷すらも治癒し、レイに混乱したような表情を向ける。


レジスタンス一行が去り、レイアの死を聞いたチューイの咆哮に重なる形でデス・スターⅡ残骸の先端に立ち尽くしていたレンは、聞き覚えのある「よう」という声に振り向く。
一年前、自分がこの手で胴体を貫いて殺したはずの父ハン・ソロが、あの時の格好そのままでそこに立っていた。
亡き父に「あんたはただの記憶だ」と返すが、「お前の『思い出』さ」と優しく語り掛けてくる。
言葉を交わす中でレンはあの時、勇気が無くてスターキラー基地でできなかった事、やってしまった事で溢れださんばかりの涙を必死にこらえつつ、父からの愛をしかと確認した事でシスのライトセーバーを背後の大海に投げ捨て、ベン・ソロとして帰還した。


その後しばらく出番は無いが、依然エクセゴルのファイナル・オーダー及び銀河各地の最高指導者が失踪したファースト・オーダーは着々と出撃の準備が始まっていた。


皇帝との決着をつけるために単身エクセゴルに乗り込んだレイと追いすがるレジスタンスがエクセゴルに強襲を掛けるが圧倒的な軍事力の差でレイとレジスタンスは共にシディアスの思惑通り闇堕ち・壊滅へと追い詰められる。
王座の間から上空で一機一機撃ち落とされて命を散らしていく仲間たちを見つめる事しかできない中、何かをもくろんで自身を殺して王座につくよう迫るシディアスに圧倒されて絶望するレイはその瞬間、エクセゴルに駆け付けたベン・ソロの存在を感じ取る。


ベンはかつておじのように慕っていたランド・カルリジアンから譲り受けたブラスターだけを武器に、着の身着のままで全速力でレイの元へと走っていく。その途中で待ち伏せをしていたレン騎士団に急襲され、六対一で絶体絶命のピンチへと追い込まれる中、レイと最後のフォース・ボンドが発動した。
追い詰められつつ、言葉を必要としない彼らはそのつながりの中で意思を交わし、ボンドを通じてアナキンそしてルークのライトセーバーを譲り受けた。一年前のスターキラー基地で自身が手にできなかった伝説の武器を手にしたベンは、軽やかな身のこなしで六対一の劣勢を大逆転で全滅させる。
王座の間へと乗り込み、同じく複数人のソヴェリン・ガードを相手に戦っていたレイを見つけ、ようやく対面を果たした(ちなみに要所要所で前二作で重々しく流れていたカイロ・レンのテーマをよりヒロイックにアレンジしたベン・ソロのテーマが流れるので要注目)。
スターキラー基地の時と違いまっすぐな意思が宿った顔つき、スプレマシー艦内のように予測のつかない未来へと身をゆだねた二人は全ての元凶ダース・シディアスに向かい合い、共に青い光刃のライトセーバーを構えた。


直後、圧倒的なフォースの力量差で武装解除させられ、跪かされた二人はシディアスにフォースの一対であることを悟られ、生命エネルギーを瀕死になるまで吸い上げられた。
レイより一足先に目を覚ましたベンは力を振り絞って立ち上がるも、アナキンに満足に抵抗できないままデス・スターⅡの大穴に投げ捨てられたことを根に持っていたシディアスに「余が落ちる時には最後のスカイウォーカーもまたそうなる」として稲妻が走る底なしの亀裂に放り込まれる。


死亡したかと思われたが、レイがシディアスを今度こそ滅ぼし、その余波でシス・エターナルが全滅したことで静寂が訪れた王座の間に、唯一生きていたベン・ソロが亀裂から這い上がって来た。


