大長編補正(ドラえもん)

ページ名:大長編補正_ドラえもん_

登録日:2010/10/11 Mon 12:16:53
更新日:2023/10/02 Mon 13:19:32NEW!
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大長編補正とは、「ドラえもん」において、大長編になるとメインキャラ達の性格や性質が変わる現象のことである。


●目次


【概要】

いわゆる、
・のび太は映画になるとカッコ良くなる
・ジャイアンは映画になると良い奴になる
ドラえもんはドジになる
という、アレのこと。


しかし、これらの補整はなにものび太やジャイアンに限って起きているものではない。
メインキャラ全員にそれぞれの補整が与えられているのである。



【大長編補正の例】

ジャイアン

俗にいう「きれいなジャイアン」。
言わずと知れた"良い奴"化。稀にになる。


しかし、これはジャイアン本来の性質である。TV編ではそれを披露する機会に恵まれないだけで、別に大長編の時だけキャラを作っているわけではない。
「ドラえもんに休日を!!」*1や、「強いイシ」*2のエピソード、のび太の風邪を心配する「このかぜうつします」など、短編でも漢らしさや優しさを見せる話もある。


ビッグ・コロタン『ドラえもん大事典』(いそほゆうすけ・作画)でのジャイアンのコメントでは「それは巨大な敵と戦うには、みんなで力を合わせないと、勝てないからだ。大切なのは勇気と友情のパワーだな」と、チームワークの大切さと彼の男気がうかがえる発言をしている。
カリスマ性も無い訳ではないが、大長編ではドラえもんかのび太のどちらかがリーダー格となることが多いので、兄貴肌な一面が薄くなってしまっている。


また、身体能力にも補正は加わっているのでパワーファイター的なポジションでもある。
元々、彼はあの体型ながら運動神経はメインキャラの中ではトップクラスである。大長編では主に腕力と野球能力が強化され、普段はいいように利用してばかりのスネ夫との仲間意識も見せており、彼との結束も弱い訳ではないのである。「バリヤーポイント」など、手を組んでいる回がある。


バッティングでは『宇宙開拓史』、『ブリキの迷宮』、リメイクの『恐竜2006』にて、バットを用いて石ころを打ち出して空の敵をノーミスで撃墜したり、飛んで来る粘着弾を打ち返したりしていた。のび太も凄いがジャイアンも凄いのである。
『ブリキの迷宮』では、手元にバットが無かったので、その辺のヤシの木を引き抜き、先端を手で折って即席のバットとしている。


更に『竜の騎士』では、ひみつ道具の「どこでもホール」が壊れて地底の大空洞に作った秘密の遊び場へ置いた荷物が取りに行けなくなってしまう。
それを伝えに来たドラえもんを怒りのままに追いかけ、手にしたバットの一振りで電柱を叩き折ってしまった。
一瞬の出来事ではあるが、とても小学生とは思えない怪力である。ちなみに原作漫画版『竜の騎士』には、ここまで露骨な怪力描写は無い。


ピッチング能力がクローズアップされたのは1度だが、旧『魔界大冒険』では「たのむぜ名投手」とのび太に言われ、大魔王デマオンの心臓の星に向かう銀のダーツを放っている。
ビッグライトで巨大化はしているものの、そもそもの距離が宇宙レベルの単位なのでズレるとカス当たりになり得るのだが、直撃し粉砕している。


また、妹が絡むと途端に良い兄貴になるのも彼の特徴。
がんばれ!ジャイアン!!』で、不器用ながらも妹ジャイ子の為に奮闘する姿はまさに兄貴で漢。


ただし、たてかべ和也氏はこの現象を「面白味のない奴に成り下がりやがった。いつものテレビのジャイアンが人間味がある」とバッサリ切り捨てている。
しかし、回を重ねる内に「1年に1回位はいいんじゃないかな」とある程度受け入れた*3


