銀色の眼のイザク

ページ名:銀色の眼のイザク

登録日:2012/04/12(木) 23:18:40
更新日:2023/08/08 Tue 13:33:15NEW!
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ウルトラマン ウルトラシリーズエピソード項目 絶滅動物 ウルトラシリーズ 強敵 考えさせられる話 トラ 愚行の被害者 哀しき悪役 悲しい結末 ウルトラマンガイア 太田愛 銀色の眼のイザク イザク 火炎放射器リストラ回 アルテスタイガー




こんな姿で蘇るはずじゃなかった……。


絶滅動物をクローン再生する人類の夢は、
無残にも破滅招来体に利用された!


次回、ウルトラマンガイア!



銀色の眼のイザク




[#include(name=テンプレ2)]




――俺は生きる! ガイア、俺は生きる!!――




【概要】


「銀色の眼のイザク」はウルトラマンガイア第43話のエピソード。1999年7月3日放映。


人類がかつて繰り返してきた愚行に対し、人類が変わってゆくための一つの回答を示した、平成ウルトラシリーズの名作の一つである。
脚本は、これ以外にも「遥かなる友人」「遠い町・ウクバール」を手がけた太田愛。



【ストーリー】


人類の過ちを少しでも取り戻そうと、絶滅動物を復活させるプロジェクトが岩倉財団にて組まれ、その第一号にアルテスタイガー最後の一頭“銀色の眼のイザク”のクローン再生の研究が進められていた。


ところが、研究施設に雷が直撃し木端微塵に。研究所に向かっていた藤宮は、残骸から実験装置に付けられていたイザクのネームプレートを拾う。


しばらくして怪獣が石油コンビナートに現れ、チームライトニングとピースキャリーで堤、神山、我夢が現地に向かう。
しかし地球生物の痕跡を確認した我夢の発言により攻撃がストップ。
怪獣は根源的破滅招来体に拉致され姿を変えられたイザクだったのだ。
堤は威嚇射撃で撤退させようとするが、火炎放射でコンビナートを破壊し始めたのを見て、ついに攻撃を許可する。


そこにライトニングのブラスターからイザクをかばう形でアグルが現れた。
イザクは人間に対して復讐したいのだろうと考え、自分がその憎しみをうけようと肉弾戦と火炎放射の猛攻を受け、アグルは倒れた。
イザクが行方をくらましたことでXIGも一時撤退。


アルテスタイガーの資料を求めて資料庫を訪れた梶尾。
「自分が何と戦うことになるのか知っておきたい」という覚悟からだった。
神山リーダーが先にその資料を開いており、アルテスタイガーとイザクについて語り始める


人類がかつて毛皮や骨目当てで狩猟の末絶滅させてしまった、「地上で最も美しい虎」アルテスタイガー。
彼らは誇り高く、仲間と散り散りになってもハンターに抵抗し、アルテ平原の重油の混じった水を飲みながら戦った。


神山リーダー「イザクたちにとっては……私たち人間が、破滅招来体のような存在だったのかもしれませんね……」


一方、先の戦闘のダメージで入院したアグル=藤宮は、戦いの中でイザクの声を聞き、自分の思い上がりを悟ったことを見舞いに訪れた我夢に語る。
イザクは自分が最後の一頭だとは知らなかったし、むしろ野生で生きていた頃のように、憎しみよりもアルテスタイガーとして生きていくことを望んでいるだけだったと。
そして、躊躇えばガイアもやられるとも……。


再び石油コンビナートにイザクが現れ、前回と同様にチームライトニングが対応に向かう。
出撃した機内で「あれは怪獣だ」と自らに言い聞かせるように呟く梶尾。
遅れてEXで出撃した我夢に、通信で石室コマンダーが語りかける。
「イザクを倒すことをためらえば、根源的破滅招来体はまた、人類が絶滅させた動物をイザクのように利用する。そんなことを許すわけにはいかん。」と。
一方で藤宮の「イザクは生きようとしている。この星で。自分が生まれたこの地球で。」という言葉も思い返し、迷いは消えない。