満身創痍で満足に歩けない状態でなんとかレイの下にたどり着いたベンは、ようやく触れ合う事ができたレイの肉体にもう光が宿っていないことを目の当たりにする。涙を流すでも咆哮をあげるでもなく、深い悲しみに顔を歪ませたベンはレイの身体を抱きしめつつ、ある事を決意する。
ケフ・バーでしてもらった瀕死の自分に生命エネルギーを分け与えるフォース・ヒーリングを、ベンは見様見真似の全力でレイに行う。精神を統一し、作業にひたすら集中するベンのその右手に、動かなかったはずのレイの左手が触れた。
自分の腕の中でもぞもぞと起き上がるレイを信じられない思いで見つめるベンは、顔いっぱいの笑顔で自身の名前を呼ばれた瞬間自分の顔にも笑みが広がる。様々な思いが込められた二人のキスは、最初で最後となった。
最後に浮かべたのはいつなのかわからないほどの、照れくさく最高に幸せな笑顔をみせたベン・ソロの表情から力が抜けていき、その身体はあおむけに倒れこんだ。
何が起こったのかわからないレイの前で、ベン・ソロの肉体は徐々に透明になっていく。時を同じくして歴代のジェダイたちと同じようにレイア・オーガナの遺体も消えた。


銀河の英雄レイア・オーガナ、ハン・ソロという両親のもとに生まれ、幼少期に抱えていた孤独の闇からダークサイドに転向し、カイロ・レンとして銀河中に苦痛を広めた男は、最後の最後に光を見出し、その命を愛する者にささげたことでその生涯を終えた。
その業績はアナキン・スカイウォーカーがかつて執着した「愛する者を死から救う術」であり、ダース・シディアスが不完全な技術で、そのマスターであるダース・プレイガスがミディ=クロリアンの操作で一度は司ったとも言われるものでもある。
ジェダイらしい無私の精神・シスらしい生死の法則すら捻じ曲げた行いを、純粋な愛によって達成したベン・ソロはフォースと一体化したのである。