のび太

普段は情けない少年として描かれているためか、最も強く補整されており、ドラえもんと並ぶメンバー内のリーダーとなる。


また、ジャイアンが良い奴になるのも、のび太のカリスマ性がきっかけであることがほとんど。
大長編での魅せ場が一番多く、まさに真のカリスマである。


カリスマ性以外にも身体能力や思考能力がとにかく強化される。

  • ボロボロになりながらも、ドラえもんの為にジャイアンをケンカでソロ撃破する(帰ってきたドラえもん、STAND BY ME ドラえもん)。
  • 宇宙規模で有名な殺し屋と一騎打ちの撃ち合いで勝利(原作『宇宙開拓史』、新・宇宙開拓史)。
  • ドラミがもしもボックスを貸したとき一度は大喜びするも直後にこれで万事解決するだろうかと冷静になり確認したところ、
    自分たちだけ安全な所へ逃げて並行世界の人々を見捨てるも同然と知り使用を思いとどまる(『魔界』『新・魔界』)。
  • 銀のダーツを空中で空気砲に装填し、デマオンの心臓をそのまま狙撃(コミカライズ版『新・魔界』)。
  • ニュータイプばりの勘で遥か宇宙の彼方にいる友人や、過去に置き去りにされた静香のピンチを察知(宇宙開拓史)(ドラビアンナイト)。
  • 極限状態の中で牛魔王を引き付けて如意棒巨大化で一突き(パラレル西遊記)。
  • 動物のアンプルを混合し、ペガサス、ドラゴン、グリフォンを精製(日本誕生)(新・日本誕生)。
  • 惑星と数千万人の移民を乗せた巨大宇宙船が衝突する危機を前に、フエルミラービッグライトを量産し、
    同時発射でひらりマントを超巨大化し、宇宙船の軌道を変える対策案を一瞬で思い付く(映画版宇宙漂流記)。

などなど。
その漢ぶりは年々増しており、『緑の巨人伝』での活躍は……あれ……? 目から汗が……。
これが、後にドラえもんが故障した際の生存フラグになる。


そしてのび太といえば、なんといっても『銀河超特急』を忘れてはいけない。
この映画、まさにのび太の為に作られたような作品である。
のび太の3つの特技の内で最も実用的な"射撃"が活かされ、シリーズ中でのび太が大活躍する映画の一つである。


未来人から「昔モン」と馬鹿にされているあたりからある意味フラグは立っていた。

  • 真っ直ぐ飛ばない信号弾で宇宙海賊を撃墜。*4
  • 空き缶に弾を撃ち込んで空中を舞わせ、その間に残弾を全て命中させる。
  • 4人の悪党達を0.8秒で全員倒す。*5
  • まさかの頭脳プレーでラスボスを一人で倒す

などなど天才・漢・カリスマ。
のび太ディスってる奴には一度これ観ろと言いたい。


大長編補正が”最も強い”のは、恐らく『新・大魔境』であろう。
戦闘要員としてのボス格であるサベールは、こちらでは戯れに石を両断出来る*6描写がある。
この男に対し、のび太は名刀電光丸の電池切れ後、ある程度耐えた。
小学生だったら剣道日本チャンピオンとかでも多分死ぬのではというレベルの相手に、ある程度戦えているのだ。


銃撃で剣を弾く事で一撃を受けないとか、片腕を動かなくして逃げ回るくらいならまだしも、剣士に対し刀と素ののび太の力で立ち向かってこれである。
そして、最後はのび太の剣においては一生に一撃しか出来ないレベルの最高最善の一振りであろうとも、兜割りを達成している
これだとダメ人間の反転補正としてバケモノ化しているはずのノビタニヤンレベルの剣の資質を素ののび太が秘めていることになってしまうので、補正が極限まで乗った姿なのだろうと思われる。


射撃等の戦闘シーンの陰に隠れてクローズアップされる事はほとんど無いものの、身のこなしの部分もかなり強化されており、日常編ではまず見られないような動きを見せる事もある。
特にF先生の手から離れてからの作品では顕著になっており、わさドラにリニューアルしてからはほぼ毎回のように実写だったら危険なスタントアクションに該当するようなシーンが作られている。


また『南海大冒険』では非常に珍しく、ドラえもんですら呆然とする程にマジギレした姿も見られる。


レギュラーメンバーから逸れる事も多く、単独行動になる率が非常に高い。実は後述する「静香が攫われる」回数よりも「のび太の単独行動」の方が多く、のび太の別行動が切っ掛けでストーリーが転がるのはお約束。


大長編で起こる騒動の始まりは彼の行動が原因であると言われることもあるが、のび太が本当に事態の元凶となってしまったのは『ドラビアンナイト』、『夢幻三剣士』、『創世日記』位であり*7それ以外の大半の事件は全く無関係な所で進められていた悪事や陰謀にドラえもんやのび太達が偶然首を突っ込んだか巻き込まれたことによる物である。


ちなみに他のメンバーが巻き込まれることに関しては、同意の上であったりやメンバー側の意志のほうが強いケースもある。
『宇宙開拓史』でのび太がドラえもんに泣きついた冒頭の理由は、ジャイアンズの練習用地が中学生に奪われたため、ジャイアンがドラえもんに頼んで土地をなんとかさせようとしたのが原因である。
自宅の畳の裏が繋がった縁は強いが、ジャイアンらを異星へ招いた理由は「土地(ゲストのロップル達の星)が見つかったから」である。