ためらう我夢だがライトニングの奮闘とコンビナートの破壊を続けるイザクの姿に意を決し、ついにガイアに変身。
イザクの前に立ちはだかるも、その高い戦闘能力の前にV2では劣勢に追い込まれる。
ガイアは切り札たるスプリーム・ヴァージョンに変身し、今度はイザクと互角に渡り合う。
止めを刺そうとフォトンストリームの構えを取った時、ガイアはイザクの声を聞く。



――俺は生きる! ガイア、俺は生きる!!――



その声を聞いたガイアはフォトンストリームの構えを解き、イザクと同じく、己の肉体のみで戦うことを決意。
死闘の末、ガイアのスプリームキックを受けたイザクはついに倒された。


ガイアは自分の身体の近くに滞留していた銀色の粒子が天に昇っていくのを見届けた後、人間へと戻る。
激戦の疲れか、それとも後悔からか、力なくその場に膝から崩れ落ち、「許してくれ」と罪悪感に慄く我夢に激戦の一部始終を見届けた藤宮が語りかける。
かつて人間は変われると語った我夢の言葉を信じたいと思った藤宮の答えがそこにはあった。


「人間は人間が過去に犯した過ちを自分達の痛みとして背負っていかない限り、本当に変わったりは出来ないんじゃないか?」



【登場怪獣】

●アルテスタイガー怪獣 イザク(イザクプラチアード)

全長 62メートル
体重 5万4千トン


クローン再生されたアルテスタイガーのイザクを根源的破滅招来体が怪獣化した。
生きるために重油の混じった水を飲んだ記憶から、重油を欲してコンビナートに現れ、更にその油で強力な火炎を吐き散らす。


この火炎放射と、高レベルな跳躍力・俊敏性・怪力が武器。
戦闘力は非常に高く、ガイアSVと互角の肉弾戦を繰り広げたのはイザクのみで、『投げの鬼』と呼ばれる彼を逆に投げ飛ばした。
尤も、実際にガイアSVに匹敵するほど強かったと見るか、
ガイアSVに迷いがあったために実力を出し切れていなかったと見るかは、見解の分かれるところであろう。


なお、着ぐるみに火炎放射器をつけた怪獣はイザクが最後である。




【最後に……】

人類がこれまで絶滅させてきた生物は多い。
リョコウバトニホンオオカミステラーカイギュウなど。


本作に登場したアルテスタイガー自体は架空の生物であるが、トラの仲間も何種類か人類が絶滅させ、生き残った種類も軒並み絶滅の危機に瀕しており、
実際、脚本段階ではイザクはその絶滅したトラの一種・カスピトラであったという。