追記・修正は周囲の物を破壊して精神を落ち着かせてからお願いします。


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  • コメント欄が長くなってきたのでリセットしました -- 名無しさん (2016-11-23 15:56:04)
  • 某渋の絵を見てて思ったのだがヴェイダー卿の絵本シリーズにカイロ・レンも出て来て欲しいなぁ。孫だし少し難しいかもしれんが… -- 名無しさん (2017-01-06 11:44:51)
  • ↑そういうのいいから -- 名無しさん (2017-01-12 14:54:08)
  • 弱い弱いって言われるけどさ、ボウキャスターなんて狂った威力の銃で撃たれてあれだけ動けてるのってむしろ非凡にも程がある気がするぞ。 -- 名無しさん (2017-01-13 19:40:17)
  • ママと和解エンドが永久にできなくなっちゃったよレンくん…まじでどうすんの -- 名無しさん (2017-01-15 00:11:04)
  • エピソード8で専用のタイファイターに乗るようです -- 名無しさん (2017-05-13 11:14:30)
  • そういえば「ライトセーバーを自作するのはジェダイの修行の一つであり、ジェダイの素質がある者ならフォースと心を通じさせることで、誰に教わらずともライトセーバーの作り方を知ることが出来る」らしいけど、レンのライトセーバーが「古代のシスの記録を元に復元した」というのはどういうこと?一度はルークの組織の元でライトセーバーを作ったが、ダークサイドに転向して以降シスへの敬愛のあまりシス仕様の別のライトセーバーを作ったってこと? -- 名無しさん (2017-09-09 17:31:52)
  • ↑反乱起こした時に自前のライトセーバー壊されて、これ幸いとシス仕様にしたって線もあるかもね -- 名無しさん (2017-09-11 09:34:30)
  • 予告ですでに不穏な流れが……… しかしあのエースパイロットぶりは、改めてコイツもシスなんだなぁと -- 名無しさん (2017-10-20 08:19:10)
  • EP8での動向もいろいろとネタに事欠かなかったな -- 名無しさん (2017-12-16 19:27:24)
  • 一斉射撃のシーンは笑っちまった -- 名無しさん (2017-12-16 21:34:26)
  • ある意味、祖父を越えたね -- 名無しさん (2017-12-16 22:12:50)
  • なんだかんだでレイとの関係性が凄く気に入ってる。通じ合えるが唯一根っこだけが致命的に相容れない悲劇。 -- 名無しさん (2017-12-19 10:38:09)
  • ↑最初はウマが合うとして友達になれるけど、深く付き合ってみると根本的に合わないとなって対立するパターンやね -- 名無しさん (2017-12-19 11:48:06)
  • 光堕ちとかライトサイドの誘惑とか日本のサブカル業界でも中々聞きなれないカオスな語句が平然と飛び交うあたりやっぱりSWは面白い -- 名無しさん (2017-12-19 12:18:56)
  • EP8でネタキャラから脱するのかと思いきやまさかの加速するネタキャラ性 -- 名無しさん (2017-12-20 01:18:07)
  • ある意味で祖父を越えたのは間違いない。一切の先見性がないこいつが総統になった時点でファーストオーダーの驚異度は激減した。宇宙の平和には大きく貢献してる。 -- 名無しさん (2017-12-24 18:24:39)
  • ↑まぁネタ抜きで見るなら、先代ですら為し得なかったシスのマスター殺しによる下剋上を果たしたというね(先代もゲームとかではシディアス殺害してるケースもあるけど) -- 名無しさん (2017-12-24 18:34:49)
  • EP -- 名無しさん (2017-12-24 23:01:19)
  • 失礼、EP8はカイロ君云々抜きにしてもファーストオーダーが「武双が凄いだけの残念集団」という印象しか残らないレベルでヘボい -- 名無しさん (2017-12-24 23:03:08)
  • 銀河を救った伝説のジェダイである師匠に寝込みにライトセイバー突きつけられるとかそりゃもう闇堕ちもしますわ。自分は光の道を歩むことは許されないと言われてるも同然だもん -- 名無しさん (2018-01-05 09:11:26)
  • 力負け癇癪光堕ちおじさん好き -- 名無しさん (2018-01-05 14:09:58)
  • 実力面ではまだまだだけど精神的には一皮剥けてくれたみたいでよかった -- 名無しさん (2018-01-18 02:18:09)
  • ↑↑おじさん↑だと!?ふざけんじゃねえよお前、お兄さんだルルォ!! -- 名無しさん (2018-01-18 03:28:38)
  • ベンくん「裏切者が!」観客「お前が言うなw」→EP8視聴後→観客「ベンくん可哀そう」 -- 名無しさん (2018-04-21 15:52:33)
  • 心が臨界点を超えて自棄になってるとしか思えない。今のままじゃノーフューチャーだ……。 -- 名無しさん (2018-04-21 20:16:12)
  • 光墜ちは笑った、中二病とおじいちゃんっ子が合わさるとこうなるのか -- 名無しさん (2018-07-31 08:48:56)