『新・日本誕生』ではのび太が「家出してやる!」と騒いだのがスタートではある。が、その後スタメン勢はみな親からの干渉に対し耐えかねたり、疑念を持ったりして家出を肯定している。
静香すら家出のアイディアがダメになってた時点では「のび太さん、酷いわ!」と最初はのび太を嘲笑っていたくせにキレる始末。
そして全員で案を出し合って「誰もいない過去の日本へ」に一同賛成した。


またスネ夫の項にも書いたが、『竜の騎士』における恐竜国家との遭遇フラグを立てたのはスネ夫であり、のび太ではない。
恐竜国家の中で恐竜人類の思惑に偶然触れたのはのび太だが、この場合キーパーソンとしてのフラグは2分割といえる。


よく挙げられる「ドラえもん達の歴史の介入にタイムパトロールは関わらないのか」という疑問も、実はドラえもん達は歴史における最重要人物だと考えると合点がいく……かも知れない(同作者の『T・Pぼん』など)。


実際、下記の様にドラえもん達がいなければ人類滅亡など、とんでもない事になっていたことが大半である。

海底鬼岩城』、『鉄人兵団』、『新・鉄人兵団』、『雲の王国』、『銀河超特急』、『宇宙漂流記』、『ふしぎ風使い』、『新魔界大冒険』、『人魚大海戦』、『ひみつ道具博物館』(といっても完全な事故だが)


『恐竜』、『恐竜2006』、『竜の騎士』、『日本誕生』、『新・日本誕生』、『南海大冒険』


  • 人類侵略

『大魔境』、『新・大魔境』、『ワンニャン時空伝』、『緑の巨人伝』


逆に言えば、のび太とジャイ子が結婚した(ドラえもんが来ていない)世界だと非常にマズイ事になっている可能性もある。


わさドラ以降のオリジナル映画に言えることだが、『緑の巨人伝』『人魚大海戦』『ひみつ道具博物館』『宇宙英雄記』などの漫画版*8は、映画版と大きく異なり映画では描かれなかった部分にもクローズアップされているため、読んでみると面白いかも知れない。
逆にその『宇宙英雄記』の映画版ではのび太は殆ど活躍出来ておらず*9、これまでの大長編や映画版での活躍を顧みるとかなり異例な事となっている。


のび太が冒頭で言い出した妄言*10真実であったという例もしばしば。

  • 恐竜はまだ地球のどこかに生き残っている!(いました)…(竜の騎士)
  • 雲の上に人々が暮らす世界(天国)は本当にある!(ありました)…(雲の王国)
  • 鳥人は本当にいる!(いました)…(翼の勇者たち)
  • 宝島はある!(ありました)…(宝島)
  • 月にウサギはいる!(厳密にはウサギではないが、確かに存在はあった)…(月面探査記)

ちなみに大山ドラえもん版の映画版では、『宇宙開拓史』及び『大魔境』の監督を西牧秀夫が務めたが、
作者の藤子・F・不二雄氏が『大魔境』公開後に「作品の出来は良い」としたものの、「私の世界を理解していない。監督を変えて欲しい」とシンエイ動画の楠部三吉郎に指示し、『海底鬼岩城』より監督が芝山努に変更された。


藤子氏の真意は不明だが、映画版『宇宙開拓史』及び『大魔境』の共通として、 「ギラーミンとのび太が決闘せず、ロップルがギラーミンにとどめを刺す」「サベール隊長と一騎打ちするのがのび太ではなくペコ(クンタック王子)」など、 原作にあったのび太の活躍シーンがゲストキャラのものに変更され、のび太の活躍が減らされてしまっていたことが挙げられる。


「キャラクター同士の因縁の決着」の表現としてはある種当然と言える変更だが、あくまで普通の小学生が各々大活躍しゲストキャラクターたちを助けるというのが大長編の世界であるため、のび太の活躍シーンを見たがったのは他ならぬ藤子先生だったのかも知れない。


マイナス補正と言えるかは微妙だが、タケコプターを集団で使って長時間移動していると、ほとんどの場合真っ先に調子が悪くなる。
また、わさドラ版になってからは、「『ドラえもん』はドラえもんが主役」という事を明記付けるためか、漢ぶり以外の補正は控えめになっており、特に『宇宙英雄記』ではF先生が存命されていれば間違いなく激怒するくらい役に立ってない。


