四式戦闘機 疾風

ページ名:四式戦闘機 疾風

登録日:2014/06/10 (火) 18:14:00
更新日:2023/12/18 Mon 13:34:45NEW!
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大日本帝国 航空機 戦闘機 陸軍 疾風 例によってgdgdなエンジン周り エンジン以外は大正義 日本最良の戦闘機 中島の集大成 大東亜決戦機 四式戦闘機



四式戦闘機は、大日本帝国陸軍が運用した単座戦闘機である。愛称は疾風、連合軍のコードネームは「Frank(フランク)」。
コードネームの由来は鹵獲機の飛行試験とコードネーム付与に関わっていたフランク・マッコイ陸軍大佐に由来するそうな。
中島製戦闘機の集大成とも言える高性能な戦闘機である。例によってエンジンは残念だったわけだが



性能諸元(一型甲)

試作名称:キ84-Ⅰ甲
全長:9.92m
全高:3.38m
全幅:11.24m
翼面積:21.00㎡
自重:2,698kg
最大重量:3,890kg
最高速度:624km/h(高度6,000m)
上昇限度:12,400m
航続距離:2,500~2,920km
発動機:中島四式(ハ45)空冷複列星形18気筒 公称1,800馬力1基
総生産機数:約3,000機
武装:機首12.7mm機関砲2門、翼内20mm機関砲2門
爆装:最大250kg爆弾×2



開発経緯

1941年12月29日。キ44(後の鐘馗)の発展型を開発するよう中島に指示が出される。その内容はというと、


最高速度680km/h以上、20mm機関砲2門、12.7mm機関砲2門を装備、隼級の航続距離、あらゆる任務に柔軟に対応可能な高性能万能戦闘機


というダイナミック無茶ぶりだった。と言うかお前ら、まだ20mm機関砲開発の目処すら立ってなかっただろ……
まあともかく、キ44-Ⅲの設計をベースに翼面積と燃料搭載量を増やした性能向上型として開発がスタートする。


が、当初から太平洋戦線での運用が決まっていたため「もっと航続距離を伸ばして、オナシャス!」ということになり、
翼面荷重を計画値に収めると同時に燃料搭載量の増大を図った結果、重量増→翼面積増→重量増という悪循環に陥る。
さらに前線の「もっと火力と装甲の強い機体を作って」という要求まで届いてキレた小山悌以下開発チームは、いっそ吹っ切れてしまった。
紆余曲折の結果、計画重量を大幅にブッチする重装戦闘機として43年3月に試作初号機が完成する。
飛行試験では陸軍機最速級の624km/hを叩き出し、立ち会った陸軍将校が「よくぞこんな素晴らしい機体を……中島マジ天使」と感涙にむせんだという。


しかしエンジンが性能はともかく稼働安定性と信頼性に欠ける誉さんだったため、エンジントラブルには最後まで悩まされることとなった。
というか、試験期間中に解決できなかったので量産しながら改善することになった。
エンジンに問題はあるがとにかく高性能ということで、荒蒔義次陸軍少佐の提言により、増加試作機を大量生産して
運用試験しながらコンバット・プローヴンという方式を取ることになり、翌44年3月に四式戦闘機として制式採用の運びとなる。
「大東亜決戦機」として陸軍の新たな主力たるを期待されての事だった。機体全体の総生産機数は約3,500機。



機体の特徴

端的に言うと小さい。と言っても2,000馬力級の重戦闘機としては、というだけであって、サイズ的には飛燕とトントンといったところ。
機体の設計自体はや鍾馗を踏襲した保守的と言ってもいいものだが、同時に生産性も高く、
結果的に火力・機動力・防御力がハイレベルで大量生産できるという超大正義な戦闘機となった。あれ、陣営違くね?
ただしエンジンは信頼性が死亡宣告スレスレ。


急旋回に頼りすぎる古参パイロットの要求を飲むと機体強度と重量増に出力が追いつかなくなるため、多少強度を抑えても軽量化を図り、
かわりに操縦系統を意図的に重くして対応している。
これはベテランには不評だったが、さすがは腐っても帝国軍機、設計と技術の進歩で重いが格闘性能も維持はしており、
実際に運用したパイロットからは「格闘戦もできる重戦って素敵だろ?」「一式と二式のいいとこ取り」という評価を受けている。


陸軍の単発単座戦闘機としては初めて計画段階から20mm機関砲の装備を要求された機体であり、飛燕と並ぶ大火力機だった。
が、さすがに各国の趨勢からしてみると軽武装*1だったので、開発の初期段階から武装強化型の開発が始まっている。
防御能力は12.7mm対応で、防弾ガラスと防弾板でコクピットを丁寧に鎧っている。



戦歴

疾風の初陣に臨んだのは菊水紋を部隊章にいただく飛行第22戦隊。戦隊長はキ84のテストパイロットであり
ノモンハン以来のエース・岩橋譲三陸軍少佐で、麾下のパイロットも航空審査部から抽出された精鋭揃い。
整備隊長には同じくキ84の整備班長として疾風に精通した中村考大尉が任命された。疾風運用への陸軍の意気込みが伺える。


同隊は当初フィリピン戦線へ投入される予定だったが、現地部隊の嘆願もあって米軍新鋭機の参戦で苦戦を強いられていた中国戦線へ期限付きで投入される。
その後入れ替わりで参陣した第25戦隊と85戦隊が本機を運用してP-51を相手に善戦し、一時的とはいえ中国上空の制空権回復に寄与する。