流石に人類はその過ちに気づきつつはある。
とはいえ、ただ単に気づくだけで変わることができるほど、人間は優れた生き物ではないのだ。


問題提起をする作品は決して少なくない。
しかし、それに対して一つの解答を示した意味で、本作の意義は大きい。



追記・修正は過去の過ちを自分の痛みとして感じ取れるようになってからお願いします。



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  • この話は何度みても泣く
    悲しみの沼といいウルトラマンガイアは人間のおかすかもしれない過ちの話をしっかりするから好き -- 名無しさん (2013-12-25 13:54:35)
  • 滅んだ獣はかわいそうな被害者という人間の一方的な感傷すらはねのけるように、ただ純粋に『生きる』ということしか考えていなかったイザクのひたむきさが沁みる。これぞ野性。 -- 名無しさん (2013-12-25 14:00:20)
    • 絶滅動物の視点を描いた作品って珍しいよね -- 名無しさん (2014-04-15 20:18:44)
  • ゾグ以外でSVガイアと互角に戦えたのが同じ「地球」の仲間だというのも深いな。 -- 名無しさん (2014-04-16 15:11:12)
  • 自然破壊が進んでいる今のご時世だからこそこの話を放送してもいいと思う。この話は今の子供に見せるべきだと思うのは自分だけだろうか? -- 名無しさん (2014-06-26 10:02:19)
  • 見せるべき見せるべき。ウルトラマンが罪を背負うことになる過程なんかは、三部作を敬遠する昭和原理主義者とかにも見せるべき。 -- 名無しさん (2014-06-26 15:35:45)
  • ↑同じ考えの人が他にいて良かった…というかこれ前に某番組であったウルトラシリーズの哀しい戦いの平成版を作るとしたら間違いなく入りそうな話だと思う。罪を背負うことになる過程もそうだが項目に書いてあるように動物たちにとって実は人間の方が破滅将来体だった。なんていう考えさせられる台詞もある。 -- 名無しさん (2014-06-26 19:54:40)
  • イザクの怒りを鎮めるためにアグルが反撃しなかったのが初期に比べると成長が感じられるし、光線を撃つのを止めて己の肉体で戦うガイアの姿が印象的だった。 -- 名無しさん (2014-06-26 20:12:39)
  • わざわざアルテスタイガーについて知ろうとした梶尾さんも要注目。知らない(ふり)で戦った方が精神的に楽だってことはわかっていたはずなのに。 -- 名無しさん (2014-06-26 21:33:59)
  • イザクは.....あの世で仲間と元気に暮らしてるかな...... -- 名無しさん (2014-06-26 22:06:50)
  • ↑きっとそうであると信じたい… -- 名無しさん (2014-06-26 22:20:56)
  • ただ、「俺は生きる」ことがイザクにとって最も重要だったわけだから、死後にどれだけ幸せでも彼は虚しいんじゃないかな -- 名無しさん (2014-06-26 22:38:14)
  • 記事にもあるがイザクが滅茶苦茶強かったのが印象的。死に瀕している生物はこんなに強いんだと感じた。 -- ??隊員 (2014-07-30 19:43:29)
  • 無粋かもしれないが、当時はウルトラマンがきっとイザクを元に戻してくれる、て信じてたわ。観た時かなりショックだったけど -- 名無しさん (2014-07-30 20:23:18)
  • だから響くんだな。ティグリスの時もこの時も、ウルトラマンですら何もできない。当人達の意識から生じた問題。ウルトラマンは奇跡を起こせないから人類が意識を変えていくしかないっていうね。 -- 名無しさん (2014-07-30 20:33:42)
  • 本当にイザクは生きることしか考えてないんだよな。どう生きるか、とかなぜ生きるとかはなくてただ「生きたいから生きる」。何とも言えないが、まさに野生が感じられる --   (2014-10-12 00:06:11)
  • 人間が破滅招来体にも為りうることを端的に示した話なんだよなぁ -- 名無しさん (2014-11-02 21:26:22)
  • あまりにも動物の感情を擬人化しすぎるというのは良くないって言う言葉があるけど、まさにそれをアグルの敗北が体現してしまったのかもしれない -- 名無しさん (2014-12-21 20:20:23)
  • イザクの話には関係ないけど、”チートラマンの称号をほしいままにしたウルトラマンガイア・スプリーム・ヴァージョン”ってあるのはちょっと変じゃない?確かにSVが目茶苦茶強いってのはわかるけど、チートラマン認定はちと微妙だと個人的に思うんだが -- 名無しさん (2015-01-14 22:46:53)