ドラえもん

まさかのマイナス補正である。
自身がピンチになると冷静さを欠いて判断力が低下。それが時に致命的なミスとなる。

  • 出したい道具が中々出せない。
  • やっと出せたと思った瞬間に落とす
  • 肝心な時に"故障中"
  • 大事な道具が破損した時、復元光線やタイムふろしきなどの修理に利用できる道具があることを忘れている(恐竜、竜の騎士)
  • どこでもドアをしまい忘れ空き地に放置したため、ドアを燃やされる(原作大魔境)、解体されドアノブのみになる(新・大魔境)。しかもこの時武器類は全て空き地の土管の中。
  • 空気砲などの数少ない武器類をまとめて時空間に落とす(ロボット王国)。
  • 究極の修理道具である"タイムふろしき"を宇宙で落とす(宇宙漂流記)。
  • 四次元ポケットごと落とす、ポケットが燃える、ポケットを奪われる(南海大冒険、ドラビアンナイト、夢幻三剣士太陽王伝説、ふしぎ風使い、南極カチコチ大冒険)。
  • 命に関わる重要な説明を怠る(原作『海底鬼岩城』)。
  • 最悪、自身がぶっ壊れる、壊される(雲の王国ブリキの迷宮)。
  • 上記のような時に限って「とりよせバッグ」などのアイテムで回収しない。

などなど。
安易に道具に頼ることで緊張感がなくなってしまうため、ひみつ道具の万能性に制限をかける必要があるからだろう*11


また、原作以上にのび太に出番を取られることが多い。
ただしあくまで序盤でのドジに過ぎず、それならのび太達だって色々とやらかしている。
そもそもひみつ道具で楽ばかりするのも、ストーリーが成立しなくなってしまう。


ただ、一時的にひみつ道具が使えない・限定されるとはいえ活躍が全く無いのかと言われればそういう訳でもなく、

  • 恐竜ハンターに捕らわれていた恐竜達を四次元ポケットにしまい込み、自身は空気がない海中でも平気という特性を活かし、ピー助と共にのび太達や恐竜達を地上まで送り届ける(恐竜2006)。
  • しずかが人質となっているポセイドンの元にただ1人辿り着く(海底鬼岩城)。
  • 迫り来る敵に対抗する作戦を考え、のび太達の指揮を務める(鉄人兵団、新・鉄人兵団、アニマル惑星、雲の王国)。
  • 偶然とはいえ恐竜人達の先祖である恐竜を救うきっかけを作り、恐竜人達と和解する(竜の騎士)。
  • ドラゾンビとしてヒカリ族を助け(日本誕生、新・日本誕生)、ギガゾンビとの決戦にひみつ道具ではなく古代の力をもって勝利する(新・日本誕生)。
  • 自らが犠牲となりガスタンクに特攻し、天上人達を救う(雲の王国)。
  • のび太達だけではどうしようもなかった様々な問題を、ひみつ道具で全て解決し、ナポギストラーにとどめを刺す(ブリキの迷宮)。
  • コングファイターとの対決に数少ないひみつ道具を巧みに駆使して勝利。終盤、石頭を利用してデスターのいる場所まで辿り着く(ロボット王国)。
  • ビッグライトで巨大化し、空気砲でマフーガを迎え撃つ(ふしぎ風使い)。
  • ネコジャラと直接対決し、途中で名刀電光丸の電池が切れるも、見事勝利する(ワンニャン時空伝)。
  • のび太やロップル達が乗っている宇宙船に迫る敵の巨大な宇宙船をひらりマントで吹き飛ばす(新・宇宙開拓史)。
  • 人魚の剣を名刀電光丸で弾き返す(人魚大海戦)。
  • 限られたひみつ道具を最大限活用し、敵に捕らわれているスネ夫達を救出する(奇跡の島)。
  • 怪盗ドラックスとなり、暴走するガードロボを食い止める(ひみつ道具博物館)。
  • 遺跡内で敵に捕らわれるも自力で脱出し、ピンチに陥るのび太達を間一髪で救う(南極カチコチ大冒険)。

……など、のび太やジャイアンの活躍に目が行きがちだが、彼は彼でこのように限られたひみつ道具や自身の石頭、根性などでピンチを切り抜ける大長編らしい活躍を要所要所でしている。
特に22世紀のロボットなだけあって高い知識を有しており、知将という意味で、カリスマ性が主体ののび太とは似て非なるリーダー格として貢献することも多いが、その分ドライな言動も見られる。


ドジが多い上に弱体化している印象を持たれがちだが、(のひみつ道具)の存在無くしてはストーリーが成り立たず、のび太らは彼のお陰で敵と互角に戦える事も忘れないでほしい。


しずか

ヒロイン属性が増す。
メインキャラ随一の常識人故に、物語の核心を突いた発言や、画期的な対策案を出すことが多いが、
頻繁に攫われたり逸れたりすることによって補整し、物語を面白くしてくれる。
女の子だけあって争いごとを嫌う優しい性格のため、平和的解決の姿勢を重視する傾向が強くなる他、ゲストキャラと敵味方関係なく心を通わせる描写も多く、中には改心する者も。