フィリピン戦の前哨戦たる台湾沖航空戦においては、日本側航空基地を空襲する米海軍機を迎撃したが、ほぼ奇襲に近い不利な状況下で連携も満足にとれず苦戦を強いられている。
この時対戦した主敵はグラマンF6Fヘルキャットであり、
日本側パイロット達の評価としては、「四式戦はグラマンF6Fより速度は優るが旋回性能で劣り、全般的に苦手な相手」といったもの。性能以前に不利な空戦を強いられたことが厳しい評価に繋がってしまったともいえる。


本機の主戦場となったフィリピン戦では絶対的数的劣勢からタコ殴りにされることもあったが、一時的にレイテ湾上空の制空権を確保して多号作戦における第1師団上陸成功に貢献するなどの戦果を挙げ、
米軍も戦闘データから「高速で運動性も高く、被弾にも強い。要注意すべし」と評価している。


エンジンの稼働安定性の低さや低下していく部品の質が足を引っ張ってはいたが、第47戦隊では整備隊長刈谷正意大尉の指揮のもと、
指揮小隊による整備状況と飛行時間の一括掌握と徹底的かつ適切な整備で稼働率を後送機抜きで常時100%に保つという驚異的な結果を出している。
とはいえこれは欧米では当たり前の整備方式であり、エンジンがどうこう言うより帝国軍全体がこういった後方要員の教育や
補給の立ち遅れをどうにかできなかったことのほうが大きい。
45年5月20日のデータによると、本土で運用されていた本機の稼働率は大体42%前後だったという。
その後も絶望的な状況下で本土防空戦や沖縄戦に投入されたが、多くのベテランを失い、さらに戦局も秒読み段階となった
末期にはろくな戦果を挙げることはできなかった。


鹵獲機を用いた戦後の飛行試験では火器を除去して徹底した整備とハイオクガソリン、高品質な点火プラグを装備したところ
高度20,000フィートでMAX687km/hを叩き出し、米軍調査団を唸らせる。
この数値は同高度でのP-51やP-47を上回るものであり、機体の火力・防御力・運動性とあわせて「The best Japanese fighter(日本最良の戦闘機)」と賞賛された。


現在はフィリピン戦で鹵獲された飛行第11戦隊所属機が、世界唯一の現存機として知覧の特攻平和会館に展示されている。
戦後に民間放出されてレストアによる性能維持がされていた機体を元海軍パイロットの実業家が購入したもので、
73年の里帰り当時は華麗な飛行でファンの目を楽しませた。
陸自の宇都宮飛行場で富士重工業の整備を受けながら保管されていたが、オーナーの死後に売却先の嵐山美術館で劣悪な管理と
マニアの風上にも置けないアホどもの部品盗難のせいで飛行不能となり、最終的に特攻平和会館で屋内展示されている。
本機を日本へ譲渡した当時のオーナーのライキンス氏は、嵐山での顛末を聞いて返還を深く悔いたという。



バリエーション

○一型甲(キ84-Ⅰ甲)
制空戦闘重視の基本タイプ。生産された機体の大半がこの形式。


○一型乙(キ84-Ⅰ乙)
機首の12.7mm機関砲を20mmに強化した対爆撃機邀撃タイプ。生産機数不明。


○キ84-Ⅰ丙
一型乙からさらに翼内砲を30mm機関砲に換装した重装強化型。試作機のみ。


○キ84-Ⅰ丁
一型乙の操縦席後方に20mm機関砲1門を斜銃として追加装備した夜間戦闘型。試作のみ。


○キ84-Ⅱ
金属資源消費削減のために機体の一部を木製部品に置換した計画機。


○キ84-Ⅲ
排気タービンを追加装備した高々度性能強化型。計画のみ。


○キ84-Ⅳ
エンジンを高々度性能に優れた強化型に換装した計画機。


○キ84サ号
水エタノール噴射を酸素噴射に変更した高々度性能強化実験機。テスト中に終戦。


○キ106、キ113
アルミ合金不足を鑑み、機体を木製(キ106)ないし鋼製化(キ113)したもの。
強度不足や量産性の悪化などから計画中止した失敗作。


○キ116
満州飛行機で五式戦と同じエンジンに換装した転換生産試験機。最高速は低下したが信頼性向上と重量軽減に成功。
詳細な飛行試験を迎える前に満州にソ連が侵攻したため、機体・設計図ともに処分された。


○キ117
エンジン出力を強化した性能向上型。設計中に終戦。



アニヲタ視点の四式戦闘機

帝国陸軍の登場するウォーシミュレーションにはおおむね参戦していると見て間違いはないだろう。出さない理由もないし。
とりあえず飛ばしたかったらIl-2をやればいい。Ⅰ丙が帝国陸軍機を代表して強機体の一角に食い込んでいる。
シューター向けには「ストライカーズ1945Ⅱ」で自機として使用可能。高性能で初心者向けといった位置づけとなっている。
ゲームアーカイブスから落とせるのでPSPでやってみるのも一興か。


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  • これ項目名間違ってない? 飛燕じゃなくて疾風でしょ -- 名無しさん (2014-06-10 19:21:09)
  • 大日本帝国陸軍の戦闘機の中で最も好き。海軍では紫電改だな。 -- 名無しさん (2014-11-30 20:32:40)
  • 二式単戦もいじってやってくだしゃい -- wara_b (2017-07-04 16:28:03)
  • 子供の頃は4枚羽根のプロペラを見て「なるほど、だから『四式』なのか」と間違った理解をしてたw -- 名無しさん (2018-05-31 11:42:59)
  • 部品を盗んだクズどもは地獄に落ちろ -- 名無しさん (2020-09-17 01:05:36)

#comment

*1 アメリカには12.7mm機銃8門装備のサンダーボルトなどの超重火力機が山のように存在した

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コメント

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