  • 「やってみたら何かできちゃった」の、なろう系主人公道を突き進むレイよりも、レン君の方が主人公に相応しい気がするよ -- 名無しさん (2018-12-24 23:16:01)
  • ベン君に魅力を感じられるかで評価が大きく変わると思うんだ、この映画 -- 名無しさん (2019-01-09 16:37:33)
  • ポジションにおける個性しか与えられていない新キャラたちの中で唯一の成功例 -- 名無しさん (2019-04-22 11:55:31)
  • こうして見ると、ベン君ってガチで人間関係に恵まれてないような……。ルークやアナキンには信頼出来る大切な仲間がいるけれど、ベン君にはそういった存在は見受けられないし(そういう意味ではレン騎士団が気になる)。ダース・ヴェイダーを崇拝するのも、信頼出来るものが何も無いこと+ルークに裏切られた絶望の裏返しに見えてきたぞ……。 -- 名無しさん (2019-12-14 21:19:06)
  • 「近くにいるな・・・」(←部屋に侵入されてる)映画館じゃなかったら声出して笑ってたわw -- 名無しさん (2020-01-01 20:51:36)
  • ルークのライトセーバー持ちやすそうに振ってたなーw -- 名無しさん (2020-01-03 19:57:54)
  • 「近くにいるな.....」(もはや星から脱出済み)は本当酷いというか、距離しかわからんのかと あとEP8で裂けたはずのライトセーバーが当たり前のように直ってるのはどういうことなん? -- 名無しさん (2020-01-06 09:37:29)
  • ジョースターの血の繋がりみたいなもので居ることは分かっても場所まではわからないんだろう。 セーバーはクリスタルさえ無事ならいくらでも復元できる。 -- 名無しさん (2020-01-08 17:59:25)
  • セイバーは基本ただの機械だし部品さえあればいくらでも直せるし作れる -- 名無しさん (2020-01-17 07:47:25)
  • トレボロウ版だと最後まで悪役を貫いてるのね(ファンメイドかもしれないけど -- 名無しさん (2020-01-23 12:40:36)
  • 祖父の幻影に引きずられてるけど祖父を超えられない事にも薄々気付いてる この便秘感はまあある意味2010年代を代表する悪役よなあ… -- 名無しさん (2020-01-26 01:24:16)
  • 「I know」を聞けたから満足 -- 名無しさん (2020-02-14 21:22:06)
  • レン騎士団とは結局なんだったのか -- 名無しさん (2020-04-06 22:18:14)
  • ↑スノーク親衛隊の方がまだ強く見えるもんなぁ。ちなみに没になったトレボロウ監督のEP9シナリオだと正体は一緒に裏切ったルークの弟子達という設定の予定だったらしい -- 名無しさん (2020-04-06 22:26:15)
  • ↑EP8のルークの回想でもそれとなく示唆されてたな -- 名無しさん (2020-07-03 15:01:33)
  • EP9のところで時々入る取り消し線に草を禁じ得ない -- 名無しさん (2020-09-30 15:11:37)
  • 割り切って光堕ちしてからのレン君は好き -- 名無しさん (2021-01-01 13:26:56)
  • カイロレンの職場潜入好き -- 名無しさん (2021-11-23 05:17:26)
  • 身の回りに偉人しか居ない中で挫折ばかりの人生をずっと歩いてきた男が、最後に自己肯定出来る様になる、と言うのが彼の物語だと思う。強大な祖父や英雄である両親と叔父に劣るありのままの自分を漸く見つめられるようになったから、最後に奇跡が起こせたんだって思う。 -- 名無しさん (2022-05-24 22:27:54)
  • 普通にベン続3部作のキャラで一番好き。若者ゆえに不安定な心で、偉大な英雄と恐るべき悪を同時に持つことからおきる葛藤の描き方は7〜9を通して唯一好きな描写だった。 -- 名無しさん (2022-06-25 22:18:31)
  • 何だかんだ好きだわ、皆が言うほど顔も悪くないし、でも作品は……ウン…… -- 名無しさん (2022-08-31 22:49:06)
  • ハックスの方がまだ魅力的だった -- 名無しさん (2023-02-28 14:17:03)

#comment

*1 「ジェダイは相手の敵意を確認してから抜刀する」という。もっとも、メイスが完全無警戒だったジャンゴに不意打ち同然に光刃を突き付ける、メイスら評議員が席を立ってもいないパルパティーンに抜刀する、オビ=ワン&アナキンがいつもドゥークーより先に抜刀するなど、この掟は昔から守られていなかったが。
*2 米国の声出し可能な上映では一部から歓声が上がったとか
*3 フォースによるライトセイバーの奪い合いだが、とあるファンムービーにほぼ同様の場面がある。そのムービーを制作した人物はそれがきっかけでルーカスフィルムの社員になったらしいが、参考にしたのだろうか?
*4 師弟関係にあった当時の姿でアナキンのライトセーバーを振るうという、レンが最も冷静さを失うであろう姿を選んでいるのも時間稼ぎのためであった。

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