ヒロイン属性強化の影響もあってか、ひどく驚く若しくは吹き飛ばされる等の咄嗟の瞬間にのび太の手を握る、のび太に抱き着く縋りつく等のリアクションをとる事が増えている。特にF先生自身が手掛けた原作漫画ではそれが顕著で、大長編を描くようになってからの日常短編の傾向と併せてちゃんと静香をヒロインとして扱う事を心掛けていた事が窺える。


また、小学5年生にしては発育が良く、「宇宙小戦争』ではその裸体を惜しみ無く晒された。おまけに入浴中にさらわれた。
他にも『魔界大冒険』『新魔界大冒険』ではのび太による魔法で何度もスカートをめくられる。タケコプターで飛行中も惜し気もなくパンモロ。
『ドラビアンナイト』では奴隷となり鞭で打たれ、全裸でオアシスを泳いだ。青少年保護育成条例引っ掛かりまくりである。


テレビ放映の際、『ひみつ道具博物館』ではとうとう静香の裸に規制が入ってしまう、『新・大魔境』では入浴シーンそのものがカットされるなど、時勢は彼女の裸に対してどんどん厳しくなっていっている。
近年は遂に水着着用に踏み切りやがった*12


ちなみに『アニマル惑星』ではウサミミ、『ワンニャン時空伝』ではネコミミを披露している。


なお、本人が元々性格の良い優等生なのでキャラとしては変化は少なく、補正は弱い部類と言える。


スネ夫

ヘタレる。とにかくヘタレる。『ママァーー!!』はもはや代名詞。かつ強かであり、その性質が大長編では良くも悪くも作用する。ヘタレ面もずる賢さも普段からこんな感じなので補正自体は最も小さい、裏を返せば最も一般人の感覚に近い状態で大長編に出演するキャラでもある。


普通に考えて、通常の小学生ならばこうなるのも致し方ない。某トーーク番組では「彼の取り乱し具合が、今置かれている事態の深刻さを物語っている」と評されている。
自分達の現状を一行(と観客)に伝え、物語に凄みを出す」のが、スネ夫の役割といえる。


実際、『新・鉄人兵団』では彼が吐いた弱音がきっかけとなり、ドラ達は現状を再確認した上で改めて戦う覚悟を決めている*13
「ひみつ道具さえあれば大丈夫!(テヘヘペロッ☆」という、ともすれば(特に観客が)抱きがちな甘ったれを、事実上叩き潰す役目もあるのかも知れない。


冒険の初期では毎回参加を躊躇うが、その度に仲間達に強制されたり、「じゃあ来なくて良いよ」とアウェーにされかけることで渋々承諾する。
特に『人魚大海戦』での叩かれっぷりは異常。"紛争中の地に出向く"という危険な冒険を当然の如く躊躇っただけで他のメインキャラ全員に非難された。
そのため輪から離れ、そんな時に限って何かを目撃するが、誰にも信じてもらえないため更にアウェーになったり、敵に身体を乗っ取られたりする(『銀河超特急』、『ふしぎ風使い』)。


宇宙小戦争』ではパピを助ける為に真っ先に自身のラジコンを進んで改造。一行の中で大貢献している。
戦闘にも参加したが敵の大軍勢を前に戦意喪失、再びヘタレ化*14


しかしながら、単身出撃した静香の身を案じて恐る恐るながらも彼女の後を追い、無人戦闘艇の特攻から彼女を庇うなどして活躍。
卑怯な言動も薄れており、少なくとも終盤ではのび太やジャイアンと揉める場面もあまりない。
普段はヘタレているが、いざという時は勇気を振り絞って前に進めるスネ夫らしさが出ているので良くも悪くも人間臭い。


他にも『ブリキの迷宮』『南海大冒険』『ロボット王国』『緑の巨人伝』『新・鉄人兵団』『宇宙英雄記』『のび太の結婚前夜』では、パイロットスキルやメカニックスキルを活かしている*15


『太陽王伝説』ではラジコンの操作技術を活かして、魔女レディナの手下の薬使い・ケツアルを倒したり、レディナとの決戦でも逆転劇のきっかけを作ったりした。


『ひみつ道具博物館』では故障したビッグライトの配線を繋ぎ直して修理し、自分とジャイアンを元の大きさに戻す活躍を見せている。
ドラえもん程ではないものの多趣味故の博学さを持っており、一行の中では持ち前の器用さと現実的な思考力でドラえもん不在時の知恵袋的役割を果たすことも多い。


