登録日:2012/04/27 Fri 03:12:29
更新日:2023/10/26 Thu 11:37:22NEW!
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【概要】
DAW(Digital Audio Workstation)とは、昨今のDTM(デスクトップ・ミュージック)に欠かせない総合的な音声編集ソフトウェアのこと。
作曲アプリという認識でOKだが、実際はもっと高機能だ。なにしろ「総合的」の名は伊達ではなく、
- 作曲
- 録音
- 音声編集
- 整形出力
といった能力を一つにまとめたソフトウェアなのである。(無論ものによって可能な機能は異なる)
もちろん初音ミク等のVOCALOIDを用いる際も(たとえ作曲をしないにしても)ほぼ必須である。
【DAWの機能】
制作各社の特徴こそあるが、主要なものでは以下のような機能がある。
<音源の演奏・データ書き出し>
DAWは作曲ツールなので、基本的にこの機能を持つ。
音源そのものはDAWに付属するものの他に、VSTi規格やAU規格によるプラグイン音源を扱えることがほとんど。
いわゆるソフトシンセと呼ばれるものを指し、PCの高性能化に伴い、ここ十年くらいで一気に普及した。
書き出しとは完成した音楽をデジタルデータとして書き出す機能のこと。
ソフトウェア上で疑似的に録音するという意味合いからハードディスクレコーディングと呼ばれる。当たり前だがDAWに求められる標準機能の一つ。
WAV以外でもAAC・MP3・OGGで書き出しができるものもある。
<ミキシング・マスタリング>
ミキシングとは楽器や音声など個別の音データを文字通り合成(ミックス)すること。
ミキサー(ミキシングコンソール)をソフトウェアで疑似的に再現したものを使うのだが、これは後述するエフェクターを兼ねている事が多く、多くのDAWの標準装備である。
ミキサーはそれぞれの楽器をチャンネルに個別に振り分け、特殊効果や音質の調整のエフェクトをかける事ができる。
これまたエフェクトにはDAW付属の個性的なもののほか、規格に対応するプラグインで数を増やす事も可能。
現場さながら、振り分けたミキサーのチャンネルごとに個別に音声を書き出す事ができるものもある。
代表的なエフェクトには周波数帯で音量の増減を行うイコライザ(EQ)、音圧の調整を行うコンプレッサー、残響音を付与するリバーブやディレイといったものがある。いずれもまとめてエフェクターと呼ぶ。
こうしてミックスした音にEQやコンプなどのエフェクトをかけて整え、最終的に完成した音となる。
この仕上げの作業をマスタリングと呼ぶ。
ミックスやマスタリングは作曲や演奏とは性質の異なるノウハウが必要なので、ミュージシャン・作曲家によってはこれらの工程をレコーディングエンジニアに依頼する。
アマチュアに比べて予算が豊富なプロの現場では、より高品質なサウンドを実現する為に分業になっている事が当たり前である。
とはいえ、ミュージシャン・作曲家を目指す場合でも、ミックスやマスタリング知識が豊富な方が重宝する事もある為、せっかくであれば勉強しておいた方が良いだろう。
※2000年代以降のJPOPやアニメソングは音に迫力を出すため、マスタリングの段階でコンプを強くかける傾向が強い。
聴き易くはなるのだが、音質は劣化するため賛否両論。
<MIDI機能>
MIDI(Musical Instrument Digital Interface)とは簡単に言うと、シンセサイザー(MIDI音源)用の楽譜の規格である。
古くから存在する信号のやり取りのための規格で、MIDIを書いてシンセに読みこませれば、シンセがあたかも人間の演奏者のごとく演奏してくれる。
だがDAW個別の機能が充実してきた昨今では一般的な機能ではなくなり、DAW側が対応していても「あくまでおまけ」な事が多い。
またMIDIによる演奏内容は後述する「オーディオ機能」で整える必要があるため、MIDI編集機能だけで作曲が完了することもまずない。
詳しくはMIDIの記事を参照のこと。
<オーディオ編集機能>
楽器の音を録音したり、録音した音を編集したりする機能。
DAWの主要な機能の一つだが、機能はまちまちで、メモリもかなり喰う。貧弱なPCだと落ちることもしばしば。
オーディオ機能は充実しているが、MIDIはやる気ないDAWもある。
【音声録音】
マイクなどのサウンドデバイスから直接受け取った音声や、ハードディスクレコーディングによって書き出された音声をデータ化する。
マイクなどからの音声を直接PCに入力する時は、ボードから直接やるとノイズだらけの酷い音になるので、普通はオーディオインターフェイス(Ai/f)という機器を介してPCに繋ぐ。
※Ai/fは、PCの「サウンドカード」の役割も果たす。
サウンドカードはPCに内蔵する部品の一つで、音声の入出力の機能を担うもの。
つまり、Ai/fはPCの音を出す機能を肩代わりするのである。
PCにもともと搭載されているサウンドカードはDTM向けには作られていないため、
Ai/fを繋ぐことで音質や処理速度の向上が見込める。
そのため、DAWでの作業は基本的にAi/fから音声を聴いて行う。
【音声編集】
録音したての音を曲制作にそのまま用いた場合、
①他の楽器の音と干渉して不快な音になったり
②無演奏時のノイズがあったり
③Aメロとサビで音量差がありすぎて、聴き辛かったり
④なんだか味気なかったり
するため、
①イコライザー(EQ)等を使って他の楽器と干渉しないよう加工したり
②無演奏時の音声をカットしたり
③コンプレッサー(コンプ)で再生時間ごとの音量差をなくしたり
④反響音(リバーブ)や、やまびこ音(ディレイ)を初めとした音響効果を与えたり
する。
主なDAW
今もメーカー各社が競って開発を続けており、そのいずれもが独特で様々な機能を持つ。
ぶっちゃけあるDAWで慣れた使い方のノウハウは別のDAWでは通じないといっても過言ではないほど。