  • ウルトラマンは手を組むだけで破壊光線を出せて時には惑星を破壊し、時には時空の壁を越えるので皆チートです。チートラマン認定とかいう風潮そのものが馬鹿げているんでございます。 -- 名無しさん (2015-01-14 22:59:54)
  • まあ、人間から見たらチートなウルトラマンの中でも確立した強さがあるからじゃない? -- 名無しさん (2015-03-10 12:53:25)
  • ティガのオビコみたいに弱いからこそ感動を呼ぶ敵がいれば、イザクは強いからこそ味がある。藤宮役の高野さんが一番好きなガイア怪獣でもある。 -- 名無しさん (2015-03-11 23:46:12)
  • このエピソード、まぎれもない名作で人類の課題を提起する作品なんだけど、「故郷は地球」、「超兵器R1号」、「怪獣使いと少年」などと比べてどうも知名度が低い。 -- 名無しさん (2015-07-01 11:49:01)
  • ↑年代と、後はインパクトかな。イザクが環境問題と動物愛護、そして生物工学の問題提起となるがこれらはなんというかインパクト性に欠ける。しかしギエロンは核、ジャミラは科学競争、メイツ星人は民族間問題と比較的わかりやすくインパクトもある。だから印象に残りやすい -- (2015-08-02 00:54:33)
  • 火炎放射器でコンビナートを火の海にするのって平成で唯一だよな これやパズズみたいな迫力あるシーンを平成ウルトラでもっと見たかった -- 名無しさん (2015-08-17 09:19:24)
  • イザク、ウルトラマンキングの誕生日では… -- 名無しさん (2015-12-10 19:45:40)
  • 結局、一番醜いのは人間だと思い知った回。 -- 名無しさん (2016-02-16 19:04:40)
  • ↑を書いた者です 「結局」は打ちミスです スマソ -- 名無しさん (2016-02-16 19:26:28)
  • マウンテンピーナッツが見たら多くの人間を犠牲にしてでもイザクを保護しそう -- 名無しさん (2016-03-02 19:21:14)
  • ガイアの怪獣の中でも肉弾戦最強候補 -- 名無しさん (2016-04-25 17:19:29)
  • 光線撃とうとして声を聞いて一瞬躊躇った後拳握り直して立ち向かっていくのがいつ見ても震える -- 名無しさん (2016-06-01 22:22:49)
  • この前の鉄腕DASHでも言ってたが、絶滅の危機にある動物に必要なのは人間の手による保護ではなく、彼らが生きていける(生きていた)環境にすることだ。人間がイザクから学ぶことは多かったが、イザクに必要だったのはなによりも生きることだった訳だ --   (2016-06-01 22:29:12)
  • ↑「この動物俺たちのせいで絶滅に瀕してる!!!俺たちがお詫びに救うんだ!!!」は人間の傲慢だしな…この話は本当に考えさせられる。そしてイザクの冥福を祈るわ… -- 名無しさん (2016-07-18 00:34:22)
  • 傲慢でも何かしないとな -- 名無しさん (2016-07-18 00:40:28)
  • 「何故コイツの「生きるぞ!」って意思はスプリームでも互角という程に強敵扱いされているのか。見知らぬ惑星に放り出されて身を守ろうと必死だったコッヴ&パズズの苦しみを軽視している!」って苛立ちがあったけど、ガイアに迷いがあったかもしれないっていうここの文章見て考えが変わりました。 -- 名無しさん (2016-08-23 15:19:55)
  • 旭山動物園の園長がインタビューで「こうやって動物園という場所に動物たちを留め実質見世物にしているというのは人の業だ」って語っていて、真っ先に思い出したのがこの話だった -- 名無しさん (2017-05-30 20:12:13)
  • 昔、絶滅したタスマニアタイガーをクローン技術で復活させようという研究が行われていたけど、その方法は考え物だったと思う。今回のエピソードは「もしその研究が成功したらどうなってしまうのか」といった感じだったな。 -- 名無しさん (2017-10-10 14:11:01)
  • 「Z」で似たような問題を乗り越えるのに4話かけたのを思うとこのコンパクトさは凄い。ゼットが司会を務める列伝が今後あるとしたら挙げてもらいたいエピソード -- 名無しさん (2020-10-22 03:38:32)
  • この回を改めて見てて思ったけど現実だと人類は動物どころかタスマニアンアボリジニという"同じ人類"をも滅ぼしてるんだよね… -- 名無しさん (2021-04-07 03:54:19)

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