『銀河超特急』では珍しく、「のび太って映画になると急にかっこいいこと言うんだから!」などとメタ発言をしたこともあった。


ちなみにいつもの5人の中で唯一、大きな見せ場となる短編映画*16を持たず、2002年大晦日で放映された特番で実際にネタにされた。
これはスネ夫が主役級でかつ、カッコいい見せ場のあるエピソードが皆無だったからだと思われる。


大長編での物語への食い込みという話をすると、『竜の騎士』では恐竜国家に最初に遭遇したのも、そもそもそうなるほど深入りしたのもスネ夫である。


地底世界の恐竜管理区画から抜け出た恐竜を近所の川や自宅の庭で目撃、ノイローゼになったスネ夫が「恐竜の実在を証明してやる!」とブチ切れてビデオカメラを持ちだし、うろついた結果恐竜国家のメインキャラであるバン・ホーに保護された。
いつもなら「〇〇は本当にいる/あるんだ!」という役がのび太ではなくスネ夫になっているのである*17


その後合宿だから帰宅していないと思い込んでいるスネ夫の母の言葉を聞いて、のび太達が驚き捜索を開始。紆余曲折あって再開を果たす。
つまり捜索開始までの時間も含めると恐竜国家に最も長く滞在していたのはスネ夫で、他のメンバーが恐竜人と遭遇することになった原因もスネ夫だったりする*18


なので前半の遭遇はスネ夫、恐竜人の思惑に関与しようとしたのはのび太の偶然の行動の為である。
のび太はキーパーソンではあるが、遭遇の最大原因は別途スネ夫が務めているという構造である。


出木杉

万能過ぎる
それだけの理由で一度も冒険に連れて行ってもらえていない。
『恐竜』の映画シナリオ初稿では、冒険に同行することとなっていたが、戦略面を彼一人で補えてしまうほどのチートキャラ過ぎたせいでリストラされたという。
逆に言えば、シナリオを調整して出木杉自身を含めて彼らを程よく活躍させるが出来れば、彼もレギュラーに入れた可能性も高い。


考えてみると、出木杉がいると本来ドラえもんやのび太達が遭遇してしまうトラブルなどを未然に防ぐことが可能な冷静沈着さと頭脳を持ち合わせており、『恐竜』でジャイアンが敵に見せつけたバッティング以上の能力を持つレベルの万能な運動神経。
5人の頭脳・ひらめき・身体能力を1人で補えるキャラであるため、致し方無い。


映画冒頭に出てくることはあるが、あくまで難解事項の解説役に留まっている(『大魔境』のヘビー・スモーカーズ・フォレスト、『魔界大冒険』の魔女狩り*19、『アニマル惑星』の新種植物、『翼の勇者たち』の鳥人伝説など)。
しかしその解説の分かりやすさときたら、読者にもしっかりと分かりやすく伏線を張りつつ解説している。
その「魔女狩り」の話などをきちんと理解できるのび太の頭脳もさり気なくすごいことになっている。あるいは出木杉の解説が分かりやすかったか。


『大魔境』のヘビー・スモーカーズ・フォレストなど実在しない事項も、まるで実在しているかの様な解説っぷり。まさにF氏のレベルの高さが投影されている。
子供のころ、ヘビー・スモーカーズ・フォレストが実在すると思った人も多いのではないだろうか。


とはいえ、彼にも弱点はある。
一つ目は、喧騒
「周りが喧しいと勉強も頭に入らない」と発言している(ドラえもんプラス4巻「ドラえもんとドラミちゃん」より)。「真夜中の電話魔」では実際にそれが原因で成績が落ち込んでいた。


しかし、野球もサッカーも大音量の声援がありながらも活躍しているのでスポーツなど運動関連には影響を及ぼさないと思われ、勉強やテストなどはそもそも音量を出している側に問題があるので苦手な事が起きる事態はほとんど無い。


二つ目は、突発的なアクシデント
根が常識人かつメインの5人ほど冒険やSF(すこしふしぎ)な出来事に慣れていないため、突発的なアクシデントに対応し切れない事もある。
彼自身はファンタジーに憧れている反面、ひみつ道具に触れる機会が少ないのも一因だろう*20
存在を把握していないわけではなく、イタ電についてはドラえもんとのび太に真っ先に相談していた。


『人魚大海戦』では架空海水まきぞえガスを浴びたことで、のび太の町にやって来てしまったサメと、ゲストヒロインのソフィアを目撃し、気絶してしまった。
「へやこうかんスイッチ」では自室とのび太の部屋が入れ替わったことに対して、パニックを起こしている。
不意打ちにも弱く、わさドラオリジナル回「のび泥棒をタイホせよ」では、泥棒になりすましていた警察役の静香に泥棒役の出木杉が捕まり*21彼は苦しい顔をしていた。その後は勝敗の行方をのび太に託していたが。