かつては業務用の高価な存在であったためかmac用ソフトが主流だったが、
ここ近年でのDTMの流行、クラブミュージックやボーカロイドの流行、(誰でも気軽に作品を公開できる)動画サイトや即売会などの台頭もあってか民生用にも爆速で広がっており、
win対応との差もなくなっている…プロでもwin用ソフトで作業する人も珍しくなく、民生用に限れば追い抜いた感すらある。
- SingerSongWriter
win対応
そこまでメジャーじゃないが日本製なので最初に紹介。
Megpoidやがくっぽいどを作ったインターネット社製。
楽譜入力とMIDI機能の充実度に定評がある。
オーディオは長らく微妙視されていたが最近は持ち直してきた。
上位商品にABILITYがある。
- Pro Tools
mac,win対応
正確にはAi/f等周辺機器を合わせたシステムを指している。
プロのPA現場でのスタンダードで、現場ではこれ一択とまで言われたほど。
ロックバンドのライブやフルオーケストラのレコーディング、果てには映画の音響制作まで、あらゆる現場で使用されているといっても過言ではない。
プロ現場のために特化したDAWと思って間違いないが、一方で民生用としては出遅れている。
- Cubase
win,mac対応
恐らく民生用としては最もメジャーなDAW。
価格帯だけで見れば高級な部類だが、プロからアマチュアまで幅広く愛用している人が多い。
かつてのwin&mac両対応のDAWが無い時代には、win用DAWの代表格としてSONARと人気を二分していたほど。
ヤマハ傘下のSteinberg製。
早くからオーディオ機能やVSTi対応が充実している上、アカデミック版などで育成現場でも人気の存在である。
同一規格でありながら相性問題が多発していた当時のVSTiにおいては「とりあえずCubaseなら間違いない」とまで言わしめた。
日本語に対応しているのもありがたく、価格に見合った性能を十二分に発揮してくれるはず。
反面MIDI機能は微妙。
2022年春、Cubase 12にて遂にドングル認証が廃止。アカウント管理ツールによりアクティベートする方式になり、最大3台まで認証可能なので自宅用・出先用のように使い分けが可能で、ドングルの紛失や忘れ物、接触エラー等の悩みから解放される事となった。
- SONAR
win,mac対応
CakeWalk社製。関連会社のローランドが代理店。ループ機能が強い。
V-Studioという専用のハードウェアパッケージがある。
何故かSteamでも売られている。
2017年に開発が終了し、翌年に無料でダウンロード可能なソフトウェアとしてリリースされた。
- FL studio
win,mac対応
ベルギーのImage-Line社製。Fruity Loopsというループ機能に特化したソフトから進化したDAW。マスコットがかわいい。
比較的低価格帯のDAWながら扱いやすい機能が充実しており、今ではDTM入門用の一つとしても名前が挙がるほどシェアを広げている。
パターンをプレイリストに配置する素直な構成の分かりやすさが魅力。
有志による日本語の解説や指南動画が充実しているのも特徴だが、代わりに本体は日本語には対応していないので、そこは注意。
またループ機能を活かしたダンスミュージックが得意な一方で生音音源は殆ど入ってないので、そちらのジャンルを作りたい時は別途プラグインを探す必要がある。
「Lifetime Free Updates」=一生無料でアプデを受けられるよ!というサービスつき。*1
MIDIは一応対応しているが充実しているという程ではない。
- Reason
win,mac対応
スウェーデンのPropellerhead Software AB社製。
ここまで紹介したものと比べるとマニア好みの老舗DAWで、バーチャルラックと呼ばれるラックの表現が特徴。
かつての作曲現場と同じく音源やエフェクターをラックに設置し、現実のように配線・ルーティングするので、
PAやスタジオの利用経験がある人は特に直感的に操作しやすい。
馴染みのない人はサーバーラックを思い浮かべてもらえばいいだろう。
- ACID
win対応
FL Studioと同時期の老舗DTMツール。バージョンアップを重ねDAWとなったが、今でも通好みな部類。
ループシーケンサが元だが、サンプルの中に独自の情報を含めたアシッダイズと呼ばれる仕様があり、
適当にサンプルをぶち込んでもテンポやキーを揃えてきっちり曲になってくれたりする。
サンプル(特にリズム)を読み込んで解析・分解する機能もある。
ジャンルと同じ名前を冠する通りブレビ作りが捗る。
余談
DAWは昔から操作のわかり辛さに定評があり、作曲を趣味とすることのハードルを上げる根源なのは間違いない。
経験者でも今まで使っているDAWから別のDAWに乗り換えると、操作がわからずイラ壁…戸惑うことが少なくない。
ただ最近はマニュアル本や解説サイトが充実しているので、以前よりは初見殺し要素はなくなった。
もっとも分かりづらいのはDAWに限った話ではなく、そのDAWに読み込んで使うプラグインなどはもはや極致に達している。
ページ切替やメニュー表示ボタンがやたら小さかったりなんてのは序の口、操作できる箇所が分かりづらいものすらある。
ぶっちゃけ直感的操作を要求されるにもほどがある。
DAWの読み方だが、「ディーエータブリュー」か「ドー」が英語としては正しい。
「ダウ」は日本人にしか通じない。
追記・修正お願いします。
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▷ コメント欄
- 落ちることに定評のあるソフト -- 名無しさん (2016-07-25 22:51:59)
- 最近じゃ一周回ってハードウェア回帰のdawless systemなんてやってる数寄者もいるよ -- 名無しさん (2021-11-08 02:06:11)
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