わさドラ版では「誠実であるが故に人の気持ちを理解しきれず(相手が本当に求めている答えを読み取りきれず)、直球で返してしまう」事があった。


『奇跡の島』では、のび太が虫相撲に持ち出したカブトムシを「勝ち目がない」と言ってしまったり、「めんくいカメラ」ではドラえもんとのび太がカメラについて愚痴を言っていた時に「美しさは人の価値観によって変わるものだ」と言ってドラえもんとのび太をムッとさせている。
また、「かがみのない世界」では、女の子に似顔絵を頼まれた際に本人そっくりに描いて(似顔絵の表情は優しい笑顔である)顰蹙を買ってしまっている。


実際のところは出木杉の手の届かない部分はそれなりに存在し、ひみつ道具に扱い慣れているドラえもん・打たれ強い精神力ののび太・ヒロインならではの活躍ができる静香・力や義理人情の厚いジャイアン*22・趣味の広さや要領の良いスネ夫(ついでに悪知恵に長ける)といった部分はそれぞれ彼らのほうが優れている。
上記の欠点の通り、決して完璧とは言えない部分も存在している。


ロマン・超能力・ファンタジーに否定的な唯物論者でもなく、上記のように様々な過去の伝承への理解も深く、本人の夢も「火星に行くこと」というロマンチスト。
ジャイアンには笑われたが、なんと大人になった時には成し遂げている
「魔女狩り」の話をお互いスムーズに進めたり、アニメオリジナルではあるが「ジュラ紀でドラミが大ピンチ」をはじめ、静香がらみ以外ではのび太は出木杉と馬が合う様子を見せており、これはお互いそういったロマンへの理解があるためであろう。


ちなみに未来における描写には恵まれており、『結婚前夜』ではメインキャラに選ばれ「しずちゃんをとりもどせ」では大人になったのび太と出木杉は家族ぐるみで交流がある親友となっている。
上記の描写も含め、のび太との相性の良さはドラえもんや静香に引けを取らないのも分かる。


ひたすらマジメというわけでは無く、冗談など気の利いた発言も出来るので偏屈かつ斜に構えた考えはせず、マンガやゲームにも興じる事が出来ると純粋に年相応の無邪気さを振る舞うことさえある。


例えるならバランスタイプという事だろう。
なのでコレを逆手に取った大長編での補正はかけ辛い。


ちなみに出木杉に大長編補正が実際乗っている例としては、「宇宙小戦争」が挙げられる。
項目にもあるが、旧劇場版ではスネ夫を熱線から庇っている。
「本物の熱線だぞ」と熱線であることを看破するのは大長編にもある台詞なのだが、旧劇場版ではさらにスネ夫ごと前転で熱線をスカしている。
庇うといっても肉体で受けたのではなく、回避しているのだった。


●ひみつ道具

大長編では、ひみつ道具にも補正があるのではないかという意見が出ることがある。


「ひらりマント」などは強道具の上位陣であろうが、『人魚大海戦』においてはドラミが使用した*23ものの、雑兵のビーム連射に敗れ去っている。
ひらりマントが一番活躍していないシーンを挙げることになったら、真っ先に候補に挙がるのはこのシーンだろう。
雑兵が反射でボコボコにされると困るからナーフされたという見方も出来るが。


「タケコプター」はよく故障しているが、これはマイナス補正以前にメーカー想定外の蛮用がたたっているだけの可能性がある。
そもそもタケコプターとは「ドラえもんの懐具合でも主要メンバーなどに(ドラ、のび、ジャイ、スネ、しずかで最低5本、更に『竜の騎士』や『日本誕生』からすればゲストにも渡すので6以上)提供できるような量産品」である。
しかも戦争ごっこに使う道具などと説明があった試しもない。


「巨大なバケモノが出るようなエリアを逃げるため、全速力を出したり長時間運転しました!」(『魔界大冒険』)
などと言われても、2~3時間遊覧飛行したら家に帰るくらいの想定で作っていた場合、不自然になってしまう。


「空気砲」の火力について、『月面探査記』は割と補正を乗せない処理をしている。
ラスボス撃破の決め手になる道具なのだが、超能力が使えるメインのゲストが強化をかけ、宇宙一硬いと称する甲羅の小型カメ(味方ゲスト)が砲弾として空気砲に収まる。そしてのび太が撃つことで空中の巨大要塞のようなラスボスを打ち抜いた。
これは「空気砲がやたらと強い補正を受けた」のではなく「ゲスト達の協力が上手く貢献した」表現と取れる。


ドラえもんの項目にある「怪盗ドラックス」の活躍は、本質的には「ドラえもんの道具操縦がやたら上手い」という補正である可能性がある。
何故かと言うと、ドラックスになるための道具は性能がかなりぶっ飛んでいるからである。


なにせのび太の射撃を回避しているのだ。中の人が世界的なスポーツの権威だとか、そうなる道具を使っていたとかの設定もなしに。
そこで捕まると話が続かないから射撃力がナーフされていたとも取れるが、設定上一応回避出来てもおかしくないくらいの代物ではある。
道具作りの二大巨頭と言ってよい世界レベルの権威が監修したワンオフ機で、警官などとやり合う想定の道具であるからだ。
タケコプターとは違い、最初から戦闘機動が出来るハイエンド品と言っていい。


しかしどんなに性能が高い機材でも運転がヘタクソだと一瞬で事故ってゴミになるのは現実でもあることだ。
つまり怪盗ドラックスの大活躍は「ドラえもん全体に補正がかかった」というよりは「すごい道具に一瞬で適応し使いこなしている事がすごい」というのが適切であるのかも知れない。




「いいぜ、俺は。追記・編集しても。俺のタケコプターの電池が切れたとき、お前、手を離さなかったもんな。」


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*1 最初こそのび太に嫌がらせをするものの、「絶対にドラえもんには休日を楽しんでもらう」といってドラえもんを呼ばず、不良に絡まれた時には「呼びつけブザー」を自ら破壊したのび太の行動に感銘を受けて彼を助けている。
*2 半分のび太の自業自得とはいえ、のび太を強いイシから守る為ボロボロになる。
*3 「キネ旬ムック 20周年だよ! ドラえもん ザ・ムービー」より。
*4 この襲撃自体が遊園地のショーの一つであったのだが。
*5 ドラえもんが実質囮だったが。
*6 ペコが国へ帰還したことが分かり、戦いの予感に昂ぶって手近な石の装飾物(直径10㎝ほど)を切り捨てている。これが人生で最良の一太刀なんてことはまずないと思われるので、よくて7~8割の力でこの戦闘力である。
*7 『パラレル西遊記』は公式曰くドラえもんが元凶だが、その切っ掛けを作ったのはのび太のワガママを起こしたため、やはり事態の元凶。
*8 藤子・F・不二雄先生の一番弟子であり、『ドラベース』シリーズ作者であるむぎわらしんたろう先生によるコミカライズ
*9 実戦向きな特技となる射撃が強化されると思いきや非殺傷にも程があるあやとりが強化される、それ故にドラえもんなど周りの人から貶されるなど。
*10 「一般的に伝説とされているものは本当にいる!」という類。
*11 実際、『ブリキの迷宮』ではドラえもんが復活した途端に事態が好転した。
*12 遊園地の温浴施設だったので水着を着用していた。その後でロープで縛られるという展開の都合上、全裸だとヤバイからではないはず。
*13 無論、スネ夫もきちんと戦いに参加している。
*14 敵勢力に対し指先程度の大きさの宇宙人と侮っていたことも大きい。
*15 乗り物のパイロットに指名されたり、自ら買って出たりする。
*16 ジャイアンは前述した通り、ドラえもんは『2112年 ドラえもん誕生』、のび太は『おばあちゃんの思い出』、しずかは『のび太の結婚前夜』で大きな活躍をした短編映画を持っている。
*17 恐竜の実在について言ったのはのび太でも、迷子になるほど深入りしたのはスネ夫。
*18 恐竜人が、祖先の恐竜が地上から消えた原因を撃破しようとした軍勢を率いる事を知って更に深入りしたのはのび太が偶然聞いたからだが。
*19 ただしリメイク版の『新魔界大冒険』では、このシーン自体が削られてしまっている。
*20 ファンからは「出木杉がひみつ道具について色々とアドバイスできるから映画に出られない」という意見もあるが、一応はTC25巻「のび太のスペースシャトル」等でその片鱗は見せているものの、彼が恒常的にひみつ道具に触れているわけではないのでその指摘が合っているかどうかは疑わしい。むしろその役目はのび太が担う事が多く、『のび太の宇宙漂流記』のように複数のひみつ道具を併用する案も咄嗟に思い付くレベルに達している。
*21 その際は警察役から集中的にマーキングされているため、一対多数の不利な状況にも弱いことも伺われる。
*22 わさドラ版「ドラえもんとドラミちゃん」では、静香よりパワーの劣る描写がされており、ジャイアンどころか静香やスネ夫にさえ出し抜かれる可能性もある。
*23 つまりドラえもんのと違い安物ポンコツではない可能性が高